JP2007324689A - 薄膜音響共振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】平滑な表面の上に形成された結晶性が良好な圧電膜を備えた薄膜音響共振器を実現できるようにする。
【解決手段】薄膜音響共振器は、基板21と、基板21の上に低音響インピーダンス層23と低音響インピーダンス層23と比べて音響インピーダンスが高い高音響インピーダンス層22とが交互に積層されてなる音響反射部24と、音響反射部24の上に下部電極25と圧電膜26と上部電極27とが順次積層されてなる音響共振部28とを備えている。音響反射部24は、その上部に平滑化層29を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響反射部を備えた薄膜音響共振器に関する。
近年、携帯電話端末のマルチバンド化に伴い、共用器及び段間フィルタ等は、従来よりもさらに低挿入損失で且つ急峻な減衰特性が要求されている。薄膜音響共振器(Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)は圧電薄膜中を伝播する弾性波の厚さ方向の共振を利用した音響共振器で、これをラダー接続したFBARフィルタは、低損失と急峻な減衰特性が実現できるフィルタとして注目されている。
薄膜音響共振器は、圧電膜並びに圧電膜の上面及び下面に配置された上部電極及び下部電極からなる共振部を備えている。さらに、圧電膜を励振させることにより発生した音響波を共振部内に閉じ込めるため、共振部の上下に空洞部又は音響反射部等を設ける必要がある。音響反射部は、基板の上に交互に積層された低音響インピーダンス層と、低音響インピーダンス層と比べて音響インピーダンスが大きい高音響インピーダンス層とからなる。
薄膜音響共振器の共振特性は、圧電体の結晶性に影響され、優れたフィルタ特性を実現するためには、結晶性の良好な圧電膜が不可欠である。さらに、良好な結晶性を有する圧電膜を得るためには、下地である下部電極、さらにはその下部電極の下地となる音響反射部の上面を平滑にする必要があることが一般的に知られている。
通常の化学気相堆積(CVD)法又はスパッタ法等を用いて基板の上に低音響インピーダンス層と高音響インピーダンス層とを交互に堆積して音響反射部を形成した場合には、各層の表面の凹凸が積層により増長され、音響反射部の表面を平滑にすることが非常に困難である。このため、音響反射部を形成した後に、化学機械的研磨(CMP)法を用いて音響反射部の表面を平滑化したり、バイアススパッタ法を用いて音響反射部を堆積することにより音響反射部の表面を平滑したりする方法が試みられている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2005−136761号公報
しかしながら、前記従来の音響反射部の形成方法においては、得られた音響反射部の上面の平滑性が十分でないという問題や、CMP法を用いて音響共振器の上面を平滑化する場合には、工程が複雑化してしまうという問題がある。
本発明は、前記従来の問題を解決し、平滑な表面の上に形成された結晶性が良好な圧電膜を備えた薄膜音響共振器を実現できるようにすることを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は薄膜音響共振器を、音響反射部と音響共振部との間に形成された平滑化層を備えている構成とする。
具体的に、本発明に係る薄膜音響共振器は、基板と、基板の上に低音響インピーダンス層及び該低音響インピーダンス層と比べて音響インピーダンスが高い高音響インピーダンス層が交互に積層されてなる音響反射部と、音響反射部の上に下部電極と圧電膜と上部電極とが順次積層されてなる音響共振部とを備え、音響反射部は、該音響反射部の上部に平滑化層を含むことを特徴とする。
本発明の薄膜音響共振器は、音響反射部がその上部に平滑化層を含むため、音響反射部の上面の平滑性が向上する。これにより、音響反射部上に形成する圧電膜の結晶性が向上し、優れた共振特性を持つ薄膜音響共振器が実現できる。
薄膜音響共振器において、平滑化層は、音響反射部の最上部に形成されていることが好ましい。この場合において、平滑化層は、低音響インピーダンス層として機能することが好ましい。
薄膜音響共振器において、平滑化層は、音響反射部の最も上側に積層された高音響インピーダンス層と低音響インピーダンス層との間に形成されていてもよい。
本発明の薄膜音響共振器において、平滑化層は、スピンコート可能な材料により形成された膜であることが好ましい。この場合において、スピンコート可能な材料により形成された膜は、スピンオングラス膜、フッ素系樹脂膜、シリコン系樹脂膜又はエポキシ系樹脂膜であることが好ましい。このような構成とすることにより、平滑化層の上面を確実に平滑にすることが可能となる。
本発明の薄膜音響共振器において、平滑化層は、上面の二乗平均平方根粗さが1nm以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、結晶性の良好な圧電膜を確実に形成することが可能となる。
本発明の薄膜音響共振器において、高音響インピーダンス層は、絶縁性の材料からなることが好ましい。このような構成とすることにより、音響反射部の上に複数の音響共振部を形成した場合に、各音響共振部同士が電気的に結合することを防止できる。
本発明の薄膜音響共振器において、音響反射部の上には、複数の音響共振部が互いに間隔をおいて形成されており、音響反射部における音響共振部同士の間の領域において、高音響インピーダンス層が分離されていることが好ましい。このような構成とすることにより、高音響インピーダンス層に金属膜を用いた場合においても、各音響共振部同士が電気的に結合することを防止できる。
