JPH10200371A - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JPH10200371A
JPH10200371A JP8449397A JP8449397A JPH10200371A JP H10200371 A JPH10200371 A JP H10200371A JP 8449397 A JP8449397 A JP 8449397A JP 8449397 A JP8449397 A JP 8449397A JP H10200371 A JPH10200371 A JP H10200371A
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JP
Japan
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thin film
acoustic wave
surface acoustic
wave device
substrate
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JP8449397A
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Shuji Tsuzumi
修司 津々見
Naoyuki Hanashima
直之 花嶋
Masa Yonezawa
政 米澤
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の共振周波数の高周波対応弾性表面波装
置を提供する。 【解決手段】 単結晶又は多結晶基板と、この基板上に
形成されたPZT薄膜よりなる圧電体薄膜と、圧電体薄
膜上に形成された電極とを備えてなる弾性表面波装置。 【効果】 他の圧電材料に比べ、電気機械結合係数k2
が大きく、かつQ値の大きい、温度特性の良好なPZT
を薄膜化し、更に、高音速基板、高安定基板上に成膜す
ることにより、マイクロ波帯域に対応し、広帯域な高安
定の弾性表面波装置を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性表面波装置に係
り、特に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を圧電材料
として基板上に成膜した高周波対応の弾性表面波装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物系圧電材料は、超音波振動子、メ
カニカル・フィルタ素子などの用途に用いられている
が、表面波素子に適用した場合は、単結晶の圧電材料の
場合と比較して表面波速度の温度係数及び表面波伝搬損
失が大きく、高周波域での実用性を欠き、マイクロ波へ
の応用は困難であった。
【0003】ところで、基板上に圧電体薄膜を形成し、
更にその上に櫛形電極を形成してなる弾性表面波装置に
おいて、その弾性表面波の共振周波数fは、f=V/λ
で与えられる。波長λは櫛形電極の電極間隔で決定さ
れ、伝搬速度Vは圧電体薄膜の材質によって決定され
る。なお、この伝搬速度Vは圧電体薄膜の材質とH/λ
の関係によって決定される。Hは圧電体薄膜の膜厚であ
る。
【0004】従来、弾性表面波装置に用いられてきた圧
電基板は、LiNbO3 、LiTaO3 、SiO2 (水
晶)が主でその他にLi2 4 7 が用いられてきた。
基本的に広帯域フィルタや低容量比の共振器デバイスに
はLiNbO3 基板が、温度特性を重視する狭帯域デバ
イスには水晶基板が、両者の中間的な特性が要求される
デバイスにはLiTaO3 が用いられている。Li2
4 7 は、零温度係数を持ち電気機械結合係数k2 がL
iTaO3 と同程度の比較的新しい圧電材料であり、共
振器に応用されている。
【0005】しかし、従来の圧電材料を用いた弾性表面
波装置は、マイクロ波帯にいたる高周波帯で広帯域な周
波数特性を持つ弾性表面波装置が困難であった。
【0006】従来、一般的に使われている弾性表面波装
置においては、UHF帯に至る所望の共振周波数fを得
るためには、弾性表面波の音速をV、波長をλとしたと
きf=V/λの関係から波長λを決定する櫛形電極の電
極間隔をサブミクロン単位にまで微細加工する必要があ
り、この微細パターンの電極形成に極めて高度なプロセ
