JPH11211584A - 感熱発色素子およびその製造方法 - Google Patents

感熱発色素子およびその製造方法

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JPH11211584A
JPH11211584A JP10015264A JP1526498A JPH11211584A JP H11211584 A JPH11211584 A JP H11211584A JP 10015264 A JP10015264 A JP 10015264A JP 1526498 A JP1526498 A JP 1526498A JP H11211584 A JPH11211584 A JP H11211584A
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JP
Japan
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thermosensitive coloring
alcohol
resin
fine
fine metal
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JP10015264A
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English (en)
Inventor
Ichiro Tanahashi
一郎 棚橋
Hiroshi Sugano
浩 菅野
Naoki Obara
直樹 小原
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温(〜10℃)から室温になると不可逆的
に発色する感熱発色素子がない。 【解決手段】 シリカで被覆した濾紙にポリビニルアル
コール(PVA)とエチレングリコール及びAu微小粒
子からなる感熱発色材料を担持した感熱発色素子を作製
し、この素子に20W低圧水銀灯を用いて室温で5分間
光照射を行ない、0℃の冷凍庫に保存する。この状態
で、2カ月保存しても無色であったが、素子を室温の部
屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温度上昇にともな
う金属微粒子の成長による微粒子の表面プラズモン吸収
を利用した感熱発色素子に関するものであり、例えば保
冷システムや冷蔵、冷凍食品の保存時あるいは流通時の
温度管理に用いるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、感熱発色素子としては、例えば特
開昭60−171191号公報に開示されているものが
ある。この技術は、比較的耐熱性の高い包装用フィルム
材の表面に感熱材料を塗布、印刷または接着し、感熱部
を形成したフィルムを包装材に用い製品の出荷時または
流通段階で熱活字を押し当て、感熱材料を変色させて包
装品へ熱印字を行うものである。また、他の例として
は、特開平5−294362号公報に開示されているも
のがある。この感圧複写紙包装品は、片面にマイクロカ
プセル塗料層を有する感圧複写紙の積層体の上下両側に
板紙を重ね、このもの全体が包装紙で被包された構成か
らなる。また、他の例としては、特開平7−14905
7号公報に開示されているものがあり、その感熱表示材
料は、支持体上にロイコ染料、顕色剤およびジルコニウ
ム化合物を含有する感熱発色層および保護層を順次設け
て感熱材料を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の感熱機構を有し
た包装材料や感圧複写紙発色素子では、次のような課題
がある。
【0004】すなわち、感熱素子が、かなり高温に加熱
されないと発色しない。従って、比較的低温(〜10
℃)では無色透明であるが、室温近傍の温度になると、
不可逆的に効率良く発色させることが不可能である。こ
のような理由により、冷蔵、冷凍食品あるいは医薬品の
低温下における温度管理において、例えば保存途中で一
旦温度が上昇し再度温度が下がった場合などの熱履歴を
確認することはできない。
【0005】また、感圧複写紙発色素子は、色の変化に
マイクロカプセルからなる塗料層を用いているため、機
械的な手段によらないと発色しない。従って、上述した
ように、低温下における温度管理を行うことはできな
い。
【0006】また、ロイコ染料を用いた感熱表示材料は
比較的低温(〜10℃)で着色しており、室温以上にな
ると可逆的に無色透明になる。したがって、発色と消色
を不可逆的に行わせることができず、例えば途中で一旦
温度が上昇し再度温度が下がった場合には熱履歴を確認
することができない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、微小金属微粒
子とガラスや樹脂からなるマトリックス物質から構成さ
れ、上記微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇により
不可逆的に増大する感熱発色材料を化学的に不活性な物
質で被覆した紙あるいは繊維に担持した形態の感熱発色
素子である。この材料は、比較的低温(〜10℃)では
無色透明であるが、室温近くの温度になると不可逆的に
効率良く発色する感熱発色素子を提供することを目的と
する。従って本発明の感熱発色素子を用いることによ
り、冷蔵・冷凍食品の保存や移送中における温度履歴、
すなわち食品の温度が低温から一度でも室温近くに上昇
したかどうかを容易に知ることができる。
【0008】この課題を解決するために、本発明の第1
の感熱発色素子は、微小金属微粒子とマトリックス物質
から構成され、微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇
により不可逆的に増大する感熱発色材料を無機物質で被
覆した紙あるいは繊維に担持したものである。
【0009】また、本発明の第2の感熱発色素子は、微
小金属微粒子とマトリックス物質から構成され、該微小
金属微粒子の大きさが、温度の上昇により不可逆的に増
大する感熱発色材料を樹脂で被覆した紙あるいは繊維に
担持したものである。
