JP2000165188A - 圧電共振子 - Google Patents

圧電共振子

Info

Publication number
JP2000165188A
JP2000165188A JP10339358A JP33935898A JP2000165188A JP 2000165188 A JP2000165188 A JP 2000165188A JP 10339358 A JP10339358 A JP 10339358A JP 33935898 A JP33935898 A JP 33935898A JP 2000165188 A JP2000165188 A JP 2000165188A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
thin film
resonance frequency
temperature coefficient
resonator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10339358A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
Hiroyuki Nishikawa
洋行 西川
Kenichi Yoshimura
健一 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP10339358A priority Critical patent/JP2000165188A/ja
Publication of JP2000165188A publication Critical patent/JP2000165188A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】挿入損失が小さく、圧電体薄膜の電気機械結合
係数を高く維持できるとともに、共振周波数の温度係数
を0に近づけられる圧電共振子を提供する。 【解決手段】振動空間Aを有する基体1と、圧電体薄膜
3の両面に電極4、5を形成してなり、振動空間Aに面
するように基体1に配置された振動体2とを具備すると
ともに、圧電体薄膜3が、共振周波数の温度係数が正の
圧電体3aと、共振周波数の温度係数が負の圧電体3b
とを積層して構成されているものであり、ダイヤモンド
からなる支持膜9が基体1の振動空間Aに面するように
基体1に配置され、この支持膜9に振動体2が配置され
ていても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧電共振子に関し、
圧電体薄膜の厚み縦振動の共振を利用した圧電共振子に
関するものである。
【0002】
【従来技術】無線通信や電気回路に用いられる周波数の
高周波数化に伴い、これらの電気信号に対して用いられ
るフィルターも高周波数に対応したものが開発されてい
る。
【0003】特に、最近注目されているのは、固体の表
面を伝わる音響波である表面弾性波の共振を用いる、S
AWレゾネーターを用いたフィルターである。このフィ
ルターは、固体表面上に形成した櫛形の電極間に印加さ
れる高周波電界と表面弾性波の共振を用いており、1G
Hz程度までの共振周波数を持つフィルターが作製され
ている。
【0004】しかしながら、SAWフィルターは、その
櫛形電極間距離が、共振周波数に反比例するという関係
にあるため、1GHzを越える周波数領域では、櫛形電
極間距離がサブミクロンオーダーとなり、電極作製技術
において非常な困難が生じている。
【0005】今後、無線通信に用いられる電磁波の周波
数は、ますます高くなるものと予想され、既に、数GH
z以上の規格策定の動きもあることから、それらの周波
数に対応した、安価で高性能なフィルターが求められて
いる。
【0006】こうした要求に対して、新たに、圧電性を
示す薄膜の共振を利用した共振子が提案されている。こ
れは、入力される高周波電気信号に対して、圧電体薄膜
が振動を起こし、その振動が、圧電体薄膜の厚さ方向に
おいて共振を起こすことを用いた共振子である。
【0007】この共振子は、表面弾性波ではなく固体中
を伝播する弾性波を用いることから、バルク・ アコース
ティック・ ウェーブ・ レゾネーター(以下、BAWRと
いう)と呼ばれている。このBAWRを構成する圧電体
薄膜の膜厚の制御は、サブミクロン以下の精度で可能で
あるため、SAWフィルターに比べて、より高い周波数
の共振周波数を持つレゾネーターの作製が可能となると
期待され、開発が進められてきた。
【0008】従来のBAWRとしては、図3に示すよう
に、基体11と、該基体11表面に形成された支持膜1
3と、該支持膜13上に形成されたバッファー層15
と、該バッファー層15上に形成された第1電極16
と、該第1電極16上に形成された圧電体薄膜17と、
該圧電体薄膜17上に形成された一対の第2電極18と
からなるものである(USP4,320,365参
照)。支持膜13は、基体11に形成された空間Aを被
覆するように、基体11上面に支持膜13を形成するこ
