JP2008187295A - Baw共振器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】共振子の圧電体薄膜の品質を向上できるBAW共振器の製造方法を提供することにある。
【解決手段】BAW共振器の製造にあたっては、支持基板11の主表面側に、前記主表面側の全面を覆うようして設けられる低音響インピーダンス層12aと、複数の共振子5それぞれに対応するようにパターニングされた高音響インピーダンス層12bとを、最上層が低音響インピーダンス層12aとなるように交互に積層して音響多層膜12を形成した後に、音響多層膜12の表面側の全面に、当該表面の凹所12cを埋めるようにして下部電極20の基礎となる導電性層2を形成してから、導電性層2における音響多層膜12側とは反対側の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層2の表面側に圧電体薄膜30の基礎となる圧電体層3を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】BAW共振器の製造にあたっては、支持基板11の主表面側に、前記主表面側の全面を覆うようして設けられる低音響インピーダンス層12aと、複数の共振子5それぞれに対応するようにパターニングされた高音響インピーダンス層12bとを、最上層が低音響インピーダンス層12aとなるように交互に積層して音響多層膜12を形成した後に、音響多層膜12の表面側の全面に、当該表面の凹所12cを埋めるようにして下部電極20の基礎となる導電性層2を形成してから、導電性層2における音響多層膜12側とは反対側の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層2の表面側に圧電体薄膜30の基礎となる圧電体層3を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、BAW(Bulk Acoustic Wave;バルク弾性波)共振器の製造方法に関する。
従来から、携帯電話機などの移動体通信機器の分野において、3GHz以上の高周波帯で利用する高周波フィルタとして、PZTや、AlN、ZnOなどの圧電材料により形成した圧電体薄膜を採用したBAW共振器が提案されている。
例えば、特許文献1には、BAW共振器として、SMR(Solidly Mounted Resonator)型のものが記載されている。
この種のBAW共振器は、図4に示すように、シリコン基板などの半導体基板からなる支持基板11と、支持基板11の主表面側(図4における上面側)に形成されバルク弾性波を反射する音響多層膜(音響ミラー)12とで構成されたベース基板1を備えるとともに、音響多層膜12における支持基板11側とは反対側(図4における上側)に形成された下部電極20と、下部電極20における音響多層膜12側とは反対側に形成された圧電体薄膜30と、圧電体薄膜30における下部電極20側とは反対側に形成された上部電極40とからなる複数の共振子5を備えている。
音響多層膜12は、シリコン基板11の前記主表面に、SiO2からなる低音響インピーダンス層12aと、SiO2よりも音響インピーダンスが高い材料(例えば、タングステンなど)からなる高音響インピーダンス層12bとを、最上層が低音響インピーダンス層12aとなるように交互に積層することで形成されている。
ところで、図4に示すようなBAW共振器では、高音響インピーダンス層12bが支持基板11の前記主表面側の全面を覆うように形成されているので、高音響インピーダンス層12bの材料としてタングステンなどの導電性材料を用いた場合、矢印Aで示すように、複数の共振子5間で、高音響インピーダンス層12bを介したクロストークが発生するという問題があった。
そこで、このようなクロストークを防止するために、図5(a)に示すように、高音響インピーダンス層12aを複数の共振子5それぞれに対応するようにパターニングすることにより、複数の共振子5間における高音響インピーダンス層12aを介したクロストークの発生を防止することが提案されている。
特表2004−505441号公報
ところで、圧電体薄膜30を形成方法としては、ゾルゲル法、CVD法、スパッタ法などを用いる方法が提案されているが、CVD法やスパッタ法に比べて、(1)高価な製造装置を必要とせず、製造コストの低減が図れる、(2)膜厚の面内均一性が高い圧電体薄膜30を形成できて、圧電体薄膜30の品質の向上が図れるなどの利点があるゾルゲル法を用いることが好ましい。
