JP2000287488A - 電気モータの通電制御装置 - Google Patents

電気モータの通電制御装置

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JP2000287488A
JP2000287488A JP11091828A JP9182899A JP2000287488A JP 2000287488 A JP2000287488 A JP 2000287488A JP 11091828 A JP11091828 A JP 11091828A JP 9182899 A JP9182899 A JP 9182899A JP 2000287488 A JP2000287488 A JP 2000287488A
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Masanori Sugiyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来に比べ分解能自体を上げることなく、見
かけ上の出力が目標値と一致させるよう最適な制御を行
う。 【解決手段】 モータ回転角度をロータ角度センサ1
0、モータ電流を電流センサ8により検出し、電気モー
タの回転状態に対応し制御データを記憶したマップ用メ
モリ28を有し、マップ上で電気モータに指示する指示
トルクTsより大きい第1トルク値T1を出力する第1
制御データと共に、指示トルクTsより小さい第2トル
ク値T2を出力する第2制御データを求め、指示トルク
Tsと第1トルク値T1との偏差および指示トルクTs
と第2トルク値T2との偏差の比率により電気コイル1
への通電制御を行いモータを制御するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気モータの通電
制御装置に関し、例えば、コイルに流れる通電を切り換
えて駆動を行うスイッチドリラクタンスモータ等のチョ
ッピング制御に係わる。
【0002】
【従来の技術】電気モータの電気コイルのような負荷に
流れる電流のレベルを制御する場合には、例えば一般的
にコイルに流れる通電を切り換えて駆動を行うスイッチ
ドリラクタンス(SR)モータでは、電気モータのコイ
ルに通電するH型スイッチング回路等を用いて、負荷を
スイッチング素子を介して直流電源に接続し、負荷に実
際に流れる電流を抵抗器などで検出して、予め定めた基
準電流値と検出した電流値とを2値的に比較して、基準
電流値>実電流値の時にはスイッチング素子をオンに
し、基準電流値≦実電流値の時にはスイッチング素子を
オフすることにより制御される。これにより、スイッチ
ング素子のオン/オフが繰り返され、コイルに流れる電
流が変化して、基準電流値に応じた値(近い値)に制御
される。例えば、このような制御により駆動を行うモー
タは、特開平8−172793号公報に開示される。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】このようなモータで
は、出力トルク、回転数、およびコイルに流す電流を制
御するスイッチング素子をオンやオフさせるオン/オフ
角度や電流指示値を用いてモータ出力を制御するが、そ
のデータを多くもつ(分解能を高くする)ほどそれぞれ
のトルク、回転数、電圧に応じたモータ制御が精度良く
行える。
【0004】しかし、制御装置の分解能には制限があ
り、モータ出力はオン/オフ角度の分解能に依存するも
のとなる。例えば、5000rpm以上の中高速域で
は、モータ特性よりスイッチング素子をオンさせコイル
に電流を流し始めるオン角度から電流は立ち上がり徐々
に増加していくが、電流指示値(目標電流)に到達する
前に、オフ角度によってスイッチング素子への通電がオ
フされる場合が起こり得る。この場合、出力を変化させ
ようとすると、例えば、分解能を最小分解能分だけオン
角度のタイミングを早めるとモータ出力は数%増加する
が、その中間領域でモータ出力(トルク)を変化させる
ことはできない。
【0005】よって、本発明は上記の問題点に鑑みてな
されたものであり、従来に比べ分解能自体を上げること
なく、見かけ上の出力を目標値と一致させるよう最適な
制御を行うことを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに講じた技術的手段は、電気モータのモータ回転角度
を検出する検出手段と、電気モータの回転状態に対応し
た制御データ手段と、制御データ手段で電気モータに指
