JP2000294303A - 光電変換素子および光電気化学電池 - Google Patents

光電変換素子および光電気化学電池

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JP2000294303A
JP2000294303A JP11096201A JP9620199A JP2000294303A JP 2000294303 A JP2000294303 A JP 2000294303A JP 11096201 A JP11096201 A JP 11096201A JP 9620199 A JP9620199 A JP 9620199A JP 2000294303 A JP2000294303 A JP 2000294303A
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group
formula
dye
carbon atoms
ring
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JP11096201A
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Katsu Kobayashi
克 小林
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光電変換効率を有する有機色素を用いた
色素増感光電変換素子および光電気化学電池を提供す
る。 【解決手段】 下記式(I)で表されるメチン色素の少
なくとも一種によって増感された半導体微粒子を用いた
光電変換素子。 【化25】 [式(I)中、Z1は5もしくは6員の含窒素複素環を
完成するために必要な原子群または結合を表す。Z2
ベンゼン環と縮環して、5または6員の複素環を形成す
るために必要な原子群を表す。Z2によって形成される
複素環はベンゼン環上の何れの位置で縮環しても良く、
2は置換されていても、さらに縮環されていても良
い。Qは式(I)で表される化合物がメチン色素を形成
するのに必要な基を表す。R1は置換もしくは無置換の
アルキル基、アリール基または複素環基を表す。L1
よびL2は、それぞれ置換または無置換のメチン基を表
す。pは0または1を表す。Mは電荷均衡対イオンを表
し、mは分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以
下の数を表す。V1は置換基を表し、nは0、1または2
を表す。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光電変換素子に関
し、詳しくは色素で増感された半導体微粒子を用いた光
電変換素子に関する。更には、これを用いた光電気化学
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種の光センサー、複写
機、光発電装置に用いられている。光電変換素子には金
属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素
を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなど
の様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4927721号、468453
7号、5084365号、5350644号、5463
057号、5525440号、および特開平7−249
790号明細書には、色素によって増感された半導体微
粒子を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変換素
子と略す)、もしくはこれを作成するための材料および
製造技術が開示されている。この方式の第一の利点は二
酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製する
ことなく用いることができるため、比較的安価な光電変
換素子を提供できる点にある。第二の利点は用いられる
色素の吸収がブロードなため、広い波長領域の可視光を
電気に変換できることである。これらの特徴は太陽エネ
ルギーを電気に変換することを目的とした光電変換素子
に応用する際に有利であることから、この方面への応用
が活発に検討されている。
【0004】色素増感光電変換素子の改良が求められる
点の一つに増感色素として高価なルテニウム錯体色素を
用いることが挙げられる。安価な有機色素によって増感
される光電変換素子の開発が望まれていたが、増感効率
はまだ満足いくレベルではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
変換効率を有する色素増感光電変換素子および光電気化
学電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明を特
定する下記の事項およびその好ましい態様により達成さ
れた。 (1) 下記式(I)で表されるメチン色素の少なくと
も一種によって増感された半導体微粒子を用いた光電変
換素子。
【0007】
【化4】
【0008】[式(I)中、Z1は5もしくは6員の含
窒素複素環を完成するために必要な原子群または結合を
表す。Z2はベンゼン環と縮環して、5または6員の複
素環を形成するために必要な原子群を表す。Z2によっ
て形成される複素環はベンゼン環上の何れの位置で縮環
しても良く、Z2は置換されていても、さらに縮環され
ていても良い。Qは式(I)で表される化合物がメチン
色素を形成するのに必要な基を表す。R1は置換もしく
は無置換のアルキル基、アリール基または複素環基を表
す。L1およびL2は、それぞれ置換または無置換のメチ
ン基を表す。pは0または1を表す。Mは電荷均衡対イ
オンを表し、mは分子の電荷を中和するのに必要な0以
上10以下の数を表す。V1は置換基を表し、nは0、1
または2を表す。] (2) 式(I)中のZ2がフラン環、チオフェン環ま
たはピロール環である上記(1)の光電変換素子。 (3) 式(I)で表される化合物が下記式(II)また
は(III)で表される化合物である上記(1)の光電変
換素子。
【0009】
【化5】
【0010】[式(II)中、X1は酸素原子または硫黄
原子を表し、Z3は、5もしくは6員の含窒素複素環を
完成するために必要な原子群または結合を表す。V2
よびV3は、それぞれ水素原子または置換基を表し、
2、V3は互いに結合して縮合環を形成していても良
い。R1、L1、L2、p、Q、M、m、V1およびnは式
(I)と同義である。] 式(III)
【0011】
【化6】
【0012】[式(III)中、X2はN−R4を表し、R4
は水素原子または置換基を表す。Z4は、5もしくは6
員の含窒素複素環を完成するために必要な、硫黄原子を
含まない原子群または結合を表す。R1、L1、L2、p、
Q、M、m、V1およびnは式(I)と同義であり、V2
およびV3は式(II)と同義である。] (4) 前記半導体微粒子が二酸化チタンである上記
(1)〜(3)のいずれかの光電変換素子。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかの光電変換素子
を用いた光電気化学電池。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、色素により増感された
半導体微粒子を用いた光電変換素子において、増感色素
が式(I)で表されるメチン色素であることを特徴とす
る。式(I)の色素は、式(II)または式(III)で表さ
れることが好ましく、更に好ましくは式(II)で表され
る色素である。
【0014】また、式(I)中のZ2はベンゼン環と縮環
して、5または6員の複素環を形成するために必要な原
子群を表すが、Z2によって形成される複素環はベンゼ
ン環上の何れの位置で縮環しても良い。従って、式
(I)は下記式(IV)、(V)および(VI)の何れかで
表すことができる。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】式(IV)、(V)および(VI)のうち、好
