JP2000281701A - 酵素による低粘度カルボキシメチルセルロースの製法 - Google Patents

酵素による低粘度カルボキシメチルセルロースの製法

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JP2000281701A
JP2000281701A JP11086889A JP8688999A JP2000281701A JP 2000281701 A JP2000281701 A JP 2000281701A JP 11086889 A JP11086889 A JP 11086889A JP 8688999 A JP8688999 A JP 8688999A JP 2000281701 A JP2000281701 A JP 2000281701A
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cmc
carboxymethylcellulose
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Kumiko Tachikawa
久美子 太刀川
Norihiro Hanada
宣弘 花田
Shinji Sato
伸治 佐藤
Hiroaki Nanba
宏彰 難波
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率のよい酵素処理低粘度CMCの製造方法を
提供する。 【解決手段】 酵素処理によって低粘度化したCMCを製
造するに当たり、CMC溶液中に酵素を添加するのではな
く、酵素溶液中にCMCを溶解させることによりより効率
的に低粘度化処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボキシメチル
セルロース(以後CMCと表記)の酵素による加水分解物
の新規な製造法に関する。この製法によって製造される
低粘度CMCは、食品添加剤、化粧品原材料、医薬品原材
料として用いられるだけでなく、保水剤、粘度調整剤、
保湿剤、分散剤、結合剤、接着剤、光沢付与剤、被膜形
成材料等工業用原材料としても用いられる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】CM
C、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロ
ピルセルロースのようなセルロース誘導体は、冷水およ
び熱湯に溶解し、生理学的に不活性かつノンカロリーで
(ヒトの腸内フローラにより非代謝性)、無臭で味のな
い、水溶性のまたは水懸濁性のポリマーである。これら
のセルロース誘導体は、増粘剤、結合剤、安定剤、懸濁
化剤または流量調整剤として有効であり、また油類、グ
リース類および有機溶媒に耐えるフィルムを形成する。
これらの機能により、それらは食物、薬品、化粧品、紙
およびその他の産業における広範な用途に適用されてい
る。
【0003】高分子量のセルロース誘導体は著しい粘性
付与特性をもち、それゆえに製品物性へ影響することが
懸念される場合がある。例えば医薬、食品、化粧品、印
刷関連分野などの産業においては、分散安定性と粘性調
整のバランスをとることは時として困難であり、過度の
増粘が食感や使用感に影響を与えることも考えられ、適
用が困難になることがある。従ってこのような場合、低
粘度のセルロース誘導体が強く要望され、従来から平均
分子量数十万以下の低分子量のセルロース誘導体の製造
方法が検討されてきた。
【0004】一般的に、低分子量、低粘度のセルロース
誘導体を製造するためには、低分子量の原料セルロース
を選択するか、または、比較的高分子量に調製されたセ
ルロース誘導体を所望の分子量に達するまで解重合する
という方法を採る。前者の方法では、発底原料によって
製品粘度が制限され、所定の粘度の製品を安定して製造
することには問題がある。従って製造後に重合度を調整
することが実質的に必要とされる。
【0005】これまでに、セルロース誘導体の重合度調
整方法として、酵素以外の処理方法として過酸化水素、
ハロゲン化水素、晒粉、オゾン、酸素、空気、γ線照射
などが公知である。電離性放射線または紫外線を照射し
て2%水溶液が5〜50mPa・sの製品を得る方法(特開平7-48
401号公報)、乾燥状態または含水のセルロース誘導体を
過酸化水素水溶液で処理し、1%水溶液が7〜33mPa・sの
製品を得る方法(米国特許第2749336号)、過ほう酸塩を
