JP2002076822A - 圧電薄膜フィルタ - Google Patents

圧電薄膜フィルタ

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JP2002076822A
JP2002076822A JP2000258022A JP2000258022A JP2002076822A JP 2002076822 A JP2002076822 A JP 2002076822A JP 2000258022 A JP2000258022 A JP 2000258022A JP 2000258022 A JP2000258022 A JP 2000258022A JP 2002076822 A JP2002076822 A JP 2002076822A
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piezoelectric
filter
film
electrode
resonator
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JP2000258022A
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Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高周波数に対応でき、帯域幅の広く、かつ低損
失な圧電薄膜フィルタを提供する。 【解決手段】単一基板上11に設けられた複数の圧電共
振子を電気的に接続してなり、各圧電共振子が複数の薄
膜状の圧電体と複数の電極との積層体を具備してなるフ
ィルタであって、前記圧電共振子を構成する電極のうち
少なくとも一部がAuからなり、かつ圧電体が強誘電体
からなる複数の圧電分極体14及び16によって形成さ
れており、隣接する圧電分極体14及び16の分極方向
が異なることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話や無線L
AN等に用いられる圧電薄膜フィルタに関し、特に、圧
電体の厚み縦振動の共振を利用した圧電薄膜フィルタに
関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、無線通信や電気回路に用いられる周
波数の高周波数化が進んでおり、これに伴って、これら
の電気信号に対して用いられるフィルタも高周波数に対
応したものが要求され、開発が行われている。
【0003】最近は、特に、バルク・アコースティック
・ウェーブ・レゾネーター(BAWR)と呼ばれる共振
子を利用したフィルタの開発が進められている。これ
は、入力される高周波電気信号に対して、圧電体薄膜が
振動を起こし、その振動が、薄膜の厚さ方向に共振を起
こすことを用いた共振子であり、これを複数用いること
により、GHz領域の高い共振周波数に対応したフィル
タが期待されている。
【0004】BAW共振子を用いたフィルタとしては、
BAW共振子を電気的に接続した電気的結合型フィルタ
と、圧電共振子を積層し、2つの振動体間での音響的エ
ネルギー伝搬を用いた音響結合型フィルタが提案されて
いる。
【0005】どちらのタイプのフィルタにおいても圧電
体薄膜の材料は、比較的作製が制御しやすいZnOもし
くは音速の大きなAlNが用いられていた。音速が大き
い為、高周波化が容易であるが、これらの圧電体、特に
AlNは、圧電性が小さく、大容量の情報量に対応した
広帯域フィルタの実現は、困難であった。
【0006】そのため、近年、広帯域フィルタを実現す
る目的で、圧電体として圧電性が大きく広帯域フィルタ
の実現が可能な強誘電体薄膜を用いたBAW共振子が提
案されている。例えば、特開平10−209793号公
報には、圧電体膜として電気機械結合係数の大きなPZ
T膜、PT膜を用い、広帯域なフィルタを実現できる事
が示唆されている。
【0007】また、PbTiO3膜を圧電体として用い
て、モノリシック・クリスタル・フィルター(MCF)
を実現した報告がなされている(三菱電機技報Vol.
