JP2000277408A - 露光装置および露光方法 - Google Patents

露光装置および露光方法

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JP2000277408A
JP2000277408A JP11077701A JP7770199A JP2000277408A JP 2000277408 A JP2000277408 A JP 2000277408A JP 11077701 A JP11077701 A JP 11077701A JP 7770199 A JP7770199 A JP 7770199A JP 2000277408 A JP2000277408 A JP 2000277408A
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area
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Masanori Kato
正紀 加藤
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    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
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    • G03F7/70216Mask projection systems
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    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステップ・アンド・スキャン方式を用いて、
オーバーラップ露光による画面合成を高精度に行う。 【解決手段】 感光性基板(14)上にて互いに一部重
複した複数の単位露光領域のそれぞれに複数のマスク
(12)のパターン像を所定の露光視野を有する投影系
(13)を用いて順次露光する。ここで、単位露光領域
にて複数のマスクのパターン像を順次走査露光するため
に、投影系に対してマスクと感光性基板とを所定の走査
方向に相対的に移動させる。また、複数の単位露光領域
が一部重複した重複露光領域と該重複露光領域以外の非
重複露光領域とに亘って露光量分布がほぼ均一となるよ
うに、重複露光領域を走査露光するときに露光視野を変
化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は露光装置および露光
方法に関し、特に大型の液晶表示パネル等の製造に用い
られる走査型の露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の製造のためのフォトリソ
グラフィ工程においては、フォトマスクあるいはレチク
ル(以下、「マスク」という)に形成されたパターンを
フォトレジスト等の感光材が塗布されたガラスプレート
等の感光性基板上に転写し、現像処理を経て形成された
レジストパターンをマスクとしてフォトエッチングを行
う。マスクのパターンは、例えばステップ・アンド・リ
ピート方式の露光装置を用いて、感光性基板に高精度に
露光される。この場合、露光が行われる感光性基板は、
レーザー干渉計等により高精度に計測され且つ制御され
た基板ステージ上に載置され、各露光領域が所定の関係
になるように基板ステージをステッピング移動させるこ
とにより露光を繰り返す。
【0003】すなわち、露光対象となる感光性基板の大
型化に対処するために、感光性基板の露光領域を複数の
単位露光領域に分割し、各単位露光領域に対する露光を
複数回に亘って繰り返し、最終的に所望の大面積を有す
るパターンを合成する手法、すなわち画面合成の手法が
用いられている。この種の露光装置では、12インチ超
のサイズの液晶表示パネルが通常6インチ角の大きさを
有するマスクを用いて露光されるため、マスクを高速に
交換するためのマスクチェンジャが搭載されている。つ
まり、マスクを交換しつつ基板ステージをステッピング
移動させて画面合成を行いながら、1枚のデバイスを形
成している。なお、セカンド露光以降の露光において
は、マスクと感光性基板との位置合わせ(アライメン
ト)をし、感光性基板上に既に形成されているパターン
に次のマスクパターンを重ね合わせて投影露光する。
【0004】また、一方では、特公昭60−39205
号公報に記載されているように、いわゆるミラープロジ
ェクション方式の等倍の円弧状の投影視野(イメージフ
ィールド)を有する投影光学系を用いた露光装置が提案
されている。この方式の露光装置では、例えば12イン
チのデバイスを露光する場合に、同じ大きさのパターン
領域をマスクに形成し、マスクと感光性基板であるプレ
ートとを同期移動させながら、1回の走査露光によりプ
レートにデバイスを形成する。この場合には、いわゆる
画面継ぎ露光を行う必要がないが、大型のマスクを用い
る必要がある。
【0005】また、近年では、特公昭54−10826
号公報に記載されているように、比較的小さな露光視野
(イメージフィールド内において実際に露光に用いられ
る領域)を有する正立正像型の投影光学系を搭載した露
光装置が提案されている。この方式の露光装置では、大
型のマスクとプレートとを同期移動させる方向(走査方
向)と直交する方向に沿って、複数の投影光学系が配列
されている。そして、各投影光学系に対応する台形状ま
たは六角形状の露光視野を走査方向と直交する方向にオ
ーバーラップさせながら、1回の走査露光によりマスク
に形成されたパターンの全体をプレート上に露光する。
【0006】また、特に微細なパターンを有する半導体
素子を製造するための露光装置の場合には、高精度で描
画された6インチのマスクと1/4倍の投影光学系とを
用い、投影光学系の投影視野の直径に近い長さの長辺を
有するスリット状(細長い矩形状)に露光視野を設定
し、マスクと感光性基板であるウエハとを同期移動させ
て、ウエハの各露光領域にマスクパターンを走査露光す
る方式、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式も考
案されている。この場合は、露光視野としてほぼ一次元
的な形状であるスリット状の視野を利用することによ
り、投影光学系のディストーション等の収差の影響も小
さく抑えられる。更に、スリット状の露光視野の幅(細
長い矩形の短辺方向の長さ)で平均された像がウエハに
焼き付けられることになるため、収差も平均化される。
その結果、この方式の露光装置では、パターンの転写の
忠実性は飛躍的に向上する。また、1回の走査露光によ
り焼き付けられる露光領域の大きさが投影光学系の投影
視野の直径によって規定されるので、例えばステップ・
アンド・リピート方式と同じ大きさの露光領域に露光す
る場合には、投影光学系のレンズ径を小さくすることが
でき、コスト的にも充分な利点がある。
【0007】近年、液晶表示素子は大型化を目指す一方
で、付加価値をつけるためのパネルの高精細化や、応答
周波数を高めるためのパターンの微細化の方向に進みつ
つある。したがって、大型の液晶表示パネルの製造に用
いられる露光装置には、1〜1.5μmの高解像度、高
スループット、更に重ね合わせ精度や画面合成精度を含
めたトータル精度の向上が要求されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術には以下のような不都合がある。まず、大型の
マスクを用いる場合には、マスク自体が大型になること
により、マスクに描画することのできるパターンの微細
化に限界があり、パターンの線幅は2〜3μm程度が限
界とされている。当然に、マスクのパターンが微細化す
ればするほど、またマスクが大型化すればするほど、マ
スクにパターンを描画する時間が多くかかり、マスク自
体のコストが飛躍的に高くなってしまうからである。
【0009】また、大型のマスクでは、パターンの描画
精度を高めることが難しい。特に、マスクブランクスの
平面度等を考慮すると、描画自体のパターン位置精度や
パターン寸法精度は、現状では、0.5〜1.0μm程
度が限界である。つまり、一般的にパターンの最小線幅
の1/3程度の精度が必要とされるトータル精度は、パ
ターンの最小線幅が1μmとすれば0.3μm以下とな
り、マスクのパターン精度だけでトータル精度を超えて
しまうことになる。以上のように、大型マスクを用いる
露光装置では、所要の精度およびコスト等を達成するこ
とが厳しくなってしまう。
【0010】次に、ステップ・アンド・リピート方式の
露光装置では、原版として6インチ程度のマスクを用い
て画面合成によりデバイスを形成するため、原版の精度
的な面では充分に対応可能である。例を挙げれば、現在
の半導体露光装置の先端技術では、1μmの線幅を有す
るパターンが形成されたマスクを用い、倍率が1/5の
投影光学系を介して、ウエハ上に0.2μmのラインを
形成している。したがって、仮に液晶表示素子を製造す
るための露光装置の投影光学系の倍率が等倍とすれば、
プレート上では1μmのラインが形成されることとな
り、要求線幅を露光することが可能になる。
【0011】また、半導体露光装置においても、いわゆ
るトータル精度は、一般には対象パターンの最小線幅の
1/3とされているが、半導体の分野で適用されている
露光装置である以上、パターン精度も十分であることが
わかる。しかしながら、ステップ・アンド・リピート方
式の露光装置では、露光視野を大きく設定しないとスル
ープットが上がらず、露光視野を大きくすれば、当然に
