JP2005057707A - 薄膜バルク音響共振子およびマイクロ電気機械システムデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】犠牲層のエッチングプロセスが不要で製造工程を簡略化して製造可能で、エネルギー損失を抑制したFBARやMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】基板10上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜11が形成されており、その上層に弾性共振膜15が形成されている構成の薄膜バルク音響共振子とする。あるいは、基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、動作領域の両端部において基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜が形成されており、この弾性膜と基板の間隙に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されている構成のマイクロ電気機械システムデバイスとする。
【選択図】図1
【解決手段】基板10上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜11が形成されており、その上層に弾性共振膜15が形成されている構成の薄膜バルク音響共振子とする。あるいは、基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、動作領域の両端部において基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜が形成されており、この弾性膜と基板の間隙に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されている構成のマイクロ電気機械システムデバイスとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、薄膜バルク音響共振子(FBAR:Thin Film Bulk Acoustic Wave Resonators )およびマイクロ電気機械システム(MEMS:Micro Elecrto Mechanic Systems)デバイスに関するものである。
電子デバイスの分野において、無線通信や電気回路における周波数の高周波数化が進とともに、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などに代表される携帯端末やICカードのように厚みの非常に薄い部品を要求する製品が出現しており、部品の小型化および薄型化が強く求められ、それらの開発が現在活発に行われている。
上記の電子デバイスの中で、特に圧電共振子としては、小型化・薄肉化が可能で、かつ高周波に対応した薄膜バルク音響共振子(FBAR)の開発が進められている。
上記の電子デバイスの中で、特に圧電共振子としては、小型化・薄肉化が可能で、かつ高周波に対応した薄膜バルク音響共振子(FBAR)の開発が進められている。
従来のFBARとしては、大きく分けて2つの形成方法が知られている。
まず、非特許文献1には、図6に示すように、シリコン基板100に凹部100aが形成されており、この凹部100aを埋め込まないように、凹部100a領域を被覆してシリコン基板100上に、下部電極101、圧電膜102および上部電極103からなり、振動子として機能する積層体が形成され、凹部100aの表面と下部電極101の下面から振動空間Vが構成されてなるFBARが開示されている。
まず、非特許文献1には、図6に示すように、シリコン基板100に凹部100aが形成されており、この凹部100aを埋め込まないように、凹部100a領域を被覆してシリコン基板100上に、下部電極101、圧電膜102および上部電極103からなり、振動子として機能する積層体が形成され、凹部100aの表面と下部電極101の下面から振動空間Vが構成されてなるFBARが開示されている。
ここで、シリコン基板100の振動空間Vとは、振動子の振動をシリコン基板100に伝達させないようにするための空間であり、振動空間Vの存在により変位が空間側に伝達されずに振動子側へ反射し、特に振動子内において定在波条件を満たす場合には共振状態となる。