73、No.2、pp.37−40、1999年)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記文
献に記載されたPbTiO3強誘電体膜を用いてMCF
を構成した場合、PbTiO3のようなPb酸化物との
反応性の小さいPtを下部電極材料として使用している
為、Ptの大きな抵抗に起因して共振子Q値が小さく、
フィルタを構成した場合、挿入損失が非常に大きいとい
う問題があった。これは、圧電性の大きい圧電体を用い
た共振子においては、圧電体の共振抵抗が小さく、電極
の抵抗が共振子のQ値を左右してしまう為である。
【0009】また、MCFは音響結合型フィルタである
ため、電気的接続型フィルタである梯子型フィルタのよ
うに、共振周波数の異なる2種類の共振子によりフィル
タを構成するのではなく、単一種類の共振子でフィルタ
を構成する為、電気機械結合係数の大きなPbTiO3
を用いても、広帯域化が困難であり、また急峻なフィル
タ特性を得にくいという問題があった。
【0010】また、特開平10−209793号公報に
記載のフィルタでは、強誘電体で電気機械結合係数の大
きなPbTiO3を用いており、電極との反応を抑制す
る為に、Pt電極が使われるている。このため、Ptの
抵抗はSAWフィルタの櫛型電極に使用されているAl
の約5倍の抵抗率を持っているため、Pt電極により共
振子のQ値は大きく減少し、深刻な損失を引き起こすと
いう問題があった。
【0011】さらに、強誘電体を用いてBAW共振子を
構成し、梯子型フィルタのような電気的接続によりフィ
ルタを構成した場合、強誘電体の硬度が小さく音速が小
さいため、2GHz帯以上の高周波化を実現する為に
は、サブミクロン以下の膜厚が必要となり、非圧電体で
ある電極等による振動を抑制する負荷が無視できなくな
り、大きな挿入損失を引き起こしてしまうという問題が
あった。
【0012】したがって、本発明は、帯域幅が広く、高
周波数に対応でき、かつ低損失なBAWフィルタを提供
することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電薄膜フィル
タは、圧電共振子の圧電体に強誘電体を、内部電極に金
を用いるとともに、圧電体を分極方向の異なる圧電分極
体で構成することで、広帯域及び高周波数に対応し、低
損失なフィルタを実現できるという知見に基づくもので
ある。
【0014】即ち、単一基板上に設けられた複数の圧電
共振子を電気的に接続してなり、各圧電共振子が複数の
薄膜状の圧電体と複数の電極との積層体を具備してなる
フィルタであって、前記圧電共振子を構成する電極のう
ち少なくとも一部がAuからなり、かつ圧電体が強誘電
体からなる複数の圧電分極体によって形成されており、
隣接する圧電分極体の分極方向が異なることを特徴とす
るものである。
【0015】この構成によれば、圧電体に強誘電体を用
いることにより広帯域を実現し、電極の一部にAuを用
いることにより、電極の電気抵抗に起因したQ値の低下
を抑制し、高い共振子Q値を実現し、低損失なGHz帯
フィルタを実現できる。
【0016】特に、隣接する前記圧電分極体の分極方向
がお互いに逆方向であることが好ましい。これにより、
電気機械結合係数を大きく低減する事なく高次高調波を
励振できるため、より高周波に対応した広帯域フィルタ
を実現できる。
【0017】また、前記圧電分極体の厚みが、それぞれ
1μm以下であることが好ましい。これにより、GHz
帯の周波数に対応することができる。
【0018】さらに、前記強誘電体がPbZrTiO3
系材料及び/又はPbTiO3系材料からなることが好
ましい。これにより、さらに広帯域のフィルタを実現で
きる。
【0019】さらにまた、前記単一基板に振動空間が設
けられており、前記圧電共振子が、該振動空間を有する
基板と、該基板上に前記振動空間を被覆するように設け
られた支持膜とを具備し、該支持膜上に前記積層体が形
成されてなることが好ましい。これにより、フィルタの
小型化が可能となる。
【0020】さらに、前記支持膜が窒化珪素からなると
共に、該支持膜上にAuからなる電極が形成されてお
り、前記Au電極と前記支持膜との間にTi化合物が設