ここで、ゾルゲル法を用いて圧電体薄膜30を形成するにあたっては、圧電体薄膜30を形成する面、すなわち、下部電極20における音響多層膜12側とは反対側の表面の平坦度が問題となる。ここで、下部電極20の表面の平坦度が悪いと、圧電体薄膜30を形成した際に、圧電体薄膜30にクラックなどの不良が生じて、圧電体薄膜30の品質が低下してしまう。
そのため、下部電極20の表面の平坦度は良好であることが要求されるのであるが、図5(a)に示すような音響多層膜12では、高音響インピーダンス層12bをパターニングしたことによって、音響多層膜12の厚みがばらつき、これに伴って音響多層膜12の表面に高低差が生じて凹所12cが形成されるから、図4に示すように高音響インピーダンス層12bのパターニングを行なわない場合に比べて、音響多層膜12の表面の平坦度が悪くなって、その結果、下部電極20の表面の平坦度も悪くなってしまう。
そこで、音響多層膜12の表面をCMP(化学的機械的研磨、ChemicalMechanical Polishing)により平坦化することが提案されているが、低音響インピーダンス層12aとして比較的良く用いられるSiO2は、CMPによる平坦化が困難であり、CMPによる平坦化処理を行ったとしても、図5(b)に示すように、平坦度を十分に改善することができず、圧電体薄膜30の品質の低下を十分に抑制することができなかった。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、共振子の圧電体薄膜の品質を向上できるBAW共振器の製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決するために、請求項1の発明では、支持基板と、支持基板の主表面側に形成されバルク弾性波を反射する音響多層膜と、音響多層膜における支持基板側とは反対側に形成された下部電極、下部電極における音響多層膜側とは反対側に形成された圧電体薄膜、および圧電体薄膜における下部電極側とは反対側に形成された上部電極からなる複数の共振子とを備えたBAW共振器の製造方法であって、支持基板の主表面側に、SiO2からなり前記主表面側の全面を覆うようして設けられる低音響インピーダンス層と、SiO2より音響インピーダンスが高い材料からなり複数の共振子それぞれに対応するようにパターニングされた高音響インピーダンス層とを、最上層が低音響インピーダンス層となるように交互に積層して音響多層膜を形成した後に、音響多層膜の表面側の全面に、当該表面の凹所を埋めるように下部電極の基礎となる導電性層を形成してから、導電性層における音響多層膜側とは反対側の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層の表面側に圧電体薄膜の基礎となる圧電体層を形成し、その後に、圧電体層、導電性層を順次パターニングして圧電体薄膜、下部電極を形成し、さらにその後に、圧電体薄膜における下部電極側とは反対側に上部電極を形成することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、音響多層膜の表面側の全面に、当該表面の凹所を埋めるようにして下部電極の基礎となる導電性層を形成してから、導電性層における音響多層膜側とは反対側の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層の表面側に圧電体薄膜の基礎となる圧電体層を形成するので、音響多層膜の表面を平坦化した後に導電性層および圧電体層を形成する場合に比べて、導電性層の表面の平坦度を改善できるから、圧電体薄膜の基礎となる圧電体層を形成する際に、圧電体層にクラックなどの不良が生じることを抑制できて、共振子の圧電体薄膜の品質を向上できる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、圧電体層はPZTからなることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、圧電材料のなかでも電気機械結合係数が比較的大きなPZTにより圧電体層を形成するから、高周波帯域で急峻な立ち上がり、立下り特性を有し、UWB(Ultra Wide Band)用フィルタなどの広帯域の高周波フィルタに適したBAW共振器を製造できる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、少なくとも導電性層において圧電体層と接触する部位は、PtもしくはIrからなることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、PtやIrは格子定数がPZTに比較的近い材料であるから、結晶性が向上した圧電体層を形成できる。
