JP2001285021A - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JP2001285021A
JP2001285021A JP2000097678A JP2000097678A JP2001285021A JP 2001285021 A JP2001285021 A JP 2001285021A JP 2000097678 A JP2000097678 A JP 2000097678A JP 2000097678 A JP2000097678 A JP 2000097678A JP 2001285021 A JP2001285021 A JP 2001285021A
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JP2000097678A
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Shusuke Abe
秀典 阿部
Hisatoshi Saito
久俊 斉藤
Takao Noguchi
隆男 野口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体基板を使用した他の素子とのモノリシ
ック化が可能であって、かつ、優れた特性を有する弾性
表面波装置を提供する。また、端面反射型弾性表面波装
置において、特性改善、特に高周波における特性改善を
図る。 【解決手段】 半導体基板上に、PZT結晶からなるP
ZT膜を有し、このPZT膜上またはこのPZT膜と前
記半導体基板との間に、櫛形電極またはこれと反射器と
を有し、前記PZT膜において、PZT結晶のc軸が膜
面とほぼ平行に配向している弾性表面波装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機、テ
レビ、VCR等における発振素子やフィルタに使用され
る半導体基板を用いる弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】端面反射型の弾性表面波(以下、SAW
と記す)装置は、多数の金属ストリップからなる反射器
を必要としないため、小型化が可能である。端面反射型
SAW装置としては、圧電材料のセラミックスや単結晶
からなる圧電基板を用い、BGS波やSH波タイプのS
AWを利用する共振子やフィルタが知られている。圧電
セラミックスとして電気機械結合係数k2が22%であ
るジルコン酸チタン酸鉛(以下、PZTと記す)を用い
た端面反射型SAW装置は、テレビやVCRのVIF回
路における補助トラップ、DVCにおけるジッタ補正の
ためのVCO用共振子、SS方式のコードレス電話の第
1IFフィルタ、DABのクロック用フィルタ、テレビ
やVCRのSIF用フィルタ等に使用されている。ま
た、単結晶を用いた端面反射型SAW装置は、N−CD
MAのIFフィルタ等に使用されている。
【0003】SAW共振子は、小型であり、無調整で使
用でき、また、高Qで、共振損失が小さいなどの特徴が
ある。したがって、SAW共振子を発振器モジュール等
のVCO用発振子として使用すれば、小型化および無調
整化が可能であり、また、位相雑音を低くできる。しか
し、SAW共振子を用いた場合、周波数可変幅が、使用
する圧電基板の電気機械結合係数k2に制約される。そ
の理由を以下に説明する。SAW共振子は、共振周波数
と反共振周波数との間で、そのインピーダンスが誘導性
になる。この誘導領域の周波数範囲は、周波数可変幅の
とりうる最大値であるが、実際には、印加可能な制御電
圧に制限があり、また、SAW共振子が適切なインピー
ダンスをもつ必要があるため、経験的に誘導領域の0.
07倍が周波数可変幅となることが知られている。一
方、圧電基板の電気機械結合係数k 2は、規格化した誘
導領域の周波数範囲の2倍で与えられる。したがって、
圧電基板に必要とされる電気機械結合係数k2は、VC
O回路で必要とされる規格化周波数可変幅の約30倍と
いうことになる。
【0004】また、SAW共振子フィルタの比帯域幅
は、電気機械結合係数k2の約1/2となるので、広帯
域フィルタを得るためにも、大きな電気機械結合係数を
もつ圧電基板が要求される。
【0005】単結晶の圧電基板は、実用的に使用するた
めには、すなわち量産性を考慮すると、少なくとも3イ
ンチの直径を持つことが要求される。SH波タイプの伝
搬モードを利用する単結晶基板であって、実用的に使用
されているもののうち、最大の電気機械結合係数をもつ
圧電基板は、41°カットY板X伝搬LiNbO3基板
である。この基板の電気機械結合係数k2は17.2%
なので、期待される規格化周波数可変幅は約0.6%で
ある。
【0006】ところで、最近、GSM等の携帯電話をは
じめとする移動体通信システムが大きな市場を形成して
いる。さらなる利便性を追求して、GSMやIMT20
00システム等の携帯電話機は小型化が進んでおり、将
来的に腕時計型電話なども検討されている。このように
小型化する場合、ICやLSIなどの半導体回路、ある
いは受動部品等をそれぞれ小型化するだけでは限界があ
るため、モノリシック化が以前から研究されている。例
えば、1988年に発行されたProceedings 1987 IEEE
Ultrasonics Symposiumの第641ページには、Si基
板上にc軸配向ZnO薄膜を形成したMonolithic SAW d
ual delay-line oscillatorが記載されている。
【0007】しかし、c軸配向のZnOは、電気機械結
合係数k2が1%程度であるため、携帯電話等のように
広帯域が必要とされる用途には使用できない。また、大
容量動画伝送が可能な伝送速度2Mbps以上のシステムで
は、帯域幅20MHz以上の周波数ホッピングTDMA方
式が有力視されている。この場合、高速シンセサイザが
必要であり、中心周波数2GHz帯で動作し、周波数可変
幅が20MHz(規格化周波数可変幅1%)以上のVCO
回路が必要である。このVCO回路に使用する発振子を
SAW装置を用いて作製するには、電気機械結合係数が
30%以上である圧電基板が必要である。
【0008】圧電セラミックスであるPZT(ジルコン
酸チタン酸鉛)は、大きな電気機械結合係数を持つこと
から、幅広く利用されている。例えば、1997年7月
に発行された信学技報(Technical Report of IEICE)
のUS97-31の39ページから44ページには、PZT膜
を有するSAWフィルタが記載されている。このSAW
フィルタは、Si基板上にバッファ層としてチタン酸バ
リウムストロンチウムを形成し、その上に厚さ0.64
μmのPb(Zr0.52Ti0.48)O3膜をゾル−ゲル法に
より形成し、その上に、周期8μmの櫛形電極を形成し
たものである。この文献では、このSAWについて挿入
