JPH09248996A - 加熱転写マーキングシートおよび貼着方法 - Google Patents

加熱転写マーキングシートおよび貼着方法

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JPH09248996A
JPH09248996A JP8907996A JP8907996A JPH09248996A JP H09248996 A JPH09248996 A JP H09248996A JP 8907996 A JP8907996 A JP 8907996A JP 8907996 A JP8907996 A JP 8907996A JP H09248996 A JPH09248996 A JP H09248996A
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栄一 田島
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秀樹 中山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複雑な形状に成形された製品に加熱により容易
に転写でき、かつ転写後の仕上がりが良好で耐摩耗性お
よび耐候性が優れたパターン像を転写することができる
加熱転写マーキングシートを提供する。この加熱転写マ
ーキングシートは、特に軟質塩化ビニル樹脂表面を有す
る被着体に適用するのに有用である。 【解決手段】加熱転写マーキングシートは、光透過性保
護シート1、透明樹脂層2、着色インク層3、感熱性接
着剤層4および剥離シート5を順次積層したものであっ
て、感熱性接着剤層が、軟化点40℃〜120℃のポリ
ウレタン樹脂またはポリエステル樹脂を主成分とする感
熱性接着剤よりなり、透明樹脂層が軟化点70℃〜20
0℃のポリウレタン樹脂を主成分として形成される。感
熱性接着剤層と剥離シートの間には、部分的に粘着剤層
を設けるのが好ましい。貼着は、空気圧により押圧しな
がら加熱することによって行うこともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱転写マーキン
グシートおよび貼付方法に関する。更に詳しくは、例え
ば、表面が軟質ポリ塩化ビニル樹脂等の成形品に加熱に
よりパターンを転写する加熱転写マーキングシートおよ
びそれを用いる貼着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の座席、家具のソファー
等に使用されるレザーシートは、天然皮革のほか、軟質
ポリ塩化ビニル樹脂やポリウレタン樹脂が使用されてい
る。ところで、自動二輪車、ジェットスキー、スノーモ
ービル、ウォータービークル等に搭載設置され、野外で
使用される座席は、耐水性、耐久性の面から、表面には
軟質ポリ塩化ビニル樹脂が用いられ、塩ビレザーシート
と呼ばれている。これら座席用の塩ビレザーシートは、
一般に、軟質ポリ塩化ビニル樹脂シートにナイロン繊維
が裏打ちされ、表面にシボ加工が施されている。
【0003】通常座席の組み立ては、金属等の座席基台
を覆うように厚さ10〜50mmのポリウレタン発泡体
を接合し、上記シートをテンションを掛けながら貼り付
けることにより行われ、それにより種々の複雑な形状を
した3次元成形体が作製される。この座席に着色パター
ンを表示する手段としては、成形前のシートに直接印
刷、転写、ホットスタンプ等によりマーキングできれ
ば、複雑な構造を形成する前にマーキングできるため、
工程上最も好ましいと思われるが、上記のようにシート
は、複雑な形状にそって引っ張られながら貼り付けられ
るため、成形前のマーキングの画像は大きく歪んでしま
うことになり、従来殆ど行われていない。
【0004】したがって、通常、着色パターン等の形成
(以下、「マーキング」という。)は座席に成形された
後に直接印刷、転写、ホットスタンプ等のマーキング方
法により行われている。しかしながら、これらのマーキ
ング法には種々の問題点がある。例えば、直接印刷によ
るマーキング法は、乾燥時間、溶剤の使用等の点で作業
性が悪い。また、ホットスタンプによるマーキング法
は、着色パターンのエッジにバリが発生し難いという利
点があるが、パターンごとに金型が必要であり、また、
金型の押し当てにより、シート表面のシボが消失した
り、金型の後が残るという欠点がある。
【0005】転写によるマーキング法については、作業
が無溶剤下で実施でき、生産性の向上につながるという
利点があり、例えば、特公平7−80345号公報に
は、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた転写シートが提案さ
