JP2000317647A - 溶接ロボットの制御装置 - Google Patents
溶接ロボットの制御装置Info
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Abstract
4が駆動されるスポット溶接ガン10が作業端に取り付
けられた溶接ロボットを制御する制御装置であり、被溶
接部材の溶接中に、電極12の変位量を検出するエンコ
ーダ32と、このエンコーダ32によって検出された変
位量に基づいて、前記被溶接部材の熱膨張過程をリアル
タイムに数値化、または、グラフ化して表示し、作業者
が溶接状態を確認できるようにする。
Description
位量を経時的に検出することによって最適な溶接条件を
リアルタイムで設定し、高品質のスポット溶接ができる
ようにした溶接ロボットの制御装置に関する。
向上させるため様々な方法が提案されている。これらの
方法の中には、溶接電流通電中(ナゲット生成過程)の
被溶接部材の熱膨張の状況からスポット溶接の状態(信
頼性)を調べる方法がある。
特公昭53−4057号公報に開示されている発明で
は、溶接電流通電中の熱膨張による被溶接部材の最大変
位量Hmax によりナゲット径を推定し、推定したナゲッ
ト径から溶接の信頼性を測っている。
報、特公昭53−4057号公報に開示されている発明
では、熱膨張による被溶接部材の変位速度dh/dtに
より溶接時に形成されるナゲット径を推定し、推定した
ナゲット径から溶接の信頼性を測っている。
開示されている発明は、溶接電流通電中の被溶接部材の
熱膨張の飽和後、通電を遮断して良好な溶接品質が得ら
れるようにしている。
た従来の方法は、溶接中に得られた電極の変位量から、
事後的に溶接の信頼性を測るものであるから、溶接結果
から得られた溶接条件のフィードバックは、次の溶接作
業から可能となる。したがって、従来の方法では最低で
も一個の溶接品が不良になることを容認しなければなら
ない。
解消するために成されたものであり、溶接中に刻々と検
出される電極の変位量の変化状態に基づいて、最適な溶
接条件をリアルタイムで設定することができるようにし
た溶接ロボットの制御装置を提供することを目的とす
る。
の本発明は、次のように構成される。
よって電極が駆動されるスポット溶接ガンを作業端に備
えた溶接ロボットを制御する制御装置であって、被溶接
部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変位量検
出手段と、前記変位量検出手段によって検出された変位
量に基づいて、前記被溶接部材の熱膨張過程をリアルタ
イムに数値化、または、グラフ化して表示する表示手段
とを有することを特徴とする。
よって電極が駆動されるスポット溶接ガンを作業端に備
えた溶接ロボットを制御する制御装置であって、被溶接
部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変位量検
出手段と、前記変位量検出手段によって検出された変位
量に基づいて、被溶接部材の熱膨張速度、飽和熱膨張
量、飽和時間、収縮速度、収縮量の内の少なくとも1つ
の熱膨張過程を算出する熱膨張過程算出手段と、前記熱
膨張過程算出手段によって算出された熱膨張過程から溶
接条件、溶接状態、溶接結果の良否の少なくとも1つを
リアルタイムで表示する表示手段とを有することを特徴
とする。
の溶接ロボットの制御装置において、前記表示手段は、
前記熱膨張過程から得られた溶接状態から、溶接電流
値、通電時間、加圧力から成る溶接条件の変更をリアル
タイムで案内表示する機能をさらに有することを特徴と
する。
の溶接ロボットの制御装置に、表示手段に表示された溶
接条件の変更案内表示に基づいて、前記溶接条件を手動
入力できる入力手段を設けたことを特徴とする。
よって電極が駆動されるスポット溶接ガンを作業端に備
えた溶接ロボットを制御する制御装置であって、被溶接
部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変位量検
出手段と、前記変位量検出手段によって検出された変位
量に基づいて、被溶接部材の熱膨張速度、飽和熱膨張
量、飽和時間、収縮速度、収縮量の内の少なくとも1つ