とにより、支持膜13の空間Aに接する部分が振動する
ことになる。
【0009】従来のBAWRでは、圧電体薄膜材料とし
てZnO、AlN、CdS等が用いられ、基体材料とし
て主にSiが用いられ、電極材料としてAl、Auが用
いられており、圧電薄膜を支える支持膜としては、バル
クのSiや、SiO2 が用いられてきた。
【0010】特にSiO2 は、文献(Electronics Lett
ers vo.17, No.14, pp507-509 (1981))に報告されてい
るように、圧電体の共振周波数の温度係数と逆符号の温
度係数を持つ。このため、共振子の共振周波数の変化を
補償し、零温度係数を実現でき、この理由により標準的
支持膜として使用されてきた。また、特開昭58−13
7317号公報には、圧電体薄膜中に、非圧電体である
SiO2 を挿入し、零温度係数を実現する例が開示され
ている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記文
献に開示されたSiO2 は非晶質であることから、強度
が不十分であり、膜厚を大きくしなければ十分な強度が
得られなかった。また、SiO2 は非晶質であるため、
振動の減衰、すなわち挿入損失が大きく、膜厚の増大と
共に損失が大きな問題となっていた。
【0012】また、特開昭58−137317号公報に
開示された圧電共振子では、圧電体薄膜中に非圧電体で
あるSiO2 を挿入していたため、非圧電体であるSi
2が圧電振動を抑制し、SiO2 の膜厚が大きくなる
と共振周波数を低下させるとともに、フィルターの比帯
域幅を決定する圧電体薄膜の電気機械結合係数の減少を
引き起こすという問題があった。
【0013】従って、圧電体薄膜の共振周波数の温度変
化を補償し、零温度係数を実現するための手段としての
SiO2 膜の積層は、共振子の性能を大きく損なうた
め、近年においては、SiO2 層の積層に代わる温度補
償手段が望まれていた。
【0014】本発明は、挿入損失が小さく、圧電体薄膜
の電気機械結合係数を高く維持できるとともに、共振周
波数の温度係数を0に近づけることができる圧電共振子
を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電共振子は、
振動空間を有する基体と、圧電体薄膜の両面に電極を形
成してなり、前記振動空間に面するように前記基体に配
置された振動体とを具備するとともに、前記圧電体薄膜
が、共振周波数の温度係数が正の圧電体と、共振周波数
の温度係数が負の圧電体とを積層して構成されているも
のである。
【0016】ここで、ダイヤモンドからなる支持膜が基
体の振動空間に面するように前記基体に配置され、この
支持膜に振動体が配置されていることが望ましい。ま
た、圧電体薄膜が、金属元素としてPb、ZrおよびT
iを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなること
が望ましい。さらに、圧電体薄膜の膜厚が2μm以下で
あることが望ましい。
【0017】
【作用】本発明では、圧電体薄膜を、共振周波数の温度
係数が正の圧電体と、共振周波数の温度係数が負の圧電
体とから構成したので、圧電体薄膜自身の共振周波数の
温度係数を0に近づけることができ、従来のようなSi
2 からなる支持膜なしでも共振周波数の温度変化率の
小さな共振子を提供できる。また、SiO2 の様な弾性
的に柔らかく、超音波の吸収の大きな非圧電体層を内蔵
しないため、損失の増大がなく、低損失で温度特性に優
れた共振子を提供できる。
【0018】また、本発明では、圧電体薄膜を、金属元
素としてPb、ZrおよびTiを含有するペロブスカイ
ト型複合酸化物からなる強誘電体薄膜で構成することに
より、電気機械結合係数の大きい強誘電体を圧電体とし
て使用でき、共振周波数と反共振周波数の周波数差の大
きい共振子を構成できる。また、フィルタを構成した
時、比帯域幅の大きい広帯域フィルタを実現できる。さ
らに、比誘電率が大きいため、圧電共振子のサイズ(面
積)を小さくでき、支持膜なしでも共振子構造を維持で
きる。
【0019】さらに、支持膜上に、圧電体薄膜を一対の
電極により挟持した振動体を形成する場合においても、
ダイヤモンドを支持膜として用いることにより、電気機
械結合係数を大幅に減少させることなく、また超音波の
大きな吸収が無いため損失の増大を引き起こすことな
く、高強度の圧電共振子を得ることができる。
【0020】即ち、支持膜を使用する場合は、若干電気
機械結合係数が小さくなるが、ダイヤモンドを支持膜と
して使用する。天然のダイヤモンドは、周知のとおり、
最も硬度が高く、音速も大きい材料である。また、結晶
質の薄膜を得ることが可能であり、硬度や密度、音速と
いった特性が、天然の結晶ダイヤモンドとほぼ同じ値を
持つ薄膜を得ることも可能であることが知られている。
【0021】ダイヤモンドの音速は圧電体の3〜6倍に
も達することから、圧電体/支持膜の複合振動体を考え
る場合、複合振動体に1波長の定在波を生じる2次波に
おいて、ダイヤモンドの膜厚は圧電体の3〜6倍とな
