JP2000034475A - 感熱発色素子及びその製造方法 - Google Patents

感熱発色素子及びその製造方法

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JP2000034475A
JP2000034475A JP10201577A JP20157798A JP2000034475A JP 2000034475 A JP2000034475 A JP 2000034475A JP 10201577 A JP10201577 A JP 10201577A JP 20157798 A JP20157798 A JP 20157798A JP 2000034475 A JP2000034475 A JP 2000034475A
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浩 菅野
Ichiro Tanahashi
一郎 棚橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一素子上に複数の異なる感度領域を有する感
熱発色素子が容易に製造できない。 【解決手段】 シリカゲルをマトリックスとして金イオ
ンを分散した感熱発色材料原液を濾紙上に担持、乾燥し
感熱発色材料層を形成した。感熱発色材料層を2種類の
領域に分割し、異なる紫外線透過率(75%と20%)
を有する粘着テープを各領域にそれぞれ貼り付けた後、
同強度の紫外線を同一時間照射し金イオンを金微粒子へ
と光還元した。上記方法で製造した素子を室温に放置し
た場合、紫外線透過率が高い粘着テープを貼付した領域
は1時間で紫色に発色したが、紫外線透過率が低い粘着
テープを貼付した領域は発色までに10時間を要した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属微粒子が示す
表面プラズモン吸収を利用した感熱発色素子に関するも
のであり、例えば保冷システムや冷蔵、冷凍食品の温度
管理などの低温物流業界で利用されうるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属イオンの表面プラズモン吸収
を利用した感熱発色材料として、特願平09−5274
88号公報に開示されているものがあり、その感熱表示
材料は図4(a)に示すように、マトリックス2中に金
属微粒子7を分散する構造をとっており、マトリックス
中での金属微粒子の拡散凝集による粒径成長反応の温度
依存性を利用している。金属微粒子は、粒径が数nm以
下の場合は可視光を殆ど吸収しないが、粒径が数nm程
度まで成長した場合は表面プラズモン吸収により特定波
長の光を吸収するため、粒径の成長により材料色調の変
化が起こる。また、表面プラズモン吸収を示す粒径の金
属微粒子のマトリックス中での分散濃度が高くなると、
光の吸収が増え材料の発色は濃くなる。発色の有無、発
色程度の濃さより、材料が放置されていた温度履歴の検
知が可能となる。
【0003】また、図4(b)(c)に示すように、異
なる感熱発色特性の感熱発色材料層を同一基体上に複数
領域形成し、複数の感度を同一素子上に集積した感熱発
色素子も同様に提案されている。このような素子を利用
すると、異なる感度の発色の有無、発色濃さの比較によ
って、より詳細な温度履歴の感知が可能となる。このよ
うな素子は、複数の異なる領域において、マトリックス
中の金属微粒子の分散濃度を変化させた構造(図4
(b))、もしくはマトリックス中での金属微粒子の拡
散凝集反応の起こり易さを変化させた構造(図4
(c))のいずれかにより製造可能である。
【0004】金属微粒子の分散濃度を変化させるため
に、特願平09−527488号公報では以下の2つの
製造方法が示されている。
【0005】1つは、紫外線照射により金属微粒子へと
光還元される、金属イオンのマトリックス中での分散濃
度が異なる材料を使用する方法である。もう一つは、金
属イオンを紫外線照射により光還元する際の紫外線照射
条件を変化させる方法である。異なる紫外線強度の光源
を用いる、異なる時間紫外線を照射する、などの方法に
より、異なる条件の光還元を行うことができる。いずれ
の方法によっても、図4(b)に示すように、異なる金
属微粒子分散濃度の感熱発色材料層8−A、8−Bが形
成される。
【0006】また、マトリックス中での金属微粒子の拡
散凝集反応の起こり易さを制御する方法として、特願平
09−527488号公報では同様に、基体上に担持し
た発色材料層の乾燥条件を変化させる方法を示してい
る。異なる乾燥条件で乾燥させた発色層では、マトリッ
クス中に含まれる水分や、アルコール分などが異なるた