本発明に係る薄膜音響共振器によれば、音響反射部の上面を平滑化でき、音響反射部の上に形成する圧電膜の結晶性を向上させることができるため、優れた共振特性が得られる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る薄膜音響共振器の断面構成を示している。図1に示すように本実施形態の音響共振器は、シリコンからなる基板21の上にタングステンからなる高音響インピーダンス層22と酸化シリコンからなる低音響インピーダンス層23とを交互に4周期積層して形成した音響反射部24と、音響反射部24の上に下部電極25、圧電膜26及び上部電極27を順次積層して形成した音響共振部28とを備えている。
音響反射部24は、最上部に形成されたスピンオングラス(SOG)膜である平滑化層29を有している。このため、音響反射部24の上面は非常に平滑な面となっている。これにより、下部電極25の平滑性を向上させることができ、下部電極25の上に形成する圧電膜の結晶性を向上させることができる。
本実施形態において、薄膜音響共振器の共振周波数を2GHzとするため、シリコンからなる基板21上に音響波長の4分の1に相当する600nmの厚さのタングステンからなる高音響インピーダンス層22と680nmの厚さの酸化シリコンからなる低音響インピーダンス層23とを4周期積層して音響反射部24を形成したところ、音響反射部24の最上部に形成した低音響インピーダンス層23の上面における二乗平均平方根粗さ(Rms)は2nmであった。Rmsが2nmの音響反射部24の上に厚さが100nmのSOG膜である平滑化層29を形成することにより、平滑化層29の上面におけるRmsは0.8nmとなった。このため、音響反射部24の上に平滑化層29を設けることにより結晶性に優れた圧電膜26を得ることができる。
SOG膜はSOG液をスピンコートし、熱処理を行うことで、表面の凹凸を埋め込み、高い平坦性と膜厚の均一性を得ることができる。通常は、配線の凸凹を埋め込み、平坦化するために用いられるため、数μmの膜厚で使用されるのが一般的である。しかし、SOG液の溶液中の固体濃度を調整することにより、熱処理後の膜厚が100nm以下においても平坦性と膜厚の均一性を維持できることを本願出願人らは見出した。
図2はスピンコートの回転数を3000rpmとし、熱処理の温度を450℃として実際にSOG膜を形成した場合における、SOG溶液中の固体濃度と熱処理後のSOG膜の膜厚との関係を示している。図2に示すようにSOG溶液中の固体濃度を変化させることにより、SOG膜の膜厚を良好に制御できることが明らかである。また、今回の実験条件においては、SOG溶液中の固体濃度が5パーセントを下回るあたりにおいて、SOG膜の膜厚を100nm以下の薄膜とすることができた。このように、本願出願人らの知見により音響反射部24の上に薄く且つ非常に平滑な表面を有する平滑化層29を形成することが可能となった。
また、平滑化層29はSOG膜の他に、スピンコーティング可能なフッ素系樹脂材料、シリコン系樹脂材料、エポキシ系樹脂材料等であってもよい。また、本実施形態においては低音響インピーダンス層23として酸化シリコンを用いたが、窒化シリコン等の絶縁物又はアルミニウム若しくはチタン等の金属材料であってもよい。また、高音響インピーダンス層22はタングステン、白金、イリジウム若しくはモリブデン等の高融点金属又は酸化ハフニウム若しくは窒化アルミニウム等の絶縁物であってもよい。
なお、本実施形態において平滑化層29を音響反射部24の最上部に形成したが、平滑化層29により平滑化した面の上に形成した層の上面も平滑化されるため、平滑化層29は必ずしも音響反射部24の最上部に形成する必要はない。例えば、高音響インピーダンス層22と低音響インピーダンス層23とが複数周期積層されている場合に、最も上側に形成された高音響インピーダンス層22と低音響インピーダンス層23との間に平滑化層29を形成してもよい。
本実施形態において、音響反射部24は高音響インピーダンス層22と低音響インピーダンス層23とを4周期積層して形成したが、高音響インピーダンス層22と低音響インピーダンス層23との積層周期は適宜変更することができる。また、高音響インピーダンス層22と低音響インピーダンス層23との積層順序は変更してもかまわない。
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図3は第2の実施形態に係る薄膜音響共振器の断面構成を示している。図3において図1と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
図3に示すように本実施形態の薄膜音響共振器は、平滑化層29が音響反射部24の最上層における低音響インピーダンス層23として用いられている。このように、平滑化層29を低音響インピーダンス層23として用いることで、平滑化層29が音響反射部24の一部として機能し、良好な特性を有する薄膜音響共振器が得られる。
平滑化層29には第1の実施形態と同様に、SOG材料、フッ素系樹脂材料、シリコン系樹脂材料又はエポキシ系樹脂材料等を用いることができる。これらの材料は音響インピーダンスが、低音響インピーダンス層として広く用いられている酸化シリコン膜より低い。このため、酸化シリコン膜を用いた音響反射部24と比べて音響反射特性が向上し、さらに、下部電極の直下におけるRmsも低減できるため、良好な特性の薄膜音響共振器を実現できる。
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図4は第3の実施形態に係る薄膜音響共振器の断面構成を示している。図4において図1と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
図4に示すように本実施形態の薄膜音響共振器は、低音響インピーダンス層23がSOG膜により形成されており、低音響インピーダンス層23と高音響インピーダンス層22との積層周期は1.5周期となっている。
