JP4186300B2 - 弾性表面波素子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波特有の作用を用いたフィルタ、コンボルバ等の弾性表面波素子に関し、特に、電気機械結合係数に優れたKNbO3 単結晶中のKを一部置換したK1-xxNbO3 単結晶を圧電体層として用いた弾性表面波素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波素子とは、電気信号を弾性体表面を伝搬する弾性表面波(Surface Acoustic Wave )に変換し、特定周波数の信号を取り出すものである。この弾性表面波が圧電体基板で効率良く励振、受信できることが見い出されて以来、電磁波にはない弾性表面波の優れた性質を利用してフィルタ、コンボルバ等をはじめとする種々の信号機能素子への応用が研究され、広い分野で実用化されている。この弾性表面波素子は、従来、LiNbO3 、LiTaO3 等の圧電体単結晶上に、電気信号と弾性表面波との間の変換器として機能するすだれ状電極(Inter-digital Transducer)を形成することによって作製されていた。
【0003】
ところで、弾性表面波素子においては、弾性体表面を伝搬する弾性波の音速vとすだれ状電極の電極幅wによって使用周波数fが決定される。その関係は、
f=v/λ=v/4w (λ:弾性表面波の波長) …… (1)
すなわち、電極幅wが小さく、音速vが大きい程、高周波帯域で使用できることになる。ところが、今後の通信の分野等で要求されるGHzオーダーの高い周波数を得ようとすれば、電極幅に関しては微細加工技術の限界があることから、音速の大きい弾性体材料を選択する必要がある。音速の大きい弾性体材料の一例としてダイヤモンドがあり、特開昭64−62911号公報には、ダイヤモンド層上に圧電体層、電極層を順次積層した構造を持つ弾性表面波素子が開示されている。
【0004】
一方、弾性表面波素子の弾性体材料に求められる他の条件として、電気信号と弾性表面波の間の変換能力を示す電気機械結合係数K2 が大きいことが挙げられる。K2 が大きい程、効率の良い弾性表面波素子が得られるというわけである。この観点から、圧電性磁器材料として従来より知られていたKNbO3 が極めて大きな電気機械結合係数K2 を示すことが見い出され、実験によりこれが確認された。この実験によれば、これまで最も大きな電気機械結合係数K2 を持つとされていたLiNbO3 に比べて、KNbO3 単結晶のK2 は大きな値が得られることが確認され、特に、KNbO3 単結晶の特定の結晶面((001)面)の特定方向([100])で、LiNbO3 のK2 =0.055に対してK2 =0.53と約10倍の値が得られた(「KNbO3 圧電体単結晶を用いた超高結合弾性表面波の伝搬特性」、山之内和彦他、日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会第50回研究会資料、pp27-31(1996.11.27))。
【0005】
なお、特開平7−95006号公報には、基板上にIII−V族化合物膜が設けられ、さらにその上に3種以上の元素から構成される複合酸化物膜が設けられた圧電体基板を有する弾性表面波素子が開示されている。そして、上記複合酸化物膜の例としてKNbO3 が記載されている。ただし、この公報では、KNbO3 の電気機械結合係数K2 については何ら言及しておらず、ただ単に3種以上の元素で構成される複合酸化物膜の一例として挙げたにすぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、弾性表面波素子の弾性体材料としてKNbO3 単結晶を用いれば、電気機械結合係数K2 が大きく、効率の良い弾性表面波素子が実現できる感触が得られた。しかしながら、それと同時に、K2 の値はKNbO3 単結晶の結晶構造中における弾性表面波の伝搬方向に応じて種々に変化することも判明した。したがって、弾性表面波素子を作製するにあたり所望のK2 の値を得たい、あるいはK2 の値を制御したい、といった要求がある場合、弾性表面波の伝搬面を特定のKNbO3 結晶方位面に合わせる必要がある。つまり、特定の結晶面に合わせてすだれ状電極を形成し、弾性表面波の伝搬面とその特定の結晶面を一致させなければならない。
【0007】
ところが、KNbO3 単結晶のバルク材料を用いようとすると、ある特定の結晶方位を得るためには、予め結晶方位が判明しているKNbO3 単結晶から特定の結晶面を切り出すという非常に煩雑な操作が必要であった。また、KNbO3 単結晶自体も結晶成長が難しく、工業材料として非常に高価なものであった。これらの理由から、KNbO3 単結晶のバルク材料は弾性表面波素子の材料として極めて使い難いものであった。
【0008】
そこで、KNbO3 単結晶を、バルク材料ではなく、何らかの下地の上に積層した薄膜として使用するという考えに至ることになる。しかしながら、上記2つの公報に開示された技術では、KNbO3 を積層する下地はダイヤモンド層や