め、マトリックス中での微粒子の拡散凝集反応の起こり
易さも変化する。この方法によると、図4(c)に示す
ように、金属微粒子の分散濃度は等しいが、拡散凝集反
応のしやすさが異なるマトリックスからなる感熱発色材
料層9−A、9−Bが形成される。
【0007】以上の方法により、一素子上に複数の感度
領域を有する感熱発色素子が製造されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
感熱発色素子を製造する製造方法では、次のような課題
がある。
【0009】すなわち、同一基体上に担持された異なる
領域の感熱発色材料層に、異なる感熱発色特性をもたせ
ることが困難である。
【0010】材料コストという面からも、また低温物流
商品へ貼り付けることを考慮すると、素子の大きさは数
cm2程度以下に限られる。数cm2程度の素子表面を複
数領域に分割し、異なる条件で光還元する、もしくは異
なる条件で乾燥処理する、もしくは異なる組成の感熱発
色材料を別々に担持する、ことはいずれも生産性の面か
ら好ましくなく、生産性が高い方法で異なる感度の感熱
発色材料を同一基体上へ形成する必要があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、マトリックス
中に微小金属微粒子を分散し、感熱発色特性を有する材
料を用いた感熱発色素子に関するものであり、特に一素
子で複数感度領域を有する感熱発色素子、もしくは同素
子の製造方法に関するものである。本発明の感熱発色素
子の使用により、冷蔵、冷凍食品の移送中、もしくは保
存中における温度履歴、すなわち食品の温度が低温から
一度でも室温に上昇していなかったかどうか、またどの
程度の温度環境に放置されていたかの判別が容易とな
り、また本発明の製造方法では、上記特徴を有する感熱
発色素子を容易に製造可能とする。
【0012】上記課題を解決するために、本発明の感熱
発色素子は、金属イオンをマトリックス形成材料に分散
されてなる感熱発色材料層を基体上に有し、前記感熱発
色材料層を複数の異なる感度を有する領域に分類し、各
領域の表面にそれぞれ異なる紫外線透過率を有する保護
層を被覆し、前記感熱発色材料層中の金属イオンを紫外
線照射により光還元することにより、各領域において金
属微粒子分散濃度を変化させたことを特徴とするもので
ある。
【0013】なお、本発明の感熱発色素子のより好まし
い例としては、同一材料、同一厚さでなる同一の保護層
を異なる層数積層した構造を用いると、生産コストの低
減が可能となる。
【0014】本発明の感熱発色素子において、発色材料
層全面を必ずしも保護層で被覆する必要はなく、保護層
を設けない領域と、保護層を設けた領域の発色特性の差
違によっても、複数の異なる感度領域を一素子上に形成
した効果を得ることが可能である。
【0015】また、本発明の感熱発色素子において、金
属材料としては、金、白金、銀、銅、錫、ロジウム、パ
ラジウムまたはイリジウムから選ばれる少なくとも1つ
であることが好ましい。
【0016】また、本発明の感熱発色素子において、金
属イオンを分散するマトリックス物質は、無機物質、無
機/有機複合体、樹脂からなる群より選択される。無機
物質、もしくは無機/有機複合体を構成する無機物材料
として、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタンから
選ばれる少なくとも1つであり、有機物としてポリアク
リル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレンオキシ
ドから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、樹脂層が、ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、アクリロニ
トリル/スチレン共重合ポリマー、フッ素樹脂から選ば
れる少なくとも1つであることが好ましい。
【0017】また、本発明の感熱発色素子において、金
属イオン同様、α−水素含有アルコールをマトリックス
形成材料に分散することが好ましい。α−水素含有アル
コールの例としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコールなどが挙げられる。
【0018】また、本発明の感熱発色素子において、保
護層としては、任意の紫外線透過率を有し、可視光を吸
収しない材料で形成されることが好ましい。ここで所望
の感熱発色特性に応じて、設定される保護層の紫外線透
過率は任意に選択されうる。代表的な保護層形成物の例
としては、市販のセロハンテープが使用可能である。
【0019】上記課題を解決するために、本発明の感熱
