JP2000309199A - 装飾用貼着シートとその製造方法及び装飾用貼着シートの貼着対象物への接着方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 公害要因である塩化ビニル系樹脂を使用せず
に、しかも転写手段とは異なる貼着手段を採用すること
ができるようにして、コストの低廉化と廃棄処理時の自
然環境破壊（公害）要因を解消することができる装飾用
貼着シートとその製造方法を提供することを課題とす
る。 【解決手段】 剥離性を有する又は片面に剥離層(1) を
形成した剥離用シート(2) の剥離側面上に、加熱により
粘着性を発揮するホットメルト系の接着用糊層(3) と、
該接着用糊層(3) の部材と相溶性のないインキを用いて
任意の色彩又は図柄を接着用糊層(3) に直接印刷して形
成した印刷インキ層(4) と、該印刷インキ層(4) の表面
を被覆保護する透明又は半透明の保護層(5)又は該保護
層(5)を電子照射処理加工により変質させた硬化保護層
(6) とが積層状に一体化されてなり、剥離用シート(2)
を剥離して接着用糊層(3) を露呈させ、接着用糊層(3)
が粘着性を発揮する温度条件下において貼着対象物(A)
の表面に接着させるようにしたことを特徴とする装飾用
貼着シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として壁板、金
属製板等の化粧建築用板や、テーブル、家具等（樹脂部
材、布も含む）の貼着対象物の表面に貼着する、任意の
色調（単一色を含む）、木目調、石材調（大理石、御影
石等）、その他各種の色調柄（以下、図柄と言う）を表
現するための素材となる装飾用貼着シートとその製造方
法及び貼着対象物への接着方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来における、化粧建築用板、テーブ
ル、家具等（以下、貼着対象物と言う）表面に図柄等を
表現する手段としては、直接印刷方式、練り込み方式、
熱転写方式などが用いられていたが、直接印刷方式では
貼着対象物の上に印刷すること自体が極めて困難であ
り、練り込み方式では仕上がりの予測が難しく、図柄の
再現性が得られないことから、最近では殆どが基材シー
ト面に印刷手段により図柄の転写層を形成した転写シー
トを用い、転写層を貼着対象物の表面に熱転写する転写
方式が一般的（特開昭５５−４７２８７号公報、特開昭
６２−３９２９９号公報、特開昭６３−２２２９００号
公報、特開昭６４−８３０００号公報他）となってい
る。

【０００３】従来例１ 結合剤と溶剤ないし昇華性の着
色剤とを主成分とする組成物による任意の模様層（転写
層）を有する転写シートを用い、該転写シートの転写層
の面が多孔質無機質板（貼着対象物）表面に接触するよ
うに重ね合わせ、真空中で加熱加圧し、次いで除圧冷却
して転写シートを多孔質無機質板から引き剥した後、ポ
リマー溶液を上記多孔質無機質板に含浸、乾燥させた化
粧建築用板とその製造方法（特開昭５５−４７２８７号
公報）。

【０００４】従来例２ 離型性を有する或は具備させた
シート部材、例えば合成樹脂フィルムや、シリコーン、
ポリアミド等の離型剤を塗布した紙シート、金属シート
（スチールフォイル、アルミフォイル等）と図柄を印刷
により形成した転写層とからなる転写シートを用い、そ
の転写層形成面を、被転写体（貼着対象物）の表面に溶
融状態で施された熱可塑型接着剤を介して加圧密着させ
た後、シート部材を剥離することによって転写層を被転
写体の表面に転写する方法（特開昭６２−３９２９９号
公報）。

【０００５】従来例３ ポリ塩化ビニルフィルムを基材
とし、該基材上に直接絵柄層、接着剤層を設けた三次元
成形品絵付け用転写フィルムであり、絵柄層が、ポリビ
ニルブチラール、セルロース、アセテート、プロピオネ
ート樹脂、塩化ポリプロピレン樹脂のいずれか一種をバ
インダーとしたインキを使用した転写フィルム（特開昭
６３−２２２９００号公報）。

