JP2001185984A - 積層型フィルタ - Google Patents

積層型フィルタ

Info

Publication number
JP2001185984A
JP2001185984A JP36687399A JP36687399A JP2001185984A JP 2001185984 A JP2001185984 A JP 2001185984A JP 36687399 A JP36687399 A JP 36687399A JP 36687399 A JP36687399 A JP 36687399A JP 2001185984 A JP2001185984 A JP 2001185984A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
output
electrode
input
piezoelectric body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP36687399A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP36687399A priority Critical patent/JP2001185984A/ja
Publication of JP2001185984A publication Critical patent/JP2001185984A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的に信頼性が高く、高周波数に対応でき、
帯域幅の広い積層型BAWフィルタを提供する。 【解決手段】振動空間Aを有する基体1上に、前記振動
空間Aを被覆するように出力電極2、出力用圧電体3、
接地電極4、入力用圧電体5、入力電極6が順次積層さ
れてなる積層型フィルタにおいて、出力用圧電体3およ
び入力用圧電体5が強誘電体からなり、入力用圧電体3
および/または出力用圧電体5が分極方向の異なる圧電
体3a、3bの積層体からなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話や無線L
AN等に用いられる積層型フィルタに関するもので、特
に、圧電体の厚み縦振動の共振を利用した積層型フィル
タに関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、無線通信や電気回路に用いられる周
波数の高周波数化が進んでおり、これに伴って、これら
の電気信号に対して用いられるフィルタも高周波数に対
応したものが要求され、開発が行われている。
【0003】最近は、特に、バルク・アコースティック・
ウェーブ・レゾネーター(BAWR)と呼ばれる共振子
を利用したフィルタの開発が進められている。これは、
入力される高周波電気信号に対して、圧電体薄膜が振動
を起こし、その振動が、薄膜の厚さ方向に共振を起こす
ことを用いた共振子であり、これを複数並べることによ
り、GHz領域の高い共振周波数に対応したフィルタが
期待されている。
【0004】特に、積層型BAWフィルタはSCF(St
acked Crystal Filter)とも呼ばれ、図5に示すよう
に、基体41と、該基体41表面上の振動空間に面する
ように形成された出力電極42と、該出力電極42上に
形成された出力用圧電体43と、該出力用圧電体43上
に形成された接地電極44と、該接地電極44上に形成
された入力用圧電体45と、該入力用圧電体45上に形
成された入力電極46とからなるものである(例えばIE
EE TRANSACTION ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,
vol. 41, No.6/7, pp.1075-1080, 1993参照)。
【0005】ここで、基体41はGaAsからなり、出
力電極42、接地電極44および入力電極46は、Al
とTiとの積層膜からなり、また、出力用圧電体43お
よび入力用圧電体45はAlNからなっている。なお、
出力電極42、接地電極44および入力電極46は、外
部との電気的接続を行うために、それぞれ引き出し電極
が形成されて接続されている。
【0006】そして、フィルタは、入力電極46と接地
電極44とで入力用圧電体45を挟持してなる入力振動
体47と、出力電極42と接地電極44とで出力用圧電
体43を挟持してなる出力用振動体48とから構成され
ており、換言すれば、2組の圧電薄膜振動子が上下に当