発色素子の製造方法は、感熱発色材料の原液を調製する
工程、原液を任意の基体に担持し、感熱発色材料層を形
成する工程、素子の少なくとも2種類以上の異なる領域
において、異なる紫外線透過率を有する保護層を発色層
表面に被覆する工程、紫外線照射により発色層内の金属
イオンを光還元する工程、を包含するものである。
【0020】本製造方法により製造される感熱発色素子
は、一素子上に異なる複数の感度領域を有することが可
能となる。これは、紫外線透過率が異なる保護層下に形
成された発色材料層においては光還元される金属イオン
の量が異なるため、感熱発色材料層中の金属微粒子分散
濃度が異なってくるからである。本素子の使用により、
感熱発色の定量的な評価、すなわち、本素子が高温に曝
されたかどうかが分かるだけでなく、どの程度の温度に
曝されたか、もしくはどの程度の時間曝されていたか、
を定量的に評価することが可能となる。また、異なる複
数の感度領域を一素子上に集積した感熱発色素子の製造
方法として用いられていた、紫外線強度の変調、紫外線
照射時間の変調、異なる組成の感熱発色材料の担持、異
なる条件での乾燥処理、などと比較して容易な工程で製
造可能であり、より生産性が向上するという有利な効果
が得られる。
【0021】また、本発明の感熱発色素子の製造方法に
おいて、異なる領域に形成する保護層の形成層数をそれ
ぞれ変化させることにより、複数の感熱特性を同一基体
上に有する感熱発色素子を容易に提供することが可能で
ある。
【0022】また、本発明の感熱発色素子の製造方法に
おいて、保護層形成工程において必ずしも素子表面全域
に保護層を設ける必要はなく、任意の紫外線透過率を有
する保護層の有無によって異なる感度領域表面の紫外線
透過率変調を行った場合も、同様の効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】<感熱発色素子>本発明の感熱発
色素子について、以下に説明する。
【0024】本発明は、複数の異なる感度の感熱発色材
料を一素子中に有する感熱発色素子に関するものであ
り、図1(b)に示すように、同一基体3上に形成され
た感熱発色材料層が異なる感熱発色特性を有する領域
(ここでは、6−Aと6−B)に分割されており、各表
面には、異なる紫外線透過率を有する保護層(5−Aと
5−B)を形成することを特徴とするものである。
【0025】金属微粒子の表面プラズモン吸収を利用し
た感熱発色素子は、材料層中に包含される金属イオンを
紫外線照射によって光還元することにより製造される
が、本発明の感熱発色素子においては、同一組成の感熱
発色材料原液を基体上に担持し、同一条件で素子を一様
に乾燥処理し、同一強度の紫外線を同一時間照射するこ
とによった後でも、一素子中に複数の異なる感度を有す
る感熱発色素子が容易に可能となる。
【0026】また、図2に示すように、異なる領域表面
に形成する保護層の層数を変化させた構造の感熱発色素
子においては、異なる感度領域の感熱発色材料層表面に
形成する保護層の紫外線透過率変調が容易に行えるだけ
でなく、材料数の低減によりコストの低減がはかれる。
【0027】<感熱発色素子の製造方法>本発明の感熱
発色素子の製造方法について、以下に説明する。
【0028】本発明は、金属イオン、α−水素含有アル
コールを含有した感熱発色材料の原液を調製する工程、
原液を基体上に担持し感熱発色材料層を形成する工程、
感熱発色材料層の表面の少なくとも一部に保護層を設け
る被覆工程、感熱発色材料層中の金属イオンを紫外線照
射により光還元し感熱発色層を形成する工程からなる感
熱発色素子の製造方法であり、基体上に形成された感熱
発色材料塗布領域を少なくとも2箇所以上の領域に分類
し、異なる領域において感熱発色材料層表面を被覆する
保護層の紫外線透過率を異なる値に設定することを特徴
とするものである。
【0029】図1に本発明の製造方法により製造される
感熱発色素子の構造図を示す。図1(a)は、光還元工
程前の本素子の構造図であり、金属イオン1をマトリッ
クス形成材料2に分散した構造の感熱発色材料が、基体
3上に担持され、感熱発色材料層4を形成するものであ
る。感熱発色材料層4表面には任意の紫外線透過率を示
す保護層5が形成されているが、異なる領域6−Aと6
−Bに形成された保護層5−Aと5−Bは異なる値の紫
外線透過率を示すよう設計されている。
【0030】図1(b)は光還元工程後の本素子の構造
図である。仮に異なる領域AおよびB内の金属イオンに
対して同一強度、同一時間の紫外線照射が行われた場合
においても、保護層の紫外線透過率の違いにより、イオ
ンの光還元量は変化する。よって、光還元により形成さ
れた感熱発色層6中の金属微粒子7の分散濃度が異な
