JP2000281673A - イソフラボン化合物の製造法 - Google Patents

イソフラボン化合物の製造法

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JP2000281673A
JP2000281673A JP11091759A JP9175999A JP2000281673A JP 2000281673 A JP2000281673 A JP 2000281673A JP 11091759 A JP11091759 A JP 11091759A JP 9175999 A JP9175999 A JP 9175999A JP 2000281673 A JP2000281673 A JP 2000281673A
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isoflavone
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isoflavone compound
organic solvent
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JP11091759A
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Minoru Takebe
部 実 武
Hiroki Kuriyama
山 宏 樹 栗
Yoichi Akatsuka
塚 陽 一 赤
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Tama Biochemical Co Ltd
Nichimo Co Ltd
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Tama Biochemical Co Ltd
Nichimo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イソフラボン化合物、とりわけイソフラボン
アグリコンを収率高く得る製造法を提供すること。 【解決手段】 (1)イソフラボン化合物を含有する原
料に親水性有機溶媒を用いて溶媒抽出し、(2)抽出し
て得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分
離し、(3)液液分離して得た親水性有機溶液に疎水性
有機溶媒を用いて液液分離し、そして(4)必要に応じ
て、液液分離して得た疎水性有機溶液を濃縮または乾燥
することを含んでなる、下記の式(II)で表されるイ
ソフラボン化合物の製造法。 【化1】 [式中、R1は、グリコシド基、ヒドロキシル基、また
はアルコキシル基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキ
シル基、またはアルコキシル基を表し、そしてR3は、
水素原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を表
す]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、イソフラボン化合物を製造する方法に関する
ものである。特に、本発明は、豆科植物からイソフラボ
ン化合物、とりわけイソフラボンアグリコンを製造する
方法に関するものである。
【0002】背景技術 イソフラボンは、下記の式(I)で表されるものであ
り、現在、天然由来のものとしては、豆科、バラ科、あ
やめ科、くわ科、およびヒユ科、特に豆科植物に存在す
る。
【化2】
【0003】イソフラボン化合物は、上記の式(I)で
表されるイソフラボンを基本骨格として有するものであ
り、典型的には、下記の式(II)で表されるものであ
る。
【化3】 [式中、R1は、グリコシド基、ヒドロキシル基、また
はアルコキシル基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキ
シル基、またはアルコキシル基を表し、そしてR3は、
水素原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を表
す]
【0004】イソフラボン化合物は、近年、エストロゲ
ン作用、抗エストロゲン作用、酸化防止作用、抗溶血作
用、抗菌作用、抗脂血、抗コレステロール作用、鎮痙作
用、ガン細胞の分化誘導作用、癌遺伝子阻害作用、制癌
効果、動脈硬化防止作用、脊椎動物の免疫機能向上作
用、およびその他の生理活性を有していることが知られ
ており、その有用性が注目されている。特に、イソフラ
ボン化合物の中でも、イソフラボンアグリコンは、体内
吸収率が高い物質であり、その薬理作用について多くの
報告がなされている。
