JP4643980B2 - ブーム作業車のノンストップ作動制御装置 - Google Patents

ブーム作業車のノンストップ作動制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブームの倒伏作動の途中でブームの収縮作動を併せて行うことにより、ブームの先端部が許容作業範囲の限界を超えることなくブームの倒伏作動を続行できるようにしたブーム作業車のノンストップ作動制御装置に関する。
ブーム作業車は、走行体上に起伏、伸縮、旋回動自在に設けたブームの先端部に作業機を備えた車両であり、作業機が作業者搭乗用の作業台であるものは高所作業車として、また作業機が吊り上げ装置であるものはクレーン車として知られている。このようなブーム作業車では、オペレータが操作するブーム操作レバーの操作によりブームを起伏、伸縮、旋回作動させることができ、ブームの先端部に設けられた作業機を所望の位置に移動させて所要の作業を行うことができる。
このようなブーム作業車では、ブームの自重及び作業機の負荷等により生ずる転倒モーメントによって走行体が転倒することを防止する転倒防止装置が備えられている。この転倒防止装置には種々のものが知られているが、例えば、ブームの先端部の移動が予め定められた許容作業範囲内に限定されるタイプ(作業範囲規制タイプ)のものでは、ブームの先端部が許容作業範囲の限界線を外側へ超えるようなブームの作動が禁止されるようになっている。
また、このような転倒防止装置とは別に、ブームの倒伏作動時における作業性を高める装置として、ノンストップ作動制御装置が知られている(例えば、下記の特許文献参照)。この装置は、上記作業範囲規制タイプのものでは、規制線上若しくは規制線よりも内側の領域内に規制線に沿って延びるようにトレース線を設定しておき、倒伏作動中のブームの先端部がこのトレース線に達した後は、ブームの倒伏作動のみならずブームの収縮作動も行うことにより、ブームの先端部をトレース線に沿わせて下降移動させるようになっている。このようなノンストップ作動制御装置によれば、ブームの倒伏作動によってブームの先端部が規制線に達するような場合であっても、ブームの作動を止めることなく倒伏作動を継続して行うことができるので、作業性を向上させることができる。
特公平4−19159号公報 特開2002−265199号公報
しかしながら、上記従来のノンストップ作動制御では、ブームの先端部がそれまでの円弧運動から直線運動(ノンストップ作動)に移行する際、ブームの先端部の進行方向が急変させられるためにブームの先端部に大きな慣性力が作用してしまうという問題があった。この作業機に作用する慣性力は、作業機が作業者搭乗用の作業台である場合には、作業台に搭乗した作業者に大きなショックを与えることになってしまう。また、ブームの倒伏作動速度が大きいときにはブームの先端部が規制線を外側に超えることがあり、ブームの先端部が規制線を予想以上に超えてしまった場合には走行体の安定度が低下するおそれがでてくる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、ブームの先端部が円弧運動から直進運動に移行する際にブームの先端部に大きな力が作用することを防止でき、加えてブームの倒伏作動速度が大きいときでもブームの先端部が規制線を大きく超えてしまうことを防止することが可能な構成のブーム作業車のノンストップ作動制御装置を提供することを目的としている。
本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置は、走行体と、走行体に起伏及び伸縮動自在に設けられ、先端部に作業機(例えば、実施形態における作業台40)を有したブームと、ブームの先端部の移動が禁止される領域との境界線である規制線上に若しくは規制線よりも内側の領域内に設けられたトレース線及びトレース線よりも内側の領域内に上下方向に延びて設けられた基準線のデータを記憶した記憶手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60の記憶部64)と、ブームの倒伏作動中、ブームの先端部がトレース線に達しようとしていると判断したとき、ブームの倒伏作動に併せてブームの収縮作動を行わせることにより、ブームの先端部をトレース線に沿って下降移動させるノンストップ作動制御手段(例えば、実施形態におけるコントローラ60のノンストップ作動制御部65)とを備え、ノンストップ作動制御手段は、倒伏作動しているブームの先端部が基準線上に達したときからブームの収縮作動を開始するようになっている。なお、上記ブームの先端部とは作業機をも含む概念である。また、上記トレース線は、規制線に対して特定の式で関係付けられた点の集合であってもよく、更には一定の幅(水平方向の距離)を持った領域であってもよい。
上記本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置において、基準線がトレース線から内側に離れる距離は、高さ方向距離が大きくなるに従って大きくなるように設定されていることが好ましい。
また、上記基準線はブームの倒伏作動速度が大きいときほどトレース線から内側に離れる距離が大きくなる位置に設定されることが好ましい。
また、上記本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置においては、ブームの先端部が基準線に達した後トレース線に至るまでの間におけるブームの収縮作動速度の増大変化量は、ブームの長さに応じて(ブームの長さが大きいときほど大きくなるように)、またブームの倒伏作動速度に応じて(ブームの倒伏作動速度が大きいときほど大きくなるように)設定されることが好ましい。
また、上記本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置においては、ブームの先端部がトレース線に達する前にブームの倒伏作動速度を低下させるようになっていることが好ましい。