る、すなわち異なる特性を有する感熱発色層が同一基体
上に形成された構造となる。
【0031】ここで、異なる領域に形成する保護層の紫
外線透過率を変化させる方法としては、以下に述べる3
種類の方法が選択可能である。
【0032】第一の方法としては、異なる領域に形成す
る保護層の材料を異なる紫外線透過率を有する材料に設
定する方法があげられる。本構造により、同一強度の紫
外線照射による光還元工程によって、異なる感熱発色特
性の感熱発色材料層の同一基体上への形成が可能とな
る。
【0033】第二の方法としては、異なる領域に形成す
る保護層の層数をそれぞれ異なる値にすることにより、
保護層の紫外線透過率を変化させる方法があげられる。
本方法により製造される感熱発色素子の構造図を図2に
示す。図2において、異なる領域6−Aと領域6−Bに
形成された保護層5−Aと5−Bの保護層の層数が異な
る値に設定される。本構造により、同一強度の紫外線照
射による光還元工程によって、異なる感熱発色特性の感
熱発色材料層の同一基体上への形成が可能となる。
【0034】第三の方法としては、少なくとも一部の領
域の感熱発色材料層表面には保護層を設けないことによ
り、保護層を形成した領域の紫外線透過率と異なる値を
得る方法である。図3に示すように本方法で製造される
感熱発色素子は、一部の領域6−Aにおいては、紫外線
透過率が100%ではない任意の保護層5−Aを表面に
有するが、別の領域6−Bにおいては、感熱発色材料表
面に保護層が形成されていない。本構造により、同一強
度の紫外線照射による光還元工程によって、異なる感熱
発色特性の感熱発色材料層の同一基体上への形成が可能
となる。
【0035】保護層5の紫外線透過率は所望の特性によ
って、任意に設定可能であり、保護層の形成材料も任意
の紫外線透過率を示す材料から選択されうる。また、保
護層は低温放置時の結露から感熱発色材料層を保護する
ため、耐湿性を有することが好ましい。また、発色程度
が明確に表示され得るように、可視光に対して高い透過
率を有することが好ましい。
【0036】保護層材料の代表的な例としては、市販の
セロテープが使用可能である。市販されているセロテー
プは、70%程度の紫外線透過率と95%以上の可視光
透過率を有している。このため、本発明の製造方法にお
いて使用可能である。なお、ここで紫外線透過率とは、
水銀ランプからの発光波長(254nm)に対する値を
示している。
【0037】マトリックス中の微粒子部分の分散量は、
特に限定するものではないが、粒径制御の容易な、ま
た、微粒子の凝集等が生じ難い、0.01〜20 wt%
程度、好ましくは0.01〜10 wt%程度がよい。
もし凝集が生じると、層の一部分だけが濃く色変化を起
こすことになるため、温度変化の有無を確実に確認する
ことが困難になる。
【0038】また、成長後の微粒子の平均粒径は、種類
により異なるが、例えば通常1nm〜100nmの範囲
が好ましく、特に粒径の分布を小さくして均一な着色の
ためには3nm〜80nmの範囲がより好ましい。
【0039】また、微粒子金属が、金、白金、銀、銅、
錫、ロジウム、パラジウムまたはイリジウムから選ばれ
る少なくとも1つであるという本発明の好ましい例によ
れば、これらの金属は、プラズモン吸収に基づく発色を
示し、他の金属に比べて酸素やその他の不純物による影
響を受け難く、比較的純粋な微粒子を析出させることが
可能となるため、優れた発色特性の感熱発色素子が製造
可能となる。
【0040】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。なお、
本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0041】(実施例1)以下の表1で示される材料で
構成される溶液を調製した。
【0042】
【表1】
【0043】上記混合溶液にHAuCl4をSiO2に対
してAuが0.8 wt%になるように添加後撹拌し
た。撹拌した混合液を濾紙上に塗布したものを2日間室
温で乾燥した後、さらに60 ℃の温度で48時間乾燥
した。濾紙は厚さ0.5mmのシリカ濾紙であり、2c
m×1cmのサイズのものを用いた。混合液塗布前の濾
紙は白色であったが、塗布後は金イオンが示す黄色を帯
び、乾燥後は黄色がやや薄くなった。
【0044】乾燥後の濾紙を1cm四方の領域2箇所に
分割し、領域5−A、及び5−Bとした。感熱発色材料
層表面には市販のセロテープ、およびアセテートフィル
ムテープを保護層として貼付した。セロテープの紫外線
透過率は75%、アセテートフィルムテープの紫外線透
過率は10%であった。領域5−A上にはセロテープ
を、領域5−B上にはアセテートフィルムテープを貼付
した。