の熱膨張過程を算出する熱膨張過程算出手段と、前記熱
膨張過程算出手段によって算出された熱膨張過程から溶
接状態を算出する溶接状態算出手段と、前記溶接状態算
出手段によって算出された溶接状態に基づいて、溶接電
流値、通電時間、加圧力から成る溶接条件をリアルタイ
ムで最適化する最適化手段と、前記最適化手段によって
最適化された溶接条件を用いて前記スポット溶接ガンに
よりスポット溶接するスポット溶接手段とを有すること
を特徴とする。
の溶接ロボットの制御装置において、前記最適化手段
は、溶接条件を修正する優先順位及び重み付けを設定す
る設定手段を有し、前記設定手段によって設定された優
先順位及び重み付けを考慮して、溶接電流値、通電時
間、加圧力から成る溶接条件をリアルタイムで最適化す
ることを特徴とする。
求項6のいずれかに記載の溶接ロボットの制御装置にお
いて、前記電極の変位量、前記被溶接部材の熱膨張過
程、溶接条件、溶接状態、溶接結果のそれぞれの良否、
溶接状態の内のいずれかを外部装置に出力する出力手段
を備えたことを特徴とする。
うな効果を奏する。
材の熱膨張過程をリアルタイムで見ることができるの
で、溶接状態を逐次認識することができる。
件、溶接状態、溶接結果の良否の少なくとも1つをリア
ルタイムで見ることができるので、溶接品質を逐次確認
することができる。
ば、溶接条件の変更をリアルタイムで案内表示するよう
にしたので、最適な溶接条件の設定を容易にすることが
できる。
ば、最適化された溶接条件を用いてスポット溶接できる
ようにしたので、常に安定した溶接品質を得ることがで
きる。
位量、前記被溶接部材の熱膨張過程などの諸量を外部装
置に出力できるようにしたので、既存の溶接ロボットに
容易に適用することができるようになる。
制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。
ロボットの概略構成図である。ロボット本体1の作業端
には、溶接ガン10が取り付けられている。溶接ガン1
0には、可動電極12および固定電極14に電流を供給
するトランス6が接続されている。トランス6に印加す
る電圧や溶接ガン10の動作は、溶接ガン制御装置20
によって制御される。また、ロボット本体1にはロボッ
ト制御装置7が接続され、ロボット本体1の動作はこの
ロボット制御装置7によって制御される。
備えたペンダント9が接続され、ロボット本体1を手動
で動作させたり、溶接条件の設定をしたり、溶接条件の
修正の優先順位や重み付けの設定をしたり、ロボットの
動作プログラムの変更をする場合には、このペンダント
9を操作する。また、ロボット制御装置7自体にも表示
装置5と操作パネル4が設けられている。操作パネル4
は、ペンダンと9と同様に、ロボット本体1を手動で動
作させたり、溶接条件の設定をしたり、溶接条件の修正
の優先順位や重み付けの設定をしたり、ロボットの動作
プログラムの変更をする各種の操作ボタンを有してい
る。
置によって動作が制御される溶接ガン10の概略構成図
である。
の動作を制御する溶接ガン制御装置20、溶接ガン10
の動作状態を検出するセンサ部30から構成される。
22、演算装置24と記憶装置26から構成される。
を演算された推定電流密度に基づいて自動的に修正する
自動修正モード、溶接条件を作業者が手動で修正する手
動修正モードを選択できるようになっている。
出力される検出情報(可動電極位置データおよび電極先
端検出信号)を入力し、この検出情報から電極の変位量
の経時変化(電極間変位量データ)を演算装置24や記
憶装置26に出力したり、記憶装置26に記憶されてい
る溶接ガン10の動作プログラムに基づいて、可動電極
加圧指令および可動電極解放指令を出力したりする。
報の内、可動電極位置データは、図1に示したロボット
制御装置7の表示装置5またはペンダント9の表示部8
に出力され、表示装置5または表示部8において被溶接
部材の熱膨張過程がリアルタイムに数値化され、または
グラフ化されて表示される。作業者は、この表示を見て
現在行なわれつつある被溶接部材の溶接状態を視覚的に
認識できることになる。
の検出情報や記憶装置26に記憶されている各種のデー
タ(初期位置、基準位置、加圧位置、基準加圧位置、電
