JP2000278085A - 弾性表面波素子 - Google Patents

弾性表面波素子

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JP2000278085A
JP2000278085A JP11080553A JP8055399A JP2000278085A JP 2000278085 A JP2000278085 A JP 2000278085A JP 11080553 A JP11080553 A JP 11080553A JP 8055399 A JP8055399 A JP 8055399A JP 2000278085 A JP2000278085 A JP 2000278085A
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acoustic wave
surface acoustic
knbo
crystal
piezoelectric layer
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Tatsuya Heiko
達也 平工
Masao Imanishi
正夫 今西
Akira Kaneko
明 金子
Yukitoshi Suzuki
幸俊 鈴木
Masuhiro Okada
升宏 岡田
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    • H03H9/00Networks comprising electromechanical or electro-acoustic devices; Electromechanical resonators
    • H03H9/02Details
    • H03H9/02535Details of surface acoustic wave devices
    • H03H9/02543Characteristics of substrate, e.g. cutting angles
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気機械結合係数K2 を大きくすることによ
り広帯域化と高効率化が図れ、高周波帯域でも使用可能
な低コストの弾性表面波素子を提供する。 【解決手段】 SrTiO3 基板12上に、KNbO3
に対する格子整合性が良好なSrZrO3 、SrSnO
3 の単結晶材料からなるバッファ層13、KNbO3
結晶からなる厚さ500nm程度の圧電体層14が積層
されている。そして、圧電体層14の上面にAl等の金
属からなるすだれ状の入力側電極15a、出力側電極1
5bが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波特有の
作用を用いたフィルタ、コンボルバ等の弾性表面波素子
に関し、特に、電気機械結合係数に優れたKNbO3
結晶を圧電体層として用いた弾性表面波素子に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波素子とは、電気信号を弾性体
表面を伝搬する弾性表面波(SurfaceAcoustic Wave )
に変換し、特定周波数の信号を取り出すものである。こ
の弾性表面波が圧電体基板で効率良く励振、受信できる
ことが見い出されて以来、電磁波にはない弾性表面波の
優れた性質を利用してフィルタ、コンボルバ等をはじめ
とする種々の信号機能素子への応用が研究され、広い分
野で実用化されている。この弾性表面波素子は、従来、
LiNbO3 、LiTaO3 等の圧電体単結晶上に、電
気信号と弾性表面波との間の変換器として機能するすだ
れ状電極(Inter-Digital Transducer)を形成すること
によって作製されていた。
【0003】ところで、弾性表面波素子においては、弾
性体表面を伝搬する弾性波の音速vとすだれ状電極の電
極幅wによって使用周波数fが決定される。その関係
は、 f=v/λ=v/4w (λ:弾性表面波の波長) …… (1) すなわち、電極幅wが小さく、音速vが大きい程、高周
波帯域で使用できることになる。ところが、今後の通信
の分野等で要求されるGHzオーダーの高い周波数を得
ようとすれば、電極幅に関しては微細加工技術の限界が
あることから、音速の大きい弾性体材料を選択する必要
がある。音速の大きい弾性体材料の一例としてダイヤモ
ンドがあり、特開昭64−62911号公報には、ダイ
ヤモンド層上に圧電体層、電極層を順次積層した構造を
持つ弾性表面波素子が開示されている。
【0004】一方、弾性表面波素子の弾性体材料に求め
られる他の条件として、電気信号と弾性表面波の間の変
換能力を示す電気機械結合係数K2 が大きいことが挙げ
られる。K2 が大きい程、効率の良い弾性表面波素子が
得られるというわけである。この観点から、圧電性磁器
材料として従来から知られていたKNbO3 が極めて大
きな電気機械結合係数K2 を示すことが見い出され、実
験によりこれが確認された。この実験によれば、これま
で最も大きな電気機械結合係数K2 を持つとされていた
LiNbO3 に比べて、KNbO3 単結晶のK2 は大き
な値が得られることが確認され、特に、KNbO3 単結
晶の特定の結晶面((001)面)の特定方向([10
0])で、LiNbO3 のK2 =0.055に対してK
2 =0.53と約10倍の値が得られた(「KNbO3
圧電体単結晶を用いた超高結合弾性表面波の伝搬特
性」、山之内和彦他、日本学術振興会弾性波素子技術第
150委員会第50回研究会資料、pp27-31(1996.11.2
7)、および特開平10−65488号公報参照)。
【0005】なお、弾性表面波素子とは異なる分野であ
るが、KNbO3 薄膜を形成する技術として、PIONEER
R&D Vol.7 No.1,「SHG用非線形光学結晶薄膜の気相
成長」(文献1)には、SHG(Second Harmonic Gene
ration)発光素子の導波路として用いるKNbO3 薄膜
を有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いてSrT
iO3基板上に形成する方法が記載されている。また、M