損失の周波数応答を測定しており、その結果、中心周波
数約400MHz付近に挿入損失約40dBのピークが観測
されている。なお、このSAWフィルタにおけるPZT
膜の規格化厚さ2πh/λは、0.5である。ここで、
hはPZT膜の実際の膜厚であり、λは弾性表面波の波
長である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】圧電セラミックスは多
結晶体であるため、結晶粒界の存在によって損失が生
じ、特に、100MHzを超える高い周波数では伝搬損失
が大きくなる。
【0010】また、Si基板上にPb(Zr0.52Ti
0.48)O3膜を有する前記SAWフィルタは、圧電セラ
ミックスからの類推により、大きな電気機械結合係数を
もつ可能性がある。しかし、このものは挿入損失が40
dBと非常に大きいので、実用的には使用できない。その
原因は、前記文献には膜質の劣化であると記載されてい
る。本発明の発明者らの検討では、ゾル−ゲル法により
形成されているためにPZT膜が多結晶膜となり、その
結果、400MHzという高い周波数では結晶粒界による
伝搬損失が著しく大きくなったためと考えられる。ま
た、実用に供するには、弾性表面波の伝搬方向やPZT
膜の膜厚を最適化する必要があるが、これらについては
前記文献では検討されていない。
【0011】また、端面反射型SAW装置では、基板の
端面が反射特性を左右するため、端面が位置精度よく形
成されている必要があり、また、端面が平滑である必要
がある。しかし、多結晶または単結晶からなる圧電基板
では、ダイシングにより端面を形成しているため、端面
を位置精度よく形成することが難しく、また、端面にチ
ッピングが生じるという問題がある。したがって、高周
波での使用を可能とするためには、これらの問題を解決
する必要がある。なお、100MHzを超える周波数で使
用される端面反射型SAW装置では、多結晶基板を用い
たものは実用化されていない。
【0012】本発明の目的は、半導体基板を使用した他
の素子とのモノリシック化が可能であって、かつ、優れ
た特性を有する弾性表面波装置を提供することである。
本発明の他の目的は、端面反射型弾性表面波装置におい
て、特性改善、特に高周波における特性改善を図ること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記(1)
〜(9)の本発明により達成される。 (1) 半導体基板上に、PZT結晶からなるPZT膜
を有し、このPZT膜上またはこのPZT膜と前記半導
体基板との間に、櫛形電極またはこれと反射器とを有
し、前記PZT膜において、PZT結晶のc軸が膜面と
ほぼ平行に配向している弾性表面波装置。 (2) 前記PZT膜の櫛形電極が存在しない面に接し
て短絡電極を有する上記(1)の弾性表面波装置。 (3) 前記PZT膜は、PZT結晶のc軸およびa軸
が膜面とほぼ平行に配向し、かつ、c軸の向きおよびa
軸の向きがそれぞれほぼ揃っている単結晶膜であるか、
または、c軸が膜面とほぼ平行に配向しているaドメイ
ンと、a軸が膜面とほぼ平行に配向しているcドメイン
とを有し、各aドメインのc軸の向きがほぼ揃っている
多重ドメイン構造膜である上記(1)または(2)の弾
性表面波装置。 (4) 前記櫛形電極の開口長方向と前記c軸とのなす
角度をq(0°≦q≦90°)としたとき、 0°≦q≦20° である上記(1)〜(3)のいずれかの弾性表面波装
置。 (5) 前記PZT膜の膜厚をhとし、弾性表面波の波
長をλとしたとき、前記PZT膜の規格化膜厚2πh/
λが 0.4≦2πh/λ≦9.0 である上記(1)〜(4)のいずれかの弾性表面波装
置。 (6) 半導体基板上に圧電膜を有し、この圧電膜上ま
たはこの圧電膜と前記半導体基板との間に櫛形電極を有
し、前記圧電膜および前記半導体基板に、前記櫛形電極
を挟む一対の端面が存在し、前記一対の端面が、前記櫛
形電極により励振あるいは受信される弾性表面波の伝搬
方向にほぼ垂直であって、前記一対の端面間に前記弾性
表面波が閉じ込められる弾性表面波装置。 (7) 少なくとも弾性表面波の変位成分が実質的に存
在しない深さまで前記圧電膜および前記半導体基板がエ
ッチングされて、前記一対の端面が形成されている上記
(6)の弾性表面波装置。 (8) 前記圧電膜がPZT結晶から構成されており、
前記圧電膜は、PZT結晶のc軸およびa軸が膜面とほ
ぼ平行に配向し、かつ、c軸の向きおよびa軸の向きが
それぞれほぼ揃っている単結晶膜であるか、または、c
軸が膜面とほぼ平行に配向しているaドメインと、a軸
が膜面とほぼ平行に配向しているcドメインとを有し、
各aドメインのc軸の向きがほぼ揃っている多重ドメイ
ン構造膜であり、前記櫛形電極の開口長方向と前記c軸
とのなす角度をq(0°≦q≦90°)としたとき、 0°≦q≦20° である上記(6)または(7)の弾性表面波装置。 (9) 前記半導体基板がSiから構成されている上記
(1)〜(8)のいずれかの弾性表面波装置。
【0014】
【発明の実施の形態】図1に、本発明のSAW装置の構
成例を、平面図として示す。また、図2に、図1のII−
II断面図を示す。本明細書では、この構造を第1の構造
と呼ぶ。このSAW装置は、Si単結晶から構成される
Si基板1上に、酸化ジルコニウム膜21、酸化イット
リウム膜22、PZT膜4、および、SAWを励振また
は受信するための一対の櫛形電極51、52を有する。
PZT膜4上には、櫛形電極51、52を挟んで吸音材
91、92が設けられている。
【0015】図3に、第2の構造のSAW装置の構成例
を示す。このSAW装置は、図2に示す装置の酸化イッ
トリウム膜22とPZT膜4との間に、短絡電極8を設
けたものである。
【0016】図4に、第3の構造のSAW装置の構成例
を示す。このSAW装置は、Si基板1上に、酸化ジル
コニウム膜21、酸化イットリウム膜22、櫛形電極5
1、52、および、PZT膜4をこの順で有する。PZ
T膜4上には、櫛形電極51、52を挟む位置に吸音材
91、92が設けられている。
【0017】図5に、第4の構造のSAW装置の構成例
を示す。このSAW装置は、図4に示す装置のPZT膜
4上に、短絡電極8を設けたものである。
【0018】図6に、第5の構造のSAW装置の構成例
を示す。このSAW装置は、PZT膜4上に櫛形電極5
を1つだけ設け、その両側に一対の反射器71、72を
設けたほかは図2に示すものと同様な構造である。
【0019】上記各装置におけるPZT膜4は、PZT
結晶から構成され、酸化ジルコニウム膜21および酸化
イットリウム膜22は、Si基板1上にPZT膜4を成
長させる際のバッファ層として機能する。ただし、バッ
ファ層はこれらに限られず、PZT膜の結晶配向を所望
のものとできるように適宜選択すればよい。また、所望
の配向が得られれば、PZT膜を半導体基板上に直接形
成してもよい。