投影光学系の所要レンズ径が大きくなり、更に収差設計
上レンズ全長が長くなるので、結果的にコストアップに
なってしまう。また、画面合成を行う必要があるため、
対象パターンの線幅が1μm以下となれば、画面継ぎ精
度を大幅に向上する必要がでてくる。
【0012】なお、ステップ・アンド・リピート方式の
露光装置における画面合成方法として、オーバーラップ
露光技術が特開平7−235466号公報に記載されて
いる。この露光技術では、オーバーラップ露光する部分
(以下、「重複露光領域」という)の露光量が他の部分
(以下、「非重複露光領域」という)の露光量とほぼ一
致するように、照明光学系内に設置された減光手段とマ
スク上の照明領域の形状を可変にするマスクブラインド
とを走査する。しかしながら、投影光学系の投影視野内
に残存する収差、ひいては露光視野内に残存する収差の
影響は、ステッピング露光により繰り返される。このた
め、投影光学系の広い投影視野内においてディストーシ
ョンを厳密に抑える必要があり、製造上も大きな時間と
コストとを費やしている。
【0013】一方、半導体露光装置にて行われているス
テップ・アンド・スキャン方式では、投影光学系の投影
視野の直径に近い長さの長辺を有するスリット状に露光
視野を設定し、マスクとウエハとを同期移動させて走査
露光する。このように、露光視野としてほぼ一次元的な
形状であるスリット状の視野を利用することにより、投
影光学系のディストーション等の収差の影響も小さく抑
えられ、更にスリット状の露光視野の幅で平均された像
がウエハに焼き付けられることになるため収差も平均化
されるので、パターンの転写の忠実性は飛躍的に向上す
る。
【0014】更に、ステップ・アンド・スキャン方式で
は、ステップ・アンド・リピート方式と同じ大きさの露
光視野を設定するのに必要な投影光学系の投影視野を実
質的に小さくする効果があるため、投影光学系のレンズ
径およびレンズ全長を抑えることができ、コスト的にも
充分な利点がある。しかしながら、ステップ・アンド・
スキャン方式で各単位露光領域へ走査露光を繰り返しな
がら画面合成を行う場合にも、従来のオーバーラップ露
光技術と同様に、複数の単位露光領域において部分的に
重なり合う重複露光領域の露光量と非重複露光領域の露
光量とをほぼ一致させなければならない。特に、走査方
向に沿って隣接する2つの単位露光領域の間の重複露光
領域において、非重複露光領域とほぼ一致する均一の露
光量を得なければならない。
【0015】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
のであり、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式を
用いて、オーバーラップ露光による画面合成を高精度に
行うことのできる露光装置および露光方法を提供するこ
とを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の第1発明では、所定の被照明面に設定され
たマスクを照明光で照明する照明系と、前記マスクのパ
ターン像を所定の露光視野のもとで感光性基板に投影す
る投影系と、被照明面に複数のマスクを順次設定するマ
スク交換手段とを備え、前記感光性基板上にて一部重複
した複数の単位露光領域のそれぞれに前記複数のマスク
のパターン像を順次露光する露光装置において、前記単
位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を順次走
査露光するために、前記投影系に対して前記マスクと前
記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動させる
走査手段と、前記複数の単位露光領域が一部重複した重
複露光領域と該重複露光領域以外の非重複露光領域とに
亘って露光量分布がほぼ均一となるように、前記重複露
光領域を走査露光するときに前記露光視野を変化させる
露光視野制御手段とを備えていることを特徴とする露光
装置を提供する。
【0017】第1発明の好ましい態様によれば、前記露
光視野制御手段は、前記走査方向と交差する重複露光領
域での前記走査方向の露光量をほぼ一定に保つために、
前記走査方向と交差する重複露光領域を走査露光すると
きに前記走査方向での前記露光視野を変化させる。ま
た、前記露光視野制御手段は、前記照明系または前記投
影系の光路中に配置されて前記露光視野を形成する視野
絞りと、前記露光視野の少なくとも一部を制限する露光
視野制限部材と、前記露光視野を変化させるために前記
視野絞りと前記露光視野制限部材とを相対的に移動させ
る駆動手段とを有することが好ましい。
【0018】また、本発明の第2発明では、感光性基板
上にて互いに一部重複した複数の単位露光領域のそれぞ
れに複数のマスクのパターン像を所定の露光視野を有す
る投影系を用いて順次露光する露光方法において、前記
単位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を順次
走査露光するために、前記投影系に対して前記マスクと
前記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動させ
る走査工程と、前記複数の単位露光領域が一部重複した
重複露光領域での露光量をほぼ一定に保つために、前記
重複露光領域を走査露光するときに前記露光視野を変化
させる露光視野可変工程とを有することを特徴とする露
光方法を提供する。
【0019】さらに、本発明の第3発明では、感光性基
板上にて互いに一部重複した複数の単位露光領域のそれ
ぞれに複数のマスクのパターン像を所定の露光視野を有
する投影系を用いて順次露光する露光方法において、前
記単位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を順
次走査露光するために、前記投影系に対して前記マスク
と前記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動さ
せる走査工程と、前記複数の単位露光領域が一部重複し
た重複露光領域と該重複露光領域以外の非重複露光領域
とに亘って露光量分布がほぼ均一となるように、前記重
複露光領域での露光量を調整する露光量調整工程とを有
することを特徴とする露光方法を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明では、いわゆるステップ・
アンド・スキャン方式を用いて感光性基板上において部
分的に重なり合う複数の単位露光領域の各々にマスクパ
ターンを走査露光する。この場合、複数の単位露光領域
において部分的に重なり合う重複露光領域の露光量分布
が非重複露光領域とほぼ同じで均一な分布となる必要が
ある。そこで、本発明では、感光性基板上で走査される
露光視野を変化させる露光視野制御手段を備えている。
この露光視野制御手段は、照明系または投影系の光路中
に配置されて露光視野を形成する視野絞りと、露光視野
の少なくとも一部を制限する露光視野制限部材とを有
し、視野絞りと露光視野制限部材とを相対的に移動させ
て露光視野を変化させる。
【0021】具体的には、走査方向と直交する走査直交
方向に沿って隣接する2つの単位露光領域の間の重複露
光領域、すなわち走査直交方向の重複露光領域において
露光視野の走査方向に沿った幅が走査直交方向に沿って
たとえば線形的に変化するように、露光視野の形状を規
定する。あるいは、走査直交方向の重複露光領域におい
て露光視野の走査直交方向に沿った照度分布がたとえば
線形的に変化するように、露光視野の照度分布を規定す
る。その結果、走査直交方向の重複露光領域において、
線形的に変化する所望の露光量分布を得ることができ
る。
【0022】一方、走査方向に沿って隣接する2つの単
位露光領域の間の重複露光領域、すなわち走査方向の重
複露光領域(あるいは走査方向と交差する重複露光領
域)において走査露光するときに露光視野の走査方向に
沿った幅がたとえば線形的に変化するように、露光視野
の形状を走査露光中に変化させる。その結果、走査方向
の重複露光領域においても、線形的に変化する所望の露
光量分布を得ることができる。さらに具体的には、たと
えば照明系の光路中においてマスクと共役な位置、ひい
ては感光性基板と共役な位置の近傍に、視野絞りとし
て、たとえば台形状の開口部を有する固定ブラインドを
配置する。この場合、マスク上には台形状の照明領域が
形成され、感光性基板上には台形状の露光視野が形成さ
れることになる。
【0023】この状態において、投影系に対してマスク
と感光性基板とを同期的に相対移動させると、マスクの
パターン領域が台形状の照明領域で走査され、感光性基
板は台形状の露光視野で走査される。その結果、走査直
交方向の重複露光領域では、台形状の露光視野の一部で
ある三角形状の露光視野で走査されることになり、線形
的に変化する所望の露光量分布を得ることができる。一
方、走査方向の重複露光領域では、露光視野制限部材で
ある可動ブラインドの作用により固定ブラインドの開口
部の幅を走査露光中に線形変化させることにより、すな
わち露光視野の幅を走査露光中に線形変化させることに
より、線形的に変化する所望の露光量分布を得ることが
できる。
【0024】なお、本発明では、走査方向の重複露光領
域において露光視野の走査速度をたとえば線形的に変化
させてもよいし、露光視野の照度をたとえば線形的に変
化させてもよい。以上のように、本発明では、各単位露
光領域への走査露光の際に、重複露光領域においてたと
えば線形的に変化する所望の露光量分布を得ることがで
きるので、部分的に重なり合う複数の単位露光領域から