上記の構成のFBARを形成する方法としては、例えばシリコン基板100に凹部100aを形成し、凹部100a内に酸化シリコンを埋め込んで犠牲層を形成し、シリコン基板100上にもかかるように、犠牲層の上層に下部電極101、圧電膜102および上部電極103を積層させる。次に、エッチングなどにより犠牲層を除去する。
しかしながら、上記のFBARは、振動空間Vを形成するための犠牲層のエッチング工程において、振動子として機能する下部電極101、圧電膜102および上部電極103の積層体をもわずかにエッチングしてしまい、中心周波数のズレやエネルギー損失(挿入損失とも呼ばれる)が大きくなり信号強度が低下するという問題がある。
また、一度埋め込んで形成した犠牲層を除去するという工程が繁雑であるという問題がある。
また、一度埋め込んで形成した犠牲層を除去するという工程が繁雑であるという問題がある。
また、非特許文献2には、図7に示すように、シリコン基板110上に、第1反射膜111a、第2反射膜111b、第3反射膜111cおよび第4反射膜111dの積層体からなる音響反射膜111が形成されており、その上層に下部電極112、圧電膜113および上部電極114からなり、振動子として機能する積層体が形成されてなるFBARが開示されている。
上記のFBARは、振動空間は設けられておらず、シリコン基板110と下部電極112の間に、音響反射膜111が形成されている。従って、上記のFBARを形成するためには、振動空間を形成するためのエッチング工程は不要である。
ここで、音響反射膜111を構成する第1反射膜111a、第2反射膜111b、第3反射膜111cおよび第4反射膜111dは、固有音響抵抗値の異なる材料を交互に多重に積層させた構成であるが、反射率を上げるためには単に多重に積層しただけではその効果が不十分であり、効率よく反射させるため、第1反射膜111a〜第4反射膜111dの膜厚はそれぞれ共振周波数λの1/4の値(λ/4)となっている。
ここで、音響反射膜111を構成する第1反射膜111a、第2反射膜111b、第3反射膜111cおよび第4反射膜111dは、固有音響抵抗値の異なる材料を交互に多重に積層させた構成であるが、反射率を上げるためには単に多重に積層しただけではその効果が不十分であり、効率よく反射させるため、第1反射膜111a〜第4反射膜111dの膜厚はそれぞれ共振周波数λの1/4の値(λ/4)となっている。
上記のFBARの音響反射膜を形成する工程において、第1反射膜111a〜第4反射膜111dの膜厚を正確にλ/4に制御することが非常に困難となっている。λ/4からずれてしまうと、反射率の低下を招く。
また、実際に音響反射層111は第1〜第4反射膜の積層により形成されるため、上層の反射膜は下層の反射膜の表面モフォロジーの影響を強く受けるため、下層のうねりや凹凸などの影響により上層の膜厚にバラツキが生じてしまう。このため、例え何層も繰り返し形成しても、λ/4の周期性が損なわれて反射率が低下してしまう。従って、この反射膜を透過してしまう振動波が存在するため、エネルギーの閉じ込めが不完全となって振動の減衰が生じてしまい、そのため、このFBARが回路に組み込まれ、信号がFBARを通過する際にその信号強度が大きく低下し、エネルギー損失が大きくなってしまうという問題がある。
また、実際に音響反射層111は第1〜第4反射膜の積層により形成されるため、上層の反射膜は下層の反射膜の表面モフォロジーの影響を強く受けるため、下層のうねりや凹凸などの影響により上層の膜厚にバラツキが生じてしまう。このため、例え何層も繰り返し形成しても、λ/4の周期性が損なわれて反射率が低下してしまう。従って、この反射膜を透過してしまう振動波が存在するため、エネルギーの閉じ込めが不完全となって振動の減衰が生じてしまい、そのため、このFBARが回路に組み込まれ、信号がFBARを通過する際にその信号強度が大きく低下し、エネルギー損失が大きくなってしまうという問題がある。
また、基板上にブリッジ構造の弾性膜を設けてなるマイクロ電気機械システム(MEMS)デバイスにおいても、ブリッジ構造を実現するため、製造プロセスにおいては犠牲膜を形成し、これをエッチングにより除去している。従って、上記のFBARと同様、製造工程が繁雑であるという問題がある。
IEEE ULTRASONIC SYMPOSIUM, 2001, pg.813-821 IEEE ULTRASONIC SYMPOSIUM, 2001, pg.827-831
IEEE ULTRASONIC SYMPOSIUM, 2001, pg.813-821 IEEE ULTRASONIC SYMPOSIUM, 2001, pg.827-831