請求項4の発明では、請求項2または3の発明において、圧電体層を形成するにあたっては、ゾルゲル法を用いることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、導電性層の表面が平坦化されていることとあいまって、均一な膜厚の圧電体層を形成できる。
本発明は、圧電体薄膜の基礎となる圧電体層を形成する際に、圧電体層にクラックなどの不良が生じることを抑制できて、共振子の圧電体薄膜の品質を向上できるという効果を奏する。
本発明の一実施形態におけるBAW共振器は、図1(b)に示すように、ベース基板1と、ベース基板1上に形成された複数の共振子5とを備えている。
ベース基板1は、例えば、単結晶のシリコン基板や、MgO基板、STO(SrTiO3)基板などの支持基板11と、支持基板11の主表面側(図1(b)における上面側)に形成されバルク弾性波を反射する音響多層膜12とで構成されている。すなわち、本実施形態におけるBAW共振器は、SMR型のものである。
共振子5は、音響多層膜12における支持基板11側とは反対側(図1(b)における上側)に形成された下部電極20と、下部電極20における音響多層膜12側とは反対側に形成された圧電体薄膜30と、および圧電体薄膜30における下部電極20側とは反対側に形成された上部電極40とからなる。
以下に、本実施形態のBAW共振器の製造方法について図1(a),(b)を参照して説明する。
まず、支持基板11の前記主表面側に、相対的に音響インピーダンスが低い材料であるSiO2からなる低音響インピーダンス層12aと、相対的に音響インピーダンスが高い材料(例えば、タングステン)からなる高音響インピーダンス層12bとを低音響インピーダンス層12が最上層となるように交互に積層して音響多層膜12を形成することによりベース基板1を形成する。なお、高音響インピーダンス層12bの材料としては、タングステンの他に、Au、Mo、AlN、ZnOなどを用いてもよい。
ここで、低音響インピーダンス層12aを積層するにあたっては、支持基板11の前記主表面側の全面を覆うようにして支持基板11の前記主表面側に積層する。また、高音響インピーダンス層12bを積層するにあたっては、支持基板11の前記主表面側の全面を覆うようにして支持基板11の前記主表面側に積層した後に、複数の共振子5間でのクロストークの発生を防止するために、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して複数の共振子5それぞれに対応するようにパターニングし、図1(a)に示す高音響インピーダンス層12bの構造を得る。
ベース基板1を形成した後には、スパッタ法や、CVD法、EB蒸着法、真空蒸着法などを用いて、下部電極20の基礎となる導電性層2(図1(a)参照)の形成を行う。ここで、導電性層2の材料としては、Ptを用いている。
ところで、本実施形態における音響多層膜12では、クロストークの発生を防止するために、高音響インピーダンス層12bを上記のようにパターニングしたことによって、音響多層膜12の厚みがばらつき、これに伴って音響多層膜12の表面に高低差が生じて凹所12cが形成されることになる。
そのため、本実施形態のBAW共振器の製造方法において、導電性層2を形成するにあたっては、図1(a)に示すように、音響多層膜12の表面側(図1(a)における上面側)の全面に、当該表面の凹所12cを埋めるように導電性層2を形成する。
このように導電性層2を形成した後には、導電性層2における音響多層膜12側とは反対側の表面(図1(a)における上面)を研磨によって平坦化する。
導電性層2の表面を研磨により平坦化するにあたっては、表面の平坦度を十分に改善できるまで研磨を行う。ここで、平坦度の評価方法として中心線平均粗さ(Ra)を用いた場合に(この場合、Raが小さいほど、平坦度が良いと評価する)、Raが11.6nmであればPZTからなる圧電体層3の配向度が15%になり、Raが0.467nmであれば上記配向度が98%になるという実験結果が得られている。そのため、上記実験結果を考慮すれば、平坦度の評価方法としてRaを用いる場合には、Raの値が、比較的高い配向度のPZTが得られる1nm以下となるまで、導電性層2の表面を研磨することが望ましい。
