JP2004090519A - ポリプロピレン系合成紙 - Google Patents

ポリプロピレン系合成紙 Download PDF

Info

Publication number
JP2004090519A
JP2004090519A JP2002256641A JP2002256641A JP2004090519A JP 2004090519 A JP2004090519 A JP 2004090519A JP 2002256641 A JP2002256641 A JP 2002256641A JP 2002256641 A JP2002256641 A JP 2002256641A JP 2004090519 A JP2004090519 A JP 2004090519A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
weight
film
resin composition
acrylic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002256641A
Other languages
English (en)
Inventor
Soichiro Hiraki
平木 聡一郎
Takashi Kuroda
黒田 高司
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
JNC Petrochemical Corp
Original Assignee
Chisso Petrochemical Corp
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Petrochemical Corp, Chisso Corp filed Critical Chisso Petrochemical Corp
Priority to JP2002256641A priority Critical patent/JP2004090519A/ja
Publication of JP2004090519A publication Critical patent/JP2004090519A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】作業性が良好で、一般紙用オフセットインキを使用して印刷しても基材の変形が生じず、溶剤バリア層と基材フィルムとの密着が良好なポリプロピレン系合成紙を提供する。
【解決手段】ジシクロペンタジエン石油樹脂を含有する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり空洞を含有する基層フィルムと、基層フィルムの少なくとも片面に積層された結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり実質的に空洞を含有しない表層フィルムとからなる基材フィルム(A)の表層フィルム面上に、架橋性共重合体層(B)を設け、架橋性共重合体層(B)の上に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設け、更に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の上に無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)を設けたポリプロピレン系合成紙。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオフセット印刷に適したポリプロピレン系合成紙に関する。詳しくは、結晶性ポリプロピレン樹脂からなる基材フィルムを使用し、紙用の一般オフセット印刷インキを用いて印刷が可能で、更に印刷後の変形が少なく、溶剤バリア層と基材フィルムとの密着が良好なポリプロピレン系合成紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙状の外観及び類似機能を有するポリプロピレン系フィルムが合成紙として用いられている。これらの合成紙ではオフセット印刷が広く行われている。しかし、これらの合成紙は原料としてポリプロピレン樹脂を使用するため、インキ中に含まれる鉱物油により膨潤し、基材の変形が発生するという問題が有り、高価で、作業性の悪い合成紙用またはプラスチック用のインキを用いて印刷しなければならなかった。この変形を防止しオフセット印刷性を改善するために溶剤バリア層を設けたポリプロピレン系樹脂の合成紙も提案されている(例えば、特許文献1、2及び3)。しかし、溶剤バリア層と基材フィルムとの密着が十分とはいえず、印刷後のセロテープ(登録商標)剥離試験等で塗工層が剥がれたり、隠蔽性が劣る等の問題があり、改善が求められていた。
【0003】
【特許文献1】
特許第3016829号公報
【特許文献2】
特許第3158198号公報
【特許文献3】
特開平9−300555号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、作業性が良好で、一般紙用オフセットインキを使用して印刷しても基材の変形が生じず、溶剤バリア層と基材フィルムとの密着が良好なポリプロピレン系合成紙を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、ジシクロペンタジエン石油樹脂を含有する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり空洞を含有する基層フィルムと、基層フィルムの少なくとも片面に積層された結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり実質的に空洞を含有しない表層フィルムとからなる基材フィルム(A)の表層フィルム面上に、架橋性共重合体層(B)を設け、架橋性共重合体層(B)の上に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設け、更に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の上に無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)を設けたポリプロピレン系合成紙によって本課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0006】
本発明は以下の構成を有する。