【0020】PZT膜に含まれるPZT結晶は、正方晶
系である。本発明においてPZT膜は、PZT結晶のc
軸が膜面とほぼ平行に配向している膜であればよいが、
結晶のc軸およびa軸がそれぞれ膜面とほぼ平行に配向
し、かつ、各結晶のc軸の向きおよびa軸の向きがそれ
ぞれほぼ揃っている単結晶膜、すなわち(100)配向
膜であることが最も好ましい。ただし、PZT膜は、c
軸が膜面とほぼ平行に配向しているaドメインと、a軸
が膜面とほぼ平行に配向しているcドメインとを有し、
各aドメインのc軸の向きがほぼ揃っている多重ドメイ
ン構造膜、すなわち、(100)配向と(001)配向
とが混在する90°ドメイン構造膜であってもよい。こ
のようなドメイン構造膜であっても、aドメインを利用
することにより、十分に良好なインピーダンス特性やフ
ィルタ特性を得ることが可能である。なお、自発分極は
c軸方向を向いている。
【0021】半導体基板上にこのようなPZT膜を形成
することにより、41°カットY板X伝搬LiNbO3
基板と同等以上の電気機械結合係数を得ることが可能と
なる。そして、Si基板等の半導体基板を用いることか
ら、同じく半導体基板を用いたICやLSI等の能動デ
バイスとのモノリシック化が可能であり、工業上、極め
て有用である。また、PZT膜が単結晶膜または多重ド
メイン構造膜であれば、多結晶セラミックスからなる基
板や、ゾル−ゲル法により形成されたPZT膜を有する
基板と異なり、100MHz以上の高周波においても伝搬
損失を小さく抑えることができる。
【0022】本発明において、PZT膜の面内に存在す
るc軸の向きは限定されない。ただし、このc軸の向き
と櫛形電極の開口長方向とがなす角度(本明細書では角
度qという)に応じて電気機械結合係数が異なるため、
所望の電気機械結合係数が得られるように上記角度を設
定すればよい。上記角度を適宜設定し、かつ、PZT膜
の厚さを適宜設定することにより、20%以上の電気機
械結合係数が得られ、30%以上の電気機械結合係数を
得ることも容易である。
【0023】なお、PZT膜の面内に存在するc軸の方
向と、櫛形電極の開口長方向とがなす角度qは、鋭角ま
たは鈍角で表現できるが、本明細書では鋭角を用いて表
す。すなわち、0°≦q≦90°である。
【0024】本発明のSAW装置では、上記角度qに加
え、PZT膜の実際の厚さhをSAWの波長λを用いて
規格化した規格化膜厚2πh/λが、電気機械結合係数
に大きく影響する。規格化膜厚2πh/λの好ましい範
囲は、SAW装置の構造や上記角度qによって異なり、
また、使用する半導体基板によっても異なるが、Si基
板またはこれと材料定数が近い半導体基板を用いたとき
には、PZT膜の規格化膜厚を 0.4≦2πh/λ≦9.0 の範囲内において適宜設定することにより、電気機械結
合係数が大きく、伝搬損失が小さく、スプリアスが少な
いSAW装置が実現する。
【0025】例えば、図2に示す第1の構造において 0°≦q≦20° であるとき、好ましくは 0.7≦2πh/λ≦−0.13q+8.9 とし、より好ましくは 0.075q+1.08≦2πh/λ≦−0.15q+
6.17 とする。規格化膜厚が小さすぎると、実用基板である4
1°カットY板X伝搬LiNbO3基板を凌ぐ電気機械
結合係数を得ることが困難となる。一方、規格化膜厚が
大きすぎると、高次モードの実効伝搬速度が基本モード
に近づき、スプリアスになってしまう。
【0026】また、第1の構造において 20°<q≦45° であるとき、好ましくは 0.8≦2πh/λ≦−0.13q+8.9 とし、 45°<q≦90° であるとき、好ましくは 0.8≦2πh/λ≦3.0 とする。規格化膜厚が小さすぎても大きすぎても、41
°カットY板X伝搬LiNbO3基板を凌ぐ電気機械結
合係数を得ることが困難となる。
【0027】また、図3に示す第2の構造において 0°≦q≦20° であるとき、好ましくは 0.7≦2πh/λ≦9.0 とし、より好ましくは 1.3≦2πh/λ≦6.0 とする。規格化膜厚が小さすぎると、実用基板である4
1°カットY板X伝搬LiNbO3基板を凌ぐ電気機械
結合係数を得ることが困難となる。一方、規格化膜厚が
大きすぎると、高次モードの実効伝搬速度が基本モード
に近づき、スプリアスになってしまう。
【0028】また、図4に示す第3の構造において 0°≦q≦20° であるとき、好ましくは 0.4≦2πh/λ≦1.4 とする。規格化膜厚が小さすぎても大きすぎても、電気
機械結合係数を大きくすることが困難となる。
【0029】また、図5に示す第4の構造において 0°≦q≦20° であるとき、好ましくは 1.6≦2πh/λ≦3.6とする。規格化膜厚が小さ
すぎると、伝搬損失が大きくなってしまう。一方、規 格化膜厚が大きすぎると、電気機械結合係数を大きくす
ることが困難となる。
【0030】ところで、PZT膜が、c軸およびa軸が
その膜面内に存在する単結晶膜であって、かつ、櫛形電
極の開口長方向がc軸と平行である場合、すなわちq=
0°である場合、伝搬するSAWの変位は、膜面内に存
在するc軸の方向を向いている。すなわち、伝搬モード
の変位方向は、伝搬方向にほぼ垂直、かつPZT膜の膜
面とほぼ平行である。この伝搬モードは、圧電的なLove
波と考えることができる。
【0031】ここで、伝搬モードの伝搬方向とは、伝搬
モードの等位相面に垂直な方向と定義する。すなわち、
パワーフロー角が零でない場合でも、伝搬方向は伝搬モ
ードの等位相面に垂直な方向である。この場合、開口長
方向と等位相面とは平行である。
【0032】一方、PZT膜が、c軸およびa軸がその
膜面内に存在する単結晶膜であって、かつ、櫛形電極の
開口長方向がa軸と平行である場合、伝搬するSAWの
変位は、PZT膜のc軸方向を向いている縦波成分と、
c軸方向および縦波成分に垂直なSV波成分とからな
る。この伝搬モードは、圧電的なModified pure Raylei
gh波と考えることができる。
【0033】PZTは、Pb(Zr,Ti)O3、すな
わちPbZrO3−PbTiO3固溶体を意味する。本発
明においてPZT膜中におけるモル比Ti/(Ti+Z
r)は特に限定されず、所望の配向が得られるように適
宜決定すればよいが、好ましくは0.6〜0.9とす
る。Tiの比率が低すぎると、良好な強誘電特性や共振
特性が得られにくい。一方、Tiの比率が高すぎると、
良好な電気絶縁性が得られにくくなる。
【0034】PZT膜中におけるモル比Pb/(Ti+
Zr)は1である必要はないが、好ましくは0.8〜
1.3であり、より好ましくは0.9〜1.2である。
Pb/(Ti+Zr)をこのような範囲にすることによ
って、良好な結晶性が得られる。また、Ti+Zrに対
するOの比率は、3に限定されるものではない。酸素欠
陥または酸素過剰で安定したペロブスカイト構造を組む
場合もある。モル比O/(Ti+Zr)は、通常、2.