【０００６】従来例４ ポリ塩化ビニルフィルムの表面
に該ポリ塩化ビニルフィルムに対して剥離性を有する樹
脂を含むインキで絵柄模様を印刷してなる転写シートを
用い、該転写シートの絵柄模様層を被転写体（貼着対象
物）の表面に接着剤を介して載置し、加熱真空下におい
て密着し、次いで上記ポリ塩化ビニルフィルムを引き剥
して被転写体の表面に絵柄模様層を残置させる方法（特
開昭６４−８３０００号公報）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記従来例１乃至４は
いずれも一般的な転写方式を採用する転写シート及び転
写シートを利用した化粧建築用部材の製造方法である
が、天然に近似した木目調、石材調（大理石、御影石
等）の深みのある図柄を表現しなければならないと言う
大前提上、製作工程数や使用素材の増大が避けられず、
畢竟、高コストとなりその低廉化が図れないだけでな
く、可能な限りのコスト低廉化を考慮して、結合剤又は
転写シート基材、保護層形成素材として塩素化合物系樹
脂の使用によって、廃棄処理時の自然環境破壊（公害）
要因を内在するものであり、加えて、絵柄模様層の保護
が十分でなく耐久性にも課題があった。

【０００８】本発明は、塩素化合物系樹脂シートを使用
せずに、しかも転写手段とは異なる貼着手段を採用する
とともに、装飾用貼着シートの図柄の耐久的保護を図
り、もって耐久性に優れ、コストの低廉化と公害を解消
することができる装飾用貼着シートの提供とその製造方
法及び装飾用貼着シートの貼着対象物への接着方法を提
供することを課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するものであって、最も特徴とするところは、転写手
段によらず貼着手段によって、貼着対象物の材質に関係
なく、木材、金属、樹脂、布を素材とする化粧建築用
板、家具構成部材の表面に、木目調、石材調（大理石、
御影石等）、その他各種の色調（単一色を含む）の図柄
を表現するための装飾用貼着シートとその製造方法及び
装飾用貼着シートの貼着対象物への接着方法からなる。

【００１０】まず装飾用貼着シートについて説明する
と、剥離性を有する又は片面に剥離層(1) を形成した剥
離用シート(2) の剥離側面上に、加熱により粘着性を発
揮するホットメルト系の接着用糊層(3) と、該接着用糊
層(3) の部材と相溶性のないインキを用いて任意の色彩
又は図柄を接着用糊層(3) に直接印刷して形成した印刷
インキ層(4) と、該印刷インキ層(4) の表面を被覆保護
する透明又は半透明の保護層(5) とを積層状に一体化
し、剥離用シート(2) を剥離して接着用糊層(3) を露呈
させ、該接着用糊層(3) が粘着性を発揮する温度条件下
において貼着対象物(A) の表面に接着させたことを特徴
とする装飾用貼着シートである。

【００１１】次に装飾用貼着シートの製造方法について
説明する。該方法は、剥離性を有する又は片面に剥離層
(1) を形成した、塩素化合物系樹脂を除く熱可塑性合成
樹脂、紙、布、金属板のいずれか一種又は二種以上の組
み合わせからなる可撓性シートの剥離面側に、加熱によ
り粘着性を発揮するホットメルト系の接着用糊層(3)を
形成した印刷素材シートを、前記接着用糊層(3) の表面
が印刷面となるように印刷手段に供給し、該印刷手段に
おいて接着用糊層(3) の部材と相溶性のないインキを用
いて前記接着用糊層(3) 面に直接、任意の図柄を印刷し
て印刷インキ層(4) を形成し、該印刷インキ層(4) を乾
燥させ又は乾燥した後、印刷インキ層(4) の表面に、保
護機能を発揮する厚みの透明又は半透明の保護層(5) を
形成することを特徴とするものである。

【００１２】さらに装飾用貼着シートの貼着対象物への
接着方法は、加熱加圧又は真空条件下で加熱するように
した接着処理部にセットした、テーブル、家具、壁材等
を貼着対象物(A) の貼着面に、剥離用シートを外した接
着用糊層(3) が密着するように装飾用貼着シートを張設
した後、加熱加圧又は真空条件下での加熱により、接着
用糊層(3) が粘着性を発揮する温度に加熱するとともに
密着力を作用させて無皺状態で貼着することを特徴とす
る接着方法である。