(1)ジシクロペンタジエン石油樹脂を含有する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり空洞を含有する基層フィルムと、基層フィルムの少なくとも片面に積層された結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり実質的に空洞を含有しない表層フィルムとからなる基材フィルム(A)の表層フィルム面上に、架橋性共重合体層(B)を設け、架橋性共重合体層(B)の上に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設け、更に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の上に無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)を設けたことを特徴とするポリプロピレン系合成紙。
【0007】
(2)架橋性共重合体層(B)が、アクリル共重合体(B)と多官能エポキシ誘導体(B)との共重合体であって側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を含有する架橋性共重合体からなることを特徴とする前記(1)項記載のポリプロピレン系合成紙。
【0008】
(3)水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を構成するアクリル樹脂組成物が、アクリル樹脂(C)及びエポキシ樹脂(C)を主成分としてなり、アクリル樹脂(C)がカルボキシル基を含有するモノマー5〜50重量%、アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)50〜95重量%、塩基性窒素原子を含有するモノマー35重量%以下、及びその他の共重合可能なビニルモノマー30重量%以下からなり、かつカルボキシル基の0.5モル%以上がイミダゾール化合物で中和されたアクリル樹脂であり、中和前のアクリル樹脂(C)のカルボキシル基/エポキシ樹脂(C)のエポキシ基の当量比が0.90〜1.50であることを特徴とする前記(1)または(2)項記載のポリプロピレン系合成紙。
【0009】
(4)架橋性共重合体層(B)の重量が固形分として0.005〜0.5g/m、水性架橋型アクリル樹脂組成物(C)の重量が固形分として1〜10g/m、無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)の重量が固形分として4〜20g/mである前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載のポリプロピレン系合成紙。
【0010】
(5)基材フィルム(A)が、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜200℃のジシクロペンタジエン石油樹脂5〜195重量部、無機充填剤粉末195重量部以下かつジシクロペンタジエン石油樹脂と無機充填剤粉末の合計量15〜200重量部が配合された樹脂組成物からなるフィルムを基層フィルムとし、その両面に結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなる表層フィルムを積層した後、面積倍率5倍以上に延伸した空洞含有積層延伸フィルムであることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項記載のポリプロピレン系合成紙。
【0011】
(6)基材フィルム(A)が、前記空洞含有積層延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空洞が消滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られる圧縮処理済み空洞含有積層延伸フィルムである前記(5)項記載のポリプロピレン系合成紙。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を説明する。
本発明のポリプロピレン系合成紙においては、オフセット印刷性を改善するため、ポリプロピレン系合成紙の両面が印刷に供される場合は、基材フィルム(A)の両面の表層フィルム面上に、ポリプロピレン系合成紙の片面が印刷に供される場合は、少なくとも基材フィルム(A)の印刷に供される側の面の表層フィルム面上に、順次、接着プライマーである架橋性共重合体層(B)、溶剤バリア層である水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)、インキ受容層(D)が積層して設けられる。
【0013】
本発明のポリプロピレン系合成紙において、基材フィルム(A)の基層フィルムまたは表層フィルムを構成する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物に用いられる結晶性ポリプロピレン樹脂は、プロピレンの結晶性単独重合体、プロピレンとエチレンもしくは炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれる1種以上との二元以上の結晶性共重合体、またはそれらの混合物である。具体的には、沸騰n−ヘプタン不溶部を70重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する結晶性ポリプロピレン、プロピレン成分を70重量%以上含有する結晶性エチレン・プロピレン共重合体、結晶性プロピレン・1−ブテン共重合体、結晶性プロピレン・1−ヘキセン共重合体、結晶性エチレン・プロピレン・1−ブテン三元共重合体等の結晶融点を有するプロピレン共重合体が挙げられる。
【0014】
尚、基材フィルム(A)の基層フィルム用樹脂組成物に用いられる結晶性ポリプロピレン樹脂と表層フィルム用樹脂組成物に用いられる結晶性ポリプロピレン樹脂は、同一でも別々でもよい。また、本発明においてフィルムとは、フィルムとシートの総称である。
本発明で用いられる結晶性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(JISK−7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定、以下MFRという)は、0.5〜20g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分である。
【0015】
本発明においては、合成紙に紙状の外観や隠蔽性を付与するために、基材フィルム(A)の基層フィルムとして、ジシクロペンタジエン石油樹脂が添加された結晶性ポリプロピレン樹脂組成物のフィルムを延伸し空洞(微細なボイド)を形成させたフィルムが用いられる。結晶性ポリプロピレン樹脂組成物におけるジシクロペンタジエン石油樹脂の添加量は、ジシクロペンタジエン石油樹脂の性質や延伸の条件によって適宜選択することができる。また、基層フィルム用結晶性ポリプロピレン樹脂組成物には更に無機充填剤粉末を添加してもよい。基層フィルム用結晶性ポリプロピレン樹脂組成物としては、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜200℃のジシクロペンタジエン石油樹脂5〜195重量部、無機充填剤粉末195重量部以下かつジシクロペンタジエン石油樹脂と無機充填剤粉末の合計量15〜200重量部、好ましくは30〜150重量部が配合された樹脂組成物(以下、空洞含有延伸フィルム用樹脂組成物という)が例示される。