【0010】また、本発明の第3の感熱発色素子は、微
小金属微粒子とマトリックス物質から構成され、該微小
金属微粒子の大きさが、温度の上昇により不可逆的に増
大する感熱発色材料を無機物質で被覆した紙あるいは繊
維に担持し、さらにこの感熱発色材料上に光学的に透明
なシートあるいはテープを設置したものである。
【0011】また、本発明の第4の感熱発色素子は、微
小金属微粒子とマトリックス物質から構成され、該微小
金属微粒子の大きさが、温度の上昇により不可逆的に増
大する感熱発色材料を樹脂で被覆した紙あるいは繊維に
担持し、さらにこの感熱発色材料上に光学的に透明なシ
ートあるいはテープを設置したものである。
【0012】また、本発明の第5の感熱発色素子は、微
小金属微粒子とマトリックス物質から構成され、該微小
金属微粒子の大きさが、温度の上昇により不可逆的に増
大する粉末状またはタブレット状の感熱発色材料を少な
くとも片方が光学的に透明なシートあるいはテープに挟
み込んだものである。
【0013】また、本発明の感熱発色素子において、被
覆した無機物質が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チ
タンから選ばれる少なくとも1つであることが好まし
い。また、被覆した樹脂がフッ素樹脂、ポリビニルアル
コール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリア
クリル酸、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、及
び澱粉のりから選ばれる少なくとも1つであることこと
が好ましい。
【0014】また、微小金属微粒子が、金、白金、銀、
銅、錫、ロジウム、パラジウムまたはイリジウムから選
ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、マ
トリックスが酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブ
チラール、ポリスチレン、ポリアクリル酸、アクリロニ
トリル−スチレンコポリマーから選ばれる少なくとも1
つであることが好ましい。
【0015】また、シートまたはテープがセロファン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデンから選ばれる少なくとも1つであること
が好ましい。
【0016】次に、本発明の第1の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコキシドと
水とアルコールからなる混合ゾルを無機物質または樹脂
で被覆した紙あるいは繊維に塗布してゲル化し、前記ア
ルコールを含んだゲルに紫外線を照射して生成した微小
金属微粒子をマトリックス中に分散させた感熱発色材料
を無機物質または樹脂で被覆した紙あるいは繊維に担持
した構成を備えたものである。
【0017】また、本発明の第2の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した樹脂を無機物質また
は樹脂で被覆した紙あるいは繊維に塗布して固化し、前
記アルコールを含んだ樹脂に紫外線を照射して生成した
微小金属微粒子を樹脂中に分散させた感熱発色材料を無
機物質または樹脂で被覆した紙あるいは繊維に担持した
構成を備えたものである。
【0018】また、本発明の第3の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコキシドと
水とアルコールからなる混合ゾルを無機物質または樹脂
で被覆した紙あるいは繊維に塗布してゲル化し、さらに
この紙あるいは繊維上に光学的に透明なシートを設置
し、前記アルコールを含んだゲルに紫外線を照射して生
成した微小金属微粒子をマトリックス中に分散した構成
を備えたものである。
【0019】また、本発明の第4の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した樹脂を無機物質また
は樹脂で被覆した紙あるいは繊維に保持して加熱固化
し、さらにこの紙あるいは繊維上に光学的に透明なシー
トを設置し、前記アルコールを含んだゲルに紫外線を照
射して生成した微小金属微粒子をマトリックス中に分散
した構成を備えたものである。
【0020】また、本発明の第5の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコキシドと
水とアルコールからなる混合ゾルを加水分解と加熱によ
りゲルとし、さらにこのゲルを粉砕して粉末状とし、こ
の粉末を下部シートに塗布あるいは印刷した後、光学的
に透明な上部シートで挟み込み固定し、前記アルコール
を含んだ粉末状のゲルに紫外線を照射して生成した微小
金属微粒子をマトリックス中に分散した構成を備えたも
のである。
【0021】また、本発明の第6の感熱発色素子の製造
方法は、紫外線とアルコールにより還元されて微小金属
微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコキシドと
水とアルコールからなる混合ゾルを加水分解と加熱によ
りゲルとし、このゲルを粉砕して粉末にした後、さらに
加圧成形にとりタブレット状とし、このタブレットを下
部シートと光学的に透明な上部シートで挟み込み固定
し、前記アルコールを含んだタブレット状のゲルに紫外
線を照射して生成した微小金属微粒子をマトリックス中
に分散した構成を備えたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1を用いて説明する。
【0023】図1は、作製した粉末状の感熱発色材料の
構成断面を示したものであり、図1(a)、(b)にお
いて、1は微小金属微粒子、2はマトリックスであるガ
ラスあるいは樹脂である。
【0024】以上のように構成された感熱発色材料は、
図1(a)に示すように、比較的低温(〜10℃)では
微小な金属微粒子1がマトリックス2中に生成している
ため無色透明である。一方、室温近くに温度が上昇する
と図1(b)に示すように金属微粒子が不可逆的に成長
して大きくなり、金属微粒子の表面プラズモン吸収に基
