JP2000274339A - 4サイクル内燃機関用制御装置 - Google Patents

4サイクル内燃機関用制御装置

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JP2000274339A
JP2000274339A JP11077792A JP7779299A JP2000274339A JP 2000274339 A JP2000274339 A JP 2000274339A JP 11077792 A JP11077792 A JP 11077792A JP 7779299 A JP7779299 A JP 7779299A JP 2000274339 A JP2000274339 A JP 2000274339A
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Japan
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ignition
ring gear
internal combustion
cylinder
combustion engine
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JP11077792A
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Kiyoshi Kamimura
清 上村
Shigetoshi Aoki
成年 青木
Mitsugi Koike
貢 小池
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Mahle Electric Drive Systems Co Ltd
Original Assignee
Kokusan Denki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機関のクランク軸の回転角度情報及び回転速度
情報を常に正確に検出することができる4サイクル内燃
機関制御装置を提供する。 【解決手段】機関のクランク軸の基準位置でカム軸セン
サ5が基準判別パルスを発生した時に、リングギアセン
サ4が発生するリングギア検出パルスの計数を開始す
る。所定個数のリングギア検出パルスが発生するのに要
した時間から機関の回転速度を検出し、リングギア検出
パルスの計数値から機関の回転角度情報を得て、点火装
置や燃料噴射装置等の制御対象を制御する。カム軸セン
サが基準判別パルスを発生する位置は、クランク軸の瞬
時回転速度の変化率がほぼ零になる位置で、かつ内燃機
関の行程変化に伴う回転変動により生じる基準判別パル
スのリングギア検出パルスに対する位相の変化量が最小
と見做せる位置に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロコンピュ
ータを用いた電子制御ユニットにより、4サイクル内燃
機関の点火位置や燃料噴射装置を制御する内燃機関制御
用制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】4サイクル内燃機関は、複数の気筒と、
該複数の気筒内をそれぞれ変位するピストンにより回転
駆動されるクランク軸と、クランク軸に歯車減速機構
や、タイミングベルトまたはチェーンを用いた減速機構
を介して連結されて、クランク軸の回転速度の1/2の
回転速度で同期回転させられるカム軸と、該カム軸によ
り駆動される給気バルブ及び排気バルブと、各気筒用の
点火信号に応答して各気筒で点火動作を行わせる点火装
置とを備えていて、爆発、排気、給気及び圧縮の4行程
からなる燃焼サイクルを繰り返すことにより、クランク
軸を回転させる。
【0003】この4サイクル内燃機関から十分な出力を
引き出し、かつ燃費の向上や、排気ガスの浄化を図るた
めには、機関の点火位置(点火動作が行われるときのク
ランク軸の回転角度位置)と機関への燃料供給量とを、
回転速度[rpm]等の各種の制御条件に応じて高精度
で制御することが必要である。
【0004】そのため、最近の4サイクル内燃機関で
は、機関の各気筒に燃料を供給する手段として、各気筒
毎に設けられたインジェクタ(電磁式の燃料噴射弁)と