【0005】例えば、ゲニスチンから配糖体であるグル
コースが加水分解してできたアグリコンであるゲニステ
インは、癌遺伝子による癌化の誘導に必須であるチロシ
ンキナーゼを阻害する物質(TK阻害剤)であることが
明らかにされ、その制癌効果が確認されている(秋山
等、生化学、59巻9号、1016頁(1987))。
【0006】また、ゲニステインやダイゼインは、イソ
フラボン化合物のなかでも特にエストロゲン作用を有し
ており、骨粗鬆症治療効果や免疫機能向上効果があるこ
とが確認されている。特に、女性の場合には、閉経後の
骨粗鬆症が問題となっており、その原因としてエストロ
ゲンの不足によって引き起こされる骨代謝回転亢進に伴
う骨量の減少を挙げることができる。
【0007】しかし、骨粗鬆症の治療として行われるエ
ストロゲンの直接投与は、子宮癌、乳癌、などの生殖器
に対する副作用を引き起こす問題がある。このため、食
品である豆科植物、とりわけ大豆など、から有効成分で
あるイソフラボン化合物を効率良く抽出し、健康食品、
あるいは末病対応食品として利用することができれば安
全性の面から見ても有効である。
【0008】イソフラボン化合物は、その薬理作用を有
することから、近年、医療、食品業界等においてその需
要が要求されている。しかし、イソフラボン化合物自
体、天然物質に存在する量が少なく、とりわけイソフラ
ボンアグリコンの量は極めて少ないものである。
【0009】例えば、豆科に属する大豆中には、イソフ
ラボン化合物の95%以上がイソフラボングリコシドと
して存在し、イソフラボンアグリコンは5%以下しか存
在していない。この為、イソフラボン化合物を有用量含
有する物質から、イソフラボン化合物、特にイソフラボ
ンアグリコンを簡便かつ効果的に回収する方法が今日、
要求されている。
【0010】この要求に対して、従来、例えば、種々の
合成吸着樹脂を用いて大豆蒸煮液からイソフラボン化合
物を回収する方法を示した報告「味噌製造における大豆
蒸煮液からのイソフラボン誘導体の回収」(北田 善三
ら、日本食品工業学会誌、第33巻、第12号、頁82
1〜825、1986年12月)がされている。特開昭
62−126186号は、イソフラボン化合物のうち、
イソフラボングリコシドを主として製造する方法を提案
している。
【0011】醤油、味噌の発酵中において、イソフラボ
ングリコシドが十分に加水分解されてイソフラボンアグ
リコンが生成していることを明らかにした報告がされて
いる(「醤油・味噌の製造工程におけるイソフラボンお
よびその配糖体の分布状態研究法(第1報)」(木原
清、醤研、Vol.16、No.5、頁190〜19
4、1990年))。
【0012】また、特開平5−170756号は、醤油
の製造工程中に生じるイソフラボングリコシドを加水分
解してイソフラボンアグリコンを製造する方法を提案し
ている。特開平1−258669号は、大豆自体の持つ
酵素の1種であるβ−グルコシダーゼを用いることによ
り、イソフラボングリコシドを加水分解することによっ
てイソフラボンアグリコンを生成し回収する方法を提案
している。
【0013】特願平6−32385号、特願平7−17
9111号、特願平7−26888号、特願平8−88
552号、特願平9−83036号、等は、穀類(大豆
等)に麹菌などの微生物を接種して豆類中に大量に存在
しているイソフラボングリコシドを加水分解して、イソ
フラボンアグリコンを大量に含んでなるイソフラボン化
合物を製造する方法を提案している。
【0014】このようなイソフラボン化合物を製造する
方法は、大豆、大豆胚芽、大豆抽出液である煮汁、醤油
粕、醤油等を原料として、脱脂、脱塩、加水分解、有機
溶媒を用いた多くの分離抽出工程を経た後、アルミナ、
シリカゲル、合成吸着剤等の吸着剤を充填したカラムク
ロマトグライフィーを用いて精製する方法を採用してい
る。
【0015】
【発明の概要】
【0016】本発明者は、今般、豆科植物、特に発酵さ
せた豆科植物を原料とし、有機溶媒を用いて抽出および
液液分離することによって、安価で、短時間に収率高く
イソフラボン化合物を、特にイソフラボンアグリコンを
製造することができるとの知見を得た。本発明は、かか
る知見に基づくものである。
【0017】よって、本発明は、経済的で効率良くイソ
フラボン化合物を製造することができる方法の提供を目
的とするものである。
【0018】そして、本発明の一の態様によれば、下記
の式(II)で表されるイソフラボン化合物の製造法で
あって、(1)イソフラボン化合物を含有する原料に親
水性有機溶媒を用いて溶媒抽出し、(2)抽出して得た
親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、
(3)液液分離して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶
媒を用いて液液分離し、そして(4)必要に応じて、液
液分離して得た疎水性有機溶液を濃縮乾燥することを含
んでなる製造法が提供される。
【化4】 [式中、R1は、グリコシド基、ヒドロキシル基、また
はアルコキシル基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキ
シル基、またはアルコキシル基を表し、そしてR3は、
水素原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を表
す]
【0019】また、本発明の別の態様によれば、上記イ
ソフラボン化合物の製造法によって製造されたイソフラ
ボン化合物およびその使用が提供される。
【0020】
【発明の具体的な説明】本発明によるイソフラボン化合
物の製造法は、イソフラボン化合物を有意量含んでなる
原料に親水性有機溶媒と疎水性有機溶媒とを用いて抽出
・液液分離を行うものであり、また、必要に応じて濃縮
または乾燥することを含んでなるものである。
【0021】本発明によるイソフラボン化合物の製造法
によれば、多段階からなる製造工程およびカラムクロマ
トグラフィーによる分離精製を含む多くの抽出分離工程
を省略することができるので、イソフラボン化合物を含
有する原料からイソフラボン化合物、特にイソフラボン
アグリコンを効率良く、かつ、工業的に安価に製造する
ことができる。このような利点が得られるのは明らかで
はないが、本発明による製造法が親水性有機溶媒と疎水
性有機溶媒とを適切に選択し、かつ、抽出・液液分離工
程においてこれらの溶媒を適切に使用することが理由と
思われる。
【0022】式(II)の化合物 式(II)において、R1は、グリコシド基、ヒドロキ
シル基、またはアルコキシル基を表す。R2は、水素原
子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル基を表す。R
3は、水素原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシル
基を表す。なお、式(II)において、R1がグリコシ
ド基で表される化合物群をイソフラボングリコシドと、
1がヒドロキシル基で表される化合物群をイソフラボ
ンアグリコンと呼ぶ。
【0023】R1で表されるグリコシド基は、環状構造
によってピラノシド基、フラノシド基に分類されるもの
であって、その具体例としては、リボシド基、キシロシ
ド基、グルコシド基、マンノシド基、ガラクトシド基、
フルクトシド基等が挙げら、好ましくはグルコシド基で
ある。
【0024】R1〜R3において表されるアルコキシル基
は、好ましくは炭素数が4未満のアルコキシル基であ
り、特に好ましくはメトキシル基またはエトキシル基で
ある。
【0025】式(II)の化合物のうち、好ましい化合
物群は次の通りである。式(II)において、R1は、
グルコシド基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキシル
基、またはメトキシル基を表し、そしてR3は、水素原
子、ヒドロキシル基、またはメトキシル基を表す化合物
群が挙げられる。
【0026】さらに好ましい化合物群は、R1は、ヒド
ロキシル基を表し、R2は、水素原子、ヒドロキシル
基、またはメトキシル基を表し、そして、R3は、水素
原子、ヒドロキシル基、またはメトキシル基を表す化合
物群が挙げられる。
【0027】式(II)の化合物のうち好ましい化合物
の具体例は、下記表1に示す通りである。 表1 123 名称 グルコシド基 H H ダイジン グルコシド基 H OH ゲニスチン グルコシド基 メトキシル基 H グリシチン OH H H ダイゼイン OH H OH ゲニステイン OH メトキシル基 H グリシテイン
【0028】原料 本発明によるイソフラボン化合物の製造法は、原料とし
て、イソフラボン化合物を含有するものを用いる。本発
明の好ましい態様によれば、原料は、製造されるイソフ
ラボン化合物が食品、医薬品に使用される場合、天然由
来のものが好ましい。
【0029】天然由来の原料は、例えば、豆科、バラ
科、アヤメ科、桑科、ヒユ科、及びその他の植物が存在
するが、豆科植物が好ましい。豆科植物は、本明細書に
おいては、それ自体のみならず、加工した豆科植物、豆
科植物を原料とした物品の製造過程において生じた主産
物および副産物、またはこれらの組合せも含むものであ
る。
【0030】豆科植物のなかでも好ましいのは大豆であ
る。大豆は、本明細書においては、それ自体のみなら
ず、大豆胚芽、脱皮大豆、抽出大豆、分離大豆、脱脂大
豆、大豆タンパク質、醤油油、醤油粕、たまり粕、味
噌、豆味噌、納豆、発酵大豆、大豆絞り粕、大豆蒸煮
液、またはこれらの組合せも含まれる。