7〜3.3程度である。なお、PZT膜の組成は、蛍光
X線分析により測定することができる。
【0035】本発明において、PZT膜はPb、Zrお
よびTiから構成されることが好ましいが、これらのほ
かに、添加元素や不純物元素を含有していてもよい。例
えば、現在の高純度化技術ではZrO2とHfO2との分
離は難しいので、PZT膜中には不純物としてHfO2
が混入することがある。ただし、HfO2の混入はPZ
T膜の特性に大きな影響は与えないため、特に問題はな
い。PZT膜に存在する不純物元素や添加元素として
は、例えば希土類元素(ScおよびYを包含する)、B
i、Ba、Sr、Ca、Cd、K、Na、Mg、Nb、
Ta、Hf、Fe、Sn、Al、Mn、Cr、W、Ru
が挙げられる。これら置換元素ないし不純物元素が含有
される場合、希土類元素、Bi、Ba、Sr、Ca、C
d、K、Na、MgはZrを置換するものとし、Nb、
Ta、Hf、Fe、Sn、Al、Mn、Cr、W、Ru
はTiを置換するものとしてTi/(Ti+Zr)を計
算し、その結果が前記範囲内にあることが好ましい。P
b、ZrおよびTiにおける置換元素ないし不純物元素
の置換率は、それぞれ好ましくは10%以下、より好ま
しくは5%以下である。なお、PZT膜中には、このほ
かの元素、例えばAr、N、H、Cl、C、Cu、N
i、Ptなどが微量添加物ないし不可避的不純物として
含まれていてもよい。
【0036】PZT膜は、酸素等の酸化性ガスを反応ガ
スとして用いる反応性多元蒸着法により形成することが
好ましいが、このほか、例えばMBE法やRFマグネト
ロンスパッタ法などによって形成することもできる。こ
れらの形成方法、特に多元蒸着法を用いた場合には、P
ZT膜の表面を分子レベルで平滑とできるため、その上
に形成する櫛形電極に断線が生じにくく、また、直線性
が良好な電極指を有する櫛形電極を容易に形成できる。
【0037】バッファ層は、c軸が膜面と平行となるよ
うにPZT膜が成長するように選択すればよい。バッフ
ァ層の形成には、反応性蒸着法、MBE法、RFマグネ
トロンスパッタ法などを用いることが好ましく、特に、
特開平10−17394号公報に記載された方法を用い
ることが好ましい。
【0038】櫛形電極は、蒸着法、MBE法、RFマグ
ネトロンスパッタ法などを用いて形成した導電膜を、フ
ォトリソグラフィー技術によりパターニングして形成す
ることが好ましい。櫛形電極の厚さは、通常、50〜5
00nmとすることが好ましい。
【0039】なお、以上では、Si基板を用いる場合に
ついて説明したが、本発明はSi以外の半導体基板、例
えばGaAs、InP、シリコン・ゲルマニウム等を用
いるSAW装置にも適用できる。ただし、十分な機械的
強度を得るためには、Siまたはシリコン・ゲルマニウ
ムからなる基板を用いることが好ましく、コスト低減の
ためにはSi基板を用いることが好ましい。
【0040】次に、本発明における限定事項を裏付ける
実施例について説明する。
【0041】実施例1−1(第1の構造:q=0°) 図2に示す構造を有するSAW装置を以下の手順で作製
した。
【0042】Si基板1には、厚さ250μmの(10
0)Si基板を用いた。酸化ジルコニウム膜21は厚さ
10nm、酸化イットリウム膜22は厚さ50nmとし、い
ずれも反応性蒸着法によりエピタキシャル成長させた。
PZT膜は厚さ0.77μmとし、反応性多元蒸着法に
よりエピタキシャル成長させた。PZT膜中におけるモ
ル比Ti/(Ti+Zr)は、0.75とした。X線回
折を用いて解析したところ、PZT膜4は正方晶系であ
り、そのa軸とc軸とが膜面とほぼ平行であること、す
なわち単結晶膜であることが確認された。
【0043】次に、PZT膜上に蒸着法によりAl膜を
形成し、これをフォトリソグラフィー技術によってパタ
ーニングすることにより、一対の櫛形電極51、52を
形成した。櫛形電極51、52は、その開口長方向がP
ZT膜4のc軸に平行となるように設けた。すなわち、
q=0°とした。櫛形電極は、厚さを200nm、電極指
の線幅を2.4μm、メタライズレシオを0.5、開口
長を384μm、電極指の対数を7.5とした。また、
櫛形電極51、52間の距離(互いに最も近い電極指の
中央間距離)は162μmとした。したがって、基本波
の波長λは9.6μm、PZT膜4の規格化膜厚2πh
/λは0.5となる。
【0044】なお、櫛形電極において励振または受信さ
れるSAWの伝搬方向と、PZT膜のc軸とのなす角度
は、90°となる。
【0045】次いで、Si基板を素子サイズとなるよう
にダイシングし、チップとした。このとき、一対の櫛形
電極の外側に伝搬したSAWが基板端面で反射してフィ
ルタ特性に影響しないように、櫛形電極の外側と基板端
面との間に吸音材91、92を塗布しておき、また基板
端面を荒らしながら斜めに切断した。
【0046】次いで、ダイボンド剤を用いて上記チップ
をパッケージにマウントし、蓋で封止した。このとき、
パッケージの入出力端子と櫛形電極51、52とをそれ
ぞれAlワイヤで接続した。
【0047】このようにして作製したSAW装置につい
て、SパラメータS21を50Ω系のネットワークアナ
ライザで測定した。図8に、S21から得られた挿入損
失の周波数応答を示す。図8から、中心周波数fcは、
397.6MHz、挿入損失は10dBであることがわか
る。実効的な伝搬速度Veffを、 Veff=fc・λ を用いて見積もると、3817m/sであった。
【0048】また、櫛形電極51だけがチップ上にある
ように基板を切断したほかは上記と同様にしてパッケー
ジにマウントし、封止した。そして、櫛形電極51の電
気端子対をネットワークアナライザの入力端子に接続し
てSパラメータS11を測定し、アドミッタンスに変換
した。図9に、得られたアドミッタンスの周波数応答を
示す。この周波数応答を、改良型スミスの等価回路モデ
ルを用いて計算した値と比較し、電気機械結合係数k2
を見積もると、14.6%であった。
【0049】実施例1−2(第1の構造:q=0°) 図2に示す構造のSAW装置を作製した。櫛形電極は、
厚さを200nm、電極指の線幅を1μm、メタライズレ
シオを0.5、開口長を200μm、対数を20とし、
櫛形電極51、52間の距離は160μmとした。した
がって、基本波の波長は4μmとなる。PZT膜4の規
格化膜厚は、3.0(1.9μm)とした。これらのほ
かは実施例1−1で作製した装置と同様とした。
【0050】この装置について、実施例1−1と同様に
してSパラメータS21を測定した。図10に、S21
から得られた挿入損失の周波数応答を示す。図10か
ら、中心周波数は521MHzであることがわかる。実施
例1−1と同様にして実効伝搬速度を見積もると、20
85m/sであった。また、実施例1−1と同様にして一
方の櫛形電極51を利用して実効電気機械結合係数k2
を求めたところ、37%であった。
【0051】実施例1−3(第1の構造:q=0°) PZT膜4の規格化膜厚を、0.3、0.6、1.0、
1.5、2.0、2.5、3.0、5.0、7.0、
9.0または10.0(最大膜厚は6.4μm)とし、
また、櫛形電極の線幅を所定の範囲内(最小線幅は1μ
m)で変更したほかは実施例1−1と同様にしてSAW
装置を作製した。なお、櫛形電極のメタライズレシオは
0.5に固定した。
【0052】これらの装置について、挿入損失とアドミ
ッタンスの周波数応答とを測定し、実効的伝搬速度と電
気機械結合係数k2とを見積もった。その結果、基本モ
ードの最大周波数は883MHzであり、そのときの挿入
損失は10dBであった。この結果から、800MHzもの
高周波においても挿入損失が大きく劣化することはな
く、伝搬損失が小さいことがわかる。図11に、実効伝
搬速度の規格化膜厚依存性を示す。また、図12に、電
気機械結合係数k2の規格化膜厚依存性を示す。図12
から、規格化膜厚2πh/λを0.7以上とすることに
より、20%以上の電気機械結合係数が得られることが
わかる。一方、図11から、規格化膜厚が9.0を超え
ると、高次モードの実効伝搬速度が基本モードに近づき
スプリアスになることがわかる。したがって、 0.7≦2πh/λ≦−0.13q+8.9 であることが好ましい。さらに、規格化膜厚2πh/λ
を 0.075q+1.08≦2πh/λ≦−0.15q+
6.17 の範囲にすることにより、30%以上の電気機械結合係
数が得られることがわかる。例えば規格化膜厚2.0の
とき、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度
は、それぞれ38.4%および2209m/sとなってい
る。
【0053】実施例1−4(第2の構造:q=0°) Si基板1とPZT膜4との間に短絡電極8を設けたほ
かは実施例1−3と同様にして、図3に示す構造を有す
るSAW装置を作製した。すなわち、PZT膜4の厚さ
を変更し、メタライズレシオを0.5に固定した状態で
櫛形電極の線幅を変えることにより、実効電気機械結合
係数k2および実効伝搬速度について、規格化膜厚依存
性を調べた。なお、短絡電極8には、蒸着法により形成
した厚さ100nmのPt膜を利用した。
【0054】これらの装置について、実施例1−3と同
様にして挿入損失とアドミッタンスの周波数応答とを測
定し、その結果から、実効電気機械結合係数k2と実効
伝搬速度とを見積もった。図13に、PZT膜の規格化
膜厚と実効伝搬速度との関係を示す。また、図14に、
PZT膜の規格化膜厚と実効電気機械結合係数k2との
関係を示す。図14から、規格化膜厚2πh/λを0.