【0045】次に、両領域に市販の5Wの殺菌灯を用い
て、紫外線を5分間照射した。素子表面での紫外線照射
強度は、5mW/cm2であった。照射後の両領域の色
調は領域5−Aは白色、5−Bも白みがかっていたがか
すかに薄い黄色と識別された。これは、保護層の紫外線
透過率が高かった領域5−Aにおいては、より強い強度
の紫外線照射が起こったため、光還元された金イオンの
濃度が高かったのに比べ、領域5−Bにおいては、光還
元された金イオンの量が少ないため、金イオンの有する
黄色が確認されたものである。
【0046】上記方法で製造された感熱発色素子を室温
に放置したところ、領域5−A部分は、1時間で紫色へ
変色し、放置時間の延長と共に紫色は濃くなった。一
方、領域5−B部分は、20時間後に発色が始まった。
【0047】上記方法で製造した感熱発色素子は、再現
性よく同様の感熱発色特性を示した。
【0048】上記方法で製造した感熱発色素子を冷蔵輸
送中の低温輸送商品に貼付し輸送した。輸送中に商品の
品温が一旦室温に上昇した。輸送後の本素子は、領域5
−A部分のみが薄く発色していた。このことから、商品
が室温に曝された時間は1時間以上、20時間以内であ
ることが分かった。また、領域5−A部分の発色濃さよ
り、室温に曝された時間が3時間程度であることが分か
った。
【0049】なお、上記実施例では、無機物質をマトリ
ックス形成材料として用いたが、無機/有機複合体や、
樹脂物質を用いた場合においても同様の効果が得られ
た。
【0050】(実施例2)表1に示した材料を混合した
溶液にHAuCl4をSiO2に対してAuが0.8 w
t%になるように添加後撹拌した。撹拌した混合液を濾
紙上に塗布したものを2日間室温で乾燥した後、さらに
60 ℃の温度で48時間乾燥した。濾紙は厚さ0.5
mmのシリカ濾紙であり、2cm×1cmのサイズのも
のを用いた。混合液塗布前の濾紙は白色であったが、塗
布後は金イオンが示す黄色を帯び、乾燥後は黄色がやや
薄くなった。
【0051】乾燥後の濾紙を1cm四方の領域2箇所に
分割し、領域5−A、及び5−Bとした。感熱発色材料
層表面には市販のセロテープを保護層として貼付した。
セロテープの紫外線透過率は75%であった。領域5−
A上にはセロテープを1枚、領域5−B上には2枚貼付
した。
【0052】次に、両領域に市販の5Wの殺菌灯を用い
て、紫外線を5分間照射した。素子表面での紫外線照射
強度は、5mW/cm2であった。照射後の両領域の色
調は領域5−Aは白色、5−Bも白みがかっていたがか
すかに薄い黄色と識別された。これは、保護層の紫外線
透過率が高かった領域5−Aにおいては、より強い強度
の紫外線照射が起こったため、光還元された金イオンの
濃度が高かったのに比べ、領域5−Bにおいては、光還
元された金イオンの量が少ないため、金イオンの有する
黄色が確認されたものである。
【0053】上記方法で製造された感熱発色素子を室温
に放置したところ、領域5−A部分は、1時間で紫色へ
変色し、放置時間の延長と共に紫色は濃くなった。一
方、領域5−B部分は、5時間後に発色が始まった。
【0054】上記方法で製造した感熱発色素子は、再現
性よく同様の感熱発色特性を示した。
【0055】上記方法で製造した感熱発色素子を冷蔵輸
送中の低温輸送商品に貼付し輸送した。輸送中に商品の
品温が一旦室温に上昇した。輸送後の本素子は、領域5
−A部分のみが薄く発色していた。このことから、商品
が室温に曝された時間は1時間以上、5時間以内である
ことが分かった。また、領域5−A部分の発色濃さよ
り、室温に曝された時間が3時間程度であったことが分
かった。
【0056】(実施例3)表1に示した材料を混合した
溶液にHAuCl4をSiO2に対してAuが0.8 w
t%になるように添加後撹拌した。撹拌した混合液を濾
紙上に塗布したものを2日間室温で乾燥した後、さらに
60 ℃の温度で48時間乾燥した。濾紙は厚さ0.5
mmのシリカ濾紙であり、2cm×1cmのサイズのも
のを用いた。混合液塗布前の濾紙は白色であったが、塗
布後は金イオンが示す黄色を帯び、乾燥後は黄色がやや
薄くなった。
【0057】乾燥後の濾紙を1cm四方の領域2箇所に
分割し、領域5−A、及び5−Bとした。領域5−Bに
は市販のセロテープを保護層として貼付した。セロテー
プの紫外線透過率は75%であった。
【0058】次に、両領域に市販の5Wの殺菌灯を用い
て、紫外線を3分間照射した。素子表面での紫外線照射
強度は、5mW/cm2であった。照射後の両領域の色
調は領域5−Aは白色、5−Bも白みがかっていたがか
すかに薄い黄色と識別された。これは、保護層の紫外線
透過率が高かった領域5−Aにおいては、より強い強度
の紫外線照射が起こったため、光還元された金イオンの