接して形成されている。この2つの振動体47、48
は、互いに音響的に結合されているため、高周波からな
る入力信号に対して入力振動体が振動すると、その振動
が一定の周波数の時にのみ出力振動体48が振動し、特
定の周波数を取り出すことができる。
【0007】したがって、積層型BAWフィルタによ
り、高周波数に対応した小型化のフィルタを得ることが
可能であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記文
献の積層型BAWフィルタでは、出力用圧電体43と入
力用圧電体45とが、電気機械結合係数が小さいAlN
で構成されているため、フィルタの帯域幅が狭く、選択
できる周波数領域が狭いという問題があった。
【0009】そこで、AlNの代わりに電気機械結合係
数の高い強誘電体を用いれば良いが、積層型BAWフィ
ルタの厚みは、2μm程度と薄いため、振動空間A上に
形成された場合には、強度の低い強誘電体では薄膜にク
ラックが生じたり、破壊されるという問題があった。
【0010】また、強誘電体はAlNなどに比べて音速
が小さく、AlNを用いた積層型BAWフィルタと同程
度のフィルタ周波数を実現するためには、強誘電体の膜
みをAlNの厚みの半分以下にする必要があり、ますま
す機械的強度が小さくなるという問題があった。
【0011】また逆に、強誘電体の厚みを大きくして膜
全体の強度を高めた場合、厚み縦振動を用いるBAWフ
ィルタの共振周波数が低下し、その結果、フィルタとし
て対応できる周波数が低下してしまうという問題があっ
た。
【0012】したがって、本発明の目的は、機械的に信
頼性が高く、高周波数に対応でき、帯域幅の広い積層型
BAWフィルタを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型フィルタ
は、振動空間を有する基体上に、前記振動空間を被覆す
るように出力電極、出力用圧電体、接地電極、入力用圧
電体、入力電極が順次積層されてなる積層型フィルタに
おいて、前記出力用圧電体および前記入力用圧電体が強
誘電体からなり、前記入力用圧電体および/または前記
出力用圧電体が分極方向の異なる複数の圧電体の積層体
からなることを特徴とするもので、これにより広帯域な
積層型BAWフィルタを実現し、かつ、フィルタの膜み
を大きくしても周波数を低下することなく、機械的強度
を高めることができる。
【0014】特に、前記複数の圧電体の各々の厚みが、
1μm以下であることが好ましく、GHz帯の周波数に
対応することができる。
【0015】さらに、強誘電体の厚み縦振動モードの結
合係数が6%以上であることが好適であり、周波数の帯
域幅を広くすることができる。また、圧電体がPbZr
TiO3系および/またはPbTiO3系圧電材料からな
ることが好ましく、これによりさらに広帯域のフィルタ
を実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の積層型フィルタは、図1
に示すように、基体1上に振動空間Aに面するように、
出力電極2が設けられており、さらに、出力電極2上に
出力用圧電体3、接地電極4、入力用圧電体5および入
力電極6が順次設けられている。
【0017】そして、出力用圧電体3は、2つの圧電体
3a、3bと分極用電極2aから構成され、2つの圧電
体3a、3bとで分極用電極2aを挟持するように設け
られている。圧電体3aおよび3bは、図1に示した矢
印のように、互いに逆向きの分極方向を有している。
【0018】さらに、接地電極4と入力電極6で入力用
圧電体5を挟持して入力用振動体7が形成されており、
また一方では、出力電極2と接地電極4とで出力用圧電
体3を挟持するように出力振動体8が形成されている。
【0019】このような構成の積層型フィルタの入力電
極6に印加した高周波信号に対して、入力用振動体7が
振動する。そして、特定の周波数の場合において、出力
用振動体8が共振し、出力電極2に出力が得られる。こ
のとき、出力用振動体8における圧電体3aおよび3b
は、それぞれ半波長の定在波が形成されており、その周
波数は圧電体3aまたは3bの膜厚により決定される。
【0020】本発明に用いられる圧電体は、強誘電体で
あることが重要である。すなわち、強誘電体ではない典
型的な圧電体であるZnO、AlNにおいては外部電界
による分極反転は不可能であり、実質上分極の制御は困
難である。しかし、圧電体が強誘電体であれば、分極軸
の向きを分極用電極を用いて容易に逆向きにできるた