る。複合振動体に1/2波長の定在波がたつ基本波で考
えると、ダイヤモンドの膜厚が小さければ小さいほど大
きな電気機械結合係数が得られるが、ダイヤモンドの膜
厚が圧電体と同程度以下であればその大きな音速から振
動体の電気機械結合係数を大きく減少させることなく、
基本振動を励振できる。
【0022】また、ダイヤモンド膜は、弾性的温度係数
(共振周波数の温度係数)がー14ppm/℃と非常に
小さく、実用上問題とならない。また、さらなる高精度
が要求される場合は、圧電体薄膜の温度係数で十分補償
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の圧電共振子の断
面図を示すもので、圧電共振子は、振動空間Aを有する
基体1と、振動空間Aに面するように基体1に配置され
た振動体2ととから構成されており、この振動体2は、
圧電体薄膜3の下面に下側電極4、上面に一対の上側電
極5を形成して構成されている。
【0024】そして、圧電体薄膜3が、共振周波数の温
度係数が正の圧電体3aと、共振周波数の温度係数が負
の圧電体3bとを積層して構成されている。
【0025】基体1は、例えばシリコンからなり、エッ
チングすることにより貫通孔を形成し、振動空間Aが形
成されている。この振動空間Aは、振動体2の振動を基
体1に伝達しない空間であり、基体に貫通孔を形成した
り、基体に凹部を形成したりして形成できる。
【0026】圧電体薄膜3には、Pb(Zr,Ti)O
3 を基本組成とする強誘電体薄膜が用いられる。このよ
うに圧電体薄膜をPb、TiおよびZrを含有するペロ
ブスカイト構造をもつ強誘電体薄膜としたのは、基本材
料であるPb(Ti,Zr)O3 は大きな電気機械結合
係数を示し、広帯域フィルターが構成可能である上に、
組成相境界と呼ばれる2つの異なる結晶形態が競合する
組成領域で大きな電気機械結合係数を減少させることな
く、負の弾性的温度係数を示すためである。
【0027】これは、Zr/Ti比により正方晶構造
と、菱面体晶構造の2つの結晶構造を取りうるためであ
る。それぞれの結晶構造では温度係数は負であり温度と
共に音速は小さくなるが、正方晶構造の音速が菱面体構
造の音速に比べ大きいため、正方晶構造が高温側に存在
する組成相境界では、温度の上昇とともに菱面体相から
正方晶相へとかわる時に、見かけ上、音速の温度係数が
正になる為である。
【0028】また、強誘電体とすることで、大きな比誘
電率を利用することができる。マイクロ波用共振子/フ
ィルタは50Ωのインピーダンスを標準インピーダンス
として設計されるが、共振子のインピーダンスは共振子
の静電容量と周波数の積の逆数でほぼ決まる。ZnO、
AlNのような強誘電体でない圧電体においては、比誘
電率が小さいため電極面積、ひいては共振子のサイズが
数100μm□のオーダーになる。
【0029】従って、比誘電率が1桁〜2桁大きい強誘
電体を用いることによりサイズを100μm□より小さ
くできるため、支持膜なしでも共振子自身が自立膜とし
て十分な強度を得ることができる。非圧電体である支持
膜を含まない電極/圧電体/電極からなる振動体構造が
最も効率よく共振を生じるのは明らかである。
【0030】圧電体薄膜3の膜厚は2μm以下であるこ
とが望ましい。これは、圧電厚み縦振動により1GHz
以上の共振周波数を得る為には、圧電体薄膜の膜厚は2
μm以下で十分であるからである。圧電体薄膜の膜厚
は、製造の容易性、分極処理の容易性から、1.5μm
以下が好ましく、さらに膜の絶縁性を考慮すると0.3
μm〜1.5μmが望ましい。
【0031】この圧電体薄膜3を挟持する電極4、5に
は、従来より多く用いられているAl、Pt、Au等比
較的反応性が低い金属材料が用いられる。圧電体薄膜と
の反応を考慮すると、電極層材料としては、反応性の低
いPtが望ましい。また、密度と電気抵抗率を考慮する
とAlが望ましい。
【0032】また、本発明では、図2に示すように、ダ
イヤモンドからなる支持膜9が基体1の振動空間Aに面
するように基体1に配置され、この支持膜9に振動体3
を配置して構成しても良い。
【0033】ダイヤモンドは機械的強度が大きいため
に、支持膜として大きな機械的強度を与えると共に、音
速が極めて大きいために、超音波の減衰も問題にならな
い。また、極めて硬いため、弾性定数の温度係数も−1
4ppm/℃と極めて小さく、ダイヤモンドからなる支
持膜を共振子に組み込んでも問題とならない。また、高
精度を要求される場合においてもダイヤモンド膜の温度
係数が十分小さいため、強誘電体の組み合わせにより、
零温度係数を実現できる。
【0034】尚、上記例では、圧電体薄膜3を、共振周
波数の温度係数が正の圧電体3aと、共振周波数の温度
係数が負の圧電体3bとを積層して構成した例について
説明したが、共振周波数の温度係数が正と負の圧電体を
複数積層しても良い。
【0035】
【実施例】実施例1 先ず、Si基板の両面にSixNy膜をCVD法により
形成した。基板表面には全面に、裏面にはパターン形成
を行った。KOH溶液により、Si基板を異方性エッチ
