JP2000318293A - 黒色再現性に優れたブラックインク組成物を用いた記録方法 - Google Patents

黒色再現性に優れたブラックインク組成物を用いた記録方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 黒色再現性に優れたブラックインク組成物を
用いた記録方法の提供 【解決手段】 ごく薄い濃度のカーボンブラックを含む
ブラックインク組成物による印刷物を注意深く観察した
ところ、わずかに黄色みがかった黒色が観察された。こ
のわずかな黄色を打ち消すために、利用するカーボンブ
ラックに、マゼンタ有機顔料およびシアン有機顔料を添
加した第一のブラックインク組成物と、第一のブラック
インク組成物より黒色濃度が高い第二のブラックインク
組成物とを組み合わせて記録媒体に印刷をする記録方法
によって、印刷画像品質の大きな改善が得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、第一のブラックインク組成物と、第二のブラ
ックインク組成物とを組み合わせて記録媒体に印刷を行
う記録方法、特にインクジェット記録方法に関するもの
である。
【0002】背景技術 インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔
させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法
である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高
品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有す
る。
【0003】インクジェット記録に使用されるインク組
成物は、水を主成分とし、これに着色成分および目詰ま
り防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したもの
が一般的である。インクジェット記録用インク組成物に
用いられる着色剤としては、色剤の彩度の高さ、利用で
きる色剤の種類の豊富さ、水への溶解性などの理由から
水溶性染料が数多く使用されている。しかし、一方で染
料は本質的に水溶性であることから、耐水性等の諸特性
に劣ることがある。
【0004】顔料は、染料に比べて耐水性に優れてお
り、近年、耐水性を改善する目的でインクジェット記録
用インク組成物の着色剤として利用が検討されている。
ブラックインク組成物にあっては、着色剤としてカーボ
ンブラックが用いられるのが一般的である。
【0005】
【発明の概要】本発明者らが、ごく薄い濃度のカーボン
ブラックを含むブラックインク組成物による印刷物を注
意深く観察したところ、わずかに黄色みがかった黒色が
観察された。純粋なブラックは、無彩色(a*=0、b*
=0)であるが、それからずれることが観察された。
【0006】本発明者は、上記したごくわずかな彩色を
改善することで印刷物の印字品質を予想以上に改善する
ことができること、さらに、彩色の改善にあたり、染料
ではなく、有機顔料の添加によることが望ましいとの知
見を得た。
【0007】さらに本発明者らの得た知見によれば、上
記の有機顔料と組み合わせたカーボンブラックを含むブ
ラックインク組成物と、より黒色濃度の高いブラックイ
ンク組成物とを組み合わせて印字することにより良好な
黒色画像が実現できるとの知見を得た。本発明は、これ
ら知見に基づくものである。
【0008】従って、本発明は、黒色再現性に優れた、
第一のブラックインク組成物と第二のブラックインク組
成物とを用いた記録方法の提供をその目的としている。
【0009】本発明による記録方法は、第一のブラック
インク組成物と、第二のブラックインク組成物とを組み
合わせて記録媒体に印刷を行なう記録方法であって、第
二のブラックインク組成物がカーボンブラックと、マゼ
ンタ有機顔料と、シアン有機顔料とを少なくとも含んで
なるインク組成物であり、かつ、第一のブラックンク組
成物が第二のブラックインク組成物よりも黒色濃度の高
いものである記録方法である。
【0010】
【発明の具体的説明】
【0011】記録方法 本発明による記録方法は、第一のブラックインク組成物
と、第二のブラックインク組成物とを組み合わせて印刷
を行う記録方法によって、良好な黒色画像を実現するこ
とができる。インク組成物を用いた記録方法とは、例え
ば、インクジェット記録方法、ペン等による筆記具によ
る記録方法、その他各種の印刷方法が挙げられる。特に
本発明による記録方法は、インクジェット記録方法を好
ましくは用いる。
【0012】本発明の好ましい態様によれば、第二のブ
ラックインク組成物により低濃度ブラック部分を印刷
し、第一のブラックインク組成物を用いて高濃度ブラッ
ク部分を印刷する。より好ましくは、第一のブラックイ
ンク組成物を60%duty未満で印刷したときのブラック
濃度に対応する部分を低濃度ブラック部分として、第二
のブラックインク組成物により印刷を行い、一方、第一
のブラックインク組成物を100%duty以下60%duty
超過で印刷したときのブラック濃度に対応する部分を高
濃度ブラック部分として、第一のブラックインク組成物
により印刷を行う。
【0013】また、本発明の別の好ましい態様によれ