れている。この転写シートは、高周波ウエルダー加工を
採用して転写を行うものであるが、ホットスタンプの場
合とパターンごとに金型が必要であり、しかも転写後の
パターン像には金型を押した後が残ってしまうという問
題がある。
【0006】また、特公平2−48439号公報には、
剥離シートに接着剤組成物によるパターン層、印刷層お
よび保護シートを設けた転写印刷シートが開示されてい
る。この転写印刷シートは、接着剤組成物がアクリル系
粘着剤を用いているため、軟質ポリ塩化ビニル樹脂等に
対する接着性に劣るという問題があった。
【0007】さらに、転写によるマーキング法の場合、
塩化ビニル樹脂シートに加工されている表面のシボは、
その凹凸により接着性を阻害するほか、転写時にその凹
凸にエアを保持したまま転写されやすく、放置したまま
でおくと、後に転写シートのフクレ(エア噛み)や剥が
れの原因になりやすい。そのため転写後、針等により転
写マークに穴を開けてエア抜きを行う作業が必要であっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、従来の技術における上記の問題点を解決することを
目的としてなされたものである。すなわち、本発明の目
的は、複雑な形状に成形された製品に加熱により容易に
転写でき、かつ転写後の仕上がりが良好で耐摩耗性およ
び耐候性が優れた着色パターンを転写により形成するこ
とができる加熱転写マーキングシートを提供することに
ある。本発明の他の目的は、表面にポリ塩化ビニル樹脂
を有する製品に対して、エア噛みが発生しても経時によ
り消失し、良好に接着させることができる加熱転写マー
キングシートを提供することにある。本発明の更に他の
目的は、仮止めができるため、位置合わせが容易な加熱
転写マーキングシートを提供することにある。本発明の
別の目的は、上記加熱転写マーキングシートを用いた貼
着方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は検討した結
果、軟化点40℃〜120℃のポリウレタン樹脂または
ポリエステル樹脂を主成分とする感熱性接着剤を用いて
感熱性接着剤層を形成し、また、軟化点70℃〜200
℃のポリウレタン樹脂を用いて透明樹脂層を形成するこ
とにより、本発明の上記目的を達成できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】したがって、本発明は、光透過性保護シー
ト、透明樹脂層、着色インク層、感熱性接着剤層および
剥離シートを順次積層した加熱転写マーキングシートに
おいて、前記感熱性接着剤層が、軟化点40℃〜120
℃のポリウレタン樹脂またはポリエステル樹脂を主成分
とする感熱性接着剤よりなり、前記透明樹脂層が軟化点
70℃〜200℃のポリウレタン樹脂を主成分としてな
ることを特徴とする。また、本発明の加熱転写マーキン
グシートは、感熱性接着剤層と剥離シートの間に、部分
的に粘着剤層を設けてもよい。
【0011】本発明の貼着方法は、上記の加熱転写マー
キングシートを、被着体表面に仮着し、空気圧により押
圧しながら加熱することによって接着させることを特徴
とする。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の加熱転写マーキ
ングシートの第1の態様の模式的断面図である。本発明
の加熱転写マーキングシートは、光透過性保護シート
1、透明樹脂層2、着色インク層3、感熱性接着剤層4
および剥離シート5を順次積層した構成を有している。
また、図2は、本発明の加熱転写マーキングシートの第
2の態様の模式的断面図である。この図の場合、感熱性
接着剤層4と剥離シート5との間に、部分的に粘着剤層
6を設けられている。
【0013】以下、本発明の加熱転写マーキングシート
を構成する各層について順次説明する。光透過性保護シ
ート1は、加熱転写後、最終的には剥離して除去される
ものであって、支持体としての作用を持たせるものであ
ってもよい。また、被着体の貼り付け位置が確認できる
程度に実質上透明であることが必要である。具体的に
は、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂等の透明樹脂フィルムの表面に、必要に応じ
て軽度の粘着力を有する接着剤を被覆した公知の保護粘
着シートが使用される。より具体的には、膜厚50〜1
00μmのポリ塩化ビニル樹脂フィルムまたは膜厚12
〜50μmのポリエステル樹脂フィルムの表面に軽度の
粘着性を有する接着剤層を設けたもの(#3082、#
3083、#4016、倉本産業社製)が好ましく使用
される。軽度の粘着性を有する接着剤としては、公知の