at. Res. Soc. Symp.Proc.Vol.271.1992 Materials Res
earch Society,"THE GROWTH OF SINGLE CRYSTAL-LIKE A
ND POLYCRYSTAL KNbO3 FILMS VIA SOL-GEL PROCESS"
(文献2)には、SrTiO3基板上にゾルゲル法によ
りKNbO3 薄膜を形成する技術が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、弾性
表面波素子の弾性体材料としてKNbO3 単結晶を用い
れば、電気機械結合係数K2 が大きく、効率の良い弾性
表面波素子が実現できることがわかった。しかしなが
ら、それと同時に、K2 の値はKNbO3 単結晶の結晶
構造中における弾性表面波の伝搬方向に応じて種々に変
化することも判明した。したがって、弾性表面波素子を
作製するにあたって所望のK2 の値を得たい、あるいは
2 の値を制御したい、といった要求がある場合、弾性
表面波の伝搬面を特定のKNbO3 結晶方位面に合わせ
る必要がある。つまり、特定の結晶面に合わせてすだれ
状電極を形成し、弾性表面波の伝搬面とその特定の結晶
面を一致させなければならない。
【0007】ところが、図8に示したようなペロブスカ
イト型結晶構造を持つKNbO3 単結晶のバルク材料を
用いようとすると、ある特定の結晶方位を得るために
は、予め結晶方位が判明しているKNbO3 単結晶から
特定の結晶面を切り出すという非常に煩雑な操作が必要
であった。また、KNbO3 単結晶自体も結晶成長が難
しく、工業材料として非常に高価なものであった。これ
らの理由から、KNbO 3 単結晶のバルク材料は弾性表
面波素子の材料として極めて使い難いものであった。
【0008】そこで、KNbO3 単結晶を、バルク材料
ではなく、何らかの下地の上に積層した薄膜として使用
するという考えに至ることになる。しかしながら、Mg
O、Pt、Al23、GaAs、Si等の一般的な基板
材料の上に直接KNbO3 単結晶薄膜を積層しても、結
晶間の格子整合が充分とれず、KNbO3 がエピタキシ
ャル成長しにくいという性質がある。よって、できたK
NbO3 薄膜の結晶性が低く、結果として良好な特性
(大きなK2 の値)が得られないという問題があった。
また、上述した文献1、文献2に記載された技術はとも
にKNbO3 薄膜をSrTiO3 基板上に直接形成する
方法であるが、この組み合わせの場合もKNbO3(格
子定数:a=5.70,b=5.72,c=3.97)
とSrTiO3 (格子定数:a=b=c=3.91)の
結晶間の格子整合が充分とれない。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、単結晶バルク材料から特定の結晶
面を切り出すような煩雑な操作を必要とすることなく、
電気機械結合係数K2 を大きくすることによって、高効
率化が図れ、広帯域でも使用可能な低コストの弾性表面
波素子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の弾性表面波素子は、一般式SrZO
3(ただし、Z:原子価4の元素)で表されるペロブス
カイト系化合物結晶が成長するようなバルク材料からな
る下地基板と、下地基板上に積層された前記ペロブスカ
イト系化合物結晶からなるバッファ層と、バッファ層上
に積層されたKNbO3 単結晶からなる圧電体層と、圧
電体層の上面または下面に設けられた電極層とを有する
ことを特徴とするものである。
【0011】前記バッファ層の材料として、具体的に
は、SrTiO3、SrZrO3、SrMoO3、SrS
nO3、SrHfO3 から選ばれる少なくとも1つ以上
の結晶化合物を用いることができる。このバッファ層の
層厚は、例えば10〜1000nm程度の厚さの範囲と
することが望ましい。また、この種の材料からなるバッ
ファ層が成長するような下地基板の材料として、SrT
iO3、MgO、Pt、Al23 、GaAs、Siから
選ばれる少なくとも1つ以上の結晶化合物を用いること
ができる。
【0012】すなわち、本発明の弾性表面波素子では、
下地基板上にKNbO3 圧電体層を直接積層するのでは
なく、下地基板上に、まず一般式SrZO3 で表される
ペロブスカイト系化合物結晶からなるバッファ層を形成
し、その上にKNbO3 圧電体層を形成するようにし
た。
【0013】上述したように、一般式SrZO3 で表さ
れるペロブスカイト系化合物結晶の一例としてSrZr
3、SrSnO3 等が挙げられ、下地基板の一例とし
てSrTiO3 等が挙げられる。そこで、例えば、Sr
TiO3(110)単結晶基板(格子定数:a=b=c
=3.91)上に、SrZrO3(200)(格子定
数:a=5.82,b=8.20,c=5.80)、ま
たはSrSnO3(220)(格子定数:a=b=c=
8.07)等のバッファ層を結晶成長させ、さらにその
バッファ層上にKNbO3(010)をエピタキシャル
成長させる。それぞれのエピタキシャル結晶面の格子寸
法は、SrTiO3(110)で3.91Å×5.53
Å、SrZrO3(200)で4.10Å×5.80
Å、SrSnO3(220)で4.04Å×5.71
Å、KNbO3(010)で3.97Å×5.70Åで
ある。したがって、SrTiO3(110)単結晶基板
上に直接KNbO3(010)単結晶をエピタキシャル
成長させるよりも、バッファ層として、KNbO3(0
10)単結晶面とミスフィットの小さいSrZrO
3(200)やSrSnO3(220)を介してSrTi
3(110)単結晶基板上にKNbO3(010)単結
晶をエピタキシャル成長させた方が、結晶配向性の高い
結晶を成長させることができる。
【0014】このようにして、結晶性が良好なKNbO
3 圧電体層が得られ、しかも形成する結晶面を制御で
き、その結晶面を弾性表面波の伝搬面とすることができ
るため、大きな電気機械結合係数K2 を持ち、広帯域、
高効率の弾性表面波素子を実現することができる。な
お、このKNbO3 単結晶からなる圧電体層の厚さは、
50〜5000nm程度の範囲とすることが望ましい。
【0015】また、圧電体層をなすKNbO3 単結晶が
X軸を含む全ての結晶面からなることが望ましい。な
お、本明細書における「X軸」とは、単位格子a(5.
