JP2000318103A - ポリプロピレン系成形物 - Google Patents

ポリプロピレン系成形物

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JP2000318103A
JP2000318103A JP11133693A JP13369399A JP2000318103A JP 2000318103 A JP2000318103 A JP 2000318103A JP 11133693 A JP11133693 A JP 11133693A JP 13369399 A JP13369399 A JP 13369399A JP 2000318103 A JP2000318103 A JP 2000318103A
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polypropylene
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resin
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Takashi Kuroda
高司 黒田
Kazuhiro Yamada
和宏 山田
Takahiro Hattori
隆宏 服部
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Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】UV硬化型オフセット印刷インキの密着性に優
れた印刷用ポリプロピレン系成形物を提供する。 【解決手段】結晶性ポリプロピレン樹脂を含有する組成
物から構成されたフィルムの表面に、側鎖に4級アンモ
ニウム塩基およびカルボキシル基を有する重合体にアク
リルオリゴマーを配合した塗料組成物の塗膜を形成して
なるポリプロピレン系成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷に適
したポリプロピレン系成形物に関し、詳しくは結晶性ポ
リプロピレン樹脂を基材とする、帯電防止性に優れ、U
V硬化型オフセット印刷インキの密着性に優れたオフセ
ット印刷用ポリプロピレン系成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリプロピレン系樹脂シートや
ポリプロピレン系樹脂成形物でオフセット印刷が広く行
われている。しかし、これらのシートや成形物は静電防
止性能が不十分で静電気による給排紙トラブルが発生し
やすいという欠点があった。この帯電防止性を改良する
方法としては、オフセット印刷に用いられるシートや成
形物の材料となるポリプロピレン系樹脂にソルビタンモ
ノオレート、グリセリンモノステアレートなどの低分子
量帯電防止剤を練り込む方法もしくはシートや成形物の
表面にポリ(オキシアルキレン)誘導体など低分子量の
帯電防止剤を塗布・乾燥する方法が行われてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の帯電防
止性の改良方法の中で、帯電防止剤を練り込む方法はシ
ートや成形物の表面にブリードした帯電防止剤がオフセ
ット印刷インキの転写を阻害し印刷斑が発生するという
欠点があった。また、低分子量の帯電防止剤を塗布する
方法も成形物の表面から前記帯電防止剤が失われやすく
安定した効果が期待できなかった。本発明は、帯電防止
性に優れ、かつ、オフセット印刷インキの転移斑が発生
せず、UVオフセットインキの密着に優れたポリプロピ
レン系成形物を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、結晶性ポリプロピレン樹脂を含有する樹脂組成
物から構成された基材フィルムの少なくとも片面に、側
鎖に4級アンモニウム塩基およびカルボキシル基を有す
る重合体に対してアクリルオリゴマーを配合した塗料組
成物から構成された塗膜を形成させてなるポリプロピレ
ン系成形物が前記課題を解決することを見出し本発明を
完成した。本発明は、以下の構成を有する。 (1)結晶性ポリプロピレン樹脂を含有する樹脂組成物
から構成された基材フィルムの少なくとも片面に、側鎖
に4級アンモニウム塩基およびカルボキシル基を有する
重合体100重量部に対してアクリルオリゴマーを5〜