【0016】
本発明においては、基材フィルム(A)に対する架橋性共重合体層(B)等の密着性を高めるため、ポリプロピレン系合成紙の両面が印刷に供される場合は、基材フィルム(A)の両面、ポリプロピレン系合成紙の片面が印刷に供される場合は、少なくとも基材フィルム(A)の印刷に供される側の面に、結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり実質的に空洞を含有しない表層フィルムが積層される。基材フィルム(A)の好ましい例としては、上記の空洞含有延伸フィルム用樹脂組成物から得られた単層未延伸フィルムを基層フィルムとし、その少なくとも片面、好ましくは両面に結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなる表層フィルムを積層した積層未延伸フィルムを、面積倍率5倍以上に延伸して得られる空洞(微細なボイド)含有積層延伸フィルムが挙げられる。
本発明において、延伸における面積倍率とは縦方向(MD)の延伸倍率と横方向(TD)の延伸倍率の積である。
【0017】
前記空洞含有延伸フィルム用樹脂組成物において、ジシクロペンタジエン石油樹脂と無機充填剤粉末の配合量の合計が、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して15〜200重量部であると、得られる空洞含有延伸フィルムの隠蔽性は十分であり、未延伸フィルムを延伸する時に破断が発生することもない。
【0018】
前記の軟化点(環球法)160〜200℃のジシクロペンタジエン石油樹脂としては、石油ナフサ等のスチームクラッキング等から得られるシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、それらのアルキル置換体及びオリゴマー及びそれらの混合物から選ばれる1種以上(以下、シクロペンタジエン系成分という)を主成分(最も多い成分)とする留分を重合させて得られる石油樹脂(HR)の中で、シクロペンタジエン系成分を50重量%以上含有し、その軟化点(環球法)が160〜200℃の範囲にある高分子で高軟化点の石油樹脂(HSHR)、ならびに石油樹脂(HR)の中でシクロペンタジエン系成分を50重量%以上含有するものを、バナジウム、ニッケルもしくはコバルト等の金属またはその酸化物等の触媒を用いて、溶剤の存在下で、温度150〜300℃、水素圧1〜15MPaの条件下で水素化して得られる軟化点(環球法)160〜200℃、ヨウ素価20以下の水素化ジシクロペンタジエン石油樹脂(HGHR)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
無機充填剤粉末としては、平均粒径が0.01〜20μm、好ましくは0.01〜10μm、更に好ましくは0.1〜5μmの炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、及びシリカ等が挙げられるが、コスト面から炭酸カルシウムが有利である。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0020】
基材フィルム(A)の基層フィルムまたは表層フィルムを形成する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物には、必要に応じてポリプロピレンに添加することが公知の各種添加剤、例えばフェノール系、チオエーテル系及び燐系の加工安定剤・酸化防止剤、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド等の潤滑剤、顔料、発泡剤、添加ポリマーとしてポリエチレン類やエチレン−プロピレンゴム等を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0021】
前記の結晶性ポリプロピレン樹脂組成物は、結晶性ポリプロピレン樹脂及び添加剤を通常のブレンダーまたはミキサーで攪拌混合し調合することができる。また、一般的な押出機を用いて溶融混練しペレットにすることもできる。
【0022】
本発明において、基層フィルム用の樹脂組成物及び表層フィルム用の樹脂組成物から未延伸の積層フィルムを得る方法としては、Tダイ押出成形法やインフレーション押出成形法等の公知の方法が例示でき、具体的には、ダイス内で溶融樹脂が複層化される共押出成形法、押出成形された基層フィルムの上に更に表層フィルムを重ねる押出ラミネート成形法等の公知の積層加工方法が用いられる。
【0023】
未延伸フィルムから延伸フィルムを得るための延伸方法及び延伸条件は格別限定されない。延伸方法は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、好ましくは二軸延伸である。また、公知の一軸または二軸延伸機のいずれも使用することができる。延伸条件は使用する延伸機により異なるが、組成物中に含まれる石油樹脂の軟化点以下の温度にし、面積倍率5倍以上に延伸する。尚、二軸延伸の場合は、面積倍率9倍以上が好ましい。
また、二軸延伸機の場合、同時延伸方式でも逐次延伸方式でもよい。
【0024】
本発明において、基材フィルム(A)である空洞含有積層延伸フィルムに腰の強さが求められる場合には、50〜160℃の温度で、かつ、空洞が消滅しない圧力で、空洞含積層延伸フィルムを加熱圧縮することにより得られる圧縮処理済み空洞含有積層延伸フィルムであることが好ましい。加熱圧縮は、加熱プレスもしくは加熱圧縮ロール等を用いて行うことができる。
加熱圧縮の条件は、空洞含有積層延伸フィルムが50〜160℃になるように加熱し、更に加熱圧縮ロールでは、0.5〜4kN/cmの線圧で、加熱圧縮前の厚さ100に対して50〜90の厚さまで加熱圧縮する。ただし、加熱し過ぎると空洞が完全に消滅してしまうので、加熱圧縮温度が、空洞が消滅する温度より低い温度で加熱圧縮しなければならない。また、圧力によっても空洞が消滅することがあるので、温度と圧力を調整しながら、厚さ方向の復元や空洞の消滅が起こらない条件で加熱圧縮を行わなければならない。
【0025】
本発明のポリプロピレン系合成紙においては、基材フィルム(A)と溶剤バリア層である水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)との密着性を付与するため、基材フィルム(A)の少なくとも片面の表層フィルム面上に接着プライマーである架橋性共重合体層(B)が設けられる。架橋性共重合体層(B)を構成する架橋性共重合体としては、アクリル共重合体(B)と多官能エポキシ誘導体(B)との共重合体であって側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を含有する架橋性共重合体が好適である。具体的には基材フィルム(A)の表面に、固形成分として、好ましくは0.005〜0.5g/m、より好ましくは0.01〜0.3g/m、の重量の架橋性共重合体が塗工され塗膜層が形成される。架橋性共重合体層(B)の重量が0.005g/m〜0.5g/mであれば、均一な塗膜層が形成され基材フィルム(A)と水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)との密着性も十分である。
