JP2000290642A - 感熱発色素子およびその製造方法 - Google Patents

感熱発色素子およびその製造方法

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JP2000290642A
JP2000290642A JP11104762A JP10476299A JP2000290642A JP 2000290642 A JP2000290642 A JP 2000290642A JP 11104762 A JP11104762 A JP 11104762A JP 10476299 A JP10476299 A JP 10476299A JP 2000290642 A JP2000290642 A JP 2000290642A
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浩 菅野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化によって不可逆的に発色する信頼性
の高い感熱発色素子を提供する。 【解決手段】 金属イオン、マトリックス形成材料、水
およびアルコールを含む原料混合物を調製して基体3上
に塗布し、マトリックス形成材料からゾル−ゲル法等に
より固体マトリックス2を生成させ、この固体マトリッ
クス2に紫外線を照射してアルコールを還元剤として作
用させることにより、金属イオンを還元して固体マトリ
ックス2中に微小金属微粒子1が分散した感熱発色層7
を形成する。次いで、感熱発色層7への水分の侵入を抑
制するための保護層4を形成する。保護層4による水分
遮蔽効果により、感熱発色層7は、雰囲気中の湿度に影
響されず、温度履歴を正確に反映した発色を呈する。こ
の発色は、微小金属微粒子1の表面プラズモン吸収に基
づく。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属微粒子の成長
による表面プラズモン吸収を利用した感熱発色素子およ
びその製造方法に関するものである。本発明は、特に、
保冷システム、あるいは冷蔵、冷凍食品の保存時もしく
は流通時の温度管理に好適な感熱発色素子とその製造方
法に関するものである。
【0001】
【従来の技術】従来、金属イオンの表面プラズモン吸収
を利用した感熱発色素子としては、例えば特表平9−8
28228号に記載されている素子が知られている。こ
の感熱発色素子は、図3に示すように、マトリックス1
02中に金属微粒子101を分散した構造からなり、マ
トリックス中での金属微粒子の拡散・凝集反応による金
属微粒子の成長反応の温度依存性を応用している。すな
わち、低温ではマトリックス中の金属微粒子は、粒径が
数nm以下のクラスター状態で時間とともにほとんど変
化しないが(図3(a))、一度温度が上昇すると粒径
が数nm以上に成長し、表面プラズモン吸収を示すよう
になって発色する(図3(b))。金属微粒子は不可逆
的に成長するため、上記感熱発色素子も不可逆的に発色
する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の感熱発色素子には、使用する季節等の条件によっ
て、発色特性が影響されるという課題があった。本発明
者が検討した結果、特性のバラツキは、外気の状態、特
に外気の湿度によるものであることが判明した。すなわ
ち、上記感熱発色素子では、マトリックス中の水分の量
が金属微粒子の拡散・凝集反応に影響する。具体的に
は、外気から侵入する水分が金属微粒子の成長速度を左
右し、素子の信頼性を低下させている。
【0003】そこで、本発明は、金属微粒子の不可逆的
な成長に基づいて発色する感熱発色素子の信頼性を向上
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の感熱発色素子は、温度変化により不可逆的
に成長する微小金属微粒子が分散した固体マトリックス
からなる感熱発色層と、前記感熱発色層への水分の侵入
を抑制するための保護層とを含むことを特徴とする。
【0005】本発明の感熱発色素子によれば、外部雰囲
気の湿度の高低によらず、正確に温度履歴を確認するこ
とができる。この感熱発色素子は、例えば、比較的低温
(〜5℃)では無色透明であるが室温(25℃程度)以
上になると効率よく発色する。この発色は不可逆的に進
行し、温度を再び低くしても消色しない。したがって、
本発明の感熱発色素子を用いれば、冷蔵、冷凍食品の移
送中における温度履歴、すなわち食品の温度が一度も室
温程度に至ることなく低温に保たれてきたか、等を容易
に確認することができる。
【0006】本発明の感熱発色素子は、具体的には、固
体マトリックスが、無機物、無機/有機複合体および樹
脂から選ばれるいずれかであることが好ましい。
【0007】固体マトリックスとしての無機物、または
無機/有機複合体を用いる場合の無機物は、酸化珪素、
酸化アルミニウムおよび酸化チタンから選ばれる少なく
とも一つであることが好ましい。上記無機物は、物理
的、化学的に安定であり、しかも広い波長領域において
光学的に透明だからである。無機/有機複合体を用いる
場合、有機物は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エス
テルおよびポリエチレンオキシドから選ばれる少なくと
も一つであることが好ましい。上記無機物と上記有機物
とから構成された無機/有機複合体は、物理的、化学的
に安定であり、しかも広い波長領域において光学的に透
明である。また、固体マトリックスとしての樹脂層は、
ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリス
チレン、ポリアクリル酸、アクリロニトリル/スチレン
共重合ポリマーおよびフッ素樹脂から選ばれる少なくと
も一つであることが好ましい。
【0008】本発明の感熱発色素子は、感熱発色層を支
持する基体、または感熱発色層を支持し、粘着層または
接着層を備えた担体をさらに含むことが好ましい。基体
または担体としては、非透湿性の材料が好ましく、特に
限定されないが、金属フィルム、プラスチックフィル
ム、布、紙およびガラスから選ばれるいずれかが好まし
い。
【0009】本発明の感熱発色素子においては、微小金
属微粒子が、金、白金、銀、銅、錫、ロジウム、パラジ
ウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも一つであ
ることが好ましい。このような金属は、他の金属に比べ
て容易に微粒子化することが可能で、また、酸化されに
くく安定であり、また、表面プラズモン吸収に基づく顕
著な発色を示すからである。
【0010】本発明の感熱発色素子では、微小金属微粒
子の濃度により発色する温度を調整できる。また、保護
層が、調整された発色温度の信頼性の確保に寄与する。
本発明の感熱発色素子は、具体的には、感熱発色層が1
0〜25℃から選択される所定範囲の発色温度以上で発
色するように、微小金属微粒子の分散濃度が調整されて
いることが好ましい。
【0011】また、本発明の感熱発色素子は、温度履歴
により感熱発色層が呈する色が相違することが好まし
い。具体的な温度履歴を視認することが容易となるから
である。このような温度履歴の詳細な確認のためにも、
保護層による水分遮蔽効果が寄与することになる。
【0012】上記保護層は、本発明の目的を達成するこ
とができる限り特に制限はないが、具体的には、樹脂、
ガラス、セラミックスおよび無機/有機複合体から選ば
れるいずれかであることが好ましい。
【0013】本発明の感熱発色素子では、保護層がない