100重量部配合した塗料組成物から構成された塗膜を
形成させてなるポリプロピレン系成形物。 (2)基材フィルムが、結晶性ポリプロピレン樹脂10
0重量部に対して、軟化点(環球法)160〜200℃
のジシクロペンタジエン系石油樹脂および/または無機
充填剤粉末が5〜200重量部配合された樹脂組成物か
らなる未延伸フィルムシートを面積倍率5倍以上に延伸
した空洞含有単層延伸フィルムである前記第1項記載の
ポリプロピレン系成形物。 (3)基材フィルムが、結晶性ポリプロピレン樹脂10
0重量部に対して、軟化点(環球法)160〜200℃
のジシクロペンタジエン系石油樹脂および/または無機
充填剤粉末が5〜200重量部配合された樹脂組成物か
らなるフィルムシートの少なくとも片面に、結晶性ポリ
プロピレン系樹脂からなる表層フィルムを積層した後、
面積倍率5倍以上に延伸した空洞含有積層延伸フィルム
である前記第1項記載のポリプロピレン系成形物。 (4)基材フィルムが、前記第2項記載の空洞含有単層
延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空洞が消
滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られる圧縮
処理済み空洞含有単層延伸フィルムである前記第2項記
載のポリプロピレン系成形物。 (5)基材フィルムが、前記第3項記載の空洞含有積層
延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空洞が消
滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られる圧縮
処理済み空洞含有積層延伸フィルムである前記第3項記
載のポリプロピレン系成形物。 (6)側鎖に4アンモニウム塩基及びカルボキシル基を
有する重合体が、ジメチルアミノエチルアクリレート
(メタクリレートを含む)4級化物、アクリル酸(メタ
クリル酸を含む)、およびアクリル酸エステル(メタク
リル酸エステルを含む)の共重合物(A)と多官能エポ
キシ誘導体(B)との架橋反応生成物である前記第1〜
5項のいずれか1項記載のポリプロピレン系成形物。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を説明
する。本発明のポリプロピレン系成形物において、基材
フィルムを構成する樹脂組成物に用いられる結晶性ポリ
プロピレン樹脂は、プロピレンの結晶性単独重合体、プ
ロピレンとエチレンもしくは炭素数4以上のα−オレフ
ィンから選ばれる1種以上との二元以上の重合体、また
はそれらの混合物である。具体的には、沸騰n−ヘプタ
ン不溶部を70重量%以上、好ましくは80重量%以上
含有する結晶性ポリプロピレン、プロピレン成分を70
重量%以上含有する結晶性エチレン・プロピレン共重合
体、結晶性プロピレン・1−ブテン共重合体、結晶性プ
ロピレン・1−ヘキセン共重合体、結晶性エチレン.プ
ロピレン・1−ブテン共重合体などの結晶融点を有する
プロピレン系共重合体が挙げられる。
【0006】前記の結晶性ポリプロピレン樹脂のメルト
フローレート(JIS K−7210「熱可塑性プラス
チックの流れ試験方法」表1の条件14(試験温度23
0℃、試験荷重21.18N)により測定、以下MFR
という)は、0.5〜20g/10分、好ましくは0.
5〜10g/10分である。
【0007】本発明のポリプロピレン系成形物におい
て、基材フィルムに紙状の外観や隠蔽性が必要とされる
場合、前記基材フィルムは、前記結晶性ポリプロピレン
樹脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜
200℃のジシクロペンタジエン系石油樹脂および/ま
たは無機充填剤粉末が5〜200重量部、好ましくは3
0〜200重量部、さらに好ましくは50〜200重量
部が配合された樹脂組成物から得られた単層未延伸フィ
ルムシートを、もしくは前記単層未延伸フィルムシート
を基層としその少なくとも片面に結晶性ポリプロピレン
系樹脂からなる表層フィルムを積層した積層未延伸フィ
ルムシートを、面積倍率5倍以上に延伸して得られる空
洞(微細なボイド)含有単層延伸フィルムもしくは空洞
含有積層延伸フィルムであることが好ましい。
【0008】前記樹脂組成物において、ジシクロペンタ