ングし、貫通孔(振動空間)を形成した。
【0036】次に、マグネトロンスパッタ法を用いて、
SixNy膜表面に、500℃で150nm膜厚のPt
からなる電極を形成し、その上に、ゾルゲル法により、
モル比による組成式:Pb1.06Ba0.09{( Co0.16
0.26Nb0.58)0.1615 Cr0.0085}( Zr1-c
c 0.833 で示される圧電体薄膜を形成した。
【0037】即ち、Ti量の異なる1mol/l濃度の
溶液(c=0.57)と溶液(c=0.59)を作
製した。スピンコート法を用いて、Pt膜上に結晶膜を
形成した。まず溶液を用いて、溶液塗布、熱処理(3
80℃1分間)を5回繰り返した後、溶液を用いて、
同様に溶液塗布、熱処理を5回繰り返し、この後、70
0℃で15分間焼成し、結晶化した。溶液塗布から結晶
化に至る工程をもう一度繰り返し、膜厚1.2μmの4
層強誘電体薄膜を得た。
【0038】次に、その上にRFマグネトロンスパッタ
法によりマスク法を用いてAlからなる電極を形成し、
Si基板に振動体を形成した。最後に、裏面から反応性
イオンエッチングにより、SixNyを除去し、図1に
示すような圧電共振子を作製した。
【0039】次に、マイクロプローブと直流電源を用い
てポーリング処理を施した。共振子構造は、共振子が2
個直列に接続された構造と等価であるため、抗電界の2
倍以上の電界を印可する必要がある。室温で30Vの直
流電圧を30秒間印可し、分極処理を行った。
【0040】インピーダンス測定により、圧電共振特性
を評価した。共振周波数の温度係数は、ホットチャック
を組み込んだRFプローブを用いて行った。温度係数
は、25℃の共振周波数をfr(25℃)、85℃の共
振周波数をfr(85℃)とした時、{fr(85℃)
−fr(25℃)/fr(25℃)・Δt}(但し、Δ
t=85℃−25℃)で定義した。
【0041】尚、溶液を用いて、溶液塗布、熱処理を
5回繰り返した後、700℃で15分間焼成し、結晶化
した圧電体と、溶液を用いて、同様に溶液塗布、熱処
理を5回繰り返し、この後、700℃で15分間焼成
し、結晶化した圧電体について、共振周波数の温度係数
を測定したところ、溶液を用いた圧電体は+40pp
m/℃であり、溶液を用いた圧電体は−32ppm/
℃であった。
【0042】上記作製した共振子は、室温で共振周波数
fr=1.20GHz(基本波)、共振子Q=290、
温度係数+5ppm/℃、および電気機械結合係数kt
=0.32が得られた。
【0043】一方、溶液を用いて、圧電体薄膜が一種
の圧電体からなる従来の圧電共振子を、1.5μm膜厚
のSiO2 支持膜上に形成したところ、室温で共振周波
数fr=1.10GHz(ただし2次波)、共振子Q=
75、温度係数−12ppm/℃、および電気機械結合
係数kt=0.25が得られ、温度係数は小さいもの
の、SiO2 に起因して大きなQは得られなかった。
【0044】実施例2 先ず、プラズマCVD法により、ダイヤモンド薄膜をS
i(100)基板上に形成する。成長条件は、減圧下で
CH4 、CO2 、H2 混合ガスを用いて、マイクロ波を
6kwで入力し、膜厚が1μmのものを作製した。
【0045】天然のダイヤモンドの特性は、ヤング率
1.2×1012N/m2 、密度3.51g/cm3 、音
速は18500m/sであると報告されている。作製し
たダイヤモンド薄膜の特性は、密度が3.4g/c
3 、ヤング率が9.6×1011N/m2 であり、音速
は16800m/sであった。これは、天然のダイヤモ
ンドに比べれば若干小さいものの、SiO2 (溶融石
英)の音速5700m/sに比べても約3倍の値であ
り、CVD法等で作製されるアモルファスのSiO2
に比べると、さらに高音速である。
【0046】次に、この基板の裏側よりSiをエッチン
グし、ダイヤモンド薄膜層に達する貫通孔を作製し、振
動空間を形成する。ここで用いているダイヤモンド薄膜
は結晶質であり、しかも内部残留応力が小さいことが特
徴である。そのため、1μmの膜厚でも、残留応力によ
って自己破壊することなく自立膜を形成できる。
【0047】こうして作製したダイヤモンドのダイアフ
ラム(支持膜)の上に、上記実施例1と同様に振動体を
形成した。そして、上記実施例1と同様に、ポーリング
処理を行い、インピーダンス測定を行った。この結果、
室温で共振周波数fr=1.05GHz、共振子Q=2
50、温度係数−8ppm/℃、および電気機械結合係
数kt=0.28が得られた。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、圧電
共振子の圧電体薄膜を、共振周波数の温度係数の符号の
異なる2層以上の圧電体で構成し、圧電体薄膜自身の温
度係数を改善することにより、温度特性改善に有効であ
るが共振特性の劣化が著しいSiO2 支持膜がなくても
温度特性に優れ、高い電気機械結合係数を示す圧電共振
子を実現できる。
【0049】また、支持膜として温度係数が小さく、高
強度で高音速のダイヤモンド薄膜を用いることで、圧電
