JP2000312961A - シリンダヘッドの鋳型構造及びその鋳型を用いた鋳造方法 - Google Patents

シリンダヘッドの鋳型構造及びその鋳型を用いた鋳造方法

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JP2000312961A JP11124396A JP12439699A JP2000312961A JP 2000312961 A JP2000312961 A JP 2000312961A JP 11124396 A JP11124396 A JP 11124396A JP 12439699 A JP12439699 A JP 12439699A JP 2000312961 A JP2000312961 A JP 2000312961A
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Shigeo Yano
重夫 矢野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダヘッドを鋳造するに際して、2本の
長尺状の中子間の軸心距離を正確に保ち、また、これら
中子の損傷を防止し、或いは、これら中子内部に生じる
ガスを迅速に鋳型外部に排出できるようにし、更には、
鋳造品のガス欠陥発生を抑制する。 【解決手段】 2本の長尺状の中子(ウォータジャケッ
ト中子CW及びオイルジャケット中子CО)を下型DL
に組み付けた後、鋳造キャビティ内に溶湯を注入・充填
してエンジンのシリンダヘッドを鋳造する鋳型におい
て、両中子の両端部には巾木141,142及び143,
144が設けられ、ウォータジャケット中子はその巾木
141及び142を介して下型内に組み付けられてお
り、オイルジャケット中子は、その巾木143及び14
4がウォータジャケット中子の巾木に支持されることに
より、下型内に組み付けられていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エンジンのシリ
ンダヘッドを鋳造するための鋳型の鋳型構造およびかか
る鋳型を用いて行われる鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えば自動車等のエンジ
ンのシリンダヘッドには、シリンダ部への給排気ポート
の他に、エンジン冷却水の通路としてのウォータジャケ
ット及びエンジンオイルの通路としてのオイルジャケッ
トなどの通路部が設けられる。従って、かかるシリンダ
ヘッドを鋳造する際には、これらの通路部に対応した中
子を鋳型内に組み付けて鋳造が行われる。この中子を鋳
型内に組み付ける場合、中子の端部に巾木を設けてお
き、この巾木を介して中子を鋳型に対して組み付けるの
が一般的である。尚、本明細書において「巾木」という
ときは、中子本体と一体に設けられたもの及び別体に設
けて中子本体と組み合わせて用いられるもののいずれを
も含むものとする。
【0003】上記通路部のうちウォータジャケットとオ
イルジャケットとは、シリンダヘッドの限られたスペー
ス内において、それぞれ所期の通路断面積を確保した上
で、通常、比較的接近して上下並列に配置される。従っ
て、これら両ジャケット用の中子を鋳型内に組み付ける
際には、両中子の軸芯間の距離をできるだけ正確に維持
し、両ジャケット間の肉厚を適正に確保することが求め
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
両ジャケットはともにシリンダヘッドの長手方向の略全
長近くにわたって延びるように設けられるので、その中
子もかなり長尺状のものとなる。従って、これら中子を
それぞれ個々に鋳型内に組み付けたのでは、両中子の軸
芯間の距離を安定して一定値に維持することはなかなか
に難しいという問題があった。尚、この場合には、中子
組付工数がそれだけ多くなり、また、自動組付を行うに
しても、中子の組付装置が複雑化するので、製造コスト
を抑制する上でも不利になる。
【0005】特に、シリンダヘッドの側面に対応する鋳
型面少なくとも一部を、上下の鋳造金型の型閉じ方向に
直交する方向(横方向)にスライド動作できる可動式の
サイド型の内側面で形成するようにしたものが考えられ
ているが(例えば、特開平1−53755号公報参
照)、このような鋳型構造を用いる場合、下側に位置す
るウォータジャケット中子を下型にセットし、上側に位
置するオイルジャケット中子を上記可動式のサイド型に
セットすることが考えられる。ところが、この場合に
は、上記サイド型のスライド動作を支持する鋳型部分が
スライド動作の繰り返しに伴なって摩耗するので、上記
両中子の軸心間の距離を安定して一定値に保つことがで
きないという問題が生じる。
【0006】また、上記両中このうち下側に位置するウ
ォータジャケット中子を下型に組み付ける場合、ウォー
タジャケット中子の両端の巾木に対応する鋳型部分に巾
木係止部を設けるとともに、上記各巾木側には各巾木係
止部に係合する係合部を設けておき、これら各係合部を
それぞれ対応する巾木係止部に係合させて、位置決め及
び固定を行うのが一般的である。しかしながら、従来で
は、中子の位置ずれを防止するために、上記各係合部は
ともに巾木係止部に対し全ての方向について移動不能に
係合するように、その形状および寸法等が設定されてい
るので、中子はその両端の巾木部分で完全にリジッドに
固定されることになる。このため、鋳造時、溶湯が鋳造
キャビティ内に注入・充填された際には、金属製の鋳型
と鋳物砂を主原料とする中子との熱膨脹量の違いに起因
して、中子にクラックや折損が生じる場合があるという
問題もあった。
【0007】更に、上記ウォータジャケット用およびオ
イルジャケット用の両中子を鋳型に対してそれぞれ個別
に組み付けるのではなく、予め両者を一体的に組み合わ
せておき、この組み合わせた中子を鋳型に組み付けるよ
うにすることも考えられるが、この場合についても、中
子どうしの温度差などによる熱膨脹量の差に起因して、
中子にクラックや折損等の不具合が生じる場合がある。
【0008】また、周知のように、上記各中子は、通
常、鋳物砂を主原料としこれに樹脂を主成分とするバイ
インダを混入させて造形されるが、かかる中子を鋳型内
に組み付けて鋳造した場合、中子に含まれたバイインダ
が溶湯の熱でガス化し、このガスが鋳物製品内に残留す
ると所謂ガス欠陥を生じることとなる。従って、鋳造工
程においては、このようなガスを、溶湯が凝固しないう
ちに迅速に鋳型外部に排出させることが重要である。し
かし、上記ウォータジャケット中子およびオイルジャケ
ット中子は、上述のように共に長尺であるので、その内
部に発生したガスを迅速に鋳型外部に排出させることは
なかなかに難しいという問題もあった。
【0009】尚、このように金属溶湯が注入・充填され
た鋳造キャビティ内にガスやエヤ等の気体が存在する場
合、かかる気体が鋳物製品内に残存することによる「鋳
巣」などの鋳造欠陥の発生を防止する上で、金属溶湯が
湯口にできるだけ遠い部分から凝固するように、鋳込み
工程後の溶湯の冷却に指向性を与えることが有効である
ことが知られている。金属溶湯をこのような指向性の下
に冷却・凝固させることにより、鋳造キャビティ内に存
在するガスは次第に湯口側に押しやられ、最終的にはこ
の湯口部分に溜まった状態で凝固を終えるようにするこ
とが可能となる。この湯口部分は、鋳造完了後に不要部
分として切断除去されるものであるので、鋳造製品自体
については、ガスが残存する惧れがそれだけが少なくて
済み、鋳造欠陥の発生を有効に抑制できるのである。
【0010】特に、坩堝内の金属溶湯の湯面を加圧エア
等で加圧してストーク内の溶湯を押し上げ、この押し上
げられた溶湯を鋳型キャビティ内に供給して鋳造する、
所謂、低圧鋳造法では、上下の金型のうち下型側に湯口
が設けられることが多く、この場合、金属溶湯で満たさ
れたキャビティ内に存在するガスは湯口から遠い上型側
に上昇するのが一般的であるので、上述のような指向性
を持った溶湯の冷却を行うことがより重要となる。この
ような場合、鋳物砂を主原料としているので金属製の鋳
型に比べてはるかに熱を伝えにくい中子を利用して、か
かる冷却の指向性を実現することができれば、極めて好
都合である。
【0011】この発明は、上記諸問題に鑑みてなされた
もので、シリンダヘッドを鋳造するに際して、2本の長
尺状の中子間の軸芯距離を正確に保ち、また、これら中
子の損傷を防止し、或いは、これら中子内部に生じるガ
スを迅速に鋳型外部に排出できるようにし、更には、鋳
造品のガス欠陥発生を抑制することを基本的な目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このため、本願の請求項
1の発明(以下、これを本願の第1の発明という。)に係
るシリンダヘッドの鋳型構造は、少なくとも第1および
第2の2本の長尺状の中子を型内に組み付けた後、鋳造
キャビティ内に溶湯を注入・充填してエンジンのシリン
ダヘッドを鋳造する鋳型において、上記両中子の両端部
には巾木が設けられ、第1中子はその巾木を介して鋳型
内に組み付けられており、第2中子は、その巾木が上記
第1中子の巾木に支持されることにより、鋳型内に組み
付けられていることを特徴としたものである。
【0013】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
これを本願の第2の発明という。)は、上記第1の発明
において、上記両中子の少なくとも一方の中子の巾木か
ら、鋳造時に当該中子および他方の中子で発生するガス
を吸引する吸引手段が設けられていることを特徴とした
ものである。
【0014】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
これを本願の第3の発明という。)は、上記第1または
第2の発明において、上記各中子の巾木の内側面により
シリンダヘッドの側面に対応する鋳型面の少なくとも一
部が形成されていることを特徴としたものである。
【0015】また更に、本願の請求項4に係る発明(以
下、これを本願の第4の発明という。)は、上記第1〜
第3のいずれか一の発明において、上記第1中子が組み
付けられる鋳型には、該第1中子の一端側および他端側
の各巾木にそれぞれ対応する部分に第1および第2の巾
木係止部がそれぞれ設けられる一方、上記第1中子の一
端側および他端側の各巾木には、上記第1および第2の
巾木係止部にそれぞれ係合する第1および第2の係合部
がそれぞれ設けられており、第1係合部は上記第1巾木
係止部に対して移動不能に係合する一方、第2係合部は
上記第2巾木係止部に対して中子の長手方向にのみ移動
可能でその他の方向には移動不能に係合することを特徴
としたものである。
【0016】また更に、本願の請求項5に係る発明(以
下、これを本願の第5の発明という。)は、上記第4の
発明において、上記第1中子の一端側および他端側の各
巾木に第3および第4の巾木係止部がそれぞれ設けられ
る一方、上記第2中子の一端側および他端側の各巾木に
は、上記第3および第4の巾木係止部にそれぞれ係合す
る第3および第4の係合部がそれぞれ設けられており、
第3係合部は上記第3巾木係止部に対して移動不能に係
合する一方、第4係合部は上記第4巾木係止部に対して
中子の長手方向にのみ移動可能でその他の方向には移動
不能に係合することを特徴としたものである。
【0017】また更に、本願の請求項6に係る発明(以
下、これを本願の第6の発明という。)は、上記第1〜
第5のいずれか一の発明において、上記鋳型は接離可能
に設けられた一対の上型および下型を備えており、上記
各巾木の外側面には、上記両型を閉じ合わせる際のガイ
ド用のテーパ部が設けられていることを特徴としたもの
である。
【0018】また、更に、本願の請求項7に係る発明
(以下、これを本願の第7の発明という。)は、上記第
6の発明において、上記上型および下型の型閉じ方向と
略直交する方向にスライド可能で鋳造キャビティの側壁
の少なくとも一部を形成する可動側壁が上型に設けら
れ、該上型には、上記可動側壁の下側に位置して該可動
側壁のスライド動作を案内するガイド部が設けられてい
ることを特徴としたものである。
【0019】また、更に、本願の請求項8に係る発明
(以下、これを本願の第8の発明という。)は、上記第
1〜第7のいずれか一の発明において、上記鋳型内に
は、上記第1および第2中子と略直交する方向へ延びる
第3の中子が、その巾木を鋳型側壁に支持させた状態で
組み付けられ、上記第3中子の巾木の内側面によりシリ
ンダヘッドの他の側面に対応する鋳型面の少なくとも一
部が形成されており、上記第3中子の巾木を支持する鋳
型側壁の少なくとも一部が砂壁で構成されていることを
特徴としたものである。
【0020】また、本願の請求項9の発明(以下、これ