示する指示トルクより大きい第1トルク値を出力する第
1制御データと共に、指示トルクより小さい第2トルク
値を出力する第2制御データを制御データ手段より求
め、指示トルクと第1トルク値との偏差および指示トル
クと第2トルク値との偏差の比率により通電制御を行う
通電制御手段とを備えたことである。
【0007】上記の構成によれば、制御データ算出で電
気モータに指示する指示トルクより大きい第1トルク値
を出力する第1制御データと共に、指示トルクより小さ
い第2トルク値を出力する第2制御データを求め、指示
トルクと第1トルク値との偏差および指示トルクと第2
トルク値との偏差の比率により通電制御を行うようにし
たので、上記偏差の比率により第1および第2制御デー
タを切り換えることにより、その中間トルクを出力する
通電制御が行える。この場合、電気モータの制御を行う
制御データ手段(例えば、回転数とトルクとの関係を示
すマップ)は従来と同じ制御データ(マップ)を用い、
従来より細かな制御が可能となることから、モータ出力
精度が向上する。また、従来に比べ分解能自体を上げる
ことなく、見かけ上の出力が目標値と一致させ、最適な
制御を行うことが可能となる。
【0008】この場合、第1および第2制御データを時
間の比率で切り換えることにより、簡単な方法でトルク
の分解能を見かけ上、上げることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0010】図1は、3相のスイッチドリラクタンスモ
ータにおける1相電気コイル1の通電制御装置を示して
いる。この装置は、電気コイル1の一端と電源高電位ラ
イン2との間に介挿された第1のスイッチング素子4
と、電気コイル1の他端と電源低電位ライン3との間に
介挿された第2のスイッチング素子5と、電気コイル1
の一端と電源低電位ライン3との間に介挿され、その後
者からその前者への電流流通は許す第1ダイオード6
と、電気コイル1の他端と電源高電位ライン2との間に
介挿され、その前者からその後者への電流流通は許す第
2ダイオード7と、スイッチング素子4と電気コイル1
との間に介挿され、電気コイル1に実際に流れる実電流
値を表す信号S1(アナログ信号である)を生成する電
流値センサ8とを含んでいる。スイッチング素子4、5
は、ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ(IGBT)
を使用している。
【0011】制御を司るCPU(マイクロコンピュー
タ)25は、車両のバッテリー(12V)から電源回路
24を介して安定した一定電圧(5V)が供給されてい
る。また、CPU25には車両のシフトレバー、ブレー
キSW、アクセルSW,アクセル開度センサからの信号
が入力インターフェース27を介して、このような入力
信号が入力されている。更に、CPU25は外部(CP
U内部でも良い)にマップ用メモリ28を備え、マップ
用メモリ28に記憶された情報(モータ制御を行う制御
データとなる)を基に、制御データが読み出され、電流
波形生成回路9に信号を出力する。
【0012】電流波形生成回路9は、スイッチドリラク
タンスモータのロータの回転角度を検出するロータ回転
軸に取付けられたロータ角度センサ10からの信号S2
(デジタル信号である)に基づき、ロータ角度センサ1
0により検出されたロータ回転角度において電気コイル
1に流すべき基準電流値を表す信号S3(アナログ信号
である)を生成すると共に、電気コイル1への通電開始
角度から通電終了通電角度までの間にわたり高レベルH
となり、その他の回転角度では低レベルLとなる2値信
号S4を生成する。ロータ回転角度に対応する基準電流
値、通電開始角度および通電終了角度は、CPU25に
より、スイッチドリラクタンスモータの作動に関する外
部からの要求に対応して設定されるものであり、該要求
の変化に応じて変更される。
【0013】昇順鋸波発生回路11は、周期および振幅
が一定の昇順鋸波信号S5(アナログ信号である)およ
びこの昇順鋸波信号S5に同期した周期の基準チョッピ
ングタイミング信号S6を生成する。基準チョッピング
タイミング信号S6は、1周期の時間が経過する毎に瞬
間的に低レベルL−高レベルH−低レベルLと変化する
2値信号であり、基準チョッピングタイミング信号Sの
1周期は、人間の可聴周波数帯域よりはやや高い周波数
の1周期と同じに設定されている。反転回路12は、昇
順鋸波信号S5を反転して降順鋸波信号S7を生成す
る。加算回路13は、、信号S3に降順鋸波信号S7を
