JPH0643500A - 調光性合わせガラス - Google Patents

調光性合わせガラス

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Publication number
JPH0643500A
JPH0643500A JP10243693A JP10243693A JPH0643500A JP H0643500 A JPH0643500 A JP H0643500A JP 10243693 A JP10243693 A JP 10243693A JP 10243693 A JP10243693 A JP 10243693A JP H0643500 A JPH0643500 A JP H0643500A
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JP
Japan
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laminated glass
transparent
light control
light
film
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Pending
Application number
JP10243693A
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English (en)
Inventor
Jiro Miyai
二郎 宮井
Shigeru Nomura
茂 野村
Toru Takahashi
徹 高橋
Satoshi Hayashi
聡史 林
Shoichi Nakada
昌一 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0643500A publication Critical patent/JPH0643500A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光の透過率を人為的に変化させることにより
透明と不透明の状態を環境温度に関係なく任意に得るこ
とができ、調光機能が劣化し難く、安価で安全な調光性
合わせガラスを提供すること。 【構成】 調光シートAが接着性樹脂2、3を介して2
枚の透明板1、4間に狭持されてなる調光性合わせガラ
ス。該調光シートAは、透明フィルム支持体5、6と、
該透明フィルム支持体5上に形成された調光層7と、該
調光層7の近傍位置に設けられた加熱装置8および/ま
たは冷却装置とを有する。さらに、該調光層7は、ある
温度範囲においてゾル−ゲル相転移を示すとともにゾル
状態とゲル状態とでその光線透過率が異なる高分子材料
と、水とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、建築物および
自動車の窓材に使用し得る調光性合わせガラスに関す
る。より詳細には、光線透過率を所望に応じて人為的に
調整でき、かつ非常に経時劣化が起こり難い調光性合わ
せガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、N−イソプロピルアクリル
(またはメタクリル)アミドの重合体と水とを含有する
組成物が、ある温度においてゾル−ゲル転移を示すこと
が知られている(特公昭61−7948号公報、特公平
1−38841号公報)。該技術は、この材料を天窓お
よび温室等の用途に用いることによって、高温時には材
料をゲル化させて光を遮り、低温時にはゾル化させて光
を透過することが可能なために、太陽光によって室内が
必要以上に昇温することを自動的に防止しようとするも
のである。しかし該技術によると、環境温度にかかわら
ず光の透過率を人為的に制御することは不可能であっ
た。
【0003】一方、人為的に光の透過率を制御できる調
光性ガラスとしては、ネマチック液晶調光物質が2枚の
透明板間に配設されて構成された調光性ガラスが挙げら
れる(特開平1−62615号公報)。これは液晶物質
に電界を印加することで光線透過率を制御するものであ
る。さらに、材料の酸化還元反応を利用して光線透過率
を調整するエレクトロクロミック材料を使用する方法、
および紫外線等の光エネルギーを利用したフォトクロミ
ック材料を使用する方法も探索されている(特開平2−
85274号公報)。しかしながら前者の液晶を用いる
