JP2000306266A - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体およびその製造方法

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JP2000306266A
JP2000306266A JP2000027465A JP2000027465A JP2000306266A JP 2000306266 A JP2000306266 A JP 2000306266A JP 2000027465 A JP2000027465 A JP 2000027465A JP 2000027465 A JP2000027465 A JP 2000027465A JP 2000306266 A JP2000306266 A JP 2000306266A
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Shin Nagayama
森 長山
Jiro Yoshinari
次郎 吉成
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TDK Corp
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録層の初期化処理が製造の際の律速段階で
あり、かつコストアップの要因となっていた相変化型光
記録媒体において、初期化処理時間の短縮または初期化
処理の簡略化によりコストダウンを達成すると共に、初
期化直後から安定した記録再生特性を実現する。 【解決手段】 基体上に記録層を有し、この記録層中
に、複数種の単位記録層が存在し、隣り合う2種の単位
記録層の間に、これら両単位記録層の構成元素を共に含
有する混合層が存在し、前記2種の単位記録層の少なく
とも一方が結晶質層であり、記録層全体の組成が相変化
型記録材料のものである光記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型の光記録
媒体と、その製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高密度記録が可能で、しかも記録
情報を消去して書き換えることが可能な光記録媒体が注
目されている。書き換え可能型の光記録媒体のうち相変
化型のものは、レーザー光を照射することにより記録層
の結晶状態を変化させて記録を行い、このような状態変
化に伴なう記録層の反射率変化を検出することにより再
生を行うものである。相変化型の光記録媒体は単一の光
ビームの強度を変調することによりオーバーライトが可
能であり、また、駆動装置の光学系が光磁気記録媒体の
それに比べて単純であるため、注目されている。
【0003】相変化型の光記録媒体には、結晶質状態と
非晶質状態とで反射率の差が大きいこと、非晶質状態の
安定度が比較的高いことなどから、Ge−Te系材料が
用いられることが多いが、最近、カルコパイライトと呼
ばれる化合物を応用することが提案されている。
【0004】カルコパイライト型化合物は化合物半導体
材料として広く研究され、太陽電池などにも応用されて
いる。カルコパイライト型化合物は、化学周期律表を用
いるとIb-IIIb-VIb2やIIb-IVb-Vb2で表わされる組成で
あり、ダイヤモンド構造を2つ積み重ねた構造を有す
る。カルコパイライト型化合物はX線構造解析によって
容易に構造を決定することができ、その基礎的な特性
は、例えば月刊フィジクスvol.8,No.8,1987,pp-441や、
電気化学vol.56,No.4,1988,pp-228などに記載されてい
る。
【0005】これらのカルコパイライト型化合物の中で
特にAgInTe2は、SbやBiを用いて希釈するこ
とにより、線速度7m/s前後の光記録媒体の記録層材料
として使用できることが知られている(特開平3−24
0590号公報、同3−99884号公報、同3−82
593号公報、同3−73384号公報、同4−151
286号公報等)。
【0006】このようなカルコパイライト型化合物を用
いた相変化型光記録媒体の他、特開平4−267192
号公報や特開平4−232779号公報、特開平6−1
66268号公報には、記録層が結晶化する際にAgS
bTe2相が生成する相変化型光記録媒体が開示されて
いる。
【0007】従来の相変化型光記録媒体では、真空成膜
装置などを用いて記録層を形成しているため、形成直後
の記録層は反射率の低い非晶質状態である。これを書き
換え型の媒体として利用する場合には、一般に初期化と
呼ばれる操作により、記録層を結晶化する必要がある。
【0008】初期化の方法としては、成膜後に記録層の
結晶化温度まで基板を加熱して結晶化させる方法(特開
平2−3131号公報)、成膜後にレーザービームを照
射して結晶化させる固相初期化と呼ばれる方法(特開平
4−366424号公報、同2−201734号公報、
同3−76027号公報)、カルコゲン化合物の光特性
を利用してフラッシュ光を成膜後の基板に照射し、いわ
ゆる光黒化によって擬似的に結晶化させる方法(特開平
4−281219号公報)、高周波を用いて誘導加熱に
よって結晶化させる方法、成膜中に基板を加熱して結晶
化させる方法(特開平2−98847号公報)、第1層
目の誘電体を形成し、次いで記録層を形成した後、これ
を加熱して結晶化し、さらに誘電体を形成する方法(特
開平2−5246号公報)などが提案されている。
【0009】しかし、レーザービーム照射による初期化
は長時間を要し、生産性に問題がある。また、媒体全体
を加熱する方法では、安価な樹脂基板を使いにくいとい
う問題がある。すなわち、初期化処理の際の加熱によっ
て樹脂基板が歪み、トラッキングなどに支障をきたすよ
うになってしまう。また、フラッシュ光を用いる方法で
は、完全に結晶化するためには複数回の照射が必要であ
り、生産性に問題がある。