添加して酸化分解し、1.9%水溶液が15mPa・sの製品を得
る方法(特開平8-41101号公報)などが提示されてきた。
【0006】しかしながら、これらの方法においては、
大がかりな設備を必要としたり、処理に用いた薬品の残
留によって用途に制限ができたり、さらには非常に長い
反応時間を必要とする等の問題があるほか、作業中の爆
発の可能性や人体に害を及ぼす危険性もあり問題であ
る。
【0007】一方、低粘度のものを得ることを目的とし
た、酵素によるセルロース誘導体の加水分解は、常圧で
の穏やかな反応で、特別な装置も不要、工程中の安全性
や、発生する排水・廃棄物処理を考慮すると、他の方法
と比較し有利である。
【0008】CMCが酵素処理によって低粘度化できるこ
とは公知であり、この方法に関する出願もなされてい
る。
【0009】一般的に知られている酵素反応は、基質溶
液を調製してから酵素投入という手順で行われる。例え
ば、CMCを酵素によって加水分解して低粘度化する方法
として、平均重合度3〜300、平均分子量500〜1
00000のCMC製造する方法が開示されている(特開
平2-245001号公報)。ここではCMCの水溶液をあらかじ
め調整しそこへ酵素を添加し反応を開始している。この
ような方法を採る場合、原料であるCMCの溶液は原料自
体の持つ粘性のために溶液粘度が高くなり、酵素の均一
な分散が妨げられ、反応速度が低くなるといった問題点
があった。また、反応液を攪拌することによって酵素自
体を分散または溶解させ、反応サイトへの移動を速やか
に行わせることが試みられるが、この点においても、攪
拌力の大きな攪拌機を設置したり、高粘度溶液用の特殊
な攪拌装置を使用する必要があったりするため、反応液
自体の高粘性は問題となった。
【0010】これに対し低濃度で反応することが考えら
れるが、生産性が低くなるだけでなく、濃縮設備が必要
であったり、乾燥に多大なエネルギーを必要とするなど
の問題があった。
【0011】更に、CMCにおいては親水性が非常に高い
ために、水と接触したCMC粉末表面が先に粘性発現す
る。これによってCMC粉体表面に粘性の高い高濃度CMC層
が形成され、それによって水の粉体中心部への浸透が妨
げられ、ママコが生じたり、膨潤したCMCケ゛ル粒子とな
る。これらの現象は、後から添加された酵素のCMCへの
接近を抑制し、反応速度の低下を引き起こしてきた。こ
れに対しては、長時間をかけてCMCが完全に解けた段階
で酵素を添加することが行われてきた。ここでも反応時
間が長くなり生産効率の低下が問題となっていた。
【0012】また、処理に使用した酵素は水中でCMCに
より安定化されており、水溶液の状態で、通常失活する
とされる熱処理条件70〜90℃10分から1時間では
完全に失活しない。残存酵素活性を残したCMCは液状で
保存した場合経時的に粘度が低下し、品質安定性に問題
があった。また粉末化したとしても、一旦水溶液として
溶解した時点から粘度低下が始まる、他のセルロース系
誘導体と混合した場合に、他の誘導体にも活性を示すた
め、混合溶液の粘度低下を引き起こす問題が生じるた
め、混合溶解して使用できないとうの問題点があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、酵素を用いた
CMCの低粘度化処理方法において、用いる酵素をあらか
じめ水中に分散または溶解させることによって、原料CM
Cが水に接し、溶解を始める段階で水が原料CMCに浸透す
ると同時に酵素が浸透し、原料CMCの反応サイトにより
効率的に酵素が移動でき、それによってCMC原料粉体表
面に形成される高濃度CMC層を速やかに低粘度化し、そ
れによって更に酵素の反応サイトへの移動が速やかとな
り、反応速度が飛躍的に上昇することを見いだした。
【0014】すなわち、CMCを酵素処理によって低粘度
化するに当たり、用いる酵素をあらかじめ水中に溶解ま
たは分散させた液を調整し、そこへ低粘度化しようとす
る原料CMCを徐々に添加することを特徴とする酵素処理
低粘度CMCの製法である。
【0015】また、CMCを酵素処理によって低粘度化す
るに当たり、用いる酵素をあらかじめ水中に溶解または
分散させた液を調整し、そこへ低粘度化しようとする原
料CMCを反応液粘度が10000mPa・s以下となるように徐々
に添加することを特徴とする酵素処理低粘度CMCの製法
である。
【0016】更に、酵素がセルラーゼまたはセルラーゼ
含有物であるところの酵素処理低粘度CMCの製法であ
る。
