JP2000308828A - 過酸化水素分解用固体触媒およびそれを用いた過酸化水素の分解方法 - Google Patents

過酸化水素分解用固体触媒およびそれを用いた過酸化水素の分解方法

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JP2000308828A
JP2000308828A JP11309467A JP30946799A JP2000308828A JP 2000308828 A JP2000308828 A JP 2000308828A JP 11309467 A JP11309467 A JP 11309467A JP 30946799 A JP30946799 A JP 30946799A JP 2000308828 A JP2000308828 A JP 2000308828A
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bismuth
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manganese
water
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JP11309467A
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Seiichiro Imamura
成一郎 今村
Hiroo Kumagai
弘夫 熊谷
Tomohiko Matsumoto
智彦 松本
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Katayama Chemical Inc
Original Assignee
Katayama Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酸化水素を含有する用水、特に薬剤処理の
ために過酸化水素を添加し、その処理後に過酸化水素が
残存する用水中の過酸化水素を短時間で効率良く自然界
レベルにまで分解し得る過酸化水素分解用固体触媒を提
供することを課題とする。 【解決手段】 マンガンとビスマスとを金属換算のモル
比(Mn:Bi)99.9:0.1〜5:95で含有す
ることからなる過酸化水素分解用固体触媒により、上記
の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、過酸化水素分解
用固体触媒およびそれを用いた過酸化水素の分解方法に
関する。さらに詳しくは、この発明は、過酸化水素を含
有する用水に接触させて該用水中の過酸化水素を短時間
で効率良く分解する過酸化水素分解用固体触媒、および
それを用いた過酸化水素の分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より過酸化水素は、淡水、海水を問
わず、各種用水の添加薬剤として幅広い用途で用いられ
ている。その用途としては、例えば、海水冷却水系にお
ける海生生物の付着防止剤、養殖魚類の寄生虫駆除剤お
よび赤潮駆除剤、食品容器の洗浄剤、半導体材料のウエ
ハの洗浄剤およびその洗浄に用いられる装置の超純水配
管に沈着するスライムなどの洗浄殺菌剤などが挙げられ
る。
【0003】この過酸化水素は、水中において各種の要
因によって毒性のない酸素と水に容易に分解されるが、
自然界レベル(数ppb〜数100ppb)まで分解す
るには長い時間を要する。したがって、過酸化水素処理
をした水を放出する際には、残存する過酸化水素を分解
することが望まれる。
【0004】そこで、水中に残留する過酸化水素を分解
する方法として、従来より種々の方法が提案されてき
た。そのような方法としては、例えば、チオ硫酸ナトリ
ウムまたは亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を用いる方
法、カタラ−ゼまたはペルオキシダ−ゼなどの酵素触媒
を用いる方法、電気分解による方法、および固体の金属
または貴金属触媒(固体触媒)を用いる方法などが挙げ
られ、中でも固体触媒を用いる方法は、過酸化水素の分
解能やそれ自体の安定性などの点で優れている。
【0005】例えば、特開平3−278837号公報に
は、酸化マンガン、酸化コバルトおよび酸化銅よりなる
群から選ばれた金属酸化物が無機担体に担持されてなる
過酸化水素分解用固体触媒が開示されている。しかしな
がら、上記公報に記載の触媒は、使用量の割に過酸化水
素の分解効率が低く、特に膨大な用水量の海水系におい
ては処理効率が低く、過酸化水素を短時間で効率良く分
解することは困難であった。
【0006】また、特開平7−214078号公報に
は、チタン、ケイ素、アルミニウムおよびジルコニウム
から選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物と、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、タングステ
ン、銅、銀、金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニ
ウムおよびイリジウムから選ばれた少なくとも1種の元
素またはこれらの化合物を含有するオキシダント分解触
媒が開示されている。しかしながら、上記公報に記載の
触媒も、過酸化水素の分解効率の点で十分とは言えなか
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、過酸化水素
を含有する用水、特に薬剤処理のために過酸化水素を添
加し、その処理後に過酸化水素が残存する用水中の過酸
化水素を短時間で効率良く自然界レベルにまで分解し得
る過酸化水素分解用固体触媒を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、過酸化水
素の分解効率が優れた固体触媒を開発すべく鋭意研究を
行った結果、マンガンとビスマスとを含有する固体触媒
が有効であることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0009】かくして、この発明によれば、マンガンと
ビスマスとを金属換算のモル比(Mn:Bi)99.