なる最終的な大型の露光領域において重複露光領域と非
重複露光領域とに亘ってほぼ均一な露光量分布を得るこ
とができる。その結果、感光性基板上で画面合成により
形成された大面積のパターンにおいてパターン継ぎ目に
欠陥のない高精度で良好なデバイスを製造することがで
きる。
【0025】また、本発明では、ステップ・アンド・ス
キャン方式を用いているので、露光視野としてほぼ一次
元的な形状であるスリット状の視野を利用することによ
り、投影光学系のディストーション等の収差の影響が小
さく抑えられる。また、スリット状の露光視野の幅で平
均された像が感光性基板に露光されることになるため、
収差も平均化される。その結果、パターンの転写の忠実
性が飛躍的に向上するだけでなく、投影光学系のレンズ
全長を小型化することができる。また、1回の走査露光
により焼き付けられる露光領域の大きさが投影光学系の
投影視野の直径によって規定されるので、結果的に投影
光学系のレンズ径を小さくすることができ、コスト的に
非常に有利である。
【0026】本発明の実施例を、添付図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の第1実施例にかかる露光装置
の構成を概略的に示す斜視図である。第1実施例では、
大型の液晶表示素子の製造に用いられる走査型の投影露
光装置に本発明を適用している。図1では、投影光学系
13の光軸に平行にZ軸が、投影光学系13の光軸に垂
直な面内において互いに直交する方向にX軸およびY軸
がそれぞれ設定されている。
【0027】図1に示す投影露光装置は、たとえば超高
圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は、
回転楕円面からなる反射面を有する楕円鏡2の第1焦点
位置に位置決めされている。したがって、光源1から射
出された照明光束は、ミラー3を介して、楕円鏡2の第
2焦点位置P1に光源像を形成する。楕円鏡2の第2焦
点位置P1に形成された光源像からの光束は、コレクタ
ーレンズ4によりほぼ平行な光束に変換された後、所望
の波長域の光束のみを透過させる波長選択フィルター
(不図示)に入射する。波長選択フィルターを介して選
択された露光波長の光は、第1フライアイインテグレー
タ5に入射する。なお、楕円鏡2の第2焦点位置P1の
近傍にはシャッター(不図示)が設けられ、このシャッ
ターにより露光状態と非露光状態との間で切換えを行う
ように構成されている。
【0028】第1フライアイインテグレータ5は、たと
えば正方形状の断面を有する多数の正レンズエレメント
をその中心軸線が光軸に沿って延びるように縦横に配列
することによって構成されている。したがって、第1フ
ライアイインテグレータ5に入射した光束は、多数のレ
ンズエレメントにより二次元的に分割され、第1フライ
アイインテグレータ5の後側焦点面(すなわち射出面の
近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像を形成す
る。すなわち、第1フライアイインテグレータ5の後側
焦点面には、実質的な面光源が形成される。
【0029】第1フライアイインテグレータ5の後側焦
点面に形成された多数の光源像からの光束は、第1リレ
ーレンズ6を介した後、第2フライアイインテグレータ
7を重畳的に照明する。こうして、第2フライアイイン
テグレータ7の入射面には、第1フライアイインテグレ
ータ5の各レンズエレメントの断面形状に相似な正方形
状の照野が形成される。なお、第1リレーレンズ6は、
第1フライアイインテグレータ5の後側焦点面と第2フ
ライアイインテグレータ7の後側焦点面とを光学的にほ
ぼ共役に結んでいる。
【0030】第2フライアイインテグレータ7は、正の
屈折力を有する多数のシリンドリカルレンズエレメント
をその中心軸線が光軸に沿って延びるように縦横配列す
ることによって構成されている。そして、第2フライア
イインテグレータ7を構成する各シリンドリカルレンズ
エレメントは、その入射面と光学的に共役に配置された
マスク12上において形成すべき照野の形状(ひいては
プレート14上において形成すべき露光視野の形状)と
ほぼ相似なスリット状(細長い矩形状)の断面を有す
る。
【0031】したがって、第2フライアイインテグレー
タ7に入射した光束は多数のシリンドリカルレンズエレ
メントにより二次元的に分割され、その後側焦点面(す
なわち射出面の近傍)には第1フライアイインテグレー
タ5のレンズエレメントの数と第2フライアイインテグ
レータ7のシリンドリカルレンズエレメントの数との積
に等しい数の多数の光源像(二次光源)が形成される。
なお、シリンドリカルレンズエレメントによる第2フラ
イアイインテグレータを段違いに配置することにより、
スリット状断面の縦方向と横方向との照度差を低減する
ことができるように構成している(詳細は特願平7−1
30438号公報を参照)。また、本実施例では、照度
均一性を向上させるためにダブルフライアイの構成をと
っているが、エレメントを長方形にした正の屈折力を有
する1つのフライアイインテグレータのみで構成しても
かまわない。
【0032】第2フライアイインテグレータ7の後側焦
点面に形成された二次光源からの光束は、その近傍に配
置された開口絞り(不図示)により制限された後、第2
リレーレンズ8に入射する。なお、この開口絞りは、後
述する投影光学系13の入射瞳面と光学的にほぼ共役な
位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定
するための可変開口部を有する。この開口絞りは、この
可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件
を決定するσ値(投影光学系の瞳面の開口径に対するそ
の瞳面上での光源像の口径の比)を所望の値に設定す
る。第2リレーレンズ8を介して集光された光束は、マ
スクブラインド9に入射する。
【0033】図2は、図1のマスクブラインド9の要部
構成を示す図である。図2(a)に示すように、マスク
ブラインド9は、Y方向に平行な長辺(台形の上底およ
び下底のうち長い方の辺を長辺という)31aおよび短
辺31b(台形の上底および下底のうち短い方の辺を短
辺という)を有するY方向に細長い台形状の開口部(光
透過部)を有する台形ブラインド31と、Y方向に平行
な直線エッジ32aが形成された遮光部を有する直線エ
ッジブラインド32とを備えている。台形ブラインド3
1および直線エッジブラインド32は、マスク12のパ
ターン面と(ひいてはプレート14の露光面と)光学的
に共役な面の近傍に配置されている。
【0034】なお、図2(b)に示すように、台形ブラ
インド31は、走査露光中において移動することのない
固定ブラインドであって、露光視野を形成する視野絞り
を構成している。一方、直線エッジブラインド32は、
Z方向に沿って移動可能に構成された可動ブラインドで
あって、露光視野の少なくとも一部を制限する露光視野
制限部材を構成している。直線エッジブラインド32の
直線エッジ32aは、台形ブラインド31の台形状の開
口部の長辺31aおよび短辺31bに平行な状態を保持
しつつZ方向に移動する。なお、直線エッジブラインド
32の走査露光中における具体的な移動については後述
する。
【0035】マスクブラインド9を介した光束は、ブラ
インドリレー系10および折り曲げミラー11を介し
て、マスク12を重畳的に照明する。マスク12は、マ
スクホルダ(不図示)を介して、マスクステージ15上
においてXY平面に平行に保持されている。マスク12
には転写すべきパターンが形成されており、パターン領
域全体のうちY方向に沿って長辺を有する細長い台形状
のパターン領域が照明される。マスクステージ15は、
図示を省略した駆動系の作用により、マスク面(すなわ
ちXY平面)に沿って二次元的に移動可能であり、その
位置座標はマスク干渉計16によって計測され且つ位置
制御されるように構成されている。
【0036】マスク12を透過した光束は、投影光学系
13を介して、感光性基板であるプレート14に達す
る。こうして、プレート14上には、マスク12のパタ
ーン像が形成される。ここで、上述したように第2フラ
イアイインテグレータ7の後側焦点面近傍の開口絞りと
投影光学系13の入射瞳面とがほぼ共役に配置されてい
るので、投影光学系13の入射瞳面上に二次光源の像が
形成され、マスク12およびプレート14がいわゆるケ
ーラー照明される。
【0037】プレート14は、プレートホルダ(不図
示)を介して、基板ステージ17上においてXY平面に
平行に保持されている。そして、マスク12上の照明領
域に光学的に対応するように、プレート14上ではY方
向に沿って長辺を有する細長い台形状の露光視野にパタ
ーン像が形成される。基板ステージ17は、図示を省略
した駆動系の作用によりプレート面(すなわちXY平
面)に沿って二次元的に移動可能であり、その位置座標
はプレート干渉計18によって計測され且つ位置制御さ
れるように構成されている。
【0038】上述したように、マスク12上の照明領域
およびプレート14上の露光視野は、Y方向に沿って長
辺を有する細長い台形状である。したがって、駆動系お
よび干渉計(16、18)などを用いてマスク12およ
びプレート14の位置制御を行いながら、X方向に沿っ
てマスクステージ15と基板ステージ17とを、ひいて
はマスク12とプレート14とを同期的に移動(走査)
させることにより、プレート14上には台形状の露光視
野のY方向の長さに応じた幅を有し且つプレート14の
走査量(相対的には露光視野の走査量)に応じた長さを
有する単位露光領域に対してマスクパターンが走査露光