695Å)の稜方向と規定する。また、KNbO3 単結
晶は斜方晶であり、図8に示したように、Y軸をc
(3.974Å)の稜方向、Z軸をb(5.721Å)
の稜方向と規定する。
【0016】ここで、「KNbO3 単結晶がX軸を含む
全ての結晶面からなる」という表現を用いたのは、以下
のような意味である。図9はKNbO3 単結晶バルク材
料の回転Y板(Y板とは、単位格子a(5.695Å)
とb(5.721Å)の各稜を含む平面をいう)におけ
る回転角θと電気機械結合係数K2 の関係を示すもので
ある。回転Y板における回転角θとは、図8に示すよう
に、回転Y板、つまり(001)面をX軸を中心として
矢印Aの向きに回転させた際の回転角θのことであり、
(001)面自体は回転角θ=0°である。図9に示す
ように、電気機械結合係数K2 が0.53(53%)と
最大値を示すのは回転角θ=0°の時であるが、回転角
θ=90°((010)面に相当)でも電気機械結合係
数K2 は0.2(20%)前後の値が得られ、LiNb
3 のK2 =0.055に比べれば充分大きい。したが
って、本発明においては、K2 の値が約0.2〜0.5
3の範囲を取るような全ての結晶面を含む表現として、
(001)面をX軸を中心として任意の角度に回転させ
た面、すなわち「X軸を含む全ての結晶面」という表現
を用いた。
【0017】ただし、図9はあくまでもKNbO3 単結
晶バルク材料を用いて弾性表面波素子を作製し、K2
測定した値を示したものであり、KNbO3 単結晶を薄
膜状態で用いた場合にもK2 がこのまま0.2〜0.5
3の値をとり得るわけではない(薄膜の状態では実際の
2 の値はこのレベルよりも小さくなってしまう)。し
かしながら、薄膜同士で比較した場合には、KNbO3
単結晶のK2 の値はLiNbO3 のそれよりも充分に大
きいことになる。
【0018】そして、上記全ての構成に加えて、上記圧
電体層上に例えばSiO2 からなる温度安定化層を積層
してもよい。この構成とした場合、圧電体層表面がSi
2層で覆われ、圧電体層と逆の温度係数を持つSiO
2 が圧電体層と電極層の熱膨張差によって圧電体層に生
じる歪みを緩和するため、弾性表面波素子の温度特性を
安定化することができる。このSiO2 からなる温度安
定化層の厚さは、100〜10000nm程度の範囲と
することが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。図1
(a)、(b)は本実施の形態の弾性表面波素子11を
示す図であり、本実施の形態の素子は入力信号から特定
周波数の信号を取り出す弾性表面波フィルタの例であ
る。
【0020】図1(a)、(b)に示すように、SrT
iO3 等の単結晶バルク材料からなる下地基板12の上
に、SrSnO3 、SrZrO3 等のペロブスカイト系
化合物結晶材料からなるバッファ層13、KNbO3
結晶からなる圧電体層14が順次積層されている。そし
て、圧電体層14の上面にAl等の金属からなるすだれ
状電極15a、15b(電極層)が形成されている。例
えば、バッファ層13の厚さは100nm程度、圧電体
層14の厚さは500nm程度、である。なお、下地基
板12の材料としては、SrTiO3の他、MgO、P
t、Al23 、GaAs、Siから選ばれる少なくと
も1つ以上の結晶化合物を用いることができる。また、
電極15a、15bの材料として、Alの他、Ti、A
u、Ag、W、Cu等の金属およびこれらの合金を用い
ることができる。
【0021】すだれ状電極15a、15bは、図1
(a)に示すように、処理すべき信号が入力される入力
側電極15aと、選択された特定周波数の信号のみを出
力する出力側電極15bからなり、これら電極15a、
15bが基板の両端に対向するように配置されている。
各電極15a、15bは多数対の電極指を有しており、
例えば弾性表面波の波長をλとしたとき、各電極指の幅
wはλ/4、対数が30、入力側電極15aと出力側電
極15b間の距離Lが50λ、である。
【0022】上記構成の弾性表面波フィルタ11は、下
地基板12上に、ゾル−ゲル法、レーザーアブレーショ
ン法、スパッタリング法、CVD法等によりバッファ層
13となるSrSnO3 、SrZrO3 等のペロブスカ
イト系化合物結晶、圧電体層14となるKNbO3 単結
晶を順次成膜し、蒸着、スパッタリング法等によりAl
膜を成膜した後、フォトリソグラフィー技術を用いてA
l膜をパターニングし、すだれ状電極15a、15bを
形成することにより、作製することができる。
【0023】そして、この弾性表面波フィルタ11にお
いては、入力側電極15aに信号を入力すると、圧電体
層14の持つ圧電効果によって隣り合う電極指間に互い
に逆位相の歪みが生じ、基板表面に弾性波が励起され
る。励起された弾性波は基板表面を伝搬し、出力側電極
15bで高周波信号に変換され、取り出される。
【0024】本実施の形態の弾性表面波フィルタ11に
おいては、SrTiO3 下地基板12上にKNbO3
結晶を直接積層するのではなく、KNbO3 単結晶との
界面でのミスフィットを低減させる性質を持つSrSn
3 、SrZrO3 等の材料からなるバッファ層13を
用いたことにより、特定の結晶面、例えば(001)面
や(010)面を持つKNbO3 単結晶からなる圧電体
層14を容易に形成することができる。その結果、この