ジエン系石油樹脂および/または無機充填剤粉末の配合
量が前記結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対し
て、5重量部未満であると得られる前記空洞含有延伸フ
ィルムの隠蔽性が不十分になり、200重量部を越える
と未延伸フィルムシートを延伸する時に破断が起りやす
く加工性の点で劣る。なお、前記樹脂組成物において、
前記結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対する、
軟化点(環球法)160〜200℃のジシクロペンタジ
エン系石油樹脂の配合量は5〜180重量部が好まし
く、無機充填剤粉末の配合量は5〜170重量部が好ま
しい。また、空洞含有積層延伸フィルムは、基材フィル
ムに光沢が必要な場合などに好適であり、表層フィルム
に用いられる結晶性ポリプロピレン系樹脂は透明性の良
好なものが好適である。
【0009】前記の軟化点(環球法)160〜200℃
のジシクロペンタジエン系石油樹脂としては、石油ナフ
サなどのスチームクラッキングなどから得られるシクロ
ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、それらのアルキ
ル置換体およびオリゴマーならびにそれらの混合物から
選ばれる1種以上(以下、シクロペンタジエン系成分と
いう)を主成分とする留分を重合させて得られる石油樹
脂(HR)の中で、シクロペンタジエン系成分を50重
量%以上含有し、その軟化点(環球法)が160〜20
0℃の範囲にある高分子で高軟化点の石油樹脂(HSH
R)、ならびに前記石油樹脂(HR)の中でシクロペン
タジエン系成分を50重量%以上含有するものを、バナ
ジウム、ニッケルもしくはコバルトなどの金属またはそ
の酸化物などの触媒を用いて、溶剤の存在下で、温度1
50〜300℃、水素圧10〜150kgf/cm2
条件下で水素化して得られる軟化点(環球法)160〜
200℃、ヨウ素価20以下の水素化ジシクロペンタジ
エン系石油樹脂(HGHR)またはそれらの混合物が挙
げられる。
【0010】前記の無機充填剤粉末としては、平均粒径
が0.01〜20μm、好ましくは0.01〜10μ
m、さらに好ましくは0.1〜5μmの炭酸カルシウ
ム、タルク、酸化チタン、およびシリカなどが挙げられ
るが、コスト面から炭酸カルシウムが有利である。これ
らは単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0011】前記の結晶性ポリプロピレン樹脂を含有す
る樹脂組成物には、必要に応じてポリプロピレンに添加
することが公知の各種添加剤、例えばフェノール系やチ
オエーテル系ないし燐系の加工安定剤・酸化防止剤、ス
テリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、脂肪酸ア
ミドなどの潤滑剤、顔料、発泡剤、添加ポリマーとして
ポリエチレン類やエチレン−プロピレンゴムなどを本発
明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0012】前記の結晶性ポリプロピレン樹脂を含有す
る樹脂組成物は、結晶性ポリプロピレン樹脂および添加
剤を通常のブレンダーまたはミキサーで攪拌混合し調合
することができる。また、一般的な押出機を用いて溶融
混練しペレットにすることもできる。
【0013】本発明において、結晶性ポリプロピレン樹
脂を含有する樹脂組成物から基材フィルムを得る方法、
また、前記の空洞含有単層延伸フィルム用の樹脂組成物
から未延伸単層フィルムシートを得る方法としては、T
ダイ押出成形法やインフレーション押出成形法などの公
知の方法が例示できる。また、空洞含有積層延伸フィル
ム用の樹脂組成物から未延伸の積層フィルムシートを得
る方法としては、ダイス内で溶融樹脂が複層化される共
押出成形法、押出成形された基層フィルムの上にさらに
表層フィルムを重ねる押出ラミネート成形法などの公知
の積層加工方法が用いられる。
【0014】前記の未延伸フィルムシートから延伸フィ
ルムを得るための延伸方法ならびに延伸条件は格別限定
されない。すなわち、一軸延伸でも二軸延伸でもよい
が、好ましくは二軸延伸である。また、公知の一軸もし
くは二軸延伸機のいずれも使用することができる。延伸
条件は使用する延伸機により異なるが、組成物中の石油
