JP2000311694A - 電気化学電池用の積層電極 - Google Patents

電気化学電池用の積層電極

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒利用率が高く、生成した水の移動が改善
された電極を提供する。 【解決手段】 集電体シート、第1の電極層、及び第2
の電極層を含む電極構造体であって、前記第1の電極層
は前記集電体シートと前記第2の電極層との間にあり;
前記第1の層はカーボン粒子の第1の群を含み、前記第
2の層はカーボン粒子の第2の群を含み;前記第1の層
は触媒を含まないか、超微粉砕触媒粒子の第1の群を含
み;前記第2の層は超微粉砕触媒粒子の第2の群を含
み;但し、第1の層の触媒粒子対カーボン粒子の重量比
は第2の層の重量比未満である、前記電極構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学電池(ele
ctrochemical cell)で使用するための電極に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】電気化
学電池は、種々の用途、特に燃料電池として操作する際
の用途に望ましい。燃料電池は、内部燃焼エンジンを置
換するために電動装置を含む多くの用途に提案されてき
た。ある一つの燃料電池デザインでは、カソードとアノ
ードとの間でイオン交換させるために固体ポリマー電解
質(SPE)膜またはプロトン交換膜(PEM)を使用
している。燃料電池では気体燃料及び液体燃料が便利で
ある。これらの例としては水素及びメタノールが挙げら
れるが、水素が好ましい。水素は燃料電池のアノードに
供給される。酸素(空気として)は電池の酸化剤であ
り、電池のカソードに供給される。燃料供給電極に面す
る膜表面に燃料を配分し易くするために、電極は(例え
ば、編グラファイト、グラファイト化シート若しくはカ
ーボン紙などの)多孔質導電性材料から形成される。典
型的な燃料電池は、米国特許第5,272,017号及
び同第5,316,871号明細書(Swathirajanら)に
記載されている。
【0003】燃料電池の重要な特徴としては、電気化学
反応が起きる反応面、かかる反応を触媒作用する触媒、
イオン導電性媒体、及び質量輸送媒体(mass transport
media)が挙げられる。燃料電池により生じる電力コスト
は触媒のコストに一部依存する。慣用の電極では高価な
金属触媒の利用率が比較的低いこともあって、燃料電池
により生じる電力コストは競合するもう一つの発電コス
トよりも非常に高い。けれども水素は環境的に許容可能
であり、水素燃料電池は効率的であるため、水素−ベー
スの燃料電池から発生した電力が望ましい。従って、燃
料電池を電力発生に関してより魅力的にするために、燃
料電池アセンブリにおける触媒利用率の改善が望まれて
いる。また、燃料電池で生成した水の移動及び反応体の
ガス分散の改善も望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】一態様においては、集電
体(current collector)シート、第1の電極層、及び第
2の電極層を含む電極構造体を提供する。第1の電極層
は集電体シートと第2の電極層との間にある。第1の層
はカーボン粒子の第1の群を含み、第2の層はカーボン
粒子の第2の群を含む。第1の層は触媒を含まない(unc
atalyzed)か、超微粉砕触媒粒子の第1の群を含み(cata
lyzed)、第2の層は超微粉砕触媒粒子の第2の群を含
む。第1の層の触媒粒子対カーボン粒子の重量比は、第
2の層の重量比未満である。
【0005】一態様では、それぞれのカーボン粒子の群
は、カーボン粒子の中及びカーボン粒子とカーボン粒子
との間の多数の孔(plethora of pores)を画定する内部
及び外部表面をもつ複数のカーボン粒子を含む。超微粉
砕触媒粒子はカーボン粒子の内部及び外部表面上に担持
される。
【0006】別の態様では、第1の層は触媒を含まず、
第2の層はカーボン粒子の内部及び外部表面に担持され
た超微粉砕触媒粒子を有するカーボン粒子を含む。
【0007】好ましくは、カーボン粒子の第1の群は、
1立方センチメートル当たり0.1グラム以下の密度を
特徴とし、これは1グラム当たり少なくとも約10立方
センチメートルの容積/グラムに相当する。望ましく
は、カーボン粒子の第2の群は約6〜約9の範囲のpHを
特徴とする。好ましくは、それぞれのカーボン粒子の群
は約6〜約9の範囲のpHを特徴とする。望ましくは、カ
ーボン粒子の第2の群は、5ナノメートルを超える平均
孔半径を特徴とする。さらに、それぞれの層は、カーボ
ン粒子及び触媒粒子と混じったプロトン導電性材料を含
む。
【0008】望ましくは、第2の層の触媒粒子充填量は
電極表面積1cm2当たり約0.30mg未満である。
第1の層の触媒充填量は第2の層の触媒充填量未満であ
り、望ましくは約0.15mg/cm2以下のオーダー
であり、好ましくは約0.02mg/cm2以下のオー
ダーである。
【0009】ひとつの態様では、第2の層は約20:8
0の重量比で触媒粒子とカーボン粒子とを含む。プロト
ン導電性材料は前記第2の層の30〜35重量%を構成
し、触媒粒子及びカーボン粒子は残余を構成する。
【0010】一態様では、電気化学電池で使用するため
の上記改良電極構造体を製造する方法を提供する。電極
の第1の層は、プロトン−導電性材料、カーボン粒子の
第1の群及び最も好ましくは触媒粒子を含む混合物を形
成することにより製造する。混合物を集電体シートに適
用してフィルムを形成する。電極の第2の層は、第1の
層の上に第2の層を形成することにより製造し、前記第
2の層はプロトン−導電性材料、カーボン粒子の第2の
群、及び触媒粒子を含む。第2の層のカーボン粒子に対
する触媒粒子の重量は第1の層の重量よりも多い。本発
明の方法により触媒利用率が非常に高く触媒充填量が非
常に少ない電極を製造できるので、従来法により製造し
た電極と比較して安価に製造することができる。
【0011】固体ポリマープロトン導電性材料の電解質
膜と、該電解質膜のどちらの側にも配置された第1及び
第2の電極とを有する電気化学電池用の電解質と電極の
結合構造体の製造法も提供する。少なくとも一つの電極
は上記の本発明の方法により形成する。本発明の方法に
より製造した電極を第2の層が膜に面するように電解質
膜の第1の表面上に配置する。第2の電極は膜の反対面
に配置し、得られた構造体を加熱及び圧縮して電極を膜
に接着させる。本発明の方法の好ましい態様では、粒子
が幾らか膜の中に少なくとも部分的に埋め込まれるよう
にアセンブリを圧縮荷重及び高温に暴露して電極を膜に
接着させ、これにより反応が起きる触媒部位へのプロト
ンの連続路を提供する。