を本願の第9の発明という。)に係るシリンダヘッドの
鋳造方法は、少なくとも第1および第2の2本の長尺状
の中子を鋳型内に組み付けた後、鋳造キャビティ内に溶
湯を注入・充填してエンジンのシリンダヘッドを鋳造す
る鋳造方法において、上記両中子の両端部に巾木を設
け、第1中子はその巾木を介して鋳型内に組み付けると
ともに、第2中子は、その巾木を上記第1中子の巾木に
支持させることによって鋳型内に組み付け、その後に、
鋳造キャビティ内に溶湯を注入・充填することを特徴と
したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、例
えば、自動車用エンジンのシリンダヘッドの鋳造に適用
した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に
説明する。図1および図2は、本実施の形態に係る鋳造
装置の正面説明図および側面説明図である。この鋳造装
置Aは、所謂、低圧鋳造プロセス用のもので、下型DL
および上型DUがそれぞれ下プラテン1および上プラテ
ン2に取り付けられ、該上プラテン2は下プラテン1に
対して上下方向に駆動される。つまり、上型DUは下型
DLに対して上下方向に移動でき、これにより両者が接
離可能(両者の型合わせ面どうしが当接した型閉じ状態
と両者が離間した型開き状態とを選択的に取り得る)と
されている。尚、後で詳しく説明するように、上記上型
DUには、鋳造キャビティの側壁部を形成するスライド
動作可能な複数のサイド型が取り付けられている。
【0022】上記下プラテン1の下側方には、鋳造時に
金属溶湯を供給するための保持炉FHが配設され、溶湯
は下型DL側から供給されるようになっている。本実施
の形態では、シリンダヘッド鋳造用の材料として、例え
ばアルミニウム(Al)合金が用いられ、上記保持炉F
H内にはAl合金の溶湯が貯えられる。この保持炉FH
は、好ましくは台車4(保持炉台車)上に固定されてお
り、この保持炉台車4を駆動することにより必要に応じ
て下プラテン1に対して移動できるようになっている。
尚、上記保持炉FHの内部構造等およびかかる保持炉F
Hを用いて行う低圧鋳造法の概略については後述する。
【0023】上記鋳造装置Aには、上型DUが上昇して
下型DLとの間に型開き空間Kが形成されたときに該型
開き空間K内に進退出可能な2つの台車BC,BPが備
えられている(図2においては、図面の複雑化を回避す
るために、その図示は省略されている)。第1の台車B
Pは、後で詳しく説明するように、基本的には下型DL
の湯口への金網のセットと上型DUからの鋳造製品の取
り出しとを行うもので、以下、適宜、製品取り出し台車
と称する。また、第2の台車BCは、後で詳しく説明す
るように、基本的には下型DLへの中子等のセットと上
型DUへの塗型剤の塗布とを行うもので、以下、適宜、
中子台車と称する。また、これら第1および第2台車B
P及びBCは、共通のレール3上を走行できるようにな
っている。尚、これら第1および第2台車BP及びBC
の構造・作動等の詳細については後述する。
【0024】次に、上記低圧鋳造装置Aに備えられた保
持炉FHについて説明する。図3は、保持炉FHの内部
構造を模式的に示す保持炉および鋳型の縦断面説明図で
ある。この図に示すように、上記保持炉FHは、上部が
開放された箱状に形成され、その内部には溶湯(金属溶
湯)を貯える坩堝5が担台5B上に支持された状態で収
納されている。保持炉FHの内壁面には、坩堝5内の溶
湯を所定温度に加熱保持するヒータ8が配設されてい
る。また、保持炉FHの上部開放口は着脱可能な炉蓋7
によって気密状に閉塞されており、これにより、保持炉
FHの内部に上記坩堝5を覆う気密状の加圧室Rpが形
成されている。
【0025】上記炉蓋7の中央部には貫通孔7hが形成
され、この貫通孔7hにはストーク6が嵌装されてい
る。このストーク6は、その上側がデストリビュータ9
に連通する一方、その下部が坩堝5内の溶湯に浸漬せし
められている。上記デストリビュータ9は、鋳型Dに複
数の湯口Diが設けられている場合に、坩堝5からの溶
湯を各湯口Diに分配して供給するもので、保持炉FH
の上面(つまり炉蓋7の上面)と鋳型Dの下面(つまり
下型DLの下面)との間に配置される。尚、本実施の形
態では、下型DLに複数(例えば4個)の湯口Diが設
けられている。上記鋳型Dは、後述するように、上型D
Uと下型DLと複数のサイド型DSとで構成され、これ
ら各型のこれら上型DU,下型DL及び各サイド型DS
の各内面により形成される鋳造キャビティМcの内部に
は、上から順にオイルジャケット中子CО、ウォーター
ジャケット中子CW及びポート中子CPが配置されてい
る。このキャビティМcは、下型DLに形成された湯口
Diを介してデストリビュータ9の内部に連通してい
る。
【0026】上記保持炉FHには、加圧室Rpに加圧エ
アを供給するエア供給路81が設けられており、このエ
ア供給路81を介して供給される加圧エアの圧力が坩堝
FH内の溶湯の湯面に作用することによりストーク6内
の溶湯が押し上げられる。そして、この押し上げられた
溶湯は、ストーク6からデストリビュータ9及び湯口D
iを介して、鋳型Dの鋳造キャビティМc内に供給・充
填されるようになっている。上記エア供給路81には加
圧エアの供給及び停止の切換えを行う開閉式給気弁82
が介設されると共に、この開閉式給気弁82よりも上流
側のエア供給路81には、加圧エアの圧力を調整する圧
力制御弁83が介設されている。また、この圧力制御弁
83にはその開度を制御するサーボ機構84が付設され
ており、これら圧力制御弁83及びサーボ機構84によ
り、坩堝FH内の溶湯の湯面に加えられる圧力の加圧パ
ターンを変化させる圧力可変制御手段85が構成されて
いる。
【0027】一方、鋳型Dの上型DUにはリング状の絶
縁体86が挿着され、この絶縁体86の両側における上
型DUの各々の上部に、鋳造キャビティМc内に溶湯が
充填されたときに導通する2本の配線87が接続されて
いる。更に、両配線87は、これら両配線87が互いに
導通したときに充填信号を送出する溶湯充填検知回路8
8に電気的に接続されている。上記絶縁体86、配線8
7及び溶湯充填検知回路88によって、溶湯のキャビテ
ィМc内への充填を検出する充填検知センサ89が構成
されている。また、上記溶湯充填検知回路88は、圧力
可変制御手段85の加圧パターンを変化させる加圧パタ
ーン制御手段90に電気的に接続され、該加圧パターン
制御手段90には、溶湯の鋳造キャビティМc内への供
給開始後、予め設定された所定時間が経過したときに経
過信号を送出するタイマ94が電気的に接続されてい
る。上記加圧パターン制御手段90は、例えば所謂CP
U(中央演算処理装置)を内蔵しており、充填検知セン
サ89からの充填信号またはタイマ94からの経過信号
に基づいて、圧力可変制御手段85の加圧パターンを変
化させるようになっている。
【0028】図4は、上記鋳造装置Aの加圧制御系統の
概略を示すブロック構成図である。この図に示すよう
に、上記加圧制御系統には、開閉式給気弁82がОN
(オン)操作されて加圧室Rpへの加圧エアの供給が開
始されたときにオン信号を出力する加圧開始信号スイッ
チ95と、溶湯が鋳造キャビティМc内に充填されたと
き充填検知センサ89より送出される充填信号によりオ
ン信号を出力する充填信号スイッチ96と、鋳造が完了
したときにオン信号を出力する鋳造完了スイッチ97と
が設けられ、これら各スイッチ95,96及び97は加
圧パターン制御手段90に電気的に接続されている。上
記タイマ94は、この加圧パターン制御手段90に接続
されると共に、加圧開始信号スイッチ95及び鋳造完了
スイッチ97が繋ぎ込まれている。そして、加圧開始信
号スイッチ95からオン信号を受けると起動すると共
に、起動後、所定時間t2が経過するとオン信号を出力
し、鋳造完了スイッチ97からオン信号を受けるとリセ
ットするよう設定されている。
【0029】上記加圧パターン制御手段90は、より好
ましくは、第1および第2の二つのCPU91及び92
を有している。第1CPU91は、加圧開始信号スイッ
チ95からオン信号を受けると圧力可変制御手段85を
制御して加圧室Rp内の圧力を急速に上昇させる一方、
加圧開始後、所定時間t1が経過した後は圧力上昇速度
を遅くし、充填信号スイッチ96又はタイマ94の何れ
かからオン信号を受けるとその時点での圧力を維持し、
鋳造完了スイッチ97からオン信号を受けると加圧室R
p内の圧力を常圧に戻す加圧パターンの第1加圧信号を
出力するように設定されたCPUである。
【0030】また、第2CPU92は、充填信号スイッ
チ96又はタイマ94のいずれかからオン信号を受ける
と加圧室Rp内の圧力を上昇させ、この圧力が所定値に
達するとその時点での圧力を維持し、鋳造完了スイッチ
97からオン信号を受けると加圧室Rp内の圧力を常圧
に戻す加圧パターンの第2加圧信号を出力するように設
定されたCPUである。このように加圧パターンが互い
に異なる第1,第2の加圧信号をそれぞれ出力する第1,
第2のCPU91,92と加算回路93とで加圧パター
ン制御手段90が構成されている。上記加算回路93
は、第1CPU91からの第1加圧信号と第2CPU9
2からの第2加圧信号とを加算する回路であり、その加
算信号を上述のサーボ機構84に送出するようになって
いる。
【0031】次に、上記低圧鋳造装置Aで用いられる鋳
型Dについて説明する。図5は、上型DU側を型合わせ
面側から(つまり下側から)見てその構造を模式的に示
した底面説明図である。上型DUは、前述のように、下
型DLに対して上下方向に接離可能に設けられ、この上
型DUに、鋳造キャビティの側壁部を形成するスライド
動作可能な複数のサイド型DS(DS1,DS2及びD
S3)が取り付けられている。また、本実施の形態で
は、鋳型Dは、より好ましくは、1回の鋳造工程で2個
の鋳造品得るようにした、所謂、2個取り用の鋳型とさ
れ、図5から分かるように、上型DUにおいても、1つ
の型盤110に左右対称に2つの型部が形成されてい
る。
【0032】これら左右の各型部には、その中央部に複
数(本実施の形態では4個)のプラグ孔形成用の突出部
111が設けられるとともに、その両側にそれぞれ複数
(本実施の形態ではそれぞれ5個)のボルト孔形成用の
突出部112が設けられている。上記プラグ孔形成用の
突出部111は、シリンダヘッドに点火プラグを挿入さ
せる孔部を形成するためのものであり、また、ボルト孔
形成用の突出部112はシリンダヘッドにボルト孔を形
成するためのものである。尚、上記各鋳型(上型DU,
下型DL及びサイド型)は、いずれも例えば鋼製とされ
ている。
【0033】上型DUには、複数(本実施の形態では合
計6個)のサイド型DS(DS1,DS2及びDS3が
それぞれ2組)が取り付けられ、これら各サイド型DS
1,DS2及びDS3にはそれぞれシリンダ装置121,
122及び123(サイド型駆動シリンダ)が付設され
ている。そして、これらシリンダ装置121,122及
び123を駆動することによって、各サイド型DS1,
DS2及びDS3をそれぞれ上型DUの型盤110に沿
って(つまり、上型DUと下型DLの型閉じ方向と略直
交する方向に)スライドできるようになっている。
【0034】これらサイド型DS1,DS2及びDS3
は、後述するように鋳造時および塗型剤塗布時など、鋳
型Dを閉じて鋳造キャビティを形成する際には、図5に
示されるように、それぞれ内方にスライド駆動されて閉
じ合わされる。一方、鋳造完了後に鋳造品を鋳型D内か
ら取り出す際には、上型DUを上昇させて上下の鋳型D
U,DLを型開きした後、これらサイド型DS1,DS2
及びDS3も、それぞれ外方にスライド駆動されて型開
きされるようになっている。
【0035】尚、後述するように、下型DLについて
も、上型DUに対応して1つの型盤130に左右対称に
2つの型部が形成されており、その左右の型部の中央に
は、両型部を仕切るようにして砂壁138が取り付けら
れる。この砂壁138は、より好ましくは、下型DLに
中子CО,CW及びCPを組み付ける際に同一の組付工
程で下型DLに組み付けられる。そして、このように、
下型DLに中子CО,CW及びCP並びに砂壁138を
組み付けた状態で、上型DUを下降させて上下の鋳型D
U,DLを閉じ合わせると、上型DUの左右の型部の中
央には、下型DLに組み付けられた砂壁138が位置し
て、左右の各シリンダヘッドの鋳造キャビティの側壁の
一つが形成されることになる。すなわち、各シリンダヘ
ッドの鋳造キャビティは、上型DUに設けられた3個の
可動サイド型DS1,DS2及びDS3と、下型DLに
セットされた固定砂壁130とで、その側面に対応した
鋳型面(側壁面)が形成されるようになっている。
【0036】図6は、下型DLの平面説明図である。