なお、導電性層2の厚みは、上記研磨によって、音響多層膜12の表面が露出せず、所望の厚みの下部電極20が得られるような厚みに設定する。
導電性層2を平坦化した後には、導電性層2の表面に圧電体薄膜3の基礎となる圧電体層3を形成する。本実施形態では圧電体層3の材料としてPZTを用いており、PZTからなる圧電体層3を形成(作製)する方法としては、ゾルゲル法を用いている。
ここで、ゾルゲル法によりPZTからなる圧電体層3を形成するにあたっては、導電性層2の表面上に、鉛化合物およびジルコニウム化合物およびチタン化合物を溶剤に溶解してなるPZT薄膜形成用組成物を塗布し、150〜400℃で乾燥する工程を所定の膜厚が得られるまで繰り返し、最後に500〜800℃で0.1〜2時間焼成することにより圧電体層3の形成を行えばよい。なお、ゾルゲル法を用いて圧電体層3を形成するにあたっては、シード層(図示せず)を用いるようにしてもよく、この場合、導電性層2の表面上に、鉛化合物およびチタン化合物を溶剤に溶解してなるPbTiO3薄膜形成用組成物を塗布し、150〜400℃で乾燥する工程を所定の膜厚が得られるまで繰り返した後に、上記の方法にて圧電体層3を形成すればよい。
その後には、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して圧電体層3、導電性層2を順次パターニングして、圧電体薄膜30、下部電極20を形成する。
さらにその後には、スパッタ法や、CVD法、EB蒸着法、真空蒸着法などを用いて、上部電極40の基礎となるAlなどの金属材料からなる金属層4を、音響多層膜12の表面側の全面を覆うようにして形成してから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して金属層4をパターニングして、各圧電体薄膜30における下部電極20側とは反対側に上部電極40を形成し、図1(b)に示す構成を得る。なお、図1(b)では、下部電極20を2つの圧電体薄膜30で共用する例を示しているが、下部電極20と圧電体薄膜30とは一対一対応で設けるようにしてもよい。
ところで、BAW共振器の製造にあたっては、ウェハレベルで多数のBAW共振器を形成した後、ダイシング工程で個々のBAW共振器に分割すればよい。
以上述べたように、本実施形態のBAW共振器の製造方法では、支持基板11の主表面側に、前記主表面側の全面を覆うようして設けられる低音響インピーダンス層12aと、複数の共振子5それぞれに対応するようにパターニングされた高音響インピーダンス層12bとを、最上層が低音響インピーダンス層12aとなるように交互に積層して音響多層膜12を形成した後に、音響多層膜12の表面の全面に、当該表面の凹所12cを埋めるように下部電極20の基礎となる導電性層2を形成してから、導電性層2の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層2の表面に圧電体薄膜30の基礎となる圧電体層3を形成するので、音響多層膜12の表面を平坦化した後に導電性層2および圧電体層3を形成する場合に比べれば、導電性層2の表面の平坦度を改善できるから、圧電体薄膜30の基礎となる圧電体層3を形成する際に圧電体層3にクラックなどの不良が生じることを抑制できて、共振子5の圧電体薄膜30の品質を向上できる。また、導電性層2は金属材料からなるものであってSiO2に比べて研磨による平坦化が容易であるから、圧電体薄膜30の品質をさらに向上できる。
加えて、導電性層2の表面を研磨により平坦化するにあたっては、表面の中心線平均粗さが1nm以下となるように表面を平坦化するので、導電性層2の表面に圧電体層3を形成する際に、圧電体層3の成長方向がばらつくことを抑制できる(すなわち、配向度を向上できる)から、結晶性が向上した圧電体層3を形成できる。
さらに、本実施形態では、圧電材料のなかでも電気機械結合係数が比較的大きなPZTにより圧電体層3を形成するから、高周波帯域で急峻な立ち上がり、立下り特性を有するBAW共振器を製造でき、このようなBAW共振器は、3GHz以上の高周波帯においてカットオフ特性が急峻で且つ帯域幅の広いフィルタ、例えば、UWB用フィルタなどの広帯域の高周波フィルタに好適に利用することができる。
例えば、BAW共振器を利用してUWB用フィルタを形成する場合には、共振子5を8個形成し、これら8個の共振子5を、図2に示すようなラダー型フィルタを構成するように接続すればよく、このようにすれば、UWB用フィルタの低コスト化および小型化を図ることができる。