ば、第二のブラックインク組成物により低濃度ブラック
部分を印刷し、第一のブラックインク組成物を用いて高
濃度ブラック部分を印刷し、そしてさらに中濃度ブラッ
ク部分を、第二のブラックインク組成物と、第一のブラ
ックインク組成物とをともに用いて印刷する。より好ま
しくは、第一のブラックインク組成物を50%duty未満
で印刷したときのブラック濃度に対応する部分を低濃度
ブラック部分として、第二のブラックインク組成物によ
り印刷を行い、第一のブラックインク組成物を100%
duty以下70%duty超過で印刷したときのブラック濃度
に対応する部分を高濃度ブラック部分として、第一のブ
ラックインク組成物により印刷を行い、そしてさらに第
一のブラックインク組成物を70%duty以下50%duty
超過で印刷したときのブラック濃度に対応する部分を中
濃度ブラック部分として、第二のブラックインク組成物
と、第一のブラックインク組成物とをともに用いて印刷
する。
【0014】本明細書において使用される単位「duty」
は、下記の式(I)で定義され、算出される値Dの単位
を示すものである。 D={実印字ドット数/(縦解像度×横解像度)}×100 (duty) (I)
【0015】第一のブラックインク組成物 本明細書においては、第一のブラックインク組成物は第
二のブラックインク組成物よりも黒色濃度の高いものを
意味するものである。また、黒色濃度が高いとは、明度
が黒により近いことを意味する。第一のブラックインク
組成物が、下記に説明する第二のブラックインク組成物
と同様にカーボンブラックを着色剤として含む場合に
は、黒色濃度は着色剤の濃度が高いこととほぼ同義であ
る。
【0016】従って、本発明の好ましい態様によれば、
第一のブラックインク組成物の着色剤がカーボンブラッ
クである場合、その添加量は1.5〜5.0重量%程度
が好ましくは2.0〜4.5重量%程度である。
【0017】上記態様において、第一のブラックインク
組成物の組成は、マゼンタ有機顔料およびシアン有機顔
料を含まない以外は、第二のブラックインク組成物と同
様であってよい。また、着色剤としては、第二のブラッ
クインク組成物よりも黒色濃度が高い限り、カーボンブ
ラック以外の染料または顔料のいずれであってもよい。
【0018】染料としては、直接染料、酸性染料、食用
染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、
可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェッ
ト記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0019】顔料としては、無機顔料または有機顔料を
使用することができる。無機顔料としては、酸化チタン
および酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サ
ーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボン
ブラックを使用することができる。また、有機顔料とし
ては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合ア
ゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料
(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノ
ン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオ
キサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔
料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、
塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニ
トロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用
できる。第二のブラックインク組成物 本発明による第二のブラックインク組成物は、カーボン
ブラックと、マゼンタ有機顔料と、シアン有機顔料とを
少なくとも含んでなる。
【0020】カーボンブラックとしては、コンタクト
法、ファーネスト法、サーマル法などの公知の方法によ
って製造されたカーボンブラックを利用することができ
る。
【0021】本発明においてマゼンタ有機顔料およびシ
アン有機顔料は、利用するカーボンブラックが有するわ
ずかな彩色を打ち消すために添加される。上記したよう
に、ごくわずかな彩色ではあるが、これを実質的に無く
すことで印刷画像品質の大きな改善が得られる。さら
に、このわずかな彩色は、カーボンブラックの濃度が低
い場合に顕著に観察される。しかし、本発明によればカ
ーボンブラック濃度の低いインク組成物にあっても良好
な黒色、さらには良好な印刷画像が形成できる。
【0022】本発明において用いられるマゼンタ有機顔
料およびシアン有機顔料は、上記彩色を実質的に無くす
ことが出来るものであれば特に限定されないが、本発明
の好ましい態様によれば、マゼンタ有機顔料としてC.