【0012】カーボン粒子の第1及び第2の群は同一で
あるか、または異なる。即ち、これらは同じ特徴を有す
るか、少なくともひとつの特徴的な点で異なっていても
よい。いずれの層もが触媒を含む場合には、それぞれの
層の触媒は同一でも異なっていてもよい。
【0013】電極、膜電極アセンブリ、及び上記燃料電
池系の記載から解るように、本発明により触媒利用率が
改善され、水の取り扱い(処理)が改善される。
【0014】本発明の目的は、新規電極及び新規膜電極
アセンブリを提供することである。本発明の別の目的
は、電極及び優れた電極を含むアセンブリの製造法を提
供することである。好都合には、本発明の膜/電極アセ
ンブリは、予想外に低い触媒充填量で比較的高い発電量
を提供する。
【0015】これら及び他の目的、特徴及び好都合な点
は、好ましい態様、請求の範囲及び添付図面の記載を参
照することにより明らかになるだろう。
【0016】
【発明の実施の形態】ひとつの態様では、電極材料の第
1及び第2の層と集電体シートとを含む電極構造体を提
供する。これらの層は一緒になって触媒利用率を高め、
水の取り扱いを改善する。この積層配置はカソードに特
に有用である。電極構造体について詳細に記載する前
に、まず電極を含む電池について記載することとする。
【0017】図1には、電池内に膜電解質と電極の結合
アセンブリ(MEA)12を含む電気化学電池10が組
み立てられていない状態で絵画的に示されている。電気
化学電池10は燃料電池として組み立てられる。しかし
ながら、本明細書中で記載する本発明は、一般的に電気
化学電池に適用可能である。電気化学電池10は、ステ
ンレススチール端板14、16、ガスを散布し易くする
ための開口部22、24を備えたグラファイトブロック
18、20、ガスケット26、28、それぞれ接続部3
1、33を備えたカーボンシート集電体30、32と、
膜電解質及び電極アセンブリ(MEA)12を含む。グ
ラファイトブロック、ガスケット及び集電体、即ち、1
8、26、30と20、28、32の二つのセットはそ
れぞれガス及び電流輸送手段36、38と呼ぶ。アノー
ド接続部31及びカソード接続部33は、他の燃料電池
を含んでいてもよい外部回路と連結するために使用す
る。
【0018】電気化学電池10は、その一方が燃料供給
源37から供給される燃料であり、他方が供給源39か
ら供給される酸化剤である気体反応体で操作する。供給
源37、39からの気体はそれぞれの気体と電流輸送手
段36及び38を通ってMEA12の反対側に拡散す
る。
【0019】図2は本発明のアセンブリ12の略図を示
す。図2を参照すると、多孔質電極40は燃料側でアノ
ード42を、酸素側でカソード44を形成する。アノー
ド42は固体ポリマー電解質(SPE)膜46によって
カソードと隔てられている。SPE膜46は、燃料電池
10における反応を容易にするためにイオン輸送を提供
する。ひとつの配置例では、本発明の電極は、そのよう
なプロトン移動のために本質的に連続的にポリマーを接
触させておくために、電極とイオモノマー膜とを密着さ
せることによってより効果的にプロトンが移動する。電
極は膜の中に挿入されているか、少なくとも一部埋め込
まれているのが好ましい。従って、電池10のMEA1
2は、間隔のあいた第1及び第2の対向面50、52
と、その面50、52の間の厚み、即ち中間層領域53
を備えた膜46とを有する。それぞれの電極40、即ち
アノード42とカソード44は、面50、52の対応す
る部分で膜46にしっかりと接着される。
【0020】一態様では、それぞれの電極40(アノー
ド42、カソード44)はさらに、膜46のそれぞれの
側に第1及び第2のテフロンコート(ポリテトラフルオ
ロエチレンコーティング化、含浸させた)グラファイト
シート80、82を含む(図3)。アノード活性材料は
膜の第1の面50と第1のシート80との間に配置さ
れ、カソード活性材料は第2の面52と第2のシート8
2との間に配置される。SPE膜 本発明の固体ポリマー電解質(SPE)膜46は、イオ
ン導電性材料として当業界で公知である。そのようなS
PE膜はポリマー電解質膜(PEM)とも呼ばれる。典
型的なSPE膜は米国特許第4,272,353号、同
第3,134,697号及び同第5,211,984号
に記載されている。
【0021】SPE膜またはシートはイオン交換樹脂膜
である。樹脂はそのポリマー構造中にイオン基を包含
し;その一イオン成分はポリマーマトリックスによって
固定又は保持され、少なくとも一つの他のイオン成分は
その固定された成分と静電的に結びついた可動性の置換
可能なイオンである。好適な条件下で他のイオンと置換
する可動性イオンの能力により、これらの材料にイオン
交換性を与えることができる。
【0022】イオン交換樹脂は、その成分の一つがイオ
ン成分を含む、該成分の混合物を重合することによって
製造することができる。カチオン交換、プロトン導電性
樹脂の大まかな一つの種類としてはいわゆるスルホン酸
カチオン交換樹脂がある。このスルホン酸膜では、カチ
オンイオン交換基はスルホン化によってポリマー主鎖に
付けられている水和スルホン酸基である。
【0023】これらのイオン交換樹脂を膜又はシートに
形成することも当業界で公知である。好ましい種類は、
その全体の膜構造がイオン交換特性をもつパーフルオロ
化スルホン酸ポリマー電解質である。これらの膜は、市
販されており、市販のスルホン化パーフルオロカーボ
ン、プロトン導電性膜の典型例としては、商品名ナフィ
オン(Nafion:登録商標)のもとにE.I.Dupont d
e Nemours&Co.の市販品がある。別にDow Chemicalによ
り開発されたものもある。そのようなプロトン導電性膜
は、構造:CF2=CFOCF2CF2SO3H、CF2
CFOCF2CF(CF3)OCF2SO3H、及び−CF
2CF2CF(ORX)CF2CF2−(式中、XはSO3
HまたはCO2Hである)のモノマーによって特徴付け
ることができる。ナフィオン(登録商標)はフルオロポ
リマー、特にパーフルオロ化カルボン酸又はスルホン酸
モノマー単位を含むコポリマーである。ナフィオン(登
録商標)ポリマー及びポリマー膜は、スルホン酸基又は
カルボン酸基を含むパーフルオロ化モノマーとテトラフ
ルオロエチレンとのコポリマーから製造したナフィオン
(登録商標)ポリマーである。本発明に関しては、パー
フルオロ化スルホン酸コポリマーが好ましい。
【0024】本発明により例示される電気化学燃料電池
10では、膜46は可動性イオンとしてH+イオンを有
する、カチオン透過性のプロトン導電性膜であり;燃料
ガスは水素(または改質油)であり、酸化剤は酸素又は
空気である。全体の電池反応は水素の水への酸化であ
り、アノード42及びカソード44でのそれぞれの反応