場合と比較して、外部雰囲気の湿度による、感熱発色層
が発色するまでの時間の相違が緩和されている。また、
温度変化による微小金属微粒子の不可逆的な成長によ
り、感熱発色層は微小金属微粒子の表面プラズモン吸収
に基づく発色を呈することになる。
【0014】上記目的を達成するため、本発明の感熱発
色素子の製造方法は、金属イオン、マトリックス形成材
料、水およびアルコールを含む原料混合物を調製する工
程と、前記原料混合物において前記マトリックス形成材
料から固体マトリックスを生成させる工程と、前記固体
マトリックスに紫外線を照射して前記アルコールを還元
剤として作用させることにより、前記金属イオンを還元
して前記固体マトリックス中に微小金属微粒子が分散し
た感熱発色層を形成する工程と、前記感熱発色層への水
分の侵入を抑制するための保護層を形成する工程と、を
含むことを特徴とする。
【0015】本発明の製造方法によれば、外気の湿度の
高低に影響されず、正確に温度履歴を確認できる感熱発
色素子を得ることができる。
【0016】本発明の感熱発色素子の製造方法において
固体マトリックスを無機物とする場合には、原料混合物
を、マトリックス形成材料として金属アルコキシドを含
むゾルとして、前記ゾルにおける前記金属アルコキシド
の加水分解反応により、無機物である固体マトリックス
を生成させることが好ましい。
【0017】また、固体マトリックスを無機/有機複合
体とする場合には、原料混合物がマトリックス形成材料
として金属アルコキシドおよび有機物を含む原料溶液で
あり、前記原料液における前記金属アルコキシドの加水
分解反応、または前記加水分解反応および前記有機物の
重合反応により、無機/有機複合体である固体マトリッ
クスを生成させることが好ましい。
【0018】さらに、固体マトリックスを樹脂とする場
合には、原料混合物を、マトリックス形成材料として樹
脂材料を含む原料溶液として、前記固体マトリックスを
前記樹脂材料から生成した樹脂とすることが好ましい。
【0019】本発明の感熱発色素子の製造方法では、固
体マトリックスを生成させる工程の前に、基体上、また
は粘着層もしくは接着層を含む担体上に、原料混合物か
らなる層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
この場合、原料混合物からなる層を、浸漬法、塗布法お
よびスピンコート法から選ばれる少なくとも一つの方法
により形成することが好ましい。
【0020】本発明の感熱発色素子の製造方法では、感
熱発色層10〜25℃から選択される所定範囲の発色温
度以上で発色するように、原料混合物において、微小金
属微粒子となる金属イオンの濃度を調整することが好ま
しい。
【0021】本発明の感熱発色素子の製造方法では、保
護層を、貼付法、塗布法およびスピンコート法から選ば
れる少なくとも一つの方法により形成することが好まし
い。
【0022】本発明の感熱発色素子の製造方法では、感
熱発色層が外部雰囲気から遮蔽されるように保護層を形
成することが好ましい。また、温度変化による微小金属
微粒子の不可逆的な成長により、感熱発色層が前記微小
金属微粒子の表面プラズモン吸収に基づく発色を示すよ
うに、固体マトリックス中に前記微小金属微粒子を分散
させる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の好ましい実施の形態を説明する。
【0024】(第1の実施形態)図1は、本発明の感熱
発色素子の一形態の断面図であり、図1(a)は発色
前、図1(b)は発色後の状態を示す。図1に示したよ
うに、基体3の表面の一部には、微小金属微粒子1を分
散したマトリックス2からなる感熱発色層7が形成され
ており、この感熱発色層7の上には保護層4が形成され
ている。保護層4は、感熱発色層7の露出面を覆うよう
に形成されており、感熱発色層7の周囲で基板3と接合
されている。こうして、感熱発色層7は、外部雰囲気か
ら遮蔽されている。
【0025】この感熱発色素子は、比較的低温(例えば
〜6℃)では、図1(a)に示すように微小金属微粒子
が成長しておらず無色透明である。一方、感熱発色素子
の温度が室温付近に至ると、図1(b)に示すように金
属微粒子が不可逆的に成長する。金属微粒子が成長する
と、金属微粒子の表面プラズモン吸収に基づく発色が顕
著に現れる。
【0026】基体3としては、金属フィルム、プラスチ
ックフィルム、布、紙、ガラスが好ましい。
【0027】微小金属微粒子1としては、金、白金、
銀、銅、錫、ロジウム、パラジウム、イリジウムが好ま
しい。これらの金属は、表面プラズモン吸収に基づく発
色を示し、しかも、他の金属に比べて酸素その他の不純
物による影響を受けにくい。したがって、これらの金属
を用いれば、比較的純粋な微小金属微粒子を析出させる
ことができるので、優れた感熱発色特性を得ることがで
きる。
【0028】マトリックス2に分散させる微小金属微粒
子1の量は、特に限定されないが、粒径制御が容易であ
って低温域での微粒子の凝集が生じ難い範囲が好まし
く、具体的には感熱発色層において、0.01〜20重
量%、さらには0.05〜10重量%が好ましい。微小
金属微粒子を過度に含有させると、層の一部分だけが濃
く色変化を起こし、温度履歴を確認することが困難にな
るおそれがある。
【0029】成長後の微小金属微粒子1の平均粒径は、
金属の種類により異なるが、通常は1nm〜50nmの
範囲が好ましく、特に均一な着色のためには3nm〜3
0nmの範囲がさらに好ましい。
【0030】マトリックス2としては、無機物、無機/
有機複合体、樹脂を好適に用いることができる。無機物
としては、化学的に安定であり、かつ光学的に広い波長
範囲で透明な酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン
が好ましい。これら無機物からなるマトリックスは、ゾ
ル−ゲル法により作製することが好ましい。
【0031】無機/有機複合体を構成する無機物として
は、化学的に安定でありかつ光学的に広い波長範囲で透
明なシリカゲル、アルミナゲル、チタニアゲルが好まし
く、有機物としては、ゾル−ゲル法で用いる金属アルコ
キシドと安定して共存し、透明で均一な複合体が得られ
るポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリエチ
レンオキシドが好ましい。なお、無機物と有機物との混
合比は、特に限定されないが、有機物の比率を全体の5
0重量%以下とすることが好ましい。無機/有機複合体
からなるマトリックスは、ゾル−ゲル法により、または
ゾル−ゲル法と有機物の重合反応とにより形成すること
が好ましい。
【0032】ここで、ゾル−ゲル法とは、ゾル状の金属
の低級アルコキシドを加水分解し、ゲル化させ、さらに
加熱することにより、目的とする固体を得るガラスまた
はセラミックスの低温合成法である。金属アルコキシド
としては、具体例には、シリコンのメトキシドやエトキ
シド等のシリコンの低級アルコキシド類、アルミニウム
のメトキシドやエトキシド等のアルミニウムの低級アル
コキシド類、チタンのメトキシドやエトキシド等のチタ
ンの低級アルコキシド類が挙げられる。また、ゾルの分
散媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、二価アルコールのエチレングリコール、プロピレ
ングリコール等を用いることができる。さらに、通常、
加水分解のための触媒として、塩酸、アンモニア等が用
いられる。さらに、無機物や無機/有機複合体の乾燥時
に生ずる亀裂の発生や発泡を防止する乾燥抑制剤とし