め、分極方向の異なる圧電体を積層させることにより、
各圧電体に半波長の定在波を固定させることができる。
なお、接地電極4を挟む入力用圧電体5と圧電体3aと
の分極方向は、同一でも反対でもかまわない。しかし、
損失を考慮すると、図1に矢印で示したように、分極方
向はお互いに反対であることが好ましい。
【0021】したがって、図1のように、出力用圧電体
3の厚さが入力用圧電体5の厚さの2倍(または整数
倍)であっても、GHz帯という高周波での共振が可能
となり、その結果、フィルタとして帯域幅を広く取るこ
とができ、また、厚さを大きくできるので機械的信頼性
を改善することができる。すなわち、出力用圧電体3
は、2層の圧電体3a、3bからなる積層体となってお
り、図5の従来構造に比べて同じ周波数を得ながら、し
かもフィルタ全体の厚みが大きい分だけフィルタの強度
を向上でき、安定した動作を得ることができ、また寿命
も長くすることができる。
【0022】また、それぞれ一定方向に分極された複数
の圧電体厚みが、各々1μm以下であることが好まし
い。すなわち、図1における圧電体3a、3bおよび入
力用圧電体5の膜厚が1μm以下であることが好まし
い。これは、圧電体の振動周波数が膜厚に依存するため
であり、膜厚が小さいほど周波数が大きくなり、膜厚が
大きくなると周波数が小さくなるからである。そして、
GHz帯でフィルタを使用されるためには、個々の圧電
体の膜厚を1μm以下にする必要がある。
【0023】さらに、各々の圧電体の膜厚が略同一であ
ることが望ましい。図1においては、圧電体3a、3b
および入力用圧電体5の膜厚が略同一になることが望ま
しい。これは、フィルタとして使用される周波数が入力
用圧電体の膜厚で決まり、効率よく出力用圧電体が共振
するためには、出力用圧電体の各々の層厚が入力用圧電
体の厚さと等しいとき最も効率よく共振するからであ
る。
【0024】圧電体は、厚み縦振動の電気機械結合係数
が6%以上であることが好ましく、それを実現するため
には、圧電体材料にPbZrTiO3系および/または
PbTiO3系圧電材料を用いることが望ましい。Pb
ZrTiO3系圧電材料は、電気機械結合係数が大き
く、また、抗電界が比較的小さい為、分極を効率よく行
うことができるため、大きな電気機械結合係数が容易に
得られ、広帯域なフィルタを実現できる。また、PbT
iO3系圧電材料は、電気機械結合係数はPbZrTi
3系圧電材料に比べ若干小さいものの、フィルタの挿
入損失を左右する機械的品質係数が大きく、広帯域で低
損失なフィルタを実現できる。
【0025】PbZrTiO3系および/またはPbT
iO3系圧電材料からなる出力用圧電体3a、3bおよ
び入力用圧電体5は、高周波マグネトロンスパッタ法等
の気相成膜法やゾルゲル法等の溶液法で形成できる。
【0026】出力電極2、分極用電極2a、接地電極4
および入力電極6には、付着強度の点でAl、Ptまた
はAuが望ましい。また圧電体膜形成の容易さの点で、
PtまたはAuが特に好ましい。出力電極2、分極用電
極2a、接地電極4および入力電極6の膜厚は、フィル
タ周波数に影響を小さくするとともに、導電性を確保す
るために、20〜300nmの範囲とすることが望まし
い。また、電気抵抗と質量負荷効果を考慮すると、特に
50〜200nmが望ましい。なお、電極材料と圧電体
材料との密着性を向上するために、5〜50nm、特に
10〜30nmの膜厚で、Tiなどの密着層を電極材料
と圧電材料との間に形成しても差し支えない。
【0027】出力電極2、分極用電極2a、接地電極4
および入力電極6は、高周波マグネトロンスパッタ法等
の気相成膜法により形成できる。
【0028】基体1は、砒化ガリウム(単結晶)、シリ
コンまたはサファイアなどであり、基体1表面に形成す
る圧電体の表面が平滑になるために、十分な平坦度と表
面粗さ、例えば1μm以下の平坦度とRa0.1μm以
下の表面粗さを保有していれば、特に材料を限定するも
のではない。
【0029】また、基体1は、KOH等を用いた化学的
エッチング法や、反応性イオンエッチング法等を用いた
エッチングにより、振動空間Aが設けられている。な
お、基体1の振動空間Aとは、出力用振動体8の振動を
基体1に伝達しないための空間を言い、基体1に貫通孔
を形成したり、基体1の出力電極2を形成する部分に凹
状の窪みを形成したりすることにより作製される。
【0030】以上のように構成された本発明の積層型フ
ィルタでは、入力用圧電体および/または出力用圧電体
を、分極軸の向きが互いに逆方向の2層以上の強誘電体