【００１３】

【発明の効果】まず上記本発明の内、装飾用貼着シート
の効果を説明すると、装飾用貼着シートから剥離用シー
ト(2) を引き剥して接着用糊層(3) を露呈させた後、該
接着用糊層(3) が貼着対象物(A) の表面に接触するよう
に重ね合わせて、加熱加圧又は真空条件下での加熱によ
り密着力を作用させて接着することにより、図柄のある
化粧建築用板、家具構成部材を製造するのに使用するの
であるが、片面に剥離層(1) を形成した剥離用シート
(2) の剥離層(1) 上に形成したホットメルト系の接着用
糊層(3) の表面に、直接、任意の図柄を印刷手段により
印刷インキ層(4) が形成され、さらに該印刷インキ層
(4) 上を被覆保護する透明又は半透明の保護層(5) を形
成したものであるから、従来の転写手段のように、印刷
された図柄の反転によって初めて印刷状態の粗悪が判明
するのではなく、印刷した図柄がそのまま貼着対象物の
表面に表現され、又は保護層を形成した場合には、保護
層(5) から透視表現されるから、図柄等の崩れが、素材
段階で確認することができるようになって、化粧建築用
板等に加工されてから不良品が出る不経済を招くことが
ない。

【００１４】またホットメルト系の接着用糊層(3) 面
に、直接、印刷手段により任意の図柄を表現した印刷イ
ンキ層(4) を形成し、さらに必要に応じて、印刷インキ
層(4)上を被覆保護する透明又は半透明の保護層(5) を
形成する構成であるから、印刷インキ層(4) の形成加工
と連続して同一面に保護層(5) を形成することが可能と
なり、従来のように、一旦転写してから保護処理又は保
護層を形成するといった厄介で能率の悪い作業に比べ、
一段と効率的な作業で化粧建築用板等の貼着対象物(A)
を製作することができ、コストの低減化を可能とする。

【００１５】そして請求項２に記載のように、保護層
(5)を電子線照射による処理加工（ＥＢ加工という）さ
れたものとすることによって、保護層(5)が、重合開始
剤、増感剤を使用することなく（ＵＶ加工では必要）、
透明度を阻害せずに図柄の鮮明度を確保した硬化保護層
(6)に変質したものとなって、図柄の保護機能を著しく
向上する。

【００１６】また請求項３に記載のように、剥離用シー
ト(2) は、塩素化合物系樹脂を除く熱可塑性合成樹脂、
紙、布、金属板のいずれか一種又は二種以上の組み合わ
せからなる可撓性シートとして、塩素化合物系樹脂を使
用することがないから、廃棄処理公害（ダイオキシンの
発生）が解消されるとともに、剥離用シート(2) の処理
として、焼却処理をするについても、再生利用するにつ
いても安全性と経済性を良好とする。

【００１７】また請求項４に記載のように、接着用糊層
(3) と剥離用シート(2) は、予め積層一体化されてなる
合成シートとして積層したものとすることによって、均
一な厚みの接着用糊層(3) が形成され、これに印刷され
る図柄を、不均一な厚みにより形成される歪みを招くこ
となく奇麗に表現することができる。

【００１８】さらに請求項５に記載のように、印刷イン
キ層(4) は、アクリル樹脂／ポリウレタン樹脂ブレンド
系インキ又は共重合樹脂とし、又は樹脂成分として硝酸
セルロース、溶剤成分として酢酸エチルを含み且つ温度
による接着用糊層(3) の伸縮変化に相応する、ポリビニ
ルブチラール、アセテート、プロピオネート樹脂、塩素
化ポリプロピレン樹脂のいずれか一つ又は複数の成分を
含むものとして、温度による接着用糊層(3) の伸縮変化
に相応するものとすることによって、接着用糊層(3) の
構成成分との結合を確実なものとすることができる。

【００１９】さらにまた請求項６に記載のように、保護
層(5) は、形成した印刷インキ層(4) の乾燥に続いて、
塗装手段により連続的に形成し、印刷インキ層(4) の表
面への透視を確保して保護強度を高めたものであるか
ら、印刷インキ層(4) の毀損を防止することができる。

【００２０】次に装飾用貼着シートの製造方法について
の効果を記述すると、塩素化合物系樹脂を除く熱可塑性
合成樹脂、紙、布、金属板のいずれか一種又は二種以上
の組み合わせからなる可撓性シートの片面に、予め剥離
層(1) が形成された剥離用シート(2) の長尺物（ロール
巻き）と、加熱により粘着性を示すホットメルト系の接
着用糊層(3) となるシート状部材の長尺物（ロール巻
き）を、剥離層(1) を挟む状態で連続的に積層した後、
これを接着用糊層(3) の露呈面が印刷面となるように印
刷手段に供給し、該接着用糊層(3) の表面上に、前記接
着用糊層(3) の部材と相溶性のないインキを用いて、直
接、任意の図柄を印刷して印刷インキ層(4) を形成し、
これに続いて前記印刷インキ層(4) の表面に、塗装手段
により保護機能を果たす厚みの透明又は半透明の保護層
(5) を形成する方法であるから、一連の連続的な流れ工
程により能率的且つ安価に装飾用貼着シートを製作する
ことができる。なお印刷手段としては、グラビア印刷に
限らず、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、ロー
タリースクリーン印刷、凸版印刷、凹版印刷等の通常の
印刷手段を含むものである。