I.ピグメントレッド122を、またシアン有機顔料と
してC.I.ピグメントブルー15:3を用いることが
好ましい。これら二つの有機顔料の利用、とりわけ同時
の利用が、最も好ましい。
【0023】カーボンブラック、マゼンタ有機顔料、お
よびシアン有機顔料の添加量は適宜決定されてよい。本
発明の好ましい態様によれば、カーボンブラックの添加
量は0.5〜5.0重量%程度が好ましく、より好まし
くは0.5〜2.0重量%程度である。さらに、マゼン
タ有機顔料の添加量は、0.01〜1.5重量%程度が
好ましく、より好ましくは0.2〜1重量%程度であ
り、シアン有機顔料の添加量は、0.01〜1.5重量
%程度が好ましく、より好ましくは0.2〜1重量%程
度である。さらに、本発明の好ましい態様によれば、カ
ーボンブラックと、C.I.ピグメントレッド122
と、C.I.ピグメントブルー15:3とを、1:0.
01〜0.5:0.01〜0.5の重量比で含んでなる
のが好ましい。
【0024】本発明において、カーボンブラック、マゼ
ンタ有機顔料、およびシアン有機顔料は、分散剤または
界面活性剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散
液としてインクに添加されるのが好ましい。顔料微粒子
は、その平均粒径が200nm以下であるのが好まし
く、より好ましくは150nm以下である。
【0025】また、本発明の好ましい態様によれば、顔
料は、顔料を分散剤で溶媒中に分散させて得られた顔料
分散液としてインク組成物に添加されるのが好ましい。
好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調製
するのに用いられている公知の分散剤、例えば高分子分
散剤、界面活性剤を利用することができる。
【0026】高分子分散剤の好ましい例としては天然高
分子が挙げられ、その具体例としては、にかわ、ゼラチ
ン、ガゼイン、アルブミンなどのタンパク質類;アラビ
アゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類;サボニンな
どのグルコシド類;アルギン酸およびアルギン酸プロピ
レングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールア
ミン、アルギン酸アンモニウムなどのアルギン酸誘導
体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチル
セルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0027】さらに高分子分散剤の好ましい例として合
成高分子が挙げられ、ポリビニルアルコール類;ポリビ
ニルピロリドン類;ポリアクリル酸、アクリル酸−アク
リロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロ
ニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共
重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重
合体などのアクリル系樹脂;スチレン−アクリル酸共重
合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メ
タクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、ス
チレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、ス
チレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸
アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸
樹脂;スチレン−マレイン酸;スチレン−無水マレイン
酸;ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体;ビニルナ
フタレン−マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−エチレン
共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合
体、酢酸ビニルマレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニ
ルクロトン酸共重合体、酢酸ビニルアクリル酸共重合体
などの酢酸ビニル系共重合体およびこれらの塩が挙げら
れる。これらのなかで、特に疎水性基を持つモノマーと
親水性基を持つモノマーとの共重合体、および、疎水性
基と親水性基とを合わせ持ったモノマーからなる重合体
が好ましい。上記の塩としては、ジエチルアミン、アン
モニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルア
ミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチル
アミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホ
リンなどとの塩が挙げられる。これらの共重合体は、重
量平均分子量が3,000〜30,000であるのが好
ましく、より好ましくは5,000〜15,000であ
る。
【0028】また、分散剤として好ましい界面活性剤の
例としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸
塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルス
ルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥
珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステ
ル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン
界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、ス
ルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性
剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエ
ステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエス
テル類などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0029】これらの分散剤の添加量は、インク組成物
中の顔料の総量1に対して0.1〜1重量%の範囲が好
ましく、より好ましくは0.3〜1重量%の範囲であ
る。
【0030】本発明によるインク組成物は、水と、水溶
性有機溶媒との混合物を基本溶媒として形成されるのが
好ましい。
【0031】本発明において添加される水溶性有機溶媒
は、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例
としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアル
コール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、is
o−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。
特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、イ
ンク組成物の乾燥時間を短くする効果がある。
【0032】また、本発明の好ましい態様によれば、本
発明によるインク組成物は、ノズルにおける目詰まりを
防止するため、さらに高沸点有機溶媒を含んでなること
が好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリ
コール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコ
ール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコ
ール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレ
ングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール
のアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メ
チル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0033】低沸点有機溶剤の添加量はインク組成物の
0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5
〜6重量%の範囲である。また、高沸点有機溶媒の添加
量は、インク組成物の0.5〜40重量%が好ましく、
より好ましくは2〜20重量%の範囲である。
【0034】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインク組成物は、界面活性剤を含むことができる。
好ましい界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性
剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラ
ウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエー
テルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性
界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドな
ど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合し
て用いることができる。また、アセチレングリコール
(オレフィンY、ならびにサーフィノール82、10
4、440、465、485、およびTG(いずれもAi
r Products and Chemicals Inc. 製))を用いることも
可能である。
【0035】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインク組成物は糖を含有してもよい。糖類の例とし
ては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖
類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコ
ース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロー
ス、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシ
シール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラク
トース、スクロース、トレハロース、マルトトリオー
ス、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を
意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロ
ースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いる
こととする。
【0036】また、これらの糖類の誘導体としては、前
記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式H
OCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5
の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルド
ン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげら
れる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマ
ルチトール、ソルビットなどがあげられる。
【0037】これら糖類の含有量は、インク組成物の
0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の
範囲が適当である。
【0038】その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐
剤、防かび剤等を添加しても良い。
【0039】インクセット 本発明の別の態様によれば、前記第一のブラックインク
組成物と第二のブラックインク組成物とを少なくとも含
んでなるインクセットが提供される。このインクセット
は、上記した本発明の記録方法に用いることができる。
【0040】
【実施例】インクの調製 下記の組成のインク組成物を、次のように調製した。ま
ず、顔料と分散剤樹脂とを混合し、サンドミル(安川製
作所製)中で、ガラスビーズ(直径1.7mm、混合物の
1.5倍量(重量))とともに2時間分散した。その
後、ガラスビーズを取り除き、他の添加物を加え、常温
で20分間攪拌した。5μmのメンフランフィルターで
ろ過し、下記のブラックインクセット1〜3の組成物を
調整した。なお、以下で%は重量%を表す。
【0041】 ブラックインクセット1 高濃度ブラックインク組成物1 カーボンブラック 3.0% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 1.5%(固形分) スクロール 0.7% グリセリン 13% ジエチレングリコール 5% サーフィノール465 1% 純水 残量
【0042】 低濃度ブラックインク組成物1 カーボンブラック 1.1% C.I.ピグメントブルー15:3 0.2% C.I.ピグメントレッド122 0.5% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 0.5%(固形分) グリセリン 15% エチレングリコール 5% トリエタノールアミン 0.7% サーフィノール465 1% ジエチレングリコールモノブチルエーテル 8% 純水 残量
【0043】 ブラックインクセット2 高濃度ブラックインク組成物2 カーボンブラック 3.5% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 1.5%(固形分) グリセリン 10% エチレングリコール 5% トリエタノールアミン 0.8% サーフィノール465 1% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3% 純水 残量
【0044】 低濃度ブラックインク組成物2 カーボンブラック 1.2% C.I.ピグメントブルー15:3 0.3% C.I.ピグメントレッド122 0.4% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 0.5%(固形分) グリセリン 15% エチレングリコール 7% トリエタノールアミン 0.7% サーフィノール465 0.8% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5% 純水 残量
【0045】 ブラックインクセット3 高濃度ブラックインク組成物3 カーボンブラック 4.0% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 1.5%(固形分) グリセリン 11% 2−ピロリドン 2% トリエタノールアミン 0.5% サーフィノール465 0.9% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8% 純水 残量
【0046】 低濃度ブラックインク組成物3 カーボンブラック 1.5% C.I.ピグメントブルー15:3 0.6% C.I.ピグメントレッド122 0.3% 分散剤(スチレン‐アクリル酸共重合体) 0.8%(固形分) グリセリン 18% ジエチレングリコール 7% トリエタノールアミン 0.7% サーフィノール465 1% 純水 残量
【0047】印字評価試験1 インクジェットプリンタMJ−750C(セイコーエプ
ソン株式会社製)を用いて、上で調製したインク組成物
により、インクジェット専用記録媒体(セイコーエプソ
ン株式会社製、専用光沢フィルム)にグレースケールパ
ターンを印刷した。その際、高濃度ブラックインク組成
物を100%以上70%duty超過で印刷したとき、70
%duty以下50%duty超過で印刷したとき、そして50
%duty以下で印刷したときのブラック濃度に対応する部
分を、それぞれ高濃度ブランクインク組成物単独で、高
濃度ブランクインク組成物と低濃度ブラックインク組成
物とをともに、そして低濃度ブラックインク組成物単独
で印刷を行った。1ドット当たりの吐出インク重量は
0.040μgとし、解像度は360dpi×360d
piとした。
【0048】得られたグレースケールパターンにおける
ドットの視認性を目視により下記の基準で評価した。 評価A:いかなるduty部においてもドットの視認は不可
能である。 評価B:低duty部(50%duty以下)において、わずか
にドットが確認できる。 評価C:0〜50duty部において、ドットが確認でき
る。
【0049】印字評価試験2 印字評価試験1で得られたグレースケールパターンの3
0%dutyに相当する部分について評価した。得られた画
像の色相をMacbeth CE−7000分光光度計
(Macbeth製)を用いて、CIEで規定されてい
る色差表示法のL***表色系の座標を求め、下記の
式で定義される彩度C* の値を基準に画像を評価した。 C*=((a*)2+(b*)2)1/2 基準 評価A:C*<3 評価B:C*<7 評価NG:C*≧7
【0050】以上の結果は下記の表1に示される通りで
あった。 第 1 表 評価試験1 評価試験2 ブラックインクセット1 A A ブラックインクセット2 A Aブラックインクセット3 A A

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一のブラックインク組成物と、第二のブ
    ラックインク組成物とを組み合わせて記録媒体に印刷を