からなる積層体とすることにより、フィルタの厚みが大
きくなっても、低損失で広帯域な高周波用フィルタが実
現でき、フィルタの機械的強度を改善できる。
【0031】図2は本発明の他の例を示すものであり、
基体11上に振動空間Aに面するように、出力電極12
が設けられており、さらに、出力電極12上に出力用圧
電体13、接地電極14、入力用圧電体15および入力
電極16が順次設けられている。ここで、出力電極1
2、接地電極14および入力電極16は、外部との電気
的接続を行うために、それぞれ引き出し電極が形成され
て接続されている。
【0032】そして、出力用圧電体13は、3つの圧電
体13a、13bおよび13cと、2つの分極用電極1
2aおよび12bから構成されている。圧電体13a、
13bおよび13cは、図2に示した矢印のように、互
いに逆向きの分極方向を有している。なお、入力用圧電
体15は、接地電極14を挟んだ圧電体13aと逆向き
の分極方向を有している。また、出力用圧電体13を構
成する3つの圧電体13a、13bおよび13cと入力
用圧電体15の厚さは、それぞれ1μm以下であること
が好ましい。
【0033】さらに、接地電極14と入力電極16で入
力用圧電体15を挟持して入力用振動体17が形成され
ており、また一方では、出力電極12と接地電極14と
で出力用圧電体13を挟持するように出力振動体18が
形成されている。
【0034】出力用振動体13は、3層の積層体となっ
ており、フィルタ全体の厚みが大きくなっているため、
図1の2層の場合と同じ周波数を得ながら、しかもフィ
ルタの強度をさらに向上することができる。
【0035】図3は本発明のさらに他の例を示すもので
あり、基体21上に振動空間Aに面するように、出力電
極22が設けられており、さらに、出力電極22上に出
力用圧電体23、接地電極24、入力用圧電体25およ
び入力電極26が順次設けられている。ここで、出力電
極22、接地電極24および入力電極26は、外部との
電気的接続を行うために、それぞれ引き出し電極が形成
されて接続されている。
【0036】そして、入力用圧電体25は、2つの圧電
体25aおよび25bと分極用電極26aから構成され
ている。圧電体25aおよび25bは、図3に示した矢
印のように、互いに逆向きの分極方向を有している。な
お、出力用圧電体23は、接地電極24を挟んだ圧電体
25bと逆向きの分極方向を有している。
【0037】さらに、接地電極24と入力電極26で入
力用圧電体25を挟持して入力用振動体27が形成され
ており、また一方では、出力電極22と接地電極24と
で出力用圧電体23を挟持するように出力振動体28が
形成されている。ここで、入力用圧電体25は2層の圧
電体25aおよび25bの積層体で、出力用圧電体23
は1層であり、図1のフィルタと同様に、低損失で広帯
域な高周波用フィルタが実現でき、フィルタの機械的強
度を改善できる 図4は本発明のさらに他の例を示すものであり、基体3
1と、該基体31表面上の振動空間に面するように出力
電極32が設けられており、さらに、出力電極32上に
出力用圧電体33、接地電極34、入力用圧電体35お
よび入力電極36が順次設けられている。ここで、出力
電極32、接地電極34および入力電極36は、外部と
の電気的接続を行うために、それぞれ引き出し電極が形
成されて接続されている。
【0038】そして、入力用圧電体35は、2つの圧電
体35aおよび35bと分極用電極36aから構成され
ており、出力用圧電体33は、3つの圧電体33a、3
3bおよび33cと分極用電極32aおよび32bから
構成されている。また、圧電体33a、33b、33
c、35aおよび35bは、図4に示した矢印のよう
に、互いに逆向きの分極方向を有している。
【0039】さらに、接地電極34と入力電極36で入
力用圧電体35を挟持して入力用振動体37が形成され
ており、また一方では、出力電極32と接地電極34と
で出力用圧電体33を挟持するように出力振動体38が
形成されている。入力用圧電体35は、2層の圧電体3
5aおよび35bの積層体からなり、出力用圧電体33
は3層の圧電体33a、33bおよび33cの積層体か
らなり、全体で5層の圧電体を有し、さらに一層機械強
度にすぐれた高周波域のフィルタを実現できる。
【0040】
【実施例】実施例1 図1に示す積層型BAWフィルタを作製した。まず、S
i基板の両面に、減圧CVD法により窒化珪素膜(以後
SN膜という)を形成した。この基体1上に、出力電極
2を形成した。RFマグネトロンスパッタ法によりTi