ましくは式(V)である。
【0019】以下に本発明で用いられる式(I)(下位
概念の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)を
含む)で表される化合物について詳細に説明する。
【0020】式(I)のQの構造に応じて、いかなるメ
チン色素を形成することも可能であるが、好ましくはシ
アニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3
核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン
色素、スチリル色素などが挙げられる。これらの色素の
詳細については、エフ・エム・ハーマー(F. M. Harme
r)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニン
ダイズ・アンド・リレイテイド・コンパウンズ(Hetero
cyclic Compounds - Cyanine Dyes and RelatedCompoun
ds)」、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wil
ey & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年
刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテ
ロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピック
ス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Hetero
cyclic Compouds - Special Topicsin Heterocyclic Ch
emistry)」、第18章、第14節、482から515
頁、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ(John Wiley &
Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、
などに記載されている。
【0021】シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシ
アニン色素の式は、米国特許第5、340、694号第
21、22頁の(XI),(XII),(XIII)に
示されているものが好ましい。
【0022】また、式(I)、(II)、(III)におい
て、Qによりシアニン色素が形成される場合などは下記
のような共鳴式で表現することも可能である。
【0023】
【化10】
【0024】Qにおけるメチン基の数は、好ましくは0
ないし7、更に好ましくは0ないし5、特に好ましくは
3である。ここでQは上述(シアニン色素、メロシアニ
ン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、ア
ロポーラー色素、ヘミシアニン色素、およびスチリル色
素等)の色素を形成するもので有ればメチン基の数は0
であっても良いものとする(例えばシンプルメロシアニ
ンが挙げられる)。メチン基にはメチン色素を形成する
のに必要な置換基(複素環基、脂肪族基、または芳香族
基)が置換することが好ましく、好ましい置換基として
は複素環基または芳香族基が挙げられ、特に好ましくは
複素環基である。
【0025】芳香族基としては置換または無置換の芳香
族基(例えば、4ージメチルアミノフェニル基、4−メ
トキシフェニル基、フェニル基、4ージメチルアミノナ
フチル基)などが挙げられる。
【0026】脂肪族基としては、アルコキシカルボニル
基(例えばエトキシカルボニル基)、アシル基(例えば
アセチル基)、が好ましい。また、その他前述のVで示
した置換基などが挙げられ、例えば、置換または無置換
のアミノ基(例えば、アミノ基、ジメチルアミノ基)、
シアノ基、アルコキシカルボニル基(例えばエトキシカ
ルボニル)、置換または無置換のアルキルスルフォニル
基(例えばメチルスルフォニル基)、置換または無置換
のアシル基(例えばアセチル基)が好ましい。
【0027】式(I)のZ1、および式(II)のZ3は、
それぞれ5もしくは6員の含窒素複素環を完成するのに
必要な原子群または結合を表す。結合は、通常、単結合
であるが、共鳴構造によっては二重結合となっても構わ
ない。Z1およびZ3により形成される含窒素複素環は置
換基を有していてもよく、具体的にはチアゾリン核、チ
アゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、セレナ
ゾリン核、セレナゾール核、テルラゾール核、イソオキ
サゾール核、イソチアゾール核、3,3−ジアルキル−
3H−ピロール核(例えば3、3−ジメチル−3H−ピ
ロール核)、ピラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾ
ール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、ピリダジン
核、ピラジン核、ピリミジン核などを挙げることができ
る。これらの中で、好ましくは、チアゾール核、オキサ
ゾール核、セレナゾール核、3,3−ジアルキル−3H
−ピロール核(例えば3、3−ジメチル−3H−ピロー
ル核)、イミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジ
ン核であり、特に好ましくは、チアゾール核、オキサゾ
ール核、イミダゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジ
ン核である。
【0028】式(III)のZ4が形成する複素環として
は、イミダゾール、オキサゾール、ピリジンなどが挙げ
られ、好ましくはイミダゾール、オキサゾールであり、
特に好ましくはオキサゾールである。
【0029】Z1、Z3、およびZ4上の置換基としては
特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、(例えば塩
素、臭素、沃素、フッ素)、メルカプト基、シアノ基、
カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、
炭素数1から10、好ましくは炭素数2から8、更に好
ましくは炭素数2から5のカルバモイル基(例えばメチ
ルカルバモイル、エチルカルバモイル、モルホリノカロ
ボニル)、炭素数0から10、好ましくは炭素数2から
8、更に好ましくは炭素数2から5のスルファモイル基
(例えばメチルスルファモイル、エチルスルファモイ
ル、ピペリジノスルフォニル)、ニトロ基、炭素数1か
ら20、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは
炭素数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エト
キシ、2−メトキシエトキシ、2−フェニルエトキ
シ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から1
2、更に好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ
基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−ク
ロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1から20、好
ましくは炭素数2から12、更に好ましくは炭素数2か
ら8のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル、トリク
ロロアセチル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数
2から12、更に好ましくは炭素数2から8のアシルオ
キシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、
炭素数1から20、好ましくは炭素数2から12、更に