本発明に係るブーム作業車のノンストップ作動制御装置では、倒伏作動しているブームの先端部がトレース線よりも内側の領域内に設けられた基準線上に達したときからブームの収縮作動を開始するようになっている。このため、それまで円弧運動を行っていたブームの先端部はその円弧軌道の下方領域を通って滑らかに直進運動(トレース線に沿った運動)に移行できるようになり、ブームの先端部に作用する力(慣性力)を軽減することができる。また、これにより作業機が作業者搭乗用の作業台であっても、作業台上の作業者は大きなショックを受けずに済む。また、ブームの倒伏作動速度が大きいときでもブームの先端部の急激な方向変化を抑えることができるので、ブームの先端部がトレース線から大きく逸脱(オーバーシュート)するようなことがなく、ブームの先端部が規制線の外側へ大きく逸脱して車両姿勢が不安定になることを防止することができる。
ここで、基準線がトレース線から内側に離れる距離が、高さ方向距離が大きくなるに従って大きくなるように設定されているのであれば、ブームの収縮作動の開始点は、ブームの長さが大きいときほどトレース線から離れた位置に設定されることになる。このため、ブームの長さが大きいときほど早めにブームの収縮作動を開始させることができ、より小さい回転(倒伏)半径でブームの先端部を移動させることができる。したがって、ブームの長さによらずブームの先端部に作用する力(慣性力)を小さくすることができ、円弧運動をしていたブームの先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
また、基準線が、ブームの倒伏作動速度が大きいときほどトレース線から内側に離れる距離が大きくなる位置に設定されるのであれば、ブームの収縮作動の開始点は、ブームの倒伏作動速度が大きいときほどトレース線から離れた位置に設定されることになる。このため、ブームの倒伏作動速度が大きいときほど早めにブームの収縮作動を開始させることができ、より小さい回転(倒伏)半径でブームの先端部を移動させることができる。したがって、ブームの倒伏作動速度によらずブームの先端部に作用する力(慣性力)を小さくすることができ、円弧運動をしていたブームの先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
また、ブームの先端部が基準線に達した後トレース線に至るまでの間におけるブームの収縮作動速度の増大変化量が、ブームの長さに応じて(ブームの長さが大きいときほど大きくなるように)設定されるのであれば、また、ブームの先端部が基準線に達した後トレース線に至るまでの間におけるブームの収縮作動速度の増大変化量が、ブームの倒伏作動速度に応じて(ブームの倒伏作動速度が大きいときほど大きくなるように)設定されるのであれば、円弧運動をしていたブームの先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
また、ブームの先端部がトレース線に達する前にブームの倒伏作動速度を低下させるのであれば、ブームの倒伏作動速度が比較的大きい場合であっても、ブームの先端部を滑らかにトレース線上に乗せることができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図2は本発明の一実施形態に係るノンストップ作動制御装置が適用されたクローラ式の高所作業車1である。この高所作業車1は、走行体(クローラ走行体)10の上部に旋回体20を有し、旋回体20の上部にはブーム(伸縮ブーム)30がフートピン23を介して起伏自在に取り付けられた構成を有している。
旋回体20は旋回体20の内部に設けられた旋回モータ(油圧モータ)21を回転作動させることにより走行体10に対して水平面内360度の範囲で旋回動させることができ、ブーム30は旋回体20との間に設けられた起伏シリンダ(油圧シリンダ)22を伸縮作動させることにより旋回体20に対して起伏動させることができる。ブーム30は基端ブーム30a、中間ブーム30b及び先端ブーム30cが入れ子式に構成されており、ブーム30の内部に設けられた伸縮シリンダ(油圧シリンダ)31を伸縮作動させることにより長手方向に伸縮動させることができる。
ブーム30の先端部には垂直ポスト32が設けられており、この垂直ポスト32には作業者搭乗用の作業台40が回動自在に取り付けられている。作業台40は作業台40の内部に設けられた首振りモータ(油圧モータ)41を回転作動させることにより垂直ポスト32に対して水平面内で首振り動させることができる。なお、垂直ポスト32は図示しない平衡装置により常時垂直姿勢に保持されるため、結果として作業台40の床面は常に水平姿勢が保たれる。
作業台40には上部操作装置50が設けられており、ここにはブーム30の起伏、伸縮及び旋回操作を行うブーム操作レバー51と、作業台40の首振り操作を行う作業台操作レバー52とが設けられている(図1参照)。このため作業台40に搭乗したオペレータ(作業者)OPは、ブーム操作レバー51を操作してブーム30を起伏、伸縮、旋回させ、また作業台操作レバー52を操作して作業台40を垂直ポスト32まわりに首振り作動させることにより、自身の乗った作業台40を自在に移動させて、所望の位置で高所作業を行うことが可能である。
走行体10は、フレーム11の左右両側にクローラ走行装置12を一基ずつ備えている。各クローラ走行装置12はフレーム11の後部に取り付けられた起動輪12aと、フレーム11の前部に取り付けられた遊動輪12bと、これら起動輪12a及び遊動輪12bに巻き掛けられたクローラベルト12cとを有して構成されている。左右のクローラ走行装置12の各起動輪12aはそれぞれフレーム11に取り付けられた走行モータ(油圧モータ)13,14(図2では左側の走行モータ13のみを示す)により図示しないスプロケットを回転させて駆動することが可能であり、左右の走行モータ13,14は上部操作装置50に備えられた走行操作レバー53,54(図1参照)を操作することにより所望に回転・停止動作を行わせることができる。