【0017】また、高濃度の水溶液でも粘度が比較的低
く押さえることができるため、従来のCMC製品では考え
られなかった液状品としての販売が可能となる。
【0018】また、低粘度化に使用した酵素の活性をな
くす方法として、乾燥粉末を80〜180℃で5分〜2
時間加熱処理することにより、残存酵素活性のない酵素
処理低粘度CMCを得ることができる為、粘度の安定性が
改善される、他のセルロース誘導体成分との混合溶解使
用の幅が広がる等の利点が見いだされた。
【0019】更に、高濃度で低粘度の溶液が得られるた
めこれまで考えにくかったスフ゜レート゛ライ法、ト゛ラムト゛ライ法によ
る乾燥粉末製品の製造が効率よく実施できる。更にスフ゜レ
ート゛ライ工程、ト゛ラムト゛ライヤー表面で高温にさらされることに
より酵素の失活処理が同時にでき、酵素の失活工程を省
略することができる。本発明の製法により得られた酵素
処理低粘度CMCの20〜50%水溶液をスフ゜レート゛ライ法又は
ト゛ラムト゛ライ法により乾燥する低粘度CMC乾燥粉末の製造方
法が有用である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明において原料として使用で
きるCMCは、カルボキシメチル基置換度0.3以上2.0以
下、好ましくは0.4以上1.6以下の範囲にあるものが適し
ている。それらのいくつかの組み合わせが挙げられる
が、本発明はこれらの使用に限定されるものではない。
カルボキシメチル基置換度が0.3未満の場合、水溶性が
低下して不溶部分では表面近傍でしか酵素反応が起こら
ないため、酵素の処理速度が低下する上、酵素処理物の
収率が大きく低下する。2.0以上となるとほとんどのク゛ル
コース残基がCM化されているため、酵素の反応サイト数が少
なくなり減粘速度、減粘率とも大きく低下する。
【0021】また、原料として使用できるCMCが、酵素
処理以外の方法、例えば電離性放射線または紫外線を照
射したり、過酸化水素水溶液や過ほう酸塩等で処理する
等あらかじめ公知の方法で減粘処理を施したものであっ
てもよい。処理原材料としてのCMCの粘度が低ければ、
より高濃度の反応液にしても酵素反応を阻害するほどの
反応液粘度にならず、高濃度の反応が可能であり、濃度
が高いほど反応ハ゛ッチ当たりの生産高は上昇する。
【0022】本発明で用いる酵素は、典型的にはセルラ
ーゼおよびその混合物である。これは、トリコデルマ
属、アスペルギラス属、ペニシリウム属などの菌株のよ
うな多数の異なる微生物から生産される。ここで用いる
のに適したセルラーゼ製剤としては、例えばセルロシン
(阪急バイオインダストリー製)と称される市販のセルラ
ーゼ製剤が挙げられる。
【0023】本発明における作業行程としては、酵素を
適切な温度の水または緩衝液に溶解または分散させてか
ら粉体のCMCと混合し、十分な時間および温度条件下で
加水分解せしめることにより、効率的にCMC加水分解物
を製造することを特徴とする。
【0024】酵素を溶解させるための溶媒としては、
水、または適切な濃度およびpHに調製した緩衝液を用い
ることができる。緩衝液の例として酢酸塩緩衝液、リン
酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液等を用いることができ
る。pHは酵素反応に至適な範囲、通常は例えば、pH3.5
〜6.0の範囲で行うことが好ましい。
【0025】加水分解中の温度は、酵素反応に至適な範
囲、通常30〜50℃の範囲で行うことが好ましい。
【0026】使用する酵素の量は、通常CMCに対して0.0
2〜1.0%の範囲で行うことが好ましい。
【0027】CMCを加水分解する際の、酵素水溶液に対
する固形分濃度は20〜60%、好ましくは30〜40%であ
る。20%以下での酵素反応は、反応効率は良いが生産性
が悪く、60%以上においては酵素反応性が低下し、好ま
しくない。
【0028】更に、原料CMCとしては高粘度のものから
低粘度のものまで使用することができるが、原料CMCを
添加した酵素反応液自体の粘度が10000mPa・s以上になる
と攪拌効率が低下し、酵素反応速度が著しく低下する。
通常の攪拌機付き縦型反応器を用いる上に置いては反応
液粘度を10000mPa・s以下で反応することが望ましい。
【0029】高粘度反応においては、公知の高粘度液体
に対応した反応設備を応用することができる。この場合
は、より高粘度な反応液を用いることが考えられる。
【0030】以上の方法によれば、CMCの酵素による加
水分解を行う際、これまでにない高い原料固形分濃度で