    行う記録方法であって、 第二のブラックインク組成物がカーボンブラックと、マ
    ゼンタ有機顔料と、およびシアン有機顔料とを少なくと
    も含んでなるインク組成物であり、かつ、 第一のブラックインク組成物が第二のブラックインク組
    成物よりも黒色濃度の高いものである、記録方法。
  2. 【請求項2】前記記録方法がインク組成物の液滴を吐出
    させて該液滴を記録媒体に付着させることにより印刷を
    行うインクジェット記録方法である、請求項1に記載の
    記録方法。
  3. 【請求項3】前記マゼンタ有機顔料がC.I.ピグメン
    トレッド122である、請求項1または2に記載の記録
    方法。
  4. 【請求項4】前記シアン有機顔料がC.I.ピグメント
    ブルー15:3である、請求項1〜3のいずれか一項に
    記載の記録方法。
  5. 【請求項5】前記カーボンブラックと、前記C.I.ピ
    グメントレッド122と、前記C.I.ピグメントブル
    ー15:3とを、1:0.01〜0.5:0.01〜
    0.5の重量比で含んでなる、請求項1〜4のいずれか
    一項に記載の記録方法。
  6. 【請求項6】前記第二のブラックインク組成物がカーボ
    ンブラックを0.5〜5重量%で含んでなる、請求項1
    〜5のいずれか一項に記載の記録方法。
  7. 【請求項7】前記第二のブラックインク組成物により低
    濃度ブラック部分を印刷し、前記第二のブラックインク
    組成物を用いて高濃度ブラック部分を印刷する、請求項
    1〜6のいずれか一項に記載の記録方法。
  8. 【請求項8】前記第一のブラックインク組成物を60%
    duty未満で印刷したときのブラック濃度に対応する部分
    を低濃度ブラック部分として、前記第二のブラックイン
    ク組成物により印刷を行い、 前記第一のブラックインク組成物を100%duty以下6
    0%duty超過で印刷したときのブラック濃度に対応する
    部分を高濃度ブラック部分として、前記第一のブラック
    インク組成物により印刷を行う、請求項7に記載の記録
    方法。
  9. 【請求項9】中濃度ブラック部分を、前記第二のブラッ
    クインク組成物と、前記第一のブラックインク組成物と
    をともに用いて印刷する、請求項8に記載の記録方法。
  10. 【請求項10】前記第一のブラックインク組成物を50
    %duty未満で印刷したときのブラック濃度に対応する部
    分を低濃度ブラック部分として、前記第二のブラックイ
    ンク組成物により印刷を行い、 前記第一のブラックインク組成物を100%duty以下7
    0%duty超過で印刷したときのブラック濃度に対応する
    部分を高濃度ブラック部分として、前記第一のブラック
    インク組成物により印刷を行い、 前記第一のブラックインク組成物を70%duty以下50
    %duty超過で印刷したときのブラック濃度に対応する部
    分を中濃度ブラック部分として、前記第二のブラックイ
    ンク組成物と、前記第一のブラックインク組成物とをと
    もに用いて印刷する、請求項9に記載の記録方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    記録方法によって印刷された、記録物。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    記録方法に用いられるインクセットであって、 インクセットが第一のブラックインク組成物と、第二の
    ブラックインク組成物とを少なくとも含んでなり 第二のブラックインク組成物がカーボンブラックと、マ
    ゼンタ有機顔料と、およびシアン有機顔料とを少なくと
    も含んでなるインク組成物であり、かつ、 第一のブラックインク組成物が第二のブラックインク組
    成物よりも黒色濃度の高いものである、インクセット。
  13. 【請求項13】前記マゼンタ有機顔料がC.I.ピグメ
    ントレッド122である、請求項12に記載のインクセ
    ット。
  14. 【請求項14】前記シアン有機顔料がC.I.ピグメン
    トブルー15:3である、請求項12または13に記載
    のインクセット。
  15. 【請求項15】前記カーボンブラックと、前記C.I.
    ピグメントレッド122と、前記C.I.ピグメントブ
    ルー15:3とを、1:0.01〜0.5:0.01〜
    0.5の重量比で含んでなる、請求項12〜14のいず
    れか一項に記載のインクセット。
  16. 【請求項16】前記第二のブラックインク組成物がカー
    ボンブラックを0.5〜5重量%で含んでなる、請求項
    12〜15のいずれか一項に記載のインクセット。
  17. 【請求項17】請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    記録方法において、第二のブラックインク組成物として
    用いるインク組成物であって、 カーボンブラックと、マゼンタ有機顔料と、およびシア
    ン有機顔料とを少なくとも含んでなり、かつ、 第一のブラックインク組成物よりも黒色濃度が低いもの
    であるインク組成物。
  18. 【請求項18】前記マゼンタ有機顔料がC.I.ピグメ
    ントレッド122である、請求項17に記載のインク組
    成物。
  19. 【請求項19】前記シアン有機顔料がC.I.ピグメン
    トブルー15:3である、請求項17または18に記載
    のインク組成物。
  20. 【請求項20】前記カーボンブラックと、前記C.I.
    ピグメントレッド122と、前記C.I.ピグメントブ
    ルー15:3とを、1:0.01〜0.5:0.01〜
    0.5の重量比で含んでなる、請求項17〜19のいず
    れか一項に記載のインク組成物。
  21. 【請求項21】前記第二のブラックインク組成物がカー
    ボンブラックを0.5〜5.0重量%で含んでなる、請
    求項17〜20のいずれか一項に記載のインク組成物。
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