けられていることが好ましい。これにより、支持膜と電
極との密着性を高めることができ、その結果、破壊する
ことなくフィルタを作製できる。また、電極表面の平滑
性を確保できる為、均一な膜厚制御により損失を増大す
る事なく所望の周波数でのフィルタ特性を再現性良く得
る事ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明を図1に例示した圧電薄膜
フィルタを用いて説明する。図1は、圧電共振子を電気
的に接続してなるフィルタの例であり、直列接続の圧電
共振子1、2及び3と平列接続の圧電共振子4及び5
が、梯子型に接続されている。
【0022】なお、図1に示すフィルタは5個の圧電共
振子1〜5を具備するが、2個以上であれば特に制限は
ないが、フィルタ特性の急峻性に優れるという観点で、
3個以上、特には5個以上が好ましい。
【0023】このフィルタを構成する圧電共振子は複数
の薄膜状の圧電体と複数の電極とを積層してなる積層型
BAW共振子であって、図2に示すような構造を有して
いる。即ち、基板11上に振動空間Aに面するように、
支持膜12が設けられており、支持膜12上に、下部電
極13、圧電分極体14、分極用電極15、圧電分極体
16及び上部電極17が順次設けられてなる振動体18
が形成されている。
【0024】本発明に用いられる圧電体19は、強誘電
体であることが重要である。すなわち、強誘電体ではな
い典型的な圧電体であるZnO、AlNにおいては外部
電界による分極反転は不可能であり、実質上分極の制御
は困難である。しかし、圧電体が強誘電体であれば、分
極軸の向きを分極用電極を用いて容易に逆向きにできる
ため、分極方向の異なる圧電体を積層させることによ
り、各圧電体に半波長の定在波を固定させることができ
る。
【0025】また、圧電体は、厚み縦振動の電気機械結
合係数が6%以上であることが好ましく、それを実現す
るためには、圧電体材料にPbZrTiO3系材料及び
/又はPbTiO3系材料を用いることが望ましい。
【0026】PbZrTiO3系材料は、電気機械結合
係数が大きく、また、抗電界が比較的小さい為、分極を
効率よく行うことができるため、大きな電気機械結合係
数が容易に得られ、広帯域なフィルタを実現できる。
【0027】また、PbTiO3系材料は、電気機械結
合係数はPbZrTiO3系材料に比べ若干小さいもの
の、フィルタの挿入損失を左右する機械的品質係数が大
きく、広帯域で低損失なフィルタを実現できる。
【0028】PbZrTiO3系材料及び/又はPbT
iO3系材料からなる圧電分極体14及び16は、高周
波マグネトロンスパッタ法等の気相成膜法やゾルゲル法
等の溶液法で形成できる。
【0029】ここで、PbZrTiO3系材料とは、P
bZrTiO3を主体とする材料で、例えば、Pb(Z
0.53Ti0.47)O3等が挙げられる。また、PbTi
3系材料とは、PbTiO3を主体とする材料で、例え
ば、(Pb1-xLax)TiO3等が挙げられる。
【0030】ここで、圧電体19は、図2のように、分
極方向の異なる2つの層である圧電分極体14及び16
からなる積層体であることが重要であり、その結果、従
来の単層構造に比べて同じ周波数を得ながら、しかもフ
ィルタ全体の厚みが大きい分だけフィルタの強度を向上
でき、安定した動作を得ることができ、また寿命も長く
することができる。
【0031】特に、隣接する圧電分極体の分極方向がお
互いに反対であることが好ましい。分極方向が反対にな
ることにより、エネルギー損失が最小となり、効率の良
いフィルタを実現できる。なお、圧電分極体の数は、図
2においては2つであるが、3つ以上あっても何ら差し
支えない。
【0032】また、それぞれ一定方向に分極された圧電
分極体の厚みが、各々1μm以下、特に0.7μm以
下、さらには0.5μm以下であることが好ましい。す
なわち、図2における圧電分極体14及び16は、お互
いに逆向きの分極方向を持っており、これらの膜厚が各
々1μm以下であることが好ましいのである。
【0033】これは、圧電体19の振動周波数が膜厚に
依存するためであり、膜厚が小さいほど周波数が大きく