スが要求されている。特開平5−283970号公報等
には、櫛形電極の微細加工のためのパターニングプロセ
スが記載されており、これによりサブミクロン単位の櫛
形電極の形成が可能であるが、このような高度プロセス
を採用することは、製造効率、製造コスト等の面で不利
である。一方、圧電体薄膜/基板の層状構造をもつ弾性
表面波装置は、表面波の伝搬速度は膜厚に依存して速度
分布を示すことから、膜厚が0では基板の音速に、膜厚
が十分厚くなるとその圧電材料の音速に収束する。よっ
て、層状構造の圧電薄膜に音速の速い基板、サファイ
ア、窒化アルミニウム等を用いると非常に高周波な周波
数特性を持つSAWデバイスが可能である。
【0007】また、近年の移動体通信においては、デジ
タル通信、衛生放送や携帯電話などマイクロ波を使った
機器の普及が著しい。中でも携帯電話に代表される移動
通信サービスの需要拡大に伴い通信容量確保のため高周
波化が図られている。このような移動体通信の高周波
化、デジタル化の結果、弾性表面波装置としては、高周
波かつ広帯域特性が必要なデジタル方式に対応する特性
が要求される。
【0008】なお、特開平5−145370号公報に
は、圧電基板を構成するPZTバルクセラミックの平均
粒径が小さいもので1.3μmの表面波装置が記載され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来の一
般的なマイクロ波帯の弾性表面波装置においては、所望
の共振周波数を得るためには、櫛形電極の電極間隔をサ
ブミクロン単位まで加工する必要があるが、微細パター
ンの電極形成には極めて高度なプロセスが要求される。
このため、所望の共振周波数の実現は、櫛形電極の微細
加工技術の向上如何により、技術的に限界があった。ま
た、櫛形電極の微細加工は、製造効率及び製造コストの
面で不利である。
【0010】また、上述の如く、移動体通信の高周波
化、デジタル化の結果、弾性表面波装置としては、高周
波かつ広帯域特性が必要なデジタル方式に対応する特性
が必要とされる。
【0011】なお、特開平5−145370号公報に示
されるように、平均粒径が小さいもので1.3μmであ
るようなものでは、弾性表面波の波長が粒径に比べて十
分に大きい、低い周波数域においては、問題は発生しな
いが、弾性表面波装置の中心周波数がマイクロ波帯に至
る場合、櫛形電極のLine & Space及び波長
がサブμm又は数μmとなる。このため、このように粒
径が数μmの圧電基板を用いた場合、更に、粒界の不均
質がマイクロ波帯に至る弾性表面波装置では、大きな伝
搬損失となるという問題がある。
【0012】本発明は上記従来の問題点を解決し、櫛形
電極の微細加工を必要とすることなく所望の共振周波数
の高周波対応弾性表面波装置を提供することを目的とす
る。
【0013】本発明はまた、この微細加工技術を用い
て、特に、SHF帯域で、広帯域な周波数特性をもつ弾
性表面波装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の弾性表面波装置
は、単結晶又は多結晶基板と、該基板上に形成されたP
ZT薄膜よりなる圧電体薄膜とを備え、このPZT薄膜
は、好ましくはゾル・ゲル法により形成された薄膜であ
ることを特徴とする。
【0015】また、該圧電体薄膜が該基板上に形成され
た誘電体薄膜のバッファー層上に形成されていることを
特徴とする。
【0016】本発明では、他の圧電材料に比べ、電気機
械結合係数k2 が大きく、かつQ値の大きい、温度特性
の良好なPZTを薄膜化し、更に、高音速、高安定基板
上に成膜することにより、マイクロ波帯域に対応し、広
帯域な高安定の弾性表面波装置を実現できる。
【0017】特に、単結晶基板に半導体でもある単結晶
Si等を用いると、モノリシック集積化が図れ、小型、
高性能な弾性表面波装置が形成できる。
【0018】このように、弾性表面波装置の圧電体薄膜
としてPZT薄膜を用いることで、これからますます広
がるデジタル通信にはなくてはならない広帯域で高周波
対応かつ、温度特性の良好な弾性表面波装置を実現する
ことが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の弾性表面波装置の
実施の形態を説明する。
【0020】本発明において、単結晶又は多結晶基板の
材質としてサファイア,MgO,SrTiO3 ,Siな