極間変位量データ、基準電極間変位量、回帰モデル、電
極先端径、適正電流密度)により、回帰直線の算出、推
定電流密度の算出、溶接状態(溶接品質)のリアルタイ
ムな判定などを行なう。また、演算装置24は、センサ
部30から出力された可動電極位置データから、被溶接
部材の熱膨張速度、飽和熱膨張張量、飽和時間、収縮速
度、収縮量を演算する。さらに、演算装置24は、演算
された熱膨張過程から、溶接条件、溶接状態、溶接結果
を、表示装置5または表示部8に表示する。
の検出情報を記憶したり、可動電極14の初期位置(原
位置)、基準位置、加圧位置、基準加圧位置を記憶した
り、可動電極12および固定電極14の磨耗量に対する
補正量を記憶したり、データ処理装置20から出力され
る電極の変位量の経時変化に関するデータを電極間変位
量データとして記憶したり、溶接ガン10の動作プログ
ラムやスポット溶接が適切に行なわれた(充分な径のナ
ゲットが生成された)ことを判定するために予め設定さ
れている基準電極間変位量や基準回帰直線としての図7
に示すような回帰モデルを記憶したり、溶接条件を変更
する必要があるかどうかを判断するための適正電流密度
を記憶したりするものである。なお、回帰モデルは、電
極の変位量の経時的変化に関するデータから生成された
モデルであり、本実施の形態では、代表的な溶接条件に
より溶接が行なわれた場合に得られるあろう回帰モデル
を記憶装置26に記憶させている。
操作パネル4によって設定される溶接条件の修正の優先
順位及び重み付けも記憶される。
た電極間変位量データから図6に示すような回帰直線を
算出し、算出された回帰直線から現在どのような溶接が
行なわれつつあるかを認識するための推定電流密度を演
算し、これを適正電流密度と比較して、この比較結果か
ら、このままの溶接条件で溶接しても信頼性の十分な溶
接ができるか、または溶接条件を変更しないと信頼性の
十分な溶接作業をすることができないかを判定すること
になる。この判定の結果、信頼性の十分な溶接作業をす
ることができないと判断された場合には、最適な溶接条
件(溶接電流値、通電時間、加圧力からなる)を作成
し、作成されたこの溶接条件をロボット制御装置7の表
示装置5またはペンダント9の表示部8に案内表示す
る。
正モードに設定されている場合には、作業者は、この案
内表示を見ながらペンダント9のキー操作によって溶接
条件を入力することになる。また、溶接ガン制御装置2
0が自動修正モードに設定されている場合には、演算装
置24は、予め設定されている修正の優先順位や重み付
けを考慮して、最適な溶接条件(溶接電流値、通電時
間、加圧力からなる)を作成する。
能するエンコーダ32と、電極の磨耗量や基準位置を決
定するために使用される電極先端検出センサ36とを有
している。
極12の位置を検出するセンサであり、この位置は、可
動電極12を昇降させるサーボモータ34の回転量から
検出される。
の先端位置を検出するセンサであって、予め設定されて
いる初期位置(原位置)から電極先端検出センサ36に
よって可動電極12の先端が検出されるまでの可動電極
12の変位量から可動電極12の磨耗量を検出するため
に用いられるものである。
ーチャートに基づいて詳細に説明する。
修正や溶接品質の判定の処理を示すフローチャートであ
り、図4は、図3のフローチャートにおける推定電流密
度算出のサブルーチンフローチャートであり、図5は、
図3のフローチャートにおける溶接条件最適化処理のサ
ブルーチンフローチャートである。
と固定電極14とによって被溶接部材を加圧する。この
とき、可動電極12と固定電極14が所定の打角で被溶
接部材を加圧するようにする。なお、打角は被溶接部材
面に対して垂直な方向を0゜としたときに5゜程度の傾
きならば溶接品質には悪影響を与えない。加圧位置まで
可動電極12が下降したら、予め決められた溶接条件に
より通電が開始される(S21)。
電極12をその加圧力に抗して押し上げるが、このとき
の可動電極12と固定電極14との間隔の変化量、すな
わち、電極の変位量が可動電極12の変位量としてエン
コーダ32によって測定される。この電極の変位量は、
連続的に、または0.5msecあるいは1〜5mse
c程度のごく僅かな時間間隔ごとにサンプリングされ