なり、膜厚が大きくなると周波数が小さくなるからであ
る。そして、GHz帯でフィルタを使用されるために
は、個々の圧電体、即ち圧電分極体の膜厚をそれぞれ1
μm以下にする必要がある。
【0034】さらに、圧電分極体14及び16の膜厚が
略同一であることが望ましい。図2においては、圧電分
極体14及び16の膜厚が略同一になることが望まし
い。そして、圧電分極体14及び16の膜厚が略同一で
ある時、最も効率よく共振する。
【0035】また、圧電共振子を構成する電極の一部に
Auを用いることが重要である。Auは抵抗率がAlと
同程度であり、Ptの1/5程度であるため、共振子Q
値を大きくできる為、低損失なフィルタを作製できる。
例えば、図2の圧電共振子において、下部電極13及び
分極用電極15にAuを用いることができる。
【0036】また、図1に示したフィルタの配線材料
は、Au及び/又はAlを用いることが望ましい。抵抗
率の小さいAu及び/又はAlを配線に用いることによ
り、配線抵抗に起因したQ値の低下を低減できるため、
低損失なフィルタを実現できる。
【0037】上部電極17は、低抵抗、低比重による低
質量負荷の点からAlが望ましい。下部電極13、上部
電極17の膜厚は、フィルタ周波数に影響を小さくする
とともに、導電性を確保するために、20〜300nm
の範囲とすることが望ましい。また、電気抵抗と質量負
荷効果を考慮すると、特に50〜200nmが望まし
い。
【0038】なお、Au電極膜を高い密着強度で基板1
1上に形成された支持膜12上に形成するために、下部
電極13と支持膜12の間にTiO2膜とTi膜の積層
体を導入する事が望ましい。
【0039】また、図1において、直列接続の圧電共振
子1、2及び3の共振周波数に、並列接続の圧電共振子
4及び5の反共振周波数を一致させるため、並列接続の
圧電共振子4及び5の上部電極は、直列共振子の上部電
極と同一材料であるが膜厚を大きくし、質量負荷を大き
くしている。
【0040】特に、支持膜12に代表的支持体材料であ
るSiNx(1≦X≦1.33)を用いた場合、とAu
の間の密着性は小さいため共振子構造の作製プロセス中
の破壊確率が大きいが、窒化物であるTiNxが生成相
の1つとして存在するTi化合物を中間層として用いる
ことにより、SiNxとTiO2の界面においてO−Ti
−N結合を形成することにより、Au、TiとSiNx
の密着性を改善できる。
【0041】なお、分極用電極15の膜厚はできるだけ
小さいことが望ましい。
【0042】下部電極13、分極用電極15、上部電極
17は、高周波マグネトロンスパッタ法等の気相成膜法
により形成できる。
【0043】基板11は、砒化ガリウム(単結晶)、シ
リコン又はサファイアなどであり、基板11表面に形成
する圧電体19の表面が平滑になるために、十分な平坦
度と表面粗さ、例えば1μm以下の平坦度とRa0.1
μm以下の表面粗さを保有していれば、特に材料を限定
するものではない。
【0044】また、基板11は、KOH等を用いた化学
的エッチング法や、反応性イオンエッチング法等を用い
たエッチングにより、振動空間Aが設けられている。な
お、基板11の振動空間Aとは、圧電体19の振動を基
板11に伝達しないための空間を言い、基板11に貫通
孔を形成したり、基板11の下部電極13を形成する部
分に凹状の窪みを形成したりすることにより作製され
る。
【0045】なお、本発明の圧電薄膜フィルタは、基板
11の単一基板上に図2で示される圧電共振子を必要な
数だけ形成し、電気接続しても良いが、基板11の単一
基板上に単一の支持膜12を形成し、その上に複数の振
動子を形成して電気接続しても、さらにこれらを組合せ
てもかまわない。
【0046】以上のように構成された本発明の圧電薄膜
フィルタでは、圧電共振子の圧電体を、分極方向が互い
に逆方向の2層以上の強誘電体からなる積層体とするこ
とにより、振動体の厚みが大きくなっても、低損失で広
帯域な高周波用フィルタが実現できる。
【0047】
【実施例】実施例1 図1に示す圧電薄膜フィルタを作製した。圧電薄膜フィ
ルタを構成する圧電共振子構造は、図2に示す積層型B
AW共振子である。