【0010】このため、現在、工業的に適当な方法とし
て利用されているのは、バルクイレーザーと呼ばれる装
置を用いる方法である。バルクイレーザーは、出力の高
いガスレーザーや半導体レーザーのビームをあまり絞ら
ずに照射して、多数のトラックを一挙に結晶化させる装
置である。バルクイレーザーでは、記録層を限定的に加
熱できるため基板の温度上昇が小さくなるので、耐熱性
の低い樹脂基板の利用が可能である。
【0011】しかし、バルクイレーザーでは、12cm径
の光記録ディスクを初期化するときでさえ数分間程度の
時間が必要であるため、光記録ディスク生産工程におけ
る律速段階となっている。生産効率を向上させるために
は、この初期化工程を省略もしくは高速化することが必
要である。
【0012】初期化工程を高速化するためには、記録層
の結晶化温度を低下させることが有効である。記録層の
結晶化温度が低ければ、バルクイレーザーをより高速に
動作させても記録層を結晶化することが可能となる。ま
た、ポリカーボネートやポリオレフィンといった光記録
媒体の基体に広く使われている一般的な樹脂の変形温度
(120℃程度)まで記録層の結晶化温度が低くなれ
ば、高価なバルクイレーザーを使用せずに媒体をオーブ
ンで加熱するだけで初期化が可能となるので、初期化処
理を簡略化でき、初期化コストを大幅に引き下げること
が可能となる。しかし、現在のところ一般的に用いられ
ているAg−In−Sb−Te系相変化型記録材料およ
びGe−Sb−Te系相変化型記録材料のいずれにおい
ても、結晶化温度は170〜200℃程度なので、樹脂
基体を変形させずに初期化を行うことは不可能である。
【0013】相変化型記録層の結晶化温度を低下させる
ために、例えば特開平8−106647号公報では、A
g−In−Sb−Te系記録層を、AgSbTe2層お
よびIn−Sb層を積層した構造またはAgSbTe2
層、In層およびSb層を積層した構造とする提案がな
されている。同公報では、結晶化しているAgSbTe
2膜を用いるために記録層全体の初期化エネルギーがわ
ずかで済むことを、効果のひとつにしている。しかし、
同公報では、記録層を人工格子膜にすることを目的とし
ているため、各層の組成範囲が限定されてしまう。その
ため、記録層の全体組成を相変化型記録に最適なものと
することが難しい。また、同公報では、記録層中におい
て各層が分離しているため、加熱して初期化を行ったと
しても、記録層が均質化しにくく特性が安定しないとい
う問題がある。なお、同公報には、初期化の具体的条件
(線速度、レーザーパワー等)は記載されていない。
【0014】また、米国特許第4,889,746号明
細書では、Sb等の単一元素層とSb−In等の低融点
金属間化合物層とを、加熱した基体上に積層する提案が
なされている。なお、各層の組成は、これら両層の平均
組成が記録材料の組成となるように選択される。同明細
書には、各層の結晶化温度を低温にできる旨が記載され
ている。しかし、この提案においても、記録層中におい
て各層が分離しているため、記録層が均質化しにくく特
性が安定しないという問題がある。
【0015】一方、本出願人は、特開平8−22181
4号公報および特開平10−226173号公報におい
て、初期化処理を不要ないし高速化できる提案を行って
いる。
【0016】前記特開平8−221814号公報では、
In−Ag−Te−Sb系の記録層を形成するに際し、
Sb+Inをスパッタする工程とAg+Teをスパッタ
する工程とを分離して設けるか、Sbをスパッタする工
程とInをスパッタする工程とAg+Teをスパッタす
る工程とを分離して設けることを提案している。このよ
うな工程により形成された記録層は、少なくとも一部が
結晶化している。この方法により形成された記録層は、
繰り返し記録を行って層中の元素を十分に拡散および混
合した後では、上記したバルクイレーザーにより初期化
した場合と同様な反射率変化が得られる。しかし、記録
層形成直後から数回目までの書き換えに際しては、従来
の相変化型記録媒体と同様に消去率が安定しない。具体
的には、形成時に結晶化した領域と書き換え時に結晶化
した領域とでは反射率が異なるため、書き換え領域が記
録層全面に及ぶまでは反射率が安定しないのである。書
き換え型のデジタルビデオディスク(DVD−RAM)
などで利用されるマークエッジ記録の場合には、このよ
うな反射率のばらつきが生じると、マークエッジと誤認
されるという問題が生じ得る。
【0017】前記特開平10−226173号公報で
は、Sbを主成分とするSb系薄膜と、In、Agおよ
びTeを主成分とするか、In、Ag、TeおよびSb
を主成分とする反応薄膜とを積層し、両層を混合するた
めに熱処理(同公報では混合処理)を加えて記録層とす
ることを提案している。この熱処理は、形成直後の記録
層を記録可能な状態に変化させるという意味において、
従来の相変化型記録媒体における初期化処理と同様であ
る。同公報の実施例では、書き換え初回から消去率が安
定している。しかし、その後の研究によれば、書き換え
初期にジッターがばらつきやすいことがわかった。
【0018】これらのほか、特開平10−79144号
公報では、記録層をスパッタ法により形成する際に、電
流密度を変化させて結晶化を促進する提案がなされてい
る。しかし、この提案では、電流密度をかなり高くする
必要があり、ターゲットを破壊するおそれがあるので、
量産に利用することは困難である。
【0019】また、特開平5−62259号公報では、
記録層を形成する際に光加熱を行う提案がなされてい
る。しかし、この方法は、高強度のハロゲンランプを真
空槽内に配置する必要がある上、樹脂基体を変形させず
に記録層を結晶化することは不可能である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、記録
層の初期化処理が製造の際の律速段階であり、かつコス
トアップの要因となっていた相変化型光記録媒体におい
て、初期化処理時間の短縮または初期化処理の簡略化に
