JP2000316377A - きのこ栽培用添加剤 - Google Patents

きのこ栽培用添加剤

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JP2000316377A
JP2000316377A JP11132899A JP13289999A JP2000316377A JP 2000316377 A JP2000316377 A JP 2000316377A JP 11132899 A JP11132899 A JP 11132899A JP 13289999 A JP13289999 A JP 13289999A JP 2000316377 A JP2000316377 A JP 2000316377A
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Hiroyoshi Kuzumoto
弘義 葛本
Seiji Izeki
清治 井関
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Okamura Oil Mill Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 きのこの栽培に適した新規な、安定供給が可
能な添加剤を提供すること。 【解決手段】 綿実および綿実油の製造過程で生じる、
抽出綿実油粕をきのこ栽培用添加剤として使用する。こ
の添加剤を用いると、米糠を添加した培養基で栽培した
場合と比べて、きのこの製造において、菌廻りの完了に
かかる日数が短く、菌糸の色が濃く、芽出し不良もな
く、瓶当りの平均収穫量も高くなる。さらに、茎が太
く、傘が硬い、品質の良好なきのこが得られた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きのこ栽培用の培
地添加剤およびその製造方法に関する。本発明はまた、
きのこ栽培用添加剤を含有する培地、並びに該培地を用
いるきのこ栽培方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】食用きのこに代表される、エノキダケ、
シメジ、ヒラタケ、ナメコ、シイタケ、マイタケ、エリ
ンギ、マッシュルーム類の人工菌床による栽培は近年急
速に伸びている。一般にきのこ栽培を人工的に行う場
合、(1)オガクズ、コーンコブ、綿実挽殻、フスマ、
大豆皮、オカラ、生米糠等の培地素材を配合し、水を加
えて水分調整をすることにより、きのこ栽培用培地を作
成する、(2)この培地を滅菌し、目的とするきのこ菌
を植菌する、そして、(3)菌糸を十分に生育させ、菌
カキ、芽出し操作を行って子実体(きのこ)を得る、と
いう工程が採用されている。
【0003】このようなきのこの人工栽培においては、
従来から用いられている種々の培地素材の代替品が検討
されている。しかし、その改良は、例えば、オガクズの
代わりに、コーンコブあるいは綿実挽殻を用いる方法等
に代表されるように、もっぱら、木質成分の改良が主で
あった。
【0004】他方で、米糠は、培地の蛋白源(窒素含有
資材)として、きのこの人工栽培に古くから使用されて
おり、きのこの栽培に欠くことのできない培地素材であ
る。しかしながら、生米糠の供給は不安定であるため、
きのこの栽培には窒素含有資材の安定な供給が望まれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、米糠等に代表
される窒素含有資材の代替として、あるいは生米糠に代
表される窒素含有資材の一部を代替できる窒素含有資材
を安定的に供給し、品質の良好なきのこを栽培する方法
が待たれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、抽出綿実油粕
を含有するきのこ栽培用添加剤、抽出綿実油粕を含有す
るきのこ栽培用培地、および抽出綿実油粕を含有するき
のこ栽培用培地で栽培する工程を含む、きのこの栽培方
法に関する。本発明により、米糠よりもはるかに優れた
培地添加剤が提供され、上記問題点が解決される。