体薄膜の膜厚を小さくできるため、従来技術では得られ
なかった高い共振周波数をもち、かつ高い結合係数をも
つ圧電共振子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電共振子の基本的な構造の断面図で
ある。
【図2】支持膜を有する本発明の圧電共振子の基本的な
構造の断面図である。
【図3】従来の圧電共振子の基本的な構造の断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・基体 2・・・振動体 3・・・圧電体薄膜 3a、3b・・・圧電体 4、5・・・電極 9・・・支持膜 A・・・振動空間
フロントページの続き Fターム(参考) 5J108 AA07 BB08 CC01 CC11 DD01 DD06 DD07 EE03 EE07 EE13 KK02 KK07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動空間を有する基体と、圧電体薄膜の両
    面に電極を形成してなり、前記振動空間に面するように
    前記基体に配置された振動体とを具備するとともに、前
    記圧電体薄膜が、共振周波数の温度係数が正の圧電体
    と、共振周波数の温度係数が負の圧電体とを積層して構
    成されていることを特徴とする圧電共振子。
  2. 【請求項2】ダイヤモンドからなる支持膜が基体の振動
    空間に面するように前記基体に配置され、この支持膜に
    振動体が配置されていることを特徴とする請求項1記載
    の圧電共振子。
  3. 【請求項3】圧電体薄膜が、金属元素としてPb、Zr
    およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物から
    なることを特徴とする請求項1または2記載の圧電共振
    子。
JP10339358A 1998-11-30 1998-11-30 圧電共振子 Pending JP2000165188A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10339358A JP2000165188A (ja) 1998-11-30 1998-11-30 圧電共振子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10339358A JP2000165188A (ja) 1998-11-30 1998-11-30 圧電共振子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000165188A true JP2000165188A (ja) 2000-06-16

Family

ID=18326718

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10339358A Pending JP2000165188A (ja) 1998-11-30 1998-11-30 圧電共振子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000165188A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001203558A (ja) * 1999-11-11 2001-07-27 Murata Mfg Co Ltd 圧電共振子、フィルタ及び電子機器
JP2001211053A (ja) * 1999-11-17 2001-08-03 Murata Mfg Co Ltd 圧電共振子、電子部品及び電子機器
JP2002076822A (ja) * 2000-08-28 2002-03-15 Kyocera Corp 圧電薄膜フィルタ
US6441539B1 (en) * 1999-11-11 2002-08-27 Murata Manufacturing Co., Ltd. Piezoelectric resonator
JP2002299979A (ja) * 2001-03-05 2002-10-11 Agilent Technol Inc 共振器の製造方法
KR20030064530A (ko) * 2002-01-28 2003-08-02 엘지이노텍 주식회사 박막 용적 공진기
KR100425685B1 (ko) * 2001-09-21 2004-04-03 엘지전자 주식회사 박막 벌크 어쿠스틱 공진기를 이용한 대역통과 필터 및 듀플렉서 제조방법
GB2403064A (en) * 2003-06-09 2004-12-22 Agilent Technologies Inc TFBAR with coupling coefficient control layer
JP2021013133A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 国立大学法人東北大学 振動子およびセンサ素子