弾性表面波フィルタ11は大きな電気機械結合係数K2
を持つことになり、広帯域、高効率の弾性表面波フィル
タとすることができる。
【0025】また、弾性表面波フィルタ11の製造工程
において、従来のようにKNbO3バルク単結晶を結晶
成長させたり、KNbO3 単結晶から特定の結晶面を切
り出すといった困難な作業が不要となり、ゾル−ゲル
法、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、C
VD法等の薄膜形成技術を用いてKNbO3 圧電体層1
4を容易に形成することができる。また、KNbO3
料自体の使用量も減らすことができる。その結果、従来
に比べて製造コストの低減を図ることができる。
【0026】(第2の実施の形態)以下、本発明の第2
の実施の形態を図2を参照して説明する。図2は本実施
の形態の弾性表面波フィルタ21を示す断面図である
が、本実施の形態の弾性表面波フィルタが第1の実施の
形態のフィルタと異なる点は、圧電体層上に温度安定化
層を形成した点である。
【0027】図2に示すように、SrTiO3 等の単結
晶バルク材料からなる下地基板22上にSrSnO3
SrZrO3 等の結晶材料からなるバッファ層23、K
NbO3 単結晶からなる圧電体層24が順次積層され、
その上面にAl等からなるすだれ状電極25a、25b
(電極層)が形成されている。そして、電極25a、2
5bの上方を含む圧電体層24上の全面を覆うようにS
iO2 からなる温度安定化層26が形成されている。こ
の温度安定化層26の厚さは1000nm程度、圧電体
層24の厚さは500nm程度、である。
【0028】本実施の形態の弾性表面波フィルタ21の
場合、圧電体層24表面がSiO2からなる温度安定化
層26で覆われているが、SiO2 がKNbO3 と逆の
温度係数を持ち、圧電体層24と電極25a、25bと
の熱膨張差によって圧電体層24に生じる歪みを緩和す
るため、弾性表面波フィルタの温度特性を安定化するこ
とができる。
【0029】なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態
に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない
範囲において種々の変更を加えることが可能である。例
えば上記実施の形態で挙げた各層の厚さ、電極の寸法等
の具体的な数値はほんの一例にすぎず、適宜設計変更が
可能である。そして、電極に関しては、圧電体層の上面
側に設ける代わりに、圧電体層の下面側(バッファ層と
の界面側)に設けてもよい。さらに、弾性表面波素子と
して弾性表面波フィルタの例を挙げたが、電極の構成等
を代えることによって、フィルタ以外にも弾性表面波コ
ンボルバ等をはじめとする種々の通信機能素子に本発明
を適用することができる。
【0030】
【実施例】次に、本発明の効果を実証する実施例につい
て具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明の
一態様を示すものであって、この発明を限定するもので
はなく、本発明の技術範囲において適宜変更可能であ
る。
【0031】[実施例1]実施例1は、上記第1の実施
の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いて本発明
特有の材料からなるバッファ層を用いた場合の素子特性
上の効果を、バッファ層を用いない場合、他の材料から
なるバッファ層を用いた場合と比較して調べたものであ
る。
【0032】実施例1で用いたサンプル(実施例1〜1
1)の作製方法は、以下の通りである。 (実施例1:KNbO3(010)/SrSnO3/Sr
TiO3(110)) (1)SrSnO3ゾルゲル液作製 ジエトキシストロンチウム、テトラエトキシスズを出発
原料として、ゾルゲル液を作製した。 (2)SrSnO3ゾルゲル液塗布 SrTiO3(110)(結晶面を表す)単結晶基板を
用意し、この基板上にスピンコータを用いてSrSnO
3ゾルゲル液を塗布した。 (3)SrSnO3乾燥 上記塗布後、150℃で乾燥した。 (4)SrSnO3焼成 上記乾燥後、800℃で焼成した。この時、SrSnO
3層の膜厚は100nmとなった。 (5)KNbO3ゾルゲル液作製 エトキシカリウム、ペンタエトキシニオブを出発原料と
して、ゾルゲル液を作製した。 (6)KNbO3ゾルゲル液塗布 上記基板上にスピンコータを用いてKNbO3ゾルゲル
液を塗布した。 (7)KNbO3乾燥 上記塗布後、150℃で乾燥した。 (8)KNbO3焼成 上記乾燥後、800℃で焼成した。この時、KNbO3
層の膜厚は500nmとなった。 (9)XRD測定 XRD(X線回折)測定を行ったところ、KNbO
3(010)結晶ができているのが確認された(格子定
数:a=5.70,b=5.72,c=3.97)。X
RDスペクトルを図3に示す。これら(1)〜(9)の
手順を経て作製した試料を、実施例1のサンプルとし
た。
【0033】(実施例2:KNbO3(001)/Sr
SnO3/SrTiO3(100))ジエトキシストロン
チウム、テトラエトキシスズを出発原料として作製した
ゾルゲル液を用いてSrSnO3とSrTiO3(10
0)単結晶基板を用いたこと以外は、実施例1と同様に
した。XRD測定を行ったところ、KNbO3(00