【0007】好ましい実施態様では、前記きのこが、エ
ノキダケ、シロタモギダケ、シイタケ、ヒラタケ、ナメ
コ、マイタケ、エリンギおよびマッシュルームからなる
群から選択されるきのこである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられる抽出綿実油粕は綿実から綿実油を製
造する際に生じる。図1に基づいて綿実油の製造(抽出
綿実油粕の製造)方法の概略を説明する。綿実は、大ま
かには、外側のコットンリンターと、コットンリンター
が付着している綿実殻と、その殻に覆われている綿実核
とから構成されている。まず、原料である綿実の夾雑物
を除き、次に、デリンティングマシーンで比較的長い繊
維の綿(コットンリント)を取り除く。この状態の綿実
を脱リント綿実という。脱リント綿実は、次に、ハラー
(割実機)で割実され、綿実挽殻と綿実核とに分離され
る。ただし、綿実核には、一部殻が含まれる。綿実核
は、さらにローラ等で圧扁され、ミートフレークとな
り、ついで、圧搾されて圧搾綿実原油と圧搾綿実油粕と
が得られる。圧搾綿実油粕はさらに溶媒抽出され、抽出
綿実原油と抽出綿実油粕とが得られる。
【0009】(きのこ栽培用培地の添加剤)本発明にお
いては、綿実油製造工程において生じる抽出綿実油粕
(以下、単に抽出粕という)をきのこ栽培用培地の添加
剤等として用いる。
【0010】本発明に用いられる抽出粕には、重量%
で、水分8.0〜13.0%、粗蛋白質30.0〜4
5.0%、粗脂肪0.8〜2.5%、粗繊維10.0〜
15.5%、粗灰分5.5〜6.5%、可溶無窒素物3
2.0〜36.0%、リン酸1.7〜2.2%、カリ
1.2〜1.6%含まれている。これらは、目安であ
り、綿実油の製造工程により変動することがある。他方
で、従来からきのこの培養に用いられている生米糠は、
水分約12%、粗蛋白質約15%、粗脂肪約19%、粗
繊維約8%、粗灰分約9%であるので、抽出粕は、他の
蛋白質高含有の培地成分と比べて、粗脂肪含量が低く、
蛋白質含量が高いことが特徴である。
【0011】本発明で抽出粕というときは、抽出粕のみ
ならず、抽出粕を、例えば、粉状、フレーク状、ペレッ
ト状、顆粒状または粒状等に加工した抽出粕を含む。こ
れらの形状にすることにより、抽出粕は均一に培地中に
分散できる。その結果、蛋白源(窒素含有資材)を過剰
に添加しない限り、培養基の菌廻りおよび子実体の形成
が均一となり、きのこの奇形、収量のばらつき、品質の
劣化等という、きのこ栽培における問題点がほとんど生
じないという優れた効果を示す。
【0012】上記の形状を得るために、抽出粕は、粉砕
機又はロールで破砕加工あるいは圧扁加工される。粉砕
機および粉砕の方法については特に限定されない。例え
ば、約0.1〜5mmにローラー間隙が調整でき、好ま
しくは約1mm〜約8mmのスクリーンを備えたローラ
ー型粉砕機、例えば、圧扁ロール等が好適に用いられ
る。ローラーとしては、横型のバネ式あるいは油圧式ロ
ーラー、たて型自重式ローラー、ダブルローラー、三段
式および五段式ローラー等が用いられるが、これらに限
定されない。ローラー間隙は、通常、約0.2mmから
約0.6mm、好ましくは、約0.3mmであるが、所
望する粉砕物の形状、大きさ等を考慮して決定される。
ローラー型粉砕機を用いた場合、粉砕物はフレーク状を
しているが、さらにこれを、例えば粉砕機等で加工し
て、粉末とすることもできる。上記粉砕機および粉砕の
方法は、目的とする形状に応じて、当業者が適宜選択す
ればよい。
【0013】ペレット状にする場合はディスクペレッタ
ー(例えば不二パウダル製)が好適に用いられる。フレ
ーク状に加工する方法として、エキスパンダーがある。
綿実油粕含有固形物またはこれらの加工物を、エキスパ
ンダーを用いて高温高圧条件下から低圧条件下に放出す
ることにより、フレーク状に加工できる。
【0014】上記の例示の方法で製造された抽出粕は、
それ自体できのこ栽培用の添加剤となるが、その他の添
加剤を含んでいてもよい。例えば、綿実挽殻を加工して
粉砕したものを加えてもよい。この綿実挽殻は、セルロ