て、フォルムアミドやジメチルフォルムアミドを用いる
ことが好ましい。
【0033】マトリックスとしての樹脂としては、化学
的に安定であり、アルコールや水分を含有することが可
能で、大きな面積に均一な被覆層を形成できるポリビニ
ルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルブチラー
ル、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合
ポリマー、フッ素樹脂を用いることが好ましい。
【0034】還元されて微小金属微粒子1を構成する金
属イオンを供給する金属塩としては、HAuCl4、N
aAuCl4、H2PtCl6、AgClO4、CuC
2、SnCl2、IrCl3、RhCl3およびPdCl
2から選ばれる少なくとも1つが好ましい。
【0035】金属イオンは、マトリックス中に分散した
状態で紫外線が照射されて還元される。金属イオンの還
元には、同じくマトリックス中に分散しているアルコー
ルが関与する。アルコールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール
等のα−水素含有アルコールが好ましい。
【0036】保護層4には、樹脂、ガラス、セラミック
スおよび無機/有機複合体から選ばれるいずれかを用い
ることができる。樹脂としては、撥水性樹脂、低透湿性
ないし非透湿性の樹脂が好ましい。これらの樹脂として
は、具体的には、ポリ4フッ化エチレン、ポリ3フッ化
エチレン、ポリフッ化ビニル等のフッ素系樹脂、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデン−塩化ビニル
共重合物(例えばSaran樹脂(商品名))、ポリビニルブ
チラール、エチレン−ビニルアルコール共重合物(例え
ばエバール樹脂(商品名))、ポリエチレンテレフタレー
トが好ましい。
【0037】(第2の実施形態)図2は、本発明の感熱
発色素子の別の一形態を示す断面図である。図1と同
様、図2(a)は発色前、図2(b)は発色後の状態を
示す。図2に示したように、担体5の一方の主表面の一
部には、微小金属微粒子1を分散したマトリックス2か
らなる感熱発色層7が形成されており、この感熱発色層
7の上には保護層4が形成されている。保護層4は、感
熱発色層7の露出面を覆うように形成されており、感熱
発色層7の周囲で基板3と接合されている。
【0038】担体5の他方の主表面には、接着層6が形
成されている。接着層を構成する接着剤は、特に制限さ
れないが、例えばエポキシ樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹
脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、フェノール樹脂系
接着剤等を用いることができる。また、接着層6に代え
て粘着層を用いてもよい。粘着層は、例えば、天然ゴム
系粘着剤、スチレン/ブタジエンラテックス系粘着剤、
熱可塑性ゴムブロックコポリマー粘着剤、ブチルゴム系
粘着剤、ポリイソブチレン粘着剤、アクリル系粘着剤、
ビニルエーテルポリマー系粘着剤およびシリコーン系粘
着剤から選ばれる少なくとも1つの粘着剤により構成す
ることができる。また、担体5は、基体3と同様、金属
フィルム、プラスチックフィルム、布、紙、ガラスが好
ましい。
【0039】本実施形態でも、微小金属微粒子1、マト
リックス2、保護層4等の材料については、第1の実施
形態で説明した材料を用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例により限定されるもの
ではない。
【0041】(実施例1)下記の表1に示した組成の金
属アルコキシド混合溶液に、Si(OC254から生
成するSiO2に対し、Auが1重量%になるようにH
AuCl4を添加した。この溶液を撹拌して、3日間室
温で乾燥後、60℃の温度で24時間乾燥して厚さ20
0μmの無機物体を得た。
【0042】 (表1) ───────────────────────────── 原 料 配合(g) ───────────────────────────── Si(OC254 30 エタノール 20 エチレングリコール 20 蒸留水 30 ─────────────────────────────
【0043】この無機物体は、透明な薄い黄色であっ
た。こうして作製した無機物体に紫外線ランプを用いて
室温で5分間光照射を行なったところ、無機物体は黄色
から無色透明に変化した。その後、この無機物体の表面
に、ポリ3フッ化エチレンをスプレー塗布し、外部の水
分が無機物体に侵入しないように保護層を形成した。こ
うして得た感熱発色素子をすぐに5℃の冷蔵庫に保存し
た。この状態で2カ月保存しても素子は無色透明であ
り、全く発色は見られなかった。
【0044】ところが、この感熱発色素子を、5℃の冷
蔵庫から25℃で相対湿度20、40、60、80%
(以下、相対湿度を「%RH」で示す)の各雰囲気へ取
り出したところ、いずれの湿度条件下でも、約2時間で
赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長したこと
により、微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったた
めである。また、一度着色すると、再度低温にしても上
記Au微粒子/シリカゲル感熱発色材料の色が消えるこ
とはなかった。
【0045】また、比較のために、保護層を設けない点
を除いては、上記と同様にして感熱発色素子を作製し
た。この感熱発色素子は、25℃、60%RHでは1時
間45分で、25℃、80%RHでは1時間で発色し
た。このように、保護層を設けないと、外部雰囲気中の
水分が、発色までの時間に影響することが確認された。
【0046】なお、HAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールを添加しない場合には全く観察されなか
った。また、室温で生成したAu微粒子の平均粒径は5
nmであって粒径分布も小さいことが確認された。ま
た、発色した後の素子の吸収スペクトルには、Au微粒
子の表面プラズモン吸収に基づくピーク(波長525n
m)が観察された。
【0047】上記のように、シリカを無機物体のマトリ
ックスに用いると、化学的安定性に優れており、また低
コストで作製できる。
【0048】上記工程において、HAuCl4に代えて
NaAuCl4を用いても、上記と同様、Au微小微粒
子の成長による表面プラズモン吸収に基づく発色が確認
された。
【0049】次に、(表1)に示した組成の金属アルコ
キシド混合溶液に、SiO2に対してAuがそれぞれ
0.1、3、10重量%になるように、HAuCl4
添加した点を除いては上記と同様の方法により、厚さ2
00μmの無機物体を得た。
【0050】こうして作製した無機物体に紫外線ランプ
を用いて室温で5分間光照射を行なったところ、無機物
体は黄色から無色透明に変化した。その後、この無機物
体の表面にポリ3フッ化エチレンをスプレー塗布し、外
部の水分が無機物体に侵入しないように保護層を形成し
た。こうして得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に
保存した。この状態で2ヶ月間保存しても素子は無色透
明であり、全く発色は見られなかった。
【0051】ところが、この感熱発色素子を、6℃の冷
蔵庫から相対湿度を一定とした種々の雰囲気に取り出し
て発色が観察される温度を確認したところ、Auが0.