アクリル系粘着剤、例えば、SKダイン1473H、S
Kダイン1491H(創研化学社製)等が使用できる。
また、透明樹脂層に対して剥離性を有する樹脂を透明樹
脂層を設ける面に印刷してもよい。剥離性を有する樹脂
としてはアクリル樹脂が使用でき、具体的にはダイヤナ
ールBR−106およびR−107(三菱レーヨン社
製)があげられる。
【0014】透明樹脂層2は、その下に設ける着色イン
ク層を保護するためのものであって、軟化点70℃〜2
00℃のポリウレタン樹脂を主成分とする透明無色また
は着色塗布液より形成することできる。ポリウレタン樹
脂は、軟化点70℃〜200℃であることが必要であ
り、好ましくは100〜200℃の範囲である。軟化点
が70℃よりも低い場合は、ポリウレタン樹脂が常温で
べたつき感があり、ごみの付着が生じるほか、転写マー
クの摩耗性が低下する。また、200℃より高い場合
は、加熱による軟化が不十分になるため、シボ面へのな
じみが低下し、また、なじませようとしてさらに高温で
加熱すると、接着剤層の軟化が過剰になって流れ出す恐
れやシボ消失等の不具合が生じる。
【0015】また、ポリウレタン樹脂はその数平均分子
量が10000〜100000の範囲のものであって、
非黄変型ポリウレタン樹脂が好ましいが、他のものでも
使用可能である。具体的には、ニッポラン5115(軟
化点120℃)、ニッポラン5120(軟化点100
℃)、ニッポラン5196(軟化点90℃)、ニッポラ
ン5199(軟化点105℃)、ニッポラン5230
(軟化点130℃)(以上、日本ポリウレタン工業社
製)等があげられる。透明樹脂層の膜厚は、5〜100
μmの範囲が適当である。
【0016】着色インク層3は、1種または複数種の着
色インクより形成されるものであって、着色インクとし
ては、市販されている公知のものならば、如何なるもの
でも使用することができるが、可撓性、追従性等の点か
ら、例えば、バイロン103(東洋紡社製)等の飽和ポ
リエステル樹脂、ニッポラン5115(日本ポリウレタ
ン工業社製)等の非黄変型ポリウレタン樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を樹脂成分
として含む着色インクが好ましく使用される。感熱性接
着剤層4は、軟化点40℃〜120℃のポリウレタン樹
脂またはポリエステル樹脂を主成分とする感熱性接着剤
より構成される。これら樹脂の軟化点の好ましい範囲
は、ポリウレタン樹脂については40〜80℃、ポリエ
ステル樹脂については70〜110℃の範囲である。感
熱性接着剤を構成する樹脂の軟化点が120℃よりも高
い場合には、加熱転写時の加熱温度が、例えば150℃
以上であることが必要になり、被着体、例えば軟質レザ
ーシートの表面に刻印されているシボが消失してしま
い、また加熱により被着体シート自体が伸び過ぎて転写
パターンにゆがみ等の不具合が生じる。また、40℃よ
りも低い場合は、加熱転写時に、凝集力が低下して着色
パターンのずれ、剥がれが発生するようになる。
【0017】本発明において使用するポリウレタン樹脂
としては、例えば2液型のものであるニッポラン230
1(軟化点80℃)、ニッポラン3113(軟化点45
℃)、ニッポラン5120(軟化点100℃)(以上、
日本ポリウレタン工業社製)があげられ、ポリエステル
樹脂としては、平均分子量5000〜30000の範囲
にあるもの、例えばバイロン500(軟化点114
℃)、バイロン550(軟化点109℃)(以上、東洋
紡社製)、エリテール3400(軟化点105℃)(以
上、ユニチカ社製)等が使用される。感熱性接着層の膜
厚は、10〜100μmの範囲が好ましい。膜厚が10
μmよりも薄い場合には、シボ面へのなじみが不足して
接着性が低下し、100μmよりも厚いと、追従性、可
撓性が低下する。
【0018】剥離シート5としては、紙またはプラスチ
ックシート等の片面を剥離剤で処理した公知のものが使
用される。剥離剤としては、フッ素系樹脂、シリコーン
樹脂、パラフィン類等が使用できる。
【0019】また、感熱性接着剤層と剥離シートの間に
部分的に設ける粘着剤層6は、公知の再剥離型の粘着
剤、例えば、アクリル系粘着剤であるSKダイン134
0A、SKダイン1473H(創研化学社製)、ホリゾ
ールSE6010(昭和高分子社製)等が好ましく使用
できるが、塗布面積が、パターンの転写面積の1/5以
下であれば、再剥離型の粘着剤に限定されることはな
い。この粘着剤層を設けることにより、被着体に仮接着
することが可能になり、その結果、位置合わせ等を容易
に行うことができ、作業性が向上する。
【0020】本発明の加熱転写マーキングシートの作製
は、例えば次のようにして行うことができる。なお、各