III−V族化合物膜に限定されており、これらダイヤモンド層やIII−V族化合物膜は格子整合性を持たないため、たとえこれらの下地の上にKNbO3 を積層したところでそのKNbO3 は下地層と格子整合されない。そのため、ダイヤモンド層やIII−V族化合物膜上には特定の結晶面を持つKNbO3 単結晶が成長することはなく、電気機械結合係数K2 の値を制御し、所望の値を得ることは不可能である。
【0009】
ところで、KNbO3 単結晶の薄膜は、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、CVD法、ゾル−ゲル法など、各種の成膜法を用いることによって作製が可能である。しかしながら、KNbO3 自体の、特にKと水分との反応性が高く、均質で平滑な表面を有する薄膜を得ることが困難なため、圧電特性が安定せず、特に、KNbO3 単結晶を使用する場合の最大の利点である大きな電気機械結合係数K2 の値がなかなか再現されない、という欠点を持っていた。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、単結晶バルク材料から特定の結晶面を切り出すような煩雑な操作を必要とせず、また、KNbO3 単結晶が持つ良好な圧電性能を損なうことなく、高効率化・広帯域化が可能で低コスト、かつ、成膜の再現性に優れた弾性表面波素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の弾性表面波素子は、一般式がK1-x Zx NbO3 で表される単結晶が成長するようなバルク材料からなる下地基板と、この下地基板上に積層されたK1-xZx NbO3 単結晶からなる圧電体層と、この圧電体層の上面または下面に設けられた電極層、を有する構成とした。なお、ここで、ZはLi、Rb、Csのいずれかの元素であり、xは0.0001≦x≦0.5の範囲内の数値を示している。
【0012】
言い換えると、本発明の技術思想は、(1)K1-xxNbO3 単結晶をバルクの形態ではなく薄膜の形態で圧電体層として用いること、(2)KNbO3 単結晶の持つ高い圧電性能を維持しながらも薄膜表面の平滑性を改善するために、KNbO3 単結晶中のKの一部を他の周期律1族の元素に置換したこと、(3)K1-xxNbO3 単結晶を薄膜として積層する際にK1-xxNbO3 単結晶が自ずと特定の結晶面を持つように結晶成長するような、いわばK1-xxNbO3 に対する格子整合性が良好な下地材料を見い出したこと、にある。
なお、Kを他の周期律1族の元素に置換する程度は、KNbO3 単結晶の圧電性を維持し得る範囲という点から決定されるため、あくまでもKが主体であり、その範囲が0.0001≦x≦0.5(0.01%〜50%)である。
【0013】
したがって、上記(3)のような下地材料を用いることによって、その上に成長するK1-x Zx NbO3 が特定の結晶面を持つ単結晶となり、その結晶面を弾性表面波の伝搬面とすることができる。その結果、この弾性表面波素子は大きな電気機械結合係数Kを持つことになるため、広帯域化、高効率化を図ることができる。また一般に、このK1-x Zx NbO3 はKNbO3 に比べて水分との反応性が低いため、膜の均質性と膜表面の平滑性が向上し、大きな電気機械結合係数Kの値を再現性良く得ることができる。膜の均質性と膜表面の平滑性の改善には、Zの元素としてNaが特に有効である。なお、K1-x Zx NbO3 単結晶からなる圧電体層の厚さは、50〜5000nm程度の範囲とすることが望ましい。
【0014】
また、上記結晶面に関して具体的に言えば、より大きな電気機械結合係数Kを得るためには、特に、下地基板としてK1-x Zx NbO3 単結晶のX軸を含む全ての結晶面が成長するようなバルク材料を用いることが望ましい。その場合、SrTiO 3 、SrSnO 3 、SrZrO 3 、SrMoO 3 、SrHfO 3 、BaMoO 3 、MgOから選ばれる少なくとも1つ以上の単結晶化合物を用いることができる。なお、図6に示したように、K1-x Zx NbO3 単結晶はK原子の位置が一定の割
合(x)でZ原子に置き換わった斜方晶であり、X軸をa(Naの場合、5.512Å)の稜方向、Y軸をc(Naの場合、3.885Å)の稜方向、Z軸をb(Naの場合、5.577Å)の稜方向と規定する。
【0015】
ここで、下地基板の材料として、「K1-xxNbO3 単結晶のX軸を含む全ての結晶面が成長するようなバルク材料」という表現を用いたのは、以下のような意味である。
図7はKNbO3 単結晶バルク材料の回転Y板(Y板とは、単位格子a(Kの場合、5.695Å)とb(Kの場合、5.721Å)の各稜を含む平面をいう)の回転角θと電気機械結合係数K2 の関係を示すものである。回転Y板の回転角θとは、図6に示すように、回転Y板、つまり(001)面をX軸を中心として矢印Aの向きに回転させた際の回転角θのことであり、(001)面自体は回転角θ=0°である。図7に示すように、KNbO3 の電気機械結合係数K2 が0.53(53%)と最大値を示すのは回転角θ=0°の時であるが、回転角θ=90°((010)面に相当)でも電気機械結合係数K2 は0.2(20%)前後の値が得られ、LiNbO3 のK2 =0.055に比べれば充分大きい。
このデータはあくまでもKNbO3 単結晶に関するものであるが、この単結晶中のKの一部を置換したK1-xxNbO3 単結晶も同様の傾向を示すと考えられる。