づく発色が顕著に見られるようになる。
【0025】また、マトリックス中の金属微粒子の分散
量は、特に限定するものではないが、粒径制御の容易
な、また、微粒子の凝集等が生じ難い、0.01〜20
wt%程度、好ましくは0.05〜10wt%程度がよ
い。凝集が生じた場合は、材料の一部分だけが濃く発色
することになり、温度変化が確実にあったかどうかを確
認することはできない。
【0026】また、成長後の金属微粒子の平均粒径は、
種類により異なるが、例えば通常1nm〜50nmの範
囲が好ましく、特に粒径の分布を小さくして均一な着色
のためには3nm〜30nmの範囲がより好ましい。
【0027】また、基体に塗布、担持する感熱発色材料
の担持量は、特に限定するものではないが、発色が顕著
にわかる0.1g/m2〜100g/m2の範囲が好まし
く、特に基体との良好な付着性が得られる2g/m2〜5
0g/m2がより好ましい。
【0028】また、金属微粒子が、金、白金、銀、銅、
錫、ロジウム、パラジウムまたはイリジウムから選ばれ
る少なくとも1つであるという本発明の好ましい例によ
れば、これらの金属は、表面プラズモン吸収に基づく発
色を示し、他の金属に比べて酸素やその他の不純物によ
る影響を受け難く、比較的純粋な金属微粒子を析出させ
ることができるので、優れた感熱発色特性を示す材料を
実現することが可能となる。
【0029】また、本発明において、ゾルーゲル法を用
いて作製するマトリックスや基体表面を被覆するガラス
材料としては、化学的に安定でありかつ光学的に広い波
長範囲で透明なシリカゲル、アルミナゲル、チタニアゲ
ルが好ましい。前記ゾルーゲル法とは、ゾル状の金属の
低級アルコキシドを加水分解し、ゲル化させ、加熱する
ことによりガラスあるいはセラミックス状にする方法で
ある。
【0030】代表的な金属アルコキシドの具体例をあげ
ると、シリコンのメトキシドやエトキシド等のシリコン
の低級アルコキシド類、アルミニウムのメトキシドやエ
トキシド等のアルミニウムの低級アルコキシド、あるい
はチタンのメトキシドやエトキシド等のチタンの低級ア
ルコキシド類類があげられる。また、ゾルの分散媒とし
ては水および/またはメタノール、エタノール、プロパ
ノールあるいは二価アルコールのエチレングリコール、
プロピレングリコールを用い、通常触媒として塩酸やア
ンモニアを加えて加水分解する。さらに、基体表面を被
覆するガラスの量は0.5g/m2〜100g/m2がの範
囲が好ましく、特に基体表面を完全に被覆して基体から
の化学物質の悪影響を防ぐとともに良好なガラスの付着
性を得るためには、2g/m2〜30g/m2の被覆量がよ
り好ましい。
【0031】また、マトリックスや基体表面を被覆する
樹脂は、化学的に安定であり、アルコールや水分を含有
することが可能で、均一に大きな面積を被覆することの
できるポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、
ポリスチレン、ポリアクリル酸、アクリロニトリル/ス
チレン共重合ポリマー、フッ素樹脂を用いることが好ま
しい。さらに、基体表面を被覆する樹脂の量は、0.1
g/m2〜150g/m2がの範囲が好ましく、特に基体表
面を完全に被覆して基体からの化学物質の悪影響を防ぐ
ためには、1g/m2〜40g/m2の被覆量がより好まし
い。
【0032】また、ガラスや樹脂中に分散して光還元反
応により、微小金属微粒子になる金属の塩としては、H
AuCl4、NaAuCl4、H2PtCl6、AgClO
4、CuCl2、SnCl2、IrCl3、RhCl3、P
dCl2が好ましい。
【0033】また、シートまたはテープが耐湿性に優れ
たセロファン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いることが好まし
い。
【0034】図2は作製した感熱発色材料の構成断面の
一例を示したものであり、図2において、3は金属微粒
子とマトリックスからなる発色材料、4は透明なシート
あるいはテープ、5はシートあるいはテープである。
【0035】また、図3は作製した感熱発色材料の他の
構成例の構成断面を示したものであり、図3において、
金属微粒子1とマトリックス2からなる発色材料が紙や
繊維からなる基材7表面に形成された無機物や樹脂から
なる被覆層6の上に形成されている。
【0036】また、図4は作製した感熱発色材料の他の
構成例の構成断面を示したものであり、図4において、
金属微粒子1とマトリックス2からなる発色材料が紙や
繊維からなる基材7に形成された無機物や樹脂からなる
被覆層6の上に形成されており、さらに発色材料の保護
層として、透明なシートあるいはテープ8が形成されて
いる。
【0037】
【実施例】以下本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0038】(実施例1)(表1)に示した金属アルコ
キシド、溶媒等の原料を混合してゾルAを調製した。こ
のゾルAを図3に示したようにイオン交換用濾紙7に塗
布し、室温で30分乾燥後、80℃で10分間(大気
中)乾燥することによりゲル化して濾紙表面をシリカ6
で被覆した。被覆したガラスの量は15g/m2であっ
た。さらに、表1に示した原料にHAuCl4をSiO2
に対してAuが1wt%になるように添加後撹拌してゾ
ルBを調製した。このゾルBを濾紙表面をシリカで被覆
したイオン交換用濾紙に塗布し、室温で30分乾燥後、
60℃で1時間大気中で乾燥することによりゲル化し
て、シリカで被覆した濾紙に微小金微粒子1とシリカマ
トリックス2から構成される感熱発色材料を担持した。
担持量は12g/m2であった。
【0039】
【表1】
【0040】この濾紙に担持した感熱発色素子は薄い黄
色であった。以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷凍庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。また、室温で生成
したAu微粒子の平均粒径は5nmであり粒径分布も小
さいことがわかった。同様な感熱発色素子を10℃の雰
囲気に1カ月保存しても無色であり、発色しなかった。
ところが、この複合体を10℃の冷蔵庫から25℃の部