層を形成するための塗布液或いはインクの塗布はロール
コーター法、スクリーン印刷法等が使用される。すなわ
ち、1)剥離シート上に、感熱性接着剤層形成用塗布液
を塗布して感熱性接着剤層を形成し、その上に着色イン
クで印刷して着色インク層を形成し、更に透明樹脂層形
成用塗布液を塗布して透明樹脂層を形成し、更に光透過
性保護シートを貼り付ける方法、2)上記とは逆に、光
透過性保護シートの上に、透明樹脂層、着色インク層お
よび感熱性接着剤層を順次形成した後、剥離シートを貼
り付ける方法が採用できる。
【0021】また、感熱性接着剤層の上に部分的に粘着
剤層を設ける場合には、粘着剤層形成用塗布液を感熱接
着剤層上にスクリーン印刷により直接印刷する方法、グ
ラビヤコート法により塗布する方法等によって、部分的
に粘着剤層を形成すればよい。部分的塗布の形状は、1
〜5mm間隔の格子状またはストライプ状、1〜5mm
径の点状のほか、パターンの外周に沿って数mm幅で塗
布してもよい。その上に、剥離シートを設けると、仮接
着可能な加熱転写マーキングシートを得ることができ
る。
【0022】上記のようにして得られた本発明の加熱転
写マーキングシートは、被着体表面に着色パターンを加
熱転写させることができる。転写条件としては、80〜
150℃の転写温度、1〜50Kg/cm2 の加圧下、
5〜90秒の転写時間で行うのが好ましい。転写温度が
80℃よりも低い場合は、剥離性シート等が柔軟性を欠
き、また感熱性接着剤の活性度が低く、十分な転写を行
うことができなくなり、また、150℃よりも高くなる
と、例えば被着体表面に刻印されているシボが消失し、
或いは加熱により被着体のシートが伸び過ぎて、転写パ
ターンにゆがみ等の不具合が生じる。また、加圧が1K
g/cm2 に満たない場合は、シボの凹部まで感熱性接
着剤層が充填されなく、また、50Kg/cm2 よりも
高い場合には、シボが消失する。加圧手段としては公知
の手段が使用できるが、3次曲面に対しては、ゴムロー
ル、ゴム板等を用いて行うことができる。
【0023】次に、本発明の加熱転写マーキングシート
を被着体表面に貼り付ける方法の一例を、図面を参照し
て説明する。図3〜図5は、加熱転写マーキングシート
を被貼着物に貼り付ける本発明の貼着方法を説明するた
めの説明図である。貼り付けに使用する装置は、被貼着
物を支持するための架台11と減圧室12を有する下部
部材13と、その上部に配置され、内部に加熱装置(ヒ
ーター等)14を備えた加圧室15を有する上部部材1
6とよりなり、下部部材の架台には被貼着物を吸引固定
するための多数の排気孔17が減圧室に連通するように
設けられている。また、上部部材の下面には可撓性膜1
8が設けられていており、そして上部部材と下部部材と
は、図示しない適当な手段によって上下方向に相対的に
移動可能になっている。
【0024】まず、下部部材の架台11上に、被貼着物
として、表面にシボを有する軟質の合成樹脂成形物Aを
載置し、本発明の加熱転写マーキングシートBを、剥離
シートを除去した後、上記シート状成形物Aの上に仮着
する(図3参照)。次いで、加熱装置を起動するととも
に上部部材を下方に移動して、下部部材の上に重ねる。
それにより、可撓性膜18が加熱転写マーキングシート
Bの仮着された合成樹脂成形物Aに接触して、密閉され
た状態になる。この状態で、上部部材の加圧室内に圧縮
空気を送り込むと共に、下部部材の減圧室の空気を吸引
し、上部部材と下部部材との間に圧力差を形成させる
(図4参照)。この操作により合成樹脂成形物Aのシボ
面に、加熱転写マーキングシートの感熱性接着剤層の接
着剤が密着状態で充填され、接着が行われる。
【0025】次いで、加熱装置による加熱を停止し、圧
縮空気の導入を停止し、減圧室の減圧を解除して、加圧
室および減圧室を大気圧に戻した後、上部部材を上昇さ
せて、合成樹脂成形品を冷却し、表面の光透過性保護シ
ートを剥離して転写が完了する(図5参照)。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。な
お、以下の例において、「MEK」はメチルエチルケト
ン、「DMF」はジメチルホルムアミド、「IPA」は
イソプロピルアルコールを意味する。 実施例1 下記材料を用いて図1に示す層構成を有する加熱転写マ
ーキングシートを作製した。 (光透過性保護シート) アプリケーション粘着シート#3082(倉本産業社製)(塩化ビニル樹脂シ ート上に粘着剤を塗布したもの) (透明樹脂層形成用塗布液) ニッポラン5115(軟化点:120℃、Tg:−5℃) 30部 MEK/トルエン/DMF(2:6:2)からなる混合溶剤 70部 (着色インク) セリコールSG400(帝国インキ社製)(ポリウレタン系白色インク) (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン3113(軟化点:45℃、Tg:−39℃) 20部 MEK/トルエン(4:6)からなる混合溶剤 80部 (剥離シート) #100CPP(東セロ社製) 上記の剥離性シートの上に、上記の感熱接着剤層形成用