解決しようとする問題点は、FBARやMEMSデバイスにおいて、犠牲層のエッチングプロセスが必要であるために製造工程が繁雑であったり、エネルギー損失が大きくなりやすいという点である。
本発明の薄膜バルク音響共振子は、基板と、前記基板に形成され、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜と、前記音響反射膜上に形成された弾性共振膜とを有する。
上記の本発明の薄膜バルク音響共振子は、基板上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されており、その上層に弾性共振膜が形成されている構成である。
上記の本発明の薄膜バルク音響共振子は、好適には、前記音響反射膜が多孔質膜からなり、さらに好適には、前記多孔質膜がポリイミドからなる。
また、好適には、前記弾性共振膜が、下部電極、圧電膜および上部電極の積層体である。
また、好適には、前記音響反射膜の固有音響抵抗値が前記弾性共振膜の1/10以下である。
また、好適には、前記弾性共振膜が、下部電極、圧電膜および上部電極の積層体である。
また、好適には、前記音響反射膜の固有音響抵抗値が前記弾性共振膜の1/10以下である。
また、本発明のマイクロ電気機械システムデバイスは、基板と前記基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、前記動作領域の両端部において前記基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜と、前記弾性膜と前記基板の間隙に形成され、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜とを有する。
上記の本発明のマイクロ電気機械システムデバイスは、基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、動作領域の両端部において基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜が形成されており、この弾性膜と基板の間隙に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されている構成である。
本発明の薄膜バルク音響共振子は、基板上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されており、その上層に弾性共振膜が形成されている構成であるので、犠牲層のエッチングプロセスが不要であり、エネルギー損失が大きくなるのを防止できる。また、音響反射膜が単層で音響反射機能を有する材料からなるので、この点からもエネルギー損失が大きくなるのを防止できる。
本発明のマイクロ電気機械システムデバイスは、基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、動作領域の両端部において基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜が形成されており、この弾性膜と基板の間隙に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜が形成されている構成であり、犠牲層のエッチングプロセスが不要である。
以下に、本発明の薄膜バルク音響共振子(FBAR)およびマイクロ電気機械システム(MEMS)デバイスの実施の形態について、図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は本実施形態に係るFBARの構成を示す模式断面図である。
例えば、基板10上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜11が形成されている。
音響反射膜11の上層に、弾性共振膜15として、下部電極12、圧電膜13および上部電極14の積層体が形成されている。
ここで、下部電極12は音響反射膜11を被覆し、音響反射膜11の両端部において基板10に接し、弾性共振膜を支持する構造となっている。
図1は本実施形態に係るFBARの構成を示す模式断面図である。
例えば、基板10上に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜11が形成されている。
音響反射膜11の上層に、弾性共振膜15として、下部電極12、圧電膜13および上部電極14の積層体が形成されている。
ここで、下部電極12は音響反射膜11を被覆し、音響反射膜11の両端部において基板10に接し、弾性共振膜を支持する構造となっている。