該インジェクタに燃料を与える燃料ポンプと該インジェ
クタに駆動電流を与えるインジェクタ駆動回路とを備え
た燃料噴射装置を用いるとともに、点火装置として無接
点式の点火装置を用いて、該燃料噴射装置と点火装置と
をマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニット(E
CU)により制御するようにしている。
【0005】燃料噴射装置を構成するインジェクタは、
先端に燃料噴射口を有するインジェクタボディと、該イ
ンジェクタボディ内に配置されたソレノイド(電磁石)
と、該ソレノイドに所定の駆動電流が与えられている間
燃料噴射口を開く弁とを備えていて、インジェクタボデ
ィ内に燃料ポンプから燃料が所定の圧力で与えられる。
インジェクタは例えば機関の吸気管に取り付けられ、イ
ンジェクタ駆動回路からソレノイドに駆動電流が与えら
れている間弁を開いてその燃料噴射口から燃料を噴射す
る。吸気管内に噴射された燃料はスロットルバルブを通
して吸気管内に流入した空気と混合されて、吸気バルブ
が開いているときに気筒内に供給される。
【0006】インジェクタからの燃料の噴射量は、主に
弁が開いている時間と燃料ポンプから与えられる燃料の
圧力との積により決まるが、一般にはインジェクタに与
えられる燃料の圧力はプレッシャレギュレータにより一
定に保たれるため、燃料の噴射量は噴射時間(噴射指令
信号の信号幅)により決まる。従って、燃料噴射装置に
より燃料を供給する内燃機関においては、噴射指令信号
の信号幅を制御することにより機関への燃料の供給量を
制御している。
【0007】4サイクル内燃機関の吸気管内に燃料を噴
射する場合には、燃費及び排気ガスの成分を精度よく制
御するために、機関の排気行程から吸入行程にかけて燃
料を噴射することが望ましいとされている。従って、イ
ンジェクタ駆動回路に噴射指令信号を与える位置(燃料
噴射開始位置)は排気行程に相当するクランク軸の回転
角度範囲内の適当な位置に設定される。
【0008】一方、内燃機関を点火する無接点式の点火
装置は、機関の各気筒に取り付けられた点火プラグと、
所定の気筒の点火プラグに二次コイルが接続された点火
コイルと、内燃機関の点火位置(クランク軸の回転角度
位置)で点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘
起させるべく、各気筒用の点火信号に応答して点火コイ
ルの一次電流に急激な変化を生じさせる点火駆動回路と
により構成される。
【0009】通常点火コイルは、内燃機関の各気筒毎に
設けられるが、2気筒や4気筒などの偶数気筒の内燃機
関では、点火位置がクランク角で360°離れている2
つの気筒を1組の気筒として、各組の気筒に対して点火
コイルが1つずつ設けられることもある。
【0010】例えば、4サイクル内燃機関では、第1気
筒、第3気筒、第4気筒、第2気筒の順に点火が行われ
るが、この場合、点火位置がクランク角で360°離れ
ている第1気筒及び第4気筒を1組の気筒とし、第2気
筒及び第3気筒を他の1組の気筒として、第1気筒及び
第4気筒用の点火コイルと第2気筒及び第3気筒用の点
火コイルとの2つの点火コイルが設けられ、各点火コイ
ルの二次コイルの両端が対応する2つの気筒の点火プラ
グの非接地側端子に接続される。
【0011】上記のように点火位置が360°離れた2
つの気筒に対して共通に1つの点火コイルを設ける場
合、該点火コイルは同時発火コイルと呼ばれ、該点火コ
イルの二次コイルに誘起する点火用の高電圧が2つの気
筒の点火プラグに同時に印加される。この場合、2つの
気筒で同時に点火動作(点火プラグに火花放電を生じさ
せる動作)が行われるが、4サイクル内燃機関では、点
火位置が360°離れた2つの気筒のうちの一方が正規
の点火位置にある時に他方は排気行程の終期にあって、
該他方の気筒で発生する火花は燃料の着火には寄与しな
いため、点火位置が360°離れた2つの気筒で同時に
点火動作を行わせても機関の動作には何等支障を来さな
い。
【0012】各点火コイルの一次側に設けられる点火駆
動回路としては、コンデンサ放電式の回路と、電流遮断
形の回路とが知られている。コンデンサ放電式の点火駆
動回路は、点火コイルの一次側に設けられて点火位置よ