【００２１】上記装飾用貼着シートの製造方法について
の効果は、請求項４に記載した、接着用糊層(3) とし
て、予め製作されたシート状部材を使用する場合のもの
であるが、接着用糊層(3) を塗布手段によって形成する
場合でも、僅かに能率は低下し層厚が多少不均となるも
のの、同様の効果が得られる。

【００２２】また請求項８に記載のように、装飾用貼着
シートの製造方法において保護層(5)を形成した後直ち
に又は乾燥した後に、該保護層(5)の表面に電子線照射
装置(G)により電子線照射処理加工することによって、
前記保護層(5)を、紫外線カット処理加工（ＵＶ加工）
では必要な、重合開始剤、増感剤を使用することなく、
透明度を阻害せずに図柄の鮮明度を確保した、膜強度に
優れた硬化保護層(6)に容易に変質させることができ、
よって図柄の保護機能を著しく高めた耐久性に優れた装
飾用貼着シートが提供できる。

【００２３】次に装飾用貼着シートの貼着対象物への接
着方法を説明すると、加熱加圧又は真空条件下で加熱す
るようにした接着処理部にセットした、テーブル、家
具、壁材等を貼着対象物(A) の貼着面に、剥離用シート
を外した接着用糊層(3) が密着するように装飾用貼着シ
ートを張設した後、加熱加圧又は真空条件下での加熱に
より、接着用糊層(3) が粘着性を発揮する温度に加熱す
るとともに密着力を作用させて接着方法を採用したこと
によって、貼着対象物(A) の貼着面に応じて、即ち、貼
着対象物の平坦面に装飾用貼着シートを接着する場合
は、単純な加熱加圧ローラー等を具備した加熱加圧手段
によって密着させ、また曲面や凹凸部のある面に装飾用
貼着シートを接着する場合は、加熱及び周囲圧力を基準
としてマイナスとすることができる手段を具備した加熱
真空処理手段によって密着させる方法のいずれかが選択
でき、したがって貼着対象物(A) の表面に、装飾用貼着
シートの接着用糊層(3) を、平面又は平面と凹凸面或は
曲面に無皺の奇麗な状態で貼着することができるように
なる。

【００２４】

【発明の実施の形態】及び

【実施例】（実施例１）まず本発明の実施例１に係る装
飾用貼着シートを説明すると、図１は拡大断面構成図、
図２は貼着対象物(A) （化粧建築用板、家具構成部材
等）に貼着した状態の断面構成図であり、片面に厚さ2.
5 μの剥離層(1) を形成した重量20〜100g/m³ 前後の紙
製の剥離用シート(2) の剥離層(1) 上に、順次、加熱に
より粘着性を示すホットメルト系の部材で厚さ20μに予
めシート状に形成された接着用糊層(3) と、該接着用糊
層(3) の部材と相溶性のないインキを用いて前記接着用
糊層(3) の片面に木目調の図柄をグラビア印刷手段によ
り直接印刷形成した印刷インキ層(4) と、該印刷インキ
層(4) を塗装手段により被覆保護する厚さ２μの保護層
(5) とを積層状に一体化した構成としたものである。

【００２５】前記ホットメルト系の接着用糊層(3) は、
エチレン系の共重合体、例えば、エチレンと無水マレイ
ン酸の共重合体又はアクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニ
ル系樹脂を含むものを使用し、また印刷インキ層(4)
は、可撓性と伸縮性を具備しながらアクリルの耐ブロッ
キング性と耐光性を発揮するアクリル樹脂／ポリウレタ
ン樹脂ブレンド系インキ（３：７）又は共重合体インキ
若しくは樹脂成分として硝酸セルロース、溶剤成分とし
て酢酸エチルを含み且つ温度による伸縮変化に相応する
ポリビニルブチラールを含むもののいずれかを使用し、
特に貼着対象物(A) の表面又は隅角部の曲面や凹凸に相
応して、印刷インキ層(4) にヒビ状の割れが生じないこ
とを充足するものを使用する。