尚、この下型DLについても、1つの型盤に左右対称に
2つの型部が形成されているが、図6においては、片側
(右側)の型部のみを図示し、左右が対象である点を除
いてはこれと全く同一に形成されている他側(左側)の
型部については、その詳細な図示は省略されている。こ
の下型DLには、図7にも示すように、左右の各型部
に、後述するように中子CО,CW及びCPを組み付け
るための巾木受け部が設けられている。すなわち、各型
部の長手方向に所定間隔を隔てて配置された第1および
第2の巾木受け部131及び132と、各型部の長手方
向に沿って延びるように互いに所定間隔を隔てて配置さ
れた第3および第4の巾木受け部133及び134とが
設けられている。
【0037】上記第1および第2の巾木受け部131及
び132は、前述のウォータジャケット中子CWを組み
付けるための巾木受け部であり、該ウォータジャケット
中子CWの巾木を受け合うものである。また、上記第3
および第4の巾木受け部133及び134は、前述のポ
ート中子CPの巾木を組み付けるための巾木受け部であ
り、該ポート中子CPの巾木を受け合うものである。以
上の巾木受け部131〜134を用いて、図8に詳しく
示すように、上から順にオイルジャケット中子CО、ウ
ォータージャケット中子CW及びポート中子CPが、下
型DLに対して組み付けられる。
【0038】以下、これら各中子CО,CW及びCPの
下型DLへの組付方法について説明する。本実施の形態
では、共にシリンダヘッドの長手方向に延びるように、
且つ、上下に配置されるオイルジャケット中子CОとウ
ォータジャケット中子CWについて、下側に配置される
ウォータジャケット中子CWは、その両端部に設けられ
た第1および第2の巾木部141及び142を介して下
型DLに組み付けられ、オイルジャケット中子CОは、
その両端部に設けられた巾木143及び144が上記ウ
ォータジャケット中子CWに支持されることにより下型
DLに組み付けられている。尚、本明細書において「巾
木」というときは、中子本体部と一体に設けられたも
の、及び別体に設けて中子本体と組み合わせて用いられ
るもののいずれをも含むものとする。
【0039】すなわち、図11に示すように、下側にセ
ットされるウォータジャケット中子CWは、その両端部
に第1及び第2の巾木部141及び142が設けられ、
各巾木部141,142には、下方に開口する凹状の第
1および第2の係合部141h及び142hがそれぞれ
形成されている。一方、下型DLの第1および第2の巾
木受け部131及び132には、上方に突出する凸状の
第1および第2の巾木係止部131a及び132aがそ
れぞれ形成されている。そして、第1および第2の巾木
部141及び142の各係合部(第1および第2の係合
部141h及び142h)を第1および第2の巾木受け
部131及び132の各巾木係止部(第1および第2の
巾木係止部131a及び132a)にそれぞれ上方から
嵌め込んで係合させることにより、ウォータジャケット
中子CWが下型DLに組み付けられている。
【0040】また、上側にセットされるオイルジャケッ
ト中子CОについても、その両端部に巾木部143及び
144(第3および第4巾木部)が設けられ、各巾木部
143,144には、ウォータジャケット中子CWの場
合と同様の下方に開口する凹状の第3および第4の係合
部143h及び144hがそれぞれ形成されている。一
方、ウォータジャケット中子CWの第1および第2の巾
木部141及び142の上面には、上方に突出する凸状
の第3および第4の巾木係止部141a及び142aが
それぞれ形成されている。
【0041】そして、第3および第4の巾木部143及
び144の各係合部(第3および第4の係合部143h
及び144h)を第1および第2の巾木部141及び1
42の上面に形成された各巾木係止部(第3および第4
の巾木係止部141a及び142a)にそれぞれ上方か
ら嵌め込んで係合させることにより、オイルジャケット
中子CОが、ウォータジャケット中子CWの各巾木部1
41及びB142を介して下型DLに組み付けられてい
る。尚、上型DUを下降させて上下の鋳型DU及びDL
を閉じ合わせた際には、上記オイルジャケット中子CО
の巾木部143及び144の上面側に、上型DUと共に
下降して来たサイド型DS1及びDS2の上内面が当接
するようになっている。
【0042】このように、2本の長尺状の中子CW,C
Оのうち、上側に配置されるオイルジャケット中子CО
はその巾木143及び144が、下側に配置されるウォ
ータジャケット中子CWの巾木141及び142に支持
されることによって下型DLに組み付けられているの
で、両中子CW,CОは互いの巾木を介して一体的に鋳
型(下型DL)内に組み付けられることになり、両者C
W,CОをそれぞれ個別に鋳型に組み付ける場合に比べ
て、両中子CW,CОの軸芯間の距離を極めて安定して
一定値に保つことができる。これにより、各中子CW,
CОに対応する通路(ウォータジャケット及びオイルジ
ャケット)間の肉厚管理を確実に行うことができるので
ある。
【0043】また、かかる構成を採用することにより、
予め両中子CW,CОを一体的に組み合わせておき、こ
の組み合わせた中子(CW+CО)を下型DLに組み付
けるようにすることも可能になり、中子組付工数を削減
でき、また、自動組付を行う場合にあっては、アクチュ
エータの数も少なくて済み、中子組付装置の構造の簡素
化を図ることができる。
【0044】更に、本実施の形態では、図12及び図1
3に詳しく示すように、上記第1係合部141hの内面
と第1巾木係止部131aの外面とは、その形状および
寸法が実質的に略同じになるように設定されており、第
1係合部141hは第1巾木係止部131aに対して、
その全面(テーパ面を含めて4面)について隙間無く、
従って、全面について移動不能に係合するようになって
いる。また、上記第2巾木係止部132aは、中子CW
の長手方向についてのみ、その凸部の厚さ寸法が第2係
合部142hの凹部幅よりも所定量だけ小さく設定さ
れ、かつ、中子CWを下型DLに組み付けた時点で、第
2巾木係止部132aの長手方向における両側に一定量
以上の隙間が設けられるように、両者の位置関係が設定
されている。
【0045】一方、図12から良く分かるように、中子
CWの横方向につては、上記第2係合部142hの内面
寸法と第2巾木係止部132aの外面寸法とが実質的に
略同じになるように設定されており、第2係合部142
hは第2巾木係止部132aに対して、その横方向につ
いて隙間無く、従って、この方向について移動不能に係
合するようになっている。すなわち、上記第2係合部1
42hは第2巾木係止部132aに対して中子CWの長
手方向にのみ移動可能でその他の方向には移動不能に係
合するようになっている。
【0046】このように、下型DLに対して直接に組み
付けられるウォータジャケット中子CWの一端側に設け
られた第1係合部141hは鋳型(下型DL)の第1巾
木係止部131aに対して移動不能に係合する一方、上
記ウォータジャケット中子CWの他端側に設けられた第
2係合部142hは下型DLの第2巾木係止部132a
に対して中子CWの長手方向にのみ移動可能でその他の
方向には移動不能に係合するので、中子CWの位置ずれ
を招くことなく正確に位置決めを行った上で、中子CW
の長手方向については、当該中子CWと下型DLの熱膨
脹量の差を有効に吸収することができ、この熱膨脹量の
相違に起因して、中子CWにクラックや折損等の不具合
が生じることを防止できるのである。
【0047】また、上記ウォータジャケット中子CWの
両端部の各巾木141及び142に設けた第3および第
4の巾木係止部141a及び142aと、ウォータジャ
ケット中子CWの上方に配置されるオイルジャケット中
子CОの両端部の各巾木143及び144に設けた第3
および第4の係合部143h及び144hとについて
も、下型DLに設けた第1および第2巾木係止部131
a及び132aとウォータジャケット中子CWに設けた
第1および第2の係合部141h及び142hとの組み
合わせにおける場合と同様の構成により、第3係合部1
43hは上記第3巾木係止部141aに対して移動不能
に係合する一方、第4係合部144hは上記第4巾木係
止部142aに対して中子の長手方向にのみ移動可能で
その他の方向には移動不能に係合するようになってい
る。
【0048】これにより、オイルジャケット中子CОの
ウォータジャケット中子CWに対する位置ずれを招くこ
となく正確に位置決めを行った上で、これら中子の長手
方向については、両者CО,CWの熱膨脹量の差を有効
に吸収することができる。その結果、中子CО,CWど
うしを予めセットする際あるいは鋳造時などにおいて、
両者CО,CWの熱膨脹量の相違に起因して、中子CО
及び/又はCWにクラックや折損等の不具合が生じるこ
とも防止できるのである。
【0049】また、本実施の形態では、鋳造時に上記2
本の長尺の中子(オイルジャケット中子CО及びウォー
タジャケット中子CW)で発生するガスを各中子CО,
CWの巾木部分から吸引して外部に排出するようにして
いる。すなわち、図14に詳しく示すように、例えば、
オイルジャケット中子CОの第4巾木部144及びウォ
ータジャケット中子CWの第2巾木部142側では、上
型DUを下降させて上下の鋳型DU及びDLを閉じ合わ
せた際に、上記各巾木部144及び142の外面と、第
2巾木受け部132の外面を含む下型DLの表面と、オ
イルジャケット中子CОの巾木部144の上面側に当接
するサイド型DS1の内面とで、密閉空間101が形成
される。
【0050】上記サイド型DS2の側面には、この密閉
空間101に連通する例えば可撓性のホース102の一
端が繋ぎ込まれており、該ホース102の他端側はガス
吸引手段としての真空ポンプ103に接続されている。
そして、この真空ポンプ103を駆動して密閉空間10
1内を吸引することにより、オイルジャケット中子CО
及びウォータジャケット中子CWのバインダが鋳造時に
ガス化することによって生じたガスが吸引されて鋳造キ
ャビティの外部に排出されるようになっている。
【0051】このように、上記両中子CО及びCWの巾
木部分144及び142から、鋳造時にこれら中子CО
及びCWで発生するガスを吸引する吸引手段103(真
空ポンプ)が設けられているので、中子CО及びCWが
長尺物であっても、その内部に発生したガスをその巾木
部分144及び142から強制的に吸引して迅速に鋳造
キャビティの外部に排出させ、得られた鋳物にガス欠陥
が生じることを効果的に防止できるのである。
【0052】尚、この場合において、両中子CО及びC
Wは互いの巾木部分144及び142を介して一体的に
鋳型(下型DL)内に組み付けられているので、たとえ
一方の中子が上記密閉空間101内に面しておらず、真
空ポンプ103から実質的に遮断されている場合であっ
ても、他方の中子の巾木からガスの吸引が行われるの
で、上記一方の中子の内部で発生したガスも有効に鋳型
外部に排出することが可能である。
【0053】また、本実施の形態では、上述のようにし
てウォータジャケット中子CWとオイルジャケット中子
CОとを下型DLに対して組み付けることにより、これ
ら中子CWおよびCОの各巾木の内側面によってシリン
ダヘッドの側面に対応する鋳型面の少なくとも一部が形
成されているようになっている。すなわち、ウォータジ
ャケット中子CWの巾木部分141及び142の各内面
141f及び142f(図11参照)とオイルジャケッ
ト中子CО巾木部分143及び144の各内面143f
及び144fが、シリンダヘッドの側面に対応する鋳型
面の少なくとも一部をなしている。
【0054】このように、上記各中子CW及びCОの巾
木141〜144の内側面141f〜144fによりシ
リンダヘッドの側面に対応する鋳型面の少なくとも一部
を形成することにより、中子CW及びCОの巾木141
〜144を利用して鋳型面の一部を形成することができ
る。この場合、鋳物砂を主原料とする中子の側面で鋳型
面の一部が形成された鋳型部分への伝熱は他の鋳型部分
に比べて大幅に抑制されるので、鋳込み工程後の溶湯の
冷却に指向性を与えることが可能となる。
【0055】これにより、上記ウォータジャケット中子
CWが組み付けられる側の鋳型(下型DL)に設けられ
た湯口Diから遠い側の鋳型(上型DU)への熱の伝達
を抑制し、金属溶湯が湯口Diにできるだけ遠い部分か
ら凝固するように、鋳込み工程後の溶湯の冷却に指向性
を与えることが可能となる。すなわち、鋳込み工程後の
金属溶湯をこのような指向性の下に冷却・凝固させるこ
とにより、鋳造キャビティ内に存在するガスは次第に湯
口Di側に押しやられ、最終的にはこの湯口部分に溜ま
った状態で凝固を終えるようにすることが可能となる。
この湯口部分は、鋳造完了後に不要部分として切断除去