樹脂の軟化点以下の温度にし、面積倍率5倍以上に延伸
する。なお、二軸延伸の場合は、面積倍率9倍以上が好
ましい。また、二軸延伸機の場合、同時延伸方式でも逐
次延伸方式でもよい。
【0015】本発明において、基材フィルムである前記
空洞含有単層延伸フィルムもしくは空洞含有積層延伸フ
ィルムに腰の強さが求められる場合には、50〜160
℃の温度で、かつ、空洞が消滅しない圧力で、前記空洞
含有単層延伸フィルムもしくは空洞含有積層延伸フィル
ムを加熱圧縮することにより得られる圧縮処理済み空洞
含有単層延伸フィルムもしくは圧縮処理済み空洞含有積
層延伸フィルムであることが好ましい。
【0016】前記加熱圧縮は、加熱プレスもしくは加熱
圧縮ロールなどを用いておこなうことができる。加熱圧
縮の条件は、前記空洞含有単層延伸フィルムもしくは空
洞含有積層延伸フィルムが50〜160℃になるように
加熱し、さらに加熱圧縮ロールでは、50〜400kg
/cmの線圧で、加熱圧縮前の厚み100に対して50
〜90の厚みまで加熱圧縮する。ただし、加熱し過ぎる
と前記空洞が完全に消滅してしまうので、加熱圧縮温度
が、空洞が消滅する温度より低い温度で加熱圧縮しなけ
ればならない。また、圧力によっても空洞が消滅するこ
とがあるので、温度と圧力を調整しながら、厚み方向の
復元や空洞の消滅が起こらない条件で加熱圧縮を行わな
ければならない。
【0017】本発明のポリプロピレン系成形物におい
て、基材フィルムの少なくとも片面に形成される塗膜
は、側鎖に4級アンモニウム塩基およびカルボキシル基
を有する重合体100重量部に対してアクリルオリゴマ
ーを5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部配
合した塗料組成物から構成される。側鎖に4級アンモニ
ウム塩基およびカルボキシル基を有する共重合体100
重量部に対する前記アクリルオリゴマーの配合量が5重
量部未満であるとUVオフセットインキの密着性の改善
効果がなく、また、100重量部を越えると帯電防止効
果が阻害される。
【0018】前記塗料組成物に用いられるアクリルオリ
ゴマーとしては、ポリエステルアクリレート、エポキシ
アクリルアクリレート、ウレタンアクリルアクリレー
ト、ポリオールアクリレートなどが挙げられるが、これ
らは単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0019】前記の側鎖に4級アンモニウム塩基及びカ
ルボキシル基を有する重合体は、ジアルキル(メチルも
しくはエチル)アミノエチルアクリレート(メタクリレ
ートを含む)4級化物、アクリル酸(メタクリル酸を含
む)、およびアクリル酸エステル(メタクリル酸エステ
ルを含む)の共重合物(A)と多官能エポキシ誘導体
(B)との架橋反応物である。具体的には、架橋性の共
重合物(A)と多官能エポキシ誘導体(B)に、前記エ
ポキシ誘導体(B)の開環反応触媒を添加して反応させ
た架橋反応生成物である。
【0020】前記の共重合物(A)は、ジアルキル(メ
チルもしくはエチル)アミノエチルアクリレート(メタ
クリレートを含む)4級化物(対イオンとしてアニオン
を含む)を直接コモノマーと共重合させる方法、もしく
はジアルキル(メチルもしくはエチル)アミノエチルア
クリレート(メタクリレートを含む)4級化物に代えて
その前駆体であるジアルキル(メチルもしくはエチル)
アミノアクリレート(メタクリレートを含む)とコモノ
マーを共重合させ、得られた共重合体をカチオン化剤で
処理して4級アンモニウム塩基にする方法のいずれかに
よって得ることができる。前記のコモノマーとしては、
アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも1種、及
びアクリル酸エステル(メタクリル酸エステルを含む)
の他、必要に応じて他のコモノマーを用いることもでき
る。
【0021】前記のジアルキル(メチルもしくはエチ
ル)アミノエチルアクリレート(メタクリレートを含
む)4級化物は、ジアルキル(メチルもしくはエチル)
アミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)を
カチオン化剤で4級化したものである。前記のカチオン
化剤としては、塩化メチル、ジメチル硫酸塩などが例示
できる。前記アクリル酸エステル(メタクリル酸エステ