ース、ヘミセルロースおよびリグニン等が含まれ、その
成分が木質と類似しているので、オガクズの代替として
も用いられる。従って、抽出粕と綿実挽殻(またはそれ
らの処理物)とを含有する添加剤は、オガクズと米糠の
代替とすることができる。
【0015】(きのこ栽培用培地)本発明のきのこ栽培
用培地には、抽出粕の他に木質成分と、必要に応じて、
栄養剤成分とを含む。また、適切な量の水分を含むこと
もできる。
【0016】抽出粕は、適用するきのこの種類によって
異なるが、培地全体の乾燥重量に対して、約0.5重量
%〜約60重量%の割合で加えられる。好ましくは、約
1重量%〜約40重量%、より好ましくは、約1重量%
〜約25重量%の割合で培地に加えられる。
【0017】木質成分としては、セルロース、ヘミセル
ロース、あるいはリグニン等を含む。例えば、オガク
ズ、木材チップ、コーンコブ粉砕物、モミ殻、綿実挽
殻、バガス、コットンリンター等が挙げられる。これら
の木質成分は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以
上組み合わせて用いてもよい。木質成分は、培地全体の
乾燥重量に対して、約10重量%〜約80重量%の割合
で加えられる。その割合は、目的とするきのこの種類に
より異なるので、目的に応じて当業者が適宜決定すれば
よい。尚、乾燥重量は、105℃、5時間乾燥後の重量
をいう。
【0018】必要に応じて添加する他の栄養剤成分とし
ては、大麦粉砕物、コーンジャム粕、トウモロコシ糠、
ムギ糠、米糠、フスマ、オカラ、豆皮、グルテンフィー
ド(トウモロコシ皮)等が挙げられる。これらの栄養剤
成分は単独で添加してもよいし、2種以上組み合わせて
添加してもよい。栄養剤成分と抽出粕とは、きのこの種
類により異なるが、合計で、窒素として、0.1〜4重
量%含むように培地に添加されるのが好ましい。
【0019】抽出粕と綿実挽殻とは、ともに綿実油の製
造過程で生じるので、抽出粕と綿実挽殻とを混合したき
のこ栽培用培地は容易に得られ、かつ、栽培して得られ
るきのこは、従来のオガクズと米糠との混合物で栽培さ
れるきのこと比較しても、茎も太く高品質である。
【0020】抽出粕と木質成分と必要に応じて栄養剤お
よび/または水を配合して本発明のきのこ栽培用培地が
得られる。水を加える場合、水分量は、約50重量%〜
約80重量%が好ましく、さらに、好ましくは、約60
重量%〜約70重量%である。水分が調節された培地は
容器に詰められて、きのこの培養基として滅菌され、栽
培に用いられる。
【0021】エキスパンダーで、きのこ栽培用培地を処
理することもできる。エキスパンダーは、木質成分とし
てコットンリンターを用いる場合に特に有用である。エ
キスパンダーを用いることにより、高温高圧の条件下か
ら低圧条件下に放出されることにより、混合物中に含ま
れている水が瞬時に蒸発され、(1)木質成分あるいは抽
出粕等の栄養剤成分の組織を破壊する、(2)木質成分あ
るいは栄養剤成分の構造が多孔構造となる、(3)培地成
分が均一に混合される、(4)水の吸収速度が速くなる、
および(5)従来殺菌が困難であったサルモネラ菌の殺菌
も可能となる、等の効果が発揮される。エキスパンダー
は、一般に家畜飼料の配合に用いられており、例えば、
アマンダス・カール社(ドイツ)製のものが挙げられ
る。
【0022】上記高温高圧条件は、代表的には、温度約
110℃〜約150℃、圧力約20気圧〜約50気圧、
好ましくは、温度約120℃〜約135℃、圧力約23
気圧〜約30気圧、より好ましくは、温度約126℃〜
約130℃、圧力約25気圧〜約27気圧である。時間
は、約2秒〜約30秒間、好ましくは、約5秒〜約10
秒間である。例えば、コットンリンターを含む培地を高
温高圧条件においた後、急激に、約1〜2気圧の低温低
圧条件にすることにより、培地がエキスパンダー処理さ
れる。
【0023】エキスパンダー処理により、培地は、その
まま適切な形状、例えば、フレーク状に成型加工され
る。この培地は、コンパクトであり、輸送に便利であ
る。使用に際して、水分量を所定の水分量に調節すれば
よい。
【0024】上記水分が調節された培地は培養用容器に