1)結晶ができているのが確認された(格子定数:a=
5.70,b=5.72,c=3.97)。XRDスペ
クトルを図5に示す。これらの手順を経て作製した試料
を、実施例2のサンプルとした。
【0034】(実施例3:KNbO3(010)/Sr
ZrO3/SrTiO3(110))ジエトキシストロン
チウム、テトライソプロポキシジルコニウムを出発原料
として作製したゾルゲル液を用いてSrZrO3を形成
したこと以外は、実施例1と同様にした。XRD測定を
行ったところ、KNbO3(010)結晶ができている
のが確認された。これらの手順を経て作製した試料を、
実施例3のサンプルとした。
【0035】(実施例4:KNbO3(010)/Sr
MoO3/SrTiO3(110))ジエトキシストロン
チウム、モリブデンジアセチルアセトネートを出発原料
として作製したゾルゲル液を用いてSrMoO3を形成
したことと、KNbO3膜形成時にカリウムジピバロイ
ルメタン、ペンタエトキシニオブ、酸素を用い、MO−
CVD法によりKNbO3膜を形成したこと以外は、実
施例1と同様にした。なお、MO−CVD時の基板温度
は800℃とし、膜厚は500nmとした。XRD測定
を行ったところ、KNbO3(010)結晶ができてい
るのが確認された。これらの手順を経て作製した試料
を、実施例4のサンプルとした。
【0036】(実施例5:KNbO3(010)/Sr
HfO3/SrTiO3(110))ジエトキシストロン
チウム、テトライソプロポキシハフニウムを出発原料と
して作製したゾルゲル液を用いてSrHfO3を形成し
たことと、KNbO3膜形成時にKNbO3 ターゲット
を用い、スパッタ法によりKNbO3膜を形成したこと
以外は、実施例1と同様にした。なお、スパッタ時の基
板温度は800℃とし、膜厚は500nmとした。XR
D測定を行ったところ、KNbO3(010)結晶がで
きているのが確認された。これらの手順を経て作製した
試料を、実施例5のサンプルとした。
【0037】(実施例6:KNbO3(010)/Sr
TiO3/SrTiO3(110))ジエトキシストロン
チウム、テトライソプロポキシチタンを出発原料として
作製したゾルゲル液を用いてSrTiO3を形成したこ
と以外は、実施例1と同様にした。XRD測定を行った
ところ、KNbO3(010)結晶ができているのが確
認された。これらの手順を経て作製した試料を、実施例
6のサンプルとした。
【0038】(実施例7:KNbO3(001)/Sr
SnO3/MgO(100))MgO(100)単結晶
基板を用いたこと以外は、実施例2と同様にした。XR
D測定を行ったところ、KNbO3(001)結晶がで
きているのが確認された。これらの手順を経て作製した
試料を、実施例7のサンプルとした。
【0039】(実施例8:KNbO3(001)/Sr
SnO3/Pt(100))Pt(100)単結晶基板
を用いたこと以外は、実施例2と同様にした。XRD測
定を行ったところ、KNbO3(001)結晶ができて
いるのが確認された。 これらの手順を経て作製した試
料を、実施例8のサンプルとした。
【0040】(実施例9:KNbO3(010)/Sr
SnO3/Al23(1−102))Al23(1−1
02)単結晶基板を用いたことと、KNbO3膜形成時
にKNbO3 ターゲットを用い、スパッタ法によりKN
bO3膜を形成したこと以外は、実施例1と同様にし
た。なお、スパッタ時の基板温度は800℃とし、膜厚
は500nmとした。XRD測定を行ったところ、KN
bO3(010)結晶ができているのが確認された。こ
れらの手順を経て作製した試料を、実施例9のサンプル
とした。
【0041】(実施例10:KNbO3(001)/S
rSnO3/GaAs(100))GaAs(100)
単結晶基板を用いたことと、KNbO3膜形成時にカリ
ウムジピバロイルメタン、ペンタエトキシニオブ、酸素
を用い、MO−CVD法によりKNbO3膜を形成した
こと以外は、実施例2と同様にした。なお、MO−CV
D時の基板温度は800℃とし、膜厚は500nmとし
た。XRD測定を行ったところ、KNbO3(001)
結晶ができているのが確認された。これらの手順を経て
作製した試料を、実施例10のサンプルとした。
【0042】(実施例11:KNbO3(010)/S
rSnO3/Si(110))Si(110)単結晶基
板を用いたことと、KNbO3膜形成時にカリウムジピ
バロイルメタン、ペンタエトキシニオブ、酸素を用い、
MO−CVD法によりKNbO3膜を形成したこと以外
は、実施例2と同様にした。なお、MO−CVD時の基
板温度は800℃とし、膜厚は500nmとした。XR
D測定を行ったところ、KNbO3(010)結晶がで
きているのが確認された。これらの手順を経て作製した
試料を、実施例11のサンプルとした。
【0043】一方、比較例1〜6のサンプルの作製方法
は、以下の通りである。 (比較例1:KNbO3(010)/SrTiO3(11
0)) (1)KNbO3ゾルゲル液作製 エトキシカリウム、ペンタエトキシニオブを出発原料と
して、ゾルゲル液を作製した。 (2)KNbO3ゾルゲル液塗布 SrTiO3(110)単結晶基板を用意し、この基板
上にスピンコータを用いてKNbO3ゾルゲル液を塗布
した。 (3)KNbO3乾燥 上記塗布後、150℃で乾燥した。 (4)KNbO3焼成 上記乾燥後、800℃で焼成した。この時、KNbO3