図1に示すように、走行体10内に設けられた油圧ポンプPは図示しない動力源(エンジンや電動モータ等)により駆動され、油圧ポンプPが吐出した作動油は起伏シリンダ22の作動を制御する起伏シリンダ制御バルブV1、伸縮シリンダ31の作動を制御する伸縮シリンダ制御バルブV2、旋回モータ21の作動を制御する旋回モータ制御バルブV3、首振りモータ41の作動を制御する首振りモータ制御バルブV4及び左右の走行モータ13,14の作動を制御する走行モータ制御バルブV5,V6を介して対応する油圧アクチュエータ(起伏シリンダ22、伸縮シリンダ31、旋回モータ21首振りモータ41及び左右の走行モータ13,14)に供給されるようになっている。
ブーム操作レバー51又は作業台操作レバー52が作業台40上のオペレータOPにより操作されると、そのレバーの操作方向(傾動方向)及び操作量(傾動量)に対応した電圧信号が出力され、それぞれコントローラ60のバルブ作動制御部61に入力される。そして、コントローラ60のバルブ作動制御部61は、これらレバー51,52の操作により出力された電圧信号に応じた方向及び量で対応する制御バルブV1,V2,V3,V4の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。ここで、制御バルブV1,V2,V3,V4の各スプールの駆動方向は対応する油圧アクチュエータの駆動方向(伸縮若しくは回転方向)に関係し、各スプールの駆動量は対応する油圧アクチュエータに供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)、すなわち各油圧アクチュエータの作動速度に関係する。したがって、各制御バルブのスプールの駆動方向が逆になると対応する油圧アクチュエータの作動方向が逆になり、各制御バルブのスプールの駆動量が大きくなるほど対応する油圧アクチュエータの作動速度は大きくなる。
ここで、ブーム操作レバー51又は首振り操作レバー52の操作により出力される電圧信号の電圧レベルはその操作量にほぼ比例するようになっており、オペレータOPは各操作レバー51,52の操作量を調節することで、対応する上記油圧アクチュエータの作動速度を自在に調節することができる。
また、左右の走行操作レバー53,54がオペレータOPにより操作されると、その操作方向(傾動方向)及び操作量(傾動量)に対応した電圧信号が出力され、それぞれコントローラ60のバルブ作動制御部61に入力される。そして、このバルブ作動制御部61は、これら走行操作レバー53,54の操作により出力された電圧信号に応じた方向及び量で対応する左右の走行モータ制御バルブV5,V6の各スプール(図示せず)を電磁駆動する。ここで、両制御バルブV5,V6の各スプールの駆動方向は対応する走行モータ13,14の回転方向に関係し、各スプールの駆動量は走行モータ13,14に供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)、すなわち走行モータ13,14の回転数(回転速度)に関係する。したがって、制御バルブのスプールの駆動方向が逆になると対応する走行モータ13,14の作動方向が逆になり、各制御バルブのスプールの駆動量が大きくなるほど対応する走行モータ13,14の作動速度は大きくなる。
ここで、左右の走行操作レバー53,54の操作により出力される電圧信号の電圧レベルはその操作量にほぼ比例し、左右の走行操作レバー53,54の操作量が同じであれば出力される電圧レベルは同じになるようになっている。このため、オペレータOPは走行操作レバー53,54の操作量を調節することで、左右の走行モータ13,14の回転速度を自在に調節して直進走行或いはターン走行をすることができる。なお、ターン走行はピボットターン(小半径での旋回ターン)とスピンターン(その場でのターン)とがあり、左右のクローラ走行装置12の一方を(ほぼ)固定した状態で他方を順方向或いは逆方向に回転させることによりピボットターンをすることができ、左右のクローラ走行装置12を互いに異なる方向に回転させることによりスピンターンをすることができる。
また、本高所作業車1には、図2及び図1に示すように、ブーム30の起伏角度θ(図4参照)を検出する起伏角度検出器81、ブーム30の長さL(図4参照)を検出する長さ検出器82及びブーム30の(旋回体20の)旋回角度を検出する旋回角度検出器83が設けられており、これら検出器81,82,83により検出されたブーム30の起伏角度θ、長さL及び旋回角度の各情報はコントローラ60の位置算出部62に入力されるようになっている(図1参照)。ここで、コントローラ60の位置算出部62は、検出器81,82,83からの情報に基づいて走行体10を基準としたブーム30の先端部(このブーム30の先端部とは作業台40をも含む概念である。ブーム先端部と称することがある)の位置を算出し、その結果得られたブーム先端部の位置の情報を検出器81,82,83が検出する各情報とともにコントローラ60の規制制御部63に出力する(図1参照)。
起伏角度検出器81、長さ検出器82、旋回角度検出器83及びコントローラ60の位置算出部62はブーム先端部の位置(座標)を検出する機能を有しており、以下、これらを一組にして位置検出手段80と称する。なお、位置検出手段80は、直接的には、或るブーム30の旋回角度におけるブーム先端部の位置を座標(θ,L)として求めるが、ブーム30の作業半径R(図4に示すようにフートピン23を含む鉛直線PLからブーム30の先端部BPまでの間の水平距離)及びブーム30の先端部高さH(図4に示すようにフートピン23を含む水平線WLからのブーム30の先端部BPの高さ)はそれぞれθとLとを用いて表すことができるので、ブーム先端部の位置を座標(R,H)として求めることも可能である。