7以上とすることにより、20%以上の電気機械結合係
数が得られることがわかる。一方、図13から、規格化
膜厚が9.0を超えると、高次モードの実効伝搬速度が
基本モードに近づきスプリアスになることがわかる。し
たがって、 0.7≦2πh/λ≦9.0 であることが好ましい。さらに、規格化膜厚2πh/λ
を 1.3≦2πh/λ≦6.0 の範囲にすることにより、30%以上の電気機械結合係
数が得られることがわかる。例えば規格化膜厚2.2の
とき、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度
は、それぞれ35.7%および2167m/sとなってい
る。
【0055】実施例1−5(第3の構造:q=0°) 図4に示すように、櫛形電極51、52をSi基板1と
PZT膜4との間に配置した構造のSAW装置を、以下
の手順で作製した。
【0056】まず、実施例1−1と同様にして、Si基
板1上に、酸化ジルコニウム膜21と酸化イットリウム
膜22とをエピタキシャル成長させた。次いで、その上
に、厚さ100nmのPt膜を蒸着法によりエピタキシャ
ル成長させ、フォトリソグラフィー技術によりパターニ
ングして、櫛形電極51、52を形成した。次いで、P
ZT膜4を実施例1−3と同様にして形成し、これ以降
の工程は実施例1−1と同様にしてSAW装置を得た。
なお、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度の
規格化膜厚依存性を調べるために、実施例1−3と同様
に、櫛形電極51、52のメタライズレシオを0.5に
固定し、PZT膜4の規格化膜厚および櫛形電極の線幅
を変えて装置を作製した。
【0057】これらの装置について、実施例1−3と同
様な測定を行った。図15に、PZT膜の規格化膜厚と
実効伝搬速度との関係を示す。また、図16に、PZT
膜の規格化膜厚と実効電気機械結合係数k2との関係を
示す。これらの図では、例えば規格化膜厚0.8のと
き、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度はそ
れぞれ8.4%および3385m/sとなっている。これ
らの図から、この装置構造の0次モードにおいて電気機
械結合係数k2を6%以上とするには、規格化膜厚を 0.4≦2πh/λ≦1.4 の範囲に設定すればよいことがわかる。
【0058】実施例1−6(第4の構造:q=0°) 短絡電極8をPZT膜4上に形成したほかは実施例1−
5と同様にして、図5に示す構造のSAW装置を作製し
た。短絡電極8は、実施例1−4と同様にして形成し
た。
【0059】これらの装置について、実施例1−3と同
様にして挿入損失とアドミッタンスの周波数応答とを測
定し、その結果から、実効電気機械結合係数k2と実効
伝搬速度とを見積もった。図17に、PZT膜の規格化
膜厚と実効伝搬速度との関係を示す。また、図18に、
PZT膜の規格化膜厚と実効電気機械結合係数k2との
関係を示す。これらの図に示す1次モードでは、規格化
膜厚1.6のとき、実効電気機械結合係数k2および実
効伝搬速度は、それぞれ18.1%と4851m/sとな
っている。これらの図から、この構造において電気機械
結合係数k2を6%以上とするには、規格化膜厚を3.
6以下に設定すればよいことがわかる。ただし、規格化
膜厚が1.6未満であると伝搬損失が大きくなるため、
規格化膜厚は 1.6≦2πh/λ≦3.6 の範囲に設定することが好ましい。
【0060】実施例1−7(第1〜第4の構造:q=0〜20°) 開口長方向とPZT膜のc軸とのなす角度qが0〜20
°となるように櫛形電極51、52を形成したほかは上
記実施例1−3、1−4、1−5、1−6とそれぞれ同
様にして、SAW装置を作製した。これらの装置では、
櫛形電極において励振または受信されるSAWの伝搬方
向と、PZT膜のc軸とのなす角度は、90〜70°と
なる。
【0061】これらの装置に対し実施例1−3と同様な
測定を行い、伝搬速度および電気機械結合係数のそれぞ
れについて規格化膜厚依存性を求めた。第1、第2、第
3、第4のそれぞれの構造について、角度qとその角度
での電気機械結合係数の最大値との関係を、図19に示
す。なお、図中において、第1、第2、第3および第4
の構造に相当する曲線は、それぞれA1、A2、A3お
よびA4として示してある。この図から、第1および第
2の構造では、0°≦q≦20°の全域において20%
以上の電気機械結合係数が得られることがわかる。ま
た、第3および第4の構造においても、第1および第2
の構造の場合と同様に、角度qが0°に近づくにつれて
電気機械結合係数が増大することがわかる。
【0062】実施例1−8(第5の構造:q=0°) 図6に示す構造のSAW装置を、以下の手順で作製し
た。
【0063】まず、実施例1−1と同様にして、Si基
板1上に酸化ジルコニウム膜21、酸化イットリウム膜
22およびPZT膜4をエピタキシャル成長させた。
【0064】次に、PZT膜上に蒸着法により厚さ40
0nmのAl膜を形成し、これをフォトリソグラフィー技
術によりパターニングすることにより、櫛形電極5と、
その両側の反射器71、72とを形成した。櫛形電極5
は、その開口長方向がPZT膜4のc軸に平行となるよ
うに設けた。すなわち、q=0°とした。櫛形電極は、
電極指の線幅を1.2μm、メタライズレシオを0.