【0026】
架橋性共重合体層(B)を形成するために用いられる重合体は、アクリル樹脂、ポリビニルアルコ−ル樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体エマルジョン樹脂、ポリウレタン樹脂等を例示することができるが、重合体が、ジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物、アクリル酸(メタクリル酸を含む)、及びアクリル酸エステル(メタクリル酸エステルを含む)の共重合体(B)と多官能エポキシ誘導体(B)との架橋反応生成物である、側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を含有する重合体であると基材フィルム(A)と溶剤バリア層である水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の密着性が向上するため好ましい。
【0027】
共重合体(B)は、ジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物(対イオンとしてのアニオンを含む)を直接コモノマーと共重合させる方法、もしくはジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物に代えてその前駆体であるジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)とコモノマーを共重合させ、得られた共重合体をカチオン化剤で処理して4級アンモニウム塩基にする方法のいずれかによって得ることができる。
前記のコモノマーとしては、アクリル酸及びメタクリル酸のうちの少なくとも1種、及びアクリル酸エステル(メタクリル酸エステルを含む)の他、必要に応じて他のコモノマーを用いることもできる。
【0028】
前記のジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物は、ジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)をカチオン化剤で4級化したものである。
前記のカチオン化剤としては、塩化メチル、ジメチル硫酸等が例示できる。
前記アクリル酸エステル(メタクリル酸エステルを含む)としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
また、前記の共重合体(B)の原料として用いることができる他のモノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、オレフィン等のビニルモノマーを挙げることができる。
【0029】
共重合体(B)は、これらのモノマーを、ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合法もしくは溶液重合法により重合させて得られる。溶液重合法の場合に用いる溶媒としては、水とイソプロパノールの混合物が挙げられる。
共重合体(B)において、各々のモノマーの組成比率は特に限定するものではないが、前記共重合体用全モノマーに対するジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物の組成比率は15〜40モル%、アクリル酸もしくはメタクリル酸の組成比率は3〜13モル%が好ましい。ジメチルアミノエチルアクリレート(メタクリレートを含む)4級化物の組成比率が15〜40モル%であれば、架橋性共重合体層(B)の帯電防止性、親水性、基材フィルムへの密着性が共に十分である。
【0030】
多官能エポキシ誘導体(B)としては、グリセリンジグリシジルエーテル等の2官能エポキシ誘導体やトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の3官能エポキシ誘導体が挙げられる。エポキシ誘導体(B)の開環反応触媒としては、2−メチルイミダゾールや2−エチル、4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、及びアミン類等エポキシ開環反応触媒が挙げられる。
塗膜形成に用いるエポキシ誘導体(B)の添加量は共重合体(B)に対して5〜15重量%が好ましい。開環反応触媒の添加量はエポキシ誘導体(B)に対して3〜10重量%が好ましい。
【0031】
本発明のポリプロピレン系合成紙において、基材フィルム(A)の表層フィルム面上に架橋性共重合体を塗工し塗膜層を形成させるには、塗工後適当な温度で乾燥・硬化させる必要がある。塗工方法は、格別限定されず、加熱・乾燥設備を備えたグラビアコーター等の公知の設備と方法を使用することができる。
【0032】
本発明において、基材フィルム(A)の表層フィルム面上に架橋性共重合体層(B)を形成するための共重合体(B)、多官能エポキシ誘導体(B)及びその開環反応触媒は、塗工剤として市販されている品を利用することができる。市販塗工剤の例としては、コニシ(株)のBONDEIP(商品名)等が挙げられる。
【0033】
本発明のポリプロピレン系合成紙においては、基材フィルム(A)の表層フィルム面上に架橋性共重合体層(B)が設けられ、更に架橋性共重合体層(B)の上に溶剤バリア層である水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)が設けられる。また、ポリプロピレン系合成紙の片面のみが印刷に供される場合は、基材フィルム(A)の印刷に供されない側の面上に、架橋性共重合体層(B)を形成する必要は必ずしもないが、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を形成すると、印刷されたポリプロピレン系合成紙を積み重ねた場合に生じる、基層フィルム表面側からのインキ溶剤の悪影響を防止できるため好ましい。
【0034】
水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を構成するアクリル樹脂組成物は、アクリル樹脂(C)及びエポキシ樹脂(C)を主成分(最も多い成分と次に多い成分)としてなり、アクリル樹脂(C)は、アクリル樹脂を構成する全モノマーに対して、カルボキシル基を含有するモノマー5〜50重量%、アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)50〜95重量%、塩基性窒素原子を含有するモノマー35重量%以下、及びその他の共重合可能なビニルモノマー30重量%以下からなり、かつカルボキシル基の0.5モル%以上がイミダゾール化合物で中和されたアクリル樹脂であり、中和前のアクリル樹脂(C)のカルボキシル基/エポキシ樹脂(C)のエポキシ基の当量比が0.90〜1.50となるように調製されたものが好適である。