りも進んだ位置で一方の極性に充電される点火用コンデ
ンサと点火信号が与えられたときに導通して該点火用コ
ンデンサの電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電
させる一次電流制御用スイッチとを備えていて、点火用
コンデンサの電荷の放電により点火コイルの一次電流に
急激な変化を生じさせて点火用の高電圧を発生させる。
【0013】また電流遮断形の点火駆動回路は、点火コ
イルに一次電流を供給する電源部と、点火位置よりも進
んだ位置で点火信号により導通させられて点火コイルに
一次電流を流す一次電流制御用スイッチとを備えてい
て、機関の点火位置よりも進んだ位置で点火信号を発生
させて点火コイルに一次電流を流し、点火位置で点火信
号を消滅させて該一次電流制御用スイッチを遮断状態に
することにより、点火コイルの二次コイルに点火用の高
電圧を誘起させる。この電流遮断形の点火駆動回路とし
ては、電源部にバッテリを用いるバッテリ式のものと、
内燃機関により駆動される磁石発電機内に設けられた発
電コイルを電源部として用いるものとがある。
【0014】コンデンサ放電式の点火駆動回路と電流遮
断形の点火駆動回路とでは、点火信号への応答の仕方が
相違する。即ち、コンデンサ放電式の点火駆動回路で
は、点火信号が与えられたときに一次電流制御用スイッ
チを導通させて点火用コンデンサを放電させることによ
り点火動作を行わせるため、点火信号を発生させるタイ
ミングが点火位置となる。これに対し、電流遮断形の点
火装置では、点火信号が与えられた時に一次電流の通電
を開始し、点火信号が消滅したときに一次電流を遮断し
て点火動作を行わせるため、点火信号を消滅させるタイ
ミングが点火位置となる。
【0015】本発明が対象とする内燃機関においては、
点火装置の点火駆動回路として上記いずれの形式のもの
を用いてもよいが、4サイクル内燃機関を点火する点火
装置の点火駆動回路としては、バッテリを電源とした電
流遮断形の回路が多く用いられている。従って、以下の
説明では、バッテリ式の電流遮断形点火駆動回路を用い
るものとする。
【0016】バッテリ式の電流遮断形点火駆動回路が用
いられる場合には、点火コイルの一次電流の通電を開始
する通電開始位置(点火信号を発生させる位置)と、該
一次電流を遮断する通電遮断位置(点火信号を消滅させ
る位置)とを制御する必要がある。
【0017】内燃機関において、燃料噴射装置や点火装
置のように、機関のクランク軸の所定の回転角度位置で
動作を行う制御対象を制御する場合には、機関の回転角
度情報と回転速度情報とを得るために、クランク軸の所
定の回転角度位置でパルス信号を発生するセンサが用い
られる。このセンサとしては、内燃機関のカム軸により
駆動されて、クランク軸の所定の回転角度位置(いずれ
か1つの気筒のピストンが圧縮行程で上死点に達した時
のクランク軸の回転角度位置に対して十分に進角した位
置)に設定された基準位置で基準判別パルスを発生する
カム軸センサと、クランク軸に取り付けられたリングギ
アの歯を検出してリングギア検出パルスを発生するリン
グギアセンサとを用いることが多い。
【0018】カム軸センサは、外周にリラクタを有して
カム軸に取り付けられたロータと、機関のケース等に取
り付けられて、ロータの外周のリラクタの回転方向の前
端縁及び後端縁をそれぞれ検出して極性が異なるパルス
を発生する信号発電子とにより構成される。信号発電子
は、ロータの外周のリラクタに対向する磁極部を先端に
有する鉄心と、該鉄心に巻回された信号コイルと、該鉄
心に磁気結合された永久磁石とを有する周知のもので、
リラクタが信号発電子の磁極部に対向し始める際、及び
該対向を終了する際にそれぞれ鉄心中で生じる磁束の変
化により、信号コイルに極性が異なるパルス信号を誘起
する。
【0019】カム軸センサは、機関のクランク軸の回転
角度位置が機関の特定の気筒の圧縮行程の上死点位置よ
りも進んだ位置(例えば上死点前65°の位置)に設定
された基準位置に一致した時に、その信号発電子がロー
タのリラクタの回転方向の前端縁を検出して基準判別パ
ルスを発生するように構成される。
【0020】リングギアは、機関を始動する際にスター
タモータにより駆動されるピニオンギアを噛み合わせる
ためにクランク軸に取り付けられるリング状のギアで、