【0031】本発明の好ましい態様によれば、原料は、
イソフラボン化合物を有意量含有している発酵大豆が好
ましく、より好ましくは、麹菌で発酵した大豆が好まし
い。発酵大豆は、大豆中のイソフラボングリコシドがイ
ソフラボンアグリコンに変化しておりイソフラボンアグ
リコンの含有率が高くなっている。特に麹菌を用いて発
酵させた大豆は、イソフラボンアグリコンの含有量が高
いものである。
【0032】本発明において用いられる麹菌は、古くか
らの日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌
であり、特に食品として安全なアスペルギルス・ウサ
ミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモ
リ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリ
ゼー、アスペルギルス・ニガー等の、アスペルギルス属
およびリゾープス属等が挙げられる。
【0033】溶媒抽出(1) 本発明によるイソフラボン化合物の製造法では、イソフ
ラボン化合物を含有する原料に親水性有機溶媒を用いて
溶媒抽出を行う。溶媒抽出を行うことにより、イソフラ
ボン化合物を親油性有機溶媒に溶出させて親油性有機溶
液を得る一方、タンパク質、糖質、繊維、等の不要な成
分を原料から除去することができる。
【0034】溶媒抽出(1)において用いられる親水性
有機溶媒は、比誘電率が15以上のものであり、その具
体例としては、アルコール(好ましくはC1-5アルコー
ル)、ケトン(好ましくはC3-5ケトン)、およびこれ
らの組合せが挙げられる。代表的な具体例としては、メ
タノール、エタノール、プロパノール、イソプパノー
ル、ブタノール、イソブタノール、アセトン、メチルエ
チルケトン、およびこれらの組合せが挙げられ、好まし
くは、アセトン、エタノールである。なお、本明細書に
おいては、「親水性有機溶媒」とは、それ自体のみなら
ず、含水親水性有機溶媒を含んでなるものである。ま
た、「比誘電率」とは、誘電束密度Dと電場の強さEと
の比εD/Eの式で表されるときの値を誘電率とい
い、真空中および物質中におけるそれぞれの誘電率をε
0,ε1としたときεs=ε1/ε0の式で定義される値
(εs)を比誘電率という。
【0035】本発明の好ましい態様によれば、抽出温度
は室温から親水性有機溶媒の沸点近くにおいて行う。抽
出時間は原料の種類やその量、抽出溶媒の種類やその量
にあわせて適宜設定することができる。抽出方法は混合
抽出、並流混合抽出、連続混合抽出、循環混合抽出、濾
過を用いることができる。抽出回数は、収率を上げるた
め数回繰り返して行うことが好ましい。
【0036】本発明の好ましい態様によれば、溶媒抽出
中において、または抽出後において濃縮することが好ま
しい。
【0037】液液分離(2) 本発明によるイソフラボン化合物の製造法では、溶媒抽
出(1)で得られた親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を
用いて液液分離を行う。液液分離によって、イソフラボ
ン化合物が溶出している親水性有機溶液から親油性成分
のみを疎水性有機溶媒に溶解させて除去することができ
る。
【0038】液液分離(2)において用いられる疎水性
有機溶媒は、比誘電率が5以下のものであり、その具体
例としては、比誘電率が5以下のものである、直鎖状、
分岐鎖状、または環状の飽和または不飽和炭化水素、芳
香族炭化水素、エーテル、およびこれらの組合せが挙げ
られる。代表的な具体例としては、ヘプタン、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、およびこれらの組合せが挙げられ、好ま
しくは、n−ヘキサンである。
【0039】本発明の好ましい態様によれば、分離温度
は室温から疎水性有機溶媒の沸点近くにおいて行う。分
離時間は親水性有機溶液の量、疎水性有機溶媒の種類や
その量にあわせて適宜設定することができる。液液分離
は、通常の液液分離を行う機器を用いて行うことができ
る。例えば、振り混ぜ機(例えば、分液漏斗)、多段階
または連続向流分配機、ミキサーセトラー、比重差連続
分配機、撹拌機付き連続分配機が挙げられる。分離回数
は、不要な親油性成分をよりよく除去するため数回繰り
返して行うことが好ましい。
【0040】液液分離(3) 本発明によるイソフラボン化合物の製造法では、液液分
離(2)で得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を用い
て液液分離を行う。液液分離(3)によって、イソフラ
ボン化合物が溶解している親水性有機溶液から、疎水性
有機溶媒にイソフラボン化合物を溶解させて分離するこ