9:0.1〜5:95で含有することからなる過酸化水
素分解用固体触媒が提供される。
【0010】また、この発明によれば、上記の過酸化水
素分解用固体触媒を過酸化水素を含有する用水に接触さ
せて該用水中の過酸化水素を分解することを特徴とする
過酸化水素の分解方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の過酸化水素分解用固体
触媒は、マンガンとビスマスとを金属換算のモル比(M
n:Bi)99.9:0.1〜5:95で含有するもの
であり、マンガン自体またはマンガン化合物単独、ある
いはビスマス自体またはビスマス化合物単独の触媒では
得られない優れた過酸化水素の分解能と、長期にわたり
安定で経時変化の少ない触媒活性を有する。
【0012】この発明の固体触媒は、例えば、乾式混合
した水酸化マンガンと水酸化ビスマスとの混合物を焼成
して得ることもできるが、次のような湿式で得られた混
合物を用いた方が、より均一な触媒が得られるので好ま
しい。すなわち、後述するマンガン化合物とビスマス化
合物とを水に溶解し、両化合物が溶解した混合水溶液に
アルカリを添加して共沈反応を起こさせ、沈殿物を得
る。次いで、得られた沈殿物を濾過、乾燥し、その乾燥
物を焼成することにより触媒を得る。
【0013】マンガン化合物としては、水溶性の無機酸
または有機酸のマンガン塩であれば特に限定されず、そ
のようなマンガン塩としては、硝酸マンガン(II)の無
水物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物および
六水和物、塩化マンガン(II)の無水物、二水和物、四
水和物および六水和物、ならびに硫酸マンガン(II)の
無水物、一水和物、二水和物、四水和物、五水和物およ
び七水和物などの無機酸のマンガン塩、酢酸マンガンの
無水物、二水和物および三水和物などの有機酸のマンガ
ン塩が挙げられ、通常、無機酸のマンガン塩が使用され
る。
【0014】また、ビスマス化合物としては、無機酸ま
たは有機酸のビスマス塩が好ましい。かかるビスマス塩
としては、硝酸ビスマス(III)の五水和物、塩化ビス
マス(II)および塩化ビスマス(III)、ならびに硫酸
ビスマス(III)などの無機酸のビスマス塩、酢酸ビス
マスの一水和物、四水和物および七水和物などの有機酸
のビスマス塩が挙げられ、通常、無機酸のビスマス塩が
使用される。
【0015】マンガン化合物とビスマス化合物とは、上
記の化合物のいずれの組み合わせであってもよいが、通
常、硝酸マンガンと硝酸ビスマスの組み合わせのように
同一無機酸もしくは有機酸の塩が使用される。
【0016】この発明の固体触媒を得るには、まず、マ
ンガン化合物とビスマス化合物との混合物に必要に応じ
て酸を加えて水溶液とする。ビスマス化合物の多くは水
に難溶であり、このような場合に酸を加えてビスマス化
合物を溶解する。混合水溶液に加えられる酸としては、
硝酸、塩酸および硫酸などの無機酸が挙げられる。混合
物中の両化合物が無機酸の塩の場合、塩と同一の無機酸
が好ましい。
【0017】得られた混合水溶液に添加するアルカリと
しては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの
水酸化アルカリ金属およびその水溶液ならびにアンモニ
ア水溶液が挙げられ、これらのアルカリを添加すること
により共沈反応が起こる。得られた沈殿物を濾過などに
より採取し、乾燥後、大気中で焼成する。
【0018】焼成条件は、原料化合物の種類、マンガン
とビスマスの比率および求められる性能により適宜選択
することができるが、通常、焼成温度は100〜100
0℃、好ましくは200〜800℃であり、焼成時間は
0.1〜10時間、好ましくは0.5〜7時間である。
【0019】この発明の固体触媒のマンガンとビスマス
の割合は、金属換算のモル比(Mn:Bi)で、99.