を形成し、その上にAu膜を形成した。すなわち、Ti
はRFパワー300W、Auは100Wで、Arをスパ
ッタガスとして基板温度500℃で作製した。Ti、A
uの膜厚は各々30nm、150nmであり、このA
u、Ti電極をフォトリソグラフ法と化学的エッチング
法により、所望の形状に加工した。
【0041】次に、作製したTi、Au膜の上に、圧電
体3bとしてPbZrTiO3膜をゾルゲル法により、
以下のように形成した。
【0042】1mol/l濃度ゾルゲル溶液をスピンコ
ート法により塗布し、360℃で1分間熱処理してゲル
膜を作製した。塗布、熱処理を5回繰返した後、700
℃で4分間焼成した。溶液塗布、熱処理によるゲル膜形
成工程をさらに5回繰り返し、700℃で5分間焼成し
た。得られたPbZrTiO3の膜厚は700nmであ
った。
【0043】ゾルゲル溶液は、以下のように作製した。
酢酸Pb無水物、Zrイソプロポキシド、Tiイソプロ
ポキシドを出発原料とし、2−メトキシエタノールを溶
媒として作製した。Zr、Ti原料を、溶媒の2−メト
キシエタノールと混合、溶解し、1mol/l濃度のZ
r、Ti溶液を作製した。所望の組成比でZr及びTi
溶液を混合し、酢酸鉛と溶媒を混合し、124℃で2時
間還流処理を行った。室温へ冷却後、所定量のアセチル
アセトンを添加・混合してゾルゲル溶液を作製した。
【0044】次に、フォトリソグラフ法と化学エッチン
グ法により、圧電体3bを所望の形状に加工した。そし
て、圧電体3bの上に、分極電極2aとしてTiとAu
をRFマグネトロンスパッタ法により形成し、フォトリ
ソグラフ法と化学的エッチング法により、所望の形状に
加工した。スパッタ条件は、それぞれRFパワー300
Wと100Wで、Arをスパッタガスとして基板温度3
00℃で作製した。膜厚はTiが10nm、Auが50
nmである。
【0045】さらに、分極電極2aの上に、ゾルゲル法
によりPbZrTiO3膜からなる圧電体3aを作製し
た。作製条件は圧電体3bと同様である。次いで、圧電
体3aをフォトリソグラフ法と化学エッチング法によ
り、所望の形状に加工した。
【0046】次に、圧電体3aの上に、接地電極4とし
てTiとAuをRFマグネトロンスパッタ法により形成
し、フォトリソグラフ法と化学的エッチング法により、
所望の形状に加工した。スパッタ条件は、それぞれRF
パワー300Wと100Wで、Arをスパッタガスとし
て基板温度300℃で作製した。膜厚はTiが10n
m、Auが150nmである。
【0047】さらに、接地電極4の上に、ゾルゲル法に
よりPbZrTiO3膜からなる入力用圧電体5を作製
した。作製条件は圧電体3bと同様である。次いで、フ
ォトリソグラフ法と化学的エッチング法により、入力用
圧電体5を所望の形状に加工した。
【0048】最後に、入力用圧電体5の上に、入力電極
6としてAlをRFマグネトロンスパッタ法により形成
し、フォトリソグラフ法と化学的エッチング法により所
望の形状に加工した。スパッタ条件は、RFパワー30
0W、Arをスパッタガスとして基板温度100℃であ
る。膜厚は100nmである。
【0049】次に、電極、圧電体を形成加工した面と反
対の基板面に減圧CVDで形成した窒化珪素膜を、フォ
トレジスト法とRIEを用いてパターニングし、専用治
具を用いることによりKOH溶液によりSi基板をエッ
チング除去し、基体にビアホールを形成し、フィルタ構
造を作製した。
【0050】最後に、各圧電体3a、3b、5が互いに
逆方向の分極軸方向を示すように分極した。分極条件
は、80℃、DC電圧10V、10秒間である。
【0051】得られた積層型BAWフィルタのフィルタ
特性は、RFネットワークアナライザHP8719C
(ヒューレットパッカード社製)と、RFマイクロプロ
ーブを用い、S21の周波数特性を測定する事により評
価した。−3dBの周波数幅を帯域幅とした。また、機
械的強度は、4インチSiウエハ上に50個の素子を形
成し、破損せず、正常に作動した素子数で評価した。
【0052】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、75MHzの帯域幅が得られた。また、機械的強度
については、50素子中、破損した素子数は6個であ
り、44個のフィルタが得られた。 実施例2 図2に示す積層型フィルタを作製した。作製方法は実施
例1と同様であった。また、得られた積層型フィルタを
実施例1と同様に評価した。