の処理が出来、高い生産性と効率的な酵素反応を実現す
ることができる。
【0031】反応中又は反応液の加熱処理によって沈殿
物、濁りが発生するが、沈殿物、濁りの除去は、遠心分
離、濾過、遠心沈降によって行われる。沈殿物の除去方
法においては公知の方法を用いることができる。
【0032】反応の後処理としては、反応中に使用する
酵素の失活除去、反応中の沈殿物の除去が行われる。一
般に酵素の失活は反応液を80℃以上の高温に数分から
数時間おくことによって実施されるが、本発明の場合、
原料のCMCによって熱に対して安定化されているため、
一旦乾燥後80〜180℃で5分〜2時間加熱処理する
ことで残存酵素活性のない低粘度CMC乾燥品を得ること
ができる。液状品を得る場合には反応液を90〜120
℃で1〜4時間加熱処理する事が有効である。95℃以
上で加熱処理する場合にはオートクレーブ等の耐圧加熱
容器が使用される。
【0033】また、乾燥粉末を得るためには公知の溶液
粉末化法を用いることができる。ト゛ラムト゛ライヤー、スフ゜レート゛ラ
イヤー等粉体、粉体の温度が100℃以上になる方法にお
いては、乾燥と酵素失活を同時に行うことも可能であ
る。本発明では、120〜180℃で行うことが乾燥効
率、酵素失活度、コゲの発生抑制の点から好ましい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、CMCをこれまでにない
高い原料固形分濃度で、効率的な酵素反応による加水分
解ができる。また、高い生産性および酵素反応性両方を
実現できる。
【0035】本発明により製造される低粘度CMCは、高
濃度水溶液においてもアラビアガム相当ないしはそれ以
下の超低粘度のCMCも得られることから、これまで高固
形分濃度では粘度が上昇しすぎて使用できなかった分
野、例えば医薬・食品・化粧品の乳化剤、分散剤、粘性調
整剤、皮膜剤、固着剤として、また、印刷関連分野では
エッチング剤、インク保護コロイド剤、印刷原版保護膜
剤として、さらには、マイクロカプセルの造膜剤、紙力
増強剤などの広範囲の用途に使用することができる。
【0036】
【実施例】本発明を以下の実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0037】≪測定方法1;平均分子量≫東ソー(株)製
GPC装置HLC-8120GPCにて、カラムはPwXL-6000,PwXL-300
0,PwXL-2000を使用し、pH0.68 0.1Mリン酸塩緩衝液を溶
離液として分析を行い、重量平均分子量をプルラン換算
の数値として算出した。
【0038】≪測定方法2;粘度≫粘度はmPa・sで表記
し、原則的にブルックフィールド型粘度計を用いて、25
℃、ロータ回転数30rpmにおける測定値を採用した。な
お、測定範囲を超える粘性を示す場合にはローター回転
数、ローターを順次変えて測定した。
【0039】製造例1(過酸化水素処理低粘度CMCの製
造) 原料CMCとしてカルボキシメチル基置換度0.86、1%粘
度210mPa・sであるCMC(商品名サンローズA20HC)500gを
2000gのIPA溶液(IPA1950gと水50gの混合液)に分散さ
せた後、酢酸でpH6.5とし20分攪拌した。そこへ35%過
酸化水素を25g徐々に添加した後、50℃に昇温し2時間
反応させた。大量のメタノール中へ反応液を移し冷却後、遠
心分離して固形分を分離した。この固形分を10Lのメタノー
ルで2回洗浄し、遠心脱液後80℃の送風乾燥機で乾燥し
た。カルホ゛キシメチル基置換度は0.84、1%粘度は6mPa・s、20
%粘度3400mPa・sであった。収率は78%であった。
【0040】実施例1 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液80Lを45℃に
昇温し、酵素として市販酵素製剤セルロシンT2(阪急
バイオインダストリー(株)製)150gを投入し、30分攪拌
した。ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル基置換
度1.41、1%粘度110mPa・sであるCMC(商品名サンローズA
-10SH、日本製紙(株)製)20kgを、4分割し6時間ごとに
添加した。投入の度に反応液粘度は25000mPa・s以上に上
昇し、徐々に反応が進むにつれて粘度が低下した。投入
終了後12時間攪拌し、粘度の低下がレベルオフした事を
確認した。室温まで冷却後、懸濁物をフ゛ルナーロートで吸引濾