は、H2=2H+2e(アノード)及び1/2 O2+2
++2e=H2O(カソード)である。
【0025】水素を燃料ガスとして使用するため、全体
の電池反応の生成物は水である。通常、生成物の水は、
酸素側の電極40であるカソード44では受け入れられ
ない。一般に、水は単に流れたりまたは蒸発によって消
える。しかしながら、水が形成したらその水を集め、電
池から運び出すための手段も所望により提供することが
できる。電池内での水の処理は、電気化学的燃料電池を
長期間にわたってうまく操作するためには重要である。
水処理操作法及びこれに関連する電池のデザインについ
ては、本明細書中、その全体がそれぞれ参照として含ま
れる米国特許第5,272,017号(以後、第’01
7号と呼ぶ)及び同第5,316,871号(以後、
第’871号と呼ぶ)に記載されている。本発明はさら
に燃料電池操作時の水処理を改善し、効果的な電極利用
率、電極と膜との間の効果的なプロトン移動、及び良好
なガス拡散などの他の特徴にも関する。これらの特徴は
少なくとも部分的に本発明の改良された電極デザインに
より高められる。電極 本発明の電極は、集電体と、電池反応に関与する電極活
性材料とを含む。燃料電池の電気化学反応は、プロトン
導電性イオノマー、触媒、導電性カーボン及び気体反応
体の間の界面領域で起きる。従って、高い触媒利用率と
するためには、触媒部位がプロトン交換膜、気体反応
体、及び導電性カーボンと密接するように電極を設計し
なければならない。
【0026】慣用の電極は、本明細書中、上記の如く参
照として含まれる米国特許第5,272,017号及び
同第5,316,871号に記載の慣用法により製造す
ることができる。これは図2及び図3のアノードにより
例示される。そのような状況では触媒含有カーボン粒子
(catalyzed carbon particle)を製造し、次いでキャス
ティング溶媒を含む溶液中でプロトン導電性バインダー
と混合する。溶液をテフロンコートグラファイトシート
80に適用し、キャスティング溶媒を蒸発させ、触媒含
有カーボン粒子とバインダーとを含む残存層を膜と接触
させ、これに熱プレスする。ここで触媒含有カーボン粒
子60は膜46と密接し、これに接着する。本明細書中
に記載されるように、触媒含有カーボン粒子の若干量が
少なくとも部分的に膜46内に埋め込まれるのが好まし
い。
【0027】図4は、カーボン粒子上に担持された超微
粉砕触媒粒子62のついた触媒含有カーボン粒子60の
拡大絵画図を示す。プロトン導電性材料64は粒子と混
ざり合う。
【0028】本発明の新規電極の構成は、カソードとし
て使用するものとして本明細書中に記載されているが、
これに限定されるものではない。本発明の新規電極はア
ノードとしてもカソードとしても使用可能であると考え
られ、カソードとして使用する場合に特に都合がよいこ
とが本明細書中に示されている。本発明の電極は、集電
体シート82、第1の電極層70及び第2の電極層72
を含む。第1の電極層70は集電体シート82と第2の
層72との間である。第1の電極層はカーボン粒子60
の第1の群を含み、第2の層はカーボン粒子60の第2
の群を含む。第1及び第2の群のカーボン粒子は同一種
のカーボン粒子であってもよく、表に示されているよう
な同一物理的特性を有していてもよい。別の態様では、
第1及び第2の群のカーボン粒子は異なるタイプのカー
ボン粒子であり、異なる特徴を有する。特徴については
表2に定義されている。
【0029】一態様では、第1の群のカーボン粒子は触
媒を含まない(図3)。別の態様では、第1の層を形成
する第1の群のカーボン粒子は触媒を含む(図2)。触
媒62は超微粉砕触媒粒子の形態であり、通常、以下詳
細に記載するように金属粒子である。いずれの態様にお
いても、第2の層72は超微粉砕触媒粒子62を含む。
第1及び第2の層の触媒粒子62とカーボン粒子60の
相対量は、第1の層70の触媒粒子対カーボン粒子の重
量比が第2の層72の重量比未満であるように選択す
る。第1の層が全く触媒粒子を含まず、第2の層が触媒
を含む場合には、この条件を満たすことは明らかであ
る。触媒粒子がいずれの層にも含まれる場合には、第2
の層の触媒粒子対カーボン粒子の重量比は第1の層の重
量比よりも大きい。
【0030】一態様では、第1の層のカーボン粒子は多
数の孔を画定する複数の内部及び外部表面を含み;超微
粉砕触媒粒子はカーボン粒子の内部及び外部表面上に担
持されている(図4)。第1の層を形成するためにプロ
トン導電性材料64と混合する前に、カーボン粒子60
に触媒粒子62を担持するのが好ましい。
【0031】一態様では、第2の層は第1の層と本質的
に同一方法により形成する。即ち、カーボン粒子に触媒
粒子を担持し、次いで触媒含有カーボン粒子をプロトン
導電性材料と混合する。次いでこの混合物を第1の層に
適用して第2の層を形成する。
【0032】触媒粒子は、好ましくは金属性、金属また
は合金である。最も好ましいものは貴金属触媒、例え
ば、プラチナ(Pt)及びパラジウム(Pd)である。
さらに、合金化するために他の比較的安定な金属を使用
することもできる。例えば、チタン、ルテニウム、ロジ
ウム、タングステン、錫またはモリブデンなどを使用す
ることもできる。
【0033】本発明は、少なくとも第1及び第2の層を
有する多層電極を形成する方法を提供する。第1の層は
プライマリー層(primary layer)とも呼ばれ、第2の層
はメイン層(main layer)とも呼ばれる。電極構造体の製
造法は、(a)集電体シート82を提供し;(b)プロ
トン導電性材料64、カーボン粒子60の第1の群、場
合により触媒粒子62を含む第1の層70を該シート上
に形成し;次いで(c)プロトン導電性材料64、カー
ボン粒子60の第2の群、及び触媒粒子62を含む第2
の層72を第1の層の上に形成する、各段階を含む。第
2の層のカーボン粒子に対する触媒粒子の重量は第1の
層の重量を超える。上記方法に従った一態様では、段階
(a)はプロトン導電性材料、カーボン粒子の第1の
群、並びにカーボン粒子上及びカーボン粒子中に担持さ
れた超微粉砕触媒粒子の第1の群の第1の混合物を形成
し;次いで第1の混合物を集電体の表面に適用し、該混
合物から第1のフィルムを形成することにより実施す
る。
【0034】一態様では、段階(c)は、プロトン導電
性材料、カーボン粒子の第2の群、カーボン粒子上及び
カーボン粒子中に担持された超微粉砕触媒粒子の第2の
群の第2の混合物を形成し;次いで第2の混合物を第1
の層に適用することにより実施する。
【0035】膜電極アセンブリは、膜のそれぞれの表面
に多層電極と対−電極を適用し、次いで膜に電極を接着
するのに十分な温度及び圧縮荷重で熱−プレスすること
により製造する。高温熱−プレス時に軟化する膜の中に
電極の粒子の少なくとも一部を少なくとも部分的に埋め