(S22)、この測定結果は記憶装置26に記憶される
(S23)。なお、サンプリング間隔はこのような時間
間隔に限定されるものではなく、後述する回帰直線の算
出時間間隔に合わせて適宜設定すると良い。
変位量から、一定の時間間隔twidth ごとに回帰直線を
求め、求めた回帰直線の傾きと切片を記憶する。ここで
求める回帰直線は、図6に示すように、横軸を時間軸
T、縦軸を変位量hとした2次元平面における直線であ
る。また、回帰直線の切片とは、回帰直線の時間軸上0
の切片である。
×T+HT0となる。ここで、式中、hは電極の変位量、
Tは時間、θ1は回帰直線の傾き、HT0は回帰直線の切
片の値である。なお、回帰直線を一定時間間隔ごとに算
出しているのは、得られた回帰直線に基づいて、現在行
なわれつつある溶接状態をリアルタイムで判定するため
である。
直線から、被溶接部材の熱膨張速度、飽和熱膨張量、飽
和時間、収縮速度、収縮量も算出される。なお、熱膨張
速度と収縮速度は、単位時間当たりの可動電極12の変
位量から求めることができ、飽和熱膨張量と収縮量は可
動電極12の変位量から求めることができる。飽和時間
は、溶接が開始されてから飽和熱膨張量に達するまでの
時間である(S24)。
により、可動電極12と固定電極14から被溶接部材に
供給される電流の密度、すなわち推定電流密度を算出す
る。この推定電流密度の算出は、図4のフローチャート
に示すような手順によって行なわれる(S25)。
憶されている現在使用中の可動電極12と固定電極14
との電極先端径と現在行なわれつつある溶接に使用され
ている溶接条件(加圧力、溶接電流、通電時間、板厚な
ど)を読み出すとともに(S41,S42)、演算装置
24でカウントされている溶接作業(通電)が開始され
てから今現在までの通電経過時間を読み出して(S4
3)、電極先端径と溶接条件から成るデータ(電極先端
径、加圧力、溶接電流、通電時間、板厚)の内の少なく
とも1つ以上のデータと、通電経過時間及び算出された
上記の回帰直線に基づいて、記憶装置26に予め記憶さ
れている回帰モデルの中で、現在の溶接状態に最も近似
または適合する回帰モデルが存在するかどうかを探索す
る(S44)。適合する回帰モデルが存在する場合に
は、その回帰モデルから推定電流密度を算出し、一方、
近似する回帰モデルが存在する場合には、その回帰モデ
ルを補間して推定電流密度を算出する(S45)。
流密度の算出が終了すると、演算装置24は、記憶装置
26に予め記憶してある現在の溶接条件に対する適正電
流密度を読み出して、演算された推定電流密度とこの適
正電流密度(許容範囲が設けてある)とを比較し、演算
された推定電流密度が適正電流密度の範囲内であれば、
溶接条件として設定されている通電時間まで、S22〜
S25までの処理を繰り返し、現在設定されている溶接
条件にしたがって溶接作業を継続する(S26,S3
0)。
密度の範囲内でなければ、溶接ガン制御装置20が溶接
条件の自動修正モードに設定されているかどうかが判断
され(S27)、自動修正モードに設定されていなけれ
ば、すなわち、手動修正モードに設定されていれば、演
算装置24は、演算した推定電流密度を記憶装置26に
記憶させる。また、自動修正モードに設定されていれ
ば、現在の溶接条件を最適な溶接条件に変更するための
溶接条件最適化処理が行なわれる。この溶接条件最適化
処理は、図7のフローチャートに示すような手順によっ
て行なわれる(S29)。
ている溶接条件最適化の溶接パラメータを読み込む。こ
の溶接条件最適化の溶接パラメータは、溶接条件を変更
する場合の修正の優先順位、適用の重み付け、溶接条件
最適化の有効/無効の状態に関するものである。たとえ
ば溶接条件を変更するための要素として、溶接電流、通
電時間、加圧力、電極先端径が設定されている場合に
は、ある回帰モデルに対しては、たとえば、それらの優
先順位を「溶接電流」が1番、「通電時間」が2番、
「加圧力」が3番、「電極先端径」が4番、適用の重み
付けを「溶接電流」が20%、「通電時間」が30%、
「加圧力」が10%、「電極先端径」が40%というよ
うに設定されている。なお、溶接条件最適化が「有効」
に設定されている場合には、溶接条件が変更されるが、
