JP3600572B2 - モータのトルクリップル低減方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SRM(Switched Reluctance Motor)のトルクリップル低減方法に係るもので、詳しくは、1つの位置センサを利用して、モータの回転子の位置を検出した後、該検出された位置に対応する位置検出信号のパルス幅を最適に設定して、パルス幅変調信号のデューティ比を調節することにより、前記モータのトルクリップルを低減し得るSRMのトルクリップル低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、SRM(以下、モータと略称する)を駆動するためには、モータの回転子の位置信号を必要とし、最小1つの位置センサを使用して前記モータの正/逆回転移行時点を正確に認知して、前記モータを正/逆方向に制御することができる。
【0003】
そして、従来のモータの駆動装置においては、図6に示したように、モータ200の回転子の位置を検知する第1,2,3の3つの位置検出センサ301、302、303と、パルス幅変調信号110を発生して、各位置検出センサ301、302、303からの信号150、160、170に基づいて3相信号120、130、140を制御する主制御部100と、主制御部100から出力された3相信号120、130、140により3相電流をモータ200に印加するモータ駆動部50と、モータ駆動部50と主制御部100の間に接続された各ANDゲート115、125、135と、モータ駆動部50から出力される3相電流により駆動されるモータ200と、を包含して構成される。
【0004】
以下、このように構成された従来のモータの駆動装置の動作について、図6乃至図8に基づいて説明する。即ち、位置検出センサ301、302、303がモータ回転子(未図示)の位置を検出して主制御部100に夫々第1,2,3の位置検出信号150、160、170を出力すると、それらの位置検出センサの検出結果に従って主制御部100から出力されるパルス幅変調信号110及び3相信号120、130、140を夫々ANDゲート115、125、135で論理積演算した後、モータ駆動部50に出力し、モータ駆動部50は、主制御部100から入力される制御信号により固定子巻線の各相に電流を供給する。
【0005】
上記モータ200の回転に従った各相信号(A相〜C相)の波形は、図7に示したように、各位置検出信号(SR1〜SR3)の上昇エッジで各センサの出力信号がオンする毎に、所定時間(例えば、モータ200の回転子が所定の機械角度だけ回転する時間)の間上記位置検出信号によりオンして、それらの相信号は、パルス幅変調信号110と論理的に論理積演算された後、モータ駆動部50に入力される。次いで、この論理積演算された信号は、モータ駆動部50の3相電流を制御して、モータ駆動部50の各相の電流がモータ200に入力される。
【0006】
即ち、第1センサ301の出力信号がオンすると、上記第1位置検出信号(SR1)150の上昇エッジで上記A相信号(A相)120がオンして、このA相信号120は、パルス幅変調信号110と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50からA相電流が上記モータ200に供給される。このとき、モータ200は、回転して、所定時間後(例えば、モータ200の回転子が15度回転する時間後)に第2センサ302の出力信号がオンすると、第2位置検出信号(SR2)160の上昇エッジでB相信号(B相)130がオンして、その後、B相信号130は、パルス幅変調信号110と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50からB相電流がモータ200に供給される。
【0007】
次いで、第2センサ302の出力信号がオフになると、上記第2位置検出信号の下降エッジ(Falling Edge)で上記A相信号120はオフされて、所定時間後に第3センサ303の出力信号がオンした後、第3位置検出信号(SR3)170の上昇エッジでC相信号(C相)140がオンし、この信号は、パルス幅変調信号110と論理的に論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50からモータ200にC相電流が供給される。
【0008】
次いで、第3センサ303の出力電流がオフになると、上記第3位置検出信号の下降エッジでB相信号130がオフした後、所定時間後に再び第1センサ301の出力信号がオンすると、第1位置検出信号150の上昇エッジでA相信号120はオンし、その後第1位置検出信号150の下降エッジでC相信号140がオフする。
【0009】
このように、各相信号とパルス幅変調信号110とが夫々論理的に論理積演算されて、モータ駆動部50に入力されると、モータ駆動部50は、各相電流を固定子巻線に出力することにより、モータ200が回転する。
【0010】
しかし、このとき図8の、回転子の回転角(横軸)とトルク(縦軸)との関係から示されるように、モータ200に入力される3相電流によりトルクリップルに基因する騒音が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のモータ駆動方法においては、モータ200に入力された3相電流によってトルクリップルが発生するので騒音が大きくなるという不都合な点があった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、1つの位置検出センサのみを利用して上記モータ200の回転子位置を検出した後、検出された位置に対応する位置検出信号のパルス幅を最適に設定して、パルス幅変調信号110のデューティ比を調節することにより、モータ200のトルクリップルを低減し得るトルクリップル低減方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係るトルクリップル低減方法においては、回転子の位置に対応して位置検出信号のパルス幅を設定する段階と、前記位置検出信号の上昇及び下降エッジに同期して各相の電流を制御する制御信号を出力する段階と、前記位置検出信号の下降エッジが検出されると、その時点からパルス幅変調信号のデューティ比を変えて出力する段階と、を順次行うことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に対し、図面を用いて説明する。