される。なお、マスクテーブル15の上方には、被照明
面に複数のマスクを順次設定するためにマスクを高速に
交換するマスク交換手段としてのマスクチェンジャ(不
図示)が配置されている。第1実施例では、4枚のマス
ク12a〜12dを用いて、プレート14上の4つの単
位露光領域EA1〜EA4に対して画面継ぎ走査露光を
行う。
【0039】図3は、第1実施例において用いられる4
枚のマスク12a〜12dの構成を示す図である。ま
た、図4は、4枚のマスク12a〜12dを用いた画面
継ぎ走査露光によりプレート14上に形成されるデバイ
スパターンを示す図である。図3に示すように、各マス
クの中央には転写用のパターンが描かれた矩形状のパタ
ーン領域PAが形成され、その周囲には外側遮光領域S
A1が形成されている。また、各マスクの外側遮光領域
SA1においてX方向に沿ってそのほぼ中央であってY
方向に沿ってその両端部に一対のマスクアライメントマ
ークMM1およびMM2が形成されている。さらに、各
マスクには、パターン領域PAと外側遮光領域SAとの
間にL字状の内側遮光領域SA2が形成されている。こ
の内側遮光領域SA2は、パターン領域PAのうちオー
バーラップ露光に用いられるL字状の部分(図中破線で
規定されている)と対向するように形成されている。外
側遮光領域SA1および内側遮光領域SA2には、露光
光の透過をほぼ100%遮るように、たとえばクロム膜
が蒸着されている。
【0040】図3および図4を参照するとわかるよう
に、第1のマスク12aのパターンがプレート14の第
1単位露光領域EA1に走査露光され、第2のマスク1
2bのパターンがプレート14の第2単位露光領域EA
2に走査露光され、第3のマスク12cのパターンがプ
レート14の第3単位露光領域EA3に走査露光され、
第4のマスク12dのパターンがプレート14の第4単
位露光領域EA4に走査露光される。したがって、図4
において破線で規定された十字状の領域は走査露光が2
回行われる重複露光領域であり、十字状の領域の中央部
分は走査露光が4回行われる4重複露光領域であり、そ
の他の領域は走査露光が1回だけ行われる非重複露光領
域である。
【0041】図3の各マスクのパターン領域PAにも、
プレート14と同様に、重複露光領域に対応する部分
と、4重複露光領域に対応する部分と、非重複露光領域
に対応する部分とがある。たとえば、第1のマスク12
aでは、図中破線で規定するように、パターン領域PA
の図中左側の縦長の領域a1は重複露光領域に対応する
部分である。また、パターン領域PAの図中下側の横長
の領域b1も重複露光領域に対応する部分である。さら
に、領域a1と領域b1とが重なる領域は、4重複露光
領域に対応する部分である。そして、第1のマスク12
aでは、重複露光領域に対応する部分である領域a1お
よび領域b1に対向するように、内側遮光領域SA2が
図中右側の縦長の領域と図中上側の横長の領域とから構
成されている。
【0042】同様に、第2のマスク12bでは、図中破
線で規定するように、パターン領域PAの図中右側の縦
長の領域a2および図中下側の横長の領域c2は重複露
光領域に対応する部分である。そして、重複露光領域に
対応する部分である領域a2および領域c2に対向する
ように、内側遮光領域SA2が図中左側の縦長の領域と
図中上側の横長の領域とから構成されている。また、第
3のマスク12cでは、図中破線で規定するように、パ
ターン領域PAの図中右側の縦長の領域d3および図中
上側の横長の領域c3は重複露光領域に対応する部分で
ある。そして、重複露光領域に対応する部分である領域
d3および領域c3に対向するように、内側遮光領域S
A2が図中左側の縦長の領域と図中下側の横長の領域と
から構成されている。
【0043】さらに、第4のマスク12dでは、図中破
線で規定するように、パターン領域PAの図中左側の縦
長の領域d4および図中上側の横長の領域b4は重複露
光領域に対応する部分である。そして、重複露光領域に
対応する部分である領域d4および領域b4に対向する
ように、内側遮光領域SA2が図中右側の縦長の領域と
図中下側の横長の領域とから構成されている。
【0044】以下、第1実施例におけるアライメント動
作および走査露光の基本動作について説明する。まず、
走査露光の開始に際して、第1のマスク12aがマスク
チェンジャからマスクステージ15の上方へ搬入され、
マスクホルダ上に載置される。マスクステージ15上に
配置されたマスク12aの一対のマスクアライメントマ
ークMM1およびMM2の上方には、一対のマスクアラ
イメント系19aおよび19bが配置されている。各マ
スクアライメント系19は、非露光光でマークを照明す
るための落射照明系と、マークの像を形成するための顕
微鏡と、マークの像を光電検出するためのCCDとから
構成され、画像処理によりマークの位置を計測する。
【0045】したがって、第1のマスクアライメント系
19aにより、第1のマスクアライメントマークMM1
が観察されるとともに、基板ステージ17上に形成され
た基準マークSMが投影光学系13を介して観察され
る。すなわち、第1のマスクアライメント系19aによ
り、第1のマスクアライメントマークMM1と基準マー
クSMとを同時観察し、画像処埋により第1のマスクア
ライメントマークMM1と基準マークSMとの相対位置
計測を行う。そして、このときのマスク干渉計16の位
置情報とプレート干渉計18の位置情報とを用いること
により、基準マークSMに対する第1のマスクアライメ
ントマークMM1の相対位置が正確に計測される。
【0046】次に、第2のマスクアライメントマークM
M2の位置に対応する位置に基準マークSMを移動さ
せ、第2のマスクアライメント系19bにより、第2の
マスクアライメントマークMM2と基準マークSMとを
同時観察する。その結果、基準マークSMに対する第2
のマスクアライメントマークMM2の相対位置が正確に
計測される。こうして、基準マークSMを用いて、第1
のマスク12aの載置された状態や位置を計測すること
ができる。
【0047】一方、基板ステージ17の上方には、たと
えば複数(たとえば3つ)のプレートアライメント系2
0が配置されている。プレートアライメント系20もマ
スクアライメント系19と同様に、非露光光でマークを
照明するための落射照明系と、マークの像を形成するた
めの顕微鏡と、マーク像を光電検出するためのCCDと
から構成され、画像処理によりプレート14に形成され
たプレートアライメントマーク(不図示)の位置を計測
する。このプレートアライメント系20で基準マークS
Mを観察し、このときのプレート干渉計18の位置情報
を用いることにより、基準マークSMに対するプレート
アライメント系20の相対位置が正確に計測される。
【0048】こうして、基準マークSMを介して第1の
マスク12aとプレートアライメント系20との相対位
置が計測され、いわゆるベースラインが求まったことに
なる。このアライメント動作を残る3つのマスク12b
〜12dについて繰り返することにより、基準マークS
Mを介して各マスク12とプレートアライメント系20
との相対位置が計測される。
【0049】続いて、基板ステージ17の上方にプレー
ト14が搬入され、プレートホルダ上に載置される。こ
うして、マスクステージ15上に載置された第1のマス
ク12aと基板ステージ17上に載置されたプレート1
4とをX方向に沿って同期移動させながら、プレート1
4の第1単位露光領域EA1に第1のマスク12aのパ
ターンが走査露光される。次に、第1のマスク12aか
ら第2のマスク12bへのマスク交換の際には、マスク
アライメント系19により第2のマスク12bの一対の
アライメントマークMM1およびMM2を観察し、第2
のマスク12bの位置合わせを行う。そして、位置合わ
せされた第2のマスク12bを用いて、プレート14の
第2単位露光領域EA2に走査露光を行う。ファースト
露光の場合には、プレートアライメントの動作は必要と
しないので、以下同様に第3のマスク12cおよび第4
のマスク12dを用いてプレート14の第3単位露光領
域EA3および第4単位露光領域EA4に順次走査露光
が行われる。
【0050】次に、第1実施例における走査露光の具体
的な動作について説明する。図5は、プレート14上の
第1単位露光領域EA1に走査露光する際のマスクブラ
インド9の動作を説明する図である。まず、第1単位露
光領域EA1への走査露光では、図5に示すように、台
形ブラインド31を介して形成される台形状の照明領域
31c(図中斜線で示す)が第1のマスク12aのY方
向に延びた内側遮光領域SA2と重なるように、台形ブ
ラインド31と第1のマスク12aとの位置関係が初期
的に設定されている。すなわち、初期状態では、台形状
の照明領域31cの長辺がパターン領域PAよりも上側
に位置し、長辺の左端がパターン領域PAの左側のエッ
ジの延長線と接し、台形状の照明領域31cの短辺(長
辺に対向する短辺)の右端がパターン領域PAの右側の
エッジの延長線よりも右側に突出している。
【0051】第1単位露光領域EA1への走査露光で
は、図5に示す初期状態から、第1のマスク12aを−
X方向に一定の速度で移動させる。以下、説明の便宜
上、台形状の照明領域31cが+X方向に走査(ひいて
は対応する露光視野が単位露光領域上において走査)さ
れるものとして説明する。この場合、台形状の照明領域
31cの短辺の左端がパターン領域PAを通過する軌跡
は図中の破線51で表され、この破線51よりも左側の
領域は第1単位露光領域EA1の重複露光領域(走査直
交方向に隣接する第1単位露光領域EA1と第2単位露