好ましくは炭素数2から8のアシルアミノ基(例えばア
セチルアミノ)、炭素数1から20、好ましくは炭素数
1から10、更に好ましくは炭素数1から8のスルホニ
ル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ベ
ンゼンスルホニル)、炭素数1から20、好ましくは炭
素数1から10、更に好ましくは炭素数1から8のスル
フィニル基(例えばメタンスルフィニル、エタンスルフ
ィニル、ベンゼンスルフィニル)、炭素数1から20、
好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素数1
から8のスルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニル
アミノ、エタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニル
アミノ)、アミノ基、炭素数1から20、好ましくは炭
素数1から12、更に好ましくは炭素数1から8の置換
アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ベン
ジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ)、炭素数0
から15、好ましくは炭素数3から10、更に好ましく
は炭素数3から6のアンモニウム基(例えばトリメチル
アンモニウム、トリエチルアンモニウム)、炭素数0か
ら15、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは
炭素数1から6のヒドラジノ基(例えばトリメチルヒド
ラジノ基)、炭素数1から15、好ましくは炭素数1か
ら10、更に好ましくは炭素数1から6のウレイド基
(例えばウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基)、
炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に
好ましくは炭素数1から6のイミド基(例えばスクシン
イミド基)、炭素数1から20、好ましくは炭素数1か
ら12、更に好ましくは炭素数1から8のアルキルチオ
基(例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、
炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、更に
好ましくは炭素数6から10のアリールチオ基(例えば
フェニルチオ、p−メチルフェニルチオ、p−クロロフ
ェニルチオ、2−ピリジルチオ、ナフチルチオ)、炭素
数2から20、好ましくは炭素数2から12、更に好ま
しくは炭素数2から8のアルコキシカルボニル基(例え
ばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−ベン
ジルオキシカルボニル)、炭素数6から20、好ましく
は炭素数6から12、更に好ましくは炭素数6から10
のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボ
ニル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から1
0、更に好ましくは炭素数1から5の無置換アルキル基
(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数
1から18、好ましくは炭素数1から10、更に好まし
くは炭素数1から5の置換アルキル基{例えばヒドロキ
シメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシ
エチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメ
チル、またここでは炭素数2から18、好ましくは炭素
数3から10、更に好ましくは炭素数3から5の不飽和
炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基1−シクロヘ
キセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換
アルキル基に含まれることにする}、炭素数6から2
0、好ましくは炭素数6から15、更に好ましくは炭素
数6から10の置換または無置換のアリール基(例えば
フェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニ
トロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、p−シアノ
フェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、炭素
数1から20、好ましくは炭素数2から10、更に好ま
しくは炭素数4から6の置換または無置換のヘテロ環基
(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フ
リル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)が挙げら
れる。また、ベンゼン環やナフタレン環が縮合した構造
もとることができる。
【0030】さらに、これらの置換基上にさらに上記の
置換基を有していても良い。この置換基として好ましい
ものは上述のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、
ハロゲン原子、ベンゼン環縮合であり、更に好ましくは
メチル基、フェニル基、メトキシ基塩素原子、臭素原
子、沃素原子、およびベンゼン環縮合である。
【0031】Z2によって形成される複素環としては、
5または6員の複素環で有ればいかなるものでも良い
が、好ましくはフラン、ピラン、ジオキソール、ジオキ
ソラン、チオフェン、ジチオラン、ピペラジン、ピペラ
ジン、ピロール、ピロリン、チアジン、オキサジン、ピ
ラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、イミダ
ゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジ
ン、オキサゾール、チアゾール、モルホリン、クマロ
ン、クマリン、フェノキサチイン、キサンテン、などが
挙げられる。これらのヘテロ環は何れも還元体であるジ
ヒドロまたはテトラヒドロ体でも良く、オキソ置換され
ていても良い。また、さらに置換、あるいは芳香族環に
よって縮環されていても良い。Z2としてより好ましく
は、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ベンゾフラ
ン、ベンゾチオフェン、インドールであり、更に好まし
くはフラン環、ピロール環、ベンゾフラン、インドール
であり、特に好ましくはフラン環、ベンゾフランであ
る。
【0032】式(II)のX1は酸素原子、硫黄原子の何
れかを表し、好ましくは酸素原子である。
【0033】式(III)のX2はN−R4を表す。R4は水
素原子または置換基を表し、置換基としては、Z1の置
換基の説明で述べたものが挙げられる。R4としては好
ましくは水素原子、炭素数18以下の無置換アルキル基
(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル)および置換アルキル基(置換基として例えば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロ
キシ基、アシル基、アシルアミノ基、アリールオキシ
基、アリールアミノ基が置換したアルキル基)、炭素数
20以下の無置換アリール基(例えばフェニル、ナフチ
ル)および置換アリール基(置換基として例えば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロ
キシ基、アシル基、アシルアミノ基、アリールオキシ
基、アリールアミノ基が置換したアリール基)、炭素数
18以下の無置換複素環基(例えば、フラン、チオフェ