加算して補正基準電流信号S8を生成する。
【0014】比較回路14は、信号S1を補正基準電流
信号S8と比較し、信号S1が信号S8より小さければ
高レベルHとなり、信号S1が信号S8よりも大きけれ
ば低レベルLとなる2値信号S9を生成する。
【0015】2値信号S9は、アンドゲート15の2つ
の入力端子の一方へ入力するとともに、インバータ16
により反転されてフリップフロップ17の入力端子CL
Kに入力する。アンドゲート15の他方の入力端子には
信号S4が入力する。信号S4はスイッチング素子5へ
も入力し、スイッチング素子5は、信号S4が高レベル
Hであればオン(閉)となり、また信号S4が低レベル
であればオフ(開)となる。
【0016】アンドゲート15が出力する2値信号S1
0は、アンドゲート18の2つの入力端子の一方へ入力
する。アンドゲート18の他方の入力端子にはフリップ
フロップ17の反転出力端子から出力される2値信号S
11が入力する。フリップフロップ17の他の入力端子
CLRには基準チョッピングタイミング信号S6が入力
する。フリップフロップ17の反転出力端子の2値信号
S11は、信号S9の立下がりに応答して高レベルHか
ら低レベルLへと切換わり、また信号S6の立上りに応
答して低レベルLから高レベルHへと切換わる。この信
号S11が高レベルHであるときには、アンドゲート1
8が出力する2値信号S12は2値信号S10が高レベ
ルHであれば高レベルHとなり、また2値信号S10が
低レベルLであれば信号S12も低レベルLとなる。ア
ンドゲート18が出力する2値信号S12はスイッチン
グ素子4に入力し、信号S12が高レベルHであればス
イッチング素子4がオンとなり、また信号S12が低レ
ベルLであればスイッチング素子4がオフとなる。信号
S11が高レベルHであるときには、信号S10が高レ
ベルHから低レベルLへ変化することに応じて信号S1
2が高レベルHから低レベルLへ変化し、また信号S1
0が低レベルLから高レベルHへ変化することに応じて
信号S12が低レベルLから高レベルHへ変化する。し
かし、信号S11が低レベルLであるときには、信号S
10が低レベルLから高レベルHに変化しても信号S1
2は低レベルLに保持される。
【0017】尚、信号S5の電圧の振幅VP(図2参
照)は、電流センサ8が出力する信号S1のオフセット
電圧(電気コイル1に流れる実電流値がゼロのときの電
圧)以下に設定されている。
【0018】図1に示すスイッチドリラクタンスモータ
のチョッピング通電制御装置の作用を、図1および図2
を参照して説明する。ロータ回転角度が、電気コイル1
への通電開始角度(オン角度)に至ったとき、信号S4
が低レベルLから高レベルHに切換わり、これによって
スイッチング素子5がオフからオンに切換わる。そし
て、ロータ回転角度が通電終了角度(オフ角度)に至っ
たとき、信号S4が高レベルHから低レベルLに切換わ
り、これによってスイッチング素子5はオンからオフに
切換わる。スイッチング素子5がオンの期間中におい
て、スイッチング素子4がオンとなれば電源(図示省
略)から電気コイル1に電流が供給され、またスイッチ
ング素子4がオフとなれば電源から電気コイル1への電
流供給が停止することとなる。
【0019】他方、ロータ回転角度が通電開始角度(オ
ン角度)から通電終了角度(オフ角度)に変化する過程
においては、ロータ角度センサ10により検出されたロ
ータ回転角度が変化する毎に、信号S3のレベルが、ロ
ータ回転角度に対応する基準電流値を表すレベルに変化
する。ロータ回転角度が通電開始角度に至る以前におい
ては信号S3のレベルがゼロであり、信号S5の振幅V
Pが信号S1のオフセット電圧以下であることにより、
信号S3のレベルに降順鋸波信号S7のレベルが加算さ
れた補正基準電流信号S8が信号S1のレベルを超える
ことはなく、信号S9は低レベルLである。通電開始時
には信号S3のレベルが上がることにより実電流信号S
1が補正基準電流信号S8よりも小さい関係が生じて信
号S9が低レベルLから高レベルHに切換わり、信号S
10が低レベルLから高レベルHに切換わる。信号S9
の低レベルLから高レベルHへの切換わりがフリップフ
ロップ17の出力信号S11に影響することはなく、信
号S11が低レベルLになっていることから信号S12
も低レベルLになっている。基準チョッピングタイミン
グT1になった時、信号S11が低レベルLから高レベ
ルHに切換わり、アンドゲート18の2つの入力が共に
高レベルHとなり、信号S12が低レベルLから高レベ