コントローラ60の記憶部64には、走行体10を転倒させることなく作業台40(ブーム30の先端部)を移動させることができる領域として定められた許容作業範囲のデータが記憶されている。許容作業範囲の外縁は、ブーム30の長さがとり得る範囲とブーム30の起伏角度がとり得る範囲との関係から自ずと画定される外縁(作動限界線と称する)と、構造上はブーム30の先端部を移動させ得るが、走行体10の転倒を防止する(転倒モーメントが過大になるのを防止する)観点からブーム30の先端部の移動を禁止せざるを得ない限界線として設定した外縁(規制線と称する)とから構成されている。
高所作業車1に設定される許容作業範囲は例えば図3に示す通りであり、直線L1,L2、曲線L3,L4及び直線(曲線であってもよいが、ここでは直線であるとする)L5によって囲まれる領域からなる。図3中に示す直線L1、直線L2、曲線L3及び曲線L4は作動限界線であり、直線L5は規制線である。また、点線で示す曲線L4′は、規制線L5が仮に設定されなかったとした場合に形成されるであろう、仮想の作動限界線である。すなわち、規制線L5と仮想の作動限界線L4′との間の領域は、ブーム30の先端部の移動が禁止される領域(構造上はブーム30の先端部を移動させ得るが、転倒防止の観点からその移動が禁止される領域)であり、規制線L5は、このブーム30の先端部の移動が禁止される領域との境界線ということになる。なお、規制線L5は許容作業範囲の外縁の一部であるので、規制線L5のデータは許容作業範囲のデータの一部としてコントローラ60の記憶部64に記憶されている。
上記説明から分かるように、ブーム30の先端部は作動限界線L1,L2,L3,L4の外側へ移動することはあり得ないが、ブーム30の作動に対する何の規制もなければ規制線L5の外側へ移動することはあり得る。上記コントローラ60の規制制御部63はこのように規制線L5の外側へブーム30の先端部が移動するようなブーム30の作動を禁止する制御を行う働きをする。具体的には、位置検出手段80により検出されたブーム先端部の位置情報と記憶部64に記憶された許容作業範囲のデータとを取り込んでこれらを比較し、ブーム30の先端部が規制線L5に達しているときには、ブーム30の先端部をこの規制線L5の外側へ移動させるようなブーム操作レバー51の操作信号を無視するようにバルブ作動制御部61の動作に規制を与える。このためブーム30の先端部が規制線L5を大きく超えて移動することはなく、作業台40上のオペレータOPは車両の転倒を心配することなく、安心して作業台40の移動操作を行うことができる。例えば、ブーム30の単純伸長作動が行われた場合に、規制線L5にブーム30の先端部が達したとき、ブーム30の作動は停止される。
また、図1に示すように、コントローラ60は上述のバルブ作動制御部61、位置算出部62、規制制御部63及び記憶部64のほかノンストップ作動制御部65を有している。コントローラ60の記憶部64には、規制線L5よりも内側(走行体10側)の領域内に(規制線L5に沿って)設けられたトレース線TR(図3及び図4参照)のデータと、トレース線TRよりも内側(走行体10側)の領域内に上下方向に延びて設けられた基準線S(図3及び図4参照)のデータとが記憶されており(これらトレース線TRと基準線Sの各データは数式或いは点(座標値)の集合として記憶されている)、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、ブーム30の倒伏作動中、位置検出手段80からの検出情報に基づいてブーム30の先端部がトレース線TRに達しようとしていると判断したときには、ブーム30の倒伏作動に併せてブーム30の収縮作動を行わせることにより、位置検出手段80により検出されるブーム30の先端部の位置とコントローラ60の記憶部64に記憶されたトレース線TRのデータとを比較しつつ、ブーム30の先端部をトレース線TRに沿って下降移動させるようになっている(図11参照。以下、このような制御をノンストップ作動制御と称する)。ここで、トレース線TRや基準線Sは規制線L5を基準にして(例えば規制線L5から所定の水平方向距離を持つ点の集合として)設定してもよいが、図3に示すフートピン23を含む鉛直線PLなど、規制線L5以外のものを基準にして設定するようにしてもよい。
コントローラ60のノンストップ作動制御部65がこのようなノンストップ作動制御を行わなかったとした場合、上記ケースでは、ブーム30の倒伏作動によりブーム30の先端部が規制線L5に達したところでコントローラ60の規制制御部63によりブーム30の作動は強制停止されてしまうところであるが、コントローラ60のノンストップ作動制御部65が上記のようなノンストップ作動制御を行うことにより、ブーム30の先端部の外方(走行体10から離れる側)への移動は制限されるものの、オペレータOPが意図していたブーム30の倒伏作動は続行することができるので、作業性が向上することになる。
コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、上記ノンストップ作動制御を開始する条件となる、ブーム30が倒伏作動中であることの検知を、位置検出手段80により検出されている(モニターされている)ブーム30の先端部の移動軌跡に基づいて、或いはブーム操作レバー51の操作状態を検出することにより行う。また、ブーム30の先端部がトレース線TRに達しようとしているか否かの判断は、位置検出手段80が検出するブーム30の先端部の位置が基準線S上に達したことを検知することにより行う。
ここで、ブーム30の先端部が基準線Sに達したことは、位置検出手段80により検出されたブーム先端部BPの位置(座標)から算出されるブーム30の作業半径R(図4参照)が、そのときのブーム先端部BPの位置に対応する許容作業半径Rc(フートピン23を含む鉛直線PLとトレース線TRとの間の水平距離。図4参照)と、そのときのブーム先端部BPの位置に対応して求められる、基準線Sがトレース線TRから内側(走行体10側)に離れる距離ΔR(図4参照)との差よりも大きくなった(Rc−ΔR≦Rとなった)ことより検知できる。なお、距離ΔRは、高さ方向距離が大きくなるほど大きくなるように設定されている。