光領域EA2との間の重複露光領域であり、以下「走査
直交方向の重複露光領域」という)に対応する領域a1
となる。換言すると、パターン領域PAの左側のエッジ
と接する頂点を有し且つ破線51と接する長辺を有する
三角形状の照明領域によって、すなわちX方向に沿った
幅がY方向に沿って線形変化する照明領域によって、領
域a1のパターンがX方向に走査される。したがって、
この領域a1を介して走査露光される第1単位露光領域
EA1の重複露光領域では、破線51に対応する重複露
光領域のエッジからパターン領域PAの左側のエッジに
対応する重複露光領域のエッジにかけて線形変化する露
光量分布を得ることができる。
【0052】しかしながら、上述の構成では、第1単位
露光領域EA1の走査直交方向の重複露光領域において
線形変化する所望の露光量分布を得ることができるが、
走査方向の重複露光領域(走査方向に隣接する第1単位
露光領域EA1と第3単位露光領域EA3との間の重複
露光領域)においては非重複露光領域と同じ均一な露光
量分布しか得ることができない。上述したように、第1
のマスク12aにおいて、破線52よりも下側の領域は
第1単位露光領域EA1の走査方向の重複露光領域に対
応する領域b1とならなければならない。そこで、第1
実施例では、台形状の照明領域31cの長辺がパターン
領域PAの下側のエッジに達したときに、図3(b)に
示すように直線エッジブラインド32で台形ブラインド
31の台形状の開口部の幅(開口部のX方向に沿った長
さ)を線形的に減少させて遮る動作を開始する。
【0053】すなわち、台形状の照明領域31cの長辺
がパターン領域PAの下側のエッジに達したとき、直線
エッジブラインド32の遮光エッジ32aが台形ブライ
ンド31の台形状の開口部の長辺31aと重なる位置関
係にある。直線エッジブラインド32は+Z方向に沿っ
て一定の速度(たとえばマスク上での照明領域の走査速
度と同じ速度)で移動し、やがて直線エッジブラインド
32の遮光エッジ32aが台形ブラインド31の台形状
の開口部の短辺31bと重なって開口部が完全に塞がれ
たとき、台形状の照明領域31cの短辺が破線52の位
置に達する。こうして、マスク12a上において破線5
2で規定される領域b1を介して走査露光される第1単
位露光領域EA1の走査方向の重複露光領域において
も、破線52に対応する重複露光領域のエッジからパタ
ーン領域PAの下側のエッジに対応する重複露光領域の
エッジにかけて線形変化する所望の露光量分布を得るこ
とができる。
【0054】次いで、第1のマスク12aを第2のマス
ク12bと交換し、基板ステージ17をステッピング移
動させることによりプレート14の第2単位露光領域E
A2を投影光学系13の投影視野内へ移動させた後、第
2単位露光領域EA2への走査露光を行う。第2単位露
光領域EA2への走査露光の初期状態では、台形状の照
明領域31cの長辺がパターン領域PAよりも上側に位
置し、長辺の右端がパターン領域PAの右側のエッジの
延長線と接し、台形状の照明領域31cの短辺の左端が
パターン領域PAの左側のエッジの延長線よりも左側に
突出している。第2単位露光領域EA2への走査露光で
は、第2のマスク12bを初期状態から−X方向に一定
の速度で移動させる。
【0055】そして、台形状の照明領域31cの長辺が
パターン領域PAの下側のエッジに達したときに、直線
エッジブラインド32で台形ブラインド31の台形状の
開口部の幅を線形的に減少させて遮る動作を開始し、直
線エッジブラインド32の遮光エッジ32aが台形ブラ
インド31の台形状の開口部の短辺31bと重なって開
口部が完全に塞がれたとき、台形状の照明領域31cの
短辺が図5の破線52に対応する位置に達する。こうし
て、第2のマスク12b上の領域a2および領域c2
(図3(a)を参照)を介して走査露光される第2単位
露光領域EA2の重複露光領域においても、線形変化す
る所望の露光量分布を得ることができる。
【0056】次いで、第2のマスク12bを第3のマス
ク12cと交換し、プレート14の第3単位露光領域E
A3を投影光学系13の投影視野内へ移動させた後、第
3単位露光領域EA3への走査露光を行う。図6は、プ
レート14上の第3単位露光領域EA3に走査露光する
際のマスクブラインド9の動作を説明する図である。第
3単位露光領域EA3への走査露光では、図6に示すよ
うに、台形ブラインド31を介して形成される台形状の
照明領域31c(図中斜線で示す)の短辺が第3のマス
ク12cのY方向に延びた外側遮光領域SA1と重なる
ように、台形ブラインド31と第3のマスク12cとの
位置関係が初期的に設定されている。すなわち、台形状
の照明領域31cの短辺がパターン領域PAよりも上側
に位置し、長辺の右端がパターン領域PAの右側のエッ
ジと接し、台形状の照明領域31cの短辺の左端がパタ
ーン領域PAの左側のエッジの延長線よりも左側に突出
するように、台形ブラインド31と第3のマスク12c
との位置関係が初期的に設定されている。
【0057】しかしながら、第3単位露光領域EA3へ
の走査露光の初期状態において、台形ブラインド31の
台形状の開口部は直線エッジブラインド32によって完
全に塞がれており、第3のマスク12c上において図6
に示すような照明領域31cは実際には形成されていな
い。第3単位露光領域EA3への走査露光では、第3の
マスク12cを初期状態から−X方向に一定の速度で移
動させる。そして、直線エッジブラインド32がなけれ
ば形成されているであろう台形状の照明領域31cの短
辺がパターン領域の上側エッジに達したとき、直線エッ
ジブラインド32で塞がれていた台形ブラインド31の
台形状の開口部の幅を線形的に増大させて開放する動作
を開始する。
【0058】すなわち、台形状の照明領域31cの短辺
がパターン領域PAの上側のエッジに達したとき、直線
エッジブラインド32の遮光エッジ32a(図3(b)
参照)が台形ブラインド31の台形状の開口部の短辺3
1bと重なる位置関係にある。直線エッジブラインド3
2は−Z方向に沿って一定の速度(たとえばマスク上で
の照明領域の走査速度と同じ速度)で移動し、やがて直
線エッジブラインド32の遮光エッジ32aが台形ブラ
インド31の台形状の開口部の長辺31aと重なって開
口部が完全に開放されたとき、台形状の照明領域31c
の長辺が破線61の位置に達する。こうして、マスク1
2c上において破線62で規定される領域c3を介して
走査露光される第3単位露光領域EA3の走査方向の重
複露光領域では、破線62に対応する重複露光領域のエ
ッジからパターン領域PAの上側のエッジに対応する重
複露光領域のエッジにかけて線形変化する所望の露光量
分布を得ることができる。
【0059】その後、台形ブラインド31の台形状の開
口部が開放されたままの状態で、台形状の照明領域31
cは+X方向へ一定の速度で移動する。この場合、台形
状の照明領域31cの短辺の右端がパターン領域PAを
通過する軌跡は図中の破線61で表され、この破線61
よりも右側の領域は第3単位露光領域EA3の走査直交
方向の重複露光領域に対応する領域d3となる。換言す
ると、パターン領域PAの右側のエッジと接する頂点を
有し且つ破線61と接する長辺を有する三角形状の照明
領域によって、すなわちX方向に沿った幅がY方向に沿
って線形変化する照明領域によって、領域d3のパター
ンがX方向に走査される。したがって、この領域d3を
介して走査露光される第3単位露光領域EA3の走査直
交方向の重複露光領域では、破線61に対応する重複露
光領域のエッジからパターン領域PAの右側のエッジに
対応する重複露光領域のエッジにかけて線形変化する所
望の露光量分布を得ることができる。
【0060】最後に、第3のマスク12cを第4のマス
ク12dと交換し、プレート14の第4単位露光領域E
A4を投影光学系13の投影視野内へ移動させた後、第
4単位露光領域EA4への走査露光を行う。第4単位露
光領域EA4への走査露光では、台形状の照明領域31
cの短辺がパターン領域PAよりも上側に位置し、長辺
の左端がパターン領域PAの左側のエッジと接し、台形
状の照明領域31cの短辺の右端がパターン領域PAの
右側のエッジの延長線よりも右側に突出するように、台
形ブラインド31と第4のマスク12dとの位置関係が
初期的に設定されている。
【0061】しかしながら、第4単位露光領域EA4へ
の走査露光の初期状態においても第3単位露光領域EA
3への走査露光と同様に、台形ブラインド31の台形状
の開口部は直線エッジブラインド32によって完全に塞
がれており、第4のマスク12d上において照明領域3
1cは実際には形成されていない。第4単位露光領域E
A4への走査露光では、第4のマスク12dを初期状態
から−X方向に一定の速度で移動させる。そして、直線
エッジブラインド32がなければ形成されているであろ
う台形状の照明領域31cの短辺がパターン領域の上側
エッジに達したとき、直線エッジブラインド32で塞が
れていた台形ブラインド31の台形状の開口部の幅を線
形的に増大させて開放する動作を開始する。
【0062】すなわち、台形状の照明領域31cの短辺
がパターン領域PAの上側のエッジに達したとき、直線
エッジブラインド32の遮光エッジ32a(図3(b)
参照)が台形ブラインド31の台形状の開口部の短辺3
1bと重なる位置関係にある。直線エッジブラインド3
2は−Z方向に沿って一定の速度(たとえばマスク上で
の照明領域の走査速度と同じ速度)で移動し、やがて直
線エッジブラインド32の遮光エッジ32aが台形ブラ
インド31の台形状の開口部の長辺31aと重なって開
口部が完全に開放されたとき、台形状の照明領域31c