詰められて、培養基としてきのこの栽培に用いられる。
培養基は、例えば、本発明の培地に、水分含有率が約5
0重量%〜約80重量%、好ましくは、約60重量%〜
約70重量%となるように必要に応じて水を添加して攪
拌し、きのこ培養用容器に均一に詰めて滅菌を行うこと
により作製される。
【0025】(きのこの栽培)本発明において栽培され
るきのこは、本発明の培地を含む培養基で栽培できるき
のこであれば、特に限定されない。栽培可能なきのこの
例として、エノキダケ、シロタモギダケ、シイタケ、ヒ
ラタケ、ナメコ、マイタケ、エリンギ、マッシュルーム
等が挙げられる。
【0026】きのこの栽培に用いられる容器は、その形
状、大きさ、材料等は制限されないが、滅菌処理に耐え
る容器であることが好ましく、目的とするきのこの種類
により適宜選択して用いればよい。本発明においては、
850ml、口径58mmの容器を使用した例を示す
が、これに限定されないことはいうまでもない。他の菌
床栽培用容器、例えば袋栽培用の袋を使用することもで
きる。
【0027】培養基中の培地の量は、培養容器の大きさ
を考慮して決めればよい。850ml、口径58mmの
容器を使用した例では、約160g〜200g位であ
る。
【0028】培養基の滅菌の方法および条件は、一般的
に用いられる滅菌処理の条件の範囲内であれば特に限定
されず、当業者が適切な範囲で決定すればよい。例え
ば、高圧蒸気滅菌、常圧蒸気滅菌等が挙げられる。特に
121℃、約20分〜約130分程度、好ましくは約6
0分〜約120分程度の高圧蒸気滅菌が好ましい。大量
に蒸気滅菌を行う場合は、滅菌処理の時間を長くするこ
とが好ましい。
【0029】栽培に用いるきのこの種菌は、市販のきの
こあるいは天然に生じる子実体から採取した菌糸または
組織、または、例えば、寄託機関あるいは研究機関に保
存されている菌株を入手して培養して得られた菌糸また
は組織から、作成される。
【0030】種菌は、当業者に周知の方法を用いて作製
される。例えば、目的のきのこの子実体から菌糸または
組織の一部を切り取り、例えば、麦芽0.5g、リン酸
一カリウム0.03g、リン酸二カリウム0.03g、硫
酸マグネシウム0.03g、ペプトン0.5g、ショ糖5
g、および寒天3gを水100mlに溶解した寒天培地上
で菌糸の増殖を行うか、または子実体から胞子を採取
し、麦芽5gおよび寒天1.5gを水100mlに溶解し
た麦芽寒天培地上で発芽および増殖を行うことによっ
て、菌糸を増殖させる。次いで、増殖して得られる菌糸
を、種菌作製培地(例えば、オガクズ80g、米糠20
g、および炭酸カルシウム3gの混合物;水分含量約62
%)に接種する。接種後、約20℃〜約25℃で約40
日間培養することにより種菌が得られる。
【0031】次いで、種菌を滅菌された本発明の培地を
含む培養基に接種し、培養を行い、菌糸を増殖させ、培
養基全体に菌糸を生育させ、菌廻りを完了させる。菌糸
生育の条件は、きのこの種類によって、当業者が適宜決
定すればよい。菌廻りが完了した後、さらに数日間培養
を続け、菌糸を熟成させ、子実体の発生を促進する。菌
糸の熟成は必ずしも必要ではない。菌糸の熟成を行う場
合、熟成期間は、きのこの種類および温度、湿度等の環
境条件によって変化するが、一般的には、約5日〜約6
0、好ましくは約5日〜約20日である。
【0032】菌廻りが完了した後または熟成後、芽出し
操作を行う。芽出し操作の前に、菌かきを行ってもよ
い。菌かきを行わない場合、芽出しさせる培養物を、そ
のまま芽出し条件で培養する。菌かきを行う場合は、芽
出しさせる培養物に菌かきを行った後、芽出し条件で培
養する。菌かきの方法の例としては、当業者に周知の方
法が用いられ得る。菌かきを行うと、子実体の形態が整
う、子実体の成長が揃う、等の効果が得られる。
【0033】芽出し条件は、種菌接種後の培養条件より
も低温および高湿度であることが好ましい。芽出しは、
肉眼で幼子実体の形成が認められるまで行うことができ
る。
【0034】幼子実体の形成が認められた後、幼子実体
をさらに生育させる。生育条件は、当業者に周知であ