【0035】
アクリル樹脂(C)に用いられるカルボキシル基を含有するモノマーの使用量は、アクリル樹脂(C)を構成する全モノマーに対して好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%となるように調製される。使用量が5〜50重量%であれば、アクリル樹脂(C)の水分散性及びエポキシ樹脂(C)との架橋性が十分であり、エポキシ樹脂(C)との架橋反応後の耐水性及び耐アルカリ性も良好である。カルボキシル基を含有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
【0036】
アクリル樹脂(C)に用いられるアクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)の使用量は、アクリル樹脂(C)を構成する全モノマーに対して好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%である。使用量が50〜95重量%であれば、得られる水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の耐溶剤性と耐水性とのバランスが良好である。
アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)としては、アルキル基の炭素数が8以下のアクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)等が挙げられる。前記アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、これらは通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0037】
また、本発明においては、得られるアクリル樹脂(C)とエポキシ樹脂(C)との架橋反応性を向上させるために、塩基性窒素原子を含有するモノマーを用いることができる。塩基性窒素原子を含有するモノマーの使用量は、アクリル樹脂(C)を構成する全モノマーに対して好ましくは35重量%以下、より好ましくは5〜35重量%である。塩基性窒素原子を含有するモノマーとしては、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等が挙げられ、これらは通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0038】
また、本発明においては、アクリル樹脂(C)とエポキシ樹脂(C)との架橋反応性の向上、顔料混和性の向上、接着性の向上等の目的で、アクリル樹脂(C)を構成するモノマーとして前記以外の共重合可能なモノマー(その他の共重合可能なビニルモノマー)を用いることができる。その他の共重合可能なビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。前記その他の共重合可能なビニルモノマーの使用量は、アクリル樹脂(C)を構成する全モノマーに対して30重量%以下となるように調整されることが好ましい。使用量が30重量%以下であれば、得られる水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の耐溶剤性及び耐水性のバランスが良好である。
【0039】
本発明に用いられるアクリル樹脂(C)は、前記モノマーを調合したのち、ラジカル重合開始剤を用いて溶液重合法、乳化重合法等により得られる。溶液重合法を採用する場合には、後の水溶性付与の工程を考慮して水溶性の有機溶剤中で重合を行うことが好ましく、この場合に用いる水溶性の有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。重合時のモノマー濃度は、溶液重合法及び乳化重合法のいずれの場合においても通常30〜70重量%、好ましくは35〜65重量%とすることが適当である。
【0040】
上記のようにして得られるアクリル樹脂(C)は、次にそのカルボキシル基の0.5モル%以上がイミダゾール化合物で中和される。前記イミダゾール化合物は、アクリル樹脂(C)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(C)のエポキシ基との架橋反応の促進剤として用いられるものである。
前記イミダゾール化合物の具体例としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール等が挙げられる。
【0041】
尚、アクリル樹脂(C)のカルボキシル基の0.5モル%以上が中和されるのは、得られる樹脂組成物に水溶性及び水分散性を付与するためであるが、そのためにはカルボキシル基の20モル%以上、好ましくは30モル%以上が中和されていることが望ましい。また、中和量が過剰である場合には、pHが高くなりすぎてエポキシ樹脂を配合したときのポットライフが短くなるので、通常90モル%以下とすることが好ましい。
【0042】
次に、アクリル樹脂(C)は、エポキシ樹脂(C)と混合されるが、予め中和された状態で更に水を加えて水分散液または水溶液とすることが好ましい。この場合、加える水の量は、アクリル樹脂(C)の樹脂固形分濃度が20〜60重量%、好ましくは30〜50重量%となるように調整することが望ましい。
エポキシ樹脂(C)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等公知のものが用いられる。これらのエポキシ樹脂は通常単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
【0043】
アクリル樹脂(C)とエポキシ樹脂(C)の配合比は、中和前のアクリル樹脂(C)のカルボキシル基/エポキシ樹脂(C)のエポキシ基の当量比が0.90〜1.50となるように調整することが好ましい。前記当量比が0.90〜1.50であれば、架橋反応が十分で得られる水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の耐溶剤性、耐水性が良好である。
【0044】
架橋性共重合体層(B)面上、また、基材フィルム(A)の片面にのみ表層フィルムを積層する場合に、基材フィルム(A)の基層フィルム面上に設けられる水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)は、固形成分として、好ましくは1〜10g/m、より好ましくは2〜7g/m、の重量の水性架橋型アクリル樹脂組成物が塗工され塗膜層が形成されたものである。水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の重量が1〜10g/mであれば、得られるポリプロピレン系合成紙の耐溶剤性が十分で、印刷後に基材フィルム(A)の変形もなく、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)と基材フィルム(A)との密着性も十分である。