層の膜厚は500nmとなった。 (5)XRD測定 XRD測定を行ったところ、KNbO3(010)結晶
ができているのが確認された(格子定数:a=5.7
0,b=5.72,c=3.97)。XRDスペクトル
を図4に示す。これら(1)〜(5)の手順を経て作製
した試料を、比較例1のサンプルとした。
【0044】(比較例2:KNbO3(001)/Sr
TiO3(100))SrTiO3(100)単結晶基板
を用いたこと以外は、比較例1と同様にした。XRD測
定を行ったところ、KNbO3(001)結晶ができて
いるのが確認された(格子定数:a=5.70,b=
5.72,c=3.97)。XRDスペクトルを図6に
示す。これらの手順を経て作製した試料を、比較例2の
サンプルとした。
【0045】(比較例3:KNbO3(010)/Ca
ZrO3/SrTiO3(110))ジイソプロポキシカ
ルシウム、テトライソプロポキシジルコニウムを出発原
料として作製したゾルゲル液を用い、SrTiO3(1
10)基板上にCaZrO3を形成したこと以外は、比
較例1と同様にした。XRD測定を行ったところ、KN
bO3(010)結晶ができているのが確認された。こ
れらの手順を経て作製した試料を、比較例3のサンプル
とした。
【0046】(比較例4:KNbO3(010)/Ba
TiO3/SrTiO3(110))ジエトキシバリウ
ム、テトライソプロポキシチタンを出発原料として作製
したゾルゲル液を用い、SrTiO3(110)基板上
にBaTiO3を形成したこと以外は、比較例1と同様
にした。XRD測定を行ったところ、KNbO3(01
0)結晶ができているのが確認された。これらの手順を
経て作製した試料を、比較例4のサンプルとした。
【0047】(比較例5:KNbO3(010)/Pb
TiO3/SrTiO3(110))酢酸鉛、テトライソ
プロポキシチタンを出発原料として作製したゾルゲル液
を用い、SrTiO3(110)基板上にPbTiO3
形成したこと以外は、比較例1と同様にした。XRD測
定を行ったところ、KNbO3(010)結晶ができて
いるのが確認された。これらの手順を経て作製した試料
を、比較例5のサンプルとした。
【0048】(比較例6:KNbO3(010)/Sr
SnO3/石英ガラス)石英ガラス基板を用いたこと以
外は、実施例1と同様にした。XRD測定を行ったとこ
ろ、KNbO3単結晶ができていないことが確認され
た。これらの手順を経て作製した試料を、比較例6のサ
ンプルとした。
【0049】以上、実施例1〜11のサンプル、比較例
1〜6のサンプルをそれぞれ作製した。そして、各サン
プルについて、KNbO3 結晶の上面にすだれ状の入力
側電極、出力側電極を形成し、電気機械結合係数K2
測定した。電気機械結合係数K2 の測定は、入力側と出
力側の電極間の伝搬路上をAlで被覆した試料を別に用
意し、Al被覆のない本試料とAl被覆した別試料に対
して双方の入力側電極に同位相の連続波を入力した時の
出力側電極で得られる2つの出力信号の位相差Δφを測
定し、次式により求めた。 K2 =2・(vopen−vshort)/vopen =(2・vshort・Δφ)/(ω・d) ……(2) ここで、vopenはAlが被覆されていない試料での伝搬
速度、vshortはAlが被覆された試料での伝搬速度、
ωは入力信号の角速度、dはAlで被覆された部分の長
さ、である。測定は25℃で行った。なお、上記の伝搬
速度vは、入力側と出力側の電極間距離Lの異なる2つ
の試料(Lが50λと100λ)の入力側電極に高周波
パルスをそれぞれ入力し、その出力側電極への到着時間
差Δtを測定し、伝搬路長の差ΔL(=50λ)から次
式により求めた。測定は25℃で行った。 v=ΔL/Δt ……(3)
【0050】さらに、各サンプルを用いて、帯域幅20
MHzとなるようにフィルターを設計し、フィルター特
性の一つである挿入損失ILを測定した。挿入損失IL
の測定は、50Ω系ベクトル・ネットワーク・アナライ
ザ(HP8752C)により、整合回路を用いずに測定
した。なお、挿入損失ILは次式により定義される。 IL=−20log10|S21| [dB] ……(4) (Sij:Sパラメータ)校正方法は、SOLT法によ
る。実施例1と比較例1のサンプルについて、周波数に
対する挿入損失特性を測定した結果の一例を図7に示
す。
【0051】各サンプルの仕様と特性評価結果を表1に
示す。
【表1】
【0052】表1の結果から明らかなように、比較例の
中で、比較例2のサンプルは大きな電気機械結合係数K
2 が得られることが判明した(001)結晶面を用いて
いるため、10%と比較的大きな電気機械結合係数K2
が得られた。しかしながら、他の比較例1、比較例3〜
5のサンプルでは1〜4%と小さな電気機械結合係数K
2 しか得られなかった。その結果、フィルタとしての特
性である挿入損失ILが28〜30dBと大きくなり、
効率の低いフィルタとなってしまった。また、比較例6
のサンプルでは、ペロブスカイト系化合物結晶との格子
整合性を持たない石英ガラス面上にSrSnO3 、KN
bO3 を形成したため、特定の結晶面が得られず、電気
機械結合係数K2 が測定不能であった。これに対して、
本発明特有の材料からなるバッファ層を用いた実施例1
〜11のサンプルでは、電気機械結合係数K2 の値が5