それが「無効」に設定されている場合には、溶接条件は
変更されない(S51)。
更すべき指令が含まれている場合には(S52)、その
溶接電流に設定されている重み付けに応じたフィードバ
ック量を決定し、現在の溶接電流値を変更する。たとえ
ば、上記の例では、「溶接電流」の重み付けが20%で
あるので、現在の溶接電流値を20%上昇させる(S5
3,S54)。
間を変更すべき指令が含まれている場合には(S5
5)、その通電時間に設定されている重み付けに応じた
フィードバック量を決定し、現在の通電時間を変更す
る。たとえば、上記の例では、「通電時間」の重み付け
が30%であるので、現在の通電時間を30%長くする
(S56,S57)。
力を変更すべき指令が含まれている場合には(S5
8)、その加圧力に設定されている重み付けに応じたフ
ィードバック量を決定し、現在の加圧力を変更する。た
とえば、上記の例では、「加圧力」の重み付けが10%
であるので、現在の加圧力を10%上昇させる(S5
9,S60)。
先端径(チップドレス開始)の指令が含まれている場合
には(S61)、ロボットを制御する制御装置にチップ
ドレス指令を出力して、可動電極12と固定電極14の
電極チップをドレスする(S62)。
のステップで算出された回帰直線が+Bランクに示す回
帰モデルの曲線に近似している場合には、現在行なわれ
つつある溶接の推定電流密度は、適正電流密度からはず
れている(多過ぎる)ので、図8に示すような溶接条件
の変更が指示される。つまり、溶接電流値をやや減少さ
せ、通電時間をやや減少させ、加圧力をやや増加させる
という指令が出される。
て、「溶接電流」が1番、「通電時間」が2番、「加圧
力」が3番、適用の重み付けとして、「溶接電流」が2
0%、「通電時間」が30%、「加圧力」が10%とい
うように設定されているとすれば、現在の溶接条件にお
ける溶接電流が20%減少され、通電時間が30%減少
され、また加圧力が10%増加されることになる。
示す回帰モデルの曲線に近かった場合には、現在行なわ
れつつある溶接の推定電流密度は、適正電流密度からは
ずれている(少な過ぎる)ので、図8に示すような溶接
条件の変更が指示される。つまり、溶接電流値を増加さ
せ、チップドレスを行なうべき指令が出される。
て、「溶接電流」が1番、「電極先端径」が2番、適用
の重み付けとして、「溶接電流」が50%、「電極先端
径」が50%というように設定されているとすれば、現
在の溶接条件における溶接電流が50%増加され、可動
電極12と固定電極14の電極チップを研磨するチップ
ドレスが行なわれることになる。このような溶接条件
は、各回帰モデル毎に設けられている。
た後に、この変更された溶接条件の下で再び回帰直線が
算出され、この回帰直線に基づく新たな溶接条件が算出
される。このように溶接条件の変更を頻繁に繰り返し、
図7の理想的な回帰モデル(Aランク)に近い状態で溶
接が行なわれるようにしている。
きが小さい場合)に、溶接電流を増加しているのは、入
熱速度が速くなるように(回帰直線の傾きが大きくなる
ように)するためであり、また、入熱速度が速い場合
(回帰直線の傾きが大きい場合)に、溶接電流を減少さ
せ、加圧力を増加させているのは、入熱速度が遅くなる
ように(回帰直線の傾きが小さくなるように)するため
である。これにより、散りの発生が抑制され、最短時間
で理想の溶接を行うことができるようになる。
らに詳しく説明する。
または打角がある状態で同一の溶接条件で溶接した場合
の電極の変位量の経時変化をグラフ化すると、図9に示
すようなグラフになる。
mmのものを使用して打角および被溶接部材間の隙間
(板隙)の大きさを変えて、それぞれ3点づつ実際にス
ポット溶接を行ったときの、電極間変位量と時間の関係
を示すグラフであり、図中φの値は各サンプルにおいて
溶接後、溶接部の破壊検査によって溶接状態の適否を判
定するための指標となるナゲット径を実測した値であ
る。なお、打角および板隙以外の通電条件などは同じで
ある。
変わることにより、膨脹時の変位量や、図6に示してあ
る仮想飽和点に達する時間が異なることが分かる。そし
て仮想飽和点に達する時間(仮想飽和時間)は入熱速度
と相関関係がある。すなわち、仮想飽和時間が長い程入
熱速度が遅く、このため、ナゲット径が痩せている(小