上記のFBARにおいては、音響波が音響反射膜11で反射して弾性共振膜15側に戻ってくる構造となっており、特に弾性共振膜15内において定在波条件を満たす場合には共振状態となる。即ち、弾性共振膜15の厚み縦振動により発生した音響波は、弾性共振膜15の内部に効率よく閉じ込められるため、振動エネルギーの損失を少なくでき、小型の圧電共振子を実現できる。
このように、音響反射膜11が形成されていることにより、従来のような振動空間が形成されていなくともエネルギー損失を小さく抑制することができる。
このように、音響反射膜11が形成されていることにより、従来のような振動空間が形成されていなくともエネルギー損失を小さく抑制することができる。
基板10は、例えばシリコン基板あるいはサファイア基板などからなる。
圧電膜13の表面の平滑性は基板10の表面の平滑性を反映するので、圧電膜13の表面を平滑にするために、基板10は十分な平坦度と表面粗さを有することが好ましく、例えば平坦度は5μm以下、表面粗さRaは0.1μm以下であることが好ましい。
また、電気的短絡を防ぐなどの理由から、高抵抗の基板であることが好ましい。
圧電膜13の表面の平滑性は基板10の表面の平滑性を反映するので、圧電膜13の表面を平滑にするために、基板10は十分な平坦度と表面粗さを有することが好ましく、例えば平坦度は5μm以下、表面粗さRaは0.1μm以下であることが好ましい。
また、電気的短絡を防ぐなどの理由から、高抵抗の基板であることが好ましい。
音響反射層11は、単層で音響反射機能を有する材料からなり、例えば多孔質ポリイミドなどの多孔質材料からなる。
多孔質膜は空孔率を変化させることにより、その固有音響抵抗値を制御することができ、例えば0〜60%の範囲で調節可能である。
多孔質膜は空孔率を変化させることにより、その固有音響抵抗値を制御することができ、例えば0〜60%の範囲で調節可能である。
下部電極12および上部電極14は、例えばAl、Pt、Au、Cu、W、Moなどの金属材料を用いることができる。
圧電膜13への質量負荷が小さいこと、圧電振動の減衰が小さいこと、耐腐食性があること、および、電気抵抗率が比較的小さく共振子のQ値の低下が小さいことから、AlおよびMoを用いることが好ましい。
圧電膜13への質量負荷が小さいこと、圧電振動の減衰が小さいこと、耐腐食性があること、および、電気抵抗率が比較的小さく共振子のQ値の低下が小さいことから、AlおよびMoを用いることが好ましい。
圧電膜13は、例えば、ZnO、AlN、CdS、PZTなどからなる。
特に、膜中での音速が大きく、熱伝導率が高く、低温プロセスで形成できるという理由から、AlNを用いることが望ましい。AlNからなる圧電膜はc軸方向にのみ圧電性を発現するために、厚み縦振動を用いるFBARにおいて、AlNからなる圧電膜はc軸配向膜である必要がある。
特に、膜中での音速が大きく、熱伝導率が高く、低温プロセスで形成できるという理由から、AlNを用いることが望ましい。AlNからなる圧電膜はc軸方向にのみ圧電性を発現するために、厚み縦振動を用いるFBARにおいて、AlNからなる圧電膜はc軸配向膜である必要がある。
固体中を伝わる音響波は、音響固有抵抗値(音響インピーダンス)の異なる物質の界面において反射あるいは透過する。
音響固有抵抗値がZ1 である物質とZ2 である物質の界面における音響反射率Rと音響透過率Tは、下記式(1)および(2)により表される。
音響固有抵抗値がZ1 である物質とZ2 である物質の界面における音響反射率Rと音響透過率Tは、下記式(1)および(2)により表される。
R=|(Z2 −Z1 )/(Z2 +Z1 )| …(1)
T=1−R …(2)
T=1−R …(2)
上記の式から、Z1 :Z2 =1:10のとき、R=0.82、Z1 :Z2 =1:20のとき、R=0.90、Z1 :Z2 =1:100のとき、R=0.98となる。
上記のFBARにおいては、音響反射膜11の固有音響抵抗値が下部電極12、圧電膜13および上部電極14の積層体である弾性共振膜の1/10以下であることが好ましい。
これにより、音響波は音響反射膜11で80%以上が反射して弾性共振膜側に戻り、エネルギー損失を極めて小さくできる。
さらに、音響反射膜11の固有音響抵抗値が弾性共振膜の1/20以下とすると、音響反射率を90%以上とすることができ、また、1/100以下とすると、音響反射率を98%以上とすることができ、エネルギー損失をさらに小さくすることができる。