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001203558A (ja) * 1999-11-11 2001-07-27 Murata Mfg Co Ltd 圧電共振子、フィルタ及び電子機器
US6441539B1 (en) * 1999-11-11 2002-08-27 Murata Manufacturing Co., Ltd. Piezoelectric resonator
JP2001211053A (ja) * 1999-11-17 2001-08-03 Murata Mfg Co Ltd 圧電共振子、電子部品及び電子機器
JP2002076822A (ja) * 2000-08-28 2002-03-15 Kyocera Corp 圧電薄膜フィルタ
JP2002299979A (ja) * 2001-03-05 2002-10-11 Agilent Technol Inc 共振器の製造方法
KR100425685B1 (ko) * 2001-09-21 2004-04-03 엘지전자 주식회사 박막 벌크 어쿠스틱 공진기를 이용한 대역통과 필터 및 듀플렉서 제조방법
KR20030064530A (ko) * 2002-01-28 2003-08-02 엘지이노텍 주식회사 박막 용적 공진기
GB2403064A (en) * 2003-06-09 2004-12-22 Agilent Technologies Inc TFBAR with coupling coefficient control layer
GB2403064B (en) * 2003-06-09 2006-05-17 Agilent Technologies Inc Piezoelectric apparatus
JP2021013133A (ja) * 2019-07-09 2021-02-04 国立大学法人東北大学 振動子およびセンサ素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5446330A (en) Surface acoustic wave device having a lamination structure
US4456850A (en) Piezoelectric composite thin film resonator
EP2892153B1 (en) Piezoelectric acoustic resonator with adjustable temperature compensation capability
EP1557945B1 (en) Piezoelectric vibrator, filter using same, and method for adjusting piezoelectric vibrator
US6420820B1 (en) Acoustic wave resonator and method of operating the same to maintain resonance when subjected to temperature variations
KR100799391B1 (ko) 박막 음향공진기 및 그 제조방법
JP4478910B2 (ja) 圧電薄膜共振子
JP3514224B2 (ja) 圧電共振子、フィルタ及び電子機器
US7180390B2 (en) Electronic component and method for manufacturing the same
US7320164B2 (en) Method of manufacturing an electronic component
JP3514222B2 (ja) 圧電共振子、電子部品及び電子機器
WO2022134861A1 (zh) 一种频率可调的薄膜体声波谐振器及其制备方法
JP2000165188A (ja) 圧電共振子
Tomar et al. Temperature stability of ZnO thin film SAW device on fused quartz
JP2000278078A (ja) 圧電共振子
JP4730383B2 (ja) 薄膜音響共振器及びその製造方法
JP2001168674A (ja) 圧電共振子及び電子機器
JP3493315B2 (ja) 圧電共振子
Shao et al. Design and fabrication of Lamb wave resonator based on 15% scandium-doped aluminum nitride thin film
JP3723697B2 (ja) 圧電共振子
JP2005236338A (ja) 圧電薄膜共振子
Muralt et al. Piezoelectric materials parameters for piezoelectric thin films in GHz applications
JP3860698B2 (ja) 圧電共振子
JP2000165187A (ja) 圧電共振子
JP2000286668A (ja) 圧電共振子