別し、CMC加水分解物の透明な溶液を得た。このものを
大川原加工機(株)製小型スプレードライヤー(L−8
型)にて、160℃で噴霧乾燥し、CMC加水分解物の白色粉
末を得た。トータル収率は87%であった。加水分解物の2
0%粘度は360mPa・s、カルボキシメチル基置換度は1.43、
重量平均分子量は38,000であった。
【0041】実施例2 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液70Lを45℃に
保温し、セルラーゼとして市販酵素製剤セルロシンT
(阪急バイオインダストリー(株)製)150gを投入し、30
分攪拌した。ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル
基置換度0.72、4%粘度19mPa・sである低粘度CMC(商品名
サンローズAPP-84、日本製紙(株)製)30kgを、反応液粘
度を5000〜7000mPa・s以下にコントロールしながら12時間にわ
たり連続投入した。投入終了後17時間攪拌した。反応液
を室温まで冷却し、ラジオライト#900をプレコートした
回転ドラム式フ゜レコートフィルター(大機ゴム工業製)で懸濁物
を濾別する事により、CMC酵素処理物の透明な溶液を得
た。このものを実施例1と同様な方法で噴霧乾燥し、CM
C加水分解物の白色粉末を得た。収率は91%であった。加
水分解物の20%粘度は5.2mPa・s、カルボキシメチル基置
換度は0.91、重量平均分子量は16,000であった。
【0042】実施例3 反応溶媒としてpH4.5、0.05Mリン酸塩緩衝液70L、セル
ラーゼとして市販酵素製剤セルロシンT(阪急バイオイ
ンダストリー(株)製)150g、出発物質としてカルボキシ
メチル基置換度0.72、4%粘度19mPa・sであるCMC(商品名
サンローズAPP-84、日本製紙(株)製)30kgを、実施例2
と同様に減粘処理し、さらに耐圧加熱容器中で110℃で
2時間保持する事による酵素失活処理を行った後、実施
例2と同様フ゜レコートフィルターで濾過処理して反応液を得た。
その後、濃度調整をして固形分濃度30%の低粘度CMC溶
液を得た。収率は96%であった。加水分解物の20%粘度は
11mPa・s、CMC固形分のカルボキシメチル基置換度は0.8
9、重量平均分子量は17,800であった。
【0043】実施例4 反応溶媒としてイオン交換水70L、セルラーゼとして市
販酵素製剤セルラーゼT「アマノ」(天野製薬(株)製)13
0g、出発物質としてカルボキシメチル基置換度0.72、4%
粘度19mPa・sであるCMC(商品名サンローズAPP-84、日本
製紙(株)製)30kgを、実施例3と同様に処理し、濾過処
理の後の反応液を得た。この反応液を常圧式センターフィート゛タ
゛フ゛ルト゛ラムト゛ライヤー(田中機械製)で130℃で乾燥した後、
得られた乾燥物を奈良式自由粉砕器(M−2型)で粉砕
し、CMC加水分解物の白色粉末を得た。収率は84%であっ
た。加水分解物の20%粘度は56mPa・s、カルボキシメチル
基置換度は0.81、重量平均分子量は20,000であった。
【0044】実施例5 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液60L、セルラ
ーゼとして市販酵素製剤セルロシンT2(阪急バイオイ
ンダストリー(株)製)200g、出発物質としてカルボキシ
メチル基置換度0.72、4%粘度19mPa・sであるカルボキシ
メチルセルロース(商品名サンローズAPP-84、日本製紙
(株)製)40kgを、実施例2と同様に処理し、CMC加水分解
物の白色粉末を得た。収率は72%であった。加水分解物
の20%粘度は840mPa・s、カルボキシメチル基置換度は0.8
8、重量平均分子量は18,000であった。
【0045】実施例6 反応溶媒としてpH4.5,0.05Mリン酸塩緩衝液80Lを45℃に保
温し、セルラーゼとして市販酵素製剤セルロシンT(阪
急バイオインダストリー(株)製)100gを投入し、30分攪
拌した。ここに、出発物質として、カルボキシメチル基
置換度0.63、1%粘度105mPa・sであるCMC(商品名サンロー
ズF10LC、日本製紙(株)製)30kgを、攪拌しながら5時間
毎に5回に分けて分割投入した。以後実施例2と同様に
処理し、CMC加水分解物の白色粉末を得た。収率は71%で
あった。加水分解物の20%粘度は230mPa・s、カルボキシ
メチル基置換度は0.70、重量平均分子量は16,000であっ