されるものであるので、鋳造製品自体については、ガス
が残存する惧れがそれだけが少なくて済み、鋳造欠陥の
発生を有効に抑制できるのである。
【0056】更に、図7〜図9から良く分かるように、
下型DLには、上記ウォータジャケット中子CW及びオ
イルジャケット中子CОと略直交する方向へ延びる第3
の中子として、シリンダヘッドの給排気ポートに対応し
たポート中子CPが、その巾木145,146を巾木受
け部135,136を含む鋳型側壁に支持させた状態で
組み付けられており、これらポート中子CPの巾木14
5,146の内側面145f,146fによりシリンダヘ
ッドの他の側面に対応する鋳型面の少なくとも一部が形
成されている。また、特に、図7における左側(つま
り、下型DLの中央側で、図8においては右側)のポー
ト中子CPについては、その巾木145を支持する鋳型
側壁の少なくとも一部が砂壁138で構成されている。
【0057】従って、シリンダヘッドの他の側面に対応
する鋳型面を含む鋳型部分についても、上記と同様の理
由により、他の鋳型部分に比べて伝熱が大幅に抑制され
るので、金属溶湯が湯口Diにできるだけ遠い部分から
凝固するように、鋳込み工程後の溶湯の冷却に指向性が
与えられ、鋳造欠陥の発生の抑制に貢献することができ
る。
【0058】また、更に、本実施の形態では、図11か
ら良く分かるように、上記ウォータジャケット中子CW
の巾木141の外側面およびオイルジャケット中子CО
の巾木143の外側面に、上型DUを下型DLに対して
閉じ合わせる際に、サイド型DS1のテーパ状内面12
7をスムースに案内するガイド用のテーパ部141g及
び143gが設けられている。上記各中子CW及びCО
の巾木141及び143の外側面にこのようなガイド用
のテーパ部141g及び143gが設けられているの
で、上型DUを下型DLに対して閉じ合わせる際には、
特にガイド部を別設する必要なしに、両型の閉じ合わせ
動作をスムースに行わせることができるのである。
【0059】また、更に、本実施の形態では、図8から
良く分かるように、上記ポート中子CPの巾木146の
外側面に、上型DUを下型DLに対して閉じ合わせる際
に、サイド型DS3のテーパ状内面126をスムースに
案内するガイド用のテーパ部146gが設けられてい
る。また、より好ましくは、巾木受け部136の外側面
にも同様のテーパ部136gが設けられている。上記ポ
ート中子CPの巾木146の外側面にこのようなガイド
用のテーパ部146gが設けられ、また、より好ましく
は、巾木受け部136の外側面にも同様のテーパ部13
6gが設けられているので、上型DUを下型DLに対し
て閉じ合わせる際には、特にガイド部を別設する必要な
しに、両型の閉じ合わせ動作をスムースに行わせること
ができる。
【0060】また、更に、本実施の形態では、上型DU
及び下型DLの型閉じ方向と略直交する方向にスライド
可能なサイド型DS(DS1〜DS3)が上型DUに設
けられているが、図10(a)及び図10(b)に示す
ように、この上型DUには、上記サイド型DSの下側に
位置して該サイド型DSのスライド動作を案内する下ガ
イド部119aが設けられている。この下ガイド部11
9aの両端部はそれぞれ横ガイド部119bに連結され
ており、これら一対の横ガイド部119bと上記下ガイ
ド部119aとで、サイド型DSのスライド動作を案内
するためのフレーム状のスライドガイド119が形成さ
れている。これにより、特にガイド部を別設する必要な
しに、上記サイド型DSのスライド動作をスムースに行
わせることができる。
【0061】本実施の形態では、上記鋳型Dに、鋳込み
後の金属溶湯の凝固を促進し、また、鋳型Dに塗型剤を
塗布する際の鋳型Dの温度(型温)を適正に保つため
に、鋳型Dの型温を所定範囲に冷却制御するようにして
いる。次に、本実施の形態に係る鋳型Dの冷却制御につ
いて説明する。まず、上型DUの冷却制御について説明
する。前述のように、上型DUの左右の各型部には、そ
の中央部に複数のプラグ孔形成用の突出部111が設け
られるとともに、その両側にそれぞれ複数のボルト孔形
成用の突出部112が設けられている(図5参照)。本
実施の形態では、これら突出部111及び112に上型
DUの冷却制御機構が設けられている。
【0062】すなわち、図15および図16に示すよう
に、プラグ孔形成用の突出部111の内部には、その軸
線方向に伸長する空洞部111hが設けられ、各空洞部
111hには、特に図16に詳しく示すように、冷却媒
体を空洞部111hの内部に導入する導入パイプ114
と、冷却媒体を空洞部111hの外部に排出する排出パ
イプ115とが、それぞれ挿入されている。上記導入パ
イプ114は冷却媒体の供給源(不図示)に接続され、
一方、上記排出パイプ115は冷却媒体の回収装置(不
図示)に接続されている。上記導入パイプ114及び冷
却媒体の供給源(不図示)並びに排出パイプ115及び
冷却媒体の回収装置(不図示)を含む冷却媒体循環系が
上記プラグ孔形成用の突出部111における冷却手段を
構成している。
【0063】また、図17に詳しく示すように、ボルト
孔形成用の突出部112の内部にも、その軸線方向に伸
長する空洞部112hが設けられ、各空洞部112hに
は、冷却媒体を空洞部112hの内部に導入する導入パ
イプ116が挿入されている。このボルト孔成形用の突
出部112の場合には、空洞部112h内に導入された
冷却媒体は、空洞部112hの開口から外部に排出され
るようになっている。上記導入パイプ116は、プラグ
孔形成用の突出部111用のものとは異なる冷却媒体供
給源(不図示)に接続されており、この冷却媒体供給源
および導入パイプ116を含む冷却媒体供給系によっ
て、上記ボルト孔形成用の突出部112における冷却手
段が構成されている。
【0064】本実施の形態では、鋳込み後の金属溶湯の
冷却に適正な指向性を持たせ、欠陥の少ない高品質の鋳
造品を得られるようにするために、各突出部111,1
12にそれぞれ設けられた冷却手段について、鋳型DU
の中央に比較的近い内側の突出部(つまり、プラグ孔形
成用の突出部111)のものが、型周囲に比較的近い外
側の突出部(つまり、ボルト孔形成用の突出部112)
のものよりも冷却能力が大きく設定されている。具体的
には、上記プラグ孔形成用の突出部111に設けた冷却
手段の冷却媒体に液体(例えば水)が用いられ、ボルト
孔形成用の突出部112に設けた冷却手段の冷却媒体に
は気体(例えばエア)が用いられている。
【0065】このように、上型DUに設けられた孔部形
成用の各突出部111及び112に冷却手段を設けたの
で、湯口Diから遠い側の鋳型(上型DU)を積極的に
冷却して金属溶湯が湯口Diにできるだけ遠い部分から
凝固するように、鋳込み工程後の溶湯の冷却に指向性を
与えることが可能となる。また、複数の突出部111及
び112に設けた冷却手段について、型中央に比較的近
い内側のプラグ孔形成用の突出部111のものが型周囲
に比較的近い外側のボルト孔形成用の突出部112のも
のよりも冷却能力が大きく設定されているので、鋳造キ
ャビティの中央側部分と外側部分とについても、金属溶
湯ができるだけ中央側部分から徐々に冷却されるような
指向性を持った溶湯の冷却を行うことができるようにな
る。
【0066】すなわち、鋳込み後の金属溶湯を凝固させ
るに際して、上記冷却手段を設けることによって溶湯の
凝固を促進するとともに、単に凝固速度を高めるだけで
なく、シリンダヘッド特有の形状を利用して、適正な指
向性を持った冷却を行わせるようにすることができ、ガ
ス欠陥等の不具合の発生を有効に抑制して高品質の鋳造
品をより安定して得ることができるのである。
【0067】特に、上記内側のプラグ孔形成用の突出部
111に設けた冷却手段の冷却媒体が液体(水)であ
り、外側のボルト孔形成用の突出部112に設けた冷却
手段の冷却媒体は気体(エア)であるので、液体と気体
の熱伝達特性の違いを利用して、複数の突出部111及
び112に設けた冷却手段に関し、型中央に比較的近い
内側の突出部111のものが型周囲に比較的近い外側の
突出部112のものよりも冷却能力が大きくなるような
設定を確実に行うことができる。
【0068】また、特に、上記各突出部111及び11
2は、少なくとも、シリンダヘッドの中央に比較的近い
プラグ孔とシリンダヘッドの周囲に比較的近いボルト孔
にそれぞれ対応しているので、シリンダヘッドに特有の
プラグ孔およびボルト孔を利用して、鋳込み後の金属溶
湯に適正な指向性を持った冷却凝固を行わせることがで
きるのである。
【0069】更に、本実施の形態では、上記内側の突出
部(つまり、プラグ孔形成用の突出部111)につい
て、これに設けた冷却手段の冷却作動休止後、突出部1
11の空洞部111h内に残留した冷却媒体(つまり液
体)を排除するために、具体的には図示しなかったが、
空洞部111h内をエアパージするパージエア供給パイ
プ(残留液体排除手段)が設けられている。このような
残留液体排除手段を設けたことにより、冷却媒体として
の液体が突出部111の空洞部111h内に温度制御さ
れない状態で残留することにより、次サイクルの鋳造時
に当該突出部111の冷却手段を作動させた際に温度制
御の精度が低下することを確実に防止できるのである。
また、突出部111の空洞部111h内での錆の発生も
防止できる。
【0070】次に、下型DLの冷却制御について説明す
る。本実施の形態では、図15に示すように、下型DL
に、特定方向以外の方向における熱伝播が抑制されるよ
うに設定したスポット冷却機構151が設けられてい
る。該スポット冷却機構151は、下型DLの所定部位
に形成された取付穴156に嵌合される本体部152
と、該本体部152内に形成された冷却媒体通路152
hに冷却媒体を供給する供給パイプ153と、上記冷却
媒体通路152hから冷却媒体を排出させる排出パイプ
154とを備えている。上記本体部152は、その内部
に冷却媒体通路152hが設けられることにより略筒状
に形成されている。
【0071】上記供給パイプ153は冷却媒体の供給源
(不図示)に接続され、一方、上記排出パイプ154は
冷却媒体の回収装置(不図示)に接続されている。上記
本体部152の内部に形成された冷却媒体通路152h
と、上記供給パイプ153及び冷却媒体の供給源(不図
示)並びに排出パイプ154及び冷却媒体の回収装置
(不図示)とで、スポット冷却機構151の冷却媒体循
環系が構成されている。
【0072】上記スポット冷却機構151は、その本体
部152の外周部が下型DLに設けられた取付穴156
に嵌合し、上記本体部152の先端面が鋳造キャビティ
Мc内に臨んでいる。このように、上記スポット冷却機
構151は、その一端面が鋳造キャビティМc内に臨ん
でいるので、この部分の金属溶湯を本体部152の長手
軸方向に指向性を持たせて選択的に冷却することができ
る。また、上記本体部152は外周部が下型DLに設け
た取付穴156に嵌合しているので、この嵌合部を境界
として熱の伝達特性を変化させることが可能となる。
【0073】本実施の形態では、下型DLが鋼製である
のに対して、上記本体部152を例えばアルミニウム合
金製として、両者の材質を変えることにより、両者の嵌
合部を境界として熱の伝達特性を変化させ、スポット冷
却機構151による冷却に上述の指向性を持たせるよう
にしている。尚、この替わりに或いはこれに加えて、両
者の嵌合部に隙間を設けて嵌合部からの熱伝達を抑制す
るようにしても良い。また、両者の嵌合部に例えばセラ
ミック溶射層などの断熱層を設けることなどにより、本
体部152の長手軸方向以外の方向における熱伝播が抑
制されるようにしても良い。
【0074】以上のように、下型DLに所定方向(本体
部152の長手軸方向で鋳造キャビティМcに臨む方
向)以外の方向における熱伝播が抑制されるように設定
したスポット冷却機構151を設けたことにより、鋳型
キャビティМc内の金属溶湯の特定部分について所定方
向の指向性を持った冷却凝固を行わせることができ、ガ
ス欠陥等の不具合の発生を有効に抑制して高品質の鋳造
品をより安定して得ることができるのである。
【0075】また、前述のように、本実施の形態では、
シリンダヘッドの側面に対応する鋳型面の一部が砂壁で
形成され、下型DLに砂壁138が組み付けられるが、
上記スポット冷却機構151はこの砂壁138の近傍に
設けられている(図6及び図7参照)。尚、このスポッ
ト冷却機構151は、砂壁138の近傍でも湯口Diか
らできるだけ離れた部位に設けられる。このように、砂
壁138の近傍に上記スポット冷却機構151を設ける
ことにより、熱伝達性が低く冷却されにくい砂壁138
の近傍を選択的に強制冷却することができる。
【0076】更に、本実施の形態では、前述のように、
下型DLの下方に、各湯口Diを介して鋳造キャビティ
Мc内に注入される金属溶湯を供給する溶湯供給部とし