ルHに切換わり、スイッチング素子4がオンとなり、電
源から電気コイル1に電流が供給される。
【0020】電気コイル1に流れる実電流値が上昇し、
信号S1のレベルが補正基準電流信号S8のレベルを上
回ると、信号S9が高レベルHから低レベルLに切換わ
り、フリプフロップ17が出力する信号S11が高レベ
ルHから低レベルLに切換わり、これにより信号S12
が高レベルHから低レベルlに切換わり、スイッチング
素子4がオンからオフに切換わり、電源から電気コイル
1への電流供給が停止する。スイッチング素子4がオン
からオフに切換わっても電気コイル1に実際に流れる電
流値はスイッチング素子4がオンから完全なオフに切換
わるまでの時間遅れによってしばらくの間上昇し続け
る。スイッチング素子4がオンからオフに切換わった
後、電気コイル1に流れる電流値が下降を開始して信号
S1のレベルが信号S8のレベルを下回ると、信号S9
が低レベルLから高レベルHに切換わる。この信号S9
の低レベルLから高レベルHへの切換わりが基準チョッ
ピングタイミングT2よりも前である場合には、信号S
11が低レベルLになっているため信号S12が低レベ
ルLから高レベルHに切換わることはなく、スイチング
素子4のオフが続く。基準チョッピングタイミングT2
になった時に信号S11が低レベルLから高レベルHに
切換わり、アンドゲート18の2つの入力が共に高レベ
ルHとなることから信号S12が低レベルLから高レベ
ルHに切換わり、スイッチング素子4がオフからオンに
切換わり、電源から電気コイル1に電流が供給されて電
気コイルに流れる電流値が再び上昇する。その後、信号
S1が信号S8を上回った時に信号S9が高レベルHか
ら低レベルLに切換わり、信号S11が高レベルHから
低レベルLに切換わる。
【0021】図2に示すように、補正基準電流信号S8
は、基準電流信号S3に降順鋸波信号S7を加算したも
のであることにより基準チョッピングタイミングT1、
T2、T3、T4、T5、T6になった時にレベルVP
だけ瞬間的に上昇する。これにより、基準チョッピング
タイミングT3、T4、T5、T6になった時に信号S
8が信号S3を上回っていても、VP未満であれば信号
S9が高レベルHから低レベルLに切換わり、これによ
り信号S11が低レベルLから高レベルHに切換わるの
で、基準チョッピングタイミングT3、T4、T5、T
6になった時に信号S12が低レベルLから高レベルH
に切換わり、スイッチング素子4がオフからオンに切換
わる。従って、電気コイル1への通電のオン/オフの1
周期が基準チョッピングタイミングの1周期よりも長く
なることが抑制され、騒音の発生が抑制される。
【0022】次に、このようなチョッピング通電制御を
行うCPU25の処理について説明する。CPU24は
イグニッションスイッチ(図示せず)がオンされ、バッ
テリーから電源が供給されると、CPU25は図3に示
すプログラム動作を開始する。まずステップS101に
おいてイニシャル処理が行われる。このイニシャル処理
ではROM,RAM等の状態がチェックされ、この処理
に必要な初期値の設定がなされた後、システム全体が正
常に動作するかがチェックされる。次のステップS10
2ではメインルーチンの演算周期となる所定時間(ここ
では、10ms)が経過したかが判定され、所定時間
(10ms毎)になると、ステップS103以降の処理
を実行する。
【0023】ステップS103ではCPU25に入力さ
れる各種信号(シフトレバー、ブレーキSW、アクセル
SW、アクセル開度センサからの信号が入力インターフ
ェース27を介して入力され、必要なメモリに記憶する
と共に、モータの電気コイル1に流れる電流センサ8
(図1では1相のみであるが、実際には3つ存在)から
の信号も入力され、その状態での電流値が必要なメモリ
に記憶される。
【0024】ステップS104では入力された信号に対
してトルク演算を行う。このトルク演算は、例えば、ア
クセル開度と指示トルクとの関係を示すマップが予め設
定されており、これをシフトレバーからの信号(Dレン
ジ信号、Rレンジ信号、1速レンジ信号、2速レンジ信
号等)をパラメータとして、アクセル開度に従いトルク
が1次関数的に連続して増加するマップを基にして、モ
ータの電気コイル1に通電を行う指令トルクTsが求め
られる。その後、ステップS105においてマップ検索
を行う。このマップ検索は図7に示すようにモータ回転
数(rpm)とトルク(Nm)の各軸が格子状に制御デ
ータ(電気コイル1にスイッチング通電を開始する通電