5、開口長を80μm、電極指の対数を20.5とし
た。反射器71、72は、櫛形電極5よりも線幅をわず
かに太くした。櫛形電極5と反射器との間の距離(互い
に最も近い電極指の中央間距離)は2.4μmとした。
基本波の波長λは4.8μm、PZT膜4の規格化膜厚
2πh/λは1.0となる。
【0065】次いで、Si基板を素子サイズとなるよう
にダイシングしてチップとし、ダイボンド剤を用いて上
記チップをパッケージにマウントした後、蓋で封止し
た。このとき、パッケージの電気端子と櫛形電極5とを
Alワイヤで接続した。
【0066】このようにして作製した装置について、ネ
ットワークアナライザを用いてSパラメータS11を測
定し、インピーダンスに変換した。図20に、インピー
ダンス特性を示す。この図から、共振周波数は585MH
z、反共振周波数は670MHzであることがわかる。実効
電気機械結合係数k2および実効伝搬速度を見積もる
と、それぞれ28%および2827m/sであった。
【0067】実施例2−1(第1の構造:q=90°) 図2に示す構造のSAW装置を、櫛形電極51、52を
除き、実施例1−1で作製した装置と同様にして作製し
た。櫛形電極51、52は、その開口長方向がPZT膜
4のc軸に垂直となるように設けた。すなわち、q=9
0°とした。櫛形電極は、厚さを200nm、電極指の線
幅を1μm、メタライズレシオを0.5、開口長を60
μm、電極指の対数を10.5とした。また、櫛形電極
51、52間の距離は50μmとした。したがって、基
本波の波長λは4μm、PZT膜4の規格化膜厚2πh
/λは1.2となる。
【0068】この装置について、実施例1−1と同様な
測定を行い、挿入損失の周波数応答を調べた。結果を図
21に示す。図21から、中心周波数fcは909MH
z、挿入損失は12dBであることがわかる。実施例1−
1と同様にして実効伝搬速度を見積もると、3636m/
sであった。また、実施例1−1と同様にして一方の櫛
形電極51を利用してSパラメータS11を測定し、ア
ドミッタンスに変換した。図22に、得られたアドミッ
タンスの周波数応答を示す。この周波数応答から実施例
1−1と同様にして電気機械結合係数k2を見積もる
と、28.3%であった。この結果から、900MHzも
の高周波においても挿入損失が大きく劣化することはな
く、伝搬損失が小さいことがわかる。
【0069】実施例2−2(第1の構造:q=90°) 図2に示す構造のSAW装置を作製した。櫛形電極は、
厚さを200nm、電極指の線幅を1μm、メタライズレ
シオを0.5、開口長を40μm、対数を14とし、櫛
形電極51、52間の距離は50μmとした。したがっ
て、基本波の波長は4μmとなる。PZT膜4の規格化
膜厚は、1.4(0.89μm)とした。これらのほか
は実施例2−1で作製した装置と同様とした。
【0070】この装置について、実施例1−1と同様に
してSパラメータS21を測定した。図23に、S21
から得られた挿入損失の周波数応答を示す。この図か
ら、中心周波数は870.5MHzで、挿入損失は12dB
であることわかる。実施例1−1と同様にして実効伝搬
速度を見積もると、3482m/sであった。また、実施
例1−1と同様にして一方の櫛形電極51を利用して実
効電気機械結合係数k2を求めたところ、30%であっ
た。
【0071】実施例2−3(第1の構造:q=90°) PZT膜4の規格化膜厚を、0.3、0.6、1.0、
1.5、2.0、2.5、3.0または5.0とし、ま
た、櫛形電極の線幅を所定の範囲内で変更したほかは実
施例2−1と同様にして、SAW装置を作製した。な
お、櫛形電極のメタライズレシオは0.5に固定した。
【0072】これらの装置について、挿入損失とアドミ
ッタンスの周波数応答を測定し、実効的伝搬速度と電気
機械結合係数k2とを見積もった。図24に、実効伝搬
速度の規格化膜厚依存性を示す。また、図25に、電気
機械結合係数k2の規格化膜厚依存性を示す。図25か
ら、ピーク値の70%の電気機械結合係数を得るために
は、規格化膜厚2πh/λを 0.8≦2πh/λ≦3.0 の範囲にすればよいことがわかる。結果として、この範
囲において20%以上の電気機械結合係数が得られる。
例えば、これらの図では、規格化膜厚1.6のとき、実
効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度は、それぞ
れ30.4%および3386m/sとなっている。
【0073】実施例2−4(第2の構造:q=90°) Si基板1とPZT膜4との間に短絡電極8を設けたほ
かは実施例2−3と同様にして、図3に示す構造を有す
るSAW装置を作製した。すなわち、PZT膜4の厚さ
を変更し、メタライズレシオを0.5に固定した状態で
櫛形電極の線幅を変えることにより、実効電気機械結合
係数k2および実効伝搬速度について、規格化膜厚依存
性を調べた。なお、短絡電極8には、蒸着法により形成
した厚さ100nmのPt膜を利用した。
【0074】これらの装置について、実施例2−3と同
様にして挿入損失とアドミッタンスの周波数応答とを測
定し、その結果から、実効電気機械結合係数k2と実効
伝搬速度とを見積もった。図26に、PZT膜の規格化
膜厚と実効電気機械結合係数k2との関係を示す。な
お、実効伝搬速度は、第1の構造の場合と同程度であ
り、電気機械結合係数が大きな規格化膜厚範囲では40
00m/s程度であった。図26から、規格化膜厚の広い
範囲にわたって10%以上の電気機械結合係数k2が得
られることがわかる。この図では、例えば規格化膜厚
1.2のとき、実効電気機械結合係数k2および実効伝
搬速度はそれぞれ17.1%および3609m/sであ
る。電気機械結合係数のピーク値の70%を与える規格
化膜厚範囲は、第1の構造の場合と同様である。この構
造とした場合、実効電気機械結合係数k2は17%程度
であるものの、実効伝搬速度が比較的大きい。
【0075】実施例2−5(第3の構造:q=90°) 図4に示すように、櫛形電極51、52をSi基板1と
PZT膜4との間に配置した構造のSAW装置を、以下
の手順で作製した。
【0076】まず、実施例2−1と同様にして、Si基
板1上に、酸化ジルコニウム膜21と酸化イットリウム
膜22とをエピタキシャル成長させた。次いで、その上
に、厚さ100nmのPt膜を蒸着法によりエピタキシャ
ル成長させ、フォトリソグラフィー技術によりパターニ
ングして、櫛形電極51、52形成した。次いで、PZ
T膜4を実施例2−3と同様にして形成し、これ以降の
工程は実施例2−1と同様にしてSAW装置を得た。な
お、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度の規
格化膜厚依存性を調べるために、実施例2−3と同様
に、櫛形電極51、52のメタライズレシオを0.5に
固定し、PZT膜4の規格化膜厚および櫛形電極の線幅
を変えて複数の装置を作製した。
【0077】これらの装置について、実施例2−3と同
様な測定を行った。図27に、実効電気機械結合係数k
2の規格化膜厚依存性を示す。実効伝搬速度は、第1の
構造の場合と同程度であり、実効電気機械結合係数が大
きな規格化膜厚範囲では3500m/sから5000m/s程
度であった。この図から、例えば規格化膜厚1.6のと
き、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度はそ
れぞれ14.5%および3702m/sであり、規格化膜
厚の広い範囲にわたって10%以上の電気機械結合係数
2が得られることがわかる。結果として、実効電気機
械結合係数k2は、10%程度ではあるものの、実効伝
搬速度が比較的大きい。
【0078】実施例2−6(第4の構造:q=90°) 短絡電極8をPZT膜4上に形成したほかは実施例2−
5と同様にして、図5に示す構造のSAW装置を作製し
た。短絡電極8は、実施例2−4と同様にして形成し
た。
【0079】これらの装置について、実施例2−3と同
様にして挿入損失とアドミッタンスの周波数応答とを測
定し、その結果から、実効電気機械結合係数k2と実効
伝搬速度とを見積もった。図28に、実効電気機械結合
係数k2の規格化膜厚依存性を示す。実効伝搬速度は、
第1の構造の場合と同程度であり、電気機械結合係数が
大きな規格化膜厚範囲では4000m/sから6000m/s
程度であった。この図から、例えば規格化膜厚2.2の
とき、実効電気機械結合係数k2および実効伝搬速度は
それぞれ17.8%および4417m/sであり、規格化
膜厚の広い範囲にわたって15%以上の電気機械結合係
数が得られることがわかる。結果として、実効電気機械