ルを含む)としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートなどがあげられる。また、前記の共重合物
(A)の原料として用いることができる他のモノマーと
しては、スチレン、酢酸ビニル、オレフィンなどのビニ
ル誘導体をあげることができる。
【0022】前記の共重合物(A)は、これらのモノマ
ーを、ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合法もしくは
溶液重合法により重合させて得られる。溶液重合の場合
に用いる溶液としては、イソプロパノールと水の混合物
があげられる。前記の共重合物(A)において、各々の
モノマーの組成比率は特に限定するものではないが、前
記共重合物体全モノマーに対するジアルキル(メチルも
しくはエチル)アミノエチルアクリレート(メタクリレ
ートを含む)4級化物の組成比率は15〜40mol
%、アクリル酸もしくはメタクリル酸の組成比率は3〜
13mol%が好ましい。ジアルキル(メチルもしくは
エチル)アミノエチルアクリレート(メタクリレートを
含む)4級化物の組成比率が15mol%未満では帯電
防止効果が小さく、40mol%を越えると親和性が大
きくなり過ぎて耐水性が劣る。
【0023】前記の多官能エポキシ誘導体(B)として
は、グリセリンジグリシジルエーテルなどの2官能エポ
キシ誘導体やトリメチロールプロパントリグリシジルエ
ーテルなどの3官能エポキシ誘導体等が挙げられる。前
記エポキシ誘導体(B)の開環反応触媒としては、2−
メチルイミダゾールや2−メチルイミダゾールなどのイ
ミダゾール誘導体、およびアミン類などエポキシ開環反
応触媒が挙げられる。塗膜形成に用いる前記エポキシ誘
導体(B)の添加量は前記の共重合物(A)に対して5
〜15重量%が好ましい。開環反応触媒の添加量は前記
エポキシ誘導体(B)に対して3〜10重量%が好まし
い。
【0024】本発明のポリプロピレン系成形物において
は、基材フィルムの少なくとも片面に前記塗料組成物を
塗布して塗膜を形成させるには、塗布後適当な温度で乾
燥・硬化させる必要がある。塗布方法は、格別限定され
ず、加熱・乾燥設備を備えたグラビアコーターなどの公
知の設備と方法を使用することができる。前記塗料組成
物の塗布量は特に限定されないが0.001〜3g/m
2が好ましい。
【0025】本発明のポリプロピレン系成形物において
は、基材フィルムの塗布面に対して前記塗膜が十分に接
着することが必要である。そのため、基材フィルムの塗
布面の濡れ性改良の方法として、コロナ処理、プラズマ
処理、フレーム処理などの公知の処理を行なうことがで
きる。本発明のポリプロピレン系成形物においては、必
要に応じて印刷適性改良のための塗布やラミネート、加
飾のためのエンボスなどの二次加工を施すことができ
る。
【0026】本発明のポリプロピレン系成形物の中で、
基材フィルムとして単層延伸フィルムを用いたものは、
商品包装用に適しており、洋菓子の個包装、おみやげな
どの贈答品の包装などに好適である。また、基材フィル
ムとして積層延伸フィルムを用いたものは、加飾用シー
トに好適である。本発明のポリプロピレン系成形物の中
で、基材フィルムとして圧縮処理済み積層延伸フィルム
を用いたものは、ポスターやパンフレットなどの印刷
物、ラベル、ダイレクトメール、棚札、のれん、袋物、
静止画像記録用紙などの用途に好適である。
【0027】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定される
べきものではない。なお、以下実施例および比較例で用
いた評価方法は下記の通りである。 (1)帯電防止性 フィルムに塗料組成物を塗布後24時間、23℃、湿度
50%の室内に放置した後、表面抵抗率を測定した。表
面抵抗率は絶縁抵抗測定器(アドバンテスト(株)製、
R8340A型)と検出器(安藤電気(株)、SE−1
000型)を用いて、JIS−K−6911「熱硬化性
プラスチック一般試験方法」により測定した。表面抵抗
率が小さいほど帯電防止性が優れる。
【0028】(2)オフセット印刷適性 印刷適性試験器(石川島産業機械(株)製、RI−2
型)を用いて、ポリプロピレン系成形物サンプルの塗料
組成物塗工面にUV硬化型インキ((株)T&KTOK
A製、ベストキュア161藍S)をインキ盛り量0.3
mlにてインキを転色した後、UV照射装置(アイグラ