てのデスとリビュータ9が設けられている。一方、下型
DLの下面側には所定深さの凹部105が形成されてお
り、この凹状の空間部105に上記スポット冷却手機構
151の冷却媒体経路としての上記供給パイプ153及
び排出パイプ154が配置されている。また、この凹状
の空間部105に、上記デストリビュータ9と湯口Di
とを連通させる連通筒106が配設されている。尚、各
湯口Diには、鋳造キャビティМc内に鋳造品の機械的
特性に悪影響を及ぼす異物等が混入することを防止する
ために、スクリーンメッシュ(金網109)が取り付け
られる。この金網109は、通常、鋳造品の取り出しに
伴なって除去されるものであり、各鋳造サイクル毎に新
たに取り付けられる。
【0077】このように、下型DLの下方に湯口Diを
介して鋳造キャビティМc内に注入される溶湯を供給す
る溶湯供給部9(デストリビュータ)が設けられてお
り、該デストリビュータ9と下型DLとの間に所定の空
間部105を設け、該空間部105に上記スポット冷却
機構151用の冷却媒体経路153及び154を配置す
るとともに、上記デストリビュータ9と湯口Diとを連
通させる連通筒106が設けられているので、通常、ス
ペースを確保することが難しい下型DLの下方に支障無
く冷却媒体経路153及び154を設けることができ、
上記スポット冷却機構151を容易に下型DL側に設け
ることができる。
【0078】以上のように、上型DU側には、上型DU
に設けられた孔部形成用の各突出部111及び112に
冷却手段を設けたので、湯口Diから遠い側の鋳型(上
型DU)を積極的に冷却して金属溶湯が湯口Diにでき
るだけ遠い部分から凝固するように、鋳込み工程後の溶
湯の冷却に指向性を与えることが可能となる。また、複
数の突出部111及び112に設けた冷却手段につい
て、型中央に比較的近い内側の突出部111(プラグ孔
形成用の突出部)のものが型周囲に比較的近い外側の突
出部112(ボルト孔形成用の突出部)のものよりも冷
却能力が大きく設定されているので、鋳造キャビティМ
cの中央側部分と外側部分とについても、金属溶湯がで
きるだけ中央側部分から徐々に冷却されるような指向性
を持った溶湯の冷却を行うことができるようになる。
【0079】一方、下型DL側には所定方向以外の方向
における熱伝播が抑制されるように設定したスポット冷
却機構151が設けられているので、鋳型キャビティМ
c内の金属溶湯の特定部分について下型DL側から所定
方向の指向性を持った冷却凝固を行わせることができ
る。すなわち、鋳込み後の金属溶湯を凝固させるに際し
て、上記各冷却手段を設けることによって溶湯の凝固を
促進するとともに、単に凝固速度を高めるだけでなく、
シリンダヘッド特有の形状を利用して、適正な指向性を
持った冷却を行わせるようにすることができ、ガス欠陥
等の不具合の発生を有効に抑制して高品質の鋳造品をよ
り安定して得ることができるのである。
【0080】尚、本実施の形態では、スポット冷却機構
151は下型DLのみに設けられていたが、これを上型
DUのみ或いは両方の鋳型DU及びDLに設けるように
しても良い。
【0081】次に、上記低圧鋳造装置Aに備えられた第
1および第2の台車BP及びBC、特に、第2台車(中
子台車)BCについて説明する。これら台車BP及びB
Cは、前述のように、上型DUが上昇して下型DLとの
間に型開き空間Kが形成されたとき(図1参照)、この
型開き空間K内に進退出可能とされたもので、中子台車
BCは、型開き空間Kの外部で中子および砂壁を保持し
た後、型開き空間K内に進出(前進)し、保持した中子
および砂壁を下降させて下型DLにセットする。
【0082】また、中子台車BCは、後述するように、
粉体塗型剤を上型DUおよびサイド型DSの鋳型内表面
に塗布するための塗布ボックスTを搭載しており、型開
き空間K内において塗布ボックスTを上昇させて、後述
のようにして上型内表面(下型DLに対する合わせ面
で、下向きの面となる)およびサイド型DSの内面に対
して粉体塗型剤が塗布される。尚、本実施の形態では、
この塗型剤として、例えば珪藻土を主原料とするものを
用いた。この替わりに、例えばカーボンを主原料とする
ものなど、他の好適な塗型剤を用いることができる。上
型DUおよびサイド型DSを下降させて下型DLに型合
わせし、その後、これら鋳型DU,DS及びDLにより
形成されるキャビティМc内に溶湯を供給・充填するこ
とにより、所定の鋳造品(シリンダヘッド)が鋳造され
る。そして、得られた鋳造品は、上型DUが上昇して型
開き空間Kが構成された状態で、製品取り出し台車BP
によって、中子台車BCの待機位置とは反対方向へ取り
出されるのである。
【0083】上記中子台車(第2台車)BCについて、
図19〜図21を参照しながら、より詳細に説明する。
この中子台車BCは、その下部に中子セット装置10を
搭載している。この中子セット装置10は、ガイドロッ
ド12によってガイドされつつ上下動し得るベースプレ
ート13を有し、このベースプレート13は、中子セッ
ト装置10の上下駆動手段となるシリンダ装置14によ
って上下駆動される。上記ベースプレート13には、そ
の下方部分において、図19における紙面方向に開閉さ
れる複数の保持爪15が支持されると共に、該保持爪1
5を開閉するためのアクチュエータを含む開閉機構16
が設けられている。
【0084】上記中子セット装置10は、保持爪15と
並列に配置されて上下方向に伸びる位置決めピン17a
を有している。この位置決めピン17aは、実質的に上
下方向のシリンダ装置17のピストンロッドによって構
成されており、中子台車BCが型開き空間K内の所定位
置に移動して来て、位置決めピン17aが下降し下型D
Lの位置決め孔(不図示)に挿入されることにより、中
子台車BCの型開き空間K内での位置決めが行われる。
この位置決めされた状態で、前述した下型DLへの各中
子および砂壁のセットと上型DUおよびサイド型DSの
内表面への粉体塗型剤の塗布とが行われる。
【0085】上記塗布ボックスTは、その外殻が実質的
に覆い部材21によって構成され、その内部には、図2
1〜図23に示すように、粉体塗型剤吹きつけ用のスプ
レーノズル22およびブローエア吹出用のブローノズル
23が保持されている。覆い部材21は、上方のみが開
口された箱形形状とされて、底壁部と左右前後の側壁部
とを有しており、型開き空間K内に位置させられたとき
に、その上方開口が上型内表面に臨むようになってい
る。上記覆い部材21は、中子セット装置10(ベース
プレート13)よりも高い位置、より具体的には中子台
車BCの上フレームより高い位置において、上下動可能
に中子台車BCに保持されている。すなわち、覆い部材
21の外壁にプレート24が設けられ、このプレート2
4と中子台車BCのフレームとの間に、上下駆動手段と
してのシリンダ装置25が架設されている。上記プレー
ト24には、中子台車BCから上方へ伸びるガイドロッ
ド26が上下方向に摺動自在に貫通しており、シリンダ
装置25の伸縮に応じて、覆い部材21が上下方向へ滑
らかに駆動されるようになっている。
【0086】上記覆い部材21,スプレーノズル22お
よびブローノズル23等の構成要素について、図22〜
図25を参照しながらより詳細に説明する。上記覆い部
材21には、その上端縁全長に渡ってフランジ部21a
が形成されており、このフランジ部21aの全面にわた
って、例えばゴム等の弾性部材からなるパッキン31が
固定されている。これにより、図22に示されるよう
に、覆い部材21が型開き空間Kにおいて上昇させら
れ、パッキン31が上型DUの下面に当接・押圧された
とき、上記覆い部材21と上型DUおよびサイド型DS
とが共働して、覆い部材21内に密閉空間Mが形成され
ることになる。
【0087】このとき、本実施の形態では、密閉した容
積部を形成する型閉じ状態と該容積部を開放する型開き
状態とに切換可能に設けられた複数のサイド型DSが、
上述のように、全て上型DUに支持されおり、全サイド
型DSを上記型閉じ状態にセットした上で、これら各サ
イド型DSおよび上型DUの内面に塗型剤が塗布される
ので、湯口Diが設けられている下型DLに少なくとも
一部のサイド型を支持させた場合のように塗型剤の塗布
作業を2回に分けて行う必要はない。すなわち、1回の
塗布作業で上型DUおよび全てのサイド型DSの内面に
塗型剤を塗布することができ、塗布作業の効率を高める
ことができるのである。
【0088】上記覆い部材21の前後側壁の下部には、
互いに平行に長く伸びるスリット32が形成され、この
スリット32は、覆い部材21の左右方向ほぼ全長にわ
たって伸びている。覆い部材21内には、細長棒状の保
持部材33が配設され、この保持部材33の各端部がそ
れぞれ上記スリット32を摺動自在に貫通している。上
記保持部材33の一端部33aには、覆い部材21の外
部における走行輪としてのローラ34が回転自在に取り
付けられ、このローラ34は、覆い部材21の側壁外部
に固定されたガイドレール35上を走行できるようにな
っている。
【0089】一方、上記保持部材33の他端部33bに
は、覆い部材21の外部においてナット部材36が固定
され、このナット部材36が、スリット32に沿って長
く伸びるねじ棒37の外周に螺合されている。該ねじ棒
37は、覆い部材21に回転可能に保持されているもの
で、その一端部が駆動手段としての回転式のアクチュエ
ータ(本実施の形態では、例えば電動モータ)38に連
結されている。これにより、アクチュエータ38を例え
ば正転させることによって、ナット部材36つまり保持
部材33が図23における下方ヘ駆動され、アクチュエ
ータ38を逆転させることによって、保持部材33が図
23における上方へ駆動される。
【0090】この保持部材33に対して上記スプレーノ
ズル22およびブローノズル23が固定されている。ス
プレーノズル22は、図24および図25に詳しく示さ
れるように、両端が閉じられた細長い筒状本体22aを
有し、この筒状本体22aは、内部の細長い共通空間2
2bと、該共通空間22bにそれぞれ連通する複数の連
通孔22cとを有している。各連通孔22cは筒状本体
22aの長手方向に間隔を開けて直列に形成され、これ
ら各連通孔22cにはそれぞれノズル部材22dが取り
付けられている。かかるスプレーノズル22が、保持部
材33の長手方向に沿うように、かつ互いに間隔をあけ
て一対設けられ、ともに保持部材33に固定されてい
る。各スプレーノズル22には、保持部材33に対する
固定用のねじ孔39が設けられている。スプレーノズル
22の保持部材33に対する取り付けは、ノズル部材2
2dが上向きとなるように設定して行われる。
【0091】ブローノズル23も上記スプレーノズル2
2と実質的に同様の構造として形成されているが、ノズ
ル部材22dに相当する部材は無く、連通孔22cに対
応する開口がそのままブローエア吹出口23c(図22
参照)とされている。そして、このブローエア吹出口2
3cが下向きつまり覆い部材21の底壁に向くように設
定して、ブローノズル23が保持部材33に対して固定
されている。このブローノズル23も、スプレーノズル
22の場合と同様に、保持部材33の長手方向に沿うよ
うに、かつ互いに間隔をあけて一対設けられている。
【0092】以上のように、本実施の形態では、中子台
車BCに設けられた塗型剤塗布手段は、上型DUおよび
型閉じ状態の複数のサイド型DSと組み合わされて密閉
された塗布空間を形成する閉塞部材としての覆い部材2
1と、塗布空間М形成時に塗布空間М内に位置する塗布
機構としてのスプレーノズル22とを備えているので、
覆い部材21を用いて密閉空間(塗布空間)Мを形成し
た状態で、スプレーノズル22により塗型剤を上型DU
および各サイド型DSの内面に自動塗布することができ
る。また、上記塗型剤塗布手段は、上下の鋳型DU/D
Lの型開き空間K内に進退動可能な第2台車(中子)B
Cに取り付けられており、該台車BCには、上記塗型剤
塗布手段が取り付けられた側と反対側に、中子を保持し
て下型DLに中子を組み付ける中子組付装置10が設け
られているので、塗型剤の自動塗布作業と並行して、中
子の自動組付を行うことができる。
【0093】スプレーノズル22に対する粉体塗型剤の
供給は、覆い部材21の底壁に取り付けた接続部材41
から、覆い部材21内に配設した長いフレキシブルホー
ス42を介して行われる。このホース42は、スプレー
ノズル22の長手方向における略中間部において、その
内部の共通空間22bに連通するように接続されている
(図24および図25参照)。ブローノズル23に対す
るブローエアの供給は、前述のスリット32を通る細長
いフレキシブルホース43を介して行われる。また、覆
い部材21の底壁には、その略中央部分に2つの吸引口
44が形成されている。この吸引口44は、ホース45