ン、ピロール基)または置換複素環基(置換基として例
えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シアノ基、スルホ
基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アリー
ルオキシ基、アリールアミノ基が置換した複素環基)、
アルコキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシ基、ア
シル基、アシルアミノ基、アリールオキシ基、またはア
リールアミノ基が挙げられる。更に好ましくは水素原
子、炭素数18以下の無置換アルキル基(例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル)および置換
アルキル基(置換基として例えば、ハロゲン原子、アル
コキシ基、シアノ基、スルホ基、ヒドロキシ基、アシル
基、アシルアミノ基、アリールオキシ基、アリールアミ
ノ基が置換したアルキル基)であり、特に好ましくはメ
チル、エチル、プロピル、ブチル、アルコキシアルキル
基、シアノアルキル基、スルホアルキル基、ヒドロキシ
アルキル基、カルボキシアルキル基、アミノアルキル基
である。
【0034】V1は置換基を表し、置換基としてはZ1
置換基の説明で述べたものが例としてが挙げられる。n
は0、1、または2を表し、n=2の時、複数のV1
同じでも異なっていても良く、互いに結合して縮合環を
形成しても良い。
【0035】式(II)および式(III)のV2およびV3
は、それぞれ水素原子または置換基を表し、置換基とし
てはZ1の置換基の説明で述べたものがあげられる。V2
とV 3を含む縮合環を形成していても良い。この場合、
2とV3を含む縮合環としては、芳香族環または複素環
が挙げられ、芳香族環としては、ベンゼン、ナフタレ
ン、アントラセン、が挙げられ、複素環としてはZ2
説明で挙げたものなどが挙げられる。V2とV3として好
ましくは水素原子、あるいはV2とV3を含む縮合環であ
る芳香族環または複素環である。
【0036】L1およびL2はそれぞれ独立にメチン基を
表す。pは0または1を表し、好ましくは0である。
1、およびL2で表されるメチン基は置換基を有してい
ても良く、置換基としては、例えば置換または無置換の
炭素数1から15、好ましくは炭素数1から10、特に
好ましくは炭素数1から5のアルキル基(例えば、メチ
ル、エチル、2−カルボキシエチル)、置換または無置
換の炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、
更に好ましくは炭素数6から10のアリール基(例えば
フェニル、o−カルボキシフェニル)、置換または無置
換の炭素数3から20、好ましくは炭素数4から15、
更に好ましくは炭素数6から10の複素環基(例えば
N,N−ジメチルバルビツール酸基)、ハロゲン原子、
(例えば塩素、臭素、沃素、フッ素)、炭素数1から1
5、好ましくは炭素数1から10、更に好ましくは炭素
数1から5のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキ
シ)、炭素数0から15、好ましくは炭素数2から1
0、更に好ましくは炭素数4から10のアミノ基(例え
ばメチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−メチル
−N−フェニルアミノ、N−メチルピペラジノ)、炭素
数1から15、好ましくは炭素数1から10、更に好ま
しくは炭素数1から5のアルキルチオ基(例えばメチル
チオ、エチルチオ、)、炭素数6から20、好ましくは
炭素数6から12、更に好ましくは炭素数6から10の
アリールチオ基(例えばフェニルチオ、p−メチルフェ
ニルチオ)などが挙げられる。また他のメチン基と環を
形成してもよく、もしくは助色団環を形成することもで
きる。
【0037】R1はアリール基または複素環基が置換し
たアルキル基、アリール基、または複素環基を表す。R
1は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無
置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環
基を表し、置換基としては、Z1の置換基の説明で示し
たものが挙げられる。アルキル基としては例えば、炭素
数1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1
から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシ
ル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、アラルキル
基(例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、ナフチル
メチル、2−(4−ビフェニル)エチル)、不飽和炭化
水素基(例えば、アリル、クロチル)、ヒドロキシアル
キル基(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキ
シプロピル)、アルコキシアルキル基(例えば、2−メ
トキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチ
ル)、アリーロキシアルキル基(例えば、2−フェノキ
シエチル、2−(1−ナフトキシ)エチル、2−(4−
ビフェニロキシ)エチル、2−(o,m,p−ハロフェ
ノキシ)エチル、2−(o,m,p−メトキシフェノキ
シ)エチル)、アルコキシカルボニルアルキル基(例え
ば、エトキシカルボニルエチル、2−ベンジロキシカル
ボニルエチル)、アリーロキシカルボニルアルキル基
(3−フェノキシカルボニルプロピル、2−(1−ナフ
トキシカルボニル)エチル)、アシルオキシアルキル基
(例えば、2−アセチルオキシエチル)、アシルアルキ
ル基(2−アセチルエチル)、カルバモイルアルキル基
(例えば、2−モルホリノカルボニルエチル)、スルフ
ァモイルアルキル基(例えば、N,N−ジメチルスルフ
ァモイルメチル)、複素環置換アルキル基(例えば、2
−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル)などが
挙げられる。
【0038】Mは分子のイオン電荷を中性にするために
必要であるとき、陽イオンまたは陰イオンの存在を示す
ために式中に含まれている。典型的な陽イオンとして
は、水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(ナトリ
ウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アル
カリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの
無機イオン、アンモニウムイオン(例えばアンモニウム
イオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニ
ウムイオン、エチルピリジニウムイオン)などの有機イ
オンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンまたは有機
陰イオンのいずれであっても良くハロゲン陰イオン(例
えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオ
ン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トル
エンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸
イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3
−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジ
スルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イ