【0045】
本発明において、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を形成するための水性架橋型アクリル樹脂組成物は、市販の塗工剤を利用することもできる。市販塗工剤の例としては、中央理化工業(株)のリカボンドSA−513(商品名、アクリル樹脂)とリカボンドEX−8(商品名、エポキシ樹脂)があげられる。
【0046】
本発明のポリプロピレン系合成紙においては、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を形成するには、水性架橋型アクリル樹脂組成物のアクリル樹脂(C)とエポキシ樹脂(C)の架橋反応が、水が除去されることにより進行するため、塗工後に適当な温度で乾燥・硬化させる必要がある。塗工方法は、格別限定されず、加熱・乾燥設備を備えたグラビアコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター等の公知の設備と方法を使用することができる。
【0047】
本発明のポリプロピレン系合成紙においては、基材フィルム(A)の印刷に供される側の上に架橋性共重合体層(B)が設けられ、その上に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設けられ、更にその上に無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)が設けられる。また、ポリプロピレン系合成紙の片面のみが印刷に供される場合は、基材フィルム(A)の印刷に供されない側の面上に、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設け、更に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)面上にインキ受容層(D)を設ければ、得られるポリプロピレン系合成紙はオフセット印刷時の給紙性に優れるため好ましい。
【0048】
インキ受容層(D)を形成するためには、エチレンブタジエンラテックス、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン及び溶液、エポキシ系溶液等のバインダー中に炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、サチンホワイト、酸化チタン、シリカ等の無機充填剤粉末を分散させた公知の塗工剤が使用される。これら無機充填剤粉末は単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0049】
インキ受容層(D)を形成するには、塗工剤を塗工後適当な温度で乾燥・硬化させる必要がある。塗工方法は、格別限定されず、加熱・乾燥設備を備えたグラビアコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター等の公知の設備と方法を使用することができる。塗工剤の塗工量は特に限定されないが、4〜20g/m(固形分)が好ましく、5〜15g/mがより好ましい。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるべきものではない。尚、、以下実施例及び比較例で用いた評価方法は下記の通りである。
【0051】
(1)隠蔽性
JIS P 8138「紙の不透明度試験方法」に準じて、TECHNI BRITE MICRO TB−1(商品名、TECHNIDYNE社製)にて不透明度を測定し、下記の基準で判定した。
○:80%以上(実用性満足)
×:80%未満(実用性不満足)
【0052】
(2)オフセット印刷適性
印刷適性試験器RI−2型(商品名、石川島産業機械(株)製)を用いて、ポリプロピレン系合成紙サンプルの塗料組成物塗工面に紙用の汎用酸化重合型オフセットインキTKハイエコー(商品名、東洋インキ製造(株)製)を4分割ロールにて各ロールのインキ盛り量0.1ccで展色し、以下の評価を行った。
▲1▼インキ密着性
インキ展色後、サンプルを温度23℃、湿度50%の状態で3日間放置後、展色部をセロテープ(登録商標)で貼り付け一気に引き剥がし、イメージアナライザーV10(商品名、東洋紡績(株)製)で印刷部の剥離率を計測し、以下の基準で判定した。
○:剥離率が5%未満(実用性満足)
×:剥離率が5%以上(実用性不満足)
▲2▼印刷後の変形
インキを展色した5枚のサンプルを重ね合わせて、温度23℃、湿度50%の状態で5日間放置し、中央3枚目のサンプルを抜き出して、基材フィルムの変形の有無を観察し、以下の基準で判定した。
○:変形がない(実用性満足)
×:変形がある(実用性不満足)
【0053】
実施例1
[基材フィルム用樹脂組成物作成]
基材フィルム用樹脂組成物として、n−ヘプタン不溶部を96重量%含有するMFRが2g/10分の結晶性ポリプロピレン粉末100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤BHTを0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、軟化点172℃のジシクロペンタジエン石油樹脂(以下、DCPDという)15重量部、及び炭酸カルシウム(平均粒径1.0μm)15重量部をヘンシェルミキサー(商品名)に投入し混合攪拌した後、同方向回転型二軸押出機に供給し240℃で溶融混練してストランドとして押出し、これを冷却しカットしてペレット状の樹脂組成物を得た。
【0054】
積層フィルムの表層フィルム用組成物として、n−ヘプタン不溶部を96重量%含有するMFR2g/10分の結晶性ポリプロピレン粉末100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤BHTを0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を、ヘンシェルミキサー(商品名)に投入し混合攪拌した後、同方向回転型二軸押出機に供給し240℃で溶融混練してストランドとして押出し、これを冷却しカットしてペレット状の表層フィルム用組成物を得た。
【0055】
[空洞含有積層延伸フィルム作成]
多層Tダイを備えた3種3層フィルム押出機(押出機は、口径65mmφ基層用単軸押出機が1台、口径50mmφの表層用単軸押出機が2台)及びテンター法二軸延伸機を用いて、前記の基層フィルム用樹脂組成物を基層用押出機に、前記の表層フィルム用組成物を表層用単軸押出機に供給し、Tダイ温度240℃で溶融し共押出を行い、表面温度30℃の鏡面冷却ロールで急冷して、表層/基層/表層の構成の(厚さ構成比1:3:1)2種3層の未延伸積層シートを得た。得られた未延伸シートを縦延伸機に導き加熱ロール間で140℃の温度で縦方向に5倍延伸し、次にテンター内温度160〜210℃で横方向に8倍延伸した後、巻取り、合計厚さが80μmの空洞含有積層延伸フィルムを得た。