どを用いることができる。これらのうち、特に、単結晶
サファイア、単結晶Siが望ましい。
【0021】また、櫛形電極を構成する導電性膜として
は、Al,Pt,Au,Ag,Cu等を主成分とする膜
を用いることができる。これらのうち、特にAlを主成
分とする膜が望ましい。
【0022】単結晶又は多結晶基板上の圧電体薄膜は、
ゾルゲル法により成膜した厚さ5μm以下のPZT薄膜
を、この薄膜上の櫛型電極間に電界をかけて分極処理す
ることにより形成される。
【0023】即ち、酢酸鉛等のカルボン酸鉛、ジイソプ
ロポキシ鉛などの鉛アルコキシド等の鉛化合物;テトラ
エトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニ
ウム、テトラブトキシジルコニウム、ジメトキシジイソ
プロポキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシド
等のジルコニウム化合物;及びテトラエトキシチタン、
テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、
ジメトキシジイソプロポキシチタン等のチタンアルコキ
シド等のチタン化合物を、2−メトキシエタノール等の
溶剤に、所定のモル比で、かつ、金属酸化物換算の合計
濃度が10〜20重量%程度となるように溶解して得ら
れたPZT薄膜形成用組成物を、基板上にスピンコータ
等により塗布して400〜600℃で乾燥する。この塗
布、乾燥を所望の膜厚のPZT薄膜が得られるまで繰り
返し、最後に600〜700℃で1分〜1時間焼成して
PZT薄膜を得る。
【0024】このようにして形成されるPZT薄膜の膜
厚は、所望とする共振周波数や電気機械結合係数等に応
じて適宜設定されるが、通常の場合、5μm以下とされ
る。この膜厚が5μmを超えると膜質等の欠陥等による
伝搬損失が問題となる。PZT薄膜の膜厚は、特に0.
03〜5μmの範囲であることが伝搬損失等を考慮する
と望ましい。
【0025】本発明においては、このようなPZT薄膜
を、基板上に形成したバッファー層上に形成しても良
い。
【0026】PZT薄膜よりなる圧電体薄膜をバッファ
ー層を介して基板上に形成した場合には、基板として安
価な単結晶Si基板を用いることも可能となる。即ち、
酸化膜付きSi基板であれば、表面が平滑であり、熱処
理時の元素の拡散も防止でき、かつ機械的強度も十分で
あることにより、ゾルゲル法により、良好な膜質のバッ
ファー層及びPZT薄膜を形成することができる。しか
して、単結晶Si基板上に誘電体薄膜のバッファー層を
介してPZT薄膜を形成する場合には、バッファー層の
鉛拡散防止作用により、PZT膜の鉛欠損が防止される
という効果が奏され、良好なPZT薄膜を形成すること
ができる。このバッファー層を形成しないと、SiにP
ZTの鉛が拡散するため、単結晶Si基板上にPZT薄
膜を形成することができない。
【0027】この場合、この酸化膜単結晶Si基板の酸
化膜の厚さは、薄過ぎると前記拡散防止効果が十分でな
く、厚過ぎるとクラックや基板のそりの原因となるた
め、通常の場合、厚さ100〜600μm程度の単結晶
Si基板に対して、酸化膜の厚さは0.3〜2.0μm
程度であることが好ましい。
【0028】バッファー層を設ける場合には、基板上
に、バッファー層を形成した後、PZT薄膜を形成し、
このPZT薄膜上に櫛形電極を形成し、この櫛形電極間
に電界をかけて分極処理することにより製造される。
【0029】このバッファー層としては、ゾルゲル法に
より形成された厚さ0.01〜2μmのチタン酸バリウ
ムストロンチウム(BST)、チタン酸ストロンチウム
(STO)又はチタン酸バリウム(BTO)等の誘電体
薄膜よりなるバッファー層が好ましい。バッファー層の
厚さは特に、0.01〜0.2μmの範囲であることが
望ましい。
【0030】バッファー層としてのBST、STO又は
BTO薄膜及びその上のPZT薄膜は、好ましくは次の
ようにして形成される。
【0031】まず、2−エチルヘキサン酸バリウム等の
カルボン酸バリウム等のバリウム化合物;2−エチルヘ
キサン酸ストロンチウム等のカルボン酸ストロンチウム
等のストロンチウム化合物;テトラエトキシチタン、テ
トライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジ
メトキシジイソプロポキシチタン等のチタンアルコキシ
ド等のチタン化合物;及び2−エチルヘキサン酸、2−
エチル酪酸等のカルボン酸を、酢酸イソアミル等の溶剤
に、所定のモル比で、かつ、金属酸化物換算の合計濃度
が0.5〜8重量%程度となるように溶解して得られた
BST、STO又はBTO薄膜形成用組成物を、基板上
にスピンコータ等により塗布して400〜600℃で乾
燥する。この塗布、乾燥を所望の膜厚の薄膜が得られる
まで繰り返し、その後、前記と同様にしてPZT薄膜形
成用組成物の塗布、乾燥を所望の膜厚のPZT薄膜が得
られるまで繰り返し、最後に600〜700℃で1分〜
1時間焼成してBST、STO又はBTO薄膜とPZT
薄膜を得る。
【0032】このようにして形成されるBST、STO
又はBTO薄膜の膜厚が、厚過ぎると圧電特性に影響を
及ぼし、薄過ぎると鉛拡散防止作用がなくなるため、さ
らにSiの導電性が弾性表面波へ大きく影響をおよぼす
ため、通常の場合、0.01〜2μm、特に0.01〜
0.2μmとするのが好ましい。バッファー層を形成す
る場合のPZT薄膜の膜厚も、前記と同様5μm以下、
特に0.03〜5μmが好ましい。
【0033】本発明において、このようなPZT薄膜よ
りなる圧電体薄膜の膜厚をH、当該弾性表面波装置で、
励振される弾性表面波の波長をλとしたとき、H/λが
0.01〜1の範囲となるようにするのがよい。
【0034】特に、サファイア基板上にPZT薄膜の圧
電体薄膜を形成した弾性表面波装置の場合、好ましいH
/λは次の通りである。
【0035】 弾性表面波の励振される、0次モード
において、広帯域特性を必要とする場合には、k2 の大
きい、0.063≦H/λ≦0.3、特に0.13≦H
/λ≦0.16が好ましく、また、狭帯域特性を必要と
する場合には、k2の小さい、0.058≦H/λ<
0.063、0.3<H/λ≦1が好ましい。膜厚のば
らつきに対して弾性表面波の音速を安定させるために
は、0.6≦H/λ≦1.0、特に0.75≦H/λ≦
1.0が好ましい。 弾性表面波の励振される、1次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.1
38≦H/λ≦0.83、特に0.27≦H/λ≦0.
4が好ましく、また、狭帯域特性を必要とする場合に
は、k2の小さい、0.1327≦H/λ<0.13
8、0.83<H/λ≦1が好ましい。 弾性表面波の励振される、2次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.3
7≦H/λ≦1、特に0.27≦H/λ≦0.4が好ま
しい。 弾性表面波の励振される、3次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.6
32≦H/λ≦1が好ましく、また、狭帯域特性を必要
とする場合には、k2 の小さい、0.587≦H/λ<
0.632が好ましい。
【0036】また、Si基板上にPZT薄膜の圧電体薄
膜を形成した弾性表面波装置の場合、好ましいH/λは
次の通りである。
【0037】 弾性表面波の励振される、0次モード
において、広帯域特性を必要とする場合には、k2 の大
きい、0.07≦H/λ≦0.1、0.22≦H/λ≦
1が好ましく、また、狭帯域特性を必要とする場合に
は、k2 の小さい、0.02≦H/λ<0.07が好ま
しい。膜厚のばらつきに対して弾性表面波の音速を安定
させるためには、0.4≦H/λ≦1.0、特に0.6
≦H/λ≦1.0が好ましい。 弾性表面波の励振される、1次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.0
5≦H/λ≦0.8、特に0.27≦H/λ≦0.4が
好ましく、また、狭帯域特性を必要とする場合には、k
2 の小さい、0.04≦H/λ<0.05、0.9<H
/λ≦1.0が好ましい。 弾性表面波の励振される、2次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.2
4≦H/λ≦1、特に0.3≦H/λ≦0.55が好ま
しい。 弾性表面波の励振される、3次モードにおいて、広
帯域特性を必要とする場合には、k2 の大きい、0.4
5≦H/λ≦1が好ましく、また、狭帯域特性を必要と
する場合には、k2 の小さい、0.33≦H/λ<0.