オン角度、通電を終了する通電オフ角度、電流を流す電
流指示値)が予め設定され、マップ用メモリ28に記憶
されている。ここでは一例として、回転数は100rp
m毎、トルクは5Nm毎に制御データが記憶されてい
る。
【0025】マップ検索は、図7の(a)に示されるよ
うに回転数とトルクマップにより格子化された制御デー
タ(C11,C12,・・・等)を基に求められるもの
であり、指示トルクTsをマップの格子点の最小分解能
Nt(5Nm)で除算することにより求められる(a=
Ts/Nt)。このaは、図7に示す特性マップの格子
点の数となり、小数点以下は切り捨てて、整数とする。
次のステップS302では格子点の中でTsに最も近く
指示トルクTsより大きい格子(マップ上で1段上)の
トルク値T1をT1=(a+1)×Ntで求め、トルク
T1を出力する角度・電流データをマップから読み出し
メモリに記憶し、これを制御データ1とする。
【0026】次のステップS305では、今度、マップ
の格子点の中で指示トルクTsに最も近く指示トルクT
sより小さい格子点(マップ上で1段下)のトルクT2
を求め、ステップS306ではトルクT2を出力する角
度・電流データをマップから読み出しメモリに記憶し、
ステップS307ではこれを制御データ2とする。
【0027】これは例えば、指示トルクTsを103N
m、Ntを5Nmとした場合(これが、マップ最小分解
能となる)、aを求める場合に小数点以下は切り捨て、
aはa=103/5=20となる。この場合、T1はT
1=(20+1)×5=105Nmとなり、制御データ
1としてそのときの制御データ1であるCA1の通電オン
角度、通電オフ角度、電流指示値がメモリに記憶され
る。一方、T2はT2=20×5=100となり、T2
=100Nmのときの制御データ2がマップより読み出
され、そのときの制御データ2であるCA2の通電オン
角度、通電オフ角度、電流指示値がメモリに記憶され
る。つまり、制御データ1は図8に示す電流波形を出力
し、制御データ2は制御データ1と異なる図9に示すよ
うな電流波形(最小分解能を分だけオン角度を進めた波
形)を出力するものとする。
【0028】その後、図3に示すメインルーチンに戻
り、ステップS106において時間演算を行う。この時
間演算はマップ検索によりメモリに記憶された制御デー
タ1および2から演算されるものであって、図6に示す
ステップS401に示す関係式TIME=10(Ts−
T2)/(T1−T2)により時間演算が行われる。
【0029】ステップS107では切り換えカウンタ値
をクリアし、ステップS108では電源がオフになった
かが判定され、電源が入っている場合にはステップS1
02からステップS108までの同じ処理を繰り返す
が、CPU25に供給される電源がオフになった場合に
はステップS109においてモータに通電を行う出力指
令を停止し、モータ通電制御を終了する。
【0030】つまり、指示トルクがTsが103Nmで
ある場合には、マップの分解能から直接的に指示トルク
Tsに相当する制御データを求めることができないこと
から、指示トルクTsに格子点(最小分解能)で最も近
く大きいトルク格子点(Tsをポイントとして1段上)
であるT1(ここでは、105Nm)と指示トルクTs
に格子点(最小分解能)で最も近く小さいトルク格子点
(Tsをポイントとして1段下)のT2(ここでは、1
00Nm)が求まり、指示トルクTsとT1の偏差およ
び指示トルクTsとT2の偏差の比率に従い制御データ
1と制御データ2との出力比率を切り換え、指示トルク
Ts(103Nm)に平均出力として近づくよう通電制
御を行うものである。指示トルクTsが103Nmの場
合には指示トルクTsとT1の偏差とTsとT2との偏
差の比率が2:3であるため、制御データ1の出力:制
御データ2の出力の比を3:2で出力切り換えを行え
ば、平均出力が103Nm相当となる。このことから、
マップの最小分解能よりも小さなトルクでも出力が可能
となり、マップ中間位置のトルクでも制御データを時間
的に切り換えてやることにより任意の出力が可能とな
る。よって、マップに記憶させる情報は従来に比べ多く
もつことがなくなり、マップ分解能以下でも細かな精度
良い制御が可能となる。
【0031】モータ通電制御における電流波形整形回路
9への出力は、図4に示すように割り込み処理により実
行される。ステップS201ではモータの電気コイル1
に通電を行う制御データの切り換え回数をカウントする
カウンタ値CNTの状態により出力状態の切り換えがな