1重量%の素子は28℃、60%RHで、Auが3重量
%の素子は15℃、60%RHで、Auが10重量%の
素子は7℃、60%RHで、それぞれ赤紫色の発色が明
瞭に観察された。このように、Auの分散量の相違によ
って感熱による発色温度を制御できることが確認され
た。
【0052】さらに、(表1)に示した組成のゾルを用
いて、上記と同様の方法により、Auが1重量%である
厚さ200μmの無機物体を得た。この無機物体に紫外
線ランプを用いて室温で5分間光照射を行なったとこ
ろ、無機物体は黄色から無色透明に変化した。その後、
この無機物体の表面にポリ3フッ化エチレンをスプレー
塗布し、外部の水分が無機物に侵入しないように保護層
を形成した。こうして得た感熱発色素子をすぐに6℃の
冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月間保存しても素子
は無色透明であり、全く発色は見られなかった。
【0053】ところが、この感熱発色素子を、6℃の冷
蔵庫から相対湿度を一定とした種々の雰囲気に取り出し
て発色させたところ、25℃、50%RHでは赤紫色に
発色し、40℃、50%RHでは茶色がかった紫色に発
色し、60℃、50%RHでは茶色に発色した。このよ
うに、Auの分散量を適切に調整することにより、外部
温度の相違によって発色の色調を変化させることができ
た。
【0054】また、(表1)の原料中、Si(OC
254をAl(OC253に代えた点を除いては、上
記と同様の方法により、厚さ200μmの薄い黄色を呈
したゲル化した無機物体を得た。このアルミナを含む無
機物体に紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行
なったところ、無機物体は無色透明に変化した。その
後、この無機物体の表面にポリ3フッ化エチレンをスプ
レー塗布し、外部の水分が無機物体に侵入しないように
保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子を、上記
と同様に6℃の冷蔵庫で2ヶ月保存しても全く発色は見
られなかった。
【0055】ところが、この感熱発色素子を、6℃の冷
蔵庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RH
の雰囲気にそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間
で赤紫色に発色した。この素子の吸収スペクトルにも、
Au微粒子の表面プラズモン吸収に基づく530nmの
ピークが観察された。
【0056】また、(表1)の原料中、Si(OC
254をTi(OC254に代えた点を除いては、上
記と同様の方法により、厚さ200μmの薄い黄色を呈
したゲル化した無機物体を得た。このチタニアを含む無
機物体に紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行
なったところ、無機物体は無色透明に変化した。その
後、この無機物体の表面にポリ3フッ化エチレンをスプ
レー塗布し、外部の水分が無機物体に侵入しないように
保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子を、上記
と同様に6℃の冷蔵庫で2ヶ月保存しても全く発色は見
られなかった。
【0057】ところが、この感熱発色素子を、6℃の冷
蔵庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RH
の雰囲気にそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間
で赤紫色に発色した。この素子の吸収スペクトルにも、
Au微粒子の表面プラズモン吸収に基づく555nmの
ピークが観察された。
【0058】さらに、HAuCl4に代えて、H2PtC
6、AgClO4、CuCl2、SnCl2、IrC
3、RhCl3またはPdCl2を用いて、上記と同様
の方法により、厚さ200μmの無機物体を得た。この
種々の金属イオンを含む無機物体に紫外線ランプを用い
て室温で5分間光照射を行なったところ、無機物体は無
色透明に変化した。その後、この無機物体の表面にポリ
3フッ化エチレンをスプレー塗布し、外部の水分が無機
物体に侵入しないように保護層を形成した。こうして得
た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この
状態で2ヶ月保存しても素子は無色透明であり全く発色
は見られなかった。
【0059】ところが、この感熱発色素子を、6℃の冷
蔵庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RH
の雰囲気にそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間
で赤紫色に発色した。また、比較のために、保護層を設
けない感熱発色素子も作製したが、保護層を設けない場
合は、25℃、60%RHの雰囲気では1時間45分
で、25℃、80%RHの雰囲気では1時間10分で発
色が観察され、この場合も、湿度の影響が確認された。
【0060】なお、種々の金属微粒子の中では、Au微
小微粒子を用いた感熱発色素子による発色が最もコント
ラストが高く鮮明であった。さらに、上記では、紫外線
照射を室温で行ったが、6℃の低温下で紫外線照射を行
っても室温と同様の効果を得ることができた。
【0061】(実施例2)下記の表2に示した組成の金
属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対してAuが1
重量%になるようにHAuCl4を添加した。この溶液
を撹拌して、3日間室温で乾燥後、60℃の温度で24
時間さらに乾燥して厚さ200μmの無機/有機複合体
を得た。
【0062】 (表2) ───────────────────────────── 原 料 配合(g) ───────────────────────────── Si(OC254 30 エタノール 20 エチレングリコール 20 蒸留水 30 ポリアクリル酸 5 ─────────────────────────────
【0063】この無機/有機複合体は透明な薄い黄色で
あった。こうして作製した無機/有機複合体に紫外線ラ
ンプを用いて室温で5分間光照射を行なったところ、無
機/有機複合体は黄色から無色透明に変化した。その
後、この無機/有機複合体の表面に厚さ40μmの塩化
ビニリデン−塩化ビニル共重合物(Saran樹脂)シート
を貼り付け、外部の水分が無機/有機複合体に侵入しな
いように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子
をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月保
存しても素子は無色透明であり、全く発色は見られなか
った。
【0064】ところが、この複合体を6℃の冷蔵庫から
25℃で相対湿度20、40、60、80%RHの各雰
囲気へ取り出したところ、種々の湿度条件下でも約2時
間で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長した
ことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になった
ためである。また、一度着色すると、再度低温にしても
感熱発色素子の色が消えることはなかった。
【0065】HAuCl4の光還元反応は、エチレング
リコールを添加しない場合には全く起こらなかった。ま
た、室温で生成したAu微粒子の平均粒径は6nmであ
り粒径分布も小さいことが確認された。また、素子の吸
収スペクトルにはAu微粒子の表面プラズモン吸収に基
づく波長530nmのピークが観察された。
【0066】また、比較のため、保護層を設けない点を
除いて上記と同様にして作製した感熱発色素子では、2
5℃、60%RHでは1時間45分で、25℃、80%
RHでは1時間で発色が観察され、湿度の影響を受けて
いることが確認された。
【0067】なお、上記工程においてHAuCl4に代
えてNaAuCl4を用いても、Au微粒子の表面プラ
ズモン吸収に基づく発色が確認された。
【0068】また、(表2)のゾル溶液中、ポリアクリ
ル酸を、ポリアクリル酸エステルまたはポリエチレンオ
キシドに代えた点を除いては、上記と同様な方法によ
り、透明な厚さ200μmの薄い黄色を呈したゲル化し
た無機/有機複合体を得た。こうして作製した無機/有
機複合体に、紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射
を行なったところ、無機/有機複合体は黄色から無色透
明に変化した。その後、この無機/有機複合体の表面に
厚さ40μmの塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物
(Saran樹脂)シートを貼り付け、外部の水分が無機/
有機複合体に侵入しないように保護層を形成した。こう
して得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存し
た。この状態で2ヶ月保存しても素子は無色透明であ
り、全く発色は見られなかった。
【0069】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から、25℃、60%RHおよび25℃、80%RH
の雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間
で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長したこ
とによる微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったた
めである。また、一度着色した無機/有機複合体の色
は、再度低温にしても消えることはなかった。
【0070】この場合も、HAuCl4の光還元反応
は、エチレングリコールを添加しない場合には全く起こ
らなかった。また、生成したAu微粒子の平均粒径は6
nmであり粒径分布も小さいことが確認された。また、
素子の吸収スペクトルにはAu微粒子の表面プラズモン
吸収に基づく波長530nmのピークが観察された。
【0071】上記のように、シリコンアルコキシドを原
料とするゾル−ゲル法により形成したシリカを固体マト
リックスの少なくとも一部として使用すると、マトリッ
クスの安定性が優れ、コスト的にも非常に有利となる。
【0072】なお、この場合も、保護層を設けない感熱
発色素子では、25℃、60%RHでは1時間45分
で、25℃、80%RHで50分で発色が見られ湿度の
影響を受けていることが確認された。
【0073】さらに、HAuCl4に代えて、H2PtC
6、AgClO4、CuCl2、SnCl2、IrC
3、RhCl3またはPdCl2をそれぞれ用いて、上
記と同様の方法により、厚さ200μmの無機/有機複
合体を得た。この種々の金属イオンを含む無機/有機複
合体に紫外線ランプを用いて室温で10分間光照射を行
なったところ、無機/有機複合体は無色透明になった。
その後、この無機/有機複合体の表面に厚さ40μmの
塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合物(Saran樹脂)シ
ートを貼り付け、外部の水分が無機/有機複合体に侵入
しないように保護層を形成した。こうして得た感熱発色
素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ
月保存しても素子は無色透明であり、全く発色は見られ
なかった。
【0074】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間で
赤紫色に発色した。なお、種々の金属微粒子の中では、
Au微粒子を用いた感熱発色素子による発色が最もコン
トラストが高く鮮明であった。また、上記実施例では、
紫外線照射を室温で行ったが、6℃の低温下で紫外線照
射を行っても同様の効果を得ることができた。
【0075】(実施例3)下記の表3に示した組成の混
合溶液に、樹脂に対してAuが1重量%になるようにH
AuCl4を添加した。この溶液を撹拌して、80℃の
温度で2時間乾燥して厚さ200μmの樹脂体を得た。
【0076】 (表3) ───────────────────────────── 原 料 配合(g) ───────────────────────────── エタノール 20 エチレングリコール 20 蒸留水 30 ポリビニルアルコール 5 ─────────────────────────────
【0077】この樹脂体は透明な薄い黄色であった。こ
うして作製した樹脂体に紫外線ランプを用いて室温で5
分間光照射を行なったところ、樹脂体は黄色から無色透
明に変化した。その後、この樹脂体の表面に厚さ100
μmのポリエチレンテレフタレートシートをエポキシ系
接着剤を用いて貼り付け、外部の水分が樹脂体に侵入し
ないように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素
子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月
保存しても素子は無色透明であり、全く発色は見られな
かった。
【0078】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、両条件下でほぼ同
時に約2時間で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子
が成長したことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明
瞭になったためである。また、一度着色すると、再度低
温にしても樹脂体の色が消えることはなかった。Au微
粒子の平均粒径は4nmであり粒径分布も小さいことが
確認された。
【0079】上記のように樹脂体にポリビニルアルコー
ルを用いると、マトリックスが均一で透明性に優れたも
のとなり、またコスト的にも非常に有利である。また、
種々の金属微粒子の中では、Au微粒子を用いた感熱発
色素子による発色が最もコントラストが高く鮮明であっ
た。
【0080】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは1時間45分で、25℃、
80%RHで55分で発色が見られ湿度の影響を受けて
いることが確認された。
【0081】また、HAuCl4に代えてNaAuCl4
を用いても、Au微粒子の表面プラズモン吸収に基づく
発色が確認された。
【0082】また、ポリビニルアルコールに代えて、ポ
リビニルブチラール、ポリスチレン、ポリアクリル酸、
アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマーまたはフッ
素樹脂を用いた点を除いては、上記と同様にして厚さ2
00μmの薄い黄色を呈した樹脂体を作製した。この樹
脂体に紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行な
ったところ樹脂体は無色透明になった。その後、この樹
脂体の表面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレ
ートシートをエポキシ系接着剤を用いて貼り付け、外部
の水分が樹脂体に侵入しないように保護層を形成した。
こうして得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存
した。この状態で2ヶ月保存しても素子は無色透明であ
り、全く発色は見られなかった。
【0083】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHと
の雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間
で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長したこ
とによる微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったた
めである。また、一度着色すると再度低温にしても樹脂
体の色が消えることはなかった。室温で生成したAu微
粒子の平均粒径は4nmであり粒径分布も小さいことが
確認された。用いた樹脂では、特にフッ素樹脂を用いる
と均一で透明かつ機械的強度と耐湿性に優れた樹脂体を
作製することができた。
【0084】HAuCl4に代えて、H2PtCl6、A
gClO4、CuCl2、SnCl2、IrCl3、RhC
3またはPdCl2をそれぞれ用いて、上記と同様の方
法により、厚さ200μmの樹脂体を作製した。この種
々の金属イオンを含む樹脂体に紫外線ランプを用いて室
温で10分間光照射を行なったところ、樹脂体は無色透
明に変化した。その後、この樹脂体の表面に厚さ100
μmのポリエチレンテレフタレートシートをエポキシ系
接着剤を用いて貼り付け、外部の水分が樹脂体に侵入し
ないように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素
子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月
保存しても素子は無色透明であり、全く発色は見られな
かった。
【0085】ところが、この複合体を6℃の冷蔵庫から
25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの雰囲気
へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間で赤紫色
に発色した。この場合も、種々の金属微粒子の中では、
Au微粒子を用いた感熱発色材料による発色が最もコン
トラストが高く鮮明であった。
【0086】(実施例4)実施例1の(表1)に示した
組成の金属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対して
Auが1重量%になるようにHAuCl4を添加後、室
温で撹拌し、基体とする厚さ50μmのステンレス鋼製
の薄板上に塗布した。室温で5分間乾燥後、60℃の温
度で30分乾燥する塗布・乾燥工程を2回繰り返すこと
により、厚さ約0.2μmの無機物層を上記薄板の表面
に形成した。こうして作製した無機物層に紫外線ランプ
を用いて室温で40秒間光照射を行なったところ、無機
物層は無色透明に変化した。その後、この無機物層の表
面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートシー
トを置き、エポキシ系接着剤を用いてステンレス鋼板と
シートを貼り付け、外部の水分が無機物層に侵入しない
ように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子を
すぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2カ月保存
しても素子は無色透明であり、全く発色は見られなかっ
た。
【0087】ところが、この素子を6℃の冷蔵庫から2
5℃、60%RHおよび25℃、80%RHの雰囲気へ
それぞれ取り出したところ、ともに約1時間で赤紫色に
発色した。これは、室温でAu微粒子が成長したことに
より微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったためで
ある。また、一度着色した感熱発色素子は、再度低温に
しても消えることはなかった。このようなHAuCl4
の光還元反応は、エチレングリコールが存在しない場合
には全く起こらなかった。
【0088】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは45分で、25℃、80%
RHで19分で発色が見られ湿度の影響を受けているこ
とが確認された。
【0089】(実施例5)実施例2の(表2)に示した
組成の金属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対して
Auが1重量%になるようにHAuCl4を添加後、室
温で撹拌し、基体とする厚さ50μmのスライドガラス
に塗布した。室温で5分間乾燥後、60℃の温度で30
分乾燥する塗布・乾燥工程を2回繰り返すことにより、
厚さ約0.5μmの無機/有機複合体層をスライドガラ
スの表面に形成した。この無機/有機複合体層は透明な
薄い黄色であった。こうして作製した無機/有機複合体
層に紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行なっ
たところ、無機/有機複合体層は黄色から無色透明に変
化した。その後、この無機/有機複合体物層の表面に厚
さ100μmのポリエチレンテレフタレートシートを置
き、エポキシ系接着剤を用いてガラスとシート部分を貼
り付け、外部の水分が無機物層に侵入しないように保護
層を形成した。こうして作製した感熱発色素子をすぐに
6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で、6℃の雰囲気に
2カ月保存しても無色透明であり、全く発色は見られな
かった。
【0090】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約1時間3
0分で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長し
たことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色すると再度低温にしても
発色が消えることはなかった。
【0091】この場合も、HAuCl4の光還元反応
は、エチレングリコールを添加しない場合には全く起こ
らなかった。この場合も、シリカを無機物として用いる
と、マトリックスが安定性に優れたものとなり、またコ
スト的にも非常に有利となる。
【0092】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは1時間15分で、25℃、
80%RHで33分で発色が観察され、湿度の影響を受
けていることが確認された。
【0093】また、ポリアクリル酸に代えて、ポリアク
リル酸エステルまたはポリエチレンオキシドを用いた点
を除いては、上記と同様にして、透明な厚さ0.2μm
の薄い黄色を呈したゲル化した無機/有機複合体層をス
ライドガラスの表面に形成した。この無機/有機複合体
層に、紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行な
ったところ、無機/有機複合体層は黄色から無色透明に
変化した。その後、無機/有機複合体層の表面に厚さ1
00μmのポリエチレンテレフタレートシートを置き、
エポキシ系接着剤を用いてガラスとシート部分とを貼り
付け、外部の水分が無機/有機複合体層に侵入しないよ
うに保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子をす
ぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月保存し
ても素子は無色透明であり、全く発色は見られなかっ
た。
【0094】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約1時間4
0分で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長し
たことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色すると再度低温にしても
無機/有機複合体層の色が消えることはなかった。
【0095】この場合も、HAuCl4の光還元反応
は、エチレングリコールを添加しない場合には全く起こ
らなかった。なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは1時間30分で、25℃、
80%RHで1時間で発色が見られ湿度の影響を受けて
いることが確認された。
【0096】(実施例6)実施例3の(表3)に示した
組成の混合溶液に、樹脂に対してAuが2重量%になる
ように、AuHCl4を添加後、室温で撹拌し、基体と
する厚さ50μmのスライドガラスに塗布した。室温で
5分間乾燥後、60℃の温度で30分乾燥する塗布・乾
燥工程を2回繰り返すことにより、厚さ約0.6μmの
樹脂層をスライドガラスの表面に形成した。この樹脂層
は透明な薄い黄色であった。こうして作製した樹脂層に
紫外線ランプを用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ、樹脂層は黄色から無色透明に変化した。その後、
この樹脂層の表面に厚さ100μmのポリエチレンテレ
フタレートシートを置き、エポキシ系接着剤を用いてガ
ラスとシートを貼り付け、外部の水分が樹脂層に侵入し
ないように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素
子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月
保存しても素子は無色透明であり、全く発色は見られな
かった。
【0097】ところが、この素子を6℃の冷蔵庫から2
5℃、60%RHおよび25℃、80%RHの部屋へそ
れぞれ取り出したところ、ともに約1時間で赤紫色に発
色することが確認された。これは、Au微粒子が成長し
たことによる微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色した樹脂層の色は再度低
温にしても消えることはなかった。生成したAu微粒子
の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さいことが確認
された。
【0098】樹脂にポリビニルアルコールを用いると、
均一で透明性に優れており、またコスト的にも非常に有
利である。種々の金属微粒子の中では、Au微粒子を用
いた感熱発色素子による発色が最もコントラストが高く
鮮明であった。
【0099】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは45分で、25℃、80%
RHでは24分で発色が観察され、湿度の影響を受けて
いることが確認された。また、HAuCl4に代えてN
aAuCl4を用いてもAu微粒子の表面プラズモン吸
収に基づく発色が確認された。
【0100】また、ポリビニルアルコールに代えて、ポ
リビニルブチラール、ポリアクリル酸、ポリスチレン、
アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマーまたはフッ
素樹脂を用いた点を除いては、上記と同様にして厚さ
0.6μmの薄い黄色を呈した樹脂層をスライドガラス
の表面に形成した。この樹脂層に紫外線ランプを用いて
室温で5分間光照射を行なったところ、樹脂層は無色透
明になった。その後、この樹脂層の表面に厚さ100μ
mのポリエチレンテレフタレートシートを置き、エポキ
シ系接着剤を用いてガラスとシート部分とを貼り付け、
外部の水分が樹脂層に侵入しないように保護層を形成し
た。こうして得たた感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫
に保存した。この状態で2ヶ月保存しても素子は無色透
明であり、全く発色は見られなかった。
【0101】ところが、この素子を6℃の冷蔵庫から2
5℃、60%RHおよび25℃、80%RHの部屋へそ
れぞれ取り出したところ、ともに約1時間で赤紫色に発
色することが確認された。これは、室温でAu微粒子が
成長したことによる微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭
になったためである。また、一度着色した樹脂体の色は
再度低温にしても消えることはなかった。室温で生成し
たAu微粒子の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さ
いことが確認された。この場合も、用いた樹脂では特に
フッ素樹脂を用いると均一で透明なかつ機械的強度と耐
湿性に優れた樹脂層を作製することができた。