濃度が高かったのに比べ、領域5−Bにおいては、光還
元された金イオンの量が少ないため、金イオンの有する
黄色が確認されたものである。
【0059】上記方法で製造された感熱発色素子を室温
に放置したところ、領域5−A部分は、30分で紫色へ
変色し、放置時間の延長と共に紫色は濃くなった。一
方、領域5−B部分は、3時間後に発色が始まった。
【0060】上記方法で製造した感熱発色素子は、再現
性よく同様の感熱発色特性を示した。
【0061】上記方法で製造した感熱発色素子を冷蔵輸
送中の低温輸送商品に貼付し輸送した。輸送中に商品の
品温が一旦室温に上昇した。輸送後の本素子は、領域5
−A部分のみが薄く発色していた。このことから、商品
が室温に曝された時間は30分間以上、3時間以内であ
ることが分かった。また、領域5−A部分の発色濃さよ
り、室温に曝された時間が1時間程度であることが分か
った。
【0062】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の感熱発色素
子、および感熱発色素子の製造方法によれば、基体上に
形成した感熱発色材料層表面上に保護層を形成し、上記
保護層の紫外線透過率を異なる値に設定した領域を設け
ることにより、紫外線照射によって光還元される金属イ
オンのマトリックス中での分散濃度を異なる値に設定す
ることが可能となり、異なる感熱発色特性を有する感熱
発色材料層を同一基体上に有する感熱発色素子の提供が
容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱発色素子の製造方法により製造さ
れる感熱発色素子の構造図
【図2】本発明の感熱発色素子の製造方法により製造さ
れる感熱発色素子の構造図
【図3】本発明の感熱発色素子の製造方法により製造さ
れる感熱発色素子の構造図
【図4】従来の感熱発色素子の構成図
【符号の説明】
1 金属イオン 2 マトリックス形成材料 3 基体 4 感熱発色材料層 5 保護層 5−A 領域6−A表面に形成される保護層 5−B 領域6−B表面に形成される保護層 6−A 感熱発色材料層の領域 6−B 6−Aとは異なる感熱発色特性を有する領域 7 金属微粒子 8−A,8−B 金属微粒子の分散濃度が異なる感熱発
色材料層 9−A,9−B 金属微粒子の拡散凝集反応のしやすさ
が異なる感熱発色材料層
フロントページの続き (72)発明者 小原 直樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H026 AA07 AA25 BB50 FF01 FF11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンをマトリックス中に分散して
    なる感熱発色材料層を基体上に有し、前記感熱発色材料
    層を少なくとも2種類以上の領域に分け、各領域の前記
    感熱発色材料層表面をそれぞれ異なる紫外線透過率を有
    する保護層で被覆し、前記金属イオンを紫外線照射によ
    り光還元してなる金属微粒子が前記各領域において異な
    る濃度で分散された構造を有する感熱発色素子。
  2. 【請求項2】 感熱発色材料層の各領域において、前記
    感熱発色材料層表面に形成する保護層の層数を変化させ
    ることを特徴とする請求項1に記載の感熱発色素子。
  3. 【請求項3】 金属イオンをマトリックス形成材料に分
    散されてなる感熱発色材料層を基体上に形成する工程、
    前記材料層を少なくとも2種類以上の領域に分け、異な
    る領域の前記感熱発色材料層表面をそれぞれ異なる紫外
    線透過率を有する保護層により被覆する工程、前記感熱
    発色材料層中の前記金属イオンを紫外線照射により光還
    元し、熱の付与により不可逆に粒径が増大し発色する金
    属微粒子を分散した感熱発色材料層を形成する工程、を
    包含する感熱発色素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 感熱発色材料層の複数の異なる領域にお
    いて、前記感熱発色材料層表面に形成する保護層の層数
    を変化させることにより、保護層の紫外線透過率を変化
    させることを特徴とする請求項3に記載の感熱発色素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 複数の異なる領域において、保護層が存
    在しない領域を少なくとも一部に形成することを特徴と
    する請求項3に記載の感熱発色素子の製造方法。
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