9:0.1〜5:95、好ましくは99.9:0.1〜
30:70、さらに好ましくは95:5〜40:60で
ある。Mnが99.9を超え、Biが0.1未満の場
合、あるいはMnが5未満で、Biが95を超える場合
には、ある程度の過酸化水素の分解活性は得られるが、
短時間で効率良く過酸化水素を分解することができない
ので好ましくない。
【0020】この発明の固体触媒は、原料とするマンガ
ン化合物とビスマス化合物の種類、焼成温度や時間など
の製造条件により異なるが、通常、酸化マンガンと酸化
ビスマスを主成分とし、焼成温度が低いあるいは焼成時
間が短い場合には、一部、水酸化ビスマスが含まれてい
るものと考えられる。
【0021】この発明の固体触媒の使用量は、用水に含
有する過酸化水素濃度により適宜決定される。例えば、
用水の過酸化水素濃度が0.5〜30ppmの場合にお
いて、固体触媒として0.25μm以下の粉末状の固体
触媒を使用したときの使用量は、用水1リットルに対し
てマンガン+ビスマスの金属換算で0.05〜10mm
ol程度、好ましくは0.5〜3mmol程度である。
このとき、固体触媒の使用量が0.05mmol未満の
場合には、短時間で効率良く過酸化水素を分解すること
ができないので好ましくない。
【0022】この発明の固体触媒は、粉末状、ペレット
状、粒状あるいはハニカム状など、いずれの形状であっ
てもよく、いずれの場合においても、表面積が大きくな
るように使用するのが好ましい。ペレット状、粒状およ
びハニカム状などに成形する場合は、無機質粉末の焼結
体に本発明の固体触媒を担持させてもよい。この場合、
無機質多結晶体または多孔質体に担持させるのが好まし
い。
【0023】無機質粉末の焼結体(無機担持体)として
は、ゼオライトのようなアルミノケイ酸塩、酸化ケイ
素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび酸化ベリ
リウムなどの酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホ
ウ素、窒化アルミニウム、窒化チタンおよび炭化チタン
などの非酸化物が挙げられ、これらは単独または2種以
上を混合して用いてもよい。
【0024】この発明の固体触媒を無機質粉末の焼結体
に担持させる場合、触媒成分と無機担持体の割合は、求
められる形状や性能(分解能)によって適宜調整すれば
よい。例えば、固体触媒0.1〜30重量部に対して無
機担持体70〜99.9重量部である。
【0025】この発明の固体触媒の対象用水としては、
過酸化水素を含有する用水、具体的には、 海水冷却水系における海生生物の付着防止、養殖魚類
の寄生虫駆除および赤潮駆除などのために過酸化水素を
該用水系に添加し、その処理後に過酸化水素が0.1〜
1000ppm程度残存する用水、 テトラパックやPET容器などの食品容器の洗浄剤と
して過酸化水素を添加処理した後の用水(過酸化水素濃
度 数十〜10000ppm程度)、 電子部品、例えば、半導体基板のウエハなどの洗浄剤
として過酸化水素を添加処理した後の用水、前記ウエハ
や半導体装置などの洗浄に用いられる超純水の送水配管
に沈着するスライムや微生物などを過酸化水素で洗浄殺
菌した後の用水(過酸化水素濃度 数十〜10000p
pm程度) などが挙げられる。より具体的には、火力発電所、原子
力発電所、化学プラント、食品容器工場および電子部品
工場などの過酸化水素を添加した用水系が挙げられる。
これらの用水の中でも、本発明の固体触媒は、過酸化水
素が残存する海水に好適に用いられる。
【0026】この発明の固体触媒が使用される用水の過
酸化水素濃度は、特に限定されないが、通常、0. 1p
pm以上が好ましい。過酸化水素濃度が0. 1ppm未
満の場合、この濃度自体が自然界レベルに近いため、こ
の発明の固体触媒を用いて処理してもコスト的に好まし
くない。
【0027】また、処理時の水温は特に限定されない
が、0〜50℃が好ましい。水温が高いほど触媒の過酸
化水素分解能が向上するので、20℃以上で処理するの
が特に好ましい。処理時の水圧は特に限定されない。
【0028】この発明の固体触媒の作用メカニズムは、
