JP2000290886A - ピッチ付着抑制剤 - Google Patents

ピッチ付着抑制剤

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JP2000290886A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パルプまたは紙を製造する際の水系における
ピッチの凝集、あるいは装置上へのピッチ付着の発生を
抑制するピッチ付着抑制剤を提供する。 【解決手段】 (イ)式[I]で示されるポリオキシア
ルキレン化合物と R1O(AO)n2 [I] (ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基
で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子
または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数で1〜200である。) (ロ)無水マレイン酸を必須単量体とし、そのモル比が
7:3〜3:7であり、重量平均分子量が1,500〜
70,000である共重合体またはその加水分解物もし
くは塩(A)と、ポリ酢酸ビニルのケン化物であり、そ
の平均重合度が300〜3,000およびケン化度が7
0〜95モル%であるポリビニルアルコール(B)から
なり、(A)と(B)の重量比が、(A):(B)=
1:99〜100:0であることを特徴とするピッチ付
着抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は製紙工程でのピッチ
付着抑制剤に関し、さらに詳しくは、パルプまたは紙を
製造する際の水系におけるピッチの凝集、あるいは装置
上へのピッチ付着の発生を抑制するピッチ付着抑制剤に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】パルプ、または紙の製造工程において発
生するピッチ(ピッチとは原料である木材に含まれてい
る樹脂や故紙および損紙由来で混入する接着剤やラテッ
クスなどの粘着性物質または紙を製造する際に加えられ
るサイズ剤等を言う)は、例えば抄紙工程ではワイヤー
やフェルトを目詰まらせることによる搾水性の低下、断
紙または紙製品に付着すること等により品質や操業性に
影響を与えるようなトラブルの原因となる。また、これ
らトラブルは用水のクローズド化や故紙利用率の増加と
ともに、近年さらに大きな問題となっている。従来、こ
れらの処理にいくつかの方法が提案されている。
【0003】例えばタルク等の無機物を用い、粘着性の
粒子表面に付着させて不活性化させる方法があるが、こ
の方法においては粉体の取り扱いが煩わしいこと、ワイ
ヤー等の設備を摩耗すること、薬剤自体の凝集や沈殿を
生じやすいことなどの欠点がある。また、界面活性剤を
用いピッチを分散させる方法があるが、この方法におい
ては起泡の問題やサイズ性への悪影響が考えられる。ま
た、特開昭62−223394号公報に記載のカチオン
性のポリマーを使用する方法があるが、この方法によれ
ば系内のコロイド粒子の電荷バランスがカチオン過剰な
状態に変化した場合は歩留まりなどに悪影響を及ぼす場
合がある。また、特開昭61−55294号公報ではケ
ン化度70〜80%のポリビニルアルコール水溶液が提
案されているが、必ずしも十分な効果は得られなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、パル
プまたは紙を製造する際の水系におけるピッチの凝集、
あるいは装置上へのピッチ付着の発生を抑制するピッチ
付着抑制剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな従来の凝集物トラブルを抑制する薬剤の抱える問題
点を解決するために鋭意検討した結果、特定の配合組成
物がパルプまたは紙を製造する際の水性系におけるピッ
チ凝集物の発生を抑制する優れた効果を発揮することを
見いだした。すなわち本発明は、(イ)式[I]で示さ
れるポリオキシアルキレン化合物と R1O(AO)n2 [I] (ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基
で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子
または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数で1〜200である。) (ロ)無水マレイン酸を必須単量体とし、そのモル比が
7:3〜3:7であり、重量平均分子量が1,500〜
70,000である共重合体またはその加水分解物もし
くは塩(A)と、ポリ酢酸ビニルのケン化物であり、そ
の平均重合度が300〜3,000およびケン化度が7
0〜95モル%であるポリビニルアルコール(B)から
なり、(A)と(B)の重量比が、(A):(B)=
1:99〜100:0であることを特徴とするピッチ付
着抑制剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】式[I]においてR1で示される
炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル基、アリ
ル基、メタリル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル
基、3−メチル−3−ブテニル基等のアルケニル基が挙
げられ、好ましくはアリル基およびメタリル基である。
【0007】AOで示される炭素数2〜4のオキシアル
キレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレ
ン基、オキシブチレン基、オキシテトラメチレン基等が
挙げられ、1種または2種以上を用いても良い。2種以
上のオキシアルキレン基を付加する場合は、ブロック状
付加でもランダム状付加のどちらでもよい。また、nは
オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、n=1〜
200である。nが200より大きくなると共重合体の
粘度が高くなり、取り扱いが悪くなるため好ましくな
い。
【0008】式[I]においてR2は水素原子およびメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペ
ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウ
ンデシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデ
シル基、ヘキサデシル基、イソセチル基、オクタデシル
基、イソステアリル基、オレイル基、オクチルドデシル
基、アリル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシ
ル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ベン
ジル基、フェニル基、クレジル基、ブチルフェニル基、
ジブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェ
ニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数1〜20の炭化
水素基であり、これらの1種または2種以上を混合して
用いてもよい。
【0009】(イ)のポリオキシアルキレン化合物と
(ロ)無水マレイン酸の単量体のモル比は(イ):
(ロ)=7:3〜3:7である。(イ)のポリオキシア
ルキレン化合物と(ロ)無水マレイン酸を必須単量体と
して含む共重合体は、(イ)式[I]で表されるポリオ
キシアルキレン化合物および(ロ)無水マレイン酸を水
または有機溶剤中、あるいは溶剤を全く用いない系で、
重合開始剤を用いて共重合させることで容易に得ること
ができる。ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶剤
中または溶剤を用いない場合の開始剤としては、過酸化
ベンゾイル等の有機過酸化物系、あるいはアゾビスイソ
ブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤が挙げられる。水
系で重合を行う際は、過酸化水素、第三ブチルヒドロペ
ルオキシド等のヒドロペルオキシド、過硫酸カリウム等
の過硫酸塩等の水溶性重合開始剤が挙げられる。さらに
親水性有機溶剤と水との混合溶剤を用いることもでき、
その際は上記の重合開始剤を適宜選択して使用する。
【0010】Aの共重合体は、スチレン、酢酸ビニル、
ビニルスルホン酸、アクリル酸など他の共重合可能な単
量体を混合して共重合してもよいが、その場合(イ)の
ポリオキシアルキレン化合物と(ロ)無水マレイン酸以
外の単量体の比率は、本発明の性能を損なわないため単
量体全体に対するモル比で20%未満が好ましい。本発
明に用いる共重合体の重量平均分子量は1,500〜7
0,000である。1,500未満の場合または70,
000を越える場合はピッチ付着抑制効果が低下するの
で好ましくない。得られた共重合体は、加水分解を行い
加水分解物としても、加水分解物を塩基性物質で中和し
て塩としても用いることができる。中和に用いる塩基性
物質としては、アンモニア、有機アミンまたナトリウ
ム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩また
は重炭酸塩等が挙げられ、好ましくはナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ金属の水酸化物である。
【0011】(B)のポリビニルアルコールは、ポリ酢
酸ビニルのケン化物であり、平均重合度が300〜3,
000およびケン化度が70〜95モル%である。好ま
しくは、平均重合度が1,500〜3,000およびケ
ン化度が85〜91モル%であり、この範囲を外れると
ピッチ付着抑制効果が低下するので好ましくない。
【0012】本発明の(イ)式[I]で示されるポリオ
キシアルキレン化合物と(ロ)無水マレイン酸を必須単
量体として含む共重合体およびその加水分解物または塩
である(A)とポリビニルアルコール(B)は重量比で
(A):(B)=1:99〜100:0であり、好まし