これにより、音響波は音響反射膜11で80%以上が反射して弾性共振膜側に戻り、エネルギー損失を極めて小さくできる。
さらに、音響反射膜11の固有音響抵抗値が弾性共振膜の1/20以下とすると、音響反射率を90%以上とすることができ、また、1/100以下とすると、音響反射率を98%以上とすることができ、エネルギー損失をさらに小さくすることができる。
下部電極12の厚みt12および上部電極14の厚みt14は、高い共振周波数を得るためには小さい方が好ましい。しかし、電気抵抗を小さくする必要があるので、この両者の要請から、下部電極12の厚みt12および上部電極14の厚みt14を0.1〜0.5μmに設定することが好ましい。さらに、上部電極14の厚みt14を調整することにより、共振する中心周波数のトリミングが可能となる。
また、音響反射膜11の厚みt11は、1Ghz以上の共振周波数を達成するために、5μm以下であることが好ましい。
さらに、圧電膜13の厚みt13は、設定する共振周波数帯にも依存するが、厚み縦振動により1GHz以上の共振周波数を得るため、1μm以下であることが望ましい。
また、音響反射膜11の厚みt11は、1Ghz以上の共振周波数を達成するために、5μm以下であることが好ましい。
さらに、圧電膜13の厚みt13は、設定する共振周波数帯にも依存するが、厚み縦振動により1GHz以上の共振周波数を得るため、1μm以下であることが望ましい。
本実施形態に係るFBARは、基体上に音響反射を目的とする単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射層を配し、音響反射膜上に圧電膜を一対の電極で挟持した弾性共振膜を設けてなる。
このような構成を採用することにより、まず音響波の反射率を著しく高めることができるので、振動のエネルギー損失を大幅に減少することができる。
すなわち、圧電膜から下部電極を介して外側に向かう音響波は固有音響抵抗が極めて低い音響反射膜により高効率で反射され、最初の音響波と正反対の方向に進む。したがって音響波はその大部分が外側に出ることがなく、音響波のエネルギーを振動体に効率よく閉じ込めることが可能になり、エネルギー損失の少ない圧電共振子が実現できる。
すなわち、圧電膜から下部電極を介して外側に向かう音響波は固有音響抵抗が極めて低い音響反射膜により高効率で反射され、最初の音響波と正反対の方向に進む。したがって音響波はその大部分が外側に出ることがなく、音響波のエネルギーを振動体に効率よく閉じ込めることが可能になり、エネルギー損失の少ない圧電共振子が実現できる。
次に、本実施形態に係るFBARの製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すように、基板10上に、例えばスピンコート法などにより多孔質ポリイミドなどの多孔質材料を塗布し、パターン加工して、音響反射膜11を形成する。
まず、図2(a)に示すように、基板10上に、例えばスピンコート法などにより多孔質ポリイミドなどの多孔質材料を塗布し、パターン加工して、音響反射膜11を形成する。
次に、図2(b)に示すように、音響反射膜11を被覆して、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、真空蒸着法などの気相合成法により下部電極12を形成し、下部電極形状にパターン加工する。
特に、立体的な複雑形状を持つ基体に対しては、複雑な形状でも比較的均一な膜厚が得られるMOCVD(有機金属CVD)法などに代表されるCVD法が好ましい。また、平坦で、層状構造の基体に対しては、コストや簡便さからスパッタリング法や真空蒸着法が好ましい。
特に、立体的な複雑形状を持つ基体に対しては、複雑な形状でも比較的均一な膜厚が得られるMOCVD(有機金属CVD)法などに代表されるCVD法が好ましい。また、平坦で、層状構造の基体に対しては、コストや簡便さからスパッタリング法や真空蒸着法が好ましい。
次に、図2(c)に示すように、下部電極12上に、ゾル・ゲル法、スパッタリング法あるいはCVD法などの気相合成法などにより、圧電膜13を形成する。
次に、下部電極12と同様にして、圧電膜13上に上部電極14を形成する。
この後の工程としては、上部電極14を所定パターンに加工した後、圧電膜13を同様のパターンに加工して、図1に示す構造を得ることができる。
次に、下部電極12と同様にして、圧電膜13上に上部電極14を形成する。
この後の工程としては、上部電極14を所定パターンに加工した後、圧電膜13を同様のパターンに加工して、図1に示す構造を得ることができる。