マンガンの原子価が過酸化水素との反応により変化す
る、いわゆるレドックス反応によるものと考えられる。
レドックス反応は理論的には連続反応であるが、この発
明の適用場面のような自然界では、触媒表面が生物由来
の付着物によって覆われ、触媒効果が低下することが考
えられるので、触媒を水洗により、触媒表面の付着物を
随時除去するのが好ましい。
【0029】また、この発明の固体触媒中の有効成分
は、水に不溶性または難溶性であるので、繰り返し回収
して使用することもできる。
【0030】この発明の固体触媒を過酸化水素を含有す
る用水に接触させる方法としては、固体触媒と水が有効
に接触し得る方法であれば特に限定されない。例えば、
固体触媒を充填したカラム状の装置または水槽、あるい
は固体触媒を配合したポリマーの網状成形物に用水を連
続的に通水させる方法、固体触媒を充填した水槽に用水
を一定時間放置する方法などが挙げられる。
【0031】
【実施例】この発明を触媒の調製例および実施例により
以下に説明するが、これらの調製例および実施例により
この発明が限定されるものではない。
【0032】(調製例1)硝酸マンガン(II)六水和物
(純度98%以上)33. 01gおよび硝酸ビスマス
(III)五水和物(純度99.5%以上)18.16g
を容量500mlのビーカーに純水500mlとともに
入れた。これに硝酸(純度60%)45mlを加え、硝
酸マンガンと硝酸ビスマスが溶解するまで攪拌した。得
られた溶液に粒状の水酸化ナトリウム44.6gを加
え、しばらく攪拌して沈殿を形成させた。その結果、溶
液のpHは12となった。
【0033】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を250℃で3時間焼成し、本発明の固体触媒(モ
ル比Mn:Bi=75:25)を得た。得られた触媒を
乳鉢で粉末状とし、篩により乾式分級し、粒径が25μ
m以下のものを「触媒1」とした。
【0034】(調製例2)硝酸マンガン(II)六水和物
(純度98%以上)46.68gおよび硝酸ビスマス
(III)五水和物(純度99.5%以上)4.09gを
容量500mlのビーカーに純水450mlとともに入
れた。これに硝酸(純度60%)30mlを加え、硝酸
マンガンと硝酸ビスマスが溶解するまで攪拌した。得ら
れた溶液に粒状の水酸化ナトリウム35.2gを加え、
しばらく攪拌して沈殿を形成させた。その結果、溶液の
pHは12となった。
【0035】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を800℃で3時間焼成し、本発明の固体触媒(モ
ル比Mn:Bi=95:5)を得た。得られた触媒を乳
鉢で粉末状とし、篩により乾式分級し、粒径が25μm
以下のものを「触媒2」とした。
【0036】(調製例3)硝酸マンガン(II)六水和物
(純度98%以上)18. 60gおよび硝酸ビスマス
(III)五水和物(純度99.5%以上)31.43g
を容量500mlのビーカーに純水450mlとともに
入れた。これに硝酸(純度60%)53mlを加え、硝
酸マンガンと硝酸ビスマスが溶解するまで攪拌した。得
られた溶液に粒状の水酸化ナトリウム50.1gを加
え、しばらく攪拌して沈殿を形成させた。その結果、溶
液のpHは12となった。
【0037】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を250℃で3時間焼成し、本発明の固体触媒(モ
ル比Mn:Bi=50:50)を得た。得られた触媒を
乳鉢で粉末状とし、篩により乾式分級し、粒径が25μ
m以下のものを「触媒3」とした。
【0038】(調製例4)焼成条件を500℃で3時間
とする以外は、調製例1と同様にして本発明の固体触媒
(モル比 Mn:Bi=75:25)を得た。これを
「触媒4」とした。
【0039】(調製例5)硝酸マンガン(II)六水和物
(純度98%以上)49. 91gおよび硝酸ビスマス
(III)五水和物(純度99.5%以上)0.12gを
容量500mlのビーカーに純水500mlとともに入
れた。これに硝酸(純度60%)5mlを加え、硝酸マ