方法では、一般に高価な液晶を用いるためその用途には
限界があり、また液晶の耐光性が不十分なため屋外に暴
露される窓材として用いるには有利ではない。一方、後
者のエレクトロクロミックおよびフォトクロミック材料
を用いる方法については、経時とともにその調光機能の
劣化が著しい。またこれらの方法で得られる調光ガラス
は、衝撃に対して容易に破壊しガラスが飛散するため、
危険である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光の透過率
を人為的に制御でき、非常に劣化しにくい調光機能を持
ち、かつ衝撃に対しても充分に耐え得る、安全でかつ安
価な合わせガラスを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の調光性合わせガ
ラスは、調光シートが接着性樹脂を介して2枚の透明板
間に狭持されており、該調光シートは、透明フィルム支
持体と、該透明フィルム支持体上に形成された調光層
と、該調光層の近傍位置に設けられた、加熱装置および
/または冷却装置とを有し、該調光層は、ある温度範囲
においてゾル−ゲル相転移を示すとともに、ゾル状態と
ゲル状態とでその光線透過率が異なる高分子材料と、水
とを含有することを特徴とし、そのことにより上記目的
が達成される。
【0006】次に、本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて使用される調光シートを構成する透明フィルム支
持体は、可視領域において透明であり、フィルム形成能
を有する高分子素材であれば、いずれによっても構成す
ることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン等
が挙げられる。
【0007】また、本発明において使用される調光シー
トを構成する調光層は、ある温度でゾル−ゲル転移を示
す高分子材料と水とから主として形成される。この高分
子材料の転移温度は周囲の温度(環境温度)に影響を与
えない温度範囲がよく、例えば0℃〜80℃が好まし
い。環境温度への影響を一層低減するためには、15〜
55℃の範囲とするのがさらに好ましい。
【0008】上記高分子材料としては、例えば、下記一
般式(I)、(II)および(III) で表されるポリマーが
挙げられる。
【0009】
【化1】 (式中、nは、20〜20, 000の整数を示し、R1
は、HまたはCH3 を表し、R2 は、CH3 、C2 5
またはC3 7 を表し、R3 は、H、CH3 、C2 5
またはシクロプロピル基を表す。)
【0010】
【化2】 (式中、nは、20〜20, 000の整数を示し、R4
は、HまたはCH3 を表し、R5 は、C4 8 またはC
5 10を表す。)
【0011】
【化3】 (式中、nは、20〜20, 000の整数を示し、m
は、1〜5の整数を示し、R6 は、HまたはCH3 を表
し、R7 は、CH3 またはC2 5 を表す。)
【0012】上記高分子材料の転移温度は、該高分子の
一次構造によるところが大きいが、例えば、上記一般式
(I)の構造を示すポリ−N−イソプロピルアクリルア
ミドおよびポリ−N−エチルアクリルアミドの転移温度
は、30℃および72℃であり、上記一般式(II)の構
造を示すポリ−N−アクリルピペリジンの転移温度は
5.5℃であり、また上記一般式(III) の骨格を示すポ
リエーテル系において、R7がメチル基であるポリビニ
ルメトキシエチルエーテルの転移温度は62℃、R7
エチル基であるポリビニルエトキシエチルエーテルの転
移温度は、20℃である。
【0013】上記高分子材料は、一般に、ラジカル重合
法およびカチオン重合法のいずれかの方法によって製造
し得る。ラジカル重合法においては、適当な開始剤の存
在下で重合を行うことができる。カチオン重合法におい
ては通常の重合条件でよいが、不安定な成長炭素カチオ
ンを安定化するルイス酸塩基を添加することが望まし
い。なぜなら、ルイス酸塩基を添加することにより分子
量分布をシャープにすることができ、ゲル−ゾルの変化
を短時間で行うことができるようになり、ひいては、遮
光・透光の切り替えを短時間で行うことが可能となるか
らである。一般に、上記一般式(I)および(II)で表
される高分子系はラジカル重合法によって製造され、一
方、上記一般式(III) で表される高分子系は、カチオン
重合法によって製造され得る。