鉄等の強磁性体からなっている。このリングギアは、通
常100枚程度の歯を有している。
【0021】リングギアセンサは、カム軸センサを構成
する信号発電子と同様の構造を有するもので、リングギ
アに対向する磁極部を先端に有する鉄心と、該鉄心に巻
回された信号コイルと、該鉄心に磁気結合された永久磁
石とを備えている。リングギアセンサは、その磁極部の
位置をリングギアの各歯が通過する毎に極性が異なるパ
ルスを発生する。リングギアセンサが発生する正負の極
性の一連のパルスのうちの一方の極性のパルスがリング
ギア検出パルスとして電子制御ユニットに入力される。
このリングギア検出パルスはクランク軸が微小角度(3
60°/リングギアの歯数)回転する毎に(微小クラン
ク角度毎に)発生するため、該リングギア検出パルスを
計数することにより、内燃機関のクランク軸の回転角度
を検出することができ、所定数のリングギア検出パルス
が発生するのに要した時間を計測することにより機関の
回転速度(クランク軸の回転速度)を検出することがで
きる。
【0022】電子制御ユニットはCPUを備えていて、
リングギアセンサが予め定めた数のリングギア検出パル
スを発生するのに要した時間から機関の回転速度を演算
し、演算した回転速度と各種のセンサから検出された制
御条件とに対して、各気筒用の点火コイルの一次コイル
への通電を開始する通電開始位置及び通電停止位置(点
火位置)と燃料噴射時間とを演算する。
【0023】各気筒の通電開始位置は、各気筒の通電開
始位置の計測を開始する位置として予め定められた計測
開始位置から通電開始位置まで機関が回転するのに要す
る時間(その間に各気筒用の通電タイマが計数すべきク
ロックパルスの数、本明細書ではこの時間を「通電開始
位置計測時間」と呼ぶ。)の形で演算され、点火位置
は、通電開始位置から点火位置まで機関が回転するのに
要する時間(点火タイマが計数すべきクロックパルスの
値、本明細書ではこの時間を「点火位置計測時間」と呼
ぶ。)の形で演算される。
【0024】電子制御ユニットはまた、カム軸センサが
基準位置で基準判別パルスを発生した時点からリングギ
アセンサが微小クランク角度毎に発生する一連のリング
ギア検出パルスを計数することにより、各気筒の燃料噴
射開始位置として予め定められたクランク軸の回転角度
位置を計測し、各気筒の燃料噴射開始位置が計測された
時に各気筒用のインジェクタから燃料の噴射を開始させ
る。また各気筒用のインジェクタから燃料の噴射を開始
させると同時に、各気筒用のインジェクタからの燃料噴
射時間を計測する噴射タイマをスタートさせて、各気筒
の燃料噴射時間の計測を開始する。各気筒用の噴射タイ
マが燃料噴射時間の計測を完了したときに各気筒用のイ
ンジェクタからの燃料の噴射を停止させる。
【0025】電子制御ユニットはまた、基準判別パルス
が発生した時点から(基準位置から)リングギア検出パ
ルスを計数することにより、各気筒用の点火コイルへの
通電を開始する通電開始位置の計測を開始する位置とし
て予め定められたクランク軸の回転角度位置を「計測開
始位置」として求めて、各気筒の計測開始位置で各気筒
の通電開始位置計測時間を計測するための通電タイマを
スタートさせる。
【0026】そして、各気筒用の通電タイマが通電開始
位置計測時間の計測を完了した時に、各気筒用の点火コ
イルの一次コイルへの通電を開始させるとともに、各気
筒の点火位置計測時間を計測する点火タイマをスタート
させ、各気筒用の点火タイマが計測動作を完了した時
(点火位置を計測した時)に各気筒用の点火コイルの一
次電流を遮断させて点火動作を行わせる。
【0027】なお、各気筒用の点火コイルへの通電開始
位置の計測を開始する「計測開始位置」は、他の適当な
気筒用のインジェクタから燃料の噴射を開始させる位置
と同じ位置とすることができる。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、カム軸
センサがクランク軸の2回転当たり1回だけ発生する基
準判別パルスと、リングギアセンサが微小クランク角度
毎に発生するリングギア検出パルスとを電子制御ユニッ
トに与えて、クランク軸の所定の回転角度位置で動作を
行う制御対象(上記の例では点火装置と燃料噴射装置)