フィックス(株)製、ECS−301G1型)を用い
て、UVランプ出力160w/cm、ライン速度8.2
m/分の条件でインキを硬化させた。得られた印刷面の
インキの密着性の評価は、ニチバンセロテープ(幅25
mm)を印刷面に貼り合わせ、指にて2回こすり、セロ
テープを引き剥がしてインキの残存割合(面積%)を観
察し、以下の基準で判定した。 ○:95%以上残存(実用性十分) △:75%〜95%未満残存(実用性不満足) ×:75%未満残存(実用性無し)
【0029】実施例1 [基材フィルム用樹脂組成物作成]基材フィルム用樹脂
組成物として、n−ヘプタン不溶部を96重量%含有す
るMFRが2g/10分の結晶性ポリプロピレン粉末1
00重量部に対して、フェノール系酸化防止剤BHTを
0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、
軟化点172℃のジシクロペンタジエン系石油樹脂(以
下、DCPDという)8重量部、および炭酸カルシウム
(平均粒径1.0μm)8重量部をヘンシェルミキサー
(商標)に投入し混合攪拌した後、同方向回転型二軸押
出機に供給し240℃で溶融混練してストランドとして
押出し、これを冷却しカットしてペレット状の組成物を
得た。
【0030】[空洞含有単層延伸フィルム作成]Tダイ
を備えたフィルム押出機(押出機は、口径65mmφ単
軸押出機)およびテンター法逐次二軸延伸機を用いて、
前記の組成物を各押出機に供給し、Tダイ温度240℃
で溶融押出を行ない、表面温度30℃の鏡面冷却ロール
で急冷して未延伸シートを得た。得られた未延伸シート
を縦延伸機に導き加熱ロール間で140℃の温度で5倍
延伸し、次にテンター内温度160〜210℃で横方向
に8倍延伸した後、巻取り、厚みが140μmの空洞含
有延伸フィルムサンプルを得た。
【0031】[塗料組成物の塗布]このフィルムの片面
に、側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を
有する架橋性重合体からなる塗布剤BONDEIP(商
標)PA−100(グレ−ド名)の主剤と硬化剤(共にコ
ニシ(株)製)を主剤:硬化剤=1:1(重量比)に混
合したもの(固形分30重量%)100重量部に対し
て、アクリルオリゴマーとしてビスコート(商標)#54
0(大阪有機化学(株)製、固形分30重量%)を10
重量部配合し均一に混合した塗料組成物を、固形分が1
重量%になるように水で希釈した後、この希釈液をバー
コーターで塗布量が固形分として0.1g/m2になる
ように塗布し、100℃で5分間乾燥・硬化させて塗膜
を有するポリプロピレン系成形物サンプルを得た。 [評価試験]このポリプロピレン系成形物サンプルを、
24時間23℃、湿度50%の室内で状態調節した後、
塗布剤について帯電防止性とオフセット印刷性を評価し
た。評価結果を表1に示す。
【0032】実施例2 [基材フィルム用組成物作成]基材フィルムである積層
フィルムの基層フィルム用組成物として、n−ヘプタン
不溶部を96重量%含有するMFRが2g/10分の結
晶性ポリプロピレン粉末100重量部に対して、フェノ
ール系酸化防止剤BHTを0.2重量部、ステアリン酸
カルシウムを0.1重量部、およびDCPD50重量部
を、ヘンシェルミキサー(商標)に投入し混合攪拌した
後、同方向回転型二軸押出機に供給し240℃で溶融混
練してストランドとして押出し、これを冷却しカットし
てペレット状の基層フィルム用組成物を得た。
【0033】積層フィルムの表層フィルム用組成物とし
て、n−ヘプタン不溶部を96重量%含有するMFR2
g/10分の結晶性ポリプロピレン粉末100重量部に
対して、フェノール系酸化防止剤BHTを0.2重量
部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を、ヘンシェ
ルミキサー(商標)に投入し混合攪拌した後、同方向回転
型二軸押出機に供給し240℃で溶融混練してストラン
ドとして押出し、これを冷却しカットしてペレット状の
表層フィルム用組成物を得た。
【0034】[空洞含有積層延伸フィルム作成]多層T
ダイを備えた3種3層フィルム押出機(押出機は、口径
65mmφ中間層用単軸押出機が1台、口径50mmφ
の表層用単軸押出機が2台)およびテンター法二軸延伸
機を用いて、前記の基層フィルム用組成物を中間層用押