【0014】上記高分子の分子量については特に特定す
るものではないが、1,000以上であることが望まし
い。さらに、分子量1,000〜10,000程度の高
分子材料を、架橋構造を形成し得る別のモノマーととも
に適当な架橋剤によってグラフト重合し、同時に架橋す
る。なお、架橋を行う場合、1分子当たり2箇所以上の
架橋度とすることが望ましい。
【0015】一般に上記高分子材料は水に溶解して使用
されるか、もしくは、架橋後にフィルム状に加工し、こ
のフィルムに水を含浸させて膨潤化した状態で使用され
る。なお、水の凍結を避けるため、NaCl等の無機塩
およびエチレングリコール等の高沸点の親水性溶剤が好
ましく添加される。
【0016】水溶液状態で用いる場合は、複数の透明フ
ィルム支持体を対向させて、2枚の透明フィルム支持体
の間にフレキシブルなスペーサーを介して空間を形成す
る。このようにして形成された空間に高分子材料の水溶
液を封入し、また周囲を適当なシール材により封止すれ
ば水溶液状態で調光層を形成することができる。なお、
水溶液における高分子材料の濃度は、0.1〜30重量
%であることが好ましい。この濃度の範囲外とすると透
明・不透明の切り替わりが生じないことがある。
【0017】また、上記高分子材料を膨潤化した状態で
使用する場合、まず、上記高分子材料を部分的に架橋し
てフィルム状に加工する。このフィルムに水を含浸させ
るとフィルムは膨潤状態となる。この場合、高分子材料
1重量部に対し、水を0.1〜0.5重量部とすること
が望ましい。この濃度の範囲外とすると透明・不透明の
切り替わりが生じないことがある。このフィルムを、バ
インダーを用いて上記透明フィルム支持体に貼り付ける
か、あるいは2枚の該透明フィルム支持体でこのフィル
ムを挟み、ラミネート構造のようにすることにより調光
層を形成し得る。該透明フィルム支持体が1枚の場合
は、水分の外部への離散を防止するために、フィルム表
面に加工防湿層を形成すればよい。
【0018】次に、本発明において使用される調光シー
トを構成する、加熱および冷却のための装置について述
べる。上記加熱装置は、例えば透明な導電性薄膜を上記
透明フィルム支持体上に形成し、導電性薄膜に通電する
ための手段(例えば、電源に接続された電極)を導電性
薄膜に接続することにより構成することができる。
【0019】より具体的には、少なくとも1枚の上記透
明フィルム支持体にITO(酸化インジウム及び酸化錫
の混合物)薄膜を成膜し、2枚の透明フィルム支持体で
ゾル−ゲル転移を示す上記調光層を挟み込んでラミネー
ト構造とし、ITO薄膜に電極を接続すれば、加熱装置
を備えた調光フィルム材が形成される。
【0020】なお、膨潤化状態の調光層を用いる場合
は、発熱体であるITO薄膜は調光層側に形成すること
が、調光層への伝熱効果を大きくすることができるため
好ましい。水溶液状態の調光層を用いる場合は、ITO
薄膜は上記透明フィルム支持体上に形成される。使用す
る導電性薄膜(ITO薄膜)の抵抗は10〜400オー
ム/sqであることが望ましい。10オーム/sq未満
では、ITOの薄膜の透明性が低下し、また400オー
ム/sqを越えるものは、必要な温度に上昇するのに時
間がかかりすぎるため、好ましくない。加熱装置の別の
実施態様として、上記透明フィルム支持体上にあらかじ
めニクロム線のような高抵抗線を網目状または平行に敷
き詰め加熱部とすることもまた、可能である。
【0021】また、上記冷却装置は、例えば、以下のよ
うにして形成される。ゾル−ゲル転移を示す調光層を2
枚の上記透明フィルム支持体で張り合わせた後、あるい
は水溶液状態の調光層を用いる場合は、複数の透明フィ
ルム支持体を対向させて形成された空間に水溶液を封入
し、周囲を適当なシール材により封止した後、さらに空
間を介して別の透明フィルム支持体を設ける。2枚の透
明フィルム支持体と後で設けた透明フィルム支持体の周
囲は例えばゴムでシールされる。この空間に冷媒を流入
出させる手段を設ける。冷媒を流入出させる手段は、空
間に連通させて冷媒入口および冷媒出口を設け、さらに
冷媒入口に冷媒源を接続して構成すればよい。なお、冷
媒としては、例えば冷却された水、もしくは冷却された
空気のような流体を用いればよい。
【0022】調光層を形成する上記高分子材料の転移温
度が常温以上である場合は、通常は透明状態である。こ
の合わせガラスを不透明にする場合には、加熱して不透
明にする。逆に該転移温度が常温以下の時は不透明であ