を介して吸引装置46(図26参照)に接続されてい
る。
【0094】図26は、上記スプレーノズル22,ブロ
ーノズル23及び吸引口44に対する接続系路を説明す
るためのものである。この図26に示すように、エアー
供給源(不図示)から供給された元エアは、レギュレー
タ51,フィルタ52及びドライヤ53を順次経て、所
定圧力に調整された清浄な乾燥エアとされる。上記ドラ
イヤ53の下流側は、互いに並列な5系統の分岐系路に
分岐されている。分岐系路61は、粉体塗型剤の供給系
路となるもので、電磁式開閉弁62,エゼクタ63およ
び高電圧印加部64を順次経てスプレーノズル22に繋
がっている。前記エゼクタ63には、空気式開閉弁65
を介して粉体塗型剤の貯溜タンク66が接続され、開閉
弁65が開いている状態で系路61から供給されるエア
によってタンク66から粉体塗型剤を吸い上げて、粉体
塗型剤をスプレーノズル22へ圧送するようになってい
る。
【0095】上記空気式の開閉弁65には分岐系路67
が接続され、この系路67には電磁式の開閉弁68が接
続されている。これにより、電磁式の開閉弁68の開閉
に応じて、空気式の開閉弁65が開閉される。尚、高電
圧印加部64は、高電圧発生器64Aによって、例えば
+(プラス)電極)に繋がれた上型DUと所定の高電圧
差が生じるように粉体塗型剤を印加するもので、いわゆ
る静電吸着をも利用した粉体塗型剤の付着(つまり、塗
型剤の静電塗布)を行うようになっている。このように
上型DUに電極を接続し、この上型DUおよび各サイド
型DSの内面に塗型剤を静電塗布するようにしたので、
通常のスプレー塗布だけの場合に比べて、塗型剤の鋳型
内表面への塗布状態の均一性と付着性とを十分に高める
ことができるのである。
【0096】上記タンク66には分岐系路69が接続さ
れ、該分岐系路69には電磁式の開閉弁70が介設され
ている。この開閉弁70が開かれると、タンク66内の
粉体塗型剤が攪拌されて、エゼクタ63へ向けての粉体
塗型剤の移送が効果的に補助される。上記エゼクタ63
の先端部には分岐系路71が接続され、この分岐系路7
1には電磁式の開閉弁72が介設されている。これによ
り、開閉弁72を開くと、パージエアがエゼクタ23を
経てスプレーノズル22へ供給される。また、ブローノ
ズル23には分岐系路73が接続され、この分岐系路7
3には電磁式の開閉弁74が介設されている。そして、
この開閉弁74を開くことにより、ブローノズルからブ
ローエアが吹き出されるようになっている。
【0097】図27は、スプレーノズル22の移動とス
プレーノズル22からの粉体塗型剤の吹き付けとブロー
ノズル23からのブローエア吹出と吸引口44からの吸
引とパージエアの供給との関係の一例を示すタイムチャ
ートである。この図27に示された例では、スプレーノ
ズル22は、覆い部材21の一端となる原位置から前進
端へと移動させられた後、再び原位置へ向かって戻るよ
うな動作を行い、この1往復の動作で粉体塗型剤の上型
およびサイド型の内表面への塗布が完了する。尚、この
場合、スプレーノズル22の移動速度は例えば定速とさ
れている。スプレーノズル22からの粉体塗型剤の塗布
は、スプレーノズル22が原位置から若干進んだ位置か
ら開始され、前進端の若干前位置から若干後位置にかけ
て一旦休止された後、再び粉体塗型剤の吹きつけが再開
され、原位置へ戻る若干手前で粉体塗型剤の吹きつけが
終了する。また、ブローエアの吹出態様は、粉体塗型剤
の吹きつけと同様に行われる。
【0098】吸引口44からの吸引は、その開始が粉体
塗型剤の吹き付け開始時期と同じである。ただし、吸引
の終了時期は、覆い部材21により形成さる密閉空間M
内に残留した粉体塗型剤を吸引して回収する関係上、粉
体塗型剤の吹きつけ終了よりもかなり遅い時期とされ
る。つまり、スプレーノズル22が原位置へ復帰した後
もしばらくの間は吸引が行われるようになっている。一
方、パージエアの供給は、粉体塗型剤の吹きつけ終了す
る時期よりもやや前の時期から開始される。このパージ
エアの供給は、スプレーノズル22が原位置へ復帰した
後もしばらくの間継続して行われるが、吸引終了よりも
早い時期に供給停止とされる。
【0099】尚、本実施の形態では、より好ましくは、
中子保持用の保持爪15を上下方向に駆動するシリンダ
装置14は、フローティング機構によって支持されてい
る。すなわち、従来では、例えば図31に示すように、
中子211の巾木212の上面に突設された突起部21
3をクランパ215で水平方向に把持して、中子211
を鋳型219に対して組み付けるのが一般的である。
【0100】このとき、巾木212の係合部212hが
鋳型219に設けた巾木係止部219aに正しく係合す
るように位置決めして組付作業が行われるのであるが、
実際には、鋳型219と中子211との熱膨張量の相違
などに起因して、両者間に位置ずれが生じる。そして、
この位置ずれが生じた状態で組付が行われると(図31
における破線参照)、この従来例では、クランパ215
の把持状態を解除して中子211の重力の利用により組
付を行うので、上記係合部212hを巾木係止部219
aに正しく(正確に嵌まり込むように)係合させること
が難しい。このため、中子211が浮き上がった状態で
組み付けられ、そのまま鋳造が行われると、鋳造品に不
良が生じるという問題があった。
【0101】また、他の従来例では、例えば図32に示
すように、巾木222の上面を押さえ具227で当て止
めた状態で、シリンダ226によって開閉させられる保
持爪225を用いて巾木222を上下方向に力を作用さ
せてクランプされる。この場合には、巾木222を押さ
えながら組み付けることができるのであるが、巾木22
2の係合部222hと鋳型229の巾木係止部229a
の間に位置ずれが生じた場合には、中子221が損傷あ
るいは折損するという問題があった。
【0102】本実施の形態では、図30に模式的に示す
ように、中子181を保持するための保持爪15を開閉
動作させるシリンダ装置16aはフローティング装置1
9によって支持されている。また、巾木182の上面に
は圧縮スプリング18が配設され、この圧縮スプリング
18の上端側は上記フローティング装置19に取り付け
られている。従って、巾木182は、上記スプリング1
8の弾性力によって常時下方に付勢されることになる。
【0103】上記フローティング装置19は、従来から
良く知られ広く市販されているもので、例えば内蔵され
たボール体と加圧エアの作用によって、エア圧が加えら
れた状態でロック(固定)され、エア圧が作用しない状
態では、ロックが解除されてフローティング状態(浮動
可能に支持する状態)が得られるものである。上記スプ
リング18の上端をこのフローティング装置19を介し
て支持することにより、スプリング18の上端支持部は
(従って、巾木182も)、フローティング範囲内でそ
の位置が自在に移動できることになる。
【0104】以上の構成を採用することにより、巾木1
82の係合部182hを鋳型189の巾木係止部189
aに係合させて中子181を鋳型189にセットする
際、上記係合部182hと巾木係止部189aとの間に
位置ずれが生じても、フローティング装置19のフロー
ティング機能を利用して、或いはこれに加えて更にスプ
リング18の水平方向の弾性作用を利用して、巾木18
2の位置を微細に自動調節でき、上記係合部182hの
テーパ面が巾木係止部189aのテーパ面に案内されな
がら、また、圧縮スプリング18の付勢力で下方に付勢
されながら、スムースで且つ正確な係合状態が得られ
る。これにより、従来のように、中子の浮き上がりや損
傷が生じる惧れを無くすることができるのである。
【0105】図28および図29は、以上の中子保持/
組付機構を具体化した装置を示している。中子保持用の
保持爪15を開閉動作させるシリンダ装置16aは、そ
の上方に位置するフローティング装置19によって支持
されており、また、中子CОの巾木部143の上面には
圧縮スプリング18が配設されている。尚、このような
保持爪15およびシリンダ装置14並びにフローティン
グ装置18等で構成される中子保持機構は、中子CОの
長手方向の両端側に一対に設けられている。
【0106】次に、以上のように構成された鋳造装置A
を用いて行われる鋳造プロセスについて、図33〜図3
5のフローチャートを参照しながら説明する。この鋳造
プロセスは一連の工程が繰り返して行われるものである
が、ここでは、例えば、前サイクルの鋳造品(製品)が
鋳造され、これを鋳型Dから取り出す時点から、説明を
始める。鋳造が完了して上下の鋳型DU/DLが型開き
された後、まず、ステップ#1で、第1台車(製品取り
出し台車)BPが型開き空間K内に前進し、ステップ#
2で、サイド型DS(DS1〜DS3)が型開きされ
る。尚、このステップ#2の型開きをステップ#1と並
行して行うようにしても良い。
【0107】次に、ステップ#3で、上型DU側のエジ
ェクタ機構(不図示)を駆動させて製品を上型DUから
取り出す。このとき、上型DUの内面には塗型剤が塗布
されているので、容易に製品を上型DUから離型させる
ことができる。取り出された製品は第1台車BPの上側
で受け取られる。一方、第1台車BPの下部では、上記
ステップ#2及び/又はステップ#3と並行して、金網
ホルダ(不図示)に保持された金網109が下型DLに
設けられた湯口Diにセットされる(ステップ#4)。
尚、上型DUには、前サイクルで使用された金網109
の断片あるいは前回サイクルでの鋳造による残存アルミ
ニウム塊が湯口Diを塞いでいないことを確かめるため
の棒状センサが設けられており、金網109のセットに
先立って湯口Diが正常に開口していることを確かめる
ようにしている。その後、ステップ#5で、第1台車B
Pが上下方向の型開き空間K内から後退する。そして、
これと入れ替わりに、第2台車(中子台車)BCが型開
き空間K内に前進してくる(ステップ#6)。
【0108】そして、この第2台車BCの上部側では、
ステップ#7で全てのサイド型DSを閉じ合わされた
後、全てのサイド型DS及び上型DUの内面に塗型剤が
塗布される(ステップ#8)。一方、第2台車BCの下
部では、上記ステップ#7及びステップ#8の工程と並
行して、中子セット装置10による中子の下型DLへの
セット(組み付け)が行われる(ステップ#9)。この
とき、第2台車BCの下部には、3種の中子CW,CО
及びCPと砂壁138とが保持されており、これら中子
CW,CО及びCPと砂壁138とが下型DLにセット
される。尚、中子セット装置10には、前サイクルで用
いた中子が折損等によって下型DLに残存していないこ
とを確かめるための棒状センサが設けられており、中子
セット作業に先立って、下型DLの中子セット箇所に中
子の破損した断片が残っていないことが確認されるよう
になっている。
【0109】この塗型剤の塗布工程(ステップ#8)お
よび中子セット工程(ステップ#9)の詳細を、第2台
車BCの動きに着目しつつ、図34のフローチャートを
参照しながら説明する。すなわち、上述のように、上型
DUが上昇されて型開きされると、型開き空間Kに向け
て中子台車BCが移動される(SP1)。次いで、型開
き空間K内において、位置決めピン17aを利用して中
子台車BCの位置決めが行われる(SP2)。この後、
中子のセットと、粉体塗型剤の塗布とが並行して行わ
れ、中子セットが図34のSP3〜SP5の処理とさ
れ、粉体塗型剤の塗布がSP8〜SP10の処理とされ
る。
【0110】下型DLへの中子セットに際しては、ま
ず、シリンダ装置14によって、ベースプレート13つ
まり中子が下降される(SP3)。この後、保持爪15
が開かれて、中子が下型DLにセットされる(SP
4)。そして、シリンダ装置14によりベースプレート
13が上昇される(SP5)。粉体塗型剤の塗布に際し
ては、まずシリンダ装置25によって、塗布ボックスT
つまり覆い部材21が上昇される(SP8)。次いで、
前述したようにして、上型内表面に対して粉体塗型剤の
塗布が行われる(SP9)、そして、シリンダ装置25
によって塗布ボックスTが下降される(SP10)。
【0111】SP5の工程およびSP10の工程がそれ
ぞれ終了すると、位置決めピン17aが上昇されて、中
子台車BCと下型DLとの位置決め関係が解除される
(SP6)。そして、その後、中子台車BCが後退、つ
まり型開き空間Kの外側へ移動される(SP7)。尚、
以上の塗型剤塗布工程においては、図示された態様に限
定されるものではなく、例えば、粉体塗型剤を吹きつけ
るスプレーノズル22の向きは、粉体塗型剤が塗布され
るべき鋳型内表面の向きに応じて適宜の向きとすること
ができる。また、ブローノズル23の向きも粉体塗型剤
の飛散効果を勘案して適宜の向きとすることができる。
更に、塗布ボックスTつまり覆い部材21は、中子台車