とができる。
【0041】液液分離(3)において用いられる疎水性
有機溶媒は、比誘電率が5以上20以下のものであり、
その具体例としては、比誘電率が上記の範囲内のもので
ある、アルコール、エステル、ケトン、およびこれらの
組合せが挙げられる。代表的な具体例としては、ブタノ
ール、イソブタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、メチ
ルエチルケトン、およびこれらの組合せが挙げられ、好
ましくは、酢酸エチルである。
【0042】本発明における態様によれば、分離温度は
室温から疎水性有機溶媒の沸点近くにおいて行うことが
できる。分離時間は親水性有機溶液の量、疎水性有機溶
媒の種類やその量にあわせて適宜設定することができ
る。液液分離は、通常の液液分離を行う機器を用いて行
うことができる。例えば、振り混ぜ機(例えば、分液漏
斗)、多段階または連続向流分配機、ミキサーセトラ
ー、比重差連続分配機、撹拌機付き連続分配機が挙げら
れる。分離回数は、イソフラボン化合物の収率を上げる
ため数回繰り返して行うことが好ましい。
【0043】任意の工程(4) 本発明の好ましい態様によれば、液液分離(3)におい
て得られた疎水性有機溶液を濃縮または乾燥することが
できる。濃縮または乾燥することによって、イソフラボ
ン化合物の使用用途に合わせることができる。濃縮は、
例えば、減圧濃縮、加熱濃縮、通風濃縮、冷凍濃縮、噴
霧濃縮、およびその他の濃縮方法、またはこれらの組合
せが挙げられる。本発明の好ましい態様では減圧濃縮が
好ましい。乾燥は、例えば、天日乾燥、(熱)風乾燥、
真空乾燥、通気乾燥、流動乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、
減圧乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、およびその他の乾
燥法、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0044】製造されたイソフラボン化合物の使用 本発明による製造法によって得られたイソフラボン化合
物は、エストロゲン、抗エストロゲン、酸化防止、抗溶
血、抗菌、抗脂血、抗コレステロール、鎮痙、癌細胞の
分化誘導、癌遺伝子阻害、制癌、動脈硬化防止、脊椎動
物の免疫機能向上、およびその他の生理活性を有する物
質として用いることができる。具体的には、医薬組成
物、健康食品、末病対応食品、成長促進補助物質として
用いることができる。また、本発明による製造法によっ
て得られたイソフラボン化合物は、癌、動脈硬化、骨粗
鬆症、等の病気の予防、治療にも用いることができる。
さらにまた、本発明による製造法によって得られたイソ
フラボン化合物は、化粧品にも用いることができる。
【0045】
【実施例】例1 麹菌を利用して得られた発酵大豆200gを1リットル
の抽出装置に供給した。95%アセトン800mlを用
いて、50℃にて45分間循環抽出を行った。抽出装置
から抽出溶液を抜き出し、再び95%アセトン400m
lで同様に2回抽出を繰り返した。以上の操作で得られ
た抽出溶液を合わせた後、200mlになるまで濃縮し
た。得られた濃縮抽出溶液を分液漏斗に入れて、n−ヘ
キサン100mlを用いて2回液液分離して、親油性成
分(脂質)を含む上相のn−ヘキサン相を除去した。こ
の液液分離で生じた下相を100mlまで濃縮した。得
られた濃縮液を分液ロートに入れて、酢酸エチル100
mlを用いて2回液液分離し、生成物を5.84g得
た。
【0046】この例1の結果は、下記表2に示す通りで
あった。 表2 発酵大豆(200g)原料 (%) 生成物(5.84g) (%) ダイジン 0.07 1.10 ゲニスチン 0.04 0.61 グリシチン 0.10 1.33 ダイゼイン 0.63 17.80 ゲニステイン 0.12 2.95 グリシテイン 0.22 5.44 イソフラボン化合物 1.18 29.23 イソフラボンアグリコン 0.97 26.19
【0047】例2 麹菌を利用して得られた発酵大豆962gを5リットル
の抽出装置に供給した。98%メタノール4リットルを
用いて、50℃にて45分間循環抽出を行った。抽出装
置から抽出溶液を抜き出し、再び98%メタノール2リ
ットルで同様に2回抽出を繰り返した。以上の操作で得
られた抽出溶液を合わせた後、1リットルになるまで濃
縮した。得られた濃縮抽出溶液を分液漏斗に入れて、n
−ヘキサン500mlを用いて2回液液分離して、親油
性成分(脂質)を含む上相のn−ヘキサン相を除去し
た。この液液分離で生じた下相を1リットルまで濃縮し
た。得られた濃縮液を分液ロートに入れて、酢酸エチル
500mlを用いて2回液液分離した。酢酸エチル相を
濃縮、乾燥し、29.72gの生成物を得た。