込むのが好ましい。
【0036】特に、アノード42の活性材料をテフロン
コートグラファイトシート80に適用する。次いで、シ
ート80上に支持されたアノード活性材料側を膜46の
第1の面50と接触する。シート82上のカソード44
の多層活性材料を膜46の第2の表面52と接触する。
膜46を軟化させ、粒子の少なくとも一部を膜内に少な
くとも部分的に埋め込むのに十分な時間、温度及び圧縮
荷重で加熱しながらシート80、82を膜に熱プレス
し、これにより第1及び第2の電極42、44を形成す
る。埋め込まれた粒子または挿入された粒子は膜のそれ
ぞれの表面に少なくとも部分的に設置されるが、粒子は
その表面より下に配置されたり膜に分散されたりするこ
とは全くない。
【0037】加圧しながら加熱する段階は、約250〜
約1000ポンド/平方インチの圧縮荷重及び約280
゜F(130℃)〜約320゜F(160℃)の温度で約
1〜約5分間実施する。約300゜F(約150℃)の
温度、約1〜約2分間で約500ポンド/平方インチの
圧縮荷重が効果的であることが知見された。圧縮荷重は
経時で変化しても良い。即ち、より軽い荷重でより長時
間であっても良く、より重い荷重でより短時間であって
も良い。
【0038】加圧下で電極を膜に埋め込むことにより、
膜電極アセンブリの一方から他方へプロトン導電性材料
の連続路を提供することができる。プロトン導電性材料
に触媒及びカーボン粒子を密に混合することによって、
反応が起きる触媒部位にプロトン用の連続路が提供され
る。この方法により、電極で膜に隣接する触媒粒子の相
対的に最適な利用率が得られる。
【0039】アノードとカソードメイン(第2の)層を
形成するプロトン導電性材料と触媒粒子及びカーボン粒
子との割合は、100部をベースとして、プロトン導電
性材料が30〜約70部であり、残余は触媒粒子及びカ
ーボン粒子である。触媒粒子とカーボン粒子との割合
は、100重量部をベースとして触媒粒子は約20部以
下であり、残余はカーボン粒子である。カソードプライ
マリー層(第1の層)は触媒を含まないか、より少量の
触媒粒子を含む。量は触媒粒子0.02mg/cm2
オーダーである。これは、触媒粒子約5重量部及びカー
ボン粒子95重量部に対応する。
【0040】一態様では、カソードはプロトン導電性材
料と混じったカーボン粒子を含む第1の層を含み;或い
は第1の層は0.02mg/cm2(5重量パーセント
プラチナ)のオーダーの少量のプラチナで残余はカーボ
ンであるように触媒を含有するカーボン粒子を含む。こ
の層は通常、40重量パーセントのプロトン導電性材料
(ナフィオン)を含み、残余は、60重量パーセントの
オーダーのカーボンまたは触媒含有カーボンである。こ
の層は通常、約10〜約13ミクロンの厚さを有する。
第2の層は20重量パーセントのプラチナの触媒含有カ
ーボン粒子を含有する。メイン層中のナフィオン対触媒
含有カーボンとの重量比はナフィオン(プロトン導電性
材料)30〜35重量パーセント及び触媒含有カーボン
65〜70重量パーセントである。カーボンと水から構
成されるスラリーのpHは約6〜9を示すのが望ましい。
好ましくは、pHは6.5を超え、約6.5〜9である。
平均孔径は5ナノメートルを超える半径に等しいのが好
ましい。これはメソポア及びミクロポアのいずれもの平
均孔径を表す。プライマリー(第1の層)とメイン(第
2の層)を支持する集電体は0.3〜0.35gm/c
2のオーダーの密度を有するのが好ましい。
【0041】
【実施例】本実施例では、膜電極アセンブリ(MEA)
12を製造した。アノードは慣用手段により製造し、カ
ソード電極は本発明の改良法により製造した。いずれの
場合にも集電体にはカーボン紙を使用し、電極の活性材
料成分を支持した。本実施例では、ナフィオン(登録商
標)及びテフロン(Teflon:登録商標)のいずれ
をも使用した。ナフィオン(登録商標)膜及びナフィオ
ン(登録商標)溶液は、それぞれ、Dupont and Solutio
n Technologyから入手した。ナフィオン(登録商標)は
Dupontの商標である。テフロン(登録商標)もDupontの
商標である。カーボンシート処理 Spectra Corp. Lawrence, MA製の8〜11mil厚さで
0.26g/cc〜0.7g/ccの密度のSpect
raCarb(SC)カーボンシートを入手した。棚に
水平方向にカーボン紙を置き、よく撹拌したテフロン/
水混合物中にカーボン紙と棚とを2分間浸漬することに
よりカーボン紙をコーティングした。DuPont製のテフロ
ン30B溶液1部(容積)と脱イオン水24部(容積)
とを混合することによりテフロン懸濁液を製造した。1
20℃で15〜20分間シートを乾燥した後、カーボン
紙を間接加熱室中、320℃で15分間及び380℃で
30〜60分間焼結した。シートのテフロン含有量はテ
フロン処理の前後でシートを秤量することにより計算し
た。カーボン紙のテフロン分布は電子顕微鏡分析を使用
して測定した。シートの上部は底部側よりも高いテフロ
ン含量を有していたことが観察された。MEA製造 カーボン紙をテフロンでコーティングした後、高テフロ
ン含量側を二重積層電極構造体のコーティング用に選択
した。触媒スラリーがカーボンシートに浸透しないよう
にプライマリー層はバリヤ層からなっていた。プライマ
リーカーボン/バリヤ層用のスラリーは、密なスラリー
を形成するために超音波浴中で2〜3分間、5w/oP
t、10g脱イオン水及び13.4gナフィオン溶液
(5%溶液、Solution Technology)と1gアセチレン
ブラック(AB)とを混合することにより製造した。ブ
ラシ、ドクターブレードまたはスプレーガンを使用して
テフロンコートカーボンシートの上部にABスラリーの
層を適用した後、シートをヒートランプ下、100℃で
15分間乾燥した。乾燥フィルムは触媒充填量0.02
mg/cm2、ナフィオン充填量40w/o及びカーボ
ンブラック充填量60w/oであった。TEM研究よ
り、プライマリー層は10〜13μmの厚さであること
が判明した。
【0042】カソード触媒をメイン触媒層(第2の層)
に担持させるために、異なる特性を持つ9種類のカーボ
ン担体について評価した。アノード触媒の担体は慣用法
により製造したVulcan XC−72Rであった。
カソード触媒に使用したカーボンは、入手したまま及び
熱処理形のいずれをも使用した。熱処理はアルゴン中、
1000℃で1時間実施した。カーボンにプラチナ(P
t)触媒を担持した。触媒は、ヘキサクロロプラチナ酸
(Johnson Matthey)の水溶液をカーボン/水混合物に添
加し、続いて1時間撹拌することによって製造した。次
いで過剰量のホウ水素化ナトリウムをカーボンスラリー
に滴下添加することにより、Pt(IV)を金属状態に