ところで、上記のように設定された基準線S上の点は、ブーム30の起伏角度θ、ブーム30の長さL、作業半径R、ブーム30の先端部高さH、作業半径Rの時間変化率dR/dt或いはブーム30の先端部高さHの時間変化率dH/dtに対するΔRとの関係として表すことができる。図5はΔRをθとの関係で表したときのグラフであり、θが大きいときほどΔRが大きくなることを示している。図6はΔRをLとの関係で表したときのグラフであり、Lが大きいときほどΔRが大きくなることを示している。図7はΔRをRとの関係で表したときのグラフであり、Rが小さいときほどΔRが大きくなることを示している。図8はΔRをHとの関係で表したときのグラフであり、Hが大きいときほどΔRが大きくなることを示している。
また、図9(A)はΔRをdR/dtとの関係で表したグラフであり、dR/dtが大きいときほどΔRも大きくなることを示している。このことは、図9(B)に示すように、Δθ1=Δθ2のときdR1>dR2かつΔR1>ΔR2であるので、Δθ1及びΔθ2がともに単位時間当たりのθの変化量であるとすれば、dR/dtが大きいときほどΔRは大きくなることから分かる。また、図10(A)はΔRをdH/dtとの関係で表したグラフであり、dH/dtが小さいときほどΔRが大きくなることを示している。このことは、図10(B)に示すように、Δθ1=Δθ2のときdH1<dH2かつΔR1>ΔR2であるので、Δθ1及びΔθ2がともに単位時間当たりのθの変化量であるとすれば、dH/Htが小さいときほどΔRは大きくなることから分かる。
すなわち、倒伏作動しているブーム30の先端部がトレース線TRに達しようとしているか否かの判断(後述するように、ブーム30の収縮作動を開始するポイント(ブーム30の収縮作動の開始点P1)の位置決定も同時に行われる)において行われるΔRの呼び出しは、θ,L,R,H,dR/dt,dH/dtのいずれか1つを指定することによって行うことができる。換言すると、基準線Sのデータは、θ,L,R,H,dR/dt,dH/dtのいずれか1つとΔRとの関係のみによって規定することができる。なお、このような基準線Sのデータ、すなわちθ,L,R,H,dR/dt,dH/dtのいずれかに対するΔRの値は、コントローラ60の記憶部64に予め記憶される。また、ブーム30の収縮作動を開始するポイント(開始点P1)の位置としては、ブーム30の先端部が基準線Sに達した後におけるブーム30の先端部の位置を採用することも可能であるが、このように基準線S上に達したときのブーム先端部の位置をそのままブーム30の収縮作動の開始点P1とすれば、ブーム30の収縮作動の開始ポイント(開始点P1)の設定が大変容易となる。
コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、上記のようにして、ブーム30の倒伏作動中、位置検出手段80からの検出情報に基づいてブーム30の先端部がトレース線TRに達しようとしていると判断したとき、ブーム30の収縮作動を開始する。また、必要があれば、ブーム30の倒伏作動速度を低下させる制御も開始する。そして、このようにブーム30の収縮作動を開始した後は、ブーム30の先端部がそれまで描いていた軌道mの下方領域を通って(例えば図11に示すような曲線軌跡n或いは図14に示すような直線軌跡nを描くように)トレース線TRに至るようにブーム30を作動させる。これによりブーム30の先端部は滑らかな軌道を描いてトレース線TRに乗り移り、その後はこのトレース線TRに沿って下降移動することになる。
このようなブーム30の作動制御手順を具体的に説明すると、先ずコントローラ60のノンストップ作動制御部65は、倒伏作動しているブーム30の先端部が基準線Sに達したときに伸縮シリンダ31を作動させてブーム30の収縮作動を開始する(ブーム30の収縮作動を開始する軌道m上の点を開始点P1とする。図11参照)。そして、ブーム30が収縮作動を開始した後は、ブーム30の先端部が滑らかにトレース線TR上に乗るように、ブーム30の収縮作動速度をブーム30の先端部がトレース線TRに近づくに連れて、或いはブーム30の先端部が基準線Sに達してからの経過時間が大きくなるに連れて大きくなるように変化させる。なお、図11中に示す点P0は、ブーム30の先端部がトレース線TRに至るまでブーム30の収縮作動を行わなかったと仮定した場合にブーム30の先端部が描くであろう仮想軌道m′とトレース線TRとの交点であり、点P2は、軌跡nとトレース線TRとが交わるときの点である。
倒伏作動中のブーム30の先端部がブーム30の収縮作動の開始点(軌跡nの始点に相当する)P1に至るまでの間は、ブーム30は倒伏作動のみが行われるが、ブーム30の先端部が収縮作動の開始点P1に至った後、トレース線TRに至るまでの間は、ブーム30は倒伏作動に加えて収縮作動が行われる(倒伏作動と収縮作動とが連動して行われる)ことになる。そして、ブーム30の先端部がトレース線TRに乗り移った後も、ブーム30は倒伏作動に加えて収縮作動が行われるが、ブーム30の先端部がトレース線TRに沿って下降移動している間のブーム30の収縮速度は、ブーム30の先端部が開始点P1からトレース線TRに至るまでの間のブーム30の収縮速度よりも大きくする必要がある。これは、図11において、開始点P1からトレース線TRに至るまでの領域を移動しているブーム30の先端部が仮想軌道m′から離れていく距離と、トレース線TR上を移動しているブーム30の先端部が仮想軌道m′から離れていく距離とを比較したとき、後者の方が前者よりも大きくなることから容易に推察することができる。なお、上述のように、ブーム30の先端部が開始点P1からトレース線TRに至るまでの間及びトレース線TRに沿って下降移動している間は、必要に応じて(ブーム30の収縮作動速度に合わせて)ブーム30の倒伏作動速度を低下させる制御が行われる。