【0102】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは40分、25℃、80%R
Hでは25分で発色が観察され湿度の影響を受けている
ことが確認された。
【0103】(実施例7)実施例1の(表1)に示した
組成の金属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対して
Auが1重量%になるようにHAuCl4を添加後、室
温で撹拌し、担体である濾紙に塗布した。室温で5分間
乾燥後、60℃の温度で30分乾燥することにより濾紙
に無機物を担持した。この濾紙は薄い黄色を呈してい
た。こうして作製した濾紙に紫外線ランプを用いて室温
で30秒間光照射を行なったところ、濾紙は白色になっ
た。その後、この濾紙を透明な厚さ100μmのポリエ
チレンテレフタレートシート2枚で挟み込み、エポキシ
系接着剤で上下のシートを貼り合わせ、外部の水分が無
機物層に侵入しないように保護層を形成した。こうして
得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。こ
の状態で2ヶ月保存しても素子は無色透明であり、全く
発色は見られなかった。
【0104】ところが、この素子を6℃の冷蔵庫から2
5℃、60%RHおよび25℃、80%RHの部屋へそ
れぞれ取り出したところ、両条件下でほぼ同時に約1時
間で赤紫色に発色した。これは、Au微粒子が成長した
ことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になった
ためである。また、一度着色した素子の色は再度低温に
しても消えることはなかった。生成したAu微粒子の平
均粒径は8nmであり粒径分布も小さいことが確認され
た。この場合も、特にフッ素樹脂を用いると、均一で透
明かつ機械的強度と耐湿性に優れた樹脂層を作製するこ
とができた。
【0105】また、ポリエチレンテレフタレートシート
に代えて、カバーガラスやサファイアガラスを用いても
上記とほぼ同様の特性を有する感熱発色素子を作製する
ことができた。
【0106】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは49分で、25℃、80%
RHでは35分で発色が見られ湿度の影響を受けている
ことが確認された。
【0107】(実施例8)実施例1の(表1)に示した
組成の金属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対して
Auが1重量%になるようにHAuCl4を添加後、室
温で撹拌し、担体であるすりガラス(片面に接着剤層を
有した厚さ100μmのすりガラス)に塗布した。室温
で5分間乾燥後、60℃の温度で30分乾燥することに
より、すりガラスに無機物を担持した。このすりガラス
は薄い黄色を呈していた。こうして作製したすりガラス
に紫外線ランプを用いて室温で30秒間光照射を行なっ
たところ、すりガラスは無色透明になった。その後、こ
のすりガラスの接着剤層が形成されている面とは反対の
面に透明な厚さ100μmのポリエチレンテレフタレー
トシートをエポキシ系接着剤でガラスと貼り合わせ、外
部の水分が無機物層に侵入しないように保護層を形成し
た。こうして得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に
保存した。この状態で2ヶ月保存しても素子は無色透明
であり、全く発色は見られなかった。
【0108】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約1時間で
赤紫色に発色した。これは、室温でAu微粒子が成長し
たことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色した樹脂体の色は再度低
温にしても消えることはなかった。生成したAu微粒子
の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さいことが確認
された。この場合も、特にフッ素樹脂を用いると、均一
で透明なかつ機械的強度と耐湿性に優れた樹脂層を作製
することができた。
【0109】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは45分で、25℃、80%
RHでは30分で発色が見られ湿度の影響を受けている
ことが確認された。
【0110】(実施例9)実施例2の(表2)に示した
組成の金属アルコキシド混合溶液に、SiO2に対して
Auが1重量%になるようにHAuCl4を添加後、室
温で撹拌し、担体である白いガラステープ(片面に接着
剤層を有した厚さ100μmのガラス繊維布からなるテ
ープ)に塗布した。室温で5分間乾燥後、60℃の温度
で30分乾燥して無機/有機複合体を白いガラステープ
表面に担持した。このガラステープは透明な薄い黄色と
なった。こうして作製したガラステープに紫外線ランプ
を用いて室温で5分間光照射を行なったところ、ガラス
テープは黄色から白色になった。その後、このガラステ
ープの接着剤層が形成されている面とは反対の面に透明
な厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートシート
をエポキシ系接着剤でガラスと貼り合わせ、外部の水分
が無機/有機複合体層に侵入しないように保護層を形成
した。こうして得た感熱発色素子をすぐに6℃の冷蔵庫
に保存した。この状態で2ヶ月保存しても素子は無色透
明であり、全く発色は見られなかった。
【0111】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約1時間で
赤紫色に発色した。これは、室温でAu微粒子が成長し
たことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色すると再度低温にしても
樹脂体の色が消えることはなかった。生成したAu微粒
子の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さいことが確
認された。この場合も、樹脂のなかでは、フッ素樹脂を
用いると均一で透明なかつ機械的強度と耐湿性に優れた
樹脂層を作製することができた。
【0112】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは48分で、25℃、80%
RHでは33分で発色が見られ湿度の影響を受けている
ことが確認された。
【0113】(実施例10)実施例3の(表3)に示し
た組成の混合溶液に、樹脂に対してAuが2重量%にな
るようにAuHCl4を添加後、室温で撹拌し、担体で
ある濾紙に塗布した。室温で5分間乾燥後、60℃の温
度で30分乾燥することにより、濾紙に樹脂物を担持し
た。この濾紙は薄い黄色を呈していた。こうして作製し
た濾紙に紫外線ランプを用いて室温で30秒間光照射を
行なったところ、濾紙は無色透明になった。その後、こ
の濾紙を透明な厚さ100μmのポリエチレンテレフタ
レートシート2枚で挟み込み、エポキシ系接着剤で上下
のシートを貼り合わせ、外部の水分が濾紙に侵入しない
ように保護層を形成した。こうして得た感熱発色素子を
すぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2ヶ月保存
しても素子は無色透明であり、全く発色は見られなかっ
た。
【0114】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間で
赤紫色に発色した。これは、室温でAu微粒子が成長し
たことにより微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色すると再度低温にしても
樹脂体の色が消えることはなかった。生成したAu微粒
子の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さいことが確
認された。この場合も、樹脂のなかでは特にフッ素樹脂
を用いると均一で透明なかつ機械的強度と耐湿性に優れ
た樹脂層を作製することができた。
【0115】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは1時間45分で、25℃、
80%RHでは1時間20分で発色が見られ湿度の影響
を受けていることが確認された。
【0116】(実施例11)実施例3の(表3)に示し
た組成の混合溶液に、樹脂に対してAuが2重量%にな
るようにAuHCl4を添加後、室温で撹拌し、担体で
ある濾紙に塗布した。室温で5分間乾燥後、60℃の温
度で30分乾燥することにより、濾紙に樹脂を担持し
た。この濾紙は薄い黄色を呈していた。こうして作製し
た濾紙に紫外線ランプを用いて室温で30秒間光照射を
行なったところ濾紙は無色透明になった。その後、この
濾紙を透明な厚さ500μmのポリエチレンテレフタレ
ートシートとポリエチレン(50μm)/アルミ薄膜
(10オングストローム)/エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(エバール樹脂)(50μm)の多層構造か
らなるシートで挟み込み、樹脂の周囲にのみ短時間熱圧
着し上下のシートをはりあわせ、外部の水分が濾紙に侵
入しないように保護層を形成した。こうして得た感熱発
色素子をすぐに6℃の冷蔵庫に保存した。この状態で2
ヶ月保存しても素子は無色透明であり、全く発色は見ら
れなかった。
【0117】ところが、この感熱発色素子を6℃の冷蔵