還元した。混合物をさらに1時間撹拌した後、1M硫酸
を添加することにより溶液のpHを約7.0に調節した。
最終的にプラチナを充填したカーボン混合物を濾過し、
水で十分に洗浄し、空気中、100℃で一晩乾燥した。
次いでプラチナ含有カーボンと5w/oナフィオン溶液
(Solution Technology, Inc., Mendenhall, Pennsylvan
ia)と十分混合することによりスラリーを製造した。プ
ライマリー層(第1の層)で予めコーティングしたカー
ボンシートにこの触媒スラリーを適用した。触媒スラリ
ーはブラッシングにより適用し、電極を100℃で1時
間乾燥した。十分に乾燥したカーボンシートをそれぞれ
の層の適用前後で秤量することによりPt充填量を計算
した。MEAを製造するために、Dow実験膜またはナ
フィオン112膜を2つの電極の間にサンドイッチし、
MEAを500〜1000lb/平方インチで300゜
Fで1.5〜2.0分間熱プレスした。MEA評価 25cm2の活性電極面積を有する膜電極アセンブリを
グラファイト製単一電池テスト取付具(Electrochem, In
c)内に設置した。IBM PC−ベースのデータ取得装
置及び制御システムを使用して、電池電位または電流、
温度、圧力、ガスのマスフロー及び反応ガスの湿分(hum
idification)を制御したGlobe−Tech燃料電池
試験ステーションにより単一電池を操作した。MEAを
調節するために、電池を80℃及び30psig圧力で
反応体として水素/酸素で1A/cm2で24時間操作
した。電流−電圧曲線は、80℃及び種々のガス圧で反
応体としてH2/空気を使用して記録した。反応体化学
量論量は空気に関しては2.5〜3であり、H2に関し
ては1.2〜1.5であった。それぞれの試験の終了
時、上記の如くカソードのPt触媒の電気化学的に活性
な表面積を測定するために、MEAの環状ボルトアンモ
グラム(cyclic voltammogram; CV)を記録した。実験結果 集電体処理の効果 テフロン(登録商標)などの耐水剤(wet-proofing agen
t)を充填した後、集電体及びガス拡散器としてグラファ
イトシートを使用した。カーボンシート中のテフロン充
填量を変えることに加えて、カーボンシートの密度も変
えた。20w/oPt(Vulcan XC−72Rカ
ーボン上に担持)を触媒として使用し、ナフィオン11
2膜とPt充填量0.28mg/cm2/電極でMEA
を製造した。図5は、燃料電池性能における集電体のテ
フロン含量の変動効果を示す。テフロン充填量が高くな
るにつれて、電池の性能は低電流密度へと低下した。マ
トリックス中に高レベルの非−導電性テフロンポリマー
があるため電極抵抗率の上昇も副次的な効果として知見
される。電極の疎水性を高めるためにテフロンを添加す
るので、疎水性が増加して反応部位から水を除去するの
が難しいようである。これにより、テフロン含量の増加
に連れて種々の電圧での電流の急激な低下を起こす電極
のフローディング(flooding)が起きる。4w/o(重量
パーセント)の最低グラファイト紙テフロン含量で、こ
の一連の実験における最高の燃料電池性能(0.6Vに
おいて820mA/Cm2)が得られた。即ち、テフロ
ン4重量パーセント及びグラファイト紙96重量パーセ
ントである。
【0043】メイン触媒層をコーティングする前にグラ
ファイトシートにプライマリーカーボン層を適用する効
果を図6に示す。膜界面近くのメイン触媒層の密度を高
めることによりプライマリー層によって燃料電池性能が
改善し易くなる。触媒スラリーはグラファイトシートを
貫通しないため、プライマリーカーボン層(第1の層)
は以下に示すような優れた性能を示す低密度カーボンシ
ートを使用するための重要な役割を果たす。
【0044】PEM燃料電池性能における0.26g/
cc〜0.7g/ccの範囲のカーボンシート集電体の
密度効果について研究し、結果を図7に示す。質量輸送
が限定されているため、電圧が急激に低下した電流密度
が紙の密度からをはっきりと確定した。より低い密度シ
ートはより多孔性なので、マクロ多孔度(macrop
orosity)により高い電流密度においてさえも水
の除去が容易である。紙の密度が0.7から0.26g
/ccへ減少するのにつれて、2つの効果が知見され
た。第1に、0.26g/ccに低下する前に0.6V
における電流密度は、0.33g/ccにおいて0.6
2A/cm2から1A/cm2に増加した。4w/oの最
適レベルから8w/oもの高いテフロン含量に増加して
いるのにもかかわらず、0.33g/ccの密度で電池
性能においてこのような改善が知見された。溶液中に一
定のテフロン濃度を有するスラリーから低密度でより多
くのテフロをン取り込むため、紙密度が減少するのに連
れてテフロン含量は4から11.7w/oに増加した。
テフロン含量が増加したので、紙密度0.33g/cc
において0.6Vの電流密度で最大となったらしい。第
2に、電流−電圧曲線の直線領域での最大電流密度(急
激に低下する前)は、0.26g/ccの最低密度で
0.6A/cm2から1.8A/cm2もの高さに増加し
た。かくして、0.3〜0.35g/ccの集電体密度
はカソード用途に関して最適であると考えられる。メイン触媒層におけるナフィオン含量の効果 電解質と全ての触媒粒子とを確実によく接触させておく
ために、触媒層にはそのマトリックス中にプロトン導電
性ナフィオンポリマーが必要である。しかしながら、ナ
フィオンが過剰量であると水が滞留し、その結果触媒部
位がフローディングを起こすため、ナフィオン量を最適
化しなければならない。図8は、PEM燃料電池性能に
おけるカソードナフィオン含量の効果を示す。この一連
の実験では社内で製造した20w/o Pt/Vulc
an XC−72R触媒、テフロン含量19w/oのグ
ラファイト紙(10ミル、0.42g/cc、Spec
traCorp製)を使用した。20w/oから30w
/o(重量パーセント)にナフィオン含量が上昇すると
燃料電池性能が大きく改善したが、さらに上昇すると電
池性能は減少した。
【0045】ナフィオン充填量の効果を説明するため
に、プラチナ触媒の実質表面積を電気化学水素吸着法に
より測定し、その結果を表1に示す。ナフィオン充填量
が30w/o未満のときは、ナフィオン含量が上昇する
と実質Pt表面積も増加することが知見される。その結
果、プロトン−導電性電解質への触媒部位の接近性(acc
essibility)が高まる。実際のPt充填量の違いを考慮
し、全Pt充填量を使用してPt表面積、幾何学的表面
積及び絶対電気化学的面積を標準化した。表1から、2
0から0w/oにナフィオン含量が増加すると標準化し
た表面積が57%増加するので、燃料電池性能が大きく
増加したことの説明となることがわかる。30w/o以