45が好ましい。
【0038】また、本発明において、PZT薄膜の結晶
粒の平均粒子径は、5000Å以下であることが好まし
く、特に50Å〜3000Åの均質性に優れたPZT薄
膜であることが望ましい。この平均粒径が50Å未満で
は、残留分極の値が小さくなってしまう傾向があり好ま
しくない。また、極高周波帯の弾性表面波装置の場合に
おいて、PZT薄膜の粒径は弾性表面波の波長に比べ十
分に小さい必要があり、3000Åを超えると好ましく
ない。
【0039】基板上又は基板上のバッファー層上に形成
されたPZT薄膜の分極処理は、このPZT薄膜上に形
成した櫛形電極に20〜50VのDC電圧を1〜60分
間印加することにより行うことができる。ここで、十分
な分極処理をすることで圧電体薄膜として機能するよう
になるが、上記のPZT薄膜の膜質が不十分だと分極処
理の電界を十分にかけられず、圧電体薄膜として機能し
ないことになる。
【0040】本発明において、このようなPZT薄膜上
に形成される櫛形電極は、Al等の導電性材料により常
法に従って所望の特性に応じた線幅及び間隔(Line
&Space、以下「L・S」と略記する。)でパタ
ーン形成される。
【0041】なお、本発明の弾性表面波装置は、圧電体
薄膜としてPZT薄膜を形成することにより、このよう
に櫛形電極の微細加工を行うことなく、所望の共振周波
数を有する数GHz帯域(UHF帯域)の弾性表面波装
置を実現するものであるが、櫛形電極をサブミクロン単
位まで微細加工しても良く、これにより、更に高周波の
SHF帯域の電磁波領域に対応可能な弾性表面波装置を
実現することができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。
【0043】実施例1〜3 表面を鏡面研磨仕上げしたサファイア(5cm×5cm
×0.7mm厚さ)を単結晶基板として用い、この単結
晶基板の表面にゾルゲル法により膜厚0.8μmのPZ
T薄膜を形成した。
【0044】PZT薄膜の形成には、下記組成のPZT
薄膜形成用組成物を用い、これをスピンコータにより塗
布して400℃で乾燥し、この塗布、乾燥を繰り返し行
った後、最後に600℃で1時間焼成した。
【0045】PZT薄膜形成用組成物(金属酸化物換算
の合計濃度:20重量%) 酢酸鉛:23.985重量% テトラブトキシジルコニウム:11.455重量% イソプロポキシチタニウム:7.842重量% 2−メトキシエタノール:残部 その後、図1に示すパターンのAl膜よりなる櫛形電極
(L・Sは表1に示す通り)を形成した後、PZT薄膜
の分極処理を行った。
【0046】この分極処理は、櫛形電極の1a,1b
間,2a,2b間に各々DC電圧(30V)を10分間
かけて行った。
【0047】この弾性表面波装置は、電極1a,1bに
電気信号を印加することによって、圧電現象によって表
面に歪みが生じ弾性表面波が励振される。そして、電極
2a,2bの周期が弾性表面波の波長の半分に一致する
とき、弾性表面波が強く励振され弾性表面波装置として
動作する。
【0048】この弾性表面波装置の電極1a,1bに電
気信号を印加し、電極2a,2bから出力された信号を
計測したところ、各々、表1に示す値に基本モードであ
る共振周波数が出力された。
【0049】
【表1】
【0050】実施例4,5 表面に酸化膜が形成された単結晶Si基板(直径4イン
チ×250μm厚さ;酸化膜厚さ1μm)を単結晶基板
として用い、この単結晶基板の表面にゾルゲル法により
膜厚0.15μmのBST薄膜と膜厚0.8μmのPZ
T薄膜を順次形成した。
【0051】BST薄膜の形成には、下記組成のBST
薄膜形成用組成物を用い、これをスピンコータにより塗
布して400℃で乾燥し、この塗布、乾燥を繰り返し行
った後、最後に650℃で1時間焼成した。
【0052】BST薄膜形成用組成物(金属酸化物換算
の合計濃度:7重量%) 2−エチルヘキサン酸バリウム:9.514重量% 2−エチルヘキサン酸ストロンチウム:3.598重量
% テトライソプロポキシチタン:9.205重量% 2−エチルヘキサン酸:18.50重量% 酢酸イソアミル:残部 PZT薄膜の形成には、下記組成のPZT薄膜形成用組
成物を用い、これをスピンコータにより塗布して400
℃で乾燥し、この塗布、乾燥を繰り返し行った後、最後
に650℃で1時間焼成した。
【0053】PZT薄膜形成用組成物(金属酸化物換算
の合計濃度:20重量%) 酢酸鉛:23.985重量% テトラブトキシジルコニウム:11.455重量% テトライソプロポキシチタン:7.842重量% 2−メトキシエタノール:残部 その後、図1に示すパターンのAl膜よりなる櫛形電極