た。
【0046】実施例7 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液90Lを45℃に
保温し、セルラーゼとして市販酵素製剤セルロシン(阪
急バイオインダストリー(株)製)150gを投入し、30分攪
拌した。ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル基置
換度1.41、1%粘度110mPa・sであるCMC(商品名サンロ
ーズA10SH)30Kgを、攪拌しながら20時間にわたり徐々
に投入した。以後実施例1と同様に処理し、カルボキシ
メチルセルロース加水分解物の白色粉末を得た。収率は
79%であった。加水分解物の20%粘度は9,700mPa・s、カル
ボキシメチル基置換度は1.44、重量平均分子量は145,00
0であった。
【0047】実施例8 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液1Lを45℃に保
温し、セルラーゼとして市販酵素製剤セルロシン(阪急
バイオインダストリー(株)製)5gを投入し、30分攪拌し
た。ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル基置換度
0.86、1%粘度210mPa・sであるCMC(商品名サンローズA
20HC、日本製紙(株)製)200gを、攪拌しながら24時間に
わたり徐々に投入した。投入終了後12時間攪拌した。室
温まで冷却後、懸濁物をフ゛ルナーロートで吸引濾別し、CMC加
水分解物の透明な溶液を得た。固形分10%に濃度調製
し、以後実施例1と同様に処理し、カルボキシメチルセ
ルロース加水分解物の白色粉末を得た。収率は74%であ
った。加水分解物の20%粘度は21000mPa・s、カルボキシ
メチル基置換度は0.88、重量平均分子量は46,000であっ
た。
【0048】実施例9 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液1Lを45℃に保
温し、セルラーゼとして市販酵素製剤セルロシン(阪急
バイオインダストリー(株)製)5gを投入し、30分攪拌し
た。ここに、製造例1で得られたカルボキシメチル基置
換度0.84、1%粘度は6mPa・s、20%粘度3400mPa・sであ
るCMC200gを、攪拌しながら8時間にわたり徐々に投入
した。投入終了後12時間攪拌した。室温まで冷却後、
懸濁物をフ゛ルナーロートで吸引濾別し、CMC加水分解物の透明
な溶液を得た。固形分20%に濃度調製し、以後実施例1
と同様に処理し、カルボキシメチルセルロース加水分解
物の白色粉末を得た。収率は74%であった。加水分解物
の20%粘度は430mPa・s、カルボキシメチル基置換度は0.8
9、重量平均分子量は17,000であった。
【0049】比較例1 反応溶媒としてのpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液4Lに、出
発物質として、カルボキシメチル基置換度0.63、1%粘度
105mPa・sであるCMC(商品名サンローズF100LC、日本製紙
(株)製)1kgを室温で一括投入し、混練し3時間かけて
溶解させた。このものを45℃に保温し、セルラーゼとし
て市販酵素製剤セルロシンT2(阪急バイオインダスト
リー(株)製)5gを投入し、ステンレス製攪拌棒で均一と
なるまで混練攪拌した。しかし、反応開始前の粘度が20
0,000mPa・s以上で糊状のため、通常のインヘ゜ラー型攪拌羽根
では攪拌できず、前述の攪拌棒で3時間毎に5分間攪拌
した。48時間反応を続けた後の固形分20%に調製した
反応液粘度は178000mPa・s、カルボキシメチル基置換度
は0.64、重量平均分子量は260,000であった。
【0050】比較例2 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液80Lを45℃に
保温し、ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル基置
換度0.72、4%粘度19mPa・sである低粘度CMC20kgを、8時
間にわたり連続投入した。投入終了後5時間攪拌して、
固形分20%の溶液を得た。ここにセルラーゼとして市販
酵素製剤セルロシンT(阪急バイオインダストリー(株)
製)150gを投入し、30分攪拌した。45℃に保温しながら
更に48時間攪拌を続けた後、反応液を室温まで冷却し、