【0048】この例2の結果は、下記表3に示す通りで
あった。 表3 発酵大豆(962g)原料 (%) 生成物(29.72g)(%) ダイジン 0.07 1.00 ゲニスチン 0.04 0.06 グリシチン 0.10 1.22 ダイゼイン 0.63 19.40 ゲニステイン 0.12 3.69 グリシテイン 0.22 6.36 イソフラボン化合物 1.18 31.73 イソフラボンアグリコン 0.97 29.45
【0049】例3 例2で得た生成物に、50%エタノール300mlを加
えて30分間撹拌した後、濾過、乾燥し、生成物を1
6.35g得た。
【0050】この例3の結果は、下記表4に示す通りで
あった。 表4 例3の生成物(29.72g) 原料(%) 生成物(16.35g)(%) ダイジン 1.00 0.20 ゲニスチン 0.06 0.49 グリシチン 1.22 0.60 ダイゼイン 19.40 32.80 ゲニステイン 3.69 2.97 グリシテイン 6.36 11.20 イソフラボン化合物 31.73 48.26 イソフラボンアグリコン 29.45 46.97
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤 塚 陽 一 神奈川県藤沢市中藤沢924−3 藤和シテ ィーホームズ藤沢弐番館803 Fターム(参考) 4B064 AE46 AF41 CA11 CE08 DA01 DA05 4C057 KK08 4C062 EE43

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の式(II)で表されるイソフラボン
    化合物の製造法であって、(1)イソフラボン化合物を
    含有する原料に親水性有機溶媒を用いて溶媒抽出し、
    (2)抽出して得た親水性有機溶液に疎水性有機溶媒を
    用いて液液分離し、(3)液液分離して得た親水性有機
    溶液に疎水性有機溶媒を用いて液液分離し、そして
    (4)必要に応じて、液液分離して得た疎水性有機溶液
    を濃縮または乾燥することを含んでなる、製造法。 【化1】 [式中、 R1は、グリコシド基、ヒドロキシル基、またはアルコ
    キシル基を表し、 R2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはアルコキシ
    ル基を表し、そしてR3は、水素原子、ヒドロキシル
    基、またはアルコキシル基を表す]
  2. 【請求項2】R1が表すグリコシド基がグルコシド基で
    ある、請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】R1〜R3が表すアルコキシル基がメトキシ
    ル基またはエトキシル基である、請求項1または2に記
    載の製造法。
  4. 【請求項4】上記の式(II)において、 式中、 R1は、グルコシド基を表し、 R2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシル
    基を表し、そして R3は、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシル
    基を表すものである、請求項1に記載の製造法。
  5. 【請求項5】上記の式(II)において、 式中、 R1は、ヒドロキシル基を表し、 R2は、水素原子、ヒドロキシル基、またはメトキシル
    基を表し、そしてR3は、水素原子、ヒドロキシル基、
    またはメトキシル基を表すものである、請求項1に記載
    の製造法。
  6. 【請求項6】イソフラボン化合物を含有する原料が豆科
    植物、加工された豆科植物、豆科植物を原料とした物品
    製造過程において生じた主産物もしくは副産物、および
    これらの混合物から選択されるものである、請求項1〜
    5のいずれか一項に記載の製造法。
  7. 【請求項7】イソフラボン化合物を含有する原料が豆科
    植物を発酵したものである、請求項1〜6のいずれか一
    項に記載の製造法。
  8. 【請求項8】豆科植物が大豆である、請求項6または7
    に記載の製造法。
  9. 【請求項9】発酵が麹菌を用いて行われるものである、
    請求項7または8に記載の製造法。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれか一項に記載の製
    造法で製造された、イソフラボン化合物。
  11. 【請求項11】請求項1〜9のいずれか一項に記載の製
    造法で製造された、イソフラボン化合物の使用。
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