屋へ取り出したところやはり数分で赤紫色に発色した。
【0041】上記工程においてHAuCl4の替わりに
NaAuCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認され
た。
【0042】また、(表1)に示した組成の金属アルコ
キシド混合溶液にHAuCl4をSiO2に対してAuが
0.1、3、10wt%になるように添加後撹拌して、
前記と同様な方法により、シリカで被覆した濾紙に感熱
発色材料を担持した感熱発色素子を作製した。このよう
な感熱発色素子に20W低圧水銀灯を用いて室温で5分
間光照射を行なったところ素子は黄色から無色に変化し
た。そして、この素子を即座に0℃の冷凍庫に保存し
た。この状態で、0℃の雰囲気に2カ月保存しても無色
であり発色しなかった。ところが、この素子を種々の温
度雰囲気に置いたところAuが0.1wt%の試料で
は、25℃の温度で赤紫色の発色が明瞭に見られたのに
対して、Auが3wt%の試料では、18℃の温度で、ま
た、10wt%の試料では、10℃の温度で発色が明瞭
に見られた。このように、Auの分散量の違いにより感
熱温度を制御することができた。
【0043】また、(表1)のゾル溶液の中でSi(O
254をAl(OC253にした場合には、上記と
同様な工程で作製した感熱発色素子に20W低圧水銀灯
を用いて室温で5分間光照射を行なったところ素子は黄
色から無色に変化した。そして、この素子を即座に0℃
の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の雰囲気に2カ
月保存しても無色であり、発色しなかった。ところが、
この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ取り出し
たところ数分で赤紫色に発色した。これは、室温でAu
微粒子が成長したことにより微粒子の表面プラズモン吸
収が明瞭になったためである。また、一度着色した感熱
発色素子の色は再度低温にしても消えなかった。
【0044】また、(表1)のゾル溶液の中でSi(O
254をTi(OC254にした場合には、上記と
同様な工程で作製した感熱発色素子に20W低圧水銀灯
を用いて室温で5分間光照射を行なったところ素子は黄
色から無色に変化した。そして、この素子を即座に0℃
の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の雰囲気に2カ
月保存しても無色であり、発色しなかった。ところが、
この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ取り出し
たところ数分で赤紫色に発色した。これは、室温でAu
微粒子が成長したことにより微粒子の表面プラズモン吸
収が明瞭になったためである。また、一度着色した感熱
発色素子の色は再度低温にしても消えなかった。
【0045】また、比較例として、濾紙にガラスを被覆
せずに上記と同様な感熱発色素子を作製したところ、実
施例と比較して発色の不均一性や、温度変化による発色
開始時間のばらつきが見られた。これは濾紙の表面形状
の不均一性や含有不純物あるいは水分の影響によるため
であると考えられる。
【0046】また、(表1)のゾル溶液の中で表1のゾ
ル溶液の中でHAuCl4の替わりに、H2PtCl6
AgClO4、CuCl2、SnCl2、IrCl3、Rh
Cl 3、PdCl2を用いて、上記と同様な工程で感熱発
色素子作製した。この素子に20W低圧水銀灯を用いて
室温で5分間光照射を行ない、即座に0℃の冷凍庫に保
存した。この状態で、0℃の雰囲気に2カ月保存しても
発色しなかった。ところが、この感熱素子を0℃の冷蔵
庫から25℃の部屋へ取り出したところ数分でそれぞれ
の金属微粒子の表面プラズモン吸収にともなう発色が見
られた。これは、室温で金属微粒子が成長したことによ
り微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったためであ
る。また、一度着色した感熱発色素子の色は再度低温に
しても消えなかった。また、種々の金属微粒子の中で
は、Au微粒子を用いた感熱発色素子による発色が最も
コントラストが高く鮮明であった。上記実施例では、紫
外線照射を室温で行ったが、前記の発色材料を0℃の低
温下で行っても照射時間を長くすれば室温と同様な効果
を得ることができた。本実施例では、基体にイオン交換
用濾紙を用いたが、定性濾紙、定量濾紙、硝子繊維濾
紙、シリカ繊維濾紙、マニラ麻を原料に抄紙した紙、あ
るいは木綿製の布を使用しても同様な効果を得ることが
できた。
【0047】(実施例2)平均重合度1000のポリビ
ニルアルコール(PVA)を熱湯に溶かして作製したP
VA水溶液を図3に示したようにイオン交換用濾紙7に
塗布し、室温で30分乾燥後、70℃で30分間(大気
中)乾燥することにより固化して濾紙表面をPVA6で
被覆した。被覆したPVAの量は11g/m2であった。
さらに、表1(実施例1)に示した原料にHAuCl4
をSiO2に対してAuが1wt%になるように添加後
撹拌して実施例1と同様なゾルBを調製した。このゾル
Bを前記濾紙表面をシリカで被覆したイオン交換用濾紙
に塗布し、室温で30分乾燥後、60℃で1時間大気中
で乾燥することによりゲル化して、PVAで被覆した濾
紙に微小金微粒子1とシリカマトリックス2から構成さ
れる感熱発色材料を担持した。担持量は14g/m2であ
った。この濾紙に担持した感熱発色素子は薄い黄色であ
った。
【0048】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷凍庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。また、室温で生成
したAu微粒子の平均粒径は4nmであり粒径分布も小
さいことがわかった。同様な感熱発色素子を10℃の雰
囲気に1カ月保存しても無色であり、発色しなかった。
ところが、この複合体を10℃の冷蔵庫から25℃の部
屋へ取り出したところやはり数分で赤紫色に発色した。
【0049】上記工程においてHAuCl4の替わりに
NaAuCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認され
た。
【0050】また、基体表面を被覆したPVA樹脂の代
わりに、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリア
クリル酸、アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマ
ー、フッ素樹脂を用いても同様な効果を得ることができ
た。
【0051】また、比較例として、濾紙に樹脂を被覆せ
ずに上記と同様な感熱発色素子を作製したところ、実施
例と比較して発色の不均一性や、温度変化による発色開
始時間のばらつきが見られた。これは濾紙の表面形状の
不均一性や含有不純物あるいは水分の影響によるためで
あると考えられる。
【0052】また、(表1)のゾル溶液の中で表1のゾ
ル溶液の中でHAuCl4の替わりに、H2PtCl6
AgClO4、CuCl2、SnCl2、IrCl3、Rh
Cl 3、PdCl2を用いて、上記と同様な工程で感熱発
色素子を作製した。この素子に20W低圧水銀灯を用い
て室温で5分間光照射を行ない、即座に0℃の冷凍庫に
保存した。この状態で、0℃の雰囲気に2カ月保存して
も発色しなかった。ところが、この感熱素子を0℃の冷
蔵庫から25℃の部屋へ取り出したところ数分でそれぞ
れの金属微粒子の表面プラズモン吸収にともなう発色が
見られた。これは、室温で金属微粒子が成長したことに
より微粒子の表面プラズモン吸収が明瞭になったためで
ある。また、一度着色した感熱発色素子の色は再度低温
にしても消えなかった。
【0053】また、種々の金属微粒子の中では、Au微
粒子を用いた感熱発色素子による発色が最もコントラス
トが高く鮮明であった。上記実施例では、紫外線照射を
室温で行ったが、前記の発色材料を0℃の低温下で行っ
ても照射時間を長くすれば室温と同様な効果を得ること
ができた。
【0054】本実施例では、基体にイオン交換用濾紙を
用いたが、定性濾紙、定量濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ
繊維濾紙、マニラ麻を原料に抄紙した紙、あるいは木綿
製の布を使用しても同様な効果を得ることができた。
【0055】(実施例3)実施例1の(表1)に示した
金属アルコキシド、溶媒等の原料を混合してゾルAを調
製した。このゾルAを図3に示したようにイオン交換用
濾紙7に塗布し、室温で30分乾燥後、80℃で10分
間(大気中)乾燥することによりゲル化して濾紙表面を
シリカ6で被覆した。被覆したガラスの量は13g/m2
であった。さらに、平均重合度1000のポリビニルア
ルコール(PVA)とエチレングリコール(PVAに対
して重量比で20%)を熱湯に溶かして調製したPVA
水溶液にAuをPVAに対して1wt%になるようにH
AuCl4を添加後撹拌して感熱発色材料を作製した。
このPVA溶液を前記表面をシリカで被覆したイオン交
換用濾紙に塗布し、室温で30分乾燥後、60℃で1時
間大気中で乾燥することによりゲル化して、PVAで被
覆した濾紙に微小金微粒子1とシリカマトリックス2か
ら構成される感熱発色材料を担持した。担持量は15g
/m2であった。この濾紙に担持した感熱発色素子は薄い
黄色であった。
【0056】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。また、室温で生成
したAu微粒子の平均粒径は4.6nm(透過電子顕微
鏡による測定)であり粒径分布も小さいことがわかっ
た。同様な感熱発色素子を10℃の雰囲気に1カ月保存
しても無色であり、発色しなかった。ところが、この複
合体を10℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ取り出したと
ころやはり数分で赤紫色に発色した。
【0057】上記工程においてHAuCl4の替わりに
NaAuCl4を用いてもAu微粒子の生成が確認され
た。
【0058】また、比較例として、濾紙にガラスを被覆
せずに上記と同様な感熱発色素子を作製したところ、実
施例と比較して発色の不均一性や、温度変化による発色
開始時間のばらつきが見られた。これは濾紙の表面形状
の不均一性や含有不純物あるいは水分の影響によるため
であると考えられる。
【0059】また、基体表面を被覆したSiO2の替わ
りにAl25あるいはTiO2を用いてもSiO2と同様
な効果を得ることができた。
【0060】また、マトリックスとなるPVA樹脂の代
わりに、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリア
クリル酸、アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマ
ー、フッ素樹脂を用いてもPVA樹脂と同様な効果を示
す感熱発色素子を得ることができた。
【0061】また、PVA溶液中のHAuCl4の替わ
りに、H2PtCl6、AgClO4、CuCl2、SnC
2、IrCl3、RhCl3、PdCl2を用いて、上記
と同様な工程で作製した。これらの感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行ない、こ
の素子を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、
0℃の雰囲気に2カ月保存しても発色しなかった。とこ
ろが、この感熱素子を0℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ
取り出したところ数分でそれぞれの金属微粒子の表面プ
ラズモン吸収にともなう発色が見られた。これは、室温
で金属微粒子が成長したことにより微粒子の表面プラズ
モン吸収が明瞭になったためである。また、一度着色し
た感熱発色素子の色は再度低温にしても消えなかった。
また、種々の金属微粒子の中では、Au微粒子を用いた
感熱発色素子による発色が最もコントラストが高く鮮明
であった。上記実施例では、紫外線照射を室温で行った
が、前記の発色材料を0℃の低温下で行っても照射時間
を長くすれば室温と同様な効果を得ることができた。
【0062】本実施例では、基体にイオン交換用濾紙を