よりコストダウンを達成すると共に、初期化直後から安
定した記録再生特性を実現することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。 (1) 基体上に記録層を有し、この記録層中に、複数
種の単位記録層が存在し、隣り合う2種の単位記録層の
間に、これら両単位記録層の構成元素を共に含有する混
合層が存在し、前記2種の単位記録層の少なくとも一方
が結晶質層であり、記録層全体の組成が相変化型記録材
料のものである光記録媒体。 (2) 単位記録層の少なくとも1種が結晶質層として
形成され、この単位記録層に接する混合層が非晶質層と
して形成されたものである上記(1)の光記録媒体。 (3) 記録層を加熱して結晶化した後、記録層の未記
録部における平均結晶粒径が3〜18nmである上記
(1)または(2)の光記録媒体。 (4) 前記記録層が、Ag、In、SbおよびTeを
主成分とする上記(1)〜(3)のいずれかの光記録媒
体。 (5) 前記記録層が、Ge、SbおよびTeを主成分
とする上記(1)〜(3)のいずれかの光記録媒体。 (6) 複数種のターゲットをスパッタすることにより
基体上に記録層を形成するに際し、前記複数種のターゲ
ットのうちの2種をそれぞれ第1および第2のターゲッ
トとしたとき、第1のターゲットを単独でスパッタする
工程と第2のターゲットを単独でスパッタする工程との
間に、第1および第2のターゲットを同時にスパッタす
る工程を設け、形成された記録層全体をすべて足し合わ
せた組成が相変化型記録材料のものとなるように、各タ
ーゲットの組成および投入パワーを制御する光記録媒体
の製造方法。 (7) 複数種のターゲットをスパッタすることにより
基体上に記録層を形成するに際し、前記複数種のターゲ
ットのうちの3種をそれぞれ第1、第2および第3のタ
ーゲットとしたとき、第2のターゲットが、第1のター
ゲットの構成元素と第3のターゲットの構成元素とを共
に含有し、第1、第2、第3のターゲットの順にそれぞ
れ単独でスパッタを行う工程を設け、形成された記録層
全体をすべて足し合わせた組成が相変化型記録材料のも
のとなるように、各ターゲットの組成および投入パワー
を制御する光記録媒体の製造方法。 (8) 複数種のターゲットをスパッタすることにより
基体上に記録層を形成するに際し、前記複数種のターゲ
ットを同時にスパッタしながら、前記複数種のターゲッ
トと順次対向するように前記基体を移動させる工程を設
け、形成された記録層全体をすべて足し合わせた組成が
相変化型記録材料のものとなるように、各ターゲットの
組成および投入パワーを制御する光記録媒体の製造方
法。 (9) 前記記録層を形成した後、記録層を加熱して結
晶化する初期化処理を施す上記(6)〜(8)のいずれ
かの光記録媒体の製造方法。 (10) 上記(1)〜(5)のいずれかの光記録媒体
が製造される上記(6)〜(9)のいずれかの光記録媒
体の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】従来の一般的な相変化型記録媒体
では、スパッタ法により形成された単層の非晶質記録層
を加熱・徐冷することにより、初期化(結晶化)する。
初期化後、書き換え(オーバーライト)用レーザー光を
照射すると、記録パワーを加えた領域では記録層が溶融
し、続く急冷により非晶質ないし微結晶となって反射率
が低下し、記録マークとなる。一方、消去パワーを加え
た領域では変化は生じず、初期化後の反射率が維持され
る。これ以降の書き換えの際にも、新たに記録マークと
する部位で記録パワーを加え、その他の部位では消去パ
ワーを加える。照射前の状態が結晶質であっても非晶質
ないし微結晶であっても、記録パワーを加えた部位は全
て非晶質ないし微結晶の記録マークとなり、また、消去
パワーを加えた部位は全て結晶質となり、オーバーライ
トが可能となる。
【0023】一方、本発明の光記録媒体では、記録層中
に複数種の単位記録層を設け、さらに、隣り合う単位記
録層間に、これら両単位記録層の構成元素を共に含有す
る混合層を設ける。記録層全体の組成、すなわち、すべ
ての単位記録層とすべての混合層とを足し合わせた組成
は、相変化型記録材料の組成となる。本明細書において
単位記録層は、相変化型記録材料を構成する元素群から
選択される少なくとも1種の元素を含む。隣り合う単位
記録層同士は、必ず異なる組成をもつ。そして、これら
両単位記録層の間に存在する混合層は、両単位記録層が
含む元素を足し合わせた組成をもつ。上記したように、
単位記録層は相変化型記録材料を構成する元素群のすべ
てを含むものであってもよいが、隣り合う単位記録層お
よびそれとの間に存在する混合層との間で、組成をより
穏やかに遷移させるために、単位記録層は、相変化型記
録材料を構成する元素群のうちの少なくとも1種を欠く
組成とすることが好ましい。
【0024】単位記録層の少なくとも1つは、結晶質層
として形成され、それに接する混合層は、非晶質層とし
て形成される。他の単位記録層および他の混合層は、結
晶質として形成されても非晶質層として形成されてもよ
い。結晶質層として形成される単位記録層は、スパッタ
法により結晶状態として形成することが容易な元素、例
えばSbやTeなどの単体から構成される。混合層は、
スパッタ法を利用した場合には、通常、非晶質層として
形成されることが多い。
【0025】このように、記録層中において結晶質層
(単位記録層の少なくとも1層)と非晶質層(混合層)
とを隣接させることにより、両層の界面に多数の歪みが
発生して結晶核となるので、その後の初期化処理の際に
記録層の結晶化温度を大きく下げることができ、初期化
処理の著しい短縮が可能となる。そして、組成が実質的
に連続して遷移する3層、すなわち、2層の単位記録層
とその間の混合層とを設けることにより、結晶化がさら
に進みやすくなり、また、初期化時に記録層の均質化が
進みやすくなる。そのため、初期化直後から安定した記