出機に、前記の表層フィルム用組成物を表層用単軸押出
機に供給し、Tダイ温度240℃で溶融し共押出を行
い、表面温度30℃の鏡面冷却ロールで急冷して、表層
/基層/表層の構成の(厚み構成比1:3:1)2種3
層組成物の未延伸積層シートを得た。得られた未延伸シ
ートを縦延伸機に導き加熱ロール間で140℃の温度で
5倍延伸し、次にテンター内温度160〜210℃で横
方向に8倍延伸した後、巻取り、合計厚みが140μm
の空洞含有積層延伸フィルムを得た。引き続き前記空洞
含有積層延伸フィルムを、110℃に加熱された一対の
金属ロールを用いて、線圧100kg/cmにて加熱圧
縮し、厚みが110μmの圧縮処理済み空洞含有積層延
伸フィルムを得た。このフィルムサンプルに、実施例1
に記載の方法に従って、塗料組成物の塗布を行い、得ら
れたポリプロピレン系成形物サンプルを評価試験に供し
た。評価結果を表1に示した。
【0035】実施例3 [基材フィルム用組成物作成]基材フィルムである積層
フィルムの基層フィルム用組成物として、n−ヘプタン
不溶部を96重量%含有するMFRが2g/10分の結
晶性ポリプロピレン粉末100重量部に対して、フェノ
ール系酸化防止剤BHTを0.2重量部、ステアリン酸
カルシウムを0.1重量部、および炭酸カルシウム(平
均粒径1.0μm)50重量部を、ヘンシェルミキサー
(商標)に投入し混合攪拌した後、同方向回転型二軸押出
機に供給し240℃で溶融混練してストランドとして押
出し、これを冷却しカットしてペレット状の基層フィル
ム用組成物を得た。上記以外は実施例2と同様の方法に
より、塗膜を有するポリプロピレン系成形物サンプルを
得た。評価結果を表1に示した。
【0036】実施例4 [基材フィルム用組成物作成]基材フィルムである積層
フィルムの基層フィルム用組成物として、n−ヘプタン
不溶部を96重量%含有するMFRが2g/10分の結
晶性ポリプロピレン粉末100重量部に対して、フェノ
ール系酸化防止剤BHTを0.2重量部、ステアリン酸
カルシウムを0.1重量部、DCPDを50重量部、お
よび炭酸カルシウム(平均粒径1.0μm)50重量部
を、ヘンシェルミキサー(商標)に投入し混合攪拌した
後、同方向回転型二軸押出機に供給し240℃で溶融混
練してストランドとして押出し、これを冷却しカットし
てペレット状の基層フィルム用組成物を得た。上記以外
は実施例2と同様の方法により、塗膜を有するポリプロ
ピレン系成形物サンプルを得た。評価結果を表1に示し
た。
【0037】実施例5 [塗料組成物の塗布]実施例4に記載の方法に従って作
成した圧縮処理済み空洞含有積層延伸フィルムの片面
に、側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を
有する架橋性重合体からなる前記の塗布剤BONDEI
P(商標) PA−100の主剤と硬化剤(共にコニシ
(株)製)を主剤:硬化剤=1:1(重量比)に混合し
たもの(固形分30重量%)100重量部に対して、ア
クリルオリゴマーとしてビスコート(商標)#540(大
阪有機化学(株)製、固形分30重量%)を80重量部
配合し均一に混合した塗料組成物を、固形分が1重量%
になるように水で希釈した後、この希釈液をバーコータ
ーで塗布量が固形分として0.1g/m2になるように
塗布し、100℃で5分間乾燥・硬化させて塗膜を有す
るポリプロピレン系成形物サンプルを得た。評価結果を
表1に示した。
【0038】比較例1 [塗料組成物の塗布]側鎖に4級アンモニウム塩基及び
カルボキシル基を有する架橋性重合体からなる塗布剤1
00重量部に対して、アクリルオリゴマーの配合を0重
量部に変えた以外は実施例4の方法により作成したポリ
プロピレン系成形物サンプルを評価試験に供した。評価
結果を表1に示した。
【0039】比較例2 [塗料組成物の塗布]側鎖に4級アンモニウム塩基及び
カルボキシル基を有する架橋性重合体からなる塗布剤1
00重量部に対して、アクリルオリゴマーの配合量を1
50重量部に変えた以外は実施例4の方法により作成し
たポリプロピレン系成形物サンプルを評価試験に供し
た。評価結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】表1から明らかなように、本発明のポリ
プロピレン系成形物は、優れた帯電防止性を維持し、か
つ、UVオフセットインキの密着性に優れた印刷用成形