【0056】
[架橋性共重合体層の形成]
このフィルムの両面に、水100重量部に対して、イソプロピルアルコール100重量部、BONDEIP−PA100(商品名、コニシ(株)製)2重量部とBONDEIP硬化剤(商品名、コニシ(株)製)2重量部を攪拌混合して得た、固形分量0.4重量%の架橋性共重合体塗工液を、グラビアコーターで塗工量が8g/mになるように塗工し、100℃で乾燥・硬化させて固形分として0.032g/mの架橋性共重合体層(B)を有するフィルムを得た。
【0057】
[水性架橋型アクリル樹脂組成物層の形成]
このフィルムの両面の架橋型共重合体層(B)の上に、水100重量部に対してリカボンド SA−513(商品名、中央理化工業(株)製、固形分29重量%)80重量部とリカボンド EX−8(商品名、中央理化工業(株)製、固形分98重量%)8重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンスルホン酸ナトリウムを共重合してなる帯電防止剤SPP−3A(商品名、松本油脂製薬(株)製、固形分22重量%))10重量部、イソプロピルアルコール70重量部を混合攪拌して得た水性架橋型アクリル樹脂組成物塗工液を、グラビアコーターで塗工量が25g/mになるように塗工し、100℃で乾燥・硬化させて固形分として3.1g/mの水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を有するサンプルを得た。
【0058】
[インキ受容層の形成]
更にその水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の上に、水100重量部に対してリカボンド SA−513(商品名、中央理化工業(株)製、固形分29重量%)45重量部とリカボンド EX−8(商品名、中央理化工業(株)製、固形分98重量%)4重量部、カオリンクレーKAOGLOSS−90(商品名、白石カルシウム(株)製)45重量部、炭酸カルシウムCALSHITEC Brilliant−15(商品名、白石カルシウム(株)製)15重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンスルホン酸ナトリウムを共重合してなる帯電防止剤SPP−3A(商品名、松本油脂製薬(株)製、固形分22重量%)9重量部、酸化チタンを含む水系顔料分散体LIOFAST WHITE H201(商品名、東洋インキ製造(株)製、固形分65重量%)15重量部、無機充填剤の分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムアロンT−40(商品名、東亞合成(株)製、固形分43重量%)0.3重量部、イソプロピルアルコール55重量部をホモジナイザー((株)SMT製)を用いて混合して得た塗料組成物を、グラビアコーターで塗工量が25g/mになるように塗工し、100℃で乾燥・硬化させて固形分として8.1g/mのインキ受容層(D)を有するポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。
【0059】
[評価試験]
このサンプルを、24時間23℃、湿度50%の室内で状態調節した後、隠蔽性を評価し、次にオフセット印刷性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0060】
実施例2
基材フィルム用樹脂組成物にDCPDのみを表1のように添加した以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0061】
実施例3、4
[架橋性共重合体型塗膜層の形成]
この基材フィルム(A)の両面に塗工する架橋性共重合体層(B)の乾燥後の固形分量を表1のように変えた以外は実施例1に準拠して水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)及びインキ受容層(D)を有するポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0062】
実施例5、6
[水性架橋型樹脂組成物層及びインキ受容層の形成]
水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の乾燥後の固形分重量を表1のように変えた以外は実施例1に準拠して架橋性共重合体層(B)及びインキ受容層(D)を有するポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0063】
比較例1
基材フィルム用樹脂組成物にDCPDと炭酸カルシウムを添加しなかったこと以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0064】
比較例2
基材フィルム用樹脂組成物に炭酸カルシウムのみを表1のように添加した以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0065】
比較例3、4
架橋性共重合体層(B)の乾燥後の固形分量を表1のように変えたことと、架橋性共重合体層(B)を設けなかったこと以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0066】
比較例5、6、7
水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の乾燥後の固形分量を表1のように変えたことと、水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設けなかったこと以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0067】
比較例8、9
インキ受容層(D)の乾燥後の固形分量を表1のように変えたことと、インキ受容層(D)を設けなかったこと以外は実施例1に準拠してポリプロピレン系合成紙サンプルを得た。評価結果を表1に示した。
【0068】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明のポリプロピレン系合成紙は、一般紙用酸化重合型インキで印刷してもボコツキが生じず、溶剤バリア層と基材フィルムとの密着が良好でポスター、パンフレット、ラベル等の幅広い印刷用途に好適に使用できる。
【0069】
【表1】
Figure 2004090519

Claims (6)