録再生特性が得られる。また、初期化処理による記録層
の均質化が容易となるので、初期化後の長期保存に際し
て、記録層の変質を抑えることができ、信頼性が良好と
なる。
【0026】本発明の光記録媒体では、初期化後、従来
の相変化型光記録媒体と全く同様に使用することができ
る。すなわち、上記した従来の相変化型記録媒体と同様
な記録および書き換え(オーバーライト)を行うことに
なる。すなわち、記録パワーを加えた領域では記録層が
溶融し、続く急冷により非晶質ないし微結晶となって記
録マークとなる。
【0027】本発明の光記録媒体では、結晶成長核が多
量に存在しているので、初期化後の結晶粒径が従来の光
記録媒体に比べ小さい。積層型記録層を有する媒体であ
っても、積層数が多い場合には非晶質混合層の割合が著
しく多くなって結晶質領域がほとんど存在しなくなって
しまうので、結晶成長核もごくわずかになってしまう。
そのため、結晶化温度は低下せず、積層型でない従来の
記録層と同程度となり、また、初期化後の結晶粒径も小
さくはならない。本発明の光記録媒体において、初期化
直後(オーバーライト前)の未記録部での平均結晶粒径
が3〜18nmの範囲内に収まっている場合、初期化前の
記録層中では結晶成長核が多量に存在し、結晶化温度が
十分に低かったことが示される。また、本発明の光記録
媒体では、記録層の均質化が進みやすいため、初期化直
後から特性が安定しており、例えば初期化直後の記録に
おけるジッターを基準値としたとき、オーバーライト
1,000回後までのジッターは最大でも前記基準値の
1.5倍以内に収まる。したがって、記録層の積層構造
が初期化により不明瞭となった場合でも、本発明の適用
の有無が判別可能である。なお、本明細書における記録
層の平均結晶粒径は、低入射角(0.5°)X線回折に
より測定したSb(014)ピークの半値幅から求めた
記録層面内方向の平均結晶粒径である。
【0028】ところで、特開平9−94134号公報に
は、結晶化の核となる微結晶を記録層中に分散させる技
術が記載されている。しかし、この技術は、一般的には
利用しにくい粉末ターゲットを用いてスパッタを行い、
ほぼ一様な微結晶を記録層中に分散させるものなので、
製造に困難が伴う。これに対し本発明では、ターゲット
を特に選ばずに、記録層厚さ方向の組成変動を利用して
微結晶を析出させるので、実現が容易である。
【0029】また、特開平5−345478号公報に
は、記録層中にAgSbTe2の微結晶を存在させるこ
とにより、高消去比、高感度の光情報記録媒体が得られ
ることが記載されている。しかし、この媒体は、初期化
の際に均質な記録層中に微結晶を析出させることにより
得られるので、初期化前に結晶核を生成させる本発明と
は異なり、初期化温度を下げることはできない。
【0030】以下、本発明を詳細に説明する。なお、本
発明は、Ag、In、SbおよびTeを主成分とする
か、Ge、SbおよびTeを主成分とする記録層を有す
る相変化型光記録媒体に適用されることが好ましいの
で、以下では、これらのいずれかの記録層を用いる場合
について説明する。
【0031】光記録媒体 単位記録層の少なくとも1種は、スパッタ法により形成
したときに、結晶質となりやすい元素を主成分とする。
具体的には、SbまたはTeを主成分とすることが好ま
しく、これらの含有率が95原子%以上、特に97〜1
00原子%であるものが好ましい。結晶質として形成さ
れる単位記録層の厚さは、好ましくは2nm以上、より好
ましくは4nm以上である。この単位記録層中のSb含有
率またはTe含有率が低すぎる場合、または、この単位
記録層が薄すぎる場合には、結晶質層として形成するこ
とが困難となる。
【0032】相変化型記録材料を構成する元素のうちで
は、Ag、Inもスパッタ法により結晶質として形成す
ることが可能である。しかし、AgやInは記録層全体
に占める比率が低い。そのため、Ag層やIn層は一般
に薄くなり、結晶質層とならないこともある。したがっ
て、結晶質層とする必要のある単位記録層には、Sbま
たはTeを利用することが好ましい。
【0033】本発明では、単位記録層のうち結晶質層と
して形成されるものが少なくとも1層存在すればよい
が、すべての単位記録層が結晶質層として形成されたも
のであってもよい。単位記録層のうち非晶質層として形
成されるものについては、その組成および厚さを、記録
層全体として相変化型記録材料の組成となるように設定
すればよいが、厚さは通常、0.5nm以上、好ましくは
1nm以上である。
【0034】単位記録層が厚すぎると、初期化による記
録層の均質化が不十分となりやすく、また、記録層全体
が厚くなりすぎて記録層の光透過率が不十分となる結
果、高反射率が得られず、変調度も低くなってしまう。
そのため、各単位記録層の厚さは、好ましくは15nm以
下、より好ましくは11nm以下とする。
【0035】混合層は、隣り合う両単位記録層の構成元
素を共に含有する層である。混合層の厚さは、初期化処
理の際に、結晶化が容易となり、かつ、記録層の均質化
が進みやすくなるように適宜決定すればよいが、単位記
録層の厚さを上記範囲内としたときには、好ましくは
0.5〜10nm、より好ましくは1〜8nmとする。
【0036】なお、本明細書では、各単位記録層の厚さ
および混合層の厚さを、成膜レートと成膜時間との積で
算出される計算値で表わす。
【0037】本発明では、単位記録層と混合層との境界
が明瞭である必要はない。すなわち、本発明は、記録層
の組成が厚さ方向に連続的に変化しており、記録層の厚
さ方向において、単位記録層に相当する結晶質領域と、
混合層に相当する非晶質領域と、他の単位記録層に相当
する非晶質または結晶質の領域とが、交互に存在する光
記録媒体も包含する。このような記録層は、例えば、後
述する第3の方法により形成される。なお、このような
記録層では、単位記録層の数と混合層の数との合計で記
録層厚さを除した値、すなわち各層の平均厚さが、好ま
しくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上であれば
よい。
【0038】記録層は、2層の単位記録層およびその間
の混合層だけから構成されていてもよいが、単位記録層
を3層以上設けることにより初期化に要するエネルギー
をより小さくすることができる。記録層中に単位記録層
が3層以上存在する場合、単位記録層の種類は2種だけ
としてもよく、3種以上としてもよい。例えば、結晶質
層として形成される単位記録層として、Sbを主成分と
する層およびTeを主成分とする層の両方を設けてもよ
い。なお、単位記録層の厚さは、すべて同一であっても
よく、一部またはすべてが異なっていてもよい。
【0039】各単位記録層の組成の組み合わせとして
は、例えば下記表1に示すものが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0040】
【表1】
【0041】次に、記録層全体の組成について説明す
る。
【0042】記録層がAg、In、SbおよびTeを主
成分とする場合、記録層全体の組成(原子比)を 式I AgaInbSbcTede で表わしたとき、好ましくは a=0.03〜0.15、 b=0.02〜0.1、 c=0.5〜0.75、 d=0.2〜0.4、 e=0〜0.1、 a+b+c+d+e=1 である。式Iにおける元素Mは、Ag、In、Sbおよ
びTe以外の任意の元素の1種以上であるが、好ましく
はGe、Sn、Pb、H、Si、C、V、W、Ta、Z
n、Ti、Ce、TbおよびYから選択する。
【0043】また、記録層がGe、SbおよびTeを主
成分とする場合、記録層全体の組成(原子比)を 式II GeaSbbTecd で表わしたとき、好ましくは a=0.1〜0.25、 b=0.15〜0.3、 c=0.35〜0.6、 d=0〜0.1、 a+b+c+d=1 である。式IIにおける元素Mは、Ge、SbおよびTe
以外の任意の元素の1種以上であるが、好ましくはA
g、Pd、Cu、Au、NiおよびPtから選択する。
【0044】記録層の厚さは、好ましくは9.5〜50
nm、より好ましくは13〜30nmとする。記録層が薄す
ぎると結晶相の成長が困難となり、相変化に伴なう反射
率変化が不十分となる。一方、記録層が厚すぎると、前
述したように反射率および変調度が低くなってしまう。
【0045】本発明の光記録媒体では、一般の相変化型
光記録媒体と同様に、通常、記録層と基体との間に下部
誘電体層を設け、記録層上に上部誘電体層を設ける。記
録再生光は、一般に基体を通して下部誘電体層側から照
射されるが、高密度記録を目的とする場合には基体を通
さずに上部誘電体層側から照射することもある。また、
一般に記録再生光は入射側に反射されて出射されるが、
記録再生光が透過する構成とすることもある。また、記
録光と再生光とを互いに逆側から照射する構成としても
よい。また、必要に応じ、上部誘電体層上または基体と
下部誘電体層との間に反射層を設ける構成としてもよ
い。
【0046】記録層の形成方法 本発明において、混合層を挟んで2種の単位記録層が存
在する構造とするための具体的方法は特に限定されない
が、以下に説明する第1の方法、第2の方法または第3
の方法を利用することが好ましい。
【0047】これらの方法では、複数種のターゲットを
スパッタすることにより基体上に記録層を形成する。ス
パッタに際しては、記録層全体をすべて足し合わせた組
成が相変化型記録材料のものとなるように、各ターゲッ
トの組成およびスパッタ時の投入パワーを制御する。
【0048】第1の方法では、前記複数種のターゲット
のうちの2種をそれぞれ第1および第2のターゲットと
したとき、第1のターゲットを単独でスパッタする工程
と第2のターゲットを単独でスパッタする工程との間
に、第1および第2のターゲットを同時にスパッタする
工程を設ける。この方法では、各ターゲットを単独でス
パッタしたときに形成される層が前記単位記録層に相当
し、両ターゲットを同時にスパッタしたときに形成され
る層が前記混合層に相当する。
【0049】第2の方法では、前記複数種のターゲット
のうちの3種をそれぞれ第1、第2および第3のターゲ
ットとしたとき、第2のターゲットとして、第1のター
ゲットの構成元素と第3のターゲットの構成元素とを共
に含有するものを用い、第1、第2、第3のターゲット
の順にそれぞれ単独でスパッタを行う工程を設ける。こ
の方法では、第1および第3のターゲットをそれぞれ単
独でスパッタしたときに形成される層が前記単位記録層
に相当し、第2のターゲットを単独でスパッタしたとき
に形成される層が前記混合層に相当する。
【0050】第3の方法では、複数種のターゲットを同
時にスパッタしながら、前記複数種のターゲットと順次
対向するように基体を移動させる工程を設ける。この方
法では、基体が各ターゲットに対向したときに形成され
る層が前記単位記録層に相当し、ターゲット間に基体が
位置するときに形成される層が前記混合層に相当する。
【0051】記録層形成後には、記録層全体を加熱する
初期化処理を施す。初期化処理の温度は、両単位記録層
と混合層とが混合されて結晶化が進む温度であればよい
が、本発明では、通常、160℃以下の低温で混合およ
び結晶化が可能である。したがって、バルクイレーザー
を用いた初期化に際して、高速動作が可能となる。ま
た、本発明では、単位記録層の組成を最適化することに
より、120℃以下の低温での初期化処理が可能となる
ので、ポリカーボネートやポリオレフィンのような樹脂
からなる基体を用いた場合でも、基体の熱変形温度以下
で初期化できる。そのため、記録層を形成した基体全体
をオーブン等によって加熱することにより初期化処理が
行えるので、初期化処理の簡略化および低コスト化が実
現する。
【0052】
【実施例】実施例1−1 射出成形によりグルーブを同時形成した直径120mm、
厚さ0.6mmのディスク状ポリカーボネート基体の表面