用いたが、定性濾紙、定量濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ
繊維濾紙、マニラ麻を原料に抄紙した紙、あるいは木綿
製の布を使用しても同様な効果を得ることができた。
【0063】(実施例4)平均分子量1000のポリア
クリル酸(PAA)をイオン交換水に溶かして作製した
PAA水溶液を図3に示したようにイオン交換用濾紙7
に塗布し、室温で30分乾燥後、80℃で30分間(大
気中)乾燥することにより固化して濾紙表面をPAA6
で被覆した。被覆したPAAの量は16g/m2であっ
た。さらに、実施例3と同様な方法により、平均重合度
1000のポリビニルアルコール(PVA)とエチレン
グリコール(PVAに対して重量比で20%)を熱湯に
溶かして調製したPVA水溶液にPVAに対してAuが
1wt%になるようにHAuCl4を添加後撹拌して感
熱発色材料を作製した。このPVA溶液を前記表面をシ
リカで被覆したイオン交換用濾紙に塗布し、室温で30
分乾燥後、60℃で1時間大気中で乾燥することにより
ゲル化して、PVAで被覆した濾紙に微小金微粒子1と
シリカマトリックス2から構成される感熱発色材料を担
持した。担持量は13g/m2であった。この濾紙に担持
した感熱発色素子は薄い黄色であった。
【0064】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。また、室温で生成
したAu微粒子の平均粒径は4.6nm(透過電子顕微
鏡による測定)であり粒径分布も小さいことがわかっ
た。同様な感熱発色素子を10℃の雰囲気に1カ月保存
しても無色であり、発色しなかった。ところが、この複
合体を10℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ取り出したと
ころやはり数分で赤紫色に発色した。
【0065】また、濾紙を被覆するPAA樹脂の代わり
に、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポ
リスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマ
ー、フッ素樹脂を用いてもPAA樹脂と同様な効果を示
す感熱発色素子を得ることができた。
【0066】また、マトリックスとなるPVA樹脂の代
わりに、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリア
クリル酸、アクリロニトリル/スチレン共重合ポリマ
ー、フッ素樹脂を用いてもPVA樹脂と同様な効果を示
す感熱発色素子を得ることができた。
【0067】また、比較例として、濾紙に樹脂を被覆せ
ずに上記と同様な感熱発色素子を作製したところ、実施
例と比較して発色の不均一性や、温度変化による発色開
始時間のばらつきが見られた。これは濾紙の表面形状の
不均一性や含有不純物あるいは水分の影響によるためで
あると考えられる。
【0068】また、PVA溶液中のHAuCl4の替わ
りに、H2PtCl6、AgClO4、CuCl2、SnC
2、IrCl3、RhCl3、PdCl2を用いて、上記
と同様な工程で作製した。これらの感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行ない、こ
の素子を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、
0℃の雰囲気に2カ月保存しても発色しなかった。とこ
ろが、この感熱素子を0℃の冷蔵庫から25℃の部屋へ
取り出したところ数分でそれぞれの金属微粒子の表面プ
ラズモン吸収にともなう発色が見られた。これは、室温
で金属微粒子が成長したことにより微粒子の表面プラズ
モン吸収が明瞭になったためである。また、一度着色し
た感熱発色素子の色は再度低温にしても消えなかった。
また、種々の金属微粒子の中では、Au微粒子を用いた
感熱発色素子による発色が最もコントラストが高く鮮明
であった。上記実施例では、紫外線照射を室温で行った
が、前記の発色材料を0℃の低温下で行っても照射時間
を長くすれば室温と同様な効果を得ることができた。
【0069】本実施例では、基体にイオン交換用濾紙を
用いたが、定性濾紙、定量濾紙、硝子繊維濾紙、シリカ
繊維濾紙、マニラ麻を原料に抄紙した紙、あるいは木綿
製の布を使用しても同様な効果を得ることができた。
【0070】(実施例5)実施例1及び3と同様な方法
により、図4に示すようにシリカガラス6を20g/m2
被覆した濾紙7に(1)エチレングリコール(シリカに
対して重量比で20%)とAu微小粒子1が1wt%を
含んだシリカマトリックス2からなる感熱発色材料と
(2)エチレングリコール(PVAに対して重量比で2
0%)とAu微小粒子1が1wt%を含んだPVAマト
リックス2からなる感熱発色材料をそれぞれ担持した。
担持量は(1)では14g/m2、(2)では16g/m2
であった。この濾紙に担持した感熱発色素子はともに薄
い黄色であった。このようにして作製した素子の表面に
市販のセロハンテープ8を張った。
【0071】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。
【0072】また、比較例として、感熱発色材料の表面
にセロハンテープを張っていない感熱発色素子を作製し
たところ、実施例と比較して結露や多湿条件下では発色
の不均一性や、温度変化による発色開始時間のばらつき
が見られた。これは濾紙の表面形状の不均一性や含有不
純物あるいは水分の影響によるためであると考えられ
る。
【0073】また、セロハンテープの替わりにシートま
たはテープ状のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いても上記とほぼ同
様な特性を有する感熱発色素子を得ることができた。
【0074】(実施例6)実施例2及び4と同様な方法
により、図4に示すように樹脂(PVAまたはPAA)
6を18g/m2被覆した濾紙7に(1)エチレングリコ
ール(シリカの重量比で20%)とAu微小粒子1が1
wt%を含んだシリカマトリックス2からなる感熱発色