図12は、ノンストップ作動制御を行った場合におけるブーム30の収縮速度の変化を示しており、実線はブーム30の先端部がトレース線TRに至る前にブーム30の収縮作動を開始した場合のグラフ、一点鎖線はブーム30の先端部がトレース線TRに至ってからブーム30の収縮作動を開始した場合のグラフである。これら両グラフの比較から、ブーム30の先端部がトレース線TRに至る前にブーム30の収縮作動を開始した場合には、ブーム30の先端部がトレース線TRに至ってからブーム30の収縮作動を開始した場合よりもブーム30の収縮速度を緩やかに増大させることができるため、ブーム30の収縮速度の変化速度を小さく抑えることができることが分かる。これにより、倒伏作動中のブーム30の先端部を滑らかにトレース線TR上に乗り移らせることができることができるので、ブーム30の先端部はトレース線TRから大きく逸脱(オーバーシュート)することがない。また、軌道mからトレース線TRに乗り移る際に生じる、ブーム30の先端部の急激な方向変化を抑えることができるので、ブーム30の先端部に作用する力(慣性力)を軽減することができ、作業台40上の作業者が大きなショックを受ける事態を防止することが可能となる。
このように、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、倒伏作動しているブーム30の先端部が、トレース線TRよりも内側(走行体10側)の領域内を上下方向に延びて設けられた基準線Sに達したときにブーム30の収縮作動を開始するようになっている。このため、それまで円弧運動を行っていたブーム30の先端部はその円弧軌道の下方領域を通って滑らかに直進運動(トレース線TRに沿った運動)に移行できるようになり、ブーム30の先端部に作用する力(慣性力)を軽減することができる。また、これにより作業台40上の作業者は大きなショックを受けずに済む。また、ブーム30の倒伏作動速度が大きいときでもブーム30の先端部の急激な方向変化を抑えることができるので、ブーム30の先端部がトレース線TRから大きく逸脱(オーバーシュート)するようなことがなく、ブーム30の先端部が規制線L5の外側へ大きく逸脱して車両姿勢が不安定になることを防止することができる。
ところで、ブーム30の先端部に作用する慣性力は(ブーム30の倒伏作動速度が同一であれば)ブーム30の長さが大きいときほど大きくなる。ここで、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、前述のように、ブーム30の収縮作動を開始するポイント(開始点P1)を決定するときの基準となる基準線Sがトレース線TRから内側に離れる距離ΔRは、高さ方向距離が大きくなるに従って(θが大きいときほど、Lが大きいときほど、Rが小さいときほど、Hが大きいときほど、dR/dtが大きいときほど、dH/dtが小さいときほど)大きくなるように設定されているので、ブーム30の収縮作動の開始点P1は、ブーム30の長さに応じた位置に(ブーム30の長さが大きいときほどトレース線TRから内側に離れる距離が大きくなる位置に)設定されることになる。このため、ブーム30の長さが大きいときほど早めにブーム30の収縮作動を開始させることができ、より小さい回転(倒伏)半径でブーム30の先端部を移動させることができる。したがって、ブーム30の長さによらずブーム30の先端部に作用する力(慣性力)を小さくすることができ、円弧運動していたブーム30の先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。これは、図13に示すように、倒伏作動をしているブーム30の先端部が描く軌道mがトレース線TRと交わるときの交叉角αは、トレース線TRと交わるときのブーム30の長さが大きいときほど大きくなり、軌道mとトレース線TRとは滑らかに交わらなくなるので、開始点P1をトレース線TRから遠ざけなければ(開始点P1を早めに設定しなければ)ブーム30の先端部がトレース線TRをオーバーシュートし易くなることからも分かる。
また、ブーム30の先端部に作用する慣性力は(ブーム30の長さが同一であれば)ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど大きくなることから、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、基準線Sはブーム30の倒伏作動速度が大きいときほどトレース線TRから内側に離れる距離が大きくなる位置に設定され、ブーム30の収縮作動の開始点P1は、ブーム30の倒伏作動速度に応じた位置に(ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほどトレース線TRから内側に離れる距離が大きくなる位置に)設定されるようになっている(図14参照)。このため、ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど早めにブーム30の収縮作動を開始させることができ、より小さい回転(倒伏)半径でブーム30の先端部を移動させることができる。したがって、ブーム30の倒伏作動速度によらずブーム30の先端部に作動する力(慣性力)を小さくすることができ、円弧運動していたブーム30の先端部を滑らかに直進運動に移行させることができる。
図15はブーム30の倒伏作動速度と基準線Sのトレース線TRに対する相対位置との関係を表したグラフであり、グラフ中に示すΔFは、基準線S上の任意の位置がトレース線TRから内側に離れている距離である。なお、基準線Sを上述のように高さ方向距離が大きくなるほどトレース線TRから内側に離れる距離が大きくなるように設定するのではなく、単に、ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほどトレース線TRから内側に離れる距離が大きくなるように設定することも可能であり、この場合には基準線Sをトレース線TRと平行に設定することも可能である。