り、冷却して転移温度以下にすると透明状態が得られ
る。一般に、加熱方式の方が冷却方式よりも方法が簡単
で安価であるので、加熱方式が望ましい。また、加熱装
置と冷却装置の両方を兼ね備えると該転移温度の変化が
速くなり、短時間に透明状態および不透明状態を得るこ
とが可能となる。
【0023】本発明において使用される調光シートに
は、絶縁機能を有する防湿層が好ましく使用される。上
記調光層が水溶液状態で用いられる場合は、該防湿層は
調光層と加熱装置(透明導電薄膜または高抵抗線等)と
の間に形成される。具体的には、導電性薄膜あるいは敷
詰められた高抵抗線が形成された上記透明フィルム支持
体上に形成される。一方、膨潤状態の調光層を用いる場
合は、フィルム化した調光層の上に該防湿層を形成して
その後、導電性薄膜を形成してもよいし、あるいは高抵
抗線を用いる場合はそのままラミネートすることができ
る。この絶縁機能を有する防湿層は、調光層からの水分
の飛散を防止し、調光機能の経時劣化を防ぎ、また直接
調光層と加熱装置とが接触するのを防いで漏電等の危険
を防止することができる。
【0024】上記絶縁機能を有する防湿層としては、無
機物および有機物のいずれをも用いることができるが、
例えばSiO2 薄膜をスパッタリング法および蒸着法な
どで、フィルム表面あるいは、透明導電膜および高抵抗
線が形成されている透明フィルム支持体に成膜すること
ができる。このSiO2 薄膜の膜厚は充分な防湿効果お
よび絶縁性を得るため、また伝熱性を考慮して、300
〜4000オングストロームの範囲にあるのが望まし
い。
【0025】本発明の調光性合わせガラスは、上記調光
シートの両面に通常使用されるガラス板あるいは透明樹
脂板(例えばポリカーボネート等の合成樹脂板)を、接
着性樹脂を介して接着することにより得られる。用いる
ガラス板あるいは透明樹脂板の種類、厚みおよび形状は
問わない。
【0026】上記接着性樹脂としては、中間膜あるいは
液状樹脂等を用いることができる。中間膜を使用する場
合には、合わせガラス用として市販されている中間膜を
使用することができ、例えばポリビニルブチラールの可
塑化物、塩化ビニル系中間膜、ウレタン系中間膜、およ
びEVA系中間膜等が挙げられる。一方、液状樹脂とし
ては、例えば、液状アクリル樹脂が挙げられる。
【0027】本発明の調光性合わせガラスの製造方法と
しては、通常の方法を適用し得る。例えば、ポリビニル
ブチラール可塑化物からなる中間膜を用いた場合には、
上記調光シートを中間膜で挟んだ後、さらにガラス板あ
るいは透明樹脂板で挟み、真空法によって予備脱気し、
オートクレーブ装置を用いて加熱圧着することによって
調光機能を持つ合わせガラスを作製することができる。
また、液状アクリル樹脂を接着性樹脂に用いた場合に
は、上記調光シート両面の周辺にスペーサーを取り付
け、両面から2枚のガラス板あるいは透明樹脂板で狭持
しシール材を施した後、この調光シートとガラス板ある
いは透明樹脂板との間の中空部分に液状アクリル樹脂を
注入し、熱または光で硬化させることにより接着性樹脂
を形成して調光機能を持つ合わせガラスを作製すること
ができる。
【0028】なお、以上の説明は、上記調光シートを1
枚のみ使用した場合についてであるが、該調光シートを
複数枚用いた場合についても同様にして本発明の調光性
合わせガラスを製造することができる。
【0029】
【作用】本発明では、透明フィルム支持体上に高分子材
料と水とを含む材料を積層して調光層を形成しており、
かつ調光層の近傍位置に加熱装置および/または冷却装
置が設けられている。本発明で用いる高分子材料は、従
来の技術によって安価な化合物から容易に合成および加
工を行うことができる。よって本発明の合わせガラスを
安価に製造することができる。さらに、この高分子材料
は、ある温度(転移温度)においてゾル−ゲル転移を示
す。したがって、環境温度が転移温度以下にある場合に
おいては、高分子材料は親水性になるために、水に溶解
または膨潤してゾル化するため透明であり、合わせガラ
スも透明であるが、かかる環境温度において合わせガラ
スを不透明にしたい場合は、加熱装置により調光層を転
移温度以上に加熱すると高分子材料は疎水性を有するに
至り、水に不溶化してゲル化し、合わせガラスは不透明
状態となる。なお、不透明状態を維持したい場合は加熱
を維持すればよく、逆に透明状態にしたい場合には加熱
を停止すればよい。
【0030】一方、環境温度が転移温度以上にある場合