【００２６】また接着用糊層(3) の伸縮変化に相応する
成分としては、アセテート、プロピオネート樹脂、塩素
化ポリプロピレン樹脂のいずれか一つ又は複数を使用す
る場合もある。

【００２７】さらに前記保護層(5) は、主剤とスリップ
剤と硬化剤からなるものであって、それぞれの成分と混
合比の一例を示すと次の通りである。 主 剤 主剤成分 クリヤー（剥離剤なし） ハイマット（剥離剤なし） アクリルポリオール樹脂 NV 33.0（％） 28.7（％） シリコーン系消泡剤 0.1 0.1 ワックス 0.3 0.3 シリカ（艶消剤） 0.2 10.0 溶 剤 66.4 60.9 （酢酸エチル／トルエン） 計 100.0 100.0 但し アクリルポリオール樹脂は、アクリル樹脂骨格に官能基のOHが結 合した樹脂である。 スリップ剤 剥離性を良くするためのシリコン系剤 硬化剤 イソシャネート系プレポリマー 黄変タイプ(TDI系) ／無黄変タイプ(HMDI 系) ＝60/40 NV（固形分）84％ 主剤：スリップ剤：硬化剤＝ 100：3 ：20

【００２８】なお保護層(5) は上記に限定されるもので
はなく、透明又は半透明のウレタンエラストマー樹脂
（ポリウレタン樹脂）を塗布又はラミネート処理によっ
て形成する場合もある。

【００２９】次に実施例１に係る装飾用貼着シートの製
造方法を説明すると、図３は製造のフロー図であって、
素材供給装置(B) 、グラビア印刷装置(C) 、連続塗装装
置(D) 、巻取装置(E) とを直線上に配設して実施する第
一段階から第四段階からなる。

【００３０】第一段階は素材供給装置(B) 部分であっ
て、片面に厚さ2.5 μの剥離層(1) を形成した重量20〜
100g/m³ 前後の紙製の剥離用シート(2) を巻いた紙ロー
ルと、加熱により粘着性を示すエチレンと無水マレイン
酸の共重合体からなるホットメルト系の部材で厚さ20μ
に予めシート状に形成された接着用糊層(3) を巻いた糊
層シートロールから、剥離用シート(2) の剥離層(1) 上
に接着用糊層(3) が重なるように、しかも後記グラビア
印刷装置(C) において接着用糊層(3) 面が印刷面となる
ように繰り出すようにする。

【００３１】この第一段階における剥離用シート(2) に
付与するテンションは、次に説明するグラビア印刷装置
(C) における素材供給速度に同調する程度とし、特に接
着用糊層(3) となる糊層シートは、テンションのかけ過
ぎで伸長、破断せず、皺が形成されないように制御する
手段（図示せず）により供給するようにし、一対の加圧
ロールを具備する積層処理室(R) において、剥離用シー
ト(2) に接着用糊層(3) である糊層シートを積層密着さ
せ、グラビア印刷装置(C) へ供給するようにする。

【００３２】なお上記の第一段階は、図３に仮想線で示
した素材供給装置(B)は、剥離層(1)を形成した紙製の剥
離用シート(2) とシート状に形成した接着用糊層(3) と
を積層する場合であり、実線で示した素材供給装置(B)
は、既に剥離用シート(2)と接着用糊層(3) を積層一体
化した素材を使用する場合には、これを巻いたロールか
ら直接、グラビア印刷装置(C) に供給するものとなる。

【００３３】第二段階はグラビア印刷装置(C) における
印刷段階であって、前記第一段階で積層された剥離用シ
ート(2) と接着用糊層(3) との積層シートを、接着用糊
層(3) 面が印刷面となるように、グラビア印刷装置(C)
に引き込むように供給し、ここで、接着用糊層(3) と相
溶性のないアクリル樹脂／ポリウレタン樹脂ブレンド系
インキ（３：７）又は共重合体インキを用いて、前記接
着用糊層(3) 面に木目調の図柄を直接印刷して印刷イン
キ層(4) を形成し、その直後に第一乾燥室(F1)に通して
前記印刷インキ層(4) を接着用糊層(3) が粘着性を示さ
ない温度（４０℃前後）まで乾燥する。