り、特に限定されない。生育工程では、光照射を行うこ
とが好ましい。生育を行う日数は、生育条件によって変
化し得る。きのこの子実体が所望の大きさに生育した
ら、子実体の収穫を行う。上記方法で、きのこが栽培さ
れる。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0036】(実施例1:フレーク状きのこ栽培用添加
剤の作成)綿実油の製造過程において生じた、蛋白質を
42重量%含む抽出粕に、蛋白質含量が35重量%とな
るように粉砕した綿実殻を加えて、ローラー間隙0.3
mmの横型のダブルローラーを有する圧扁ロールにかけ
て加工した。約0.1mm〜約8.0mmの大きさで、
厚みが約0.1mmから約0.5mmの、フレーク状の
抽出粕が得られた。
【0037】(実施例2:粉末状きのこ栽培用添加剤の
作成)綿実油の製造過程において生じた、蛋白質を42
重量%含む抽出粕に、蛋白質含量が35重量%となるよ
うに粉砕した綿実殻を加えて混合し、8メッシュのスク
リーンを備えた粉砕機を用いて粉砕して、粉末状の抽出
粕を得た。この粉末状の抽出粕の粒度分布は、以下の通
りであった。
【0038】 12メッシュ オン: 19.9% 16メッシュ オン: 22.2% 24メッシュ オン: 16.6% 30メッシュ オン: 14.0% 30メッシュ パス: 27.3%
【0039】(実施例3:シロタモギタケの栽培) (1)培地の調製 実施例1で得られたフレーク状の抽出粕、実施例2で得
られた粉末状の抽出粕、及び比較例として生米糠を、表
1に示す割合で配合した。
【0040】
【表1】
【0041】水分量を全培地の重量の63.5%となる
ように加えて培地を調製し、容量850ml、口径58
mmのプラスチック瓶に入れて培養基を作成した。培養
基を121℃、120分間、高圧蒸気滅菌した後、冷却
した。培養基は1実験区当り、48本用意した。
【0042】(2)菌糸の培養 常法により調製したシロタモギタケの種菌10gを
(1)で調製した培養基に接種した。これを、温度20
℃、湿度70%の条件下、90日間培養した。この間に
シロタモギタケの菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌
廻りの完了にかかった日数および菌糸の色を表2に示
す。90日間培養後、ひらかき法により菌かきを行っ
た。
【0043】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下で培養し、芽出しおよびその後の幼子実体の
生育を行った。菌かき後21日目に子実体を収穫した。
瓶当りの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合
を、表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】(3)結果 表2から明らかなように、フレーク状及び粉末状の抽出
粕を添加した培地で栽培されたシロタモギタケは、従来
の米糠を添加した培地で栽培したシロタモギタケと比べ
て、菌廻りの完了にかかる日数がフレーク状で6日短く
なり、粉末状で9日短くなった。また、いずれも、菌糸
の色が濃く、芽出し不良もほとんどみられず、瓶当りの
平均収穫量も高いことが示された。また、従来の米糠を
添加した培地で栽培した場合と比べて、茎が太く、傘が
硬い、品質の良好なきのこであった。このことは、抽出
粕は、米糠の代替としてまたはそれ以上の、添加物とし
ての効果を有することを示している。
【0046】実施例2で得られた粉末状の抽出粕は、フ
レーク状の抽出粕よりも良好であった。この理由は、粉
末状の抽出粕は、上記の粒度分布に示す通り、30メッ
シュパス区分が25%以上も含まれているので、まず、
小さい粒子の(表面積の大きい)抽出粕に菌糸が接触し
て利用し、ついで、大きい粒子の抽出粕に菌糸が接触し
て利用することにより、継続的に抽出粕が利用されるの
で、生育に好影響を与えることが考えられる。
【0047】(実施例4:ヒラタケの栽培) (1)培地の調製 実施例2で得られた粉末状の抽出粕、および対照として