を所定の制御条件に対して制御する場合に、制御を正確
に行わせるためには、カム軸センサが発生する基準判別
パルスと、リングギアセンサが発生するリングギア検出
パルスとの間の位相関係を一定に保つことが必要であ
る。
【0029】ところが、実際には、カム軸とクランク軸
との間を連結する減速機構を構成している歯車のバック
ラッシュや、ベルトまたはチェーンの伸縮等により、ク
ランク軸の回転とカム軸の回転との間にずれが生じるた
め、リングギア検出パルスの位相と基準判別パルスの位
相との間にずれが生じるのを避けられない。
【0030】クランク軸が等速で回転しているときに
は、リングギア検出パルスの位相と基準判別パルスの位
相との間のずれがほぼ一定に保たれるため、毎回同じク
ランク角度位置でカム軸センサから電子制御ユニットに
基準判別パルスが与えられ、基準判別パルスとリングギ
ア検出パルスとの間の位相関係もほぼ一定に保たれる。
したがって、クランク軸が等速で回転しているときに
は、リングギア検出パルスの位相と基準判別パルスの位
相との間のずれが点火位置の制御や燃料噴射時間の制御
に悪影響を及ぼすことはない。
【0031】しかしながら、基準判別パルスの発生位置
を1つの気筒の圧縮上死点よりも充分に進角した位置
(例えば上死点から65°進角した位置)に設定してい
た従来の内燃機関用制御装置では、基準判別パルスの発
生位置付近でのクランク軸の瞬時回転速度の変化率が大
きく、機関の回転速度の変化率が基準判別パルスの発生
位相に与える影響が大きいため、機関が減速していると
き、及び加速しているときには、リングギア検出パルス
の位相と基準判別パルスの位相との間のずれが顕著な変
化を示す。また機関が減速しているときと加速している
ときとでは、両パルスの位相のずれの方向が相違する。
即ち、機関の加速時にはリングギア検出パルスに対して
基準判別パルスの位相が遅れ、機関が減速しているとき
には、基準判別パルスの位相が進む。
【0032】上記のように、基準位置を、クランク軸の
瞬時回転速度の変化率が大きい位置に設定していた従来
の内燃機関用制御装置では、機関の減速時及び加速時
に、リングギア検出パルスに対して基準判別パルスの位
相が顕著な変化を示すため、機関の回転速度を正確に検
出することができなくなったり、クランク角の計測を正
確に行うことができなくなったりして、制御対象の正確
な制御を行うことができなくなるという問題があった。
【0033】本発明の目的は、機関の減速時や加速時
に、リングギア検出パルスに対する基準判別パルスの位
相のずれがほとんど変化しないようにして、制御対象を
常に正確に制御することができるようにした4サイクル
内燃機関用制御装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明は、4サイクル内
燃機関のクランク軸に取り付けられたリングギアの歯を
検出してリングギア検出パルスを発生するリングギアセ
ンサと、内燃機関のカム軸により駆動されてクランク軸
の所定の回転角度位置に設定された基準位置で基準判別
パルスをクランク軸が2回転する間に1回発生するカム
軸センサと、カム軸センサが発生する基準判別パルスか
らクランク軸の基準位置の情報を得るとともに、基準位
置からのクランク軸の回転角度情報をリングギア検出パ
ルスから得て、内燃機関のクランク軸の所定の回転角度
位置で動作を行う制御対象を制御する電子制御ユニット
とを備えた4サイクル内燃機関用制御装置を対象とす
る。本発明においては、カム軸センサが基準判別パルス
を発生する位置を、クランク軸の瞬時回転速度の単位回
転角度当りの変化率がほぼ零になる位置で、かつ内燃機
関の行程変化に伴う回転変動により生じる基準判別パル
スのリングギア検出パルスに対する位相の変化量が最小
と見做せる位置に設定する。
【0035】上記の条件を満たす基準判別パルスの発生
位置(基準位置)は、例えば内燃機関のいずれか1つの
気筒の圧縮行程においてピストンが上死点に達したとき
のクランク軸の回転角度位置(上死点位置)付近の位
置、または爆発行程においてピストンが下死点に達した
時のクランク軸の回転角度位置付近の位置である。
【0036】上記の制御対象は例えば、内燃機関を点火
する点火装置である。また内燃機関を点火する点火装置
と、内燃機関に燃料を供給する燃料噴射装置とを上記制