コントローラ60のバルブ作動制御部61が出力する制御バルブV1,V2,V3の駆動信号(電圧信号)はコントローラ60のノンストップ作動制御部65にも入力されており、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、これら駆動信号のうち起伏シリンダ制御バルブV1の駆動信号に基づいてブーム30の倒伏作動速度を検知する。これは、起伏シリンダ制御バルブV1の駆動信号(の電圧レベル)が大きいときほど起伏シリンダ制御バルブV1のスプールの駆動量は大きく、起伏シリンダ22に供給される作動油の流量(単位時間当たりの流量)が多くなって起伏シリンダ22の作動速度が大きくなるという関係を利用したものである。このため上記図15におけるΔFを起伏シリンダ制御バルブの駆動信号或いは起伏シリンダの作動制御信号との関係でも規定することができ、図15の横軸を「起伏シリンダ制御バルブの駆動信号」或いは「起伏シリンダの作動制御信号」としてもグラフの形状は図15と同傾向となる。そして、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、その検知したブーム30の倒伏作動速度に対応する基準線Sのデータを記憶部64から呼び出してノンストップ作動制御に使用する。この場合、コントローラ60のバルブ作動制御部61がブーム30の倒伏作動速度を検出するブーム倒伏作動速度検出手段として機能することになる。
また、ブーム30の倒伏作動速度は、起伏角度検出器81により検出されるブーム30の起伏角度の時間変化率(dθ/dt)やブーム30の作業半径Rの時間変化率(dR/dt)或いはブーム30の先端部高さHの時間変化率(dH/dt)により求めることができるほか、ブーム30を起伏作動させる起伏シリンダ22の出力や作動速度、或いはブーム30の起伏作動指令を行うブーム操作レバー51の操作量等によっても求めることができるので、ΔFはこれらのいずれかとの関係で規定することもできる。このとき図15の横軸を「ブームの起伏角度の時間変化率」、「ブームの作業半径の時間変化率」、「ブーム先端部高さの時間変化率」、「起伏シリンダの出力」、「起伏シリンダの作動速度」或いは「ブーム操作レバーの操作量」とすれば、グラフの形状は図15と同傾向となる。
また、コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、ブーム30の収縮作動を開始した後は、ブーム30の起伏角度が小さくなるに応じてブーム30の収縮作動速度を増大させるように変化させるが、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、ブーム30の先端部が基準線Sに達した後トレース線TRに至るまでの間におけるブームの収縮作動速度の増大変化量は、長さ検出器82により検出されるブーム30の長さに応じて(ブーム30の長さが大きいときほど大きくなるように)設定される。ブーム30の先端部の周速度は、(ブーム30の倒伏作動速度が同じであれば、)ブーム30の長さが大きいときほど大きくなるが、このブーム30の長さに合わせてブーム30の収縮作動速度の増大変化量を大きくすることにより、ブーム30の先端部を滑らかにトレース線TRに乗せることができる。
また、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、ブーム30の先端部が基準線Sに達した後トレース線TRに至るまでの間におけるブーム30の収縮作動速度の増大変化量は、上述のようにして検知されるブーム30の倒伏作動速度に応じて(ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど大きくなるように)設定される。ブーム30の先端部の周速度は、(ブーム30の長さが同じであれば、)ブーム30の倒伏作動速度が大きいときほど大きくなるが、このブーム30の倒伏作動速度に合わせてブーム30の収縮作動速度の増大変化量を大きくすることにより、ブーム30の先端部を滑らかにトレース線TRに乗せることができるようになる。なお、このときのブーム30の倒伏作動速度も、起伏角度検出器81により検出されるブーム30の起伏角度の時間変化率(dθ/dt)やブーム30の作業半径Rの時間変化率(dR/dt)或いはブーム30の先端部高さHの時間変化率(dH/dt)により求めることができるほか、ブーム30を起伏作動させる起伏シリンダ22の出力や作動速度、或いはブーム30の起伏作動指令を行うブーム操作レバー51の操作量等によっても求めることができる。
また、本実施形態に係るノンストップ作動制御装置では、ブーム30の先端部がトレース線TRに達する前にブーム30の倒伏作動速度を低下させるようになっている。具体的には、ブーム30の収縮作動を開始した直後など、ブーム30の収縮作動速度がまだ小さい間において、ブーム30の倒伏作動速度を低下させる。これは、ブーム30の倒伏作動速度が比較的大きいとき、その倒伏作動速度を保ったままではブーム30の収縮速度を限界まで大きくしてもブーム30の先端部を目的の軌道に乗せることができない場合があるからである。このような場合には、ブーム30の倒伏作動速度をブーム操作レバー51による指令値(ブーム操作レバー51の傾動量に相当)よりも小さくし、ブーム30の倒伏作動速度を低下させて、ブーム30の収縮作動速度とのバランスをとることにより、ブーム30の先端部を滑らかにトレース線TR上に乗せることができるようになる。ここで、ブーム30の倒伏作動速度の調整は、起伏シリンダ22の出力、作動速度等を調整することにより行う。なお、ブーム30の倒伏作動速度を低下させ始めるタイミングは、ブーム30の位置やブーム30の倒伏作動速度などに応じ、ブーム30の先端部がトレース線TRに滑らかに乗り移るように、任意に設定することができる。