したがって、本発明においては、K2 の値が従来のLiNbO3 に比べて高い値を取るような全ての結晶面を含む表現として、(001)面をX軸を中心として任意の角度に回転させた面、すなわち「X軸を含む全ての結晶面」という表現を用いた。
【0016】
以上に挙げたSrTiO 3 、SrSnO 3 、SrZrO 3 、SrMoO 3 、SrHfO 3 、BaMoO 3 、MgO等の材料は、K1-x Zx NbO3 単結晶に対する格子整合性を元来有している。したがって、これらの化合物を下地基板に用いさえすれば、その上のK1-x Zx NbO3 単結晶を特定の結晶面を持つように成長させることができるのである。例えばSrTiO3 を用いた場合、SrTiO3 の結晶面を(100)面にすれば、その上に成長するK1-x Zx NbO3 は(001)面となり、(001)面を弾性表面波の伝搬面とすることができる。その結果、この弾性表面波素子は大きな電気機械結合係数Kを持つことになり、広帯域化、高効率化を図ることができる。
【0017】
また、下地基板全体を上記のような特性を持つ単結晶バルク材料で構成することに代えて、下地基板にSi、GaAs等の一般の半導体基板を用い、この下地基板上にK1-xxNbO3 単結晶が成長するような材料からなるバッファ層を積層し、そのバッファ層の上にK1-xxNbO3 単結晶からなる圧電体層を積層する構成としてもよい。なお、このバッファ層は、5〜1000nm程度の厚さの範囲とすることが望ましい。この構成の場合も、バッファ層として、上述したようなK1-xxNbO3 単結晶のX軸を含む全ての結晶面が成長するような材料を用いるのが効果的である。
【0018】
さらに、上記の構成に加えて、下地基板とバッファ層との間に、音速の大きな結晶材料からなる音速バッファ層を設けてもよい。この音速の大きな結晶材料としては、サファイヤ、BNから選ばれる少なくとも1つ以上の結晶化合物、またはB4C を用いることができる。このような音速バッファ層を設けた場合、弾性表面波が伝搬する基板表面で弾性表面波の伝搬速度が増大するため、上記(1)式中のvが大きくなり、使用周波数fを大きくすることができる。すなわち、より高周波帯域での使用に好適な弾性表面波素子用基板とすることができる。この構造とする場合、バッファ層の厚さを5〜1000nm程度として音速バッファ層の厚さを100〜1000nm程度とすることが望ましい。音速バッファ層の厚さがこれより小さくなると、弾性表面波の伝搬速度の増大に寄与しなくなってしまうからである。
【0019】
そして、上記全ての構成に加えて、上記圧電体層上に例えばSiO2 からなる温度安定化層を積層してもよい。この構成とした場合、圧電体層表面がSiO2 層で覆われ、圧電体層と逆の温度係数を持つSiO2 が圧電体層と電極層の熱膨張差によって圧電体層に生じる歪みを緩和するため、弾性表面波素子の温度特性を安定化することができる。このSiO2 からなる温度安定化層の厚さは、100〜10000nm程度の範囲とすることが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図1を参照して説明する。
図1(a)、(b)は本実施の形態の弾性表面波素子を示す図であり、本実施の形態の素子は入力信号から特定周波数の信号を取り出す弾性表面波フィルタの例である。
【0021】
図1(a)、(b)に示すように、SrTiO3 等の単結晶バルク材料からなる下地基板12の上に、K1-xNaxNbO3 単結晶(ただし、x:0.0001≦x≦0.5)からなる圧電体層13が積層されている。そして、圧電体層13の上面にAl等の金属からなるすだれ状電極14a、14b(電極層)が形成されている。圧電体層13の厚さは500nm程度、電極14a、14bの厚さは20〜500nm程度である。なお、圧電体層13の材料としては、K1-xNaxNbO3の他、K1-xLixNbO3、K1-xRbxNbO3、K1-xCsxNbO3を用いることができる。下地基板12の材料としては、SrTiO3の他、SrSnO3、SrZrO3、SrMoO3、SrHfO3、BaMoO3、MgO、Pt、MgAl24、KTaO3、GaAs、Siから選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を用いることができる。電極14a、14bの材料としては、Alの他、Ti、Au、Ag、W、Cu等の金属およびこれらの合金を用いることができる。
【0022】
すだれ状電極14a、14bは、図1(a)に示すように、処理すべき信号が入力される入力側電極14aと、選択された特定周波数の信号のみを出力する出力側電極14bからなり、これら電極14a、14bが基板の両端に対向するように配置されている。各電極14a、14bは多数対の電極指を有しており、例えば弾性表面波の波長をλとしたとき、各電極指の幅wはλ/4、対数が30、入力側電極14aと出力側電極14b間の距離Lが50λ、である。
【0023】
上記構成の弾性表面波フィルタ11は、下地基板12上に、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、CVD法、ゾル−ゲル法等により圧電体層13となるK1-xNaxNbO3 単結晶を成膜し、蒸着、スパッタリング法等によりAl膜を成膜した後、フォトリソグラフィー技術を用いてAl膜をパターニングし、すだれ状電極14a、14bを形成することによって、作製することができる。