御対象とすることもできる。
【0037】上記のように、カム軸センサが基準判別パ
ルスを発生する位置を、クランク軸の瞬時回転速度の単
位回転角度当りの変化率がほぼ零になる位置で、かつ内
燃機関の行程変化に伴う回転変動により生じる基準判別
パルスのリングギア検出パルスに対する位相の変化量が
最小と見做せる位置(例えば圧縮行程の上死点付近の位
置)に設定すると、機関の等速運転時にはもちろん、機
関の減速時及び加速時においても、リングギア検出パル
スに対する基準判別パルスの位相のずれをほぼ一定に保
つことができるため、機関の回転速度の検出や、クラン
ク角の計測を正確に行わせて、制御対象を常に正確に制
御することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わる4サイクル
内燃機関用制御装置のハードウェアの構成を示したもの
で、同図において1は電子制御ユニット(ECU)、2
は電子制御ユニット1とインジェクタとに電源電圧を与
えるバッテリである。バッテリ2の出力電圧は電源スイ
ッチ3を通して電子制御ユニット1の電源入力端子に印
加されている。
【0039】4はリングギアセンサ、5はカム軸セン
サ、6はスロッルバルブがアイドリング位置(全閉位
置)に戻されたことを検出するアイドルスイッチ、7は
変速機がニュートラル状態にあることを検出するニュー
トラルスイッチ、8は大気圧を検出する圧力センサ、9
は機関の冷却水の温度を機関温度として検出する機関温
度センサ、10は機関の吸気温度を検出する吸気温度セ
ンサ、11はスロットルバルブの開度を検出するスロッ
トル開度センサである。
【0040】またIJ1 ないしIJ4 はそれぞれ機関の
第1気筒ないし第4気筒に燃料を供給するために第1な
いし第4の気筒用の吸気管に取り付けられた第1ないし
第4気筒用のインジェクタ、IG14は機関の第1気筒及
び第4気筒に共通に設けられた第1,第4気筒用点火コ
イル、IG23は機関の第2気筒及び第3気筒に共通に設
けられた第2,第3気筒用点火コイル、PL1 〜PL4
はそれぞれ機関の第1ないし第4気筒に取り付けられた
第1ないし第4気筒用点火プラグである。
【0041】第1,第4気筒用点火コイルIG14は第1
気筒の点火プラグ及び第4気筒の点火プラグに同時に点
火用高電圧を印加して点火動作を行わせる同時発火コイ
ルであり、第2,第3気筒用点火コイルIG23は第2気
筒の点火プラグ及び第3気筒の点火プラグに同時に点火
用高電圧を印加して点火動作を行わせる同時発火コイル
である。
【0042】第1ないし第4気筒用のインジェクタIJ
1 ないしIJ4 は弁を駆動するためのソレノイドコイル
W1 〜W4 を有していて、それぞれのソレノイドコイル
W1〜W4 の一端はバッテリ2の正極端子にスイッチ3
を通して接続され、他端は電子制御ユニット1内に設け
られたインジェクタ駆動回路A1 ないしA4 に接続され
ている。
【0043】点火コイルIG14及びIG23の一次コイル
の一端はバッテリ2の正極端子にスイッチ3を通して接
続され、点火コイルIG14及びIG23の一次コイルの他
端は電子制御ユニット1内に設けられた第1,第4気筒
用点火駆動回路B14及び第2,第3気筒用点火駆動回路
B23に接続されている。
【0044】点火プラグPL1 及びPL4 の非接地側端
子は点火コイルIG14の二次コイルの一端及び他端に接
続され、点火プラグPL2 及びPL3 の非接地側端子は
点火コイルIG23の二次コイルの一端及び他端に接続さ
れている。
【0045】ISはアイドル回転速度制御(ISC)を
行うために、スロットルバルブをバイパスする空気通路
を通して流れる空気量を調整する電磁式のISCバルブ
の駆動コイル、PMはインジェクタIJ1 〜IJ4 に燃
料を供給する燃料ポンプを駆動するポンプモータであ
り、ISCバルブの駆動コイルISの一端及びポンプモ
ータPMの一端はバッテリ2の正極端子にスイッチ3を
通して接続されている。また駆動コイルISの他端及び
ポンプモータPMの他端はそれぞれ電子制御ユニット内
に設けられたISCバルブ駆動回路C及び燃料ポンプ駆
動回路Dに接続されている。
【0046】インジェクタ駆動回路A1 ないしA4 はそ
れぞれインジェクタIJ1 ないしIJ4 のソレノイドコ