SOG膜は、低音響インピーダンス層として一般的に用いられるシリコン酸化膜と比べて音響インピーダンスが一桁低く、音響反射特性が良好である。このため、高音響インピーダンス層と低音響インピーダンス層とを通常4〜6周期積層しなければならない音響反射部を、1.5〜2周期程度積層することにより実現することが可能となる。これにより、音響反射部24の形成工程を大幅に低減できる。
また、低音響インピーダンス層23の音響インピーダンスが低くなることにより、高音響インピーダンス層として従来のタングステン等に代えて酸化シリコンや窒化シリコン等を用いることが可能となる。これにより、音響反射部24の形成が容易となり、製造コストの低減も可能となる。
なお、低音響インピーダンス層23にはSOG膜に代えて、フッ素系樹脂膜、シリコン系樹脂材料又はエポキシ系樹脂材料等を用いてもよい。
(第4の実施形態)
以下に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図5は第4の実施形態に係る薄膜音響共振器の断面構成を示している。図5において図4と同一の構成要素には同一の符号を附すことにより説明を省略する。
図5に示すように本実施形態の薄膜音響共振器は、音響反射部24の上に第1の音響共振部28Aと第2の音響共振部28Bとが形成されている。また、音響反射部24における低音響インピーダンス層23は、第1の音響共振部28Aが形成された領域と第2の音響共振部28Bが形成された領域とに一体に形成されているが、高音響インピーダンス層は、第1の音響共振部28Aが形成された領域と第2の音響共振部28Bが形成された領域とに互いに独立して形成されている。つまり、音響反射部24は、第1の音響共振部28Aと第2の音響共振部28Bとの間において、高音響インピーダンス層22が分離されている。これにより、高音響インピーダンス層22にタングステン等の金属材料を用いた場合でも、第1の音響共振部28Aの下部電極25と高音響インピーダンス層22との間の容量値と、第2の音響共振部28Bの下部電極25と高音響インピーダンス層22との間の容量値とを介して、第1の音響共振部28Aと第2の音響共振部28Bとが電気的に結合することを抑制できる。
なお、図5には2つの音響共振部が形成された例を示しているが、3つ以上の音響共振部が形成されていてもよい。また、第1の実施形態又は第2の実施形態の構成においても音響反射部の上に複数の音響共振部を形成し、各音響共振部同士の間の部分において高音響インピーダンス層22を形成しないようにすれば同様の効果が得られる。
本発明に係る薄膜音響共振器は、平滑な表面の上に形成された結晶性が良好な圧電膜を備えた薄膜音響共振器を実現でき、音響反射部を備えた薄膜音響共振器等として有用である。
本発明の第1の実施形態に係る薄膜音響共振器を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る薄膜音響共振器における平坦化層の形成方法を説明するためのグラフである。 本発明の第2の実施形態に係る薄膜音響共振器を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る薄膜音響共振器を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る薄膜音響共振器を示す断面図である。
符号の説明
21 基板
22 高音響インピーダンス層
23 低音響インピーダンス層
24 音響反射部
25 下部電極
26 圧電膜
27 上部電極
28 音響共振部
28A 第1の音響共振部
28B 第2の音響共振部
29 平滑化層

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板の上に低音響インピーダンス層及び該低音響インピーダンス層と比べて音響インピーダンスが高い高音響インピーダンス層が順次積層されてなる音響反射部と、
    前記音響反射部の上に下部電極と圧電膜と上部電極とが順次積層されてなる音響共振部とを備え、
    前記音響反射部は、該音響反射部の上部に平滑化層を含むことを特徴とする薄膜音響共振器。
  2. 前記平滑化層は、前記音響反射部の最上部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜音響共振器。
  3. 前記平滑化層は、前記低音響インピーダンス層として機能することを特徴とする請求項2に記載の薄膜音響共振器。
  4. 前記平滑化層は、前記音響反射部の最も上側に積層された前記高音響インピーダンス層と前記低音響インピーダンス層との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜音響共振器。
  5. 前記平滑化層は、スピンコート可能な材料により形成された膜であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の薄膜音響共振器。
  6. 前記スピンコート可能な材料により形成された膜は、スピンオングラス膜、フッ素系樹脂膜、シリコン系樹脂膜又はエポキシ系樹脂膜であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜音響共振器。
  7. 前記平滑化層は、上面の二乗平均平方根粗さが1nm以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の薄膜音響共振器。
  8. 前記高音響インピーダンス層は、絶縁性の材料からなることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の薄膜音響共振器。
  9. 前記音響反射部の上には、複数の前記音響共振部が互いに間隔をおいて形成されており、
    前記音響反射部における前記音響共振部同士の間の領域において、前記高音響インピーダンス層が分離されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の薄膜音響共振器。
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