庫から25℃、60%RHおよび25℃、80%RHの
雰囲気へそれぞれ取り出したところ、ともに約2時間で
赤紫色に発色した。これは、室温でAu微粒子が成長し
たことによる微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になっ
たためである。また、一度着色すると再度低温にしても
した樹脂体の色が消えることはなかった。室温で生成し
たAu微粒子の平均粒径は8nmであり粒径分布も小さ
いことが確認された。この場合も、樹脂のなかでは特に
フッ素樹脂を用いると均一で透明なかつ機械的強度と耐
湿性に優れた樹脂層を作製することができた。
【0118】なお、保護層を設けない感熱発色素子で
は、25℃、60%RHでは1時間50分で、25℃、
80%RHでは1時間10分で発色が見られ湿度の影響
を受けていることが確認された。
【0119】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、感熱発色層を湿度から保護するための保護層を形
成しているため、外部の湿度の影響を受けず、温度変化
によってのみ不可逆的に微小金属微粒子が成長して感熱
発色層が発色する。したがって、保冷システムや冷蔵、
冷凍食品の温度管理等を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の感熱発色素子の一形態の断面図であ
る。
【図2】 本発明の感熱発色素子の一形態の断面図であ
る。
【図3】 従来の感熱発色素子の断面図である。
【符号の説明】
1 微小金属微粒子 2 固体マトリックス 3 基体 4 保護層 5 担体 6 接着剤層 7 感熱発色層

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度変化により不可逆的に成長する微小
    金属微粒子が分散した固体マトリックスからなる感熱発
    色層と、前記感熱発色層への水分の侵入を抑制するため
    の保護層とを含むことを特徴とする感熱発色素子。
  2. 【請求項2】 固体マトリックスが、無機物、無機/有
    機複合体および樹脂から選ばれるいずれかである請求項
    1に記載の感熱発色素子。
  3. 【請求項3】 無機物が、酸化珪素、酸化アルミニウム
    および酸化チタンから選ばれる少なくとも一つである請
    求項2に記載の感熱発色素子。
  4. 【請求項4】 無機/有機複合体を構成する無機物が、
    酸化珪素、酸化アルミニウムおよび酸化チタンから選ば
    れる少なくとも一つであり、前記無機/有機複複合体を
    構成する有機物が、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エ
    ステルおよびポリエチレンオキシドから選ばれる少なく
    とも一つである請求項2に記載の感熱発色素子。
  5. 【請求項5】 樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリビ
    ニルブチラール、ポリスチレン、ポリアクリル酸、アク
    リロニトリル/スチレン共重合ポリマーおよびフッ素樹
    脂から選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の
    感熱発色素子。
  6. 【請求項6】 感熱発色層を支持する基体をさらに含む
    請求項1〜5のいずれかに記載の感熱発色素子。
  7. 【請求項7】 感熱発色層を支持し、粘着層または接着
    層を備えた担体をさらに含む請求項1〜5のいずれかに
    記載の感熱発色素子。
  8. 【請求項8】 微小金属微粒子が、金、白金、銀、銅、
    錫、ロジウム、パラジウムおよびイリジウムから選ばれ
    る少なくとも一つである請求項1〜7のいずれかに記載
    の感熱発色素子。
  9. 【請求項9】 感熱発色層が10〜25℃から選択され
    る所定範囲の発色温度以上で発色するように、微小金属
    微粒子の分散濃度を調整した請求項1〜8のいずれかに
    記載の感熱発色素子。
  10. 【請求項10】 温度履歴により感熱発色層が呈する色
    が相違する請求項1〜9のいずれかに記載の感熱発色素
    子。
  11. 【請求項11】 保護層が、樹脂、ガラス、セラミック
    スおよび無機/有機複合体から選ばれるいずれかである
    請求項1〜10のいずれかに記載の感熱発色素子。
  12. 【請求項12】 感熱発色層が、外部雰囲気から遮蔽さ
    れている請求項1〜11のいずれかに記載の感熱発色素
    子。
  13. 【請求項13】 保護層がない場合と比較して、外部雰
    囲気の湿度による、感熱発色層が発色するまでの時間の
    相違が緩和されている請求項1〜12のいずれかに記載
    の感熱発色素子。
  14. 【請求項14】 温度変化による微小金属微粒子の不可
    逆的な成長により、感熱発色層が前記微小金属微粒子の
    表面プラズモン吸収に基づく発色を示す請求項1〜13
    のいずれかに記載の感熱発色素子。
  15. 【請求項15】 金属イオン、マトリックス形成材料、
    水およびアルコールを含む原料混合物を調製する工程
    と、前記原料混合物において前記マトリックス形成材料
    から固体マトリックスを生成させる工程と、前記固体マ
    トリックスに紫外線を照射して前記アルコールを還元剤
    として作用させることにより、前記金属イオンを還元し
    て前記固体マトリックス中に微小金属微粒子が分散した
    感熱発色層を形成する工程と、前記感熱発色層への水分
    の侵入を抑制するための保護層を形成する工程と、を含
    むことを特徴とする感熱発色素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 原料混合物がマトリックス形成材料と
    して金属アルコキシドを含むゾルであり、前記ゾルにお
    ける前記金属アルコキシドの加水分解反応により、無機
    物である固体マトリックスを生成させる請求項15に記
    載の感熱発色素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 原料混合物がマトリックス形成材料と
    して金属アルコキシドおよび有機物を含む原料溶液であ
    り、前記原料溶液における前記金属アルコキシドの加水
    分解反応、または前記加水分解反応および前記有機物の
    重合反応により、無機/有機複合体である固体マトリッ
    クスを生成させる請求項15に記載の感熱発色素子の製
    造方法。
  18. 【請求項18】 原料混合物がマトリックス形成材料と
    して樹脂材料を含む原料溶液であり、前記固体マトリッ
    クスが前記樹脂材料から生成した樹脂である請求項15
    に記載の感熱発色素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 固体マトリックスを生成させる工程の
    前に、基体上に、原料混合物からなる層を形成する工程
    をさらに含む請求項15〜18のいずれかに記載の感熱
    発色素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 固体マトリックスを生成させる工程の
    前に、粘着層または接着層を含む担体上に、原料混合物
    からなる層を形成する工程をさらに含む請求項15〜1
    8のいずれかに記載の感熱発色素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 原料混合物からなる層を、浸漬法、塗
    布法およびスピンコート法から選ばれる少なくとも一つ
    の方法により形成する請求項19または20に記載の感
    熱発色素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 感熱発色層が10〜25℃から選択さ
    れる所定範囲の発色温度以上で発色するように、原料混
    合物において、微小金属微粒子となる金属イオンの濃度
    を調整する請求項15〜21のいずれかに記載の感熱発
    色素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 保護層を、貼付法、塗布法およびスピ
    ンコート法から選ばれる少なくとも一つの方法により形
    成する請求項15〜22のいずれかに記載の感熱発色素
    子の製造方法。
  24. 【請求項24】 感熱発色層が外部雰囲気から遮蔽され
    るように保護層を形成する請求項15〜23のいずれか
    に記載の感熱発色素子。
  25. 【請求項25】 温度変化による微小金属微粒子の不可
    逆的な成長により、感熱発色層が前記微小金属微粒子の
    表面プラズモン吸収に基づく発色を示すように、固体マ
    トリックス中に前記微小金属微粒子を分散させる請求項
    15〜24のいずれかに記載の感熱発色素子。
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WO2011108342A1 (ja) 2010-03-01 2011-09-09 新日鐵化学株式会社 金属微粒子複合体及びその製造方法
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