においては、高分子材料は疎水性を有し、高分子材料は
水に不溶化しゲル化状態であり、合わせガラスは不透明
状態であるが、かかる環境温度において、合わせガラス
を透明状態にしたい場合は、冷却装置により調光層を転
移温度以下に冷却すると、高分子材料は親水性を有する
に至り、水に溶解または膨潤してゾル化するため透明と
なり、可視光線を透過し得る状態に変化する。さらに、
高分子材料をグラフト重合して使用すると、架橋フィル
ムが収縮することなく経時劣化が大幅に防止される。
【0031】さらに、上記調光層と上記加熱装置(透明
導電薄膜または高抵抗線等)との間に無機材料または有
機材料からなる絶縁機能を有する防湿層を形成すると、
調光層からの水分が飛散することがなく、調光機能の経
時劣化が防止され、また直接、調光層と加熱体とが接触
していないため漏電等の危険がない。また本発明におい
ては、調光シートが接着性樹脂を介して透明板に狭持さ
れている。したがって、衝撃によって透明板が破壊した
としてもその破片は接着性樹脂に付着してガラス等が飛
散することがなく、また、耐貫通性にも優れており非常
に安全である。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る合わせガラスの実施例を
挙げて詳細に説明する。なお、本実施例および比較例で
得られた合わせガラスの評価は、以下の方法に従って行
った。 1.可視光線透過率 JIS R 3212に準拠して試験を行った。
【0033】2.パンメル試験 合わせガラスを、−18℃±0.6℃の温度に16±4
時間放置して調整し、これをハンマーで打って、粉砕さ
れたガラスが部分剥離した後の中間膜の露出度を、下記
表1に示したように、あらかじめグレード付けした限度
見本で判定した。
【0034】
【表1】
【0035】(実施例1)図1を参照しながら本実施例
を説明する。 (a)調光シートの作製 まず、調光シートを作製するために、N−イソプロピル
アクリルアミドとアクリルアミドとをグラフト重合さ
せ、N,N’−メチレンビスアクリルアミドを用いて架
橋させた後、約100μmの厚さのフィルムに加工し、
得られたフィルム1重量部に対して0.1重量部の水を
含浸せしめた。
【0036】一方、透明フィルム支持体としてポリエチ
レンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと
言う)を用い、以下のようにして加熱装置および防湿層
を透明フィルム支持体に形成した。PETフィルム5の
片面に50オーム/sqの抵抗を示すITO薄膜8(厚
さ1, 000オングストローム)を蒸着した。さらに、
このITO薄膜8上に、SiO2 薄膜9(厚さ1, 00
0オングストーム)を蒸着した。
【0037】このPETフィルム5と別のPETフィル
ム6とを、ITO薄膜8およびSiO2薄膜9が形成さ
れた面を内側にして向かい合わせ、水を含浸せしめた調
光層7をその間に挟み込み、さらに液体の飛散、蒸発の
ないように周囲をシーリング層11で封止して、図1に
表した合わせラミネートタイプの調光シートAを得た。
【0038】(b)中間膜の調製 ポリビニルブチラール樹脂(重合度1,700、ブチラ
ール化度66モル%)100gと可塑剤としてトリエチ
レングリコール−ジ−2−エチルブチレート40gを混
合し、110℃のロールで練って厚さ0.5mmのシー
トを得、これを中間膜2、3とした。
【0039】(c)合わせガラスの作製 上記(a)で得られた調光シートAを上記(b)で得ら
れた中間膜2、3で挟着し、さらにこれをガラス板1、
4で挟着して積層構造体を得、得られた積層構造体をゴ
ム製バックに入れ、真空度10torrに減圧した後、
全系を120℃に加温し、30分保持した。その後冷却
して減圧を解き、該積層構造体をゴム製バッグから取り
出した。取り出した該積層構造体をオートクレーブ容器
に入れて140℃、13kg/cm2の恒温恒圧下にて
20分間保持した。冷却後、圧縮開放して積層構造体を
取り出し、図1に表した合わせガラスを得た。
【0040】得られた合わせガラスは透明で発泡のない
きれいな状態であり、各層どうしの接着状態も良好であ
った。この合わせガラスのゾル−ゲル転移温度を測定し
たところ、28℃〜32℃で転移点をもち、転移温度よ
り上では不透明に、転移温度以下では透明となった。ま
た、この合わせガラスを環境温度が20℃の環境下にお
き、ITO薄膜に通電したところ、通電後5秒で不透明