物である。特に、インキの高密着性が望まれているポス
ター、パンフレット、ラベル等用途の好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA24 AA54 AB04 AC26 AG01 CA03 CC02Y CC03Z CC04Z CE16 CE56 CE86 CE93 DA20 DA52 DA54 4F100 AA00A AA00H AH02B AH02C AH03B AH03C AK02A AK07A AK25B AK25C BA02 BA03 BA07 BA10B BA10C CA23A CC00B CC00C DE01A DE01H DJ02A EH46B EH46C EJ37 EJ37A GB90 JA04A JA11A JG03 JK06 JM02B JM02C YY00A YY00B YY00C 4J038 CG141 CG142 CH211 CJ131 DB032 FA252 FA262 FA272 FA282 GA06 GA08 JB32 KA03 KA04 NA12 PB04 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリプロピレン樹脂を含有する樹脂
    組成物から構成された基材フィルムの少なくとも片面
    に、側鎖に4級アンモニウム塩基およびカルボキシル基
    を有する重合体100重量部に対してアクリルオリゴマ
    ーを5〜100重量部配合した塗料組成物から構成され
    た塗膜を形成させてなるポリプロピレン系成形物。
  2. 【請求項2】基材フィルムが、結晶性ポリプロピレン樹
    脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜2
    00℃のジシクロペンタジエン系石油樹脂および/また
    は無機充填剤粉末が5〜200重量部配合された樹脂組
    成物からなる未延伸フィルムシートを面積倍率5倍以上
    に延伸した空洞含有単層延伸フィルムである請求項1記
    載のポリプロピレン系成形物。
  3. 【請求項3】基材フィルムが、結晶性ポリプロピレン樹
    脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜2
    00℃のジシクロペンタジエン系石油樹脂および/また
    は無機充填剤粉末が5〜200重量部配合された樹脂組
    成物からなるフィルムシートの少なくとも片面に、結晶
    性ポリプロピレン系樹脂からなる表層フィルムを積層し
    た後、面積倍率5倍以上に延伸した空洞含有積層延伸フ
    ィルムである請求項1記載のポリプロピレン系成形物。
  4. 【請求項4】基材フィルムが、請求項2に記載の空洞含
    有単層延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空
    洞が消滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られ
    る圧縮処理済み空洞含有単層延伸フィルムである請求項
    2記載のポリプロピレン系成形物。
  5. 【請求項5】基材フィルムが、請求項3に記載の空洞含
    有積層延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空
    洞が消滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られ
    る圧縮処理済み空洞含有積層延伸フィルムである請求項
    3記載のポリプロピレン系成形物。
  6. 【請求項6】側鎖に4アンモニウム塩基およびカルボキ
    シル基を有する重合体が、ジメチルアミノエチルアクリ
    レート(メタクリレートを含む)4級化物、アクリル酸
    (メタクリル酸を含む)、およびアクリル酸エステル
    (メタクリル酸エステルを含む)の共重合物(A)と多
    官能エポキシ誘導体(B)との架橋反応生成物である請
    求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系成
    形物。
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