〜15%であり、比較例に比べて充分大きな値が得られ
ることがわかった。その結果、フィルタ特性である挿入
損失ILの値も8〜20dB程度に抑えることができ、
比較例のフィルタに比べて挿入損失ILを低減できるこ
とがわかった。
【0053】比較例2のサンプルは比較例の中では良好
な結果が得られたが、同じ結晶面を持つ実施例2と比べ
た場合には、やはり比較例2よりも実施例2の方が電気
機械結合係数K2 の値が大きくなっている。このよう
に、同じ結晶面を持つサンプルでも本発明特有のバッフ
ァ層を用いると特性の向上が見られる点は、XRDスペ
クトルの結果からも実証される。例えば図5と図6を比
較してみると、比較例2(図6)よりも実施例2(図
5)の方がKNbO3(001)のピークが大きく、K
NbO3(001)結晶が結晶性に富んでいることがわ
かる。また同様に、図3と図4を比較してみると、比較
例1(図4)よりも実施例1(図3)の方がKNbO3
(020)のピークが大きく、KNbO3(010)結
晶が結晶性に富んでいることがわかる。このように、本
発明では、一般式SrZO3 で表されるバッファ層を介
して結晶性の良いKNbO3 薄膜が得られることが電気
機械結合係数K2 の増大に寄与していると考えられる。
【0054】[実施例2][実施例2]は、上記第2の
実施の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いて本
発明特有の温度安定化層を用いた場合の効果を調べたも
のである。
【0055】サンプルは、上記[実施例1]で用いた実
施例1のサンプルそのものを比較例7とし、実施例1の
サンプルの上に、SiO2ターゲットを用いたスパッタ
法により温度安定化層としてアモルファスSiO2膜を
形成したものを実施例12のサンプルとした。SiO2
膜の膜厚は1000nmとした。
【0056】各サンプルの評価項目として、電気機械結
合係数K2 と挿入損失ILに加え、周波数温度係数TC
Fを測定した。周波数温度係数TCFは、温度TをΔT
だけ変化させた時の遅延線型オシレータの発振周波数f
の変化Δfを測定し、次式により求めた。 TCF=(1/f)・(Δf/ΔT) ……(5) すなわち、TCFの値が小さい程、温度特性が安定して
いることを示す。なお、測定は10℃から65℃の範囲
で行った。
【0057】各サンプルの仕様と評価結果を表2に示
す。
【表2】
【0058】この結果から明らかなように、実施例12
と比較例7では、電気機械結合係数K2 、挿入損失IL
の値は変わらないが、温度安定化層を持つ実施例12
は、温度安定化層を持たない比較例7と比べて、周波数
温度係数TCFを大きく低減できることがわかった。し
たがって、実施例12のサンプルは、比較例7のサンプ
ルに比べて温度特性を安定化できることがわかった。
【0059】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
弾性表面波素子によれば、バッファ層にKNbO3 単結
晶に対する格子整合性が良好な一般式SrZO3 で表さ
れるペロブスカイト系化合物結晶材料を用いたことによ
り結晶性の良いKNbO3 単結晶が得られ、その結果、
弾性表面波素子が大きな電気機械結合係数K2 を持つこ
とになり、広帯域化、高効率化を図ることができる。ま
た、素子を製造する際には、ゾル−ゲル法、レーザーア
ブレーション法、スパッタリング法、CVD法等の薄膜
形成技術を用いてKNbO3 圧電体層を容易に形成で
き、従来に比べて製造コストを低減することができる。
さらに、KNbO3 圧電体層上に温度安定化層を設ける
ことにより、温度特性の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の弾性表面波フィ
ルタを示す、(a)斜視図、(b)(a)のB−B線に
沿う断面図、である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態の弾性表面波フィ
ルタを示す断面図である。
【図3】 本発明の実施例における実施例1のサンプル
のXRD測定を行った際のスペクトルを示す図である。
【図4】 同、比較例1のサンプルのXRD測定を行っ
た際のスペクトルを示す図である。
【図5】 同、実施例2のサンプルのXRD測定を行っ
た際のスペクトルを示す図である。
【図6】 同、比較例2のサンプルのXRD測定を行っ
た際のスペクトルを示す図である。
【図7】 上記実施例1と比較例1のサンプルについて
周波数に対する挿入損失特性を測定した結果を示す図で
ある。
【図8】 本発明で圧電体層として用いるKNbO3
結晶面を示す図である。
【図9】 KNbO3 単結晶の回転Y板における回転角
と電気機械結合係数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11,21 弾性表面波フィルタ 12,22 下地基板 13,23 バッファ層 14,24 圧電体層 15a,15b,25a,25b すだれ状電極(電極
層) 26 温度安定化層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月17日(2000.4.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】ところで、弾性表面波素子においては、弾