【0024】
そして、この弾性表面波フィルタ11においては、入力側電極14aに信号を入力すると、圧電体層13の持つ圧電効果によって隣り合う電極指間に互いに逆位相の歪みが生じ、基板表面に弾性波が励起される。励起された弾性波は基板表面を伝搬し、出力側電極14bで高周波信号に変換され、取り出される。
【0025】
本実施の形態の弾性表面波フィルタ11においては、下地基板12にSrTiO3 等のK1-xNaxNbO3 単結晶に対する格子整合性を有する材料を用いたことによって、圧電体層13をなすK1-xNaxNbO3 単結晶が特定の結晶面、例えば(001)面を持つようにすることができる。その結果、この弾性表面波フィルタ11は大きな電気機械結合係数K2 を持つことになり、広帯域、高効率の弾性表面波フィルタとすることができる。さらに、K1-xNaxNbO3 はKNbO3 に比べて水分との反応性が低いため、圧電体層13の材料にK1-xNaxNbO3 を用いたことで膜の均質性と膜表面の平滑性が向上し、大きな電気機械結合係数K2 を再現性良く得ることができる。
【0026】
また、弾性表面波フィルタ11の製造工程において、従来のようにKNbO3 バルク単結晶を結晶成長させたり、KNbO3 単結晶から(001)面を切り出すような困難な作業が不要となり、レーザーアブレーション法、スパッタリング法、CVD法、ゾル−ゲル法等の薄膜形成技術を用いてK1-xNaxNbO3 圧電体層13を容易に形成することができる。その結果、従来に比べて製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態を図2を参照して説明する。
図2は本実施の形態の弾性表面波フィルタ21を示す断面図であるが、本実施の形態の弾性表面波フィルタが第1の実施の形態のフィルタと異なる点は、下地基板上に設けたバッファ層の上に圧電体層を積層した点である。
【0028】
図2に示すように、Si等の下地基板22上に、BaMoO3 等の単結晶材料からなるバッファ層25、K1-xNaxNbO3 単結晶からなる圧電体層23が順次積層されている。そして、圧電体層23の上面にすだれ状電極24a、24b(電極層)が形成されている。例えば、バッファ層25の厚さは20nm程度、圧電体層23の厚さは500nm程度、である。なお、下地基板22の材料としては、Siの他、GaAs等の一般の半導体材料を用いることができる。また、圧電体層23の材料は、第1の実施の形態における圧電体層として用いた種々の単結晶材料を用いることができる。バッファ層25の材料は、BaMoO3の他、MgO、Pt、MgAl24、KTaO3 から選ばれる少なくとも1つ以上の単結晶化合物、もしくはSiNx を用いることができる。電極24a、24bの材料は第1の実施の形態と同様の金属を用いることができる。
【0029】
本実施の形態の弾性表面波フィルタ21においても、大きな電気機械結合係数K2 を持つことで高効率の弾性表面波フィルタが得られる、膜の均質性と膜表面の平滑性に優れた弾性表面波フィルタが得られる、という第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施の形態の場合、第1の実施の形態と異なり、SrTiO3 等の単結晶バルク材料を用意する必要がなく、BaMoTiO3 等の材料を薄膜状にして一般的な半導体基板の上に形成すればよいので、トランジスタIC等の周辺回路素子と集積化を図ることができ、小型で軽量なモノリシック素子を実現することができるという利点をも有している。
【0030】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態を図3を参照して説明する。
図3は本実施の形態の弾性表面波フィルタ31を示す断面図であるが、本実施の形態の弾性表面波フィルタが第1、第2の実施の形態のフィルタと異なる点は、下地基板上に音速バッファ層を設け、その上にバッファ層、圧電体層を順次積層した点である。
【0031】
図3に示すように、Si等の下地基板32上に、サファイヤ等の音速の大きな材料からなる音速バッファ層36、BaMoO3 等の単結晶材料からなるバッファ層35、K1-xNaxNbO3 単結晶からなる圧電体層33が順次積層されている。そして、圧電体層33の上面にすだれ状電極34a、34b(電極層)が形成されている。例えば、音速バッファ層36の厚さは100nm程度、バッファ層35の厚さは20nm程度、圧電体層33の厚さは500nm程度、である。なお、音速バッファ層36に用いる材料としては、サファイヤの他、BN 、B4C等を用いることができる。また、圧電体層33、下地基板32、バッファ層35、電極34a、34bの材料は第2の実施の形態と同様のものを用いることができる。
【0032】
特に、本実施の形態の弾性表面波フィルタ31の場合、音速バッファ層36を設けたことにより弾性表面波が伝搬する基板表面で弾性表面波の伝搬速度が増大するため、使用周波数を大きくすることができ、高周波帯域での使用に好適な弾性表面波フィルタとすることができる。