オン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオ
ン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオ
ン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、
酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙
げられる。さらにイオン性ポリマーまたは分子と逆電荷
を有する分子を用いても良い。mは電荷を均衡させるの
に必要な数を表し、分子内で塩を形成する場合に0であ
る。
【0039】以下に本発明の式(I)(下位概念の式
(II)および(III)を含む)で表される化合物の具体
例を示すが、これにより本発明が制限されるわけではな
い。
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
【化17】
【0047】
【化18】
【0048】
【化19】
【0049】
【化20】
【0050】
【化21】
【0051】
【化22】
【0052】本発明の式(I)で表される化合物は、エ
フ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリッ
ク・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィテ
ィド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine
Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・
アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨー
ク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー
(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ
ースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック
・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topi
cs in heterocyclicchemistry)」、第18章、第14
節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド
・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロン
ドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・
カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon
Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15
章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・
パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Pu
blishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特許
第1、077、611号などに記載の方法に基づいて合
成することができる。
【0053】以下に合成例を示す。 <合成例1>化合物(S−41)の合成 化合物(S−41)の合成の全行程を下記スキーム1に
示した。
【0054】
【化23】
【0055】1.化合物(I−1−e)の合成 300ml三つ口フラスコに5−フルオロ−2−ニトロ
フェノール10gを入れ、DMF70mlを加え、溶解
させた。次に、反応液に炭酸カリウム10gおよび臭化
ベンジル10.8gを加え、室温で3時間撹拌した。水
500mlを加え、酢酸エチル500mlで抽出した。
有機相を分離し、水200mlで2回洗浄したのち、飽
和食塩水100mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
し、濾過し、減圧下溶媒留去した。得られた化合物(I
−1−e)の粗結晶をメタノールから再結晶することに
より、化合物(I−1−e)を7.0g(収率64%)
得た。
【0056】2.化合物(I−1−d)の合成 窒素気流下、300ml三つ口フラスコに水素化ナトリ
ウム6.4gを入れ、トルエン10mlで2回洗浄した
のち、DMSO300mlを加え、o−ブロモフェノー
ル23.1gを加え外温80度で20分撹拌した。室温
まで冷却したのち、化合物(I−1−e)33.0gを
加え、室温で25時間撹拌した。反応液に飽和塩化アン
モニウム水溶液100mlと蒸留水500mlを加え、
ジクロロメタン600mlで抽出した。有機相を蒸留水
500ml、飽和食塩水200mlで順次洗浄した。有
機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、
メタノールでたき洗いし、冷却後濾過することにより、
化合物(I−1−d)34.5g(収率65%、融点7
2℃)を得た。
【0057】3.化合物(I−1−c)の合成 窒素気流下、磁気撹拌子を入れた300ml茄子フラス
コに化合物(I−1−d)10.0gを入れ、ジメチル
アセトアミド150mlとアセトニトリル50mlを加
え撹拌した後、炭酸ナトリウム5.0g、酢酸パラジウ
ム2.5g、およびトリフェニルフォスフィン11.6
gを順次加え、外温170度に加熱し、この温度で4時
間撹拌した。その後、蒸留水500mlを加え、酢酸エ
チル500mlで抽出し、蒸留水300ml、飽和食塩
水100mlで順次洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を減圧留去した。次にこれにアセトニトリルを加え
溶解させ、ごみ取り濾過をし、1N水酸化ナトリウム水
溶液を30ml加えると結晶が析出してきた。これを濾
取し、アセトニトリルに溶解させることろからこの操作
をも一度繰り返す。得られた結晶を減圧乾燥することで
化合物(I−1−c)1.9g(収率24%)を得た。
【0058】4.化合物(I−1−b)の合成 窒素気流下、磁気撹拌子を入れた300ml茄子フラス
コに化合物(I−1−c)1.9gを入れ、アセトニト
リル150mlを加え撹拌した後、ヨウ化トリメチルシ
リル2.5mlを加え、外温50度で1時間撹拌後、ヨ
ウ化トリメチルシリル2.0mlを加え、この温度で更
に2時間撹拌した。冷却後、硫酸を加え酸性にし、ジク
ロロメタンで抽出し、飽和食塩水で順次洗い、硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(SiO2:100g,溶媒:ヘキサン/
酢酸エチル=100〜20)で精製することにより、化
合物(I−1−b)0.95g(収率70%、融点15
9℃)を得た。
【0059】5.化合物(I−1)の合成 磁気撹拌子を入れた200ml茄子フラスコに化合物
(I−1−b)0.9gを入れ、これに、亜二チオン酸
ナトリウム1.5g、水10ml、エタノール6ml、
1N水酸化ナトリウム水溶液12mlを順次加え、外温
80度で30分加熱したのち、冷却し、ごみ取り濾過し
た後、硫酸を加えpH〜6に調節した。析出してきた結
晶を濾取し、減圧乾燥することにより、化合物(I−1
−a)を得た。得られた化合物(I−1−a)を磁気撹
拌子を入れた200ml茄子フラスコに入れ、オルト酢
酸トリエチル5mlとエタノール40mlを加え、外温
110℃で2.5時間撹拌後、溶媒を減圧留去した後、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー( SiO2:100g,溶
媒:ヘキサン/酢酸エチル=7)で精製することによ
り、化合物(I−1)400mg(化合物(I−1−
b)から収率46%)を得た。融点124℃、1H-NMR d
(DMSO-d6, 300MHz) 2.69(3H, s, Me), 7.43(1H, t,J 8.