性体表面を伝搬する弾性表面波の音速vとすだれ状電極
の電極幅wによって使用周波数fが決定される。その関
係は、 f=v/λ=v/4w (λ:弾性表面波の波長) …… (1) すなわち、電極幅wが小さく、音速vが大きい程、高周
波帯域で使用できることになる。ところが、今後の通信
の分野等で要求されるGHzオーダーの高い周波数を得
ようとすれば、電極幅に関しては微細加工技術の限界が
あることから、音速の大きい弾性体材料を選択する必要
がある。音速の大きい弾性体材料の一例としてダイヤモ
ンドがあり、特開昭64−62911号公報には、ダイ
ヤモンド層上に圧電体層、電極層を順次積層した構造を
持つ弾性表面波素子が開示されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】そして、この弾性表面波フィルタ11にお
いては、入力側電極15aに信号を入力すると、圧電体
層14の持つ圧電効果によって隣り合う電極指間に互い
に逆位相の歪みが生じ、基板表面に弾性表面波が励起さ
れる。励起された弾性表面波は基板表面を伝搬し、出力
側電極15bで高周波信号に変換され、取り出される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】比較例2のサンプルは比較例の中では良好
な結果が得られたが、同じ結晶面を持つ実施例2と比べ
た場合には、やはり比較例2よりも実施例2の方が電気
機械結合係数K2 の値が大きくなっている。このよう
に、同じ結晶面を持つサンプルでも本発明特有のバッフ
ァ層を用いると特性の向上が見られる点は、XRDスペ
クトルの結果からも実証される。例えば図5と図6を比
較してみると、比較例2(図6)よりも実施例2(図
5)の方がKNbO3(001)のピークが大きく、K
NbO3(001)結晶が結晶性に富んでいることがわ
かる。また同様に、図3と図4を比較してみると、比較
例1(図4)よりも実施例1(図3)の方がKNbO3
(020)のピークが大きく、KNbO3020)結
晶が結晶性に富んでいることがわかる。このように、本
発明では、一般式SrZO3 で表されるバッファ層を介
して結晶性の良いKNbO3 薄膜が得られることが電気
機械結合係数K2 の増大に寄与していると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 明 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 鈴木 幸俊 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 岡田 升宏 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 5J097 AA06 AA19 AA33 BB11 EE08 FF01 FF02 HA03 HA07 KK01 KK04 KK06 KK09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式SrZO3 (ただし、Z:原子価
    4の元素)で表されるペロブスカイト系化合物結晶が成
    長するようなバルク材料からなる下地基板と、該下地基
    板上に積層された前記ペロブスカイト系化合物結晶から
    なるバッファ層と、該バッファ層上に積層されたKNb
    3 単結晶からなる圧電体層と、該圧電体層の上面また
    は下面に設けられた電極層とを有することを特徴とする
    弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の弾性表面波素子におい
    て、 前記圧電体層をなすKNbO3 単結晶が、X軸を含む全
    ての結晶面からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の弾性表面波素
    子において、 前記バッファ層の材料が、SrTiO3、SrZrO3
    SrMoO3、SrSnO3、SrHfO3 から選ばれる
    少なくとも1つ以上の結晶化合物からなることを特徴と
    する弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の弾
    性表面波素子において、 前記下地基板のバルク材料が、SrTiO3、MgO、
    Pt、Al23 、GaAs、Siから選ばれる少なく
    とも1つ以上の結晶化合物からなることを特徴とする弾
    性表面波素子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の弾
    性表面波素子において、 前記圧電体層と逆の温度係数を持ち、前記圧電体層と前
    記電極層の熱膨張差によって圧電体層に生じる歪みを緩
    和する材料からなる温度安定化層が、前記圧電体層上に
    積層されたことを特徴とする弾性表面波素子。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の弾性表面波素子におい
    て、前記歪みを緩和する材料がSiO2 であることを特
    徴とする弾性表面波素子。
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