上にナフィオン充填量が増加しても実質面積はほんの少
ししか増加しないので、電極水処理における過剰のナフ
ィオンの悪影響により燃料電池性能には効果はなかっ
た。
【0046】ナフィオンはバインダーであり、メイン層
または触媒層(第2の層)とカーボンシートとの間には
優れた結合が必要であるため、プライマリー層(第1の
層)にはより多いナフィオン充填量が必要であると考え
られた。プライマリー層におけるナフィオン充填量が3
0〜35%に低下すると、メイン層または触媒層(第2
の層)に亀裂が知見された。プライマリー層中30%ナ
フィオンで実施した実験では燃料電池性能も低かった。メイン触媒層におけるカーボン担体の効果 燃料電池触媒を分散させるのに使用したカーボン担体の
物理−化学特性は、特に空気カソードでの電池水処理で
重要な役割を有する。米国特許第5,272,017号
及び同第5,316,817号では、周囲条件下で、ア
ノード用のボールミル粉砕したVulcan XC−7
2及びカソード用の入手したままのKetjenブラッ
クは優れた性能を示した。キャピラリー力により駆動さ
れるフローディングの程度及びPt触媒の分散度を測定
するために、全表面積、孔分布率、孔容積、及び平均孔
径などの物理的特性を測定した。スラリーpHにより測
定したように表面化学組成などの化学的特性は孔壁の疎
水性度を決定する。半−疎水性領域は電極マトリックス
からの水を確実にはじき、触媒部位に反応体ガスを容易
に輸送することができる。表2は燃料電池電極性能に重
要なカーボンブラックの種々の物理化学的特性を列記す
る。カーボンのミクロポアは直径2nm未満の孔径を有
するが、マクロポアは2〜50nmの範囲の孔径を有す
る。アセチレンブラックはメソポア面積の割合が最大
で、AX−21はメソポア面積の割合が最小である。入
手したままの状態でカーボンは酸性及びアルカリ性のい
ずれもあるが、熱処理すると全てアルカリ性となる。入
手したままの状態でKetjenBlack及びBla
ck Pearls2000カーボンは最高のpHを有
し、Raven5000は最低のpHを有する。電極の
製造ではカーボン粒子の密度及びガス拡散が可能な孔容
積も重要である。これは10w/oPtを充填したカー
ボンブラック1グラムの容積から評価することができ、
図9に示す。アセチレンブラック及びRaven500
0はそれぞれ、最高のカーボン容積及び最低のカーボン
容積を有していた。Vulcan XC−72R、Ke
tjenBlack、Printex及びBlack
Pearls2000は似たような孔容積を有してい
た。
【0047】図10は種々の入手したままのカーボンブ
ラックと熱処理したカーボンブラックに関する燃料電池
性能を表す。これらの実験は最適の集電体の厚さまたは
テフロン充填量で実施しなかったが、これらの実験は担
体の疎水性と相互関連する重要な傾向を示している。K
Bが明らかに最高であることが解るが、周囲条件での場
合と異なり高温及び圧力実験では、アセチレンブラッ
ク、Ketjen Black及びVulcan XC
−72Rは似たような性能を示す。アセチレンブラッ
ク、Ketjen Black、Printex及びV
ulcanXC−72Rを熱処理すると、入手したまま
のカーボンの場合と比較して電池性能が低下した。熱処
理したRaven5000及びBlack Pearl
s2000はそれぞれ電池性能が88%及び43%も大
きく増加した。Vulcan XC−72Rをボールミ
ル粉砕、熱処理及びボールミル粉砕と熱処理との組合せ
などの種々の物理的処理にかけ、その結果を図11に示
す。Vulcan XC−72Rをボールミル粉砕また
はボールミル粉砕/熱処理の組合せにかけると、電池性
能が40%低下した。ひとつには、質量輸送を制限して
しまいうるボールミル粉砕によってカーボン容積が(6
0%だけ)減少し、平均の孔半径が(30%だけ)減少
したものと考えられよう。
【0048】種々のカーボン上に分散されたPt触媒の
実質プラチナ表面積を測定することにより、何故熱処理
をすると特定のカーボンの性能が低下して、他のカーボ
ンの性能は大きく上昇するかということをさらに洞察し
た。図12は、プラチナ実質表面積におけるカーボンの
タイプの効果を示し、Ketjen BlackとAX
−21は最大プラチナ表面積84m2/gmを示した
が、AX−21は最低の電池性能を示した。このことは
分散されたプラチナ触媒の利用率の改善におけるカーボ
ンの物理化学的特性の役割を再強調している。Ketj
en BlackとPrintex上に分散された触媒
の実質Pt面積が熱処理により50%減少したのは興味
深い。これは、プラチナ溶液は付着時にカーボン孔に浸
透しなければならないため、疎水性の高い担体はプラチ
ナ触媒をよく分散させないことを示している。このこと
は、何故入手したままのKB、AB及びVulcanが
その熱処理形と比較して優れた性能であったかを説明す
る。中性範囲6〜9のスラリーpH、特にその入手した
ままの状態で、5nmを超える平均孔半径を有するカー
ボンブラックがPEM燃料電池カソード用途用のPt触
媒の分散に最適であると結論できる(図9及び図1
0)。スラリーpHは水中のカーボンスラリーのpHを
測定したものである。
【0049】アセチレンブラック(AB)は半−疎水性
の担体に最適pHであったので、プライマリーカーボン
層(第1の層)のpHは変えなかった。プライマリー層
(第1の層)用の最適pH範囲はメインまたは触媒層
(第2の層)とは大きく異なるとは考えにくい。
【0050】プライマリー層(第1の層)の最適の孔半
径は触媒層と同様でもよいが、違える必要はない。しか
しながら、単位質量当たりのカーボン容積は重要であろ
う。ABは最低の密度なので、1グラム当たり最高の容
積を有する(図9)。従ってABは、プライマリー層内
の孔の中にくまなくガスを輸送することを大きく阻害す
ることなくカーボンシートの孔を機械的に確実に塞ぐだ
ろう。これに基づくと、これらのカーボン粒子は少なく
とも約10cm3/gmの1グラム当たりの容積を特徴
とするのが好ましい。これはプライマリー層のカーボン
粒子に関しては約0.1gm/cm3以下の密度に対応
する。
【0051】触媒は場合によりプライマリー層(第1の
層)内に含ませることができるが、反応領域はメインま
たは触媒層(第2の層)を超えては展開しそうもないの
で、必須ではない。しかしながら、痕跡量の触媒(プラ
チナ)を添加するとマトリックスの導電性を改善し、電
池性能を促進する。0.02mg/cm2の非常に低い
充填量でも十分であるが、この程度の量で妥当であり、
さらに充填量を増加させるのは有益ではないようであ
る。0から0.15mg/cm2以下のオーダーの範囲