【0015】
本発明に係るモータの駆動装置においては、図1に示したように、モータ200の回転子の位置を検出する1つの位置検出センサ310と、パルス幅変調信号及び各3相信号120、130、140を制御する主制御部300と、位置検出センサ310から出力された位置検出信号によりパルス幅変調信号のデューティ比を制御する制御部400と、主制御部300から出力される3相信号120、130、140により3相電流をモータ200に出力するモータ駆動部50と、モータ駆動部50と主制御部300間に接続された各ANDゲート115、125、135と、モータ駆動部50から出力される3相電流により駆動されるモータ200と、を包含して構成されている。
【0016】
以下、このように構成された本発明に係るモータの駆動装置の動作並びに、本発明に係るモータのトルクリップル低減方法について図1〜図3を参照して説明する。
【0017】
図2は図1に示した位置検出センサ310の出力信号350と、主制御部300の出力信号120(A相)、130(B相)、140(C相)、及び制御部400の出力信号(PWM)の間の関係を示し、また、図3は本発明のトルクリップル低減方法のフローチャートを示す。図1乃至3に示したように、位置検出センサ310は、モータ回転子(未図示)の位置を検出して主制御部300に位置検出信号350を出力する(S1)。次いで、主制御部300は、入力された上記位置検出信号のパルス周期とそのオン期間のパルス幅を変えてモータ200のトルクリップルが最小になるように設定する(S2)が、このときの上記パルス幅の最適の幅(期間)は、モータの回転子の回転角度が約6度(機械角、以下同様)程度の期間である。次いで、上記の設定された位置検出センサのパルス幅に基づいて、主制御部300は、3相信号120、130、140を上記の位置検出信号の上昇エッジ又は下降エッジに同期して、モータ駆動部50に出力し、上記3相信号に応じてモータ駆動部50は、3相電流をモータ200に出力する。
【0018】
このとき、上記の決められたパルス幅を基準としてセンサ310の出力信号がオンすると、回転子は所定角度(6度)回転して、センサ310の出力信号は再びオフし、その後、上記回転子は所定角度(9度)だけさらに回転してセンサ310の出力信号が再びオンすることによって、モータの各相が駆動される(S3)。
【0019】
また、上記位置検出信号の各下降エッジ毎にパルス幅変調信号のデューティ比が変えられて、各相信号とパルス幅変調信号が論理的に論理積演算されて、モータ駆動部50に入力される(S4)。
【0020】
即ち、初めに、センサ310の出力信号がオンすると、A相信号120がANDゲートに入力されてパルス幅変調信号と論理積演算された後にモータ駆動部50に入力され、モータ駆動部50は主制御部300から入力されたA相信号120の制御によりモータ200にA相電流を供給して、上記回転子が回転する。
【0021】
このとき、上記回転子が所定角度(6度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号はオフして、位置検出信号350の下降エッジの瞬間にC相信号140がオフするが、上記A相信号120はオンしているため、モータ200は持続的に回転する。
【0022】
次いで、上記回転子が所定角度(9度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号は再びオンして、上記位置検出信号の上昇エッジの瞬間に、B相信号130がオンして、このB相信号130は、パルス幅変調信号と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50は、B相信号130の制御によりモータ200にB相電流を供給して、モータ200を駆動させる。
【0023】
次いで、上記回転子が所定角度(6度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号は再びオフして、位置検出信号350の下降エッジの瞬間に、A相信号120がオフする。次いで、A相信号120は、パルス幅変調信号と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50は、モータ200に供給されるA相電流を中止させるが、B相信号130は相変わらずオンしているので、モータ200の回転子は持続的に回転する。
【0024】
次いで、上記回転子が所定角度(9度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号はまたオンして、上記位置検出信号の上昇エッジの瞬間に、C相信号140はオンして、パルス幅変調信号と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50は、C相電流をモータ200に供給する。
【0025】
次いで、上記回転子が所定角度(6度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号はオフして、位置検出信号350の下降エッジの瞬間に、B相信号130はオフして、パルス幅変調信号と論理積演算された後、モータ駆動部50に入力されて、モータ駆動部50は、モータ200に出力されるB相電流を上記信号の制御により中止させる。