になった。通電を停止すると、約10秒で透明になっ
た。さらに、得られた合わせガラスについて上記評価を
行った結果を表2に示した。本実施例の合わせガラス
は、良好な調光性および安全ガラスとしての性能を有し
ていた。
【0041】(実施例2)図2を参照しながら本実施例
を説明する。実施例1のITO薄膜8のかわりに網状に
張り巡らせた高抵抗線12を用いた他は、実施例1と同
様にして図2に示す合わせガラスを作製した。得られた
結果は実施例1と同様であった。上記評価による結果を
表2に示した。
【0042】(実施例3)図3を参照しながら本実施例
を説明する。実施例1と同様の加熱装置を備えた調光シ
ートを作製した後、さらにそのシートを空間部14を介
して別のPETフィルム13と向い合わせ、空間部14
に連通する冷媒の入口15と出口16を設けるとともに
周囲をシーリング層17で封止し、図3に示す構造の加
熱装置8および冷却装置14を備えた調光シートBを作
製した。その他は実施例1と同様にして合わせガラスを
作製した。
【0043】この合わせガラスを環境温度が40℃の環
境下におき(この環境温度下では不透明状態)、冷媒入
口15から25℃の空気を空間部14内に導入し、調光
層を冷却した。合わせガラスは、不透明状態から透明状
態へ約5秒間で変化した。上記評価による結果を表2に
示した。
【0044】(実施例4)実施例1で用いたポリ−N−
イソプロピルアクリルアミドのかわりに、ポリビニルメ
トキシエーテルを用いた他は実施例1と同様にして合わ
せガラスを作製した。得られた合わせガラスは60℃〜
65℃に転移点を有し、環境温度が20℃の場合、透明
から不透明へは15秒間で変化し、不透明から透明へは
5秒間で変化した。上記評価による結果を表2に示し
た。
【0045】(実施例5)実施例1で用いたポリ−N−
イソプロピルアクリルアミドのかわりに、ポリ−N−イ
ソプロピルメタアクリルアミドを用いた他は実施例1と
同様にして合わせガラスを作製した。得られた合わせガ
ラスの転移温度は41〜44℃であった。上記評価によ
る結果を表2に示した。
【0046】(実施例6)実施例1で用いたポリ−N−
イソプロピルアクリルアミドのかわりに、ポリ−N、N
−ジエチルアクリルアミドを用いた以外は実施例1と同
様にして合わせガラスを作製した。得られた合わせガラ
スの転移温度は30〜35℃であった。上記評価による
結果を表2に示した。
【0047】(実施例7)実施例1で用いた膨潤状態の
調光層のかわりに、ポリ−N−イソプロピルアクリルア
ミドの4重量%水溶液を用いた。2枚のPETフィルム
をフレキシブルなスペーサーを介して隙間をおいて対向
させた後、周囲をシール材でシールして空間部を形成
し、その空間部にこの水溶液を封入した。その他は実施
例1と同様にして合わせガラスを作製した。得られた合
わせガラスの透明−不透明の変化時間は、実施例1と同
様であった。上記評価による結果を表2に示した。
【0048】(実施例8)図4を参照しながら本実施例
を説明する。PETフィルム5の片面に実施例1と同様
にしてITO薄膜8を形成した。一方、水を含浸せしめ
た高分子フィルム(ポリ−N−イソプロピルアクリルア
ミドフィルム)7の両側の表面にSiO2 薄膜9をスパ
ッタリングにより形成した後、該調光層7とITO薄膜
8を内側にしたPETフィルム5をバインダー層18に
よって貼付け、調光シートを得た。その他は実施例1と
同様にして図4に示した合わせガラスを作製した。転移
温度、透明−不透明の変化時間等は実施例1とほぼ同様
であった。上記評価による結果を表2に示した。
【0049】(実施例9)調光層である高分子フィルム
にSiO2薄膜を形成しない他は、実施例1と同様にし
て合わせガラスを作製した。得られた結果は実施例1と
同様であった。しかし、本実施例の合わせガラスは加熱
あるいは冷却による透明−不透明の変化が経時とともに
示さなくなり、調光機能は劣化していった。上記評価に
よる結果を表2に示した。
【0050】(実施例10)中間膜としてポリビニルブ
チラールの可塑化物のかわりに塩化ビニル系中間膜を用
いた他は実施例1と同様にして合わせガラスを作製し
た。得られた結果は実施例1と同様であった。上記評価
による結果を表2に示した。
【0051】(実施例11)図5を参照しながら本実施
例を説明する。実施例1と同様にして作製した調光シー
トAの両側周囲にスペーサー20を貼り付けた後、2枚