が妥当であると考えられる。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】要約すれば、本発明は、燃料電池反応用の
触媒層を担持する2つのカーボンシート集電体の間にサ
ンドイッチされた膜を含む膜−電極アセンブリ(ME
A)を含むPEM燃料電池の必須成分を改良する。本明
細書に記載された特徴により、膜/電極界面の反応部位
に酸素を輸送する速度を促進し、生成水の除去を改良す
る。これは、空気電極(カソード)のデザイン及び構
造;グラファイト紙密度及びそのテフロン含量;反応層
におけるナフィオン充填量;並びに触媒を分散するのに
使用したカーボン担体のスラリーpHと孔分布を注意深
く最適化することにより達成される。これらの特徴によ
り触媒分散、触媒層へのガス輸送、及び水処理を改善す
る。
【0056】電極中のナフィオンは触媒層においてプロ
トン−導電性電解質と同程度に優れたバインダーとして
作用する。カーボン担体は室温及び近周囲圧力で操作し
た電池用に早くから研究されていた。カソードのKet
jen Black及びアノードのボールミル粉砕した
Vulcan XC−72Rは、最適水処理及びプラチ
ナ触媒の分散用に最高のカーボンブラック担体であるこ
とが知見された(米国特許第5,272,017号及び
同第5,316,817号)。
【0057】米国特許第5,272,017号及び同第
5,316,817号に記載された改良法より以前の膜
電極アセンブリ(MEA)の製造法は、プラチナ処理カ
ーボンスラリーで膜をコーティングし、次いで集電体と
してカーボンシートを膜に付けることを含んでいた。こ
れにはナフィオン117などの高い当量の厚い膜に主に
好適であるという欠点があった。米国特許第5,27
2,017号及び同第5,316,817号の方法は、
カーボンシートに触媒含有カーボンスラリーを直接適用
し、続いて膜に電極を熱プレスすることを含んでいた。
本発明のアプローチでは、大量生産用及び、ガス拡散裏
打ち用のカーボンシートまたはプロトン交換膜のどんな
種類にも直ちに適用することができる多層電極構造体を
使用する。
【0058】多層カソード構造体は、極少量(0.02
mg/cm2)のPtを含むプライマリーカーボンブラ
ック層と20w/oPtを充填した好適に処理したカー
ボンブラックのメインプライマリー触媒層とからなる。
プライマリー層はメイン触媒層のコーティング性能を改
良し、膜界面近くに層を局在化することにより電池性能
を改良し易くする。電極マトリックスからの水をはじく
ために好適な疎水性であるが、高い触媒利用率でPt触
媒を分散するのに十分な疎水性をもつカーボン担体によ
りメイン触媒層の性能を最適化した。メイン触媒層への
ナフィオンポリマーの充填、及びカーボンシート集電体
へのテフロンポリマーの充填も、ガス散布及び触媒利用
率がより高くなるように最適化された。0.3〜0.3
5g/ccの範囲の密度及び5w/o未満のテフロン含
量のカーボンシートが集電体に最適であることが知見さ
れた。30〜35w/oのカソードナフィオン含量であ
れば、電極のフローディングを最小に保持しながら許容
可能なPt利用率とすることができた。カソード触媒担
体として評価された広範な特性の種々のカーボン材料の
中でも、5nmを超える平均孔半径と6〜9の中性範囲
のスラリーpHをもつカーボンがカソード用途に最適で
あることが知見された。
【0059】本明細書中に示した水素/空気電池の優れ
た性能は、カソードのナフィオン含量、カーボンシート
の密度及びテフロン含量などの種々の製造及び組成パラ
メーターにより達成され、触媒を分散させるために使用
したカーボン担体の物理化学的特性は全て最適化され
た。本発明の有効性は本明細書中に記載された試験結果
から明らかである。
【0060】本発明を特定の態様について記載してきた
が、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範
囲の請求にのみ限定されるものである。
【0061】独占的な所有権または特権が請求される本
発明の態様は、特許請求の範囲に定義されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による電極と、膜及び電極の結
合アセンブリとを有する、組み立てていない電気化学燃
料電池の略図である。
【図2】図2は、本発明の膜電極アセンブリの断面絵画
図である。
【図3】図3は、グラファイトシートを有する膜電極ア
センブリの別の断面絵画図である。
【図4】図4は、プロトン導電性材料と混じった触媒粒
子を担持しているカーボン粒子を示す拡大図である。
【図5】図5は、80℃、空気/H2、3/1.2化学
量論量、30psigで操作したPEM燃料電池におけ
る集電体のテフロン含量の効果を示す。20w/oPt
Vu、10mil SC、0.5g/cc、ナフィオン
112膜、Pt充填量=0.28mg/cm2/電極で
ある。
【図6】図6は、PEM燃料電池性能において、プライ
マリーカーボン/触媒層を用いる効果を示す。メイン層
及びプライマリー層に対してそれぞれ20w/oPtV
u及び5w/oPtABを使用した。ナフィオン112
膜;Pt充填量;0.35mg/cm2/電極;空気/
水素、80℃、30psig;3/1.2化学量論量。
【図7】図7は、80℃、空気/H2、3/1.4化学
量論量、30psigで操作したPEM燃料電池におけ
る集電体密度の効果を示す。20w/oPtVu、ナフ
ィオン112膜、Pt充填量=0.3mg/cm2/電
極。
【図8】図8は、80℃、空気/H2、3/1.5化学
量論量、55/30psig、20w/oPtVu、1
0mil SC、0.42g/cc、19w/oテフロ
ン、Dow膜、Pt充填量=0.45mg/cm2/電
池で操作した際のPEM燃料電池性能におけるカソード
ナフィオン含量の効果を示す。
【図9】図9は、10w/oのカーボン−担持Pt触媒
1グラムの容積を示す。
【図10】図10は、0.5V、80℃、空気/H2
30psig、3/1.5化学量論量、10w/oPt
/カーボン、10mil SC、0.42g/cc、2
5w/oテフロン、Dow膜、Pt充填量=0.11±
0.02mg/cm2/電極で操作した際のPEM燃料
電池性能におけるカーボンのタイプの効果を示す。
【図11】図11は、80℃、空気/H2、30psi
g、3/1.5化学量論量、10w/oPtVu、10
mil SC、0.42g/cc、25w/oテフロ
ン、Dow膜、Pt=0.23mg/cm2/電池で操
作した際のPEM電池性能におけるVulcan XC
−72R処理の効果を示す。
【図12】図12は、プラチナ電気化学表面積における
カーボンタイプの効果を示す。
【図13】図13は、Pt触媒を分散させるために使用
したカーボンスラリーのpHに対する0.5ボルトでの電
池電流密度のプロットを示す。実験条件は図10と同一