上記の本実施形態のFBARの製造方法によれば、弾性共振膜の下部に音響反射を目的とした振動空間を形成する必要がないため、振動空間形成のための犠牲層のエッチングプロセス、あるいは裏面エッチングプロセスを省略することが可能となり、プロセスの簡易化によって生産性を大きく向上させることができる。
さらに、上記の犠牲層のエッチング時に発生していた弾性共振膜のエッチングによる中心周波数のズレやエネルギー損失の増大を防止することができる。
さらに、上記の犠牲層のエッチング時に発生していた弾性共振膜のエッチングによる中心周波数のズレやエネルギー損失の増大を防止することができる。
(実施例)
図1に示す構造のFBARを上記の製造方法に従って作製した。
ここで、基板10に高抵抗シリコン(111)ウエハを用いたが、面方位は(100)でも差し支えない。
音響反射膜11には多孔質ポリイミド膜を用い、下部電極12および上部電極14にはモリブデン(Mo)を用い、また、圧電膜13にAlNを用いた。
図1に示す構造のFBARを上記の製造方法に従って作製した。
ここで、基板10に高抵抗シリコン(111)ウエハを用いたが、面方位は(100)でも差し支えない。
音響反射膜11には多孔質ポリイミド膜を用い、下部電極12および上部電極14にはモリブデン(Mo)を用い、また、圧電膜13にAlNを用いた。
まず、音響反射膜11となる多孔質ポリイミド薄膜をシリコン基板10上に形成した。多孔質ポリイミド薄膜は、スピンコート法を用いて形成した。
多孔質ポリイミド薄膜の膜厚は1.0μmであり、その固有音響抵抗値は4.35×105kg/m2sであった。
多孔質ポリイミド薄膜の膜厚は1.0μmであり、その固有音響抵抗値は4.35×105kg/m2sであった。
次に、マグネトロンRFスパッタリング法を用いて、Moからなる下部電極12、AlNからなる圧電膜13、Moからなる上部電極14を順次積層した。
下部電極、上部電極および圧電層の形成プロセスは、ともに300℃以下の低温プロセスとした。このような低温プロセスでは、音響反射膜11となる多孔質ポリイミド薄膜に対するダメージが発生しない。膜厚は、下部電極は300nm、上部電極は323nm、圧電膜は1.0μmとした。
圧電体13の成膜条件は、減圧下でArとN2 の混合ガスを用いて、RFパワー800Wで入力し、膜厚が1.0μmのものを作成した。AlNの特性は、XRD(X線回折)ロッキングカーブの(002)ピークの半値幅が1.8°で、密度3.5g/cm3、音速は10800m/sであり、その固有音響抵抗値は3.84×107 kg/m2sであった。
これらから、音響反射層と圧電層の固有音響抵抗値比はおよそ1:88となった。
下部電極、上部電極および圧電層の形成プロセスは、ともに300℃以下の低温プロセスとした。このような低温プロセスでは、音響反射膜11となる多孔質ポリイミド薄膜に対するダメージが発生しない。膜厚は、下部電極は300nm、上部電極は323nm、圧電膜は1.0μmとした。
圧電体13の成膜条件は、減圧下でArとN2 の混合ガスを用いて、RFパワー800Wで入力し、膜厚が1.0μmのものを作成した。AlNの特性は、XRD(X線回折)ロッキングカーブの(002)ピークの半値幅が1.8°で、密度3.5g/cm3、音速は10800m/sであり、その固有音響抵抗値は3.84×107 kg/m2sであった。
これらから、音響反射層と圧電層の固有音響抵抗値比はおよそ1:88となった。
また、上部電極、下部電極および圧電膜の膜厚を制御することにより、共振周波数の大きさや中心周波数を制御することができた。
図1に示す共振構造において、ネットワークアナライザとRF用ウェハマイクロプローブを用い、共振周波数を測定、評価したところ、1.78GHzにおいて圧電共振を得た。さらに圧電共振子の損失は5.5%と、損失を6%以下に抑えることができた。
図1に示す共振構造において、ネットワークアナライザとRF用ウェハマイクロプローブを用い、共振周波数を測定、評価したところ、1.78GHzにおいて圧電共振を得た。さらに圧電共振子の損失は5.5%と、損失を6%以下に抑えることができた。
本実施例のFBARは、低固有音響抵抗値を持つ単層音響反射膜により振動体から外に向かう音響波を振動体に効率良く閉じ込めるため、振動エネルギーの損失を小さくできた。
また、音響反射を目的とする、振動体下部に配置する振動空間および、多層音響反射膜を形成する必要が無いため、加工プロセスを短縮することができ、生産性向上に大きく寄与した。