材料と(2)エチレングリコール(PVAに対して重量
比で20%)とAu微小粒子1が1wt%を含んだPV
Aマトリックス2からなる感熱発色材料をそれぞれ担持
した。担持量は(1)では15g/m2、(2)では17
g/m2であった。この濾紙に担持した感熱発色素子はと
もに薄い黄色であった。このようにして作製した素子の
表面に市販のセロハンテープ8を張った。
【0075】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。
【0076】また、比較例として、感熱発色材料の表面
にセロハンテープを張っていない感熱発色素子を作製し
たところ、実施例と比較して結露や多湿条件下では発色
の不均一性や、温度変化による発色開始時間のばらつき
が見られた。これは濾紙の表面形状の不均一性や含有不
純物あるいは水分の影響によるためであると考えられ
る。
【0077】また、セロハンテープの替わりにシートま
たはテープ状のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いても上記とほぼ同
様な特性を有する感熱発色素子を得ることができた。
【0078】(実施例7)実施例1と同様な方法によ
り、エチレングリコール(シリカに対して重量比で20
%)とAu微小粒子が1wt%を含んだシリカマトリッ
クスからなる感熱発色材料を粉砕して粉末状とした後、
図2に示すように粉末状の感熱発色材料3をポリエチレ
ン製のシート5に塗布し、さらにその上部に市販のセロ
ハンテープ4を張り感熱発色材料をシートとテープで挟
み込んだ構成の感熱発色素子を作製した。
【0079】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。
【0080】また、セロハンテープの替わりにシートま
たはテープ状のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いても上記とほぼ同
様な特性を有する感熱発色素子を得ることができた。
【0081】(実施例8)実施例1と同様な方法によ
り、エチレングリコール(シリカに対して重量比で20
%)とAu微小粒子が1wt%を含んだシリカマトリッ
クスからなる感熱発色材料を粉砕して粉末にした後、図
2に示すようにさらにプレス成形してタブレット状の感
熱発色材料3とした後、ポリエチレン製のシート5と市
販のセロハンテープ4の間に設置して感熱発色材料をシ
ートとテープで挟み込んだ構成の感熱発色素子を作製し
た。
【0082】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。
【0083】また、セロハンテープの替わりにシートま
たはテープ状のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いても上記とほぼ同
様な特性を有する感熱発色素子を得ることができた。
【0084】(実施例9)実施例3と同様な方法によ
り、エチレングリコール(PVAに対して重量比で20
%)とAu微小粒子が1wt%を含んだPVA溶液を円
筒形の容器(直径1cm、深さ2mm)に入れ、室温で
30分乾燥後、60℃で1時間大気中で乾燥することに
より固化して、図2に示したようにPVAマトリックス
からなるタブレット状の感熱発色材料3を作製した後、
ポリエチレン製のシート5と市販のセロハンテープ4の
間に設置して感熱発色材料をシートとテープで挟み込ん
だ構成の感熱発色素子を作製した。
【0085】以上の工程で作製した感熱発色素子に20
W低圧水銀灯を用いて室温で5分間光照射を行なったと
ころ素子は黄色から無色に変化した。そして、この素子
を即座に0℃の冷凍庫に保存した。この状態で、0℃の
雰囲気に2カ月保存しても無色であり、発色しなかっ
た。ところが、この複合体を0℃の冷蔵庫から25℃の
部屋へ取り出したところ数分で赤紫色に発色した。これ
は、室温でAu微粒子が成長したことにより微粒子の表
面プラズモン吸収が明瞭になったためである。また、一
度着色した感熱発色素子の色は再度低温にしても消えな
かった。このようなHAuCl4の光還元反応は、エチ
レングリコールが存在しない場合には極めて遅く、実使
用には用いられないことが分かった。
【0086】また、セロハンテープの替わりにシートま
たはテープ状のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデンを用いても上記とほぼ同
様な特性を有する感熱発色素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における感熱発色材料の断
面模式図
【図2】本発明の実施の形態における感熱発色材料の断
面模式図
【図3】本発明の実施の形態における感熱発色材料の断
面模式図
【図4】本発明の実施の形態における感熱発色材料の断
面模式図
【符号の説明】
1 金属微粒子 2 マトリックス材料 3 感熱発色材料 4 テープ 5 シート 6 被覆層 7 基体 8 被覆層

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微小金属微粒子とマトリックス物質から
    構成され、該微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇に
    より不可逆的に増大する感熱発色材料を無機物質で被覆
    した紙あるいは繊維に担持した構成の感熱発色素子。
  2. 【請求項2】 微小金属微粒子とマトリックス物質から
    構成され、該微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇に
    より不可逆的に増大する感熱発色材料を樹脂で被覆した
    紙あるいは繊維に担持した構成の感熱発色素子。
  3. 【請求項3】 微小金属微粒子とマトリックス物質から
    構成され、該微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇に
    より不可逆的に増大する感熱発色材料を無機物質で被覆
    した紙あるいは繊維に担持し、さらにこの感熱発色材料
    上に光学的に透明なシートあるいはテープを設置した構