【００３４】第三段階は連続塗装装置(D) で保護層(5)
を形成する段階であり、前記第二段階で形成し乾燥した
印刷インキ層(4) の表面に、前記成分の保護層(5) （主
剤：スリップ剤：硬化剤＝ 100：3 ：20）を、ベタ印刷
形式の塗装手段で２μの厚さに保護層(5) を形成する。

【００３５】第四段階は完成した装飾用貼着シートを巻
取装置(E) の紙製の巻取用管に巻き取り、必要に応じて
包装する段階であって、巻取装置(E) と連続塗装装置
(D) との間に、前記同様、接着用糊層(3) が粘着性を示
さない温度（４０℃前後）で乾燥する第二乾燥室(F2)を
介在させ、保護層(5) を乾燥させてから巻き取り、相互
の接着を防止するようにし、装飾用貼着シートを巻き取
った巻取用管を装置から外してに必要に応じて包装す
る。

【００３６】次に本発明の実施例１に係る装飾用貼着シ
ートの貼着対象物(A) への接着方法の一例を説明する
と、貼着対象物(A) の貼着面が平面である場合は、平板
テーブル上に指示した貼着対象物(A) の表面に、装飾用
貼着シートをその剥離シート(2)を剥離して露呈した接
着用糊層(3)を重ね、120 〜130 ℃に加熱し、ローラー
加圧（ロールプレス装置）によって一気に（テーブルの
水平移動又はローラーの水平方向への転動移動により）
貼着する。

【００３７】また、貼着対象物(A) の表面に、平面、凹
凸面、アール面等がある場合には、これを加熱真空プレ
ス装置にセットし、剥離用シート(2) を外して接着用糊
層(3) が貼着対象物(A) の貼着面に密着するように張設
した後、接着用糊層(3) が粘着性を発揮する温度に加熱
するとともに内部空気を引いて外気圧を基準とした真空
として密着力を作用させ、貼着対象物(A) 上に接着用糊
層(3) を密着させることにより行う。

【００３８】この場合、加熱真空プレス装置にセットし
た貼着対象物(A) の表面に、装飾用貼着シートの接着用
糊層(3) が、平面又は平面と凹凸面或は曲面に沿って無
皺の奇麗な状態で貼着され、表面に木目調、石材調（大
理石、御影石等）、その他各種の色調柄の表現された化
粧建築用板、家具構成部材を得る。

【００３９】（実施例２）次に本発明の実施例２に係る
装飾用貼着シートを図４により説明すると、前記実施例
１と同様、剥離用シート(2) の剥離側面上のホットメル
ト系の接着用糊層(3) と、これに直接印刷して形成した
印刷インキ層(4) と、該印刷インキ層(4)の表面を被覆
保護する保護層(5) とを積層状に一体化した積層シート
であって、実施例１と異なる構成は、前記保護層(5)を
電子線照射により電子照射処理加工して変質させた硬化
保護層(6)とした点にある。

【００４０】なお剥離層(1)の厚み、剥離用シート(2)の
厚みと単位体積当りの重さ、ホットメルト系の接着用糊
層(3)の厚み、印刷インキ層(4)の厚みと性質及び保護層
(5)の厚み、その他、各層を形成している材質及び成分
の具体例等については、実施例１と同様であって、重複
説明を避けるために説明は省略する。

【００４１】また接着用糊層(3) の伸縮変化に相応する
成分として、アセテート、プロピオネート樹脂、塩素化
ポリプロピレン樹脂のいずれか一つ又は複数を使用する
場合があること、主剤とスリップ剤と硬化剤からなる保
護層(5)の成分の混合比も実施例１の場合と同様であ
る。

【００４２】次に実施例２に係る装飾用貼着シートの製
造方法について説明すると、図５は製造のフロー図であ
って、前記実施例１に係る装飾用貼着シートの製造方法
における実線又は仮想線で示したと同様、第一段階の素
材供給装置(B)から予め準備された素材をその接着用糊
層(3)を印刷面とすべく第二段階のグラビア印刷装置(C)
に供給して印刷し、直後に第一乾燥室(F1)に通して前記
印刷インキ層(4) を接着用糊層(3) が粘着性を示さない
温度（４０℃前後）まで乾燥し、これを第三段階の連続
塗装装置(D) に通して保護層(5)を形成し、第四段階の
電子線照射装置(G)で処理した後、最終段階となる巻取
装置(E) で巻取ることを特徴とする装飾用貼着シートの
製造方法である。