【0053】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、73MHzの帯域幅が得られた。また、機械的強度
については、50素子中、破損した素子数は4個であ
り、46個のフィルタが得られた。 実施例3 図3に示す積層型フィルタを、PbTiO3を用いて作
製した。作製方法は実施例1と同様であった。また、得
られた積層型フィルタを実施例1と同様に評価した。
【0054】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、65MHzの帯域幅が得られた。また、機械的強度
については、50素子中、破損した素子数は5個であ
り、45個のフィルタが得られた。 実施例4 図4に示す積層型フィルタを作製した。作製方法は実施
例1と同様であった。また、得られた積層型フィルタを
実施例1と同様に評価した。
【0055】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、70MHzの帯域幅が得られた。また、機械的強度
については、50素子中、破損した素子数は1個であ
り、49個のフィルタが得られた。 比較例1 図5に示す従来の積層型フィルタを、AlNを用いて以
下のように作製した。まず、減圧CVD法でSi基板の
両面に形成した窒化珪素膜上に、出力電極42としてA
lをRFスパッタ法により形成し、フォトリソグラフ法
と化学的エッチング法により加工した。基板温度200
℃で、RFパワー300W,Arガスをスパッタガスと
して用いて成膜した。膜厚は100nmであった。
【0056】次に、RFマグネトロンスパッタ法によ
り、AlNを成膜し、出力用圧電体43を形成した。A
lターゲットを用い、基板温度は200℃、RFパワー
400W、Nガスをスパッタガスとして作製した。次い
で、フォトリソグラフ法と化学的エッチング法により、
出力用圧電体43を所望の形状に加工した後、接地電極
44としてAl膜を出力電極42と同様に形成した。
【0057】さらに、その上にRFマグネトロンスパッ
タ法によりAlNを出力用圧電体43と同様に成膜し、
入力用圧電体45を形成した後、出力電極46としてA
l膜を出力電極42と同様に形成した。
【0058】最後に、フォトリソグラフ法と、化学的エ
ッチング法により入力圧電体45を加工し、積層型フィ
ルタを作製した。また、得られた積層型フィルタを実施
例1と同様に評価した。
【0059】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、25MHzの帯域幅が得られた。また、機械的強度
については、50素子中、破損した素子数は1個であ
り、49個のフィルタが得られた。 比較例2 図5に示す積層型フィルタを、PbZrTiO3を用い
て作製した。すなわち、出力用圧電体43および入出力
用圧電体45としていずれも700nmの厚さのPbZ
rTiO3膜を形成し、出力電極42、接地電極44お
よび入力電極46としてTi、Au膜を形成した。作製
方法は実施例と同様に行った。また、得られた積層型フ
ィルタを実施例1と同様に評価した。
【0060】その結果、約2GHzでフィルタ特性を示
し、77MHzの帯域幅が得られた。しかし、機械的強
度については、50素子中、破損した素子数は47個で
あり、わずか3個のフィルタが得られた。 比較例3 図5に示す積層型フィルタを、PbZrTiO3を用い
て作製した。比較例2と同様な構造で、入力用圧電体4
5の厚さは700nmであるが、出力用圧電体43の厚
さを2000nmとした。また、得られた積層型フィル
タを実施例1と同様に評価した。
【0061】その結果、2GHzでのフィルタ特性を示
したが、40MHzの帯域幅しか得られなかった。ま
た、機械的強度については、50素子中、破損した素子
数は1個であり、49個のフィルタが得られた。
【0062】
【発明の効果】本発明の積層型フィルタは、音響結合型
の積層型フィルタにおいて、圧電体に強誘電体を用いる
と共に、分極軸方向が互いに逆向きの圧電体を積層する
ことにより、機械的に信頼性が高く、高周波数に対応で
き、帯域幅の広い積層型BAWフィルタを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型フィルタの構造を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の他の積層型フィルタの構造を示す断面
図である。
【図3】本発明のさらに他の積層型フィルタの構造を示
す断面図である。
【図4】本発明のさらに他の積層型フィルタの構造を示