【0033】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態を図4を参照して説明する。
図4は本実施の形態の弾性表面波フィルタ41を示す断面図であるが、本実施の形態の弾性表面波フィルタが第1〜第3の実施の形態のフィルタと異なる点は、圧電体層上に温度安定化層を形成した点である。
【0034】
図4に示すように、SrTiO3 等の単結晶バルク材料からなる下地基板42の上にK1-xNaxNbO3 単結晶からなる圧電体層43が積層され、その上面にAl等からなるすだれ状電極44a、44b(電極層)が形成されている。そして、電極44a、44bの上方を含む圧電体層43上の全面を覆うようにSiO2 からなる温度安定化層47が形成されている。この温度安定化層47の厚さは1000nm程度、圧電体層43の厚さは500nm程度、である。
【0035】
本実施の形態の弾性表面波フィルタ41の場合、圧電体層43表面がSiO2 からなる温度安定化層47で覆われているが、SiO2 がK1-xNaxNbO3 と逆の温度係数を持ち、圧電体層43と電極44a、44bとの熱膨張差によって圧電体層43に生じる歪みを緩和するため、弾性表面波フィルタの温度特性を安定化することができる。
【0036】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態で挙げた各層の厚さ、電極の寸法等の具体的な数値はほんの一例にすぎず、適宜設計変更が可能である。そして、電極に関しては、圧電体層の上面側に設ける代わりに、圧電体層の下面側(下地基板やバッファ層との界面側)に設けてもよい。また、第4の実施の形態として、第1の実施の形態の積層構造の上にSiO2 層を設けた例を示したが、第2、第3の実施の形態の積層構造の上にSiO2 層を設けてもよいことは勿論である。さらに、弾性表面波素子として弾性表面波フィルタの例を挙げたが、電極の構成等を代えることによって、フィルタ以外にも弾性表面波コンボルバ等をはじめとする種々の通信機能素子に本発明を適用することができる。
【0037】
【実施例】
次に、本発明の効果を実証する実施例について具体的に説明する。
ただし、以下の実施例は本発明の一態様を示すものであって、この発明を限定するものではなく、本発明の技術範囲において適宜変更可能である。
【0038】
(実施例1)
実施例1は、上記第1の実施の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いてSrTiO3下地基板を用い、Kに対するNaの置換割合を変化させた場合の素子特性上の影響、およびKNbO3 圧電体層を用いた場合と比較した影響を調べたものである。
実施例1で用いた試料は、図5に示すように、入力側電極54a、出力側電極54bともに開口長が67.5μm(18λ)で一定のすだれ状Al電極(正規型電極)であり、測定用のプロービングパッド58を設けた。弾性表面波の波長λを3.75μmとして、各電極指の幅を0.9375μm(λ/4)、対数を30、入力側電極54aと出力側電極54b間の距離を0.1875mm(50λ)と0.375mm(100λ)の2種類、とした。そして、Kに対するNaの置換割合(x)を変えた4種類の試料(構成例1:x=0.0001,構成例2:x=0.001,構成例3:x=0.1,構成例4:x=0.5)を作製した。具体的な材料の組み合わせは表1に示す通りである。
【0039】
ここで、K1-xNaxNbO3 の成膜にはゾル−ゲル法を用いた。ゾルゲル液の作製方法と成膜条件は次の通りである。
予め、脱水蒸留した溶媒(メトキシエタノール)約150mlに、エトキシカリウム、エトキシナトリウム、ペンタエトキシニオブの各化合物(全て高純度化学(株)製)を溶解させた。この溶液を124℃(溶媒の沸点)で24時間還流した。その後、必要に応じ、金属の価数と等モルの配位子を加え、さらに124℃で6時間加熱撹拌(還流)し、液を安定化させた。反応が終了した時点で室温まで冷却し、溶媒を加え、濃度調整し、最終的に0.2モル/Lの4種類のNa置換KNbO3 ゾルゲル液(K1-xNaxNbO3:x=0.0001,0.001,0.1,0.5)を得た。なお、K1-xNaxNbO3 のxを変えるには、個々のゾルゲル液をxの値に応じて混合比を変えてミキシングしている。例えばx=0.0001の場合、エトキシカリウムを0.9999モル、エトキシナトリウムを0.0001モル、ペンタエトキシニオブを1.0000モルとする。また、成膜は、各々に調整されたゾルゲル液をスピンナーによりSrTiO3単結晶基板上に塗布し、溶媒を150℃で乾燥後、大気中で800℃の温度で焼成した。得られた膜厚は500nmであった。
【0040】
また、比較例として、同じSrTiO3単結晶基板の上にKNbO3 を形成したもの(比較例1)を作製した。
【0041】
各試料につき、表1に示す伝搬方向における弾性表面波の伝搬速度v、電気機械結合係数K2 、素子表面粗さRaを測定した。
伝搬速度vは、入力側と出力側の電極間距離Lの異なる2つの試料(Lが50λと100λ)の入力側電極に高周波パルスをそれぞれ入力し、その出力側電極への到着時間差Δtを測定し、伝搬路長の差ΔL(=50λ)から次式により求めた。測定は25℃で行った。
v=ΔL/Δt ……(2)
【0042】