BCとは別途独立させて構成するようにしてもよい。
【0112】以上のように、複数のサイド型DSが全て
上型DUに支持され、全サイド型DSを型閉じ状態にセ
ットした上で、これら各サイド型DSおよび上型DUの
内面に塗型剤を塗布するようにしたので、下型DLに少
なくとも一部のサイド型を支持させた場合のように塗型
剤の塗布作業を2回に分けて行う必要はない。すなわ
ち、1回の塗布作業で上型DUおよび全てのサイド型D
Sの内面に塗型剤を塗布することができ、塗布作業の効
率を高めることができる。
【0113】また、特に、上下方向に接離可能に設けら
れた上下の鋳型DU/DLが離間した状態で、第2台車
BCの塗型剤塗布手段が両鋳型の型開き空間K内に移動
して塗型剤を塗布するので、両主鋳型DU/DLの型開
き動作を利用して塗型剤の塗布を行うことができる。更
に、上記塗型剤塗布手段が上型DUおよび各サイド型D
Sの内面に塗型剤を塗布している間に、下型DLへの中
子の組み付けが行われるので、共に鋳型を対象とした塗
型剤の塗布作業と中子の組付作業とを並行して行うこと
ができ、鋳造プロセス全体の生産効率の向上を図ること
ができるのである。
【0114】以上のような塗型剤の塗布工程(ステップ
#8)および中子セット工程(ステップ#9)を終えて
第2台車BCが後退(ステップ#10)した後、上型D
Uを下降させて下型DLに対して閉じ合わせる(ステッ
プ#11)。そして、ステップ#12で、保持炉FH内
を加圧して低圧鋳造が行われる。この加圧工程(ステッ
プ#12)における加圧制御の詳細について、図35の
フローチャート及び図36〜図38の線図を参照しなが
ら説明する。
【0115】まず、ステップST1で、エア供給路42
から加圧室20へ加圧エアを供給し、るつぼ12内の溶
湯を押し上げ、この溶湯をストーク22を介して鋳型3
0のキャビティ32へ供給して鋳型を開始すると共に、
ステップST2でタイマ60が起動する。この場合、図
36における加圧パターン(a)に示すように、加圧エ
アの供給開始後、溶湯が鋳型30の湯口40に達する予
定の時間t1が経過するまでの間は、圧力を急速に上昇
させて溶湯を速やかに押し上げ、溶湯の温度低下を防止
し、溶湯が湯口40に達する予定時間t1経過後は、溶
湯が砂中子同志の間にスムーズに充填されるよう圧力上
昇速度を低下させる。
【0116】次に、ステップST3で、充填信号の有無
により、充填検知センサ58が溶湯の充填を検知したか
否かを判断し、充填検知センサ58が充填を検知した場
合には、ガスが砂中子から溶湯中に噴出するのを防止す
るため、ステップST4で、図36の加圧パターン
(b)に示すように加圧室20内の圧力を高めると共
に、充填検知センサ58が正常に機能しているため、ス
テップST5でタイマ60を停止する。また、ステップ
ST3で充填検知センサ58が溶湯の充填を検知しない
場合は、ステップST6で、加圧エア供給開始後、所定
時間t2経過後にタイマ60から出力される経過信号を
受けて図36の加圧パターン(c)に示すように加圧室
20内の圧力を高める。このようにすると、充填検知セ
ンサ58が検知不良の場合でも、加圧エアの供給開始
後、所定時間t2の経過と共に加圧室20内の圧力を高
めることができるので、製品不良の発生を防止できる。
次に、ステップST7でタイマ30をリセットして次の
鋳造工程に備えると共に、ステップST8で鋳造を完了
する。
【0117】図37は、上記実施例における加圧制御方
法の具体的な加圧パターンを示している。すなわち、加
圧室20内の加圧開始と同時に第1CPU70及びタイ
マ60が起動し、加圧開始8秒後に第1CPU70は圧
力上昇速度を遅くし、充填検知センサ58が充填信号を
出力すると(通常、加圧開始13秒後)、第1CPU7
0がそのときの圧力を維持する一方、第2CPU72が
加圧室20の圧力を上昇させ、加圧室20内の圧力が所
定値に達すると(通常、加圧開始20秒後)、第2CP
U72もそのときの圧力を維持する。この場合、タイマ
60は加圧開始18秒後にオン信号を出力して第2CP
U72を起動させるよう設定されており、充填検知セン
サ58が検知不良の場合でも加圧開始18秒後には第2
CPU72が起動する。
【0118】また、図38は、上記加圧制御方法の変形
例の加圧パターンを示している。この変形例において
は、鋳型30の下型26に、溶湯が湯口40を通過する
ときに通過信号を出力する湯口通過センサを配置すると
共に、第1CPU70及び第2CPU72の他に第3C
PUを設置しておく。そして、湯口通過センサが通過信
号を出力すると(通常、加圧開始9秒後)、第1CPU
70はそのときの圧力を維持する一方、第2CPU72
は加圧室20内の圧力を上昇させ、充填検知センサ58
からの充填信号(通常、加圧開始13秒後)に基づき、
第2CPU72はそのときの圧力を維持する一方、第3
CPUは加圧室20内の圧力を上昇させるような加圧パ
ターンに設定しておく。この場合、タイマ60を、加圧
開始15秒後及び湯口通過センサからの通過信号を受け
てから5秒後のうちのいずれか早いときにオン信号を出
力して第3CPUを起動させるよう設定しておく。
【0119】この変形例のように加圧パターンを設定す
ると、時間の経過と溶湯の上昇程度との間に発生する誤
差を少なく設定することができるため、第3CPUを加
圧開始15秒後に起動でき、前記具体例の場合(加圧開
始18秒後)よりも早く起動できるので、充填検知セン
サ58が検知不良の場合でも製品の品質を高く維持でき
る。また、湯口通過センサが設けられているため、溶湯
が湯口40を通過するまでの圧力上昇速度を具体例の場
合よりも早くすることができるので、溶湯の温度低下を
防止できる。さらに、湯口通過センサが必要になる反
面、第1CPU70として単純な機能のCPUを使用で
きるのでコスト的に有利にもなる。
【0120】以上のように、上記低圧鋳造装置Aでは、
充填検知センサが正常の場合には充填信号により、充填
検知センサが検知不良の場合には経過信号により、加圧
パターンを変えるよう圧力可変制御手段が作動するの
で、充填検知センサの検知状態の正常、不良を問わず加
圧パターンが変えられる。このため、充填検知センサに
検知不良が発生した場合でも、製品の品質を許容レベル
以上に維持することができるので、製品不良の発生を防
止できる。
【0121】以上のような加圧工程(ステップ#12)
を終えた後、或いはその終盤における途中において、ス
テップ#13で、鋳込み後の金属溶湯の凝固を促進し、
また、鋳型Dに塗型剤を塗布する際の鋳型Dの温度(型
温)を適正に保つために、鋳型Dの型温を所定範囲に冷
却制御する冷却工程が行われる。これにより、鋳造工程
が終了し、上下の鋳型DU/DLが開かれ(ステップ#
14)、ステップ#1に戻って同様の鋳造サイクルが繰
り返されるようになっている。
【0122】以上の一連の鋳造サイクルにおいて、各工
程で要する時間は例えば以下の通りである。すなわち、
加圧工程(ステップ#12)が最も長く約200秒であ
り、次に冷却工程(ステップ#13)が約40秒、ま
た、中子セット工程(ステップ#9)が約20秒であっ
た。そして、これら以外の工程については、全てを合計
して約60〜70秒であった。従って、ステップ#13
の冷却工程を終えた後、塗型剤の塗布(ステップ#8)
を行うまでの時間は、約60〜70秒程度しかないこと
になる。
【0123】つまり、このような短い間隔で、鋳込み後
の金属溶湯の凝固促進のための冷却を行い、その後に、
塗型剤の型面への付着性(密着性)向上のための鋳型の
冷却制御を行ったのでは、両方の制御が干渉して良好な
冷却制御を行うことはできない。そこで、本実施の形態
では、鋳込み後の金属溶湯の凝固促進のための冷却(ス
テップ#13)において、前述のように上型DUの突出
部111及び112に設けた冷却手段により、上型DU
の温度に応じて、塗型剤塗布時の上型DUの最適温度範
囲(例えば、260〜320℃)を考慮した上で、具体
的には、上型DUの型温がこの260〜320℃の範囲
となるように、該上型DUの型温を冷却制御するように
している。ちなみに、湯口Diが設けられ、また、塗型
剤の塗布を行わない下型DLの場合には、型温の制御範
囲としては、例えば450〜510℃が好ましい。
【0124】すなわち、本実施の形態では、上型DUに
ついて、鋳込み後の金属溶湯の凝固促進のための冷却制
御で、その後(約60〜70秒後)に行う塗型剤の型面
への付着性(密着性)向上のための冷却制御を兼用して
いることになる。このように、上型DUの型温が所定の
温度範囲に冷却制御された下で、塗型剤の塗布が行われ
るので、適正な鋳型温度で塗布を行うことができ、上型
DU及びサイド型DSの内面への塗型剤の付着性を高め
ることができるのである。
【0125】尚、以上の実施の形態では、鋳型Dは所謂
2個取り用のものであったが、本発明は、かかる場合に
限定されるものではなく、通常の1個取り用のものであ
っても有効に適用することができる。また、上記実施の
形態では、複数のサイド型DSは全て可動型であった
が、その一部のものが上型に固定された固定型であって
も良い。更に、上記実施の形態は、エンジンのシリンダ
ブロックを鋳造する場合を例にとって説明したものであ
ったが、本発明は、シリンダブロックに限らず、他の種
々の鋳造品を鋳造する場合にも有効に適用することがで
きる。このように、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲におい
て、種々の改良あるいは設計上の変更等が可能であるこ
とは言うまでもない。
【0126】
【発明の効果】本願の第1の発明によれば、第1および
第2の2本の長尺状の中子のうち、第2中子はその巾木
が上記第1中子の巾木に支持されることによって鋳型内
に組み付けられているので、両中子は互いの巾木を介し
て一体的に鋳型内に組み付けられることになり、両者を
それぞれ個別に鋳型に組み付ける場合に比べて、両中子
の軸芯間の距離を極めて安定して一定値に保つことがで
きる。これにより、各中子に対応する通路間の肉厚管理
を確実に行うことができる。また、かかる構成を採用す
ることにより、予め両中子を一体的に組み合わせてお
き、この組み合わせた中子を鋳型に組み付けるようにす
ることも可能になり、中子組付工数を削減でき、また、
自動組付を行う場合にあっては、アクチュエータの数も
少なくて済み、中子組付装置の構造の簡素化を図ること
ができる。
【0127】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。特に、上記両中子の少なくとも一方の中子の巾木か
ら、鋳造時に当該中子および他方の中子で発生するガス
を吸引する吸引手段が設けられているので、中子が長尺
物であっても、その内部に発生したガスを巾木部分から
強制的に吸引して迅速に鋳型外部に排出させ、得られた
鋳物にガス欠陥が生じることを効果的に防止できる。こ
の場合において、両中子は互いの巾木を介して一体的に
鋳型内に組み付けられているので、たとえ一方の中子が
上記吸引手段から実質的に遮断されている場合であって
も、他方の中子の巾木からガスの吸引が行われるので、
上記一方の中子の内部で発生したガスも有効に鋳型外部
に排出することが可能である。
【0128】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には上記第1または第2の発明と同様の効果を奏するこ
とができる。特に、上記各中子の巾木の内側面によりシ
リンダヘッドの側面に対応する鋳型面の少なくとも一部
が形成されているので、中子の巾木を利用して鋳型面の
一部を形成することができる。また、この鋳型部分への
伝熱は他の鋳型部分に比べて大幅に抑制されるので、鋳
込み工程後の溶湯の冷却に指向性を与えることが可能と
なる。これにより、上記第1中子が組み付けられる側の
鋳型に湯口が設けられている場合には、湯口から遠い側
の鋳型への熱の伝達を抑制し、金属溶湯が湯口にできる
だけ遠い部分から凝固するように、鋳込み工程後の溶湯
の冷却に指向性を与えることが可能となり、得られる鋳
造製品自体については、ガスが残存する惧れがそれだけ
が少なくて済み、鋳造欠陥の発生を有効に抑制できる。
【0129】また更に、本願の第4の発明によれば、基
本的には上記第1〜第3のいずれか一の発明と同様の効
果を奏することができる。特に、中子の一端側に設けら
れた第1係合部は鋳型の第1巾木係止部に対して移動不
能に係合する一方、中子の他端側に設けられた第2係合
部は鋳型の第2巾木係止部に対して中子の長手方向にの
み移動可能でその他の方向には移動不能に係合するの
で、中子の位置ずれを招くことなく正確に位置決めを行
った上で、中子の長手方向については、中子と鋳型の熱
膨脹量の差を有効に吸収することができ、この熱膨脹量
の相違に起因して、中子にクラックや折損等の不具合が