す断面図である。
【図5】従来の積層型フィルタの構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・基体 2・・・出力電極 2a・・・分極用電極 3・・・出力用圧電体 3a、3b・・・圧電体 4・・・接地電極 5・・・入力用圧電体 6・・・入力電極 7・・・入力用振動体 8・・・出力用振動体 A・・・振動空間

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動空間を有する基体上に、前記振動空間
    を被覆するように出力電極、出力用圧電体、接地電極、
    入力用圧電体、入力電極が順次積層されてなる積層型フ
    ィルタにおいて、前記出力用圧電体および前記入力用圧
    電体が強誘電体からなり、前記入力用圧電体および/ま
    たは前記出力用圧電体が分極方向の異なる複数の圧電体
    の積層体からなることを特徴とする積層型フィルタ。
  2. 【請求項2】前記複数の圧電体の各々の厚みが、1μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の積層型フィ
    ルタ。
  3. 【請求項3】強誘電体の厚み縦振動モードの結合係数が
    6%以上であることを特徴とする請求項1乃至2のうち
    いずれかに記載の積層型フィルタ。
  4. 【請求項4】圧電体がPbZrTiO3系および/また
    はPbTiO3系圧電材料からなることを特徴とする請
    求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層型フィルタ。
JP36687399A 1999-12-24 1999-12-24 積層型フィルタ Pending JP2001185984A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36687399A JP2001185984A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 積層型フィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36687399A JP2001185984A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 積層型フィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001185984A true JP2001185984A (ja) 2001-07-06

Family

ID=18487906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36687399A Pending JP2001185984A (ja) 1999-12-24 1999-12-24 積層型フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001185984A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6975183B2 (en) 2001-10-08 2005-12-13 Infineon Technologies Ag BAW resonator having piezoelectric layers oriented in opposed directions
KR100537128B1 (ko) * 2001-09-21 2005-12-19 가부시끼가이샤 도시바 압전박막 공진기 및 그러한 공진기를 이용하는 주파수가변 공진기
KR100718095B1 (ko) 2005-12-19 2007-05-16 삼성전자주식회사 결합 공진 필터 및 그 제작 방법
KR100897707B1 (ko) 2006-08-31 2009-05-15 인피니언 테크놀로지스 아게 음향 공진기
US8824163B2 (en) 2010-09-15 2014-09-02 Samsung Electronics Co., Ltd. RF layered module using three dimensional vertical wiring and disposing method thereof
JP7492821B2 (ja) 2018-12-14 2024-05-30 コーボ ユーエス,インコーポレイティド 圧電デバイス内のバイポーラ境界領域