さい)ことが分かる。このような傾向は打角や板隙によ
らず、入熱速度とナゲット径の大きさに相関関係のある
ことを示している。したがって、入熱速度がわかればど
の程度溶接電流を増加すれば適切な溶接をすることがで
きるかが想定できるのである。なお、図9においてサン
プルデータは、各打角および板隙の条件ごとに3つのデ
ータを示しているが、図面を見易くするために、図中、
回帰直線や仮想飽和点、仮想飽和時間を示す点線につい
ては各条件ごとに1つのサンプルデータについてのみ示
した。他のサンプルデータについても同様の傾向であ
る。
について説明する。
溶接する場合、その隙間は、被溶接部材と両電極12,
14との間、および被溶接部材同士の間に発生する。こ
こで、図9のAおよびBのサンプルデータを参照する
と、打角0゜のときには、板隙のない方(板隙0mm)
が板隙がある方(板隙5mm)より電極間変位量が多く
なる傾向がある。これは、打角0゜で板隙があった場合
には、通電開始により板材が溶融、軟化し馴染んでくる
ため、電極間変位量、その変位量の増加割合、すなわち
傾きが共に減少しているものと考えられる。
角5゜の場合には、板隙のない方が変位量、傾き共に減
少している。この傾向は、前述したように板隙がある場
合に溶接を行うとこれが馴染むために、変位量が減少す
るといった考え方からすると逆の傾向である。このよう
な打角5゜のときの傾向は、板隙がある場合には、被溶
接部材のそれぞれが個別に曲げ強度を持ち、打角が5゜
程度であれば両電極12,14の加圧力によって比較的
容易に変形するため、通電直前の板隙(この場合は被溶
接部材間の隙間)は両電極12,14の加圧力によって
吸収され、結果的に板隙がない状態で溶接されたものと
同等になることから生じると考えられる。ただし、打角
が傾いていることから生じる被溶接部材と両電極12,
14との接触不良(被溶接部材表面と各電極との隙間)
は加圧力だけでは免れることができないので、上記Aや
Bのサンプルより変位量、傾き共に減少していると考え
られる。
度は各被溶接部材が全体として一体となっているために
剛性が高くなり、被溶接部材が変形しにくいため、打角
が傾いているために生じている接触不良は、板隙が初め
からあり、被溶接部材が加圧力によって僅かに変形し得
る場合(Cのサンプル)よりも悪い状態で溶接が始ま
り、結果的に打角が傾いている影響を大きく受けて、C
のサンプルよりも変位量が少なくまた傾きも小さくなっ
たものと考えられる。
ット径がどの様になるかを推定することは困難である
が、本発明を適用することで、上述したように、打角や
板隙がどの様な状態であっても、最終的には理想的な溶
接状態で溶接されたのと同じ溶接を行なうことができ
る。
ながら通電時間が経過すると(S30)、溶接電流制御
装置40は電極への通電を停止し(S31)、溶接作業
を終了する。
なわれている時の可動電極12の変位状況は、時系列的
な電極間変位量データとしてデータ処理装置22に入力
され、記憶装置26に記憶される。演算装置24は、記
憶装置26に記憶された時系列的な電極間変位量データ
から、概念的には図9に示すようなグラフを作成する。
このグラフから傾きが0である回帰直線と実際に得られ
た電極間変位量データとの交点を求め、溶接時における
熱膨張の飽和点を算出し(S32)、この飽和点から被
溶接物の膨張速度、飽和熱膨張量、飽和時間、収縮時間
を算出し、これらを記憶装置26に予め理想的な溶接モ
デルとして記憶されている被溶接物の膨張速度、飽和熱
膨張量、飽和時間、収縮時間と比較して、溶接品質を判
定している。
基準電極間変位量に基づいて判定する場合には、電極間
変位量データと基準電極間変位量とが比較され、一致し
ていれば、溶接品質が良好であると判断することになる
(S33)。
モードに設定されていれば(S34)、図9に示したよ
うな溶接経過を示す熱膨張推移グラフ、算出された推定
電流密度、熱膨張飽和点、溶接品質判定結果を溶接状態
としてペンダント9の表示部8やロボット制御装置7の
表示装置5に表示させる(S35)。一方、自動修正モ
ードに設定されていなければ、自動修正モードの場合に
表示される項目に加えて、溶接条件を作業者がペンダン