くは(A):(B)=3:97〜80:20であり、こ
の範囲を外れるとピッチ付着抑制効果が低下するので好
ましくない。
【0013】本発明のピッチ付着抑制剤を水系に使用す
る場合は、パルプ原料によりピッチ量が異なるが、通常
パルプ固形分に対して0.0005〜0.2重量%の範
囲で適宜選択し、水系に添加して使用する。添加場所と
しては、パルプ製造においては各フィルター出口や完成
チェスト前などに添加され、調整工程においてはパルパ
ー、リファイナーの前後、ミキシングチェスト、マシン
チェストなどに添加される。本発明のピッチ付着抑制剤
を、パルプ製造設備および紙を製造する設備の凝集異物
が生じやすい部位に適用する場合は、希釈液を噴霧また
は浸漬することなどにより行い、噴霧または浸漬に使用
する水に対し0.0001〜1重量%の割合で添加し、
シックナー、フィルター、ワイヤー、フェルト、各ロー
ルなどに使用される。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明する。 実施例1〜13および比較例1〜7 実施例および比較例に供した共重合体(A)について
は、表1に示す式[I]の化合物と、無水マレイン酸お
よび他の単量体との共重合体を用いた。平均分子量はゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーにより求めた。
実施例および比較例に供したポリビニルアルコール
(B)について表2に示した。
【0015】
【表1】
【0016】注.{}内はランダム状付加であることを
示す。EOはオキシエチレン基を示す。POはオキシプ
ロピレン基を示す。BOは1,2−オキシブチレン基を
示す。
【0017】
【表2】
【0018】共重合体(A)およびポリビニルアルコー
ル(B)を表3に示す比率で混合し、固形分が2.5重
量%になる様に精製水で希釈し、ピッチ付着抑制剤とし
て以下の実験に供した。よく洗浄したワイヤーを、7×
21cmに切りとり、円筒状にしたものをテストピース
とし、105℃にて1時間乾燥後、デシケーター中で放
冷し、秤量した(重量)。500mlのビーカー中に
精製水460mlを入れ、ウォーターバス中で、60℃
に昇温し、その後各薬剤を500mg添加した。調製し
た溶液中にテストピースを入れ、30分間撹拌をおこな
い、擬似ピッチ25ml、5%塩化カルシウム水溶液を
15ml添加した。添加後1時間撹拌をおこなった。撹
拌後、テストピースを取出し、水を切った後105℃に
て1時間乾燥させた。デシケーターで放冷し、重量を測
定した(重量)。重量−重量がピッチ付着量とな
る。
【0019】疑似ピッチはアビエチン酸1g、オレイン
酸1g、トール油1gおよび48%水酸化ナトリウム水
溶液1gを精製水で溶解し、全体を水で300mlに希
釈して使用した。下記の式によりピッチ付着防止率を求
めた。 ピッチ付着防止率(%)={薬剤無添加時ピッチ付着重
量−薬剤添加時ピッチ付着重量}/薬剤無添加時ピッチ
付着重量×100 また、判定として凝集付着防止率が90%を越えるもの
を◎、80%を越えるものを○、80%未満のものを×
として表した。結果を表4に示す。
【0020】
【表3】
【0021】注.EOはオキシエチレン基を示す。
【0022】
【表4】
【0023】表4から、本発明のピッチ抑制剤を用いた
実施例は比較例に比べて凝集付着防止率が高く、ピッチ
付着防止能に優れていることが分かる。
【0024】
【発明の効果】本発明のピッチ付着抑制剤は、顕著なピ
ッチ付着の防止能を有している。このため、生産性およ
び品質の向上を図ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)式[I]で示されるポリオキシア
    ルキレン化合物と R1O(AO)n2 [I] (ただし、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基
    で、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は水素原子
    または炭素数1〜20の炭化水素基、nはオキシアルキ
    レン基の平均付加モル数で1〜200である。) (ロ)無水マレイン酸を必須単量体とし、そのモル比が
    7:3〜3:7であり、重量平均分子量が1,500〜
    70,000である共重合体またはその加水分解物もし
    くは塩(A)と、ポリ酢酸ビニルのケン化物であり、そ
    の平均重合度が300〜3,000およびケン化度が7
    0〜95モル%であるポリビニルアルコール(B)から
    なり、(A)と(B)の重量比が、(A):(B)=
    1:99〜100:0であることを特徴とするピッチ付
    着抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005350807A (ja) * 2004-06-10 2005-12-22 Nichiyu Solution Inc ピッチコントロール剤
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