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100537128B1 (ko) * 2001-09-21 2005-12-19 가부시끼가이샤 도시바 압전박막 공진기 및 그러한 공진기를 이용하는 주파수가변 공진기
US6975183B2 (en) 2001-10-08 2005-12-13 Infineon Technologies Ag BAW resonator having piezoelectric layers oriented in opposed directions
KR100718095B1 (ko) 2005-12-19 2007-05-16 삼성전자주식회사 결합 공진 필터 및 그 제작 방법
KR100897707B1 (ko) 2006-08-31 2009-05-15 인피니언 테크놀로지스 아게 음향 공진기
US8824163B2 (en) 2010-09-15 2014-09-02 Samsung Electronics Co., Ltd. RF layered module using three dimensional vertical wiring and disposing method thereof
JP7492821B2 (ja) 2018-12-14 2024-05-30 コーボ ユーエス,インコーポレイティド 圧電デバイス内のバイポーラ境界領域

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7128941B2 (en) Method for fabricating film bulk acoustic resonator (FBAR) device
JP3903842B2 (ja) 圧電共振子、フィルタおよび電子通信機器
US7105980B2 (en) Saw filter device and method employing normal temperature bonding for producing desirable filter production and performance characteristics
US8018303B2 (en) Bulk acoustic wave device
US7737806B2 (en) Piezoelectric thin-film resonator and filter
US7482737B2 (en) Aluminum nitride thin film, composite film containing the same and piezoelectric thin film resonator using the same
JP2004515149A (ja) フィルタの、もしくはフィルタに関連する改善
KR20050021309A (ko) 압전 박막 공진자 및 그 제조 방법
JP2006510296A (ja) 電気音響共振器
WO2007119643A1 (ja) 圧電薄膜共振子、圧電薄膜デバイスおよびその製造方法
JP4836748B2 (ja) バルク音響波共振子及びフィルタ装置並びに通信装置
JP2008211392A (ja) 共振器及びその製造方法
JP3860695B2 (ja) 圧電共振子およびフィルタ
JP4186685B2 (ja) 窒化アルミニウム薄膜及びそれを用いた圧電薄膜共振子
JP2001044794A (ja) 圧電共振子
JP2001185984A (ja) 積層型フィルタ
JP4471443B2 (ja) 圧電共振子
JP2006340007A (ja) 薄膜バルク音響波共振子およびフィルタならびに通信装置
JP2005057707A (ja) 薄膜バルク音響共振子およびマイクロ電気機械システムデバイス
JP2001111371A (ja) ラダー型圧電セラミックフィルタの製造方法
JP2001156582A (ja) 圧電共振子
JP3723697B2 (ja) 圧電共振子
JP2002374145A (ja) 圧電薄膜共振子
JP2005236338A (ja) 圧電薄膜共振子
JP2002076822A (ja) 圧電薄膜フィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050506

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20051004