の長辺が図6の破線62に対応する位置に達する。こう
して、マスク12d上において領域b4を介して走査露
光される第4単位露光領域EA4の走査方向の重複露光
領域では、線形変化する所望の露光量分布を得ることが
できる。
【0063】その後、台形状の照明領域31cの短辺の
左端がパターン領域PAを通過する軌跡によって規定さ
れる線よりも左側の領域は第4単位露光領域EA4の重
複露光領域に対応する領域d4となる。したがって、こ
の領域d4を介して走査露光される第4単位露光領域E
A4の走査直交方向の重複露光領域においても線形変化
する所望の露光量分布を得ることができる。こうして、
プレート14を二次元的にステッピング移動させながら
プレート14上の4つの単位露光領域EA1〜EA4に
順次走査露光を行うことにより、走査方向の重複露光領
域および走査直交方向の重複露光領域において、非重複
露光領域とほぼ一致する均一分布の露光量を得ることが
できる。
【0064】なお、前述したように、図4における十字
状の重複露光領域の中央では4回の走査露光が行われ
る。以下、この4重複露光領域における露光量分布につ
いて検証する。図7(a)は第1のマスク12aを介し
てプレート14上で形成される4重複露光領域の露光量
分布を数値的に示す図であり、(b)は第2のマスク1
2bを介してプレート14上で形成される4重複露光領
域の露光量分布を数値的に示す図であり、(c)は第1
のマスク12aと第2のマスク12bとを介した2回の
走査露光によりプレート14上で形成される4重複露光
領域の露光量分布を数値的に示す図である。ここで、非
重複露光領域における露光量を100として規格化して
いる。
【0065】図7(a)に示す矩形状の4重複露光領域
の図中上側の辺は、図4の矩形状の4重複露光領域の左
側の辺に対応している。すなわち、図3の第1のマスク
12aにおいて領域a1と領域b1とが重なる矩形状の
領域の左側の辺に対応している。一方、図7(a)に示
す矩形状の4重複露光領域の図中左側の辺は、図4の矩
形状の4重複露光領域の下側の辺に対応している。すな
わち、図3の第1のマスク12aにおいて領域a1と領
域b1とが重なる矩形状の領域の下側の辺に対応してい
る。図7(a)を参照すると、第1のマスク12aを用
いた第1回目の走査露光により、図4の矩形状の4重複
露光領域では左下隅から右上隅にかけてほぼ線形的に増
大する露光量分布が得られることがわかる。
【0066】また、図7(b)に示す矩形状の4重複露
光領域の図中上側の辺は、図4の矩形状の4重複露光領
域の左側の辺に対応している。すなわち、図3の第2の
マスク12cにおいて領域a2と領域c2とが重なる矩
形状の領域の左側の辺に対応している。一方、図7
(b)に示す矩形状の4重複露光領域の図中左側の辺
は、図4の矩形状の4重複露光領域の下側の辺に対応し
ている。すなわち、図3の第2のマスク12bにおいて
領域a2と領域c2とが重なる矩形状の領域の下側の辺
に対応している。図7(b)を参照すると、第2のマス
ク12bを用いた第2回目の走査露光により、図4の矩
形状の4重複露光領域では右下隅から左上隅にかけてほ
ぼ線形的に増大する露光量分布が得られることがわか
る。
【0067】図7(c)に示す矩形状の4重複露光領域
に示す露光量分布は、図7(a)に示す矩形状の4重複
露光領域に示す露光量分布と図7(b)に示す矩形状の
4重複露光領域に示す露光量分布との総和である。すな
わち、図7(c)に示す矩形状の4重複露光領域には、
第1のマスク12aを用いた第1回目の走査露光と第2
のマスク12bを用いた第2回目の走査露光とにより形
成される露光量分布が示されている。図7(c)を参照
すると、第1回目の走査露光と第2回目の走査露光とに
より、図4の矩形状の4重複露光領域では下辺から短辺
にかけて単調に増大する露光量分布が得られることがわ
かる。
【0068】図8(a)は第3のマスク12cを介して
プレート14上で形成される4重複露光領域の露光量分
布を数値的に示す図であり、(b)は第4のマスク12
dを介してプレート14上で形成される4重複露光領域
の露光量分布を数値的に示す図であり、(c)は第3の
マスク12cと第4のマスク12dとを介した2回の走
査露光によりプレート14上で形成される4重複露光領
域の露光量分布を数値的に示す図である。
【0069】図8(a)に示す矩形状の4重複露光領域
の図中上側の辺は、図4の矩形状の4重複露光領域の左
側の辺に対応している。すなわち、図3の第3のマスク
12cにおいて領域c3と領域d3とが重なる矩形状の
領域の左側の辺に対応している。一方、図8(a)に示
す矩形状の4重複露光領域の図中左側の辺は、図4の矩
形状の4重複露光領域の下側の辺に対応している。すな
わち、図3の第3のマスク12cにおいて領域c3と領
域d3とが重なる矩形状の領域の下側の辺に対応してい
る。図8(a)を参照すると、第3のマスク12cを用
いた第3回目の走査露光により、図4の矩形状の4重複
露光領域では右上隅から左下隅にかけてほぼ線形的に増
大する露光量分布が得られることがわかる。
【0070】また、図8(b)に示す矩形状の4重複露
光領域の図中上側の辺は、図4の矩形状の4重複露光領
域の左側の辺に対応している。すなわち、図3の第4の
マスク12dにおいて領域b4と領域d4とが重なる矩
形状の領域の左側の辺に対応している。一方、図8
(b)に示す矩形状の4重複露光領域の図中左側の辺
は、図4の矩形状の4重複露光領域の下側の辺に対応し
ている。すなわち、図3の第4のマスク12dにおいて
領域b4と領域d4とが重なる矩形状の領域の下側の辺
に対応している。図8(b)を参照すると、第4のマス
ク12dを用いた第4回目の走査露光により、図4の矩
形状の4重複露光領域では左上隅から右下隅にかけてほ
ぼ線形的に増大する露光量分布が得られることがわか
る。
【0071】図8(c)に示す矩形状の4重複露光領域
に示す露光量分布は、図8(a)に示す矩形状の4重複
露光領域に示す露光量分布と図8(b)に示す矩形状の
4重複露光領域に示す露光量分布との総和である。すな
わち、図8(c)に示す矩形状の4重複露光領域には、
第3のマスク12cを用いた第3回目の走査露光と第4
のマスク12dを用いた第4回目の走査露光とにより形
成される露光量分布が示されている。図8(c)を参照
すると、第3回目の走査露光と第4回目の走査露光とに
より、図4の矩形状の4重複露光領域では短辺から下辺
にかけて単調に増大する露光量分布が得られることがわ
かる。
【0072】図9は、4回の走査露光によりプレート1
4上で最終的に形成される4重複露光領域の露光量分布
を数値的に示す図である。図9に示す矩形状の4重複露
光領域に示す露光量分布は、図7(a)に示す矩形状の
4重複露光領域に示す露光量分布と、図7(b)に示す
矩形状の4重複露光領域に示す露光量分布と、図8
(a)に示す矩形状の4重複露光領域に示す露光量分布
と、図8(b)に示す矩形状の4重複露光領域に示す露
光量分布との総和である。図9に示すように、第1実施
例では、4重複露光領域においても、走査方向の重複露
光領域および走査直交方向の重複露光領域と同様に、非
重複露光領域と同じ均一な露光量分布を得ることができ
る。
【0073】以上のように、第1実施例の露光装置で
は、各単位露光領域への走査露光の際に、重複露光領域
において線形的に変化する所望の露光量分布を得ること
ができるので、部分的に重なり合う複数の単位露光領域
からなる最終的な大型の露光領域において重複露光領域
と非重複露光領域とに亘ってほぼ均一な露光量分布を得
ることができ、露光量ムラがほとんど発生しない。その
結果、プレート上で画面合成により形成された大面積の
パターンにおいてパターン継ぎ目に欠陥のない高精度で
良好なデバイスを製造することができる。
【0074】また、ステップ・アンド・スキャン方式を
用いているので、露光視野としてほぼ一次元的な形状で
あるスリット状の視野を利用することにより、投影光学
系のディストーション等の収差の影響も小さく抑えられ
る。また、スリット状の露光視野の幅で平均された像が
プレートに露光されることになるため、収差も平均化さ
れる。その結果、パターンの転写の忠実性が飛躍的に向
上するだけでなく、投影光学系のレンズ全長を小型化す
ることができる。また、1回の走査露光により焼き付け
られる露光領域の大きさが投影光学系の投影視野の直径
によって規定されるので、結果的に投影光学系のレンズ
径を小さくすることができ、コスト的に非常に有利であ
る。
【0075】第1実施例では、細長い台形状の開口部
(光透過部)が固定的に形成された台形ブラインド31
に対して直線エッジブラインド32を移動させている。
しかしながら、使用するマスクのパターンによっては、
台形状の開口部の長辺方向の長さを変更しなければなら
ない場合がある。したがって、走査露光時には直線エッ
ジブラインド32を移動させるだけでよいが、台形状の
開口部の長辺方向(マスク上では走査直交方向)の長さ
を任意に設定することができるように台形ブラインド3
1を構成することが望ましい。
【0076】また、固定ブラインド31の開口部の形状
も台形だけでなく長方形や他の形状に適宜変更すること
ができれば、隣接する単位露光領域との間でオーバーラ
ップの有る場合と無い場合とが混在しても、投影光学系
の投影視野(イメージフィールド)を最大限に活用する
ことができる。この目的のため、台形状の開口部の斜辺
(台形の上底と下底とを結ぶ2つの辺を斜辺という)部
分を直線エッジを有する別の可動ブラインドで規定する
構成を採ってもよい。また、オーバーラップのある走査
露光をする場合に使用するブラインドおよびオーバーラ