(L・Sは表2に示す通り)を形成した後、PZT薄膜
の分極処理を行った。
【0054】この分極処理は、櫛形電極の1a,1b
間,2a,2b間に各々DC電圧(30V)を10分間
かけて行った。
【0055】この弾性表面波装置は、電極1a,1bに
電気信号を印加することによって、圧電現象によって表
面に歪みが生じ弾性表面波が励振される。そして、電極
2a,2bの周期が弾性表面波の波長の半分に一致する
とき、弾性表面波が強く励振され弾性表面波装置として
動作する。
【0056】この弾性表面波装置の電極1a,1bに電
気信号を印加し、電極2a,2bから出力された信号を
計測したところ、各々、表2に示す値に基本モードであ
る共振周波数が出力された。
【0057】実施例6〜8 バッファー層の形成に当り、下記組成のSTO薄膜形成
用組成物を用い、バッファー層として膜厚0.15μm
のSTO薄膜を形成したこと以外は実施例4,5と同様
にして、表2に示すL・Sの櫛形電極を有する弾性表面
波装置を作製した。
【0058】STO薄膜形成用組成物(金属酸化物換算
の合計濃度:7重量%) 2−エチルヘキサン酸ストロンチウム:14.269重
量% テトライソプロポキシチタン:10.950重量% 2−エチルヘキサン酸:22.015重量% 酢酸イソアミル:残部 この弾性表面波装置は、電極1a,1bに電気信号を印
加することによって、圧電現象によって表面に歪みが生
じ弾性表面波が励振される。そして、電極2a,2bの
周期が弾性表面波の波長の半分に一致するとき、弾性表
面波が強く励振され弾性表面波装置として動作する。
【0059】この弾性表面波装置の電極1a,1bに電
気信号を印加し、電極2a,2bから出力された信号を
計測したところ、各々、表2に示す値に基本モードであ
る共振周波数が出力された。
【0060】実施例9,10 バッファー層の形成に当り、下記組成のBTO薄膜形成
用組成物を用い、バッファー層として膜厚0.15μm
のBTO薄膜を形成したこと以外は実施例4,5と同様
にして、表2に示すL・Sの櫛形電極を有する弾性表面
波装置を作製した。
【0061】BTO薄膜形成用組成物(金属酸化物換算
の合計濃度:7重量%) 2−エチルヘキサン酸バリウム:12.722重量% テトライソプロポキシチタン:8.616重量% 2−エチルヘキサン酸:17.31重量% 酢酸イソアミル:残部 この弾性表面波装置は、電極1a,1bに電気信号を印
加することによって、圧電現象によって表面に歪みが生
じ弾性表面波が励振される。そして、電極2a,2bの
周期が弾性表面波の波長の半分に一致するとき、弾性表
面波が強く励振され弾性表面波装置として動作する。
【0062】この弾性表面波装置の電極1a,1bに電
気信号を印加し、電極2a,2bから出力された信号を
計測したところ、各々、表2に示す値に基本モードであ
る共振周波数が出力された。
【0063】
【表2】
【0064】なお、上記実施例においては、圧電体薄膜
上に形成された対局する櫛形電極間において分極方向が
互い違いになっていることから、分極方向が櫛形電極に
対して一方向の場合に対して周期が半分となっている。
【0065】実施例11〜28 実施例1のPZT薄膜/サファイア基板及び実施例4の
PZT薄膜/BST薄膜/Si基板の製造において、H
/λが表3に示す値となるように設計し、得られた弾性
表面波装置の各モードにおける中心周波数及びk2 を調
べ、結果を表3に示した。
【0066】表3より、本発明に好適なH/λの範囲が
前述の通りであることがわかる。
【0067】
【表3】
【0068】なお、実施例1〜28において、各基板の
PZT薄膜の表面と電子顕微鏡写真により観察したとこ
ろ、いずれの場合も図2〜5に示すように粒界が均質
で、結晶粒の大きさ(平均粒子径)は表1〜3に示す通
り、約2000Åであった。X線回析の結果から、この
PZT薄膜は、強誘電体薄膜であるペロブスカイトの単
一相からなるものであることが確認された。
【0069】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の弾性表面波
装置によれば、櫛形電極の電極間隔を従来よりも大きく
とって、サブミクロン単位までの加工を必要とすること
なく、従って、高度なプロセスを採用することなく、U
HF帯の弾性表面波装置を提供することができる。
【0070】更に、サブミクロン単位まで加工した櫛形
電極を形成することで、マイクロ波帯域で、広帯域な周
波数特性をもつ弾性表面波装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製した弾性表面波装置の櫛形電極パ