である。
【図14】図14は、カソードカーボン担体の平均の孔
半径に対する0.5ボルトでの電池電流密度のプロット
を示す。実験条件は図10と同一である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨーセフ・ミクハイル アメリカ合衆国ミシガン州48313,スター リング・ハイツ,ウィンザー・コート 12702

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集電体シート、第1の電極層、及び第2
    の電極層を含む電極構造体であって、前記第1の電極層
    は前記集電体シートと前記第2の電極層との間にあり;
    前記第1の層はカーボン粒子の第1の群を含み、前記第
    2の層はカーボン粒子の第2の群を含み;前記第1の層
    は触媒を含まないか、超微粉砕触媒粒子の第1の群を含
    み;前記第2の層は超微粉砕触媒粒子の第2の群を含
    み;但し、第1の層の触媒粒子対カーボン粒子の重量比
    は第2の層のその重量比未満である、前記電極構造体。
  2. 【請求項2】 それぞれのカーボン粒子の群は、カーボ
    ン粒子とカーボン粒子との間及びその中の多数の孔を画
    定する内部表面及び外部表面を有する複数のカーボン粒
    子と、カーボン粒子の内部及び外部表面上に担持されて
    いる前記超微粉砕触媒粒子とを含む、請求項1に記載の
    電極構造体。
  3. 【請求項3】 前記第1の層は触媒を含まず、前記第2
    の層はカーボン粒子とカーボン粒子との間及びその中の
    多数の孔を画定する内部及び外部表面を有するカーボン
    粒子の前記第2の群、カーボン粒子の内部及び外部表面
    に担持された超微粉砕触媒粒子の第2の群、並びにカー
    ボン粒子及び触媒粒子と混じり合っているプロトン導電
    性材料を含む、請求項1に記載の電極構造体。
  4. 【請求項4】 カーボン粒子の前記第1の群が1立方セ
    ンチメートル当たり0.1グラム以下の密度を特徴とす
    る、請求項1に記載の電極構造体。
  5. 【請求項5】 カーボン粒子の前記第2の群が約6〜約
    9の範囲のpHを特徴とする、請求項1に記載の電極構造
    体。
  6. 【請求項6】 それぞれのカーボン粒子の群が約6〜約
    9の範囲のpHを特徴とする、請求項1に記載の電極構造
    体。
  7. 【請求項7】 カーボン粒子の前記第2の群が5ナノメ
    ートルを超える平均孔半径を特徴とする、請求項1に記
    載の電極構造体。
  8. 【請求項8】 前記層のそれぞれがカーボン粒子及び触
    媒粒子と混じり合ったプロトン導電性材料をさらに含
    む、請求項1に記載の電極構造体。
  9. 【請求項9】 前記第2の層の触媒粒子充填量が電極表
    面積1cm2当たり約0.30mg未満であり、第1の
    層の触媒充填量が第2の層の充填量未満である、請求項
    1に記載の電極構造体。
  10. 【請求項10】 前記第2の層は約20:80の重量比
    で前記触媒粒子と前記カーボン粒子を含み;前記プロト
    ン導電性材料は前記第2の層の30〜35重量パーセン
    トを構成し、前記触媒及びカーボン粒子が残余を構成す
    る、請求項1に記載の電極構造体。
  11. 【請求項11】 前記集電体がテフロン(登録商標)を
    含浸したカーボンシートを含み、カーボンシートとテフ
    ロンを合わせた100重量部をベースとして約5部以下
    をテフロンが構成する、請求項1に記載の電極構造体。
  12. 【請求項12】 含浸前に、前記カーボンシートが8〜
    12milの厚さ及び約0.3〜約0.35g/ccの
    密度を有する、請求項11に記載の電極構造体。
  13. 【請求項13】 前記カーボン粒子の第1の群と第2の
    群とが同一のタイプである、請求項1に記載の電極構造
    体。
  14. 【請求項14】 カーボン粒子の第1の群と第2の群が
    pH、孔径、粒径及びBET表面積のひとつ以上により識
    別することができる、請求項1に記載の電極構造体。
  15. 【請求項15】 集電体シート、第1の電極層、及び第
    2の電極層を含む電極構造体であって、前記第1の電極
    層は前記集電体シートと前記第2の電極層との間にあ
    り、前記第1の層及び前記第2の層はそれぞれ触媒含有
    カーボン粒子の第1の群と第2の群を含み、前記触媒含
    有カーボン粒子は超微粉砕触媒粒子を担持しており、但
    し、前記第1の層の触媒粒子対カーボン粒子の重量比は
    第2の層の重量比未満である、前記電極構造体。
  16. 【請求項16】 (a)集電体シートを提供し; (b)プロトン導電性材料、カーボン粒子の第1の群、
    及び場合により触媒粒子を含む第1の層を前記シート上
    に形成し;及び (c)プロトン導電性材料、カーボン粒子の第2の群、
    及び触媒粒子を含む第2の層を前記第1の層の上に形成
    し、前記第2の層のカーボン粒子に対する触媒粒子の重
    量は第1の層の重量よりも多い、 各段階を含む電極構造体の製造法。
  17. 【請求項17】 プロトン導電性材料、カーボン粒子の
    第1の群、及びカーボン粒子の上及びその中に担持され
    た超微粉砕触媒粒子の第1の群の第1の混合物を形成
    し;次いで、集電体の表面に前記第1の混合物を適用
    し、前記混合物から第1のフィルムを形成することによ
    り段階(b)を実施する、請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 プロトン導電性材料及びカーボン粒子
    の第1の群の第1の混合物を形成し;次いで集電体の表
    面に第1の混合物を適用し、前記混合物から第1のフィ
    ルムを形成することにより段階(b)を実施する、請求
    項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記カーボン粒子の第1の群が1立方
    センチメートル当たり0.1グラム以下の密度を特徴と
    する、請求項16に記載の電極構造体。
  20. 【請求項20】 プロトン導電性材料、カーボン粒子の
    第2の群、及びカーボン粒子上及びその中に担持された
    超微粉砕触媒粒子の第2の群の第2の混合物を形成し、
    次いで前記第1の層の上に第2の混合物を適用すること
    により段階(c)を実施する、請求項16に記載の方
    法。
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