ップのない通常の走査露光を行う場合に使用するブライ
ンドを設け、これら2種類のブラインドを交換可能に構
成してもよい。また、固定ブラインド(第1実施例では
台形ブラインド)と可動ブラインド(第1実施例では直
線エッジブラインド)と近接させて配置してもよいし、
照明光学系内にマスクと共役な面を2つ形成し、一方の
共役面に固定ブラインドを設け他方の共役面に可動ブラ
インドを設けてもよい。
【0077】更に、第1実施例では、走査露光するマス
クステージの速度に対してマスク上において同じ速度に
なるように直線エッジブラインドを移動させている。し
かしながら、直線エッジブラインドのマスク上での移動
速度とマスクステージの走査速度とを等しく設定する必
要はなく、走査方向のオーバーラップ幅により速度を変
更することができる。また、第1実施例では、固定ブラ
インドの開口部の形状を台形状に設定しているが、最終
的にプレート上で得られる露光領域の全体に亘る露光量
分布が均一になるような形状であれば、台形状に限定す
ることなく、平行四辺形や六角形等の形状を有する開口
部を設定することができることは言うまでもない。
【0078】更に、第1実施例では、台形ブラインドの
台形状の開口部の長辺に対して平行な直線エッジを有す
る直線エッジブラインドを開口部の長辺と直交する方向
に沿って移動させている。しかしながら、図10に示す
ように、台形ブラインドの台形状の開口部の短辺と2つ
の斜辺とに対応するエッジ形状を有する変形エッジブラ
インドを、台形ブラインドの台形状の開口部の長辺と直
交する方向に沿って移動させてもよい。また、ブライン
ド自体は、ガラス基板に微小遮光部をパターニングする
ことにより形成しても構わないし、遮光性を有する金属
膜等をガラス基板に直接エッチングして形成しても構わ
ない。
【0079】図11は、本発明の第2実施例にかかる露
光装置の構成を概略的に示す図である。また、図12
は、第2実施例におけるマスクブラインドの固定ブライ
ンドに形成されたスリット状の光透過部の構成を示す図
である。第2実施例においても第1実施例と同様に、大
型の液晶表示素子の製造に用いられる走査型の投影露光
装置に本発明を適用している。第2実施例は第1実施例
と類似の構成を有するが、投影光学系の構成およびマス
クブラインドの構成だけが第1実施例と基本的に相違し
ている。したがって、図11において第1実施例の構成
要素と同様の機能を有する要素には、図1と同じ参照符
号を付している。以下、第1実施例との相違点に着目し
ながら、第2実施例を説明する。
【0080】図11に示すように、第2実施例の走査型
露光装置には、プリズムミラー100と屈折レンズ10
1と凹面反射鏡102とからなる反射屈折型の投影光学
系が搭載されている。したがって、第2実施例におい
て、マスク12からの光は、プリズムミラー100の第
1反射面100aで反射された後、屈折レンズ101を
介して凹面反射鏡102に入射する。凹面反射鏡102
で反射された光は、屈折レンズ101を介した後、プリ
ズムミラー100の第2反射面100bで反射され、プ
レート14上にマスクパターンの等倍正立像を形成す
る。したがって、走査露光に際して、第1実施例ではマ
スクとプレートとを逆の向きに走査するが、第2実施例
ではマスクとプレートとを同じ向きに同じ速度で走査す
ることになる。
【0081】また、第2実施例では、マスクブラインド
9を構成する一対のブラインドのうち固定ブラインド3
1に、スリット状(細長い矩形状)の光透過部が形成さ
れている。図12に示すように、固定ブラインド31の
スリット状の光透過部は、その中央に形成されて光をほ
ぼ100%透過させる透光領域31dと、その両端部に
形成されて透光領域と接する側から光の透過率が線形的
に減少するように構成された減光領域31eとから構成
されている。図12に示すように、減光領域31eに
は、たとえば5μm以下の大きさの微小遮光部が所定の
パターンにしたがって形成されている。その結果、この
減光領域31eを介してマスク上に形成される照明領域
の照度分布は、ひいてはプレート上に形成される露光視
野の照度分布(露光量分布)は走査直交方向に沿ってほ
ぼ線形変化することになる。なお、マスクブラインド9
を構成する一対のブラインドのうち可動ブラインド32
は、第1実施例と同様に直線エッジが形成された遮光部
を有する直線エッジブラインドである。そして、直線エ
ッジブラインド32の直線エッジは固定ブラインド31
のスリット状の光透過部の長手方向と平行であり、直線
エッジブラインド32はスリット状の光透過部の長手方
向と直交する方向に移動可能に構成されている。
【0082】したがって、第2実施例においても、第1
実施例と同様の手順にしたがって4つの単位露光領域に
対して走査露光を行うことができる。すなわち、第2実
施例においても、単位露光領域の走査直交方向の重複露
光領域では、固定ブラインド31のスリット状の光透過
部に形成された減光領域31eの作用により、線形変化
する所望の露光量分布を得ることができる。また、単位
露光領域の走査方向の重複露光領域では、固定ブライン
ド31のスリット状の光透過部を走査露光中に徐々に遮
ったり徐々に開放したりする直線エッジブラインド32
の作用により、線形変化する所望の露光量分布を得るこ
とができる。その結果、第2実施例においても、重複露
光領域の露光量分布を非重複露光領域の露光量分布とほ
ぼ一致させることができ、露光量ムラがほとんど発生し
ない。
【0083】なお、隣接する単位露光領域との間でオー
バーラップさせない通常の走査露光にも対応することが
できるように、減光領域の形成されていないスリット状
の光透過部が形成された他の固定ブラインドも用意し、
2つの固定ブラインドを切り換え可能に構成することが
好ましい。また、図12では、1枚のガラス基板上に微
小遮光部のパターンを形成することにより固定ブライン
ド31を構成しているが、例えばL字形の2枚のブライ
ンドを重ね合わせることにより固定ブラインドを構成し
てもよい。
【0084】図13は、本発明の第3実施例にかかる露
光装置の構成を概略的に示す図である。第3実施例にお
いても第1実施例および第2実施例と同様に、大型の液
晶表示素子の製造に用いられる走査型の投影露光装置に
本発明を適用している。第3実施例は第2実施例と類似
の構成を有するが、照明光学系の構成および投影光学系
の構成だけが第2実施例と基本的に相違している。した
がって、図13において第2実施例の構成要素と同様の
機能を有する要素には、図11と同じ参照符号を付して
いる。以下、第2実施例との相違点に着目しながら、第
3実施例を説明する。
【0085】図13に示すように、第3実施例の走査型
露光装置には、第2実施例の投影光学系と同じ構成を有
する2つの反射屈折型結像光学系K1およびK2からな
る投影光学系が搭載されている。したがって、第3実施
例において、マスク12からの光は、第1結像光学系K
1のプリズムミラー110の第1反射面110aで反射
された後、屈折レンズ111を介して凹面反射鏡112
に入射する。凹面反射鏡112で反射された光は、屈折
レンズ111を介した後、プリズムミラー110の第2
反射面110bで反射され、マスクパターンの中間像を
形成する。
【0086】マスクパターンの中間像からの光は、第2
結像光学系K2のプリズムミラー120の第1反射面1
20aで反射された後、屈折レンズ121を介して凹面
反射鏡122に入射する。凹面反射鏡122で反射され
た光は、屈折レンズ121を介した後、プリズムミラー
120の第2反射面120bで反射され、プレート14
上にマスクパターンの等倍正立正像を形成する。したが
って、走査露光に際して、第3実施例においても第2実
施例と同様に、マスクとプレートとを同じ向きに同じ速
度で走査することになる。
【0087】第3実施例の投影光学系は、第2実施例の
投影光学系を2つ直列に接続した光学系であって、例え
ば特開平8−211294号公報に記載されている光学
系である。この種の投影光学系では、投影視野(収差補
正されたフィールド)がほぼ半円形状となり、露光視野
の形状を台形状に設定すれば投影光学系の投影視野を有
効に利用することができる。また、この種の投影光学系
では、中間像の形成位置がマスクおよびプレートと共役
な位置となるので、投影光学系内において中間像の形成
位置の近傍に視野絞りを配置することができ、照明光学
系内に特にマスクブラインドを設ける必要がない。その
代わりに、投影光学系内において中間像が形成される位
置の近傍に固定ブラインド31と可動ブラインド32と
を設け、第1実施例および第2実施例と同様の手順にし
たがってブラインドの駆動動作を行えばよい。
【0088】また、第3実施例では、正立正像を形成す
る投影光学系用いているので、以下のように照明光学系
の構成を簡素化することができる。図13を参照する
と、照明光学系において、光源1から射出された照明光
束は、ミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置P1
に光源像を形成する。楕円鏡2の第2焦点位置P1に形
成された光源像からの光束は、集光レンズ131を介し
て、光ファイバーのようなライドガイド132の入射面
に入射する。ライドガイド132の内部を伝搬してその
射出面から射出された光は、コレクターレンズ133に
よりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイインテ
グレータ134に入射する。フライアイインテグレータ
134に入射した光束は、多数のレンズエレメントによ
り二次元的に分割され、フライアイインテグレータ13