に、下部誘電体層、記録層、上部誘電体層、反射層およ
び保護層を形成し、その上に前記基体を張り合わせて光
記録ディスクサンプルを作製した。
【0053】下部誘電体層は、ZnSおよびSiO2
ターゲットとしてスパッタ法により形成した。SiO2
/(ZnS+SiO2)は20モル%とした。下部誘電
体層の厚さは85nmとした。
【0054】記録層は、前記した第3の方法により形成
した。用いたスパッタ装置の概略平面図を、図1に示
す。この装置は、ディスク2を4個配置することが可能
な円盤状のトレー3を有する。トレー3はその中心軸を
回転軸として回転し、この回転に伴って、ディスク2は
複数のターゲット4の直下を次々に通過することにな
る。
【0055】単位記録層形成用のターゲットとして、S
b、TeおよびAg60原子%−In40原子%合金の
3種を使用した。そして、記録層全体の組成がAg6
4Sb60Te30となるように各ターゲットに加えるパ
ワーを制御しながら、全ターゲットを同時にスパッタし
た。スパッタの際には、トレーの回転速度を10rpm、
スパッタ時間を30秒間とすることにより、各ターゲッ
トの直下をディスクが5回通過するように設定した。こ
の方法では、トレーの回転に伴ってディスクが各ターゲ
ットの直下を順次通過することになる。そして、ターゲ
ット直下にディスクがきたときには、そのターゲットと
ほぼ同じ組成の膜が形成されて単位記録層となり、ター
ゲット間をディスクが移動しているときには混合層が形
成されることになるので、混合層を挟んで単位記録層を
積層することができる。記録層の全厚は、23nmとし
た。
【0056】上部誘電体層は、ZnSおよびSiO2
ターゲットとしてスパッタ法により形成した。SiO2
/(ZnS+SiO2)は50モル%とした。上部誘電
体層の厚さは20nmとした。
【0057】反射層はAl−Cr合金をターゲットに用
いてスパッタ法により形成し、厚さは100nmとした。
保護層は、紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗
布後、紫外線照射により硬化して形成した。
【0058】次に、サンプルに初期化処理を施した。初
期化は、バルクイレーザーを用い、パワー700mW、ヘ
ッド送り量60μm/roundで行った。初期化の際には、
バルクイレーザーの線速度を変化させ、初期化可能な限
界まで線速度を上げた状態で初期化に要する時間を測定
した。結果を表2に示す。なお、初期化がなされている
かどうかは、反射率の測定により判定した。
【0059】また、サンプルの記録層の結晶化温度を測
定した。結果を表2に示す。この測定は、記録層形成時
に同時にスパッタ装置内に投入して記録層を形成したス
ライドガラスを、10℃/分で昇温させ、反射率変化を
調べることにより行った。
【0060】また、サンプルの記録層を初期化した後、
低入射角(0.5°)X線回折により測定したSb(0
14)ピークの半値幅から、記録層面内方向の平均結晶
粒径を求めた。結果を表2に示す。
【0061】また、サンプルの記録層を初期化し、最初
に記録した後、オーバーライトを2回行った後、および
オーバーライトを1000回行った後に、クロックジッ
タを測定した。結果を表2に、それぞれ初期、2回目お
よび1000回目として示す。なお、信号記録は、 線速度:3.5m/s、 クロック周波数:26.16MHz、 レーザー波長:635nm、 開口数NA:0.6、 記録信号:8−16変調、 最短マーク長:0.40μm、 記録パワー:14.0mW、 消去パワー:6.5mW、 バイアスパワー:0.5mW の条件で行った。そして、記録後、再生信号をタイムイ
ンターバルアナライザにより測定し、ウィンドウ幅をT
として σ/T (%) によりクロックジッタを算出した。
【0062】実施例1−2 記録層形成の際にトレーの回転速度を6rpmとして、各
ターゲットの直下をディスクが3回通過するように設定
したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを作製
し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2に
示す。
【0063】実施例1−3 記録層形成の際にトレーの回転速度を4rpmとして、各
ターゲットの直下をディスクが2回通過するように設定
したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを作製
し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2に
示す。
【0064】実施例1−4 記録層形成の際にトレーの回転速度を2rpmとして、各
ターゲットの直下をディスクが1回通過するように設定
したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを作製
し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2に
示す。
【0065】実施例1−5 記録層の形成には、前記第1の方法を利用した。スパッ
タ装置およびターゲットは、実施例1−1と同じものを
用いた。ただし、トレーの回転速度は40rpmとし、各
ターゲットをTe→Sb→Ag−In合金の順で15秒
間ずつスパッタし、これを2回繰り返した。各ターゲッ
トをスパッタする際には、そのターゲットのスパッタを
終了する5秒前に、次のターゲットのスパッタを開始す
る構成とした。したがって、記録層の両端に存在する単
位記録層の形成を10秒間行い、混合層の形成を5秒間
行い、混合層に挟まれた単位記録層の形成を5秒間行っ
たことになる。2種のターゲットを同時にスパッタする
ことにより形成した領域は、トレーの回転速度が速いた
め積層構造にはならず、両ターゲットの構成元素が混じ
り合った混合層となる。