電気機械結合係数K2 は、入力側と出力側の電極間の伝搬路上をAlで被覆した試料を別に用意し、Al被覆のない本試料とAl被覆した別試料に対して双方の入力側電極に同位相の連続波を入力した時の出力側電極で得られる2つの出力信号の位相差Δφを測定し、次式により求めた。
Figure 0004186300
ここで、vopenはAlが被覆されていない試料での伝搬速度、vshortはAlが被覆された試料での伝搬速度、ωは入力信号の角速度、dはAlで被覆された部分の長さ、である。測定は25℃で行った。
【0043】
素子表面粗さRaは、触針式粗さ計(TENCOR社製P−1)を用い、スキャン速度10μm/secで250μmの範囲の二乗平均粗さで評価した。
評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004186300
【0045】
この結果から明らかなように、構成例1〜4の場合、電気機械結合係数K2 は3〜6%と大きな値をとり、素子表面粗さRaが30〜100Åの値をとることがわかった。また、K1-xNaxNbO3 中のNaの置換割合を大きくする程、電気機械結合係数K2 が小さく、素子表面粗さRaが小さくなることがわかった。また、比較例1の試料では、電気機械結合係数K2 は4%であったが、素子表面粗さRaが160Åと構成例1〜4に比べて大きい値であった。すなわち、構成例1〜4の試料は、弾性表面波の伝搬面とK1-xNaxNbO3 単結晶の特定の結晶面が一致し、かつ、素子表面の平滑性が改良されたため、比較例1と同等以上の電気機械結合係数K2 を持ち、広帯域で低損失な特性を有することがわかった。
【0046】
(実施例2)
実施例1ではKと置換する元素としてNaを用いたが、実施例2では他の置換元素を用いた場合の効果を調べた。
実施例2で用いた試料も素子構造に関しては実施例1の試料と同一である。そして、K1-xxNbO3 中の置換元素(Z)として、KとFrを除く周期律1族の元素であるLi、Rb、Csを用い、置換割合をx=0.001で一定とした3種類の試料(構成例5:Z=Li,構成例6:Z=Rb,構成例7:Z=Cs)を作製した。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004186300
【0048】
この結果から明らかなように、置換元素としてLi、Rb、Csを用いた構成例5〜7における電気機械結合係数K2 は6%であり、置換元素としてNaを用いた構成例2と同等の電気機械結合係数K2 を得ることができた。
【0049】
(実施例3)
実施例3は、置換元素をNa、置換割合をx=0.001に固定した上で下地基板の材料を変え、本発明の効果を調べたものである。
実施例3で用いた試料も素子構造に関しては実施例1の試料と同一である。そして、置換元素をNa、置換割合をx=0.001に固定し、下地基板を種々に変えた14種類の試料(構成例2:SrTiO3(100),構成例8:SrTiO3(110),構成例9:SrTiO3(111),構成例10:SrSnO3(110),構成例11:SrZrO3(001),構成例12:SrMoO3(110),構成例13:SrHfO3(110),構成例14:BaMoO3(110),構成例15:MgO(100),構成例16:Pt(111),構成例17:MgAl24(110),構成例18:KTaO3(110),構成例19:GaAs(110),構成例20:Si(110))を作製した。一方、比較例として下地基板にガラス基板を用いた試料(比較例2)を作製した。評価結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
Figure 0004186300
【0051】
この結果から明らかなように、比較例2の場合、K1-xNaxNbO3 との格子整合性を持たないガラス基板上にK1-xNaxNbO3 を形成したことで特定の結晶面が得られず、伝搬速度v、電気機械結合係数K2 ともに測定不能であった。これに対して、構成例2および構成例8〜20の場合、電気機械結合係数K2 は2〜11%の値をとることがわかった。したがって、構成例2および構成例8〜20の試料では、従来に比べて大きい電気機械結合係数K2 が得られ、広帯域で低損失な特性を有することがわかった。
【0052】
(実施例4)
実施例1〜3が下地基板バルク材料の上に直接圧電体層を形成したのに対し、実施例4は、上記第2の実施の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いて本発明特有のバッファ層を用いた場合の効果を調べたものである。
実施例4で用いた試料は電極構造に関しては実施例1の試料と同一である。
そして、置換元素をNa、置換割合をx=0.001に固定した上で、下地基板とバッファ層の組み合わせを代えた8種類の試料(構成例21:BaMoO3/Si,構成例22:MgO/Si,構成例23:Pt/Si,構成例24:SiNx/Si,構成例25:MgAl24/Si,構成例26:KTaO3/Si,構成例27:BaMoO3/GaAs,構成例28:BaMoO3/Al23)を作製した。具体的な材料の組み合わせは表4に示す通りである。
【0053】