塗布液を塗布し、80℃で10分間乾燥して膜厚10μ
mの感熱接着剤層を形成した。その上に上記の着色イン
クを#150メッシュのスクリーン版を使用して印刷
し、室温で1時間乾燥して膜厚5μmの着色インク層を
形成した。次いで上記の透明樹脂層形成用塗布液を塗布
し、80℃で10分間乾燥して膜厚10μmの透明樹脂
層を形成した。更に適宜形状の抜き刃により透明樹脂
層、着色インク層、感熱接着剤層のみに切れ目を入れ、
不要な外周部等を除去した後、前記形状より広い面積の
上記光透過性保護シートを貼り合わせて、加熱転写マー
キングシートを作製した。
【0027】(転写方法)上記の加熱転写マーキングシ
ートから剥離シートを剥離して除去し、被着体として、
塩化ビニル樹脂製レザー上に重ね、シリコーンゴムを使
用して加熱温度130℃、圧力15Kg/cm2 で30
秒間熱プレスを行って、塩化ビニル樹脂製レザー上に着
色パターン(以下、「転写マーク」という。)を形成し
た。
【0028】(評価方法)上記の転写マークについて、
密着性、表面タック、耐摩耗性について評価を行った。 密着性:転写マークに2mm角の切れ目を100個作製
し、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、その
直後に引き剥がして被着体に対する密着性を評価した。 表面タック:サンプルを40℃で7日間放置し、表面の
タックの状態を評価した。 耐摩耗性:テーバー式摩耗試験機を使用し、研磨材(C
S−10、東洋精機社製)200gを用いて500回摩
耗試験を行った後の外観を目視で評価した。評価基準
は、○:良好、△:転写マークのインキが一部消失、
×:転写マークのインキが全部消失。 上記の評価結果を後記表1に示す。
【0029】実施例2 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例1と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例1と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表1に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン2301(軟化点:80℃、Tg:−30℃) 40部 MEK/トルエン(4:6)からなる混合溶剤 60部
【0030】比較例1 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例1と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例1と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表1に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン3038(軟化点:130℃、Tg:−37℃) 30部 MEK/トルエン/IPA(2:6:2)からなる混合溶剤 70部
【0031】比較例2 透明樹脂層形成用塗布液および感熱接着剤層形成用塗布
液として、下記組成のものを用いた以外は、実施例1と
同様にして加熱転写マーキングシートを作製した。実施
例1と同様に加熱転写を行い、同様に評価した。結果を
表1に示す。 (透明樹脂層形成用塗布液) ニッポラン5115(軟化点:120℃、Tg:−5℃) 30部 MEK/トルエン/DMF(2:6:2)からなる混合溶剤 70部 (感熱接着剤層形成用塗布液) ダイヤナールBR−102(Tg:20℃) 20部 トルエン 80部
【0032】
【表1】
【0033】実施例3 下記材料を用いて図1に示す層構成を有する加熱転写マ
ーキングシートを作製した。 (光透過性保護シート) アプリケーション粘着シート#3082、倉本産業社製(塩化ビニル樹脂シー ト上に粘着剤を塗布したもの) (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン3113(軟化点:45℃、Tg:−39℃) 20部 MEK/トルエン(4:6)からなる混合溶剤 80部 (着色インク) セリコールSG400(帝国インキ社製)(ポリウレタン系白色インク) (透明樹脂層形成用塗布液) ニッポラン5115(軟化点:120℃、Tg:−5℃) 30部 MEK/トルエン/DMF(2:6:2)からなる混合溶剤 70部 (剥離シート) #100CPP(東セロ社製) 上記の剥離性シートの上に、上記の感熱接着剤層形成用