ターンを示す平面図である。
【図2】実施例1〜3及び実施例11〜19のPZT/
サファイアの電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例6〜8のPZT/STO/Siの電子顕
微鏡写真である。
【図4】実施例4,5及び実施例20〜28のPZT/
BST/Siの電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例9,10のPZT/BTO/Siの電子
顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1a,1b,2a,2b 櫛形電極

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶基板又は多結晶基板と、該基板上
    に形成された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜上に形成され
    た電極とを備えてなる弾性表面波装置において、該圧電
    体薄膜がチタン酸ジルコン酸鉛薄膜よりなることを特徴
    とする弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該チタン酸ジルコン
    酸鉛薄膜はゾルゲル法により形成された薄膜であること
    を特徴とする弾性表面波装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、該圧電体薄膜
    は、前記基板上に形成された誘電体薄膜のバッファー層
    上に形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、該バッファー層は、
    チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸ストロンチ
    ウム又はチタン酸バリウムの薄膜であることを特徴とす
    る弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において、該バッファー
    層はゾルゲル法により形成された薄膜であることを特徴
    とする弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、前記圧電体薄膜の膜厚をH、当該弾性表面波装置で
    励振される弾性表面波の波長をλとしたとき、H/λが
    0.01〜1の範囲であることを特徴とする弾性表面波
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項におい
    て、前記圧電体薄膜の膜厚が0.03〜5μmであるこ
    とを特徴とする弾性表面波装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項におい
    て、該電極は櫛形電極であり、該櫛型電極間に電界をか
    け、前記チタン酸ジルコン酸鉛薄膜を分極処理すること
    により圧電体薄膜とされていることを特徴とする弾性表
    面波装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項におい
    て、前記圧電体薄膜は結晶粒の平均粒子径が5000Å
    以下の、均質性に優れたチタン酸ジルコン酸鉛薄膜より
    なることを特徴とする弾性表面波装置。
JP8449397A 1996-10-23 1997-03-18 弾性表面波装置 Withdrawn JPH10200371A (ja)

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JP28078596 1996-10-23
JP30304796 1996-11-14
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100371573B1 (ko) * 1999-02-08 2003-02-06 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 전극 패턴을 피복하는 수지막을 갖는 표면탄성파 장치
US6538359B1 (en) 1999-03-24 2003-03-25 Yamaha Corporation Surface acoustic wave device

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