  1. ジシクロペンタジエン石油樹脂を含有する結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり空洞を含有する基層フィルムと、基層フィルムの少なくとも片面に積層された結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなり実質的に空洞を含有しない表層フィルムとからなる基材フィルム(A)の表層フィルム面上に、架橋性共重合体層(B)を設け、架橋性共重合体層(B)の上に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を設け、更に水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)の上に無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)を設けたことを特徴とするポリプロピレン系合成紙。
  2. 架橋性共重合体層(B)が、アクリル共重合体(B)と多官能エポキシ誘導体(B)との共重合体であって側鎖に4級アンモニウム塩基及びカルボキシル基を含有する架橋性共重合体からなることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系合成紙。
  3. 水性架橋型アクリル樹脂組成物層(C)を構成するアクリル樹脂組成物が、アクリル樹脂(C)及びエポキシ樹脂(C)を主成分としてなり、アクリル樹脂(C)がカルボキシル基を含有するモノマー5〜50重量%、アクリル酸アルキルエステル(メタクリル酸アルキルエステル含む)50〜95重量%、塩基性窒素原子を含有するモノマー35重量%以下、及びその他の共重合可能なビニルモノマー30重量%以下からなり、かつカルボキシル基の0.5モル%以上がイミダゾール化合物で中和されたアクリル樹脂であり、中和前のアクリル樹脂(C)のカルボキシル基/エポキシ樹脂(C)のエポキシ基の当量比が0.90〜1.50であることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系合成紙。
  4. 架橋性共重合体層(B)の重量が固形分として0.005〜0.5g/m、水性架橋型アクリル樹脂組成物(C)の重量が固形分として1〜10g/m、無機充填剤粉末を含有したインキ受容層(D)の重量が固形分として4〜20g/mである請求項1〜3のいずれか1項記載のポリプロピレン系合成紙。
  5. 基材フィルム(A)が、結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、軟化点(環球法)160〜200℃のジシクロペンタジエン石油樹脂5〜195重量部、無機充填剤粉末195重量部以下かつジシクロペンタジエン石油樹脂と無機充填剤粉末の合計量15〜200重量部が配合された樹脂組成物からなるフィルムを基層フィルムとし、その両面に結晶性ポリプロピレン樹脂組成物からなる表層フィルムを積層した後、面積倍率5倍以上に延伸した空洞含有積層延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリプロピレン系合成紙。
  6. 基材フィルム(A)が、前記空洞含有積層延伸フィルムを、50〜160℃の温度でかつ空洞が消滅しない圧力で、加熱圧縮することにより得られる圧縮処理済み空洞含有積層延伸フィルムである請求項5記載のポリプロピレン系合成紙。
JP2002256641A 2002-09-02 2002-09-02 ポリプロピレン系合成紙 Pending JP2004090519A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002256641A JP2004090519A (ja) 2002-09-02 2002-09-02 ポリプロピレン系合成紙

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002256641A JP2004090519A (ja) 2002-09-02 2002-09-02 ポリプロピレン系合成紙

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004090519A true JP2004090519A (ja) 2004-03-25

Family

ID=32061811

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002256641A Pending JP2004090519A (ja) 2002-09-02 2002-09-02 ポリプロピレン系合成紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004090519A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0696244B1 (en) Coated films with good low temperature sealing properties and hot tack
CN1134490C (zh) 多层聚合物膜
CA2519639C (en) Urethane based coating applied in-line for improved ink adhesion
JP4448607B2 (ja) 多層樹脂延伸フィルム
JP4675131B2 (ja) 水性塗料からなる絵柄模様層の密着性が高いポリオレフィン系発泡壁紙
US11752739B2 (en) Printable film
WO2002024448A1 (fr) Film de resine etire multicouche
DE69230752T2 (de) Harzzusammensetzung und mehrschichtlaminat
JP3750742B2 (ja) ポリプロピレン系合成紙
JP4365549B2 (ja) 易剥離性多層樹脂延伸フィルム
EP1311389B1 (en) Conformable sheet
JP2004090519A (ja) ポリプロピレン系合成紙
JP2000168018A (ja) 熱可塑性樹脂積層構造物及びその製法
JP2000319424A (ja) ポリプロピレン系成形物
JP2000318103A (ja) ポリプロピレン系成形物
JP2000318101A (ja) ポリプロピレン系成形物
JP4752190B2 (ja) 粘着フィルム又はシート
JP2002302563A (ja) ポリプロピレン系成形物
JP2000109587A (ja) ポリプロピレン系合成紙
JP2605114B2 (ja) 延伸ポリプロピレン系フィルムの積層物およびその用途
JP2002293966A (ja) ポリプロピレン系成形物
EP4035887A1 (en) Laminate, and hot-melt adhesive label
JP2000167994A (ja) ポリプロピレン系合成紙
JP3077842B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体積層物
JP2001287322A (ja) 抗菌性合成紙