ンガンと硝酸ビスマスが溶解するまで攪拌した。得られ
た溶液に1規定の水酸化ナトリウム水溶液900mlを
加え、しばらく攪拌して沈殿を形成させた。その結果、
溶液のpHは12となった。
【0040】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を500℃で3時間焼成し、本発明の固体触媒(モ
ル比Mn:Bi=99.9:0.1)を得た。得られた
触媒を乳鉢で粉末状とし、篩により乾式分級し、粒径が
25μm以下のものを「触媒5」とした。
【0041】(比較調製例1)硝酸マンガン(II)六水
和物(純度98%以上)64. 90gを容量500ml
のビーカーに純水500mlとともに入れ、硝酸マンガ
ンが溶解するまで攪拌した。得られた溶液に粒状の水酸
化ナトリウム21.8gを加え、しばらく攪拌して沈殿
を形成させた。その結果、溶液のpHは12となった。
【0042】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を500℃で3時間焼成し、Mn単独触媒を得た。
得られたMn単独触媒を乳鉢で粉末状とし、篩により乾
式分級し、粒径が25μm以下のものを「比較触媒1」
とした。
【0043】(比較調製例2)硝酸ビスマス(III)五
水和物(純度99.5%以上)50.01gを容量50
0mlのビーカーに純水450mlとともに入れた。こ
れに硝酸(純度60%)45mlを徐々に加え、硝酸ビ
スマスが溶解するまで攪拌した。得られた溶液に粒状の
水酸化ナトリウム45.0gを加え、しばらく攪拌して
沈殿を形成させた。その結果、溶液のpHは12となっ
た。
【0044】次いで、沈殿物を採取し、純水洗浄を数回
繰り返して最終的に得られたケ−キを乾燥した。この乾
燥品を250℃で3時間焼成し、Bi単独触媒を得た。
得られたBi(100)単独触媒を乳鉢で粉末状とし、
篩により乾式分級し、粒径が25μm以下のものを「比
較触媒2」とした。
【0045】(実施例1〜5)調製例1〜5で得られた
触媒1〜5を用いて、過酸化水素の分解テストを行っ
た。容量1000mlのビ−カ−に、対象用水として、
0.22μmの篩で濾過し、所望の過酸化水素濃度に調
製した人工海水もしくは淡水(過酸化水素の初期濃度約
20ppm、水温20℃)1000mlを入れた。この
対象用水に、触媒を金属換算で1mmolとなるように
加え、2分後、6分後、10分後、15分後、40分後
および60分後の対象用水中に残留する過酸化水素濃度
を4−アミノアンチピリン吸光光度法により測定した。
得られた結果を添加触媒および対象用水とその過酸化水
素の初期濃度とともに表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】(実施例6)調製例1で得られた触媒1を
用い、人工海水の過酸化水素の初期濃度を1ppmとす
ること以外は実施例1〜5と同様にして、過酸化水素の
分解テストを行った。得られた結果を添加触媒および対
象用水とその過酸化水素の初期濃度とともに表1に示
す。
【0048】(実施例7)調製例1で得られた触媒1を
用い、淡水の過酸化水素の初期濃度を3ppmとするこ
と以外は実施例1〜5と同様にして、過酸化水素の分解
テストを行った。得られた結果を添加触媒および対象用
水とその過酸化水素の初期濃度とともに表1に示す。
【0049】(実施例8)調製例1で得られた触媒1を
用いて、過酸化水素の分解テストを行った。容量100
0mlのビ−カ−に、対象用水として、0.22μmの
篩で濾過し、所望の過酸化水素濃度に調製した人工海水
(過酸化水素の初期濃度約7000ppm、水温20
℃)1000mlを入れた。この対象用水に、触媒を金
属換算で1mmolとなるように加え、2分後、6分
後、10分後、15分後、40分後および60分後の対
象用水中に残留する過酸化水素濃度を過マンガン酸カリ
ウム滴定法により測定した。得られた結果を添加触媒お
よび対象用水とその過酸化水素の初期濃度とともに表1
に示す。
【0050】(実施例9)調製例5で得られた触媒5を
用い、かつ対象用水として、0.22μmの篩で濾過