され、カウンタ値CNTがステップS401で算出され
たTIME回数だけ出力されたか否かで出力状態が切り
換わり、ステップS204でカウンタCNTをインクリ
メントする。つまり、ここでは、制御データ1の状態を
所定回数だけ繰り返し出力し、その後、制御データ2の
状態を所定回数だけ繰り返し出力するものであり、指示
トルクTsが103Nmの場合には、図10の(a)に
示すように、T1の制御データ1の出力を2回繰り返し
た後、T2の制御データ2の出力を3回繰り返すように
すれば良い。
【0032】また、この出力状態の切り換えはこれに限
定されず、(b)に示すように制御データ1と制御デー
タ2との出力を交互に切り換えて、平均出力として所望
の指示トルクを得ることもでき、いずれにしても従来に
比べ、精度良い通電制御が行える。
【0033】
【効果】本発明によれば、制御データ手段で電気モータ
に指示する指示トルクより大きい第1トルク値を出力す
る第1制御データと共に、指示トルクより小さい第2ト
ルク値を出力する第2制御データを求め、指示トルクと
第1トルク値との偏差および指示トルクと第2トルク値
との偏差の比率により通電制御を行うようにしたので、
上記偏差の比率により第1および第2制御データを切り
換え、その中間トルクを出力する通電制御が行える。こ
の場合、従来と同じマップを用い、従来より細かな制御
ができる。これは、従来に比べ分解能自体を上げること
なく、見かけ上の出力が目標値と一致させるよう最適な
制御を行うことができる。
【0034】この場合、第1および第2制御データを時
間の比率で切り換えることにより、簡単な方法でトルク
の分解能を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における電気モータの通
電制御装置の構成を示す回路ブロック図である。
【図2】 図1に示す所定位置におけるタイミングチャ
ートである。
【図3】 本発明の一実施形態における電気モータの通
電制御装置のCPUの処理を示すメインフローチャート
である。
【図4】 本発明の一実施形態における電気モータの通
電制御装置のCPUの割り込み処理を示すフローチャー
トである。
【図5】 図3に示すマップ検索のフローチャートであ
る。
【図6】 図3に示す時間演算のフローチャートであ
る。
【図7】 回転数とトルクとの関係を示すマップの概要
を示す説明図である。
【図8】 図1に示す信号S1の波形である。
【図9】 図1に示す信号S1の波形を最小分解能だけ
オン角度を進めた波形である。
【図10】 図1に示す信号S1の切り換えを行った場
合の波形出力である。
【符号の説明】
1 電気コイル 8 電流センサ(検出手段) 10 ロータ角度センサ(検出手段) 25 CPU(通電制御手段) 28 マップ用メモリ(制御データ手段) T1 第1トルク値 T2 第2トルク値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H420 BB13 CC02 DD02 DD05 DD06 EA10 EA42 EA48 EB04 EB26 EB37 FF04 FF26 GG07 5H550 BB10 CC04 DD09 EE03 GG05 HA09 HB02 JJ03 JJ11 JJ16 JJ17 KK06 LL35 5H580 BB09 CA01 DD03 EE04 FA02 FA14 FA22 FA23 FA24 GG04 HH01 HH22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気モータのモータ回転角度を検出する
    検出手段と、前記電気モータの回転状態に対応した制御
    データ手段と、前記制御データ手段で前記電気モータに
    指示する指示トルクより大きい第1トルク値を出力する
    第1制御データと共に、前記指示トルクより小さい第2
    トルク値を出力する第2制御データを前記制御データ手
    段より求め、前記指示トルクと前記第1トルク値との偏
    差および前記指示トルクと前記第2トルク値との偏差の
    比率により通電制御を行う通電制御手段とを備えた電気
    モータの通電制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2制御データを時間の
    比率で切り換える請求項1に記載の電気モータの通電制
    御装置。
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