2Hz), 7.53(1H, dt, J 1.4Hz, 8.2Hz), 7.71(1H, d, J
8.2Hz), 8.05(1H,s), 8.22(1H, d, J 8.2Hz), 8.41(1H,
s)。
【0060】6.化合物(II−1)の合成 化合物(I−1)0.3gとプロパンサルトン0.5g
を混ぜ、150℃で3時間撹拌した。冷却後、酢酸エチ
ル100mlを加え室温で2時間撹拌し、結晶を濾取乾
燥することにより化合物(II−1)0.44g(収率
95%;融点283℃)を得た。
【0061】7.化合物(S−41)の合成 化合物(II−1)0.44g、トリエチルオルトプロ
ピオン酸1.5ml、ピリジン1.5ml、酢酸0.6
ml、さらにトリエチルアミン0.7mlを混ぜ、15
0℃で20分間撹拌した。冷却後、酢酸エチル50ml
を加え、室温で30分間撹拌し、結晶を濾過し、得られ
た結晶をアセトンを加え30分煮沸し、冷却後、濾過
し、結晶を減圧乾燥することにより、化合物(S−4
1)0.33g(収率63%)を得た。 (λMAX:520nm,ε:1.0×105,融点269
℃)
【0062】次に本発明のメチン色素を用いた色素増感
光電変換素子および光電気化学電池について詳しく説明
する。
【0063】本発明において色素増感した光電変換素子
は導電性支持体、導電性支持体上に設置される色素等に
より増感した半導体膜(感光層)、電荷移動層および対
極からなる。この光電変換素子を外部回路で仕事をさせ
る電池用途に使用できるようにしたものを、ここでは光
電気化学電池と呼ぶ。感光層は目的に応じて設計され、
単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は
色素等を励起する。励起された色素等はエネルギーの高
い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒
子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体
に到達する。この時色素等の分子は酸化体となってい
る。光電気化学電池においては導電性支持体上の電子が
外部回路で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て
色素等の酸化体に戻り、色素等が再生する。半導体膜は
この電池の負極として働く。なお、本発明ではそれぞれ
の層の境界において(例えば、導電性支持体の導電層と
感光層の境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層
と対極の境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散
して混合していてもよい。
【0064】本発明において、半導体はいわゆる感光体
であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ず
る役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およ
びこれによる電子および正孔の発生は主として色素にお
いて起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役
割を担う。
【0065】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムの
ような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば
酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる
化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物
等を使用することができる。金属のカルコゲニドとして
好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジ
ルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウ
ム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、
ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜
鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウ
ム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げ
られる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、イ
ンジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅
−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等
が挙げられる。
【0066】また、ペロブスカイト構造を有する化合物
として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カ
ルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニ
オブ酸カリウムが挙げられる。
【0067】本発明に用いられる半導体としてより好ま
しくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、Zn
O、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、I
nP、GaAs、CuInS2、CuInSe2が挙げられる。さらに好ま
しくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、Pb
S、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2であり、特に好
ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2
である。
【0068】本発明に用いられる半導体は、単結晶で
も、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好まし
いが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバック
タイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートル
からマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好まし
い。
【0069】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積
を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子
として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜1
00nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体
微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜10
0μmであることが好ましい。
【0070】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異な
る微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒
子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。ま
た、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、
粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子
を混合してもよい。
【0071】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾ
ルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術
情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012
頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好
ましい。
【0072】またDegussa社が開発した塩化物を
酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法
も好ましい。
【0073】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル
法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解
法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン
物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫
酸法、塩素法を用いることもできる。
【0074】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法の
うち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、31
57ページから3171ページ(1997)」記載のも
のと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第
10巻 第9号、2419ページから2425ページ」
記載の方法が好ましい。
【0075】導電性支持体は、金属のように支持体その
ものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む
導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチッ
クの支持体を使用することができる。後者の場合好まし
い導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは
導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸
化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上
記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm程度であるこ
とが好ましい。
【0076】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であ
り、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下限
には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度であ
る。
【0077】導電性支持体は実質的に透明であることが
好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%
以上であることを意味し、50%以上であることが好ま
しく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体と
してはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化
物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドー
ピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソー
ダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導
電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシ
ブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマー
フィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。
透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),
ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチ
ックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレ
ート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエス
テルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
I)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等があ
る。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側
から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属
酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体
1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0078】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属
リードを用いることが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リード
は透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上
にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からな
る透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明
導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リ