【0066】このほかは実施例1−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0067】実施例1−6 記録層の形成には、前記第1の方法を利用した。スパッ
タ装置およびターゲットは、実施例1−1と同じものを
用いた。ただし、トレーの回転速度は40rpmとし、各
ターゲットをTe→Sb→Ag−In合金の順で30秒
間ずつスパッタした。各ターゲットをスパッタする際に
は、そのターゲットのスパッタを終了する10秒前に、
次にスパッタするターゲットのスパッタを開始する構成
とした。したがって、記録層の両端に存在する単位記録
層の形成を20秒間行い、混合層の形成を10秒間行
い、混合層に挟まれた単位記録層の形成を10秒間行っ
たことになる。2種のターゲットを同時にスパッタする
ことにより形成した領域は、トレーの回転速度が速いた
め積層構造にはならず、両ターゲットの構成元素が混じ
り合った混合層となる。
【0068】このほかは実施例1−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0069】実施例1−7 記録層の形成には、前記第3の方法を利用した。スパッ
タ装置には、円形ターゲットとディスクとが5cmの距離
を隔てて対向するチャンバを複数備えるものを使用し
た。ただし、記録層の形成には前記チャンバのうちの1
つだけを使用し、そのチャンバに、Sb、TeおよびA
g60原子%−In40原子%合金の3種によって扇状
に分割された円形ターゲットを装填した。このとき、S
b、TeおよびAg−In合金それぞれの面積は、記録
層の全体組成が実施例1−1と同じとなるように、スパ
ッタレートを考慮して設定した。そして、ディスクを3
rpmで自転させながらスパッタを行った。この方法で
は、実施例1−1と類似した作用により、3種の単位記
録層と、単位記録層間の混合層とが形成される。
【0070】このほかは実施例1−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0071】実施例1−8 記録層の形成には、前記第2の方法を利用した。スパッ
タ装置は、実施例1−7と同じものを使用した。ただ
し、記録層の形成には複数のチャンバのうちの5つを使
用し、各チャンバにそれぞれ単位記録層形成用ターゲッ
トまたは混合層形成用ターゲットを装填して順次スパッ
タを行い、5層構造の記録層を形成した。層構成は、基
体側から、Ag−In(単位記録層、厚さ1.15n
m)、Ag−In−Sb(混合層、厚さ2.3nm)、S
b(単位記録層、厚さ11.5nm)、Sb−Te(混合
層、厚さ2.3nm)、Te(単位記録層、厚さ5.75
nm)とした。記録層の全厚は、他の実施例と同じであ
る。
【0072】このほかは実施例1−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0073】比較例1−1 記録層形成の際にトレーの回転速度を30rpmとして、
各ターゲットの直下をディスクが15回通過するように
設定したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを作
製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2
に示す。なお、この比較例では、最も厚い単位記録層
(Sb層)の厚さが0.9nmとなる。このサンプルで
は、Sb層およびTe層が結晶質層とはならなかった。
【0074】比較例1−2 記録層形成の際にトレーの回転速度を20rpmとして、
各ターゲットの直下をディスクが10回通過するように
設定したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを作
製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2
に示す。なお、この比較例では、最も厚い単位記録層
(Sb層)の厚さが1.4nmとなる。このサンプルで
は、Sb層およびTe層が結晶質層とはならなかった。
【0075】比較例1−3 記録層形成の際には、実施例1−1と同じスパッタ装置
を使用した。ただし、ターゲットには、実施例1−1に
おける記録層の全体組成と同じ組成の合金ターゲットを
単独で使用し、トレーの回転速度を30rpmとしてター
ゲットの直下をディスクが15回通過するように設定し
た。
【0076】そのほかは実施例1−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0077】比較例1−4 2種のターゲットを同時にスパッタする時間を設けなか
ったほかは実施例1−6と同様にしてサンプルを作製し
た。このサンプルについては、初期化処理を行わず、記
録層形成直後から記録を行い、クロックジッタの測定を
行った。結果を表2に示す。
【0078】実施例2−1 ターゲットとしてSb、TeおよびGe−Te合金の3
種を使用し、記録層の全体組成がGe1Sb2Te4とな
るようにパワーを調整し、トレーの回転速度を4rpmと
して各ターゲットの直下をディスクが2回通過するよう
に設定したほかは実施例1−1と同様にしてサンプルを
作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表
2に示す。
【0079】比較例2−1 記録層形成の際にトレーの回転速度を30rpmとして、
各ターゲットの直下をディスクが15回通過するように
設定したほかは実施例2−1と同様にしてサンプルを作
製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結果を表2
に示す。なお、この比較例では、最も厚い単位記録層
(Te層)の厚さが0.7nmとなる。このサンプルで
は、Sb層およびTe層が結晶質層とはならなかった。
【0080】比較例2−2 記録層形成の際には、実施例2−1と同じスパッタ装置
を使用した。ただし、ターゲットには、実施例2−1に