のガラス板1、4で狭持した。その後、接着性樹脂とし
て液状アクリル性樹脂を用いて、あらかじめスペーサー
20の一部に設けられた中空部分へ通じる開口部から調
光シートAとガラス板1、4の間に該液状樹脂19を注
入し、高圧水銀灯で20分間紫外線照射を行って液状ア
クリル樹脂を硬化させた。周囲および注入口をシール材
21でシールし、図5に示した合わせガラスを得た。得
られた結果は実施例1と同様であった。上記評価による
結果を表2に示した。
【0052】(比較例1)実施例1の調光シートのかわ
りに液晶調光シートを用いた他は実施例1と同様にして
合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスは、不
透明時の光線透過率が高く、またパンメル試験において
若干の剥離が見られた。上記評価による結果を表2に示
した。
【0053】(比較例2)2枚のガラス板のうち、1枚
の片面にITO薄膜を形成し、さらにその上にSiO2
薄膜を蒸着した。調光層である、水を含浸せしめた高分
子フィルム(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド)
を、透明フィルム支持体および接着性樹脂を用いずに、
直接2枚のガラス板でSiO2 薄膜を内側にして狭持
し、液体の飛散、蒸発のないように周囲をシールして複
層ガラスを作製した。得られた複層ガラスの可視光線透
過率は良好であったが、パンメル試験の結果は良好では
なかった。上記評価による結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、光の透過率を人為的に
制御でき、非常に劣化しにくい調光機能を持つ安価で安
全な合わせガラスを提供することができる。本発明の調
光性合わせガラスは、透明と不透明の状態を環境温度に
関係なく任意に得ることができ、例えば、建築物あるい
は自動車の窓材に使用する場合、不透明にするとブライ
ンドの代用あるいはプライベートの保護が可能であり、
また透明にすると採光が可能となる。さらに、衝撃を加
えても、ガラスの、飛散、貫通などがなくて非常に安全
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の合わせガラスの断面
図。
【図2】本発明に係る実施例2の合わせガラスの断面
図。
【図3】本発明に係る実施例3の合わせガラスの断面
図。
【図4】本発明に係る実施例8の合わせガラスの断面
図。
【図5】本発明に係る実施例11の合わせガラスの断面
図。
【符号の説明】
A 調光シート B 調光シート 1 透明板(ガラス板) 2 中間膜(PVB可塑化物) 3 中間膜(PVB可塑化物) 4 透明板(ガラス板) 5 透明フィルム支持体(PETフィルム) 6 透明フィルム支持体(PETフィルム) 7 調光層(高分子フィルム) 8 加熱装置(ITO薄膜) 9 絶縁・防湿層(SiO2薄膜) 10 電源用端子 11 シーリング層 12 加熱装置(高抵抗線) 13 透明フィルム支持体(PETフィルム) 14 空間部 15 冷媒入口 16 冷媒出口 17 シーリング層 18 バインダー層 19 液状アクリル樹脂の硬化物 20 スペーサー 21 シール材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調光シートが接着性樹脂を介して2枚の
    透明板間に狭持されてなる調光性合わせガラスであっ
    て、 該調光シートは、透明フィルム支持体と、該透明フィル
    ム支持体上に形成された調光層と、該調光層の近傍位置
    に設けられた加熱装置および/または冷却装置とを有
    し、 該調光層は、ある温度範囲においてゾル−ゲル相転移を
    示すとともにゾル状態とゲル状態とでその光線透過率が
    異なる高分子材料と、水とを含有する、調光性合わせガ
    ラス。
JP10243693A 1992-05-22 1993-04-28 調光性合わせガラス Pending JPH0643500A (ja)

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JP4-130941 1992-05-22
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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