また、音響反射を目的とする、振動体下部に配置する振動空間および、多層音響反射膜を形成する必要が無いため、加工プロセスを短縮することができ、生産性向上に大きく寄与した。
(変形例)
図3は本実施形態に係るFBARの変形例の構成を示す模式断面図である。
実質的に図1に示す構造と同様であるが、弾性共振膜15’を構成する下部電極12’、圧電膜13および上部電極14が同様のパターンに加工されており、下部電極12’は音響反射膜11’の両端部において基板10に接しない構造となっている。
音響反射膜11’、下部電極12’、圧電膜13および上部電極14を構成する材料や厚みなどについては、上記と同様である。
図3は本実施形態に係るFBARの変形例の構成を示す模式断面図である。
実質的に図1に示す構造と同様であるが、弾性共振膜15’を構成する下部電極12’、圧電膜13および上部電極14が同様のパターンに加工されており、下部電極12’は音響反射膜11’の両端部において基板10に接しない構造となっている。
音響反射膜11’、下部電極12’、圧電膜13および上部電極14を構成する材料や厚みなどについては、上記と同様である。
本変形例は、下部電極12’が基板10に接しない構造となっていても、音響反射膜11’が、下部電極12’、圧電膜13および上部電極14からなる弾性共振膜15’を支持するのに十分な強度を有する場合に採用可能である。
本変形例のFBARにおいては、例えば、上部電極14、圧電膜13、下部電極12’および音響反射膜11’を同じマスクでパターン加工でき、工程をさらに簡略化することが可能である。
本変形例のFBARにおいては、例えば、上部電極14、圧電膜13、下部電極12’および音響反射膜11’を同じマスクでパターン加工でき、工程をさらに簡略化することが可能である。
第2実施形態
図4は本実施形態に係るFBARの構成を示す模式断面図である。
例えば、基板20のFBAR形成領域において、凹部20aが形成されており、その内部に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜21が埋め込まれて形成されている。
音響反射膜21の上層に、基板20にかかるようにして、弾性共振膜25として、下部電極22、圧電膜23および上部電極24の積層体が形成されている。
図4は本実施形態に係るFBARの構成を示す模式断面図である。
例えば、基板20のFBAR形成領域において、凹部20aが形成されており、その内部に、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜21が埋め込まれて形成されている。
音響反射膜21の上層に、基板20にかかるようにして、弾性共振膜25として、下部電極22、圧電膜23および上部電極24の積層体が形成されている。
本実施形態のFBARは、第1実施形態と同様に、音響波が音響反射膜21で反射して弾性共振膜25側に戻ってくる構造となっており、特に弾性共振膜25内において定在波条件を満たす場合には共振状態となる。即ち、弾性共振膜25の厚み縦振動により発生した音響波は、弾性共振膜25の内部に効率よく閉じ込められるため、振動エネルギーの損失を少なくでき、小型の圧電共振子を実現できる。
このように、音響反射膜21が形成されていることにより、従来のような振動空間が形成されていなくともエネルギー損失を小さく抑制することができる。
このように、音響反射膜21が形成されていることにより、従来のような振動空間が形成されていなくともエネルギー損失を小さく抑制することができる。
また、弾性共振膜の下部に音響反射を目的とした振動空間を形成する必要がないため、エッチングプロセス、あるいは裏面エッチングプロセスを省略することが可能となり、プロセスの簡易化によって生産性を大きく向上させることができ、さらに、上記の犠牲層のエッチング時に発生していた弾性共振膜のエッチングによる中心周波数のズレやエネルギー損失の増大を防止することができる。
第3実施形態
図5は本実施形態に係るMEMSデバイスの構成を示す模式断面図である。
MEMSデバイスは、例えば、基板30と、当該基板30のMEMSデバイスとしての動作領域に形成された電極31と、前記電極31と所定の距離を離間して前記電極31を跨ぎその両端に設けられた支持部33が前記動作領域に接するように形成された弾性膜32と、前記電極31と弾性膜32との間隙に設けられた単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜34とで構成されている。
図5は本実施形態に係るMEMSデバイスの構成を示す模式断面図である。