塗布液を塗布し、80℃で10分間乾燥して膜厚10μ
mの感熱接着剤層を形成した。その上に上記の着色イン
クを#150メッシュのスクリーン板を使用して印刷
し、室温で1時間乾燥して膜厚5μmの着色インク層を
形成した。次いで上記の透明樹脂層形成用塗布液を塗布
し、80℃で10分間乾燥して膜厚10μmの透明樹脂
層を形成した。更にその上に上記光透過性保護シートを
貼り合わせて、加熱転写マーキングシートを作製した。
【0034】(転写および評価方法)上記の加熱転写マ
ーキングシートから剥離シートを剥離して除去し、被着
体として、塩化ビニル樹脂製レザー上に重ね、シリコー
ンゴムを使用して加熱温度80℃、100℃、125
℃、150℃および170℃のぞれぞれにおいて、圧力
15Kg/cm2 で30秒間熱プレスを行って、塩化ビ
ニル樹脂製レザー上に転写マークを形成した。得られた
それぞれの転写マークについて実施例1と同様にして耐
摩耗性を評価した。結果を後記表2に示す。
【0035】実施例4 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例3と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例3と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表2に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン2301(軟化点:80℃、Tg:−30℃) 40部 MEK/トルエン(4:6)からなる混合溶剤 60部
【0036】実施例5 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例3と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例3と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表2に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) バイロン500(軟化点:114℃、Tg:4℃) 25部 トルエン 75部
【0037】実施例6 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例3と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例3と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表2に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) バイロン550(軟化点:109℃、Tg:−15℃) 20部 トルエン 80部
【0038】比較例3 感熱接着剤形成用塗布液として、下記組成のものを用い
た以外は、実施例3と同様にして加熱転写マーキングシ
ートを作製した。実施例3と同様に加熱転写を行い、同
様に評価した。結果を表2に示す。 (感熱接着剤層形成用塗布液) バイロン103(軟化点:158℃) 25部 トルエン 75部
【0039】
【表2】
【0040】実施例7〜10 下記材料を用いて図2に示す層構成を有する加熱転写マ
ーキングシートを作製した。 (光透過性保護シート) 膜厚70μmの透明塩化ビニル樹脂シート上に膜厚10μmのアクリル系粘着 剤層を設けた粘着シート(アプリケーション用粘着シート#3083、倉本産業 社製) (透明樹脂層形成用塗布液) ニッポラン5230(軟化点:130℃、Tg:−33℃) 30部 MEK/トルエン/IPA(2:6:2)からなる混合溶剤 70部 (着色インク) セリコールSG400(帝国インキ社製)(ポリウレタン系白色インク) (感熱接着剤層形成用塗布液) ニッポラン3113(軟化点:45℃、Tg:−39℃) 20部 MEK/トルエン(4:6)からなる混合溶剤 80部 (粘着剤層形成用塗布液) ホリゾールSE6010(固形分60%のエマルジョン型アクリル系粘着剤、 昭和高分子社製) (剥離シート) #100CPP(東セロ社製)
【0041】上記の光透過性保護シートの粘着剤面に、
透明樹脂層形成用塗布液を#150メッシュのスクリー
ン版にて300mm×300mmのベタ印刷を行い、室
温で1時間乾燥した。更に形成された透明樹脂層上に、
上記着色インクを用いて同一形状に印刷を施し、更に上