これまで述べたノンストップ作動制御において、ブーム30の倒伏作動に併せて行うブーム30の収縮作動出力の指令値(伸縮シリンダ31の収縮作動信号)は、例えば図16に示すようなマップに従って、ブーム30の先端部の位置(ブーム30の作業半径Rとブーム30の先端部高さHとの組み合わせ)に応じて決定してもよい。図16に示すマップは、ブーム30の作業半径Rとブーム30の先端部高さHによる格子状に区切られた領域におけるブーム30の収縮作動出力の指令値であり、コントローラ60の記憶部64に記憶されている。コントローラ60のノンストップ作動制御部65は、ブーム30の倒伏作動に伴って変化するブーム30の先端部の位置ごとにそのマップからブーム30の収縮作動出力の指令値を読み出し、これにそのときのブーム30の倒伏作動速度による補正を行うように制御するものである。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示されたものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、トレース線TRは直線であったが、トレース線TRは必ずしも直線である必要はない。また、図3ではトレース線TRは規制線L5とほぼ平行に設定されていたが、規制線L5上に設けることもできる。また、必ずしも規制線L5と平行でなければならないわけではなく、更には(水平方向の)一定の幅を持った領域であってもよい。
また、上述の実施形態では、本発明が適用される対象は走行体がクローラ式である高所作業車であったが、走行体は必ずしもクローラ式でなくてもよい。また、本発明が適用される対象は必ずしも高所作業車でなくてもよく、走行体に起伏及び伸縮動自在に設けたブームの先端部に作業機を有して構成されるブーム作業車であれば他のブーム作業車(例えばクレーン車や穴掘り建柱車など)であってもよい。
本発明の一実施形態に係るノンストップ作動制御装置が適用されたクローラ式高所作業車における油圧アクチュエータの駆動制御系統図である。 上記クローラ式高所作業車の側面図である。 上記クローラ式高所作業車に設定される許容作業範囲の一例を示す図である。 ブームの起伏角度θ、ブームの長さL、ブームの作業半径R、ブームの先端部高さH及びブームの先端部のトレース線から内側に離れる距離ΔRの関係を説明するための図である。 ΔRをθとの関係で表したグラフである。 ΔRをLとの関係で表したグラフである。 ΔRをRとの関係で表したグラフである。 ΔRをHとの関係で表したグラフである。 (A)はΔRをdR/dtとの関係で表したグラフであり、(B)は(A)の関係が成り立つ根拠を説明するための図である。 (A)はΔRをdH/dtとの関係で表したグラフであり、(B)は(A)の関係が成り立つ根拠を説明するための図である。 ブームの収縮作動を開始した後におけるブームの先端部の移動軌跡の一例を示す図であり、図3中に示す領域XIの拡大図である。 ノンストップ作動制御を受けた場合におけるブームの収縮速度の変化を示すグラフである。 倒伏作動をしているブームの先端部が描く軌道mがトレース線TRと交わるときの交叉角αが、ブームの長さが小さいときほど小さくなる様子を示す図である。 基準線Sのトレース線TRから内側に離れる距離が、ブームの倒伏作動速度が大きいときほど大きく設定される様子を示す図である。 ブームの倒伏作動速度とΔFとの関係を表したグラフである。 ブームの先端部の位置に応じたブームの収縮作動出力の指令値を示すマップの一例である。
符号の説明
1 高所作業車(ブーム作業車)
10 走行体
30 ブーム
40 作業台(作業機)
51 ブーム操作レバー
60 コントローラ
61 バルブ作動制御部
62 位置算出部
63 規制制御部
64 記憶部(記憶手段)
65 ノンストップ作動制御部(ノンストップ作動制御手段)
80 位置検出手段
L5 規制線
TR トレース線
S 基準線

Claims (6)

  1. 走行体と、
    前記走行体に起伏及び伸縮動自在に設けられ、先端部に作業機を有したブームと、
    前記ブームの先端部の移動が禁止される領域との境界線である規制線上に若しくは前記規制線よりも内側の領域内に設けられたトレース線及び前記トレース線よりも内側の領域内に上下方向に延びて設けられた基準線のデータを記憶した記憶手段と、
    前記ブームの倒伏作動中、前記ブームの先端部が前記トレース線に達しようとしていると判断したとき、前記ブームの倒伏作動に併せて前記ブームの収縮作動を行わせることにより、前記ブームの先端部を前記トレース線に沿って下降移動させるノンストップ作動制御手段とを備え、
    前記ノンストップ作動制御手段は、倒伏作動している前記ブームの先端部が前記基準線上に達したときから前記ブームの収縮作動を開始することを特徴とするブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
  2. 前記基準線が前記トレース線から内側に離れる距離は、高さ方向距離が大きくなるに従って大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
  3. 前記基準線は前記ブームの倒伏作動速度が大きいときほど前記トレース線から内側に離れる距離が大きくなる位置に設定されることを特徴とする請求項1又は2記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
  4. 前記ブームの先端部が前記基準線に達した後前記トレース線に至るまでの間における前記ブームの収縮作動速度の増大変化量は、前記ブームの長さに応じて設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
  5. 前記ブームの先端部が前記基準線に達した後前記トレース線に至るまでの間における前記ブームの収縮作動速度の増大変化量は、前記ブームの倒伏作動速度に応じて設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
  6. 前記ブームの先端部が前記トレース線に達する前に前記ブームの倒伏作動速度を低下させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のブーム作業車のノンストップ作動制御装置。
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