4の後側焦点面(すなわち射出面の近傍)にレンズエレ
メントの数と同数の光源像を形成する。フライアイイン
テグレータ134の後側焦点面に形成された多数の光源
像からの光束は、折り曲げミラー135およびリレーレ
ンズ136を介した後、マスク12を重畳的に照明す
る。
【0089】なお、第3実施例では、投影光学系内にブ
ラインド9を配置する構成としているが、当然に照明光
学系内においてプレートまたはマスクとほぼ共役な位置
にマスクブラインドを配置してもよい。この場合、ブラ
インドの駆動系を投影光学系の外部に設けることができ
るため、駆動系による振動等の影響を投影光学系に与え
ずに済むという利点がある。
【0090】また、第3実施例の照明光学系では、ライ
トガイドファイバーを用いてスリット状の照明領域に対
する照明効率を向上させている。この場合、ランダム性
の高いファイバーを用いることにより、ファイバー入射
側に遮光ブラインド(シャッター等)を設け、遮光ブラ
インドで一部の光束を制限しても、制限された光束に基
づいてファイバー射出側では均一化された所望断面の光
束が形成される。したがって、走査方向の重複露光領域
を走査露光する際に遮光ブラインドで遮る光束の量を変
化させることにより、露光視野の照度を徐々に低下させ
たり逆に徐々に増大させたりして、所望の露光量分布を
得ることができる。
【0091】また、各実施例中に記載されている方式の
他に上述の方式の補完的な方法として、ブラインドまた
はシャッターを制御し切れない部分については、マスク
およびプレートの走査速度を制御することにより、走査
方向の重複露光領域における照度分布(露光量分布)を
所望の分布に規定することができる。
【0092】さらに、上述の各実施例では、液晶表示素
子を製造する露光装置に本発明を適用しているが、半導
体素子を製造する露光装置に対して本発明を適用するこ
ともできる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
部分的に重なり合う複数の単位露光領域からなる最終的
な大型の露光領域において重複露光領域と非重複露光領
域とに亘ってほぼ均一な露光量分布を得ることができ、
露光量ムラがほとんど発生しない。その結果、感光性基
板上で画面合成により形成された大面積のパターンにお
いてパターン継ぎ目に欠陥のない高精度で良好なデバイ
スを製造することができる。
【0094】また、ステップ・アンド・スキャン方式を
用いているので、露光視野としてほぼ一次元的な形状で
あるスリット状の視野を利用することにより、投影光学
系のディストーション等の収差の影響が小さく抑えられ
る。また、スリット状の露光視野の幅で平均された像が
感光性基板に露光されることになるため、収差も平均化
される。その結果、パターンの転写の忠実性が飛躍的に
向上するだけでなく、投影光学系のレンズ全長を小型化
することができる。また、1回の走査露光により焼き付
けられる露光領域の大きさが投影光学系の投影視野の直
径によって規定されるので、結果的に投影光学系のレン
ズ径を小さくすることができ、コスト的に非常に有利で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる露光装置の構成を
概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のマスクブラインド9の要部構成を示す図
である。
【図3】第1実施例において用いられる4枚のマスク1
2a〜12dの構成を示す図である。
【図4】4枚のマスク12a〜12dを用いた画面継ぎ
走査露光によりプレート14上に形成されるデバイスパ
ターンを示す図である。
【図5】プレート14上の第1単位露光領域EA1に走
査露光する際のマスクブラインド9の動作を説明する図
である。
【図6】プレート14上の第3単位露光領域EA3に走
査露光する際のマスクブラインド9の動作を説明する図
である。
【図7】(a)〜(c)は第1および第2のマスクを介
してプレート上で形成される4重複露光領域の露光量分
布を数値的に示す図である。
【図8】(a)〜(c)は第3および第4のマスクを介
してプレート上で形成される4重複露光領域の露光量分
布を数値的に示す図である。
【図9】4回の走査露光によりプレート14上で最終的
に形成される4重複露光領域の露光量分布を数値的に示
す図である。
【図10】マスクブラインドの変形例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例にかかる露光装置の構成
を概略的に示す図である。
【図12】第2実施例におけるマスクブラインドの固定
ブラインドに形成されたスリット状の光透過部の構成を
示す図である。
【図13】本発明の第3実施例にかかる走査型露光装置
の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 光源 2 楕円反射鏡 3 第2焦点位置 4 コレクターレンズ 5 第1フライアイインテグレーター 6 第1リレーレンズ 7 第2フライアイインテグレーター 8 第2リレーレンズ 9 マスクブラインド 10 ブラインドリレー系 11 ミラー 12 マスク 13 投影光学系 14 プレート 15 マスクステージ 16 マスク干渉計 17 基板ステージ 18 プレート干渉計 19 マスクアライメント系 20 プレートアライメント系
フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA21 LA24 RA26 RA37 TA01 TA03 5F046 BA05 CA02 CB02 CB03 CB05 CB06 CB08 CB12 CB13 CB17 CB23 CC02 DA02 9A001 HH28 HH34 JJ46 KK16 KK36 KK42 KZ29 KZ37

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の被照明面に設定されたマスクを照
    明光で照明する照明系と、前記マスクのパターン像を所
    定の露光視野のもとで感光性基板に投影する投影系と、
    被照明面に複数のマスクを順次設定するマスク交換手段
    とを備え、前記感光性基板上にて一部重複した複数の単
    位露光領域のそれぞれに前記複数のマスクのパターン像
    を順次露光する露光装置において、 前記単位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を
    順次走査露光するために、前記投影系に対して前記マス
    クと前記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動
    させる走査手段と、 前記複数の単位露光領域が一部重複した重複露光領域と
    該重複露光領域以外の非重複露光領域とに亘って露光量
    分布がほぼ均一となるように、前記重複露光領域を走査
    露光するときに前記露光視野を変化させる露光視野制御
    手段とを備えていることを特徴とする露光装置。
  2. 【請求項2】 前記露光視野制御手段は、前記走査方向
    と交差する重複露光領域での前記走査方向の露光量をほ
    ぼ一定に保つために、前記走査方向と交差する重複露光
    領域を走査露光するときに前記走査方向での前記露光視
    野を変化させることを特徴とする請求項1に記載の露光
    装置。
  3. 【請求項3】 前記露光視野制御手段は、前記照明系ま
    たは前記投影系の光路中に配置されて前記露光視野を形
    成する視野絞りと、前記露光視野の少なくとも一部を制
    限する露光視野制限部材と、前記露光視野を変化させる
    ために前記視野絞りと前記露光視野制限部材とを相対的
    に移動させる駆動手段とを有することを特徴とする請求
    項1または2に記載の露光装置。
  4. 【請求項4】 感光性基板上にて互いに一部重複した複
    数の単位露光領域のそれぞれに複数のマスクのパターン
    像を所定の露光視野を有する投影系を用いて順次露光す
    る露光方法において、 前記単位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を
    順次走査露光するために、前記投影系に対して前記マス
    クと前記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動
    させる走査工程と、 前記複数の単位露光領域が一部重複した重複露光領域で
    の露光量をほぼ一定に保つために、前記重複露光領域を
    走査露光するときに前記露光視野を変化させる露光視野
    可変工程とを有することを特徴とする露光方法。
  5. 【請求項5】 感光性基板上にて互いに一部重複した複
    数の単位露光領域のそれぞれに複数のマスクのパターン
    像を所定の露光視野を有する投影系を用いて順次露光す
    る露光方法において、 前記単位露光領域にて前記複数のマスクのパターン像を
    順次走査露光するために、前記投影系に対して前記マス
    クと前記感光性基板とを所定の走査方向に相対的に移動
    させる走査工程と、 前記複数の単位露光領域が一部重複した重複露光領域と
    該重複露光領域以外の非重複露光領域とに亘って露光量
    分布がほぼ均一となるように、前記重複露光領域での露
    光量を調整する露光量調整工程とを有することを特徴と
    する露光方法。
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