【0026】
次いで、上記回転子が所定角度(9度)だけさらに回転すると、センサ310の出力信号はオンして、上記位置検出信号の上昇エッジの瞬間に、A相信号120は再びオンし、A相信号120は、パルス幅変調信号と論理積演算された後、モータ駆動部50に出力されて、モータ駆動部50は、A相電流をモータ200に再び供給する。
【0027】
このようにして、1つの位置検出センサ310を利用してモータ200に入力される各相電流に対応する3相信号120、130、140を制御することができる。
【0028】
このとき、主制御部300の出力信号に応じてスイッチング素子のターンオン及びターンオフを制御するとき、使用されるスイッチング素子として通常のバイポーラトランジスタBJT(Bipolar Junction Transistor)が一般に利用されるが、他のスイッチング素子(例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、MBT(MOS gate Bipolar Transistor))を利用して制御することもできる。
【0029】
又、上記パルス幅変調信号(PWM)のデューティ比は、図2に示したように、位置検出信号が下降エッジの時点から所定時間の間減少し、その後次第に増加するように調節され、デューティ比を可変にする。
【0030】
即ち、予め設定されたパルス幅変調信号の基準のパルス幅を1とするとき、図2中に点線で囲んで拡大して示したように、上記センサ検出信号の下降エッジ検出後から図中に矢印で示した所定の時間、例えば大略600μsの間PWMのパルス幅を1/2にし、その600μs後には、再び本来のパルス幅1に調節し、さらに、上記位置検出信号350の上昇エッジ検出後には、本来のパルス幅の2倍に調節した後、所定の時間、例えば約300μs後にすぐ本来のパルス幅1に調節する。各相に供給される電流によりトルクが発生し、モータにはこの各相のトルクの和(トータルトルク)によってトルクリップルが発生する。
【0031】
図4は、本発明に係る位置検出信号のパルス幅が最適の状態で、パルス幅変調信号のデューティ比を調節する前に発生するトルクリップルを示した波形図で、横軸は回転角を示し、縦軸はトルクの強さを示したものである。図示されたように、上記デューティ比を調節する前には、従来のトルクリップルとあまり差がないということが分かる。
【0032】
これに対し、図5は、本発明に係る位置検出信号のパルス幅が最適の状態で、パルス幅変調信号のデューティ比を本発明に従って可変にするように調節した後に発生するトルクリップルを示した波形図で、横軸は回転角を示し、縦軸はトルクの強さを示したものである。図示されたように、本発明に従って位置検出器信号のパルス幅を決める角度(機械角)を最適に設定して、上記のようにデューティ比を調節した結果、図4に示した場合よりもトルクリップルが50%ぐらい減少することがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るSRMのトルクリップル(Torque Ripple)低減方法においては、1つの位置検出センサ310を利用して、検出された位置検出信号350の幅を最適に設定して、前記位置検出信号350の下降エッジから所定時間の間、スイッチング素子を駆動させるためのパルス幅変調信号のデューティ比を可変にすることによって、トルクリップルを50%以上低減し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSRMの駆動装置を示したブロック図である。
【図2】本発明に係るSRMの3相駆動、位置検出センサ及びパルス幅変調の信号を示した波形図である。
【図3】本発明に係るSRMのトルクリップル低減方法を示したフローチャートである。
【図4】本発明に係るSRMの位置検出信号のパルス幅が最適の状態で、パルス幅変調信号のデューティ比を調節する前に発生するトルクリップルを示した波形図である。
【図5】本発明に係るSRMの位置検出信号のパルス幅が最適の状態で、パルス幅変調信号のデューティ比を調節した後に発生するトルクリップルを示した波形図である。
【図6】従来のSRMの駆動装置を示したブロック図である。
【図7】従来のSRMの3相駆動、センサ及びパルス幅変調の信号を示した波形図である。
【図8】従来のSRMのトルクリップルを示した波形図である。
【符号の説明】
50…モータ駆動部
120、130、140…3相信号
200…モータ(SRM)
300…主制御部
310…位置検出センサ
350…位置検出信号
400…パルスデューティ制御部

Claims (4)

  1. モータの回転子の位置検出結果に対応する位置検出信号のパルス幅を設定する段階と、
    前記位置検出信号の上昇及び下降エッジに同期して前記モータの3相の各電流を制御する信号を出力する段階と、
    前記位置検出信号の下降エッジが検出された時点からパルス幅変調信号のデューティ比を減少させて出力する段階と、を順次行うことを特徴とするモータのトルクリップル低減方法。
  2. 前記位置検出信号を、前記モータの回転子が機械角で約15度回転する時間のパルス周期に設定することを特徴とする請求項1に記載のモータのトルクリップル低減方法。
  3. 前記パルス周期は、オン期間のパルス幅が前記モータの回転子が機械角で約6度回転する時間で設定されることを特徴とする請求項2に記載のモータのトルクリップル低減方法。
  4. 前記パルス幅変調信号は、前記位置検出信号の各周期毎に該位置検出信号の下降エッジが検出される時点から所定時間の間、前記デューティ比が予め定めた基準の値の半分に低減された後、再び増加されることを特徴とする請求項1に記載のモータのトルクリップル低減方法。
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