イルに対して直列に接続されたスイッチ手段を備えてい
て、CPU110から噴射指令信号U1 〜U4 が与えら
れたときにそれぞれのスイッチ手段を導通させることに
より、バッテリ2からインジェクタIJ1 ないしIJ4
に駆動電流を流す。インジェクタIJ1 ないしIJ4 は
所定の大きさ以上の駆動電流が与えられている間燃料を
噴射する。
【0047】点火駆動回路B14及びB23はそれぞれ点火
コイルIG14及びIG23の一次コイルに対して直列に接
続されたスイッチを備えていて、CPU110から点火
信号V14及びV23が与えられた時に点火コイルIG14及
びIG23のそれぞれの一次コイルに一次電流を流し、点
火信号V14及びV23が消滅したときに点火コイルIG14
及びIG23の一次電流を遮断する。この一次電流の遮断
により点火コイルIG14及びIG23の二次コイルに点火
用の高電圧を誘起させる。
【0048】この例では、インジェクタ駆動回路A1 な
いしA4 と、インジェクタIJ1 ないしIJ4 と、燃料
ポンプと、該燃料ポンプからインジェクタIJ1 ないし
IJ4 に与えられる燃料の圧力を一定に制御するプレッ
シャレギュレータ(図示せず。)とにより、燃料噴射装
置が構成されている。
【0049】また点火コイルIG14及びIG23と点火駆
動回路B14及びB23とにより、点火装置が構成されてい
る。
【0050】電子制御ユニット1は、バッテリ2の出力
電圧がスイッチ3を通して入力された電源回路PSと、
該電源回路により電源電圧が与えられるCPU110
と、CPUにクロック信号を与える発振回路OSCとを
備えていて、CPU110の所定の出力ポートにインジ
ェクタ駆動回路A1 ないしA4 の噴射指令信号入力端子
と点火駆動回路B14及びB23の点火信号入力端子とIS
Cバルブ駆動回路C及び燃料ポンプ駆動回路Dの入力端
子とが接続されている。
【0051】電子制御ユニット1はまた、リングギアセ
ンサ4が出力するリングギア検出パルスSr及びカム軸
センサ5が出力する基準判別パルスScをそれぞれCP
Uが認識し得る波形の信号Pr及びPcに波形整形して
CPU110の所定の入力ポートに与える波形整形回路
Hと、入力回路K及びセンサ入力回路Lとを備え、各種
のセンサの出力がこれらの波形整形回路及び入力回路を
通してCPU110の所定の入力ポートに入力されてい
る。
【0052】図2は、図1に示した内燃機関制御装置の
各部のうち、リングギアセンサ4及びカム軸センサ5の
部分と、電子制御ユニット1の入力回路部の構成例とを
示したものである。
【0053】図2において12はスタータモータにより
駆動されるピニオンギアを噛み合わせるためにクランク
軸13に取り付けられたリングギアである。リングギア
12は鉄などの強磁性材料により形成されて、クランク
軸13に固定されたフライホイールなどのロータの外周
に取り付けられている。リングギア12には通常100
個程度の歯が設けられている。
【0054】図2に示したリングギアセンサ4は、リン
グギア12の外周に対向する磁極部4a1を先端に有する
鉄心4aと該鉄心に巻回されたパルサコイル4b(図1
参照)と該鉄心に磁気結合された永久磁石とを備えた周
知のもので、リングギア4の近傍に配置されて、機関の
ケース等に固定されている。リングギアセンサ4は、リ
ングギア12の各歯が磁極部4a1の位置を通過する際に
その鉄心4a中で生じる磁束の変化により、その信号コ
イル4bから、図4(B)に示したように極性が異なる
パルスSr及びSr´を発生する。
【0055】図示の例では、リングギアセンサ4が発生
する正負の極性のパルスのうち、負極性のパルスSrが
リングギア検出パルスとして用いられ、該リングギア検
出パルスが波形整形回路Hにより正極性のパルスPr
(図3C参照)に変換されてCPU110に入力されて
いる。リングギアセンサ4は、クランク軸13が微小角
度[=(360/n)°:nはリングギアの歯数]回転
する毎にリングギア検出パルスSrを発生して、CPU
110にクランク軸の回転角度情報を与える。
【0056】カム軸センサ5は、チェーンスプロケット
機構やタイミングベルト機構等の減速機構を介してクラ
ンク軸13に結合されてクランク軸13の1/2の回転
速度で回転するカム軸14に取り付けれたロータ15