おける記録層の全体組成と同じ組成の合金ターゲットを
単独で使用し、トレーの回転速度を30rpmとしてター
ゲットの直下をディスクが15回通過するように設定し
た。
【0081】そのほかは実施例2−1と同様にしてサン
プルを作製し、実施例1−1と同様な測定を行った。結
果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表2から、本発明により記録層の結晶化温
度が著しく低下することがわかる。バルクイレーザーを
用いた場合、パワーを高くすることなく線速度を速くす
ることができるので、初期化処理の高速化が可能であ
る。
【0084】なお、表2に示す結晶化温度は、等速昇温
による測定結果であるため、等温保持した場合について
も実験を行った。その結果、実施例1−3、1−4、1
−5、1−6、1−7、1−8、2−1については、1
10℃で等温保持することによってポリカーボネート基
体にダメージを与えずに記録層を全面結晶化でき、高価
なバルクイレーザーを用いる必要がないことが確認でき
た。
【0085】また、平均結晶粒径が18nmを超えるサン
プルでは、結晶化温度の低下が実質的に認められないこ
とがわかる。
【0086】また、表2から、実施例のサンプルでは初
期化直後からクロックジッタが低く、かつオーバーライ
トの繰り返しに伴うクロックジッタ変動がほとんど認め
られないことがわかる。これに対し混合層を設けていな
い比較例1−4では、2回目のオーバーライト後に測定
したクロックジッタが著しく大きくなってしまってい
る。
【0087】なお、上記各実施例のサンプルでは、初期
化後に80℃、80%RHの条件下で100時間保存し
た後もクロックジッタの増大は認められず、信頼性に問
題がないことも確認できた。
【0088】以上の結果から、本発明の効果が明らかで
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたスパッタ装置の主要部を示す平
面図である。
【符号の説明】
2 ディスク 3 トレー 4 ターゲット

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に記録層を有し、この記録層中
    に、複数種の単位記録層が存在し、隣り合う2種の単位
    記録層の間に、これら両単位記録層の構成元素を共に含
    有する混合層が存在し、前記2種の単位記録層の少なく
    とも一方が結晶質層であり、記録層全体の組成が相変化
    型記録材料のものである光記録媒体。
  2. 【請求項2】 単位記録層の少なくとも1種が結晶質層
    として形成され、この単位記録層に接する混合層が非晶
    質層として形成されたものである請求項1の光記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 記録層を加熱して結晶化した後、記録層
    の未記録部における平均結晶粒径が3〜18nmである請
    求項1または2の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録層が、Ag、In、Sbおよび
    Teを主成分とする請求項1〜3のいずれかの光記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記記録層が、Ge、SbおよびTeを
    主成分とする請求項1〜3のいずれかの光記録媒体。
  6. 【請求項6】 複数種のターゲットをスパッタすること
    により基体上に記録層を形成するに際し、 前記複数種のターゲットのうちの2種をそれぞれ第1お
    よび第2のターゲットとしたとき、第1のターゲットを
    単独でスパッタする工程と第2のターゲットを単独でス
    パッタする工程との間に、第1および第2のターゲット
    を同時にスパッタする工程を設け、 形成された記録層全体をすべて足し合わせた組成が相変
    化型記録材料のものとなるように、各ターゲットの組成
    および投入パワーを制御する光記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 複数種のターゲットをスパッタすること
    により基体上に記録層を形成するに際し、 前記複数種のターゲットのうちの3種をそれぞれ第1、
    第2および第3のターゲットとしたとき、第2のターゲ
    ットが、第1のターゲットの構成元素と第3のターゲッ
    トの構成元素とを共に含有し、第1、第2、第3のター
    ゲットの順にそれぞれ単独でスパッタを行う工程を設
    け、 形成された記録層全体をすべて足し合わせた組成が相変
    化型記録材料のものとなるように、各ターゲットの組成
    および投入パワーを制御する光記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 複数種のターゲットをスパッタすること
    により基体上に記録層を形成するに際し、 前記複数種のターゲットを同時にスパッタしながら、前
    記複数種のターゲットと順次対向するように前記基体を
    移動させる工程を設け、 形成された記録層全体をすべて足し合わせた組成が相変
    化型記録材料のものとなるように、各ターゲットの組成
    および投入パワーを制御する光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記記録層を形成した後、記録層を加熱
    して結晶化する初期化処理を施す請求項6〜8のいずれ
    かの光記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれかの光記録媒体
    が製造される請求項6〜9のいずれかの光記録媒体の製
    造方法。
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