MEMSデバイスは、例えば、基板30と、当該基板30のMEMSデバイスとしての動作領域に形成された電極31と、前記電極31と所定の距離を離間して前記電極31を跨ぎその両端に設けられた支持部33が前記動作領域に接するように形成された弾性膜32と、前記電極31と弾性膜32との間隙に設けられた単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜34とで構成されている。
MEMSデバイスにおいては、弾性膜32の機械的振動により共振器などを構成するため、音響反射膜34としては、弾性膜32の機械的振動を可能にする程度の硬度を有することが望ましい。
本実施形態に係るMEMSデバイスは、第1実施形態と同様に、従来犠牲膜を除去するために必要であったエッチング工程を省略でき、プロセスの簡易化によって生産性を大きく向上させることができる。
本実施形態に係るMEMSデバイスは、共振器の他、送受信スイッチやアンテナ・スイッチなどを構成することが可能である。
本発明の薄膜バルク音響共振子およびその製造方法は、上記の説明に限定されない。
例えば、音響反射膜としては、多孔質ポリイミドの他、種々の多孔質材料を用いることができ、さらに単層で音響反射機能を有する材料であれば、いずれの材料でも用いることが可能である。音響反射膜は、平坦な基板上に形成してもよく、基板に凹部を設けて凹部内に埋め込んで形成してもよい。あるいは、凹部を埋め込み、基板表面よりも高くはみ出すように形成してもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、音響反射膜としては、多孔質ポリイミドの他、種々の多孔質材料を用いることができ、さらに単層で音響反射機能を有する材料であれば、いずれの材料でも用いることが可能である。音響反射膜は、平坦な基板上に形成してもよく、基板に凹部を設けて凹部内に埋め込んで形成してもよい。あるいは、凹部を埋め込み、基板表面よりも高くはみ出すように形成してもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本発明の薄膜バルク音響共振子は、携帯電話などのワイヤレス通信システムやワイヤレスセンシングシステムにおける送信フィルタやデュプレクサなどの回路に用いられるFBARに適用可能である。
本発明のマイクロ電気機械システムデバイスは、上記の薄膜バルク音響共振子と同様に音響共振子などに適用可能である。
本発明のマイクロ電気機械システムデバイスは、上記の薄膜バルク音響共振子と同様に音響共振子などに適用可能である。
10,20,30…基板、11,11’,21,34…音響反射膜、12,12’,22…下部電極、13,23…圧電膜、14,24…上部電極、15,15’,25…弾性共振膜、20a…凹部、31…電極、32…弾性膜、33…支持部
Claims (7)
- 基板と、
前記基板に形成され、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜と、
前記音響反射膜上に形成された弾性共振膜と
を有する薄膜バルク音響共振子。 - 前記音響反射膜が多孔質膜からなる
請求項1に記載の薄膜バルク音響共振子。 - 前記多孔質膜がポリイミドからなる
請求項2に記載の薄膜バルク音響共振子。 - 前記弾性共振膜が、下部電極、圧電膜および上部電極の積層体である
請求項1に記載の薄膜バルク音響共振子。 - 前記音響反射膜の固有音響抵抗値が前記弾性共振膜の1/10以下である
請求項1に記載の薄膜バルク音響共振子。 - 前記基板に凹部が形成されており、
前記凹部内に前記音響反射膜が埋め込まれて形成されている
請求項1に記載の薄膜バルク音響共振子。 - 基板と
前記基板上に、動作領域において所定の距離を離間して形成され、前記動作領域の両端部において前記基板に接するように形成されたブリッジ構造の弾性膜と、
前記弾性膜と前記基板の間隙に形成され、単層で音響反射機能を有する材料からなる音響反射膜と
を有するマイクロ電気機械システムデバイス。
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-
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- 2003-08-07 JP JP2003289403A patent/JP2005057707A/ja not_active Abandoned
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