【００４３】なお前記第三段階は、連続塗装装置(D) で
保護層(5)を形成する段階であり、前記第二段階で形成
し乾燥した印刷インキ層(4) の表面に、前記成分の保護
層(5) （主剤：スリップ剤：硬化剤＝ 100：3 ：20）
を、ベタ印刷形式の塗装手段で２μの厚さに保護層(5)
を形成する。

【００４４】なお上記方法は説明の都合上、第四段階の
電子線照射装置(G)で処理した後、最終段階として巻取
装置(E) で巻取る場合について説明したが、電子線照射
装置(G)のライン上への設置は広い設置スペースを必要
とし又は装置コストが高価である関係上、通常は連続塗
装装置(D) で保護層(5)を形成した後、第二乾燥室(F2)
で乾燥し、第四段階として巻取装置(E) で巻取るように
し、最終段階において電子線照射装置(G)で処理するも
のである。なお電子線照射装置(G)による処理を除く各
処理についての詳細は、既に記載説明した実施例１に係
る装飾用貼着シートの製造方法と同様であるため、上記
説明において不足する部分についてはその説明を参照す
るものとする。

【００４５】前記方法において使用した電子線照射装置
(G)は、加速電圧が直流電圧300〜500kv、電子線電流65m
A、走査幅120cmの性能を具備した走査形電子線照射装置
であり、直流電圧により熱電子を加速する加速管部か
ら、薄い金属箔（照射窓箔）を貫通させてＸ線シールド
がなされた照射室内の走査管からビームキャッチャーに
向けて大気中に電子線(EB)を取り出すとともに、前記走
査管とビームキャッチャーの間を通過するように搬送ラ
インを形成した装置であって、走査管から取り出した電
子線を、搬送ラインにより順次供給する装飾用貼着シー
トの保護層(5)の表面に、前記照射室内の走査管とビー
ムキャッチャーの間を通過させて照射するのである。

【００４６】そして本発明の実施例２に係る装飾用貼着
シートの貼着対象物(A) への接着方法は、前記した実施
例１に係る装飾用貼着シートの貼着対象物(A) への接着
方法と同様であって、貼着対象物(A) の貼着面が平面で
ある場合は、平板テーブル上に指示した貼着対象物(A)
の表面に、装飾用貼着シートをその剥離シート(2)を剥
離して露呈した接着用糊層(3)を重ね、120 〜130 ℃に
加熱し、ローラー加圧（ロールプレス装置）によって一
気に（テーブルの水平移動又はローラーの水平方向への
転動移動により）貼着する。

【００４７】また、貼着対象物(A) の表面に、平面、凹
凸面、アール面等がある場合には、これを加熱真空プレ
ス装置にセットし、剥離用シート(2) を外して接着用糊
層(3) が貼着対象物(A) の貼着面に密着するように張設
した後、接着用糊層(3) が粘着性を発揮する温度に加熱
するとともに内部空気を引いて外気圧を基準とした真空
として密着力を作用させ、貼着対象物(A) 上に接着用糊
層(3) を密着させることにより行う。

【００４８】この場合、加熱真空プレス装置にセットし
た貼着対象物(A) の表面に、装飾用貼着シートの接着用
糊層(3) が、平面又は平面と凹凸面或は曲面に沿って無
皺の奇麗な状態で貼着され、表面に木目調、石材調（大
理石、御影石等）、その他各種の色調柄の表現された化
粧建築用板、家具構成部材を得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例１に係る装飾用貼着シートの
部分拡大断面構成図である。

【図２】 本発明の実施例１に係る装飾用貼着シートを
貼着対象物に貼着した状態の断面構成拡大図である。

【図３】 本発明の実施例１に係る装飾用貼着シートの
製造方法を説明するためのフロー図である。

【図４】 本発明の実施例２に係る装飾用貼着シートの
部分拡大断面構成図である。

【図５】 本発明の実施例２に係る装飾用貼着シートの
製造方法を説明するためのフロー図である。

【符号の説明】

(1) 剥離層 (2) 剥離用シート (3) 接着用糊層 (4) 印刷インキ層 (5) 保護層 (6) 硬化保護層 (A) 貼着対象物 (B) 素材供給装置 (C) グラビア印刷装置 (D) 連続塗装装置 (E) 巻取装置 (F1) 第一乾燥室 (F2) 第二乾燥室 (G) 電子線照射装置 (R) 真空処理室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3B005 EB01 EB03 FB03 FB09 FB11 FC01Z FC08Z FC09X FC09Z FC20Z FE01 FE03 FE22 FF06