加えて、導電性層2の材料として、金属材料のなかでも格子定数がPZTに比較的近く、導電性が良好な材料であるPtを用いているから、結晶性が向上した圧電体層3を形成できる。なお、導電性層2の材料としてIrを用いてもよく、Irも金属材料のなかでも格子定数がPZTに比較的近く、導電性が良好な材料であるから、同様の効果が得られる。
さらに、圧電体層3を形成するにあたっては、ゾルゲル法を用いるから、導電性層2の表面が平坦化されていることとあいまって、均一な膜厚の圧電体層3を形成できる。
ところで、本実施形態では、圧電体層3の材料としてPZTを用いているが、圧電体層3の材料としては、例えば、ZnOや、AlNなどの圧電材料を用いてもよい。ここで、圧電体層3の材料としてZnOを用いる場合には、圧電体層3の結晶性を向上するために、導電性層2の材料として、金属材料のなかでも格子定数がZnOに比較的近く、導電性が良好なIrを用いることが好ましく、圧電体層3の材料としてAlNを用いる場合には、同様の理由から、導電性層2の材料として、金属材料のなかでも格子定数がAlNに比較的近く、導電性が良好なMoを用いることが好ましい。
なお、本実施形態におけるBAW共振器では、共振周波数を4GHzに設定してあり、下部電極20の厚みを少なくとも100nm、圧電体薄膜30の厚みを300nm、上部電極40の厚みを100nm、低音響インピーダンス層12aの厚みを400nm、高音響インピーダンス層12bの厚みを350nmに設定してあるが、これらの数値は一例であって特に限定するものではない。また、共振周波数を3GHz〜5GHzの範囲で設定する場合には、圧電体薄膜30の厚みは200nm〜600nmの範囲で、低音響インピーダンス層12aの厚みは少なくとも250nm〜550nmの範囲で、高音響インピーダンス層12bの厚みは200nm〜450nmの範囲で、それぞれ適宜設定すればよい。
ところで、図1(a),(b)に示す導電性層2は、Ptのみからなる一層構造のものであるが、導電性層2としては、複数の導電性層21(図3(a)参照)を積層してなる多層構造のものを用いてもよく、例えば、図3(a)に示すような4層構造のものを用いてもよい。以下の説明では、複数の導電性層21を区別するために、必要に応じて符号21a〜21dを用いて表す。
図3(a)に示す導電性層2は、音響多層膜12の表面側に形成された導電性層(以下、「第1導電性層」と称する)21aと、第1導電性層21aにおける音響多層膜12側とは反対側に形成された導電性層(以下、「第2導電性層」と称する)21bと、第2導電性層21bにおける第1導電性層21a側とは反対側に形成された導電性層(以下、「第3導電性層」と称する)21cと、第3導電性層21cにおける第2導電性層21b側とは反対側に形成された第4導電性層(以下、「第4導電性層」と称する)21dとからなる多層構造のものである。また、第1導電性層21aおよび第3導電性層21cの材料としては、密着性改善のためにTiを用い、第2導電性層21bの材料としては、Irを用い、第4導電性層21dの材料としては、Ptを用いている。
そして、上記多層構造の導電性層2を形成するにあたっては、図3(a)に示すように、音響多層膜12の表面側の全面に、当該表面の凹所12cを埋めるように、第1導電性層21a、第2導電性層21b、第3導電性層21c、第4導電性層21dを順次積層することにより導電性層2を形成する。なお、図3(a)に示すような導電性層2では、第1導電性層21aおよび第3導電性層21cそれぞれの厚みを10nm、第2導電性層21bの厚みを40nm、第4導電性層21dの厚みを少なくとも30nmとしているが、これらの数値は一例であって特に限定するものでなない。
そして、導電性層2を形成した後には、導電性層2における音響多層膜12側とは反対側の表面、すなわち導電性層2の最上層となる第4導電性層21dにおける音響多層膜12側とは反対側の表面を研磨によって平坦化する。ここで、第4導電性層21dの表面を研磨により平坦化するにあたっては、表面の中心線平均粗さが1nm以下となるように平坦化することが好ましい。また、上述したように研磨される第4導電性層21dの厚みは、上記研磨によって、第3導電性層21cが露出しないような厚みに設定することが好ましい。