ードを設置することも好ましい。金属リード設置による
入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%
である。
【0079】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する
方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶
液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル
法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や
支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較
的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印
刷法が代表的である。
【0080】半導体微粒子の分散液を作成する方法とし
ては前述のゾル-ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミ
ルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体
を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま
使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または
各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセ
トニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、
必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレ
ート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0081】さらに、半導体微粒子含有層は単層と限定
する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗
布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、
あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多
層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の
場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクス
トルージョン法またはスライドホッパー法が適してい
る。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても
良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに
順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用
できる。
【0082】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在する
が、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学
電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ま
しく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体
微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400
g、さらには5〜100gが好ましい。
【0083】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後
に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗
膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加
熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは1
00℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は1
0分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点
や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持
体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観
点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化
は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や
鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0084】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を
増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から
半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水
溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0085】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積
は、投影面積に対して10倍以上であることが好まし
く、さらに100倍以上であることが好ましい。この上
限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0086】半導体微粒子に色素を吸着させるには色素
溶液の中によく乾燥した半導体微粒子を長時間浸漬する
方法が一般的である。色素溶液は必要に応じて50℃な
いし100℃に加熱してもよい。色素の吸着は半導体微
粒子の塗布前に行っても塗布後に行ってもよい。また、
半導体微粒子と色素を同時に塗布して吸着させても良
い。未吸着の色素は洗浄によって除去する。塗布膜の焼
成を行う場合は色素の吸着は焼成後に行うことが好まし
い。焼成後、塗布膜表面に水が吸着する前にすばやく色
素を吸着させるのが特に好ましい。吸着する色素は1種
類でもよいし、数種混合して用いてもよい。混合する場
合、本発明のメチン色素同士を混合してもよいし、錯体
色素(たとえばルテニウム錯体色素やフタロシアニン系
色素)と本発明の色素を混合してもよい。用途が光電気
化学電池である場合、光電変換の波長域をできるだけ広
くするように混合する色素を選ぶことができる。
【0087】また、会合など色素同士の相互作用を低減
する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着
させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するス
テロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
【0088】本発明における半導体微粒子層に対する色
素吸着量は、色素の総量として塗布膜の平米あたり0.01
〜100mmolであることが好ましく、より好ましくは平米
あたり0.1〜50mmol、さらに好ましくは平米あたり0.5〜
20mmolである。
【0089】色素を吸着した後にアミン類を用いて半導
体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類と
してはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリ
ビニルピリジン等が挙げられる。これらは液体の場合は
そのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよ
い。
【0090】以下、電荷移動層と対極について詳しく説
明する。電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機
能を有する層である。本発明で用いることのできる代表
的な電荷移動層の例としては酸化還元対を有機溶媒に溶
解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解し
た液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電
解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。
さらには固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いる
こともできる。
【0091】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、
および添加物から構成されることが好ましい。本発明の
電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としては
LiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨ
ウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイ
ド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイ
ドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br
2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、N
aBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化
物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、
ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の
臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン
酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯
体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキル
ジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒ
ドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中
でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリ
ウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩
を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した
電解質は混合して用いてもよい。また、電解質はEP-718
288号、WO95/18456号、J. Electrochem. Soc., Vol.14
3,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178
に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用する
こともできる。溶融塩を電解質として使用する場合、溶
媒は使用しなくても構わない。
【0092】好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以
下であり、さらに好ましくは0.2 M以上10M以下であ
る。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨ
ウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0093】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が
低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く
有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝
導性を発現できる化合物であることが望ましい。このよ
うな溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−
2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレン
グリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコール
ジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエー
テルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、
エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレン
グリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
モノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多
価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリ
ル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベン
ゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキ
シド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物