結合係数k2は15%程度であるものの、実効伝搬速度
が比較的大きい。
【0080】実施例2−7(第1〜第4の構造:q=20〜90°) 開口長方向とPZT膜のc軸とのなす角度qが20°、
30°、40°、45°、60°、100°、135°
または160°となるように櫛形電極51、52を形成
したほかは上記実施例2−3、2−4、2−5、2−6
とそれぞれ同様にして、SAW装置を作製した。
【0081】これらの装置に対し実施例2−3と同様な
測定を行い、伝搬速度および電気機械結合係数のそれぞ
れについて規格化膜厚依存性を求めた。第1、第2、第
3、第4のそれぞれの構造について、角度qとその角度
での電気機械結合係数の最大値との関係を、図29に示
す。なお、図中において、第1、第2、第3および第4
の構造に相当する曲線は、それぞれA1、A2、A3お
よびA4として示してある。この図から、第1および第
2の構造では、20°≦q≦90°の全領域において2
0%以上の電気機械結合係数が得られることがわかる。
また、第3および第4の構造においても、第1および第
2の構造の場合と同様に、角度qが90°に近づくにつ
れて電気機械結合係数が増大している。
【0082】端面反射型構造 次に、本発明のSAW装置の第6の構造について説明す
る。第6の構造の装置は、端面反射構造をもつ。第6の
構造の装置は、半導体基板上に圧電膜を有し、この圧電
膜上またはこの圧電膜と前記半導体基板との間に櫛形電
極を有する。そして、圧電膜および半導体基板に、櫛形
電極を挟む一対の端面が存在する。この一対の端面は、
櫛形電極により励振あるいは受信される弾性表面波の伝
搬方向にほぼ垂直である。弾性表面波は、それぞれの端
面で反射され、両端面間に閉じ込められる。
【0083】前述したように、端面反射型SAW装置
は、多数の金属ストリップからなる反射器を必要としな
いため、超小型とすることができる。しかし、圧電セラ
ミックスからなる多結晶基板を用いた端面反射型装置
は、100MHzを超える周波数では伝搬損失が大きくな
り、実用化は困難であった。また、従来は、圧電セラミ
ックス基板を用いた場合でも単結晶基板を用いた場合で
も、反射特性を左右する基板端面をダイシングによって
形成するため、反射端面を位置精度よく形成することが
難しく、また、端面にチッピングが生じるといった問題
があった。したがって、高周波で使用可能とするために
は、これらの問題を解決する必要がある。
【0084】これに対し本発明では、半導体基板上に圧
電膜を形成し、この圧電膜上またはこの圧電膜と前記半
導体基板との間に櫛形電極を形成し、SAWの変位成分
が実質的に存在しない深さまで前記圧電膜および前記半
導体基板をエッチングすることにより、反射端面を形成
する。このエッチングは、フォトリソグラフィー技術を
用いて行うことができるので、端面の位置精度を極めて
高くすることができる。また、ダイシングと異なり、端
面にチッピングが生じることもない。また、半導体基板
を用いているため、ICやLSI等の半導体デバイスと
モノリシック化することができる。
【0085】端面反射型構造をもつ本発明のSAW装置
は、例えば図7(A)〜図7(E)に示す手順で製造す
ることができる。なお、以下では、圧電膜としてPZT
膜を利用する場合を例に挙げて説明する。
【0086】まず、図7(A)に示すように、Si基板
1上に、酸化ジルコニウム膜21および酸化イットリウ
ム膜22からなるバッファ層を介してPZT膜4を形成
し、このPZT膜上に櫛形電極5を形成する。
【0087】次いで、図7(B)に示すように、櫛形電
極5を被覆するようにレジスト層を形成し、露光および
現像を行ってレジストパターン10を形成する。レジス
トパターン10が被覆する電極指は、素子1個当たりに
必要な本数分であるが、このとき、最外側の電極指にお
いて線幅の半分が露出するようにレジストパターン10
の端部位置を決定する。
【0088】次に、図7(C)に示すように、レジスト
パターン10で被覆されていない領域において、櫛形電
極5、PZT膜4およびバッファ層をエッチングし、さ
らに、Si基板1を所定の深さまでエッチングして、溝
11を形成する。ここで、所定の深さとは、弾性表面波
の変位が実質的に存在しない深さを意味する。弾性表面
波が実質的に存在する深さは、通常、弾性表面波の波長
λで規格化した規格化深さで表して3〜15程度、すな
わち、実際の深さをdとするとd/λ=3〜15程度な
ので、エッチングはこれを超える深さまで行えばよい。
エッチングには、例えばイオンミリング、RIE(Reac
tive Ion Etching)、ウエットエッチングなどを用いる
ことができる。
【0089】次いで、図7(D)に示すようにレジスト
パターン10を剥離する。
【0090】次いで、エッチングにより形成された溝1
1の中央部分を、溝11の両側の側面に触れないように
してダイシングすることにより、Si基板1を素子単位
に分離して図7(E)に示す状態とする。ついで、ダイ
ボンド剤を用いてパッケージにマウントした後、櫛形電
極5とパッケージの電気端子とをワイヤで接続し、蓋で
封止する。
【0091】本発明の端面反射型SAW装置における効
果、すなわち、端面位置の精度向上、端面の平滑性向上
および半導体デバイスとのモノリシック化が可能である
ことは、圧電膜の種類によらず実現する。
【0092】ただし、このような端面反射型構造におい
て、圧電膜として前記したPZT膜を用いれば、電気機
械結合係数を高く、伝搬損失を小さくできる。
【0093】PZT膜として、前記単結晶膜、または、
前記多重ドメイン構造膜を用いる場合、前記角度qは0
°≦q≦20°であることが好ましい。角度qが20°
以下であれば、エネルギーが一方向を向き、かつ位相の
揃った波面をもつ反射波が得られやすい。一方、角度q
が20°を超えると、基板端面でSAWが反射するとき
にモード変換の増大などにより散乱が増大する。そのた
め、エネルギーが一方向を向き、かつ位相の揃った波面
をもつ反射波が得られにくい。
【0094】実施例3(第6の構造:q=0°) 図7(E)に示す第6の構造のSAW装置を、以下の手
順で作製した。
【0095】前記実施例1−1と同様にして、Si基板
1上に酸化ジルコニウム膜21、酸化イットリウム膜2
2およびPZT膜4を形成した。ただし、PZT膜の厚
さは1.5μmとした。
【0096】次に、q=0°となるように、Alからな
る櫛形電極5を形成し、図7(A)に示す状態とした。
櫛形電極は、厚さを150nm、電極指の線幅を1.2μ
m、メタライズレシオを0.5、開口長を100μm、電
極指の対数を20とした。したがって、基本波の波長λ
は4.8μm、PZT膜4の規格化膜厚2πh/λは
2.0となる。
【0097】次に、通常のフォトリソグラフィー技術を
用いて、櫛形電極5の上からレジストを塗布し、露光、
現像することによりレジストパターン10を形成して、
図7(B)に示す状態とした。このとき、レジストパタ
ーン10に被覆されていない領域の幅は、約1mmとし
た。
【0098】次いで、レジストパターン10で被覆され
ていない領域において櫛形電極5、PZT膜4およびバ
ッファ層をイオンミリングにより除去し、さらに、イオ
ンミリングによりSi基板1を深さ50μmまで除去し
て、図7(C)に示す状態とした。このとき、櫛形電極
5において最外側の電極指の線幅は0.6μmとなっ
た。
【0099】次に、レジストパターン10を剥離した
後、エッチングにより形成された溝11の中央部をダイ
シングブレードにより切断し、チップ単位に分割した。
なお、ダイシングブレードは、溝11の両端部に接触し
ない幅をもつものを使用した。
【0100】得られたチップをパッケージにマウント
し、櫛形電極5をパッケージの電気端子と接続し、最後
に蓋で封止してSAW装置を完成させた。
【0101】この装置について、ネットワークアナライ
ザを用いてSパラメータS11を測定し、インピーダン
スに変換した。図30に、インピーダンス特性を示す。
この図から、共振周波数は460MHz、反共振周波数は
547MHzであることがわかる。実効電気機械結合係数
2および実効伝搬速度を見積もると、それぞれ38%
および2209m/sであった。
【0102】なお、櫛形電極5の電極構造を工夫するこ
とにより、端面反射型SAWフィルタを形成できること
は言うまでもない。
【0103】
【発明の効果】本発明のSAW装置は、半導体基板上
に、少なくともPZT膜と櫛形電極とを形成したもので
ある。本発明では半導体基板を用いるため、同じく半導
体基板を用いる他の素子とモノリシック化することが容
易である。
【0104】本発明におけるPZT膜では、PZT結晶