ト9を用いて手動で変更できるようにするため溶接条件
変更のためのナビゲーションの表示がされる。したがっ
て、作業者はこの表示を見ながら溶接条件を変更するこ
とになる(S36)。
における溶接ロボットの制御装置とその装置によって動
作が制御される溶接ガンの概略構成図である。
の形態とは異なり、溶接ガン10の電極間に溶接電流を
供給する溶接電流制御装置40が設けられ、これに伴っ
て溶接ガン制御装置20には、溶接電流制御装置40と
の情報を授受するための外部入出力装置28が設けられ
ている。
された推定電流密度に基づいて自動的に修正する自動修
正モード、溶接条件を作業者が手動で修正する手動修正
モードの選択ができるようになっているのは、第1の実
施の形態と同じである。
装置7の表示装置5やペンダント9の表示部8への各種
のデータの出力は、外部入出力装置28を介して行なわ
れることになる。
合には、演算装置24によって演算された最適な溶接条
件は、外部入出力装置28を介して溶接電流制御装置4
0に設定される。溶接電流制御装置40は、この設定さ
れた溶接条件にしたがって、可動電極12と固定電極1
4とによって挟まれた被溶接部材に電流を流し、最適な
状態でスポット溶接をすることになる。
えたスポット溶接ロボットの概略構成図である。
の装置によって動作が制御される溶接ガンの概略構成図
である。
フローチャートである。
算出」のサブルーチンフローチャートである。
化処理」のサブルーチンフローチャートである。
る。
ある。
を示す図である。
制御装置とその装置によって動作が制御される溶接ガン
の概略図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 サーボモータによって電極が駆動される
スポット溶接ガンを作業端に備えた溶接ロボットを制御
する制御装置であって、 被溶接部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変
位量検出手段と、 前記変位量検出手段によって検出された変位量に基づい
て、前記被溶接部材の熱膨張過程をリアルタイムに数値
化、または、グラフ化して表示する表示手段とを有する
ことを特徴とする溶接ロボットの制御装置。 - 【請求項2】 サーボモータによって電極が駆動される
スポット溶接ガンを作業端に備えた溶接ロボットを制御
する制御装置であって、 被溶接部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変
位量検出手段と、 前記変位量検出手段によって検出された変位量に基づい
て、被溶接部材の熱膨張速度、飽和熱膨張量、飽和時
間、収縮速度、収縮量の内の少なくとも1つの熱膨張過
程を算出する熱膨張過程算出手段と、 前記熱膨張過程算出手段によって算出された熱膨張過程
から溶接条件、溶接状態、溶接結果の良否の少なくとも
1つをリアルタイムで表示する表示手段とを有すること
を特徴とする溶接ロボットの制御装置。 - 【請求項3】 前記表示手段は、 前記熱膨張過程から得られた溶接状態から、溶接電流
値、通電時間、加圧力から成る溶接条件の変更をリアル
タイムで案内表示する機能をさらに有することを特徴と
する請求項2に記載の溶接ロボットの制御装置。 - 【請求項4】 請求項3に記載の溶接ロボットの制御装
置は、 表示手段に表示された溶接条件の変更案内表示に基づい
て、前記溶接条件を手動入力できる入力手段をさらに有
することを特徴とする溶接ロボットの制御装置。 - 【請求項5】 サーボモータによって電極が駆動される
スポット溶接ガンを作業端に備えた溶接ロボットを制御
する制御装置であって、 被溶接部材の溶接中に、前記電極の変位量を検出する変
位量検出手段と、 前記変位量検出手段によって検出された変位量に基づい
て、被溶接部材の熱膨張速度、飽和熱膨張量、飽和時
間、収縮速度、収縮量の内の少なくとも1つの熱膨張過
程を算出する熱膨張過程算出手段と、 前記熱膨張過程算出手段によって算出された熱膨張過程
から溶接状態を算出する溶接状態算出手段と、 前記溶接状態算出手段によって算出された溶接状態に基
づいて、溶接電流値、通電時間、加圧力から成る溶接条
件をリアルタイムで最適化する最適化手段と、 前記最適化手段によって最適化された溶接条件を用いて