固形分を10%に再調整した後、回転ドラム式フ゜レコートフィ
ルター(大機ゴム工業製)で懸濁物を濾別する事により、C
MC酵素処理物の透明な溶液を得た。このものを実施例1
と同様な方法で噴霧乾燥し、CMC加水分解物の白色粉末
を得た。収率は82%であった。加水分解物の20%粘度は62
00mPa・s、カルボキシメチル基置換度は0.74、重量平均
分子量は132,000であった。
【0051】比較例3 反応溶媒としてpH4.5、0.05M酢酸塩緩衝液80Lを45℃に
昇温し、酵素として市販酵素製剤セルロシンT2(阪急
バイオインダストリー(株)製)150gを投入し、30分攪拌
した。ここに、原料CMCとしてカルボキシメチル基置換
度1.41、1%粘度110mPa・sであるCMC(商品名サンローズA
-10SH、日本製紙(株)製)20kgを、4分割し6時間ごとに
添加した。投入の度に反応液粘度は25000mPa・s以上に上
昇し、徐々に反応が進むにつれて粘度が低下した。投入
終了後12時間攪拌し、粘度の低下がレベルオフした事を
確認した。室温まで冷却後、懸濁物をフ゛ルナーロートで吸引濾
別し、CMC加水分解物の透明な溶液を得た。この液の一
部を凍結真空乾燥し低粘度CMC粉末を得た。加水分解物
の20%粘度は3600mPa・s、カルボキシメチル基置換度は1.
43、重量平均分子量は58,000であった。
【0052】≪残存酵素活性評価結果≫カルホ゛キシメチル基置
換度0.68、1%粘度1080mPa・sのCMCの1%水溶液を調製
し、その溶液500mlに対し実施例及び比較例で得られ
た酵素処理CMCを固形分でそれそれ5g添加し、溶解直後
に25℃での粘度を測定した。その溶液を45℃で24時間震
とうした後再度25℃に於ける粘度を測定し、溶解直後の
粘度に対する粘度の低下率を比較することによってCMC
中の残存酵素活性を比較した。評価結果を表1に示し
た。
【0053】
【表1】表1
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 伸治 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社化成品開発研究所内 (72)発明者 難波 宏彰 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社化成品開発研究所内 Fターム(参考) 4C090 AA05 BA29 BD08 CA43 CA50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシメチルセルロースを酵素処理
    によって低粘度化するに当たり、酵素をあらかじめ水中
    に溶解または分散させた液を調整し、そこへ原料カルボ
    キシメチルセルロースを徐々に添加することを特徴とす
    る酵素処理低粘度カルボキシメチルセルロースの製法。
  2. 【請求項2】 カルボキシメチルセルロースを酵素処理
    によって低粘度化するに当たり、酵素をあらかじめ水中
    に溶解または分散させた液を調整し、そこへ原料カルボ
    キシメチルセルロースを反応液粘度が10000mPa・s以下と
    なるように徐々に添加することを特徴とする請求項1記
    載の酵素処理低粘度カルボキシメチルセルロースの製
    法。
  3. 【請求項3】 酵素がセルラーゼまたはセルラーゼ含有
    物である請求項1又は2記載の酵素処理低粘度カルボキ
    シメチルセルロースの製法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか1項記載の製法に
    おいて、酵素処理後の低粘度カルボキシメチルセルロー
    スの水溶液を乾燥した後、80〜180℃で5分〜2時
    間加熱処理する、残存酵素活性の無い酵素処理低粘度カ
    ルボキシメチルセルロース乾燥品の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれか1項記載の製法に
    おいて、酵素処理後の低粘度カルボキシメチルセルロー
    スの水溶液を、120〜180℃でスプレードライヤー
    又はドラムドライヤーにより乾燥することによって、乾
    燥と共に酵素失活を行う残存酵素活性の無い低粘度カル
    ボキシメチルセルロース乾燥粉末の製造方法。
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