このように図3(a)に示すような多層構造の導電性層2を採用した場合でも、図1(b)に示すような一層構造の導電性層2を採用した場合と同様の効果が得られる。また、図3(a)に示す多層構造の導電性層2では、導電性層2において圧電体層3と接触する部位である第4導電性層21dがPtにより形成されているので、圧電体層3がPZTにより形成されてなる場合には、Ptは格子定数がPZTに比較的近い材料であるから、結晶性が向上した圧電体層を形成できる。なお、第4導電性層21dをIrにより形成しても同様の効果が得られる。要は、少なくとも導電性層2において圧電体層3と接触する部位を、圧電体層3に用いられている材料と格子定数が近い材料により形成すればよい。
ところで、図3(a)に示すような多層構造の導電性層2を採用する場合、必ずしも導電性層2において圧電体層3が形成される表面(すなわち、第4導電性層21dにおける音響多層膜12側とは反対側の表面)を研磨して平坦化する必要はなく、例えば、図3(b)に示すように、第2導電性層21bにおける第1導電性層21a側とは反対側の表面を研磨により平坦化してから、第2導電性層21b上に、第3導電性層21cおよび第4導電性層21dを厚みが均一となるように形成し、その後に、第2導電性層21bの表面側に位置する第4導電性層21dにおける音響多層膜12側とは反対側の表面に、圧電体層3を形成するようにしてもよい。なお、図3(b)に示すような導電性層2では、第1導電性層21aおよび第3導電性層21cそれぞれの厚みを10nm、第2導電性層21bの厚みを少なくとも40nm、第4導電性層21dの厚みを30nmとしているが、これらの数値は一例であって特に限定するものでなない。
このような場合であっても、導電性層2の表面の粗面度を小さくできるから、圧電体層3を形成する際に圧電体層3にクラックなどの不良が生じることを抑制でき、その結果、高品質な圧電体薄膜30を得ることができる。
つまり、下部電極20の基礎となる導電性層2を複数の導電性層21からなる多層構造とした場合には、前記複数の導電性層21のうち少なくとも1つにおける音響多層膜12側とは反対側の表面を研磨により平坦化し、その平坦化した表面側に、圧電体層3を形成すればよい。
2 導電性層
3 圧電体層
5 共振子
11 支持基板
12 音響多層膜
12a 低音響インピーダンス層
12b 高音響インピーダンス層
12c 凹所
20 下部電極
30 圧電体薄膜
40 上部電極
3 圧電体層
5 共振子
11 支持基板
12 音響多層膜
12a 低音響インピーダンス層
12b 高音響インピーダンス層
12c 凹所
20 下部電極
30 圧電体薄膜
40 上部電極
Claims (4)
- 支持基板と、支持基板の主表面側に形成されバルク弾性波を反射する音響多層膜と、音響多層膜における支持基板側とは反対側に形成された下部電極、下部電極における音響多層膜側とは反対側に形成された圧電体薄膜、および圧電体薄膜における下部電極側とは反対側に形成された上部電極からなる複数の共振子とを備えたBAW共振器の製造方法であって、
支持基板の主表面側に、SiO2からなり前記主表面側の全面を覆うようして設けられる低音響インピーダンス層と、SiO2より音響インピーダンスが高い材料からなり複数の共振子それぞれに対応するようにパターニングされた高音響インピーダンス層とを、最上層が低音響インピーダンス層となるように交互に積層して音響多層膜を形成した後に、
音響多層膜の表面側の全面に、当該表面の凹所を埋めるように下部電極の基礎となる導電性層を形成してから、導電性層における音響多層膜側とは反対側の表面を研磨によって平坦化した後に、導電性層の表面側に圧電体薄膜の基礎となる圧電体層を形成し、その後に、圧電体層、導電性層を順次パターニングして圧電体薄膜、下部電極を形成し、さらにその後に、圧電体薄膜における下部電極側とは反対側に上部電極を形成することを特徴とするBAW共振器の製造方法。 - 圧電体層はPZTからなることを特徴とする請求項1記載のBAW共振器の製造方法。
- 少なくとも導電性層において圧電体層と接触する部位は、PtもしくはIrからなることを特徴とする請求項2記載のBAW共振器の製造方法。
- 圧電体層を形成するにあたっては、ゾルゲル法を用いることを特徴とする請求項2または3記載のBAW共振器の製造方法。
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CN117353691B (zh) * | 2023-11-29 | 2024-04-12 | 荣耀终端有限公司 | 一种体声波滤波器的制造方法、体声波滤波器及通信设备 |
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