前記スポット溶接ガンによりスポット溶接するスポット
溶接手段とを有することを特徴とする溶接ロボットの制
御装置。 - 【請求項6】 前記最適化手段は、 溶接条件を修正する優先順位及び重み付けを設定する設
定手段を有し、 前記設定手段によって設定された優先順位及び重み付け
を考慮して、溶接電流値、通電時間、加圧力から成る溶
接条件をリアルタイムで最適化することを特徴とする請
求項5に記載の溶接ロボットの制御装置。 - 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
の溶接ロボットの制御装置は、 前記電極の変位量、前記被溶接部材の熱膨張過程、溶接
条件、溶接状態、溶接結果のそれぞれの良否、溶接状態
の内のいずれかを外部装置に出力する出力手段をさらに
備えたことを特徴とする溶接ロボットの制御装置。
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---|---|---|---|
JP13632199A JP3651310B2 (ja) | 1999-05-17 | 1999-05-17 | 溶接ロボットの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13632199A JP3651310B2 (ja) | 1999-05-17 | 1999-05-17 | 溶接ロボットの制御装置 |
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---|---|
JP2000317647A true JP2000317647A (ja) | 2000-11-21 |
JP3651310B2 JP3651310B2 (ja) | 2005-05-25 |
Family
ID=15172501
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13632199A Expired - Fee Related JP3651310B2 (ja) | 1999-05-17 | 1999-05-17 | 溶接ロボットの制御装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3651310B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007245210A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Nissan Motor Co Ltd | 溶接品質判定装置および溶接品質判定方法 |
JP2008290098A (ja) * | 2007-05-23 | 2008-12-04 | Jfe Steel Kk | 抵抗スポット溶接方法 |
KR101820514B1 (ko) * | 2017-07-28 | 2018-01-19 | 금성볼트공업 주식회사 | 서보프레스 제어를 이용한 플래시버트 용접방법 |
JP2021049559A (ja) * | 2019-09-25 | 2021-04-01 | 株式会社ナ・デックス | 抵抗溶接機の制御装置およびその制御方法ならびに制御プログラム |
CN114616069A (zh) * | 2020-04-03 | 2022-06-10 | 那电久寿株式会社 | 焊接控制装置以及焊接控制方法 |
-
1999
- 1999-05-17 JP JP13632199A patent/JP3651310B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2019022550A1 (ko) * | 2017-07-28 | 2019-01-31 | 금성볼트공업(주) | 서보프레스 제어를 이용한 플래시버트 용접방법 |
JP2021049559A (ja) * | 2019-09-25 | 2021-04-01 | 株式会社ナ・デックス | 抵抗溶接機の制御装置およびその制御方法ならびに制御プログラム |
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