【0048】最初にSi基板の両面に、減圧CVD法に
より窒化珪素膜(以後SN膜という)を形成した後、下
部電極を形成した。即ち、RFマグネトロンスパッタ法
により100nmのTi膜を形成し、それを600℃で
酸化処理してTiO2膜を形成した。次いで、10nm
のTi膜及び160nmのAu膜をRFマグネトロンス
パッタ法により形成した。その時、Arをスパッタガス
として用い、RFパワーをそれぞれ300W及び100
W、基板温度を300℃とした。これらのAu膜及びT
i膜は、フォトリソグラフ法と化学的エッチング法によ
り、電極形状に加工された。
【0049】次に、ゾルゲル溶液を以下のように作製し
た。酢酸Pb無水物、Zrイソプロポキシド、Tiイソ
プロポキシドを出発原料とし、2−メトキシエタノール
を溶媒として作製した。Zr、Ti原料を、溶媒の2−
メトキシエタノールと混合、溶解し、1mol/l濃度
のZr、Ti溶液を作製した。このZr及びTi溶液を
1:3の組成比で混合し、酢酸鉛と溶媒を混合し、12
4℃で2時間還流処理を行った。室温へ冷却後、所定量
のアセチルアセトンを添加、混合してゾルゲル溶液を作
製した。
【0050】さらに、作製した上記ゾルゲル溶液を用い
て、Au膜、Ti膜の上に、ゾルゲル法により圧電分極
体としてPbZrTiO3膜を形成した。即ち、1mo
l/l濃度ゾルゲル溶液をスピンコート法により塗布
し、360℃で3分間熱処理してゲル膜を作製した。塗
布、熱処理を6回繰返した後、700℃で5分間焼成し
た。得られたPbZrTiO3の膜厚は420nmであ
った。
【0051】次に、DCスパッタ法により、Ti膜、A
u分極用電極を形成した。基板温度は300℃、膜厚は
それぞれ10nm、150nmであった。Au、Ti電
極をフォトリソグラフ法と化学的エッチング法により、
電極形状に加工した。
【0052】その上に、圧電分極体16としてPbZr
TiO3膜をゾルゲル法により、以下のように形成し
た。溶液塗布、熱処理によるゲル膜形成工程を圧電分極
体14と同様の条件で6回繰り返した。得られたPbZ
rTiO3の膜厚は420nmであった。PZTからな
る圧電分極体の膜厚の合計は840nmであった。
【0053】次に、フォトリソグラフ法と化学エッチン
グ法により、圧電体を加工した。
【0054】そして、並列接続の圧電共振子の反共振周
波数を直列接続の圧電共振子の共振周波数と一致させる
ために、質量負荷膜の形成をリフトオフ法により行っ
た。即ち、レジストを形成し、パターン加工後、Alを
RFマグネトロンスパッタ法により形成し、アセトンに
より不要部分を除去した。次いで、並列接続の圧電共振
子の厚みを調整するために、AlをRFマグネトロンス
パッタ法により形成し、フォトリソグラフ法と化学的エ
ッチング法により電極形状に加工し、上部電極とした。
スパッタ条件は、RFパワー300W、Arをスパッタ
ガスとし、基板温度は100℃であった。膜厚は100
nmであった。
【0055】次に、電極、圧電体を形成加工した面と反
対の基板面に減圧CVDで形成した窒化珪素膜を、フォ
トレジスト法とRIEを用いてパターニングし、専用治
具を用いることによりKOH溶液によりSi基板をエッ
チング除去し、基板にビアホールを形成し、フィルタ構
造を作製した。
【0056】最後に、圧電分極体が互いに逆方向の分極
方向を示すように分極した。分極条件は、80℃、DC
電圧10V、10秒間である。
【0057】得られた積層型BAWフィルタのフィルタ
特性は、RFネットワークアナライザHP8719C
(ヒューレットパッカード社製)と、RFマイクロプロ
ーブを用い、S21の周波数特性を測定する事により評
価した。−3dBの周波数幅を帯域幅とした。
【0058】その結果、約2.3GHzでフィルタ特性
を示し、挿入損失は、−2.6dB、125MHzの帯
域幅が得られた。また、帯域外減衰量は−28dBであ
った。比較例1共振子を従来の単層構造とする以外は、
実施例と同様に作製した圧電薄膜フィルタについてフィ
ルタ特性を評価した。作製した圧電体の厚さは、実施例
1の2層積層共振子の合計の層厚に近い層厚とした。分
極用電極の製膜を行わず、PZTゾルゲル膜のみを作製