    成の感熱発色素子。
  4. 【請求項4】 微小金属微粒子とマトリックス物質から
    構成され、該微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇に
    より不可逆的に増大する感熱発色材料を樹脂で被覆した
    紙あるいは繊維に担持し、さらにこの感熱発色材料上に
    光学的に透明なシートあるいはテープを設置した構成の
    感熱発色素子。
  5. 【請求項5】 微小金属微粒子とマトリックス物質から
    構成され、該微小金属微粒子の大きさが、温度の上昇に
    より不可逆的に増大する粉末状またはタブレット状の感
    熱発色材料を少なくとも片方が光学的に透明なシートあ
    るいはテープに挟み込んだ構成の感熱発色素子。
  6. 【請求項6】 被覆した無機物質が酸化珪素、酸化アル
    ミニウム、酸化チタンから選ばれる少なくとも1つであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の感熱発色素子。
  7. 【請求項7】 被覆した樹脂がフッ素樹脂、ポリビニル
    アルコール、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポ
    リアクリル酸、アクリロニトリル−スチレンコポリマ
    ー、及び澱粉のりから選ばれる少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の感熱発色素子。
  8. 【請求項8】 微小金属微粒子が、金、白金、銀、銅、
    錫、ロジウム、パラジウムまたはイリジウムから選ばれ
    る少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5
    に記載の感熱発色素子。
  9. 【請求項9】 マトリックスが酸化珪素、酸化アルミニ
    ウム、酸化チタン、フッ素樹脂、ポリビニルアルコー
    ル、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリアクリ
    ル酸、アクリロニトリル−スチレンコポリマーから選ば
    れる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜
    5に記載の感熱発色素子。
  10. 【請求項10】 シートまたはテープがセロファン、ポ
    リエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
    化ビニリデンから選ばれる少なくとも1つであることを
    特徴とする請求項3〜5記載の感熱発色素子。
  11. 【請求項11】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコ
    キシドと水とアルコールからなる混合ゾルを無機物質ま
    たは樹脂で被覆した紙あるいは繊維に塗布してゲル化
    し、前記アルコールを含んだゲルに紫外線を照射して生
    成した微小金属微粒子をマトリックス中に分散させた感
    熱発色材料を無機物質または樹脂で被覆した紙あるいは
    繊維に担持した構成の感熱発色素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した樹脂を無機
    物質または樹脂で被覆した紙あるいは繊維に塗布して固
    化し、前記アルコールを含んだ樹脂に紫外線を照射して
    生成した微小金属微粒子を樹脂中に分散させた感熱発色
    材料を無機物質または樹脂で被覆した紙あるいは繊維に
    担持した構成の感熱発色素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコ
    キシドと水とアルコールからなる混合ゾルを無機物質ま
    たは樹脂で被覆した紙あるいは繊維に塗布してゲル化
    し、さらにこの紙あるいは繊維上に光学的に透明なシー
    トを設置し、前記アルコールを含んだゲルに紫外線を照
    射して生成した微小金属微粒子をマトリックス中に分散
    させることを特徴とする感熱発色材料の製造方法。
  14. 【請求項14】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した樹脂を無機
    物質または樹脂で被覆した紙あるいは繊維に保持して加
    熱固化し、さらにこの紙あるいは繊維上に光学的に透明
    なシートを設置し、前記アルコールを含んだ樹脂に紫外
    線を照射して生成した微小金属微粒子を樹脂中に分散さ
    せることを特徴とする感熱発色材料の製造方法。
  15. 【請求項15】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコ
    キシドと水とアルコールからなる混合ゾルを加水分解と
    加熱によりゲルとし、さらにこのゲルを粉砕して粉末状
    とし、この粉末を下部シートに塗布あるいは印刷した
    後、光学的に透明な上部シートで挟み込み固定し、前記
    アルコールを含んだ粉末状のゲルに紫外線を照射して生
    成した微小金属微粒子をマトリックス中に分散させるこ
    とを特徴とする感熱発色素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 紫外線とアルコールにより還元されて
    微小金属微粒子となる金属イオンを含有した金属アルコ
    キシドと水とアルコールからなる混合ゾルを加水分解と
    加熱によりゲルとし、このゲルを粉砕して粉末にした
    後、さらに加圧成形にとりタブレット状とし、このタブ
    レットを下部シートと光学的に透明な上部シートで挟み
    込み固定し、前記アルコールを含んだタブレット状のゲ
    ルに紫外線を照射して生成した微小金属微粒子をマトリ
    ックス中に分散させることを特徴とする感熱発色素子の
    製造方法。
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