例えば、構成例21の場合、K1-xNaxNbO3 の成膜に実施例1と同じゾル−ゲル法を用い、BaMoO3 の成膜にはレーザーアブレーション法を用いた。BaMoO3 成膜条件は、ターゲット:BaMoO3 、基板温度:650℃、使用レーザー:ArF(波長:193nm)、レーザーパワー:4J/cm2 、15Hz、雰囲気(酸素):0.05Torr、膜厚:20nm、成膜時間20分、とした。
【0054】
各試料の評価項目は実施例1の場合と同一である。評価結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
Figure 0004186300
【0056】
この結果から明らかなように、構成例21〜28の場合には、電気機械結合係数K2 は2〜4%の範囲で大きな値をとることがわかった。したがって、構成例21〜28の試料は、弾性表面波の伝搬面とK1-xNaxNbO3 単結晶の特定の結晶面が一致するため、従来の薄膜圧電材料では得られない広帯域で低損失な特性を有することがわかった。
【0057】
(実施例5)
実施例5は、上記第3の実施の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いてバッファ層と下地基板の間に音速の大きなバッファ層を挿入した場合の効果を調べたものである。
実施例5で用いた試料も電極構造に関しては実施例1の試料と同一である。そして、下地基板をSi(110)基板、バッファ層をBaMoO3 (110)、圧電体層K1-xxNbO3 の置換元素ZをNa、置換割合をx=0.001に固定した上で、音速バッファ層の種類を代えた3種類の試料(構成例29:Al23,構成例30:BN,構成例31:B4C)を作製した。具体的な材料の組み合わせは表5に示す通りである。また、音速バッファ層がない場合の例として、比較例3(実施例4の構成例21と同じ)を示した。
【0058】
例えば、構成例29の場合、K1-xNaxNbO3 の成膜に実施例1と同じゾル−ゲル法を用い、BaMoO3 の成膜に実施例4と同じレーザーアブレーション法を用い、Al23の成膜にはスパッタリング法を用いた。Al23成膜条件は、ターゲット:Al23、基板温度:650℃、雰囲気圧:0.01Torr、O2 /Ar:1/5、RFパワー:300W、成膜時間:30分、膜厚:100nm、とした。
【0059】
各試料の評価項目は実施例1の場合と同一である。評価結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
Figure 0004186300
【0061】
この結果から明らかなように、構成例29〜31の場合、音速バッファ層がない比較例3と比べて伝搬速度vが1.5〜2.5倍大きくなった。したがって、構成例29〜31の試料は、比較例3の試料に比べて伝搬速度が大きくなったことにより、高周波帯域での使用が可能であることがわかった。
【0062】
(実施例6)
実施例6は、上記第4の実施の形態の構造を持つ弾性表面波フィルタを用いて本発明特有の温度安定化層を用いた場合の効果を調べたものである。
実施例6で用いた試料も電極構造に関しては実施例1の試料と同一である。
そして、SrTiO3 基板上にK1-xNaxNbO3 を積層し、さらに温度安定化層としてSiO2 膜を積層した構成例32を作製した(表6に示す通り)。温度安定化層がない場合の例として比較例4(実施例1の構成例2と同じ)を示した。
【0063】
構成例32の場合、K1-xNaxNbO3 の成膜に実施例1と同じゾル−ゲル法を用い、SiO2 の成膜にはスパッタリング法を用いた。SiO2 成膜条件は、ターゲット:SiO2 、基板温度:650℃、雰囲気圧:0.01Torr、O2 /Ar:1/5、RFパワー:300W、膜厚:100nm、成膜時間10分、とした。
【0064】
各試料の評価項目として、実施例1〜5の伝搬速度vと電気機械結合係数K2 に加え、周波数温度係数TCFを測定した。周波数温度係数TCFは、温度TをΔTだけ変化させた時の遅延線型オシレータの発振周波数fの変化Δfを測定し、次式により求めた。
TCF=(1/f)・(Δf/ΔT) ……(4)
なお、測定は10℃から65℃の範囲で行った。
評価結果を表6に示す。
【0065】
【表6】
Figure 0004186300
【0066】
この結果から明らかなように、温度安定化層を持つ構成例32は、温度安定化層を持たない比較例4と比べて、伝搬速度はやや小さくなるものの、電気機械結合係数K2 は大きい値を維持しつつ、周波数温度係数TCFをはるかに小さくできることがわかった。したがって、構成例32の試料は、比較例4の試料に比べて温度特性を安定化できることがわかった。
【0067】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の弾性表面波素子によれば、下地基板にK1-xxNbO3 単結晶に対する格子整合性を持つ材料を用いたことでK1-xxNbO3 単結晶が特定の結晶面を持つように成長させることができるため、弾性表面波素子が大きな電気機械結合係数K2 を持つことになり、広帯域化、高効率化を図ることができる。さらに、K1-xxNbO3 はKNbO3 に比べて水分との反応性が低いため、圧電体層材料にK1-xxNbO3 を用いたことで膜の均質性と膜表面の平滑性が向上し、大きな電気機械結合係数K2 を再現性良く得ることができる。