した。圧電体PZT膜の厚さは700nmであった。
【0059】その結果、約1.59GHzでフィルタ特
性を示した。帯域幅は、140MHz、挿入損失は、−
2.4dBであった。圧電体の厚さが実施例1の840
nmに比べて小さいにもかかわらず、フィルタ周波数
は、実施例1の約70%と小さかった。比較例2積層型
共振子構造において下部電極及びフィルタの配線材料を
AuではなくPtを用い、実施例1と同様に図1のフィ
ルタを作製した。各圧電体、電極の厚さは実施例1と同
様である。下部電極及びフィルタ配線であるPt膜は、
RFマグネトロンスパッタ法により作製した。RFパワ
ー100W、基板温度300℃で作製した。また、Pt
のパターニングは、マスクを用いてArイオンビームに
より行った。
【0060】その結果、2.35GHzにおいてフィル
タ特性を示した。帯域幅は130MHzであり、帯域外
減衰量は−32dBであったが、挿入損失は、−9.5
dBと非常に大きかった。
【0061】
【発明の効果】本発明の圧電薄膜フィルタは、積層型B
AW共振子を用いるため高調波を効率よく励起でき、同
じ圧電体の厚さでもより高周波のフィルタを実現でき
る。また、圧電性の大きい強誘電体を圧電体として用い
るため、広帯域で高帯域外減衰量を示すフィルタを実現
できる。さらに、電極材料として電気抵抗の小さいAu
を用いるため、低挿入損失なフィルタを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電薄膜フィルタの構造を示す図であ
る。
【図2】本発明の圧電薄膜フィルタを構成する積層BA
W共振子の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2、3・・・直列接続の圧電共振子 4、5・・・並列接続の圧電共振子 6・・・入力区端子 7・・・出力区端子

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単一基板上に設けられた複数の圧電共振子
    を電気的に接続してなり、各圧電共振子が複数の薄膜状
    の圧電体と複数の電極との積層体を具備してなるフィル
    タであって、前記圧電共振子を構成する電極のうち少な
    くとも一部がAuからなり、かつ圧電体が強誘電体から
    なる複数の圧電分極体によって形成されており、隣接す
    る圧電分極体の分極方向が異なることを特徴とする圧電
    薄膜フィルタ。
  2. 【請求項2】隣接する前記圧電分極体の分極方向が互い
    に反対方向であることを特徴とする請求項1記載の圧電
    薄膜フィルタ。
  3. 【請求項3】前記圧電分極体の厚みが、それぞれ1μm
    以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電
    薄膜フィルタ。
  4. 【請求項4】前記強誘電体がPbZrTiO3系材料及
    び/又はPbTiO3系材料からなることを特徴とする
    請求項1乃至3のうちいずれかに記載の圧電薄膜フィル
    タ。
  5. 【請求項5】前記単一基板に振動空間が設けられてお
    り、前記圧電共振子が、該振動空間を有する基板と、該
    基板上に前記振動空間を被覆するように設けられた支持
    膜とを具備し、該支持膜上に前記積層体が形成されてな
    ることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記
    載の圧電薄膜フィルタ。
  6. 【請求項6】前記支持膜が窒化珪素からなると共に、該
    支持膜上にAuからなる電極が形成されており、前記A
    u電極と前記支持膜との間にTi化合物が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記
    載の圧電薄膜フィルタ。
JP2000258022A 2000-08-28 2000-08-28 圧電薄膜フィルタ Pending JP2002076822A (ja)

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