し、所望の過酸化水素濃度に調製した淡水(過酸化水素
の初期濃度約1000ppm、水温20℃)を用いるこ
と以外は実施例8と同様にして、過酸化水素の分解テス
トを行った。得られた結果を添加触媒および対象用水と
その過酸化水素の初期濃度とともに表1に示す。
【0051】(比較例1)触媒を用いないこと以外は実
施例1〜5と同様にして、過酸化水素の分解テストを行
った(ブランクテスト)。得られた結果を対象用水とそ
の過酸化水素の初期濃度とともに表1に示す。
【0052】(比較例2)比較調製例1で得られた比較
触媒1を金属換算で1mmol使用する以外は実施例1
〜5と同様にして、過酸化水素の分解テストを行った。
得られた結果を添加触媒および対象用水とその過酸化水
素の初期濃度とともに表1に示す。
【0053】(比較例3)比較調製例2で得られた比較
触媒2を用いる以外は実施例1〜5と同様にして、過酸
化水素の分解テストを行った。得られた結果を添加触媒
および対象用水とその過酸化水素の初期濃度とともに表
1に示す。
【0054】
【発明の効果】この発明の過酸化水素分解用固体触媒
は、マンガンとビスマスとを金属換算のモル比(Mn:
Bi)99.9:0.1〜5:95で含有する固体触媒
であり、水中で過酸化水素の分解能を有することを特徴
とし、過酸化水素の分解効率が高い。したがって、過酸
化水素を含有する用水に該触媒を接触させて、用水中の
過酸化水素を短時間で効率良く自然界レベルにまで分解
することができる。特に薬剤処理のために過酸化水素を
添加し、その処理後水中に残存する過酸化水素を分解処
理するのに好適に用いることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月9日(1999.12.
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 智彦 大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15号 株 式会社片山化学工業研究所内 Fターム(参考) 4D038 AA01 AA02 AA03 AB26 BA02 BB15 BB17 BB20 4D050 AA01 AA02 AA06 AB33 BA20 BC06 BD02 CA15 4G069 AA02 AA03 AA08 BB06A BB06B BC25A BC25B BC62A BC62B CA01 CA05 CA10 CA11 DA05 EA02Y EA19 EB18Y FA01 FB09 FB30 FC08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガンとビスマスとを金属換算のモル
    比(Mn:Bi)99.9:0.1〜5:95で含有す
    ることからなる過酸化水素分解用固体触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の過酸化水素分解用固体
    触媒を過酸化水素を含有する用水に接触させて該用水中
    の過酸化水素を分解することを特徴とする過酸化水素の
    分解方法。
  3. 【請求項3】 用水が海水である請求項2に記載の分解
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2912129A1 (fr) * 2007-02-05 2008-08-08 Ingenierie Conception Expertis Procede de traitement de l'eau de rincage des contenants destines a etre rempli d'un liquide alimentaire.
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CN115770582A (zh) * 2022-11-23 2023-03-10 厦门理工学院 一种锰基铋钴催化剂及其制备及其在降解喹诺酮类抗生素废水中的应用

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