記感熱接着剤層形成用塗布液を着色インク層上に同一形
状に印刷し、1時間乾燥した。形成された感熱接着剤層
の上に、上記粘着剤層形成用塗布液を用いて、下記表3
に示す形状および膜厚になるように印刷を施し、室温で
1時間乾燥した。その後上記剥離紙を貼り合わせて、直
径200mmの円形に打ち抜き、加熱転写マーキングシ
ートを作製した。
【0042】(転写および評価方法)被着体として、塩
化ビニル樹脂製レザーを垂直におき、上記の加熱転写マ
ーキングシートから剥離シートを剥離して指で圧着して
仮接着が可能であるか否か(サンプルが落下するか否
か)を判定した。その後130℃、15Kg/cm2
ロールで熱圧着をした後、密着性および転写マークの外
観を評価した。その結果を表3に示す。なお、表3中メ
ッシュは、スクリーン版の1平方インチ当たりの線数を
意味し、例えば#150は1平方インチ当たり150線
であることを意味する。
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】本発明の加熱転写マーキングシートは、
上記の構成を有するから、下記の効果を奏する。すなわ
ち、1)転写が加熱圧着により実施できるため、転写パ
ターン表面に、型押跡等の傷が発生しない。2)被着体
表面のシボ等の模様が深い場合でも、良好な転写性、密
着性が得られる。3)転写直後に十分な接着性が得られ
る。4)転写直後、転写マークと被着体の間にエアによ
るフクレ(エア噛み)が発生しても、経時により消失す
る。すなわち、塩化ビニル樹脂シートに加工されている
表面のシボは、凹凸にエアが保持されたまま転写されや
すく、放置したままでおくと、後に転写マークのフクレ
や剥がれの原因になるため、従来は転写後、針等により
転写マークに穴を開けてエア抜きを行う作業が必要であ
ったが、本発明においては、転写マークは上記エア噛み
が生じた場合でも経時によりエアが徐々に抜ける。した
がって、エア抜きを行う作業を行う必要がないという効
果もある。5)被着物が軟質塩化ビニル樹脂製品である
場合、可塑剤による影響を受けず、転写後の転写パター
ン表面にタックが発生しない。また、感熱性接着剤層の
上に局部的に粘着剤層を設けた場合には、仮接着が可能
であるため、位置決めが容易に実施でき、作業性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の加熱転写マーキングシートの一態様
の模式的断面図である。
【図2】 本発明の加熱転写マーキングシートの他の一
態様の模式的断面図である。
【図3】 本発明の加熱転写マーキングシートを用いて
被着体表面に貼着する方法を説明する説明図で、貼着前
の状態を示す。
【図4】 本発明の加熱転写マーキングシートを用いて
被着体表面に貼着する方法を説明する説明図で、貼着中
の状態を示す。
【図5】 本発明の加熱転写マーキングシートを用いて
被着体表面に貼着する方法を説明する説明図で、貼着後
の状態を示す。
【符号の説明】
1…光透過性保護シート、2…透明樹脂層、3…着色イ
ンク層、4…感熱性接着剤層、5…剥離シート、6…粘
着剤層、11…架台、12…減圧室、13…下部部材、
14…加熱装置、15…加圧室、16…上部部材、17
…排気孔、18…可撓性膜。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性保護シート、透明樹脂層、着色
    インク層、感熱性接着剤層および剥離シートを順次積層
    した加熱転写マーキングシートにおいて、前記感熱性接
    着剤層が、軟化点40℃〜120℃のポリウレタン樹脂
    またはポリエステル樹脂を主成分とする感熱性接着剤よ
    りなり、前記透明樹脂層が軟化点70℃〜200℃のポ
    リウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする加
    熱転写マーキングシート。
  2. 【請求項2】 感熱性接着剤層と剥離シートの間に、部
    分的に粘着剤層を設けたことを特徴とする請求項1記載
    の加熱転写マーキングシート。
  3. 【請求項3】 ポリ塩化ビニル樹脂よりなる表面を有す
    る製品にマーキングするためのものである請求項1また
    は請求項2記載の加熱転写マーキングシート。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の加熱転写マーキングシ
    ートを、被着体表面に仮着し、空気圧により押圧しなが
    ら加熱することによって接着させることを特徴とする貼
    着方法。
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