また、素子を製造する際には、周知の薄膜形成技術を用いてK1-xxNbO3 圧電体層を容易に形成でき、従来に比べて製造コストを低減することができる。そして、音速バッファ層を下地基板上に設けることにより、高周波帯域化を図ることができる。さらに、K1-xxNbO3 圧電体層上に温度安定化層を設けることにより、温度特性の安定化を図ることができる。一方、K1-xxNbO3 圧電体層、バッファ層、音速バッファ層、温度安定化層等を一般的な半導体基板の上で薄膜として使用することで、トランジスタIC等の周辺回路素子と集積化を図ることができ、小型で軽量な弾性表面波素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の弾性表面波フィルタを示す、(a)斜視図、(b)(a)のB−B線に沿う断面図、である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態の弾性表面波フィルタを示す断面図である。
【図3】 本発明の第3の実施の形態の弾性表面波フィルタを示す断面図である。
【図4】 本発明の第4の実施の形態の弾性表面波フィルタを示す断面図である。
【図5】 本発明の実施例で用いた試料の弾性表面波フィルタを示す平面図である。
【図6】 本発明で圧電体層として用いるK1-xxNbO3 の結晶面を示す図である。
【図7】 KNbO3 単結晶の回転Y板における回転角と電気機械結合係数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11,21,31,41 弾性表面波フィルタ
12,22,32,42 下地基板
13,23,33,43 圧電体層
14a,14b,24a,24b,34a,34b,44a,44b,54a,54b すだれ状電極(電極層)
25,35 バッファ層
36 音速バッファ層
47 温度安定化層

Claims (8)

  1. 一般式がK1-xxNbO3 (Z:Li,RbまたはCsのいずれかの元素、x:0.0001≦x≦0.5の範囲の数値)で表される単結晶が成長するようなバルク材料からなる下地基板と、該下地基板上に積層された前記K1-xxNbO3 単結晶からなる圧電体層と、該圧電体層の上面または下面に設けられた電極層、を有し、
    前記下地基板のバルク材料が、SrTiO 3 、SrSnO 3 、SrZrO 3 、SrMoO 3 、SrHfO 3 、BaMoO 3 、MgOから選ばれる少なくとも1つ以上の単結晶化合物からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 請求項1に記載の弾性表面波素子において、前記下地基板が、前記K1-xxNbO3 単結晶のX軸を含む全ての結晶面が成長するようなバルク材料からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  3. 下地基板と、該下地基板上に積層され、一般式がK1-xxNbO3 (Z:Li,RbまたはCsのいずれかの元素、x:0.0001≦x≦0.5の範囲の数値)で表される単結晶が成長するような材料からなるバッファ層と、該バッファ層上に積層された前記K1-xxNbO3 単結晶からなる圧電体層と、該圧電体層の上面または下面に設けられた電極層、を有し、
    前記下地基板のバルク材料が、SrTiO 3 、SrSnO 3 、SrZrO 3 、SrMoO 3 、SrHfO 3 、BaMoO 3 、MgOから選ばれる少なくとも1つ以上の単結晶化合物からなり、
    前記バッファ層の材料が、BaMoO 3 、MgO、Pt、MgAl 2 4 、KTaO 3 から選ばれる少なくとも1つ以上の単結晶化合物、もしくはSiN x からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  4. 請求項3に記載の弾性表面波素子において、前記バッファ層が、前記K1-xxNbO3 単結晶のX軸を含む全ての結晶面が成長するような材料からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  5. 請求項3または請求項4に記載の弾性表面波素子において、前記下地基板と前記バッファ層との間に、音速の大きな材料からなる音速バッファ層が設けられたことを特徴とする弾性表面波素子。
  6. 請求項5に記載の弾性表面波素子において、前記音速の大きな材料が、サファイヤ、BNから選ばれる少なくとも1つ以上の結晶化合物、もしくはB4C からなることを特徴とする弾性表面波素子。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性表面波素子において、前記圧電体層と逆の温度係数を持ち、前記圧電体層と前記電極層の熱膨張差によって圧電体層に生じる歪みを緩和する材料からなる温度安定化層が、前記圧電体層上に積層されたことを特徴とする弾性表面波素子。
  8. 請求項7に記載の弾性表面波素子において、前記歪みを緩和する材料がSiO2 であることを特徴とする弾性表面波素子。
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