のc軸が膜面と平行に配向している。そのため、電気機
械結合係数を大きくすることが可能である。具体的に
は、櫛形電極の開口長方向とc軸とのなす角度qに応じ
て、PZT膜の規格化膜厚を制御することにより、電気
機械結合係数を20%以上にすることができ、30%以
上にすることもできる。そのため、広い帯域幅をもつフ
ィルタや、周波数可変幅の広いVCO用発振子が実現で
きる。
【0105】また、本発明においてPZT膜を、単結晶
膜、多重ドメイン構造膜または結晶配向性の良好な膜と
して形成すれば、高周波、例えば100MHz以上の周波
数においても損失を少なくすることができる。
【0106】端面反射型構造を有する本発明のSAW装
置では、弾性表面波を反射するための端面が、圧電膜お
よび半導体基板のエッチングにより形成される。そのた
め、端面位置の精度が高く、また、端面の平滑性が良好
である。また、半導体デバイスとのモノリシック化が可
能である。
【0107】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のSAW装置の構成例を示す平面図であ
る。
【図2】本発明のSAW装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図3】本発明のSAW装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図4】本発明のSAW装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図5】本発明のSAW装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図6】本発明のSAW装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図7】(A)〜(E)は、本発明のSAW装置の製造
過程を説明するための断面図である。
【図8】挿入損失の周波数応答を示すグラフである。
【図9】アドミッタンスの周波数応答を示すグラフであ
る。
【図10】挿入損失の周波数応答を示すグラフである。
【図11】実効伝搬速度の規格化膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図12】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図13】実効伝搬速度の規格化膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図14】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図15】実効伝搬速度の規格化膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図16】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図17】実効伝搬速度の規格化膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図18】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図19】PZT膜のc軸の向きと櫛形電極の開口長方
向とがなす角度qと、実効電気機械結合係数との関係を
示すグラフである。
【図20】インピーダンスの周波数応答を示すグラフで
ある。
【図21】挿入損失の周波数応答を示すグラフである。
【図22】アドミッタンスの周波数応答を示すグラフで
ある。
【図23】挿入損失の周波数応答を示すグラフである。
【図24】実効伝搬速度の規格化膜厚依存性を示すグラ
フである。
【図25】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図26】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図27】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図28】実効電気機械結合係数の規格化膜厚依存性を
示すグラフである。
【図29】PZT膜のc軸の向きと櫛形電極の開口長方
向とがなす角度qと、実効電気機械結合係数との関係を
示すグラフである。
【図30】インピーダンスの周波数応答を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 Si基板 21 酸化ジルコニウム膜 22 酸化イットリウム膜 4 PZT膜 5、51、52 櫛形電極 71、72 反射器 8 短絡電極 91、92 吸音材 10 レジストパターン 11 溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 隆男 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5J097 AA06 AA14 AA19 BB01 BB11 EE07 EE08 EE10 FF02 FF04 HA02 HA03 HB08 KK04 KK05 KK09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に、PZT結晶からなるP
    ZT膜を有し、このPZT膜上またはこのPZT膜と前
    記半導体基板との間に、櫛形電極またはこれと反射器と
    を有し、 前記PZT膜において、PZT結晶のc軸が膜面とほぼ
    平行に配向している弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 前記PZT膜の櫛形電極が存在しない面
    に接して短絡電極を有する請求項1の弾性表面波装置。
  3. 【請求項3】 前記PZT膜は、PZT結晶のc軸およ
    びa軸が膜面とほぼ平行に配向し、かつ、c軸の向きお
    よびa軸の向きがそれぞれほぼ揃っている単結晶膜であ
    るか、または、c軸が膜面とほぼ平行に配向しているa
    ドメインと、a軸が膜面とほぼ平行に配向しているcド
    メインとを有し、各aドメインのc軸の向きがほぼ揃っ
    ている多重ドメイン構造膜である請求項1または2の弾
    性表面波装置。
  4. 【請求項4】 前記櫛形電極の開口長方向と前記c軸と
    のなす角度をq(0°≦q≦90°)としたとき、 0°≦q≦20° である請求項1〜3のいずれかの弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 前記PZT膜の膜厚をhとし、弾性表面
    波の波長をλとしたとき、前記PZT膜の規格化膜厚2
    πh/λが 0.4≦2πh/λ≦9.0 である請求項1〜4のいずれかの弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 半導体基板上に圧電膜を有し、この圧電
    膜上またはこの圧電膜と前記半導体基板との間に櫛形電
    極を有し、 前記圧電膜および前記半導体基板に、前記櫛形電極を挟
    む一対の端面が存在し、前記一対の端面が、前記櫛形電
    極により励振あるいは受信される弾性表面波の伝搬方向
    にほぼ垂直であって、前記一対の端面間に前記弾性表面
    波が閉じ込められる弾性表面波装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも弾性表面波の変位成分が実質
    的に存在しない深さまで前記圧電膜および前記半導体基
    板がエッチングされて、前記一対の端面が形成されてい
    る請求項6の弾性表面波装置。
  8. 【請求項8】 前記圧電膜がPZT結晶から構成されて
    おり、 前記圧電膜は、PZT結晶のc軸およびa軸が膜面とほ
    ぼ平行に配向し、かつ、c軸の向きおよびa軸の向きが
    それぞれほぼ揃っている単結晶膜であるか、または、c
    軸が膜面とほぼ平行に配向しているaドメインと、a軸
    が膜面とほぼ平行に配向しているcドメインとを有し、
    各aドメインのc軸の向きがほぼ揃っている多重ドメイ
    ン構造膜であり、 前記櫛形電極の開口長方向と前記c軸とのなす角度をq
    (0°≦q≦90°)としたとき、 0°≦q≦20° である請求項6または7の弾性表面波装置。
  9. 【請求項9】 前記半導体基板がSiから構成されてい
    る請求項1〜8のいずれかの弾性表面波装置。
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