質、水などを用いることができる。
【0094】本発明では、電解質はポリマー添加、オイ
ルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマ
ーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使
用することもできる。
【0095】本発明では、電解質の替わりに有機または
無機あるいはこの両者を組み合わせた正孔輸送材料を使
用することもできる。
【0096】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの
方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体
微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その
間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1
つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する
方法で、対極はその後付与することになる。
【0097】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法と
して、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと
常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロ
セスが利用できる。
【0098】後者の場合、湿式の電荷移動層においては
未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置
も施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗
布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その
場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもで
きる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質
を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の
付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアー
ナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー
法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト
法、各種印刷法等が考えられる。固体電解質や固体の正
孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法
等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極
を付与することもできる。
【0099】対極は、光電変換素子を光電気化学電池と
したとき、光電気化学電池の正極として働くものであ
る。対極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を
有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が
十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要で
ない。具体的に対極に用いる導電性の材料としては金属
(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、
インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(イ
ンジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープ
したもの等)が挙げられる。対極の厚さは、特に制限は
ないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。
金属材料である場合は、その膜厚は好ましくは5μm以
下であり、さらに好ましくは5nm以上3μm以下の範囲
である。
【0100】感光層に光が到達するためには、前述の導
電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でな
ければならない。本発明の光電気化学電池においては、
導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射
させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質
を有することがさらに好ましい。本発明において対極と
しては金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまた
はプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0101】対極の塗設については電荷移動層の付与で
記したように、電荷移動層の上に付与する場合と先に半
導体微粒子含有層上に付与する場合の2通りある。いず
れの場合も、対極材の種類や電荷移動層の種類により、
適宜、電荷移動層上または半導体微粒子含有層上に対極
材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法に
より形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合
は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法に
より導電層として設けられた基板を貼り合わせることが
できる。また、電荷移動層が固体の場合には、その上に
直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CV
D等の手法で対極を形成することができる。
【0102】さらに、作用電極の導電性支持体または対
極に保護層、反射防止膜など、必要な他の機能の層を設
けることも可能である。このような層を多層にて機能分
離させる場合、同時多層塗布や逐次で塗布することが可
能であるが、生産性を優先させると同時多層塗布がより
好ましい。同時多層塗布では、生産性および膜付与均一
性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージ
ョン法が適している。また、これらの機能層はその材料
により、蒸着や貼り付けなどの手法を用いて設けること
もできる。
【0103】本発明の光電気化学電池では構成物の劣化
や内容物の揮散を防止するために電池の側面をポリマー
や接着剤等で密封するのが好ましい。
【0104】
【実施例】以下に本発明について比較例とともに実施例
によって具体的に説明するが本発明はこれらに限定され
ない。比較例に用いた色素は、下記のものである。
【0105】
【化24】
【0106】1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのス
テンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社
Degussa P−25)15g、水45g、分散
剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1
g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社
製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメッ
クス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散し
た。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。
【0107】2.色素吸着二酸化チタン電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性
ガラス(旭硝子製 TCOガラスを20mmX20mm
の大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を
用いて上記の分散液を塗布した。この際導電面側の一部
(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーと
し、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度
に8枚づつ塗布した。塗布後、室温にて1日間風乾し、
粘着テープを剥した。(粘着テープのついていた部分は
光電変換測定の際、計測器と電気的な接触をとるために
利用される)次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製
マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分
間焼成した。ガラスを取り出し冷却した後、表1に示す
本発明および比較用の色素のエタノール溶液(3×10
-4モル/リットル)に3時間浸漬した。色素の染着した
ガラスを4−tert−ブチルピリジンの10%エタノ
ール溶液に30分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自
然乾燥させた。
【0108】3.光電気化学電池の作製 上記の光電変換素子をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラ
スと重ねあわせた(光電変換素子の未塗布部分を白金蒸
着ガラスに接触させないようにずらしてある)。次に、
両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセト
ニトリルとN−メチル−2−オキサゾリジノンの体積比
90対10の混合物を溶媒とした沃素0.05モル/リ
ットル、沃化リチウム0.5モル/リットルの溶液)を
染み込ませ、表1に示す光電気化学電池を得た。本実施
例により、図1に示したとおり、導電性ガラス1(ガラ
ス上に導電剤層2が設層されたもの)、TiO2層3、
色素層4、電解液5、白金層6およびガラス7を順に積
層し、エポキシ系封止剤で封止された光電気化学電池が
作製された。
【0109】4.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光をAM.5
Gフィルター(Oriel社製)およびシャープカット
フィルター(KenkoL−42)を通すことにより紫
外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度
は50mW/cm2であった。本発明および比較例の光
電気化学電池にこの光を照射し、発生した電気を電流電
圧測定装置(ケースレー238型)にて測定した。これ
により求められた光電気化学電池の開放電圧、短絡電
流、形状因子(フィルファクター)、および光電変換効
率を表1にまとめた。
【0110】
【表1】
【0111】本発明の光電気化学電池は、従来色素を用
いた電池よりも高い光電変換効率を示した。
【0112】
【発明の効果】本発明により、高い光電変換効率を有す
る有機色素を用いた色素増感光電変換素子および光電気
化学電池が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作成した光電気化学電池の構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 導電性ガラス 2 導電剤層 3 TiO2層 4 色素層 5 電解液 6 白金層 7 ガラス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で表されるメチン色素の少
    なくとも一種によって増感された半導体微粒子を用いた
    光電変換素子。 【化1】 [式(I)中、Z1は5もしくは6員の含窒素複素環を
    完成するために必要な原子群または結合を表す。Z2
    ベンゼン環と縮環して、5または6員の複素環を形成す
    るために必要な原子群を表す。Z2によって形成される
    複素環はベンゼン環上の何れの位置で縮環しても良く、
    2は置換されていても、さらに縮環されていても良
    い。Qは式(I)で表される化合物がメチン色素を形成
    するのに必要な基を表す。R1は置換もしくは無置換の
    アルキル基、アリール基または複素環基を表す。L1
    よびL2は、それぞれ置換または無置換のメチン基を表
    す。pは0または1を表す。Mは電荷均衡対イオンを表
    し、mは分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以
    下の数を表す。V1は置換基を表し、nは0、1または2
    を表す。]
  2. 【請求項2】 式(I)中のZ2がフラン環、チオフェ
    ン環またはピロール環である請求項1の光電変換素子。
  3. 【請求項3】 式(I)で表される化合物が下記式(I
    I)または(III)で表される化合物である請求項1の光
    電変換素子。 【化2】 [式(II)中、X1は酸素原子または硫黄原子を表し、
    3は、5もしくは6員の含窒素複素環を完成するため
    に必要な原子群または結合を表す。V2およびV3は、そ
    れぞれ水素原子または置換基を表し、V2、V3は互いに
    結合して縮合環を形成していても良い。R1、L1
    2、p、Q、M、m、V1およびnは式(I)と同義であ
    る。] 式(III) 【化3】 [式(III)中、X2はN−R4を表し、R4は水素原子ま
    たは置換基を表す。Z4は、5もしくは6員の含窒素複
    素環を完成するために必要な、硫黄原子を含まない原子
    群または結合を表す。R1、L1、L2、p、Q、M、m、
    1およびnは式(I)と同義であり、V2およびV3
    式(II)と同義である。]
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3の光電変換素子を
    用いた光電気化学電池。
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