生じることを防止できる。
【0130】また更に、本願の第6の発明によれば、基
本的には上記第1〜第5のいずれか一の発明と同様の効
果を奏することができる。特に、各巾木の外側面には、
接離可能に設けられた上下の型を閉じ合わせる際のガイ
ド用のテーパ部が設けられているので、特にガイド部を
別設する必要なしに、両型の閉じ合わせ動作をスムース
に行わせることができる。
【0131】また更に、本願の第7の発明によれば、基
本的には上記第6の発明と同様の効果を奏することがで
きる。特に、上下の型の型閉じ方向と略直交する方向に
スライド可能で鋳造キャビティの側壁の少なくとも一部
を形成する可動側壁が上型に設けられ、上型には可動側
壁の下側に位置して該可動側壁のスライド動作を案内す
るガイド部が設けられているので、特にガイド部を別設
する必要なしに、上記可動側壁のスライド動作をスムー
スに行わせることができる。
【0132】また更に、本願の第8の発明によれば、基
本的には上記第1〜第7のいずれか一の発明と同様の効
果を奏することができる。特に、上記第1および第2中
子と略直交する方向へ延びる第3の中子が、その巾木を
鋳型側壁に支持させた状態で組み付けられ、上記第3中
子の巾木の内側面によりシリンダヘッドの他の側面に対
応する鋳型面の少なくとも一部が形成されており、上記
第3中子の巾木を支持する鋳型側壁の少なくとも一部が
砂壁で構成されているので、この第3中子の巾木を支持
する鋳型側壁部分への伝熱は他の鋳型部分に比べて大幅
に抑制される。従って、鋳込み工程後の溶湯の冷却に指
向性を与えることが可能となる。これにより、第3中子
が組み付けられている側の鋳型に湯口が設けられている
場合には、湯口から遠い側の鋳型への熱の伝達を抑制
し、金属溶湯が湯口にできるだけ遠い部分から凝固する
ように、鋳込み工程後の溶湯の冷却に指向性を与えるこ
とが可能となり、得られる鋳造製品自体については、ガ
スが残存する惧れがそれだけが少なくて済み、鋳造欠陥
の発生を有効に抑制できる。
【0133】また、本願の第9の発明によれば、第1お
よび第2の2本の長尺状の中子のうち、第2中子はその
巾木を上記第1中子の巾木に支持させることによって鋳
型内に組み付けるようにしたので、両中子は互いの巾木
を介して一体的に鋳型内に組み付けられることになり、
両者をそれぞれ個別に鋳型に組み付ける場合に比べて、
両中子の軸芯間の距離を極めて安定して一定値に保つこ
とができる。これにより、各中子に対応する通路間の肉
厚管理を確実に行うことができる。また、かかる構成を
採用することにより、予め両中子を一体的に組み合わせ
ておき、この組み合わせた中子を鋳型に組み付けるよう
にすることも可能になり、中子組付工数を削減でき、ま
た、自動組付を行う場合にあっては、アクチュエータの
数も少なくて済み、中子組付装置の構造の簡素化を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる鋳造装置の一例
を概略的に示す正面説明図である。
【図2】 上記鋳造装置の側面説明図である。
【図3】 上記鋳造装置の保持炉の内部構造を模式的に
示す保持炉および鋳型の縦断面説明図である。
【図4】 上記鋳造装置の加圧制御系統を概略的にを示
すブロック構成図である。
【図5】 上記鋳造装置の上型の底面説明図である。
【図6】 上記鋳造装置の下型の平面説明図である。
【図7】 上記下型のポート中子セット状態を示す平面
説明図である。
【図8】 上記下型への中子セット状態を示す縦断面説
明図である。
【図9】 図8のY9−Y9方向からの矢視図である。
【図10】(a) サイド型のスライドガイド機構を示
す上型およびサイド型の縦断面説明図である。(b)
図10(a)のY10B−Y10B方向からの矢視図で
ある。
【図11】 ウォータジャケット中子とオイルジャケッ
ト中子の下型へのセット状態を示す部分縦断面説明図で
ある。
【図12】 上記下型とウォータジャケット中子の巾木
との係合部分を拡大して示す平面説明図である。
【図13】 図12のY13−Y13線に沿った縦断面
説明図である。
【図14】 上記鋳型のガス抜き機構を示す中子支持部
分の拡大縦断面説明図である。
【図15】 上記上型と下型の組み合わせ状態を示す鋳
型の縦断面説明図である。
【図16】 上型のプラグ孔成形部を拡大して示す縦断
面説明図である。
【図17】 上型のボルト孔成形部を拡大して示す縦断
面説明図である。
【図18】 上記下型のスポット冷却機構を拡大して示
す縦断面説明図である。
【図19】 本実施の形態に係る第2台車(中子台車)
を示す正面説明図である。
【図20】 上記第2台車の塗布ボックスの上下駆動部
分を拡大して示す説明図である。
【図21】 上記第2台車に搭載された覆い部材の平面
説明図である。
【図22】 鋳型と覆い部材とスプレーノズルとブロー
ノズルとの関係を示す縦断面説明図である。
【図23】 覆い部材内に配置されたスプレーノズルと
ブローノズルとスプレーノズル駆動部分を示す断面上面
図である。
【図24】 スプレーノズルを平面説明図である。
【図25】 図24のY25−Y25線に沿った縦断面
説明図である。
【図26】 スプレーノズル,ブローノズル及び吸引口
の系統図である。
【図27】 スプレーノズルの動きと粉体塗型剤の吹き
付けとブローエアの吹き出しと吸引とパージエア供給と
の関係を示すタイムチャートである。
【図28】 中子セット装置の中子保持爪の駆動機構の
側面説明図である。
【図29】 上記中子保持爪の駆動機構の正面説明図で
ある。
【図30】 上記中子保持爪の駆動機構の作動を説明す
るための模式図である。
【図31】 従来例に係る中子保持爪の駆動機構の作動
を説明するための模式図である。
【図32】 他の従来例に係る中子保持爪の駆動機構の
作動を説明するための模式図である。
【図33】 上記低圧鋳造装置を用いた鋳造プロセスを
示すフローチャートである。
【図34】 中子セット工程と塗型剤塗布工程とを中子
台車の作動に関連して示すフローチャートである。
【図35】 上記低圧鋳造装置における加圧制御方法を
示すフローチャートである。
【図36】 上記低圧鋳造装置における加圧制御方法を
示す加圧パターン図である。
【図37】 上記低圧鋳造装置の具体的な加圧制御方法
を示す加圧パターン図である。
【図38】 上記低圧鋳造装置の加圧制御方法の変形例
を示す加圧パターン図である。
【符号の説明】
101…密閉空間 102…ホース 103…真空ポンプ 119…スライドガイド 119a…下ガイド 126,127…サイド型のテーパ状内面 131…第1巾木受け部 131a…第1巾木係止部 132…第2巾木受け部 132a…第2巾木係止部 138…砂壁 141…第1巾木部(ウォータジャケット中子) 141a…第3巾木係止部 141f…巾木の内側面 141g…巾木外側面のテーパ部 141h…第1係合部 142…第2巾木部(ウォータジャケット中子) 142a…第4巾木係止部 142f…巾木の内側面 142h…第2係合部 143…第3巾木部(オイルジャケット中子) 143f…巾木の内側面 143g…巾木外側面のテーパ部 143h…第3係合部 144…第4巾木部(オイルジャケット中子) 144f…巾木の内側面 144h…第4係合部 145,146…ポート中子巾木部 145f,146f…巾木の内側面 146g…巾木外側面のテーパ部 CP…ポート中子 CW…ウォータジャケット中子 D…鋳型 DL…下型 DS(DS1,DS2,DS3)…サイド型 DU…上型 Mc…鋳造キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野▲崎▼ 智之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 矢野 重夫 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 村田 顕彰 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 4E093 KB08 QA01 QB05 QD01 UA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも第1および第2の2本の長尺
    状の中子を型内に組み付けた後、鋳造キャビティ内に溶
    湯を注入・充填してエンジンのシリンダヘッドを鋳造す
    る鋳型において、 上記両中子の両端部には巾木が設けられ、第1中子はそ
    の巾木を介して鋳型内に組み付けられており、第2中子
    は、その巾木が上記第1中子の巾木に支持されることに
    より、鋳型内に組み付けられていることを特徴とするシ
    リンダヘッドの鋳型構造。
  2. 【請求項2】 上記両中子の少なくとも一方の中子の巾
    木から、鋳造時に当該中子および他方の中子で発生する
    ガスを吸引する吸引手段が設けられていることを特徴と
    する請求項1記載のシリンダヘッドの鋳型構造。
  3. 【請求項3】 上記各中子の巾木の内側面によりシリン
    ダヘッドの側面に対応する鋳型面の少なくとも一部が形
    成されていることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載のシリンダヘッドの鋳型構造。
  4. 【請求項4】 上記第1中子が組み付けられる鋳型に
    は、該第1中子の一端側および他端側の各巾木にそれぞ
    れ対応する部分に第1および第2の巾木係止部がそれぞ
    れ設けられる一方、上記第1中子の一端側および他端側
    の各巾木には、上記第1および第2の巾木係止部にそれ
    ぞれ係合する第1および第2の係合部がそれぞれ設けら
    れており、第1係合部は上記第1巾木係止部に対して移
    動不能に係合する一方、第2係合部は上記第2巾木係止
    部に対して中子の長手方向にのみ移動可能でその他の方
    向には移動不能に係合することを特徴とする請求項1〜
    請求項3のいずれか一に記載のシリンダヘッドの鋳型構
    造。
  5. 【請求項5】 上記第1中子の一端側および他端側の各
    巾木に第3および第4の巾木係止部がそれぞれ設けられ
    る一方、上記第2中子の一端側および他端側の各巾木に
    は、上記第3および第4の巾木係止部にそれぞれ係合す
    る第3および第4の係合部がそれぞれ設けられており、
    第3係合部は上記第3巾木係止部に対して移動不能に係
    合する一方、第4係合部は上記第4巾木係止部に対して
    中子の長手方向にのみ移動可能でその他の方向には移動
    不能に係合することを特徴とする請求項4記載のシリン
    ダヘッドの鋳型構造。
  6. 【請求項6】 上記鋳型は接離可能に設けられた一対の
    上型および下型を備えており、上記各巾木の外側面に
    は、上記両型を閉じ合わせる際のガイド用のテーパ部が
    設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5の
    いずれか一に記載のシリンダヘッドの鋳型構造。
  7. 【請求項7】 上記上型および下型の型閉じ方向と略直
    交する方向にスライド可能で鋳造キャビティの側壁の少
    なくとも一部を形成する可動側壁が上型に設けられ、該
    上型には、上記可動側壁の下側に位置して該可動側壁の
    スライド動作を案内するガイド部が設けられていること
    を特徴とする請求項6記載のシリンダヘッドの鋳型構
    造。
  8. 【請求項8】 上記鋳型内には、上記第1および第2中
    子と略直交する方向へ延びる第3の中子が、その巾木を
    鋳型側壁に支持させた状態で組み付けられ、上記第3中
    子の巾木の内側面によりシリンダヘッドの他の側面に対
    応する鋳型面の少なくとも一部が形成されており、上記
    第3中子の巾木を支持する鋳型側壁の少なくとも一部が
    砂壁で構成されていることを特徴とする請求項1〜請求
    項7のいずれか一に記載のシリンダヘッドの鋳型構造。
  9. 【請求項9】 少なくとも第1および第2の2本の長尺
    状の中子を鋳型内に組み付けた後、鋳造キャビティ内に
    溶湯を注入・充填してエンジンのシリンダヘッドを鋳造
    する鋳造方法において、 上記両中子の両端部に巾木を設け、第1中子はその巾木
    を介して鋳型内に組み付けるとともに、第2中子は、そ
    の巾木を上記第1中子の巾木に支持させることによって
    鋳型内に組み付け、その後に、鋳造キャビティ内に溶湯
    を注入・充填することを特徴とするシリンダヘッドの鋳
    型方法。
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