生米糠を、それぞれ表3に示す割合で配合した。
【0048】
【表3】
【0049】水分量を全培地の重量の63%となるよう
に加えて培地を調製し、容量850ml、口径58mm
のプラスチック瓶に入れて培養基を作成した。培養基を
121℃、120分間高圧蒸気滅菌した後、冷却した。
培養基は1実験区当り、48本用意した。
【0050】(2)菌糸の培養 常法により調製したヒラタケの種菌10gを(1)で調
製した培養基に接種した。これを、温度20℃、湿度6
5%の条件下、23日間培養した。この間にヒラタケの
菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌廻りの完了にかか
った日数および菌糸の色を表4に示す。23日間の培養
後、さらに5日間熟成を行い、ひらかき法により菌かき
を行った。
【0051】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下、14日間育成し、芽出しおよびその後の幼
子実体の生育を行った。菌かき後14日目に子実体を収
穫した。瓶当りの平均収穫量および芽出し不良となった
瓶の割合を、表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】(3)結果 表4から明らかなように、粉末状の抽出粕を添加した培
地で栽培されたヒラタケは、従来の米糠を添加した培地
で栽培した場合と比べて、菌廻りの完了にかかる日数が
7日程短縮され、菌糸の色が黒く、芽出し不良もなく、
瓶当りの平均収穫量も高いことが示された。しかも、菌
かきから子実体の収穫までの日数も3日短縮された。さ
らに、ヒラタケ自体も従来の米糠を添加した培地で栽培
した場合と比べて、茎が太く、傘が硬い、品質の良好な
きのこであった。
【0054】(実施例5:抽出粕を生米糠の一部代替と
して用いるエノキダケの栽培) (1)培地の調製 実施例2で得られた粉末状の抽出粕を生米糠の一部代替
として用いることを検討した。抽出粕と生米糠とを表5
に示す割合で配合した。同時に、比較として生米糠のみ
を蛋白源としたものを表5に示す割合で配合した。
【0055】
【表5】
【0056】水分量を全培地の重量の63%となるよう
に加えて培地を調製し、容量850ml、口径58mm
のプラスチック瓶に入れて、培養基とした。培養基を1
21℃、120分間高圧蒸気滅菌した後、冷却した。培
養基は1実験区当り、48本用意した。
【0057】(2)菌糸の培養 常法により調製したエノキダケの種菌10gを(1)で
調製した培養基に接種した。これを、温度20℃、湿度
70%の条件下、30日間培養した。この間にエノキダ
ケの菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌廻りの完了に
かかった日数および菌糸の色を表6に示す。30日間培
養後、ひらかき法により菌かきを行った。
【0058】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下、8日間培養し、芽出しを行い、その後8℃
にて2日間培養して低温に馴らし、ついで温度を5℃ま
で下げて8日間抑制培養することにより、子実体の生育
を揃えた。この間に、子実体の先端が瓶の口の高さに達
した時点で200ルクスの光照射を2時間行った。再
度、培養室の温度を8℃とし、湿度80%にて6日間生
育させた後、子実体を収穫した。即ち、菌かき後24日
目に子実体を収穫した。瓶当りの平均収穫量を、表6に
示す。
【0059】
【表6】
【0060】(3)結果 表6から明らかなように、本発明の粉末状の抽出粕を生
米糠の代替として一部添加した培地で栽培されたエノキ
ダケは、従来の生米糠のみを添加した培地で栽培した場
合と比べて、菌廻りの完了にかかる日数が4日短縮さ
れ、菌糸の色が濃く、瓶当りの平均収穫量も高いことが
示され、エノキダケ自体も、茎が太く、傘が硬い、品質
の良好なきのこであった。生米糠と本発明の抽出粕とを
併用することにより、生米糠の使用量が減少されるう
え、生米糠の減量分だけオガクズ量を増量することがで