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 剥離性を有する又は片面に剥離層(1) を
   形成した剥離用シート(2) の剥離側面上に、加熱により
   粘着性を発揮するホットメルト系の接着用糊層(3) と、
   該接着用糊層(3) の部材と相溶性のないインキを用いて
   任意の色彩又は図柄を接着用糊層(3) に直接印刷して形
   成した印刷インキ層(4) と、該印刷インキ層(4) の表面
   を被覆保護する透明又は半透明の保護層(5) とを積層状
   に一体化し、剥離用シート(2) を剥離して接着用糊層
   (3) を露呈させ、接着用糊層(3)が粘着性を発揮する温
   度条件下において貼着対象物(A) の表面に接着させるよ
   うにしたことを特徴とする装飾用貼着シート。
2. 【請求項２】 剥離用シート(2) の剥離側面上のホット
   メルト系の接着用糊層(3) と、これに直接印刷して形成
   した印刷インキ層(4) と、該印刷インキ層(4) の表面を
   被覆保護する保護層(5) とを積層状に一体化した積層シ
   ートであって、前記保護層(5)が電子線照射により電子
   照射処理加工されたものである請求項１記載の装飾用貼
   着シート。
3. 【請求項３】 剥離用シート(2) は、塩素化合物系樹脂
   を除く熱可塑性合成樹脂、紙、布、金属板のいずれか一
   種又は二種以上の組み合わせからなる可撓性シートであ
   る請求項１又は２記載の装飾用貼着シート。
4. 【請求項４】 接着用糊層(3) と剥離用シート(2) は、
   予め積層一体化されてなる合成シートとして積層したも
   のである請求項１又は２記載の装飾用貼着シート。
5. 【請求項５】 印刷インキ層(4) は、アクリル樹脂／ポ
   リウレタン樹脂ブレンド系インキ又は共重合樹脂とし、
   又は樹脂成分として硝酸セルロース、溶剤成分として酢
   酸エチルを含み、且つ温度による接着用糊層(3) の伸縮
   変化に相応する、ポリビニルブチラール、アセテート、
   プロピオネート樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂のいず
   れか一つ又は複数の成分を含むものである請求項１又は
   ２記載の装飾用貼着シート。
6. 【請求項６】 保護層(5) は、形成した印刷インキ層
   (4) の乾燥に続いて、ウレタン塗装手段により連続的に
   形成し、印刷インキ層(4) の表面への透視を確保するも
   のである請求項１又は２記載の装飾用貼着シート。
7. 【請求項７】 塩素化合物系樹脂を除く熱可塑性合成樹
   脂、紙、布、金属板のいずれか一種又は二種以上の組み
   合わせからなる可撓性シートの片面に、予め剥離性を具
   備させ又は剥離層(1) を形成して剥離面側とし、該剥離
   面側に、加熱により粘着性を発揮するホットメルト系の
   接着用糊層(3) を予め形成してなる印刷素材シートを、
   前記接着用糊層(3) の表面が印刷面となるように印刷装
   置に供給し、該印刷装置において、前記接着用糊層(3)
   の部材と相溶性のないインキを用い、前記接着用糊層
   (3) 面に直接、任意の図柄を印刷して印刷インキ層(4)
   を形成し、該印刷インキ層(4) を乾燥させ又は乾燥した
   後、印刷インキ層(4) の表面に、印刷インキ層(4)を保
   護する透明又は半透明の保護層(5) を積層形成すること
   を特徴とする装飾用貼着シートの製造方法。
8. 【請求項８】 請求項７記載の装飾用貼着シートの製造
   方法において保護層(5)を形成した後直ちに又は乾燥し
   た後に、該保護層(5)の表面に電子線照射装置(G)により
   電子線照射処理加工することを特徴とする装飾用貼着シ
   ートの製造方法。
9. 【請求項９】 加熱加圧又は真空条件下で加熱するよう
   にした接着処理部にセットした、テーブル、家具、壁材
   等を貼着対象物(A) の貼着面に、剥離用シートを外した
   接着用糊層(3) が密着するように装飾用貼着シートを張
   設した後、加熱加圧又は真空条件下での加熱により、接
   着用糊層(3) が粘着性を発揮する温度に加熱するととも
   に密着力を作用させて無皺状態で貼着することを特徴と
   する装飾用貼着シートの貼着対象物への接着方法。