きるので、培地中に空隙がより多く作られ、菌の生育が
良好となる培養条件を創出すると考えられる。
【0061】(実施例6:抽出粕をオカラの代替として
用いるシロタモギダケの栽培) (1)培地の調製 実施例2で得られた粉末状の抽出粕をオカラの代替とし
て用いることを検討した。米糠とフスマと抽出粕とを表
7に示す割合で配合した。比較として米糠とフスマとオ
カラとを表7に示す割合で配合した。
【0062】
【表7】
【0063】水分量を全培地の重量の63.5%となる
ように加えて培地を調製し、容量850ml、口径58
mmのプラスチック瓶に入れて培養基を作成した。培養
基を121℃、120分間、高圧蒸気滅菌した後、冷却
した。培養基は1実験区当り、48本用意した。
【0064】(2)菌糸の培養 常法により調製したシロタモギタケの種菌10gを
(1)で調製した培養基に接種した。これを、温度20
℃、湿度70%の条件下、90日間培養した。この間に
シロタモギタケの菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌
廻りの完了にかかった日数および菌糸の色を表8に示
す。90日間培養後、ひらかき法により菌かきを行っ
た。
【0065】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下で培養し、芽出しおよびその後の幼子実体の
生育を行った。菌かき後21日目に子実体を収穫した。
瓶当りの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合
を表8に示す。
【0066】
【表8】
【0067】(3)結果 表8から明らかなように、粉末状の抽出粕をオカラの代
わりに添加した培地で栽培されたシロタモギタケは、オ
カラを添加した培地で栽培したシロタモギタケと比べ
て、菌廻りの完了にかかる日数が5日も少なく、菌糸の
色が濃く、芽出し不良もほとんどみられず、瓶当りの平
均収穫量も高いことが示された。また、従来のオカラを
添加した培地で栽培した場合と比べて、茎が太く、傘が
硬い、品質の良好なきのこであった。このことは、抽出
粕は、オカラの代替としての効果を有することを示して
いる。
【0068】(実施例7:抽出粕をフスマの代替として
用いるシロタモギタケの栽培) (1)培地の調製 実施例2で得られた粉末状の抽出粕をフスマの代替とし
て用いることを検討した。抽出粕と米糠とを表9に示す
割合で配合した。比較としてフスマと米糠とを表9に示
す割合で配合した。
【0069】
【表9】
【0070】水分量を全培地の重量の63.5%となる
ように加えて培地を調製し、容量850ml、口径58
mmのプラスチック瓶に入れて培養基を作成した。培養
基を121℃、120分間、高圧蒸気滅菌した後、冷却
した。培養基は1実験区当り、48本用意した。
【0071】(2)菌糸の培養 常法により調製したシロタモギタケの種菌10gを
(1)で調製した培養基に接種した。これを、温度20
℃、湿度70%の条件下、90日間培養した。この間に
シロタモギタケの菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌
廻りの完了にかかった日数および菌糸の色を表10に示
す。90日間培養後、ひらかき法により菌かきを行っ
た。
【0072】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下で培養し、芽出しおよびその後の幼子実体の
生育を行った。菌かき後21日目に子実体を収穫した。
瓶当りの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合
を表10に示す。
【0073】
【表10】
【0074】(3)結果 表10から明らかなように、粉末状の抽出粕をフスマの
代わりに添加した培地で栽培されたシロタモギタケは、
フスマを添加した培地で栽培したシロタモギタケと比べ
て、菌廻りの完了にかかる日数が4日も少なく、菌糸の
色が濃く、芽出し不良もほとんどみられず、瓶当りの平
均収穫量も高いことが示された。また、従来のフスマを
添加した培地で栽培した場合と比べて、茎が太く、傘が
硬い、品質の良好なきのこであった。このことは、本発
明の抽出粕は、フスマの代替としての効果を有すること
を示している。
【0075】(実施例8:抽出粕を大豆皮の代替として
用いるシロタモギタケの栽培) (1)培地の調製 実施例2で得られた粉末状の抽出粕を大豆皮の代替とし
て用いることを検討した。米糠とフスマと抽出粕とを表
11に示す割合で配合した。比較として米糠とフスマと
大豆皮とを表11に示す割合で配合した。
【0076】
【表11】
【0077】水分量を全培地の重量の63.5%となる
ように加えて培地を調製し、容量850ml、口径58
mmのプラスチック瓶に入れて培養基を作成した。培養
基を121℃、120分間、高圧蒸気滅菌した後、冷却
した。培養基は1実験区当り、48本用意した。
【0078】(2)菌糸の培養 常法により調製したシロタモギタケの種菌10gを
(1)で調製した培養基に接種した。これを、温度20
℃、湿度70%の条件下、90日間培養した。この間に
シロタモギタケの菌廻りが完了し、菌糸が熟成した。菌
廻りの完了にかかった日数および菌糸の色を表12に示
す。90日間培養後、ひらかき法により菌かきを行っ
た。
【0079】菌かき後の培養基を温度16℃、湿度80
%の条件下で培養し、芽出しおよびその後の幼子実体の
生育を行った。菌かき後21日目に子実体を収穫した。
瓶当りの平均収穫量および芽出し不良となった瓶の割合
を表12に示す。
【0080】
【表12】
【0081】(3)結果 表12から明らかなように、粉末状の抽出粕を大豆皮の
代わりに添加した培地で栽培されたシロタモギタケは、
大豆皮を添加した培地で栽培したシロタモギタケと比べ
て、菌廻りの完了にかかる日数が3日も少なく、菌糸の
色が濃く、芽出し不良もほとんどみられず、瓶当りの平
均収穫量も高いことが示された。また、従来の大豆皮を
添加した培地で栽培した場合と比べて、茎が太く、傘が
硬い、品質の良好なきのこであった。このことは、本発
明の抽出粕は、大豆皮の代替としての効果を有すること
を示している。
【0082】
【発明の効果】本発明の抽出粕をきのこ栽培用添加剤と
して用いると、従来から用いられている米糠、フスマ、
オカラ、豆皮等の窒素含有資材と比べて、菌糸の成長、
子実体の成長が著しく早くなり、きのこの栽培期間が短
縮される。また、得られるきのこは、茎が太く、傘が硬
く、品質も良好であり、収穫量も増加する。さらに、き
のこと培地の分離も容易である。従って、米糠、フス
マ、オカラ、豆皮等の窒素含有資材の代替として使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 綿実から綿実油を製造する概略を示す図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抽出綿実油粕を含有するきのこ栽培用添
    加剤。
  2. 【請求項2】 抽出綿実油粕を含有するきのこ栽培用培
    地。
  3. 【請求項3】 抽出綿実油粕を含有するきのこ栽培用培
    地で栽培する工程を含む、きのこの栽培方法。
  4. 【請求項4】 前記きのこが、エノキダケ、シロタモギ
    ダケ、シイタケ、ヒラタケ、ナメコ、マイタケ、エリン
    ギおよびマッシュルームからなる群から選択される請求
    項3に記載のきのこの栽培方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009189317A (ja) * 2008-02-15 2009-08-27 Takemoto Oil & Fat Co Ltd ヒラタケ属きのこの人工栽培用培地
CN102674938A (zh) * 2012-06-11 2012-09-19 宁德师范学院 一种茶薪菇菌种培养基的配方技术及菌种制作培养工艺
CN112703964A (zh) * 2020-12-07 2021-04-27 贵州大学 一种玉米芯豆渣混料栽培木腐菌的方法

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