と、ロータ15の近傍に配置されて機関のケース等に固
定された信号発電子16とからなっている。ロータ15
の外周には円弧状の突起からなるリラクタ15aが設け
られている。
【0057】信号発電子16は、リングギアセンサ4と
同様に、ロータ15の外周に対向する磁極部16a1を先
端に有する鉄心16aと、該鉄心16aに巻回された信
号コイル5b(図1参照)とを有する周知のもので、機
関のケース等に取り付けられている。信号発電子16
は、リラクタ15aの回転方向の前端縁及び後端縁をそ
れぞれ検出した際にその信号コイル5bから図3(A)
及び図4(A)に示すように極性が異なるパルスSc及
びSc´を出力する。カム軸14はクランク軸の回転速
度の1/2の回転速度で回転するため、パルスSc及び
Sc´は1燃焼サイクル当たり(クランク軸が2回転す
る間に)1回発生する。図示の例では、カム軸センサ5
が発生するパルスのうち、信号発電子16がリラクタ1
5aの回転方向の前端縁を検出した時に発生するパルス
Sc(図示の例では負極性のパルス)が基準判別パルス
として用いられる。この基準判別パルスScは、波形整
形回路Hにより正極性のパルスPc(図3B参照)に変
換されてCPU110に入力される。
【0058】図2に示された波形整形回路Hは、リング
ギアセンサ4の出力を波形整形する第1の波形整形回路
H1 と、カム軸センサ5の出力を波形整形する第2の波
形整形回路H2 とからなっている。
【0059】第1の波形整形回路H1 は、エミッタが接
地され、コレクタがCPUの入力ポートに接続されたN
PNトランジスタTR1 と、トランジスタTR1 のコレ
クタと電源回路PS(図1参照)の出力端子との間、及
びトランジスタTR1 のベースと電源回路PSの出力端
子との間にそれぞれ接続された抵抗R1 及びR2 と、ト
ランジスタTR1 のベースと接地間にアノードを接地側
に向けて接続されたダイオードD1 と、ダイオードD1
に並列接続されたコンデンサC1 と、トランジスタTR
1 のベースにアノードが接続されたダイオードD2 と、
ダイオードD2のカソードと接地間に抵抗R3 を通して
接続されたコンデンサC2 と、コンデンサC2 の非接地
側端子と電子制御ユニットのリングギアセンサ用入力端
子1aとの間に接続されたコイルL1 及びL2 の直列回
路と、コイルL1 及びL2 の接続点と接地間に接続され
たコンデンサC3 とからなっている。
【0060】また第2の波形整形回路H2 は、エミッタ
が接地されコレクタがCPU110の入力ポートに接続
されたNPNトランジスタTR2 と、トランジスタTR
2 のコレクタと電源との間及びベースと電源との間にそ
れぞれ接続された抵抗R4 及びR5 と、トランジスタT
R2 のベースと接地間にアノードを接地側に向けて接続
されたダイオードD3 及び該ダイオードD3 の両端に接
続されたコンデンサC4 と、トランジスタTR2 のベー
スにアノードが接続されたダイオードD4 と、ダイオー
ドD4 のカソードに一端が共通接続されるとともに互い
に並列に接続された抵抗R6 及びコンデンサC5 と、抵
抗R6 及びコンデンサC5 の他端の接続点と電子制御ユ
ニットのカム軸センサ用入力端子1bとの間に接続され
た抵抗R7 と、入力端子1bと接地間に接続された抵抗
R8 及びコンデンサC6 とからなっている。
【0061】電子制御ユニット1のリングギアセンサ用
入力端子1aにはリングギアセンサ4の非接地側出力端
子が接続され、カム軸センサ用入力端子1bには、信号
発電子16の非接地側出力端子が接続されている。
【0062】なお図2に示した電子制御ユニット1は、
CPU110の一部とその入力回路を構成する波形整形
回路Hの部分のみを示したもので、他の部分は、図1と
同様に構成されている。
【0063】図2に示した例において、リングギアセン
サ4内の信号コイル4aが負極性のパルスを発生してい
ないときには、トランジスタTR1 がオン状態にあり、
該トランジスタのコレクタの電位はほぼ零レベルにあ
る。リングギアセンサ4の信号コイル4aが負極性のリ
ングギア検出パルスSrを発生すると、リングギアセン
サ4−ダイオードD1 −ダイオードD2 −抵抗R3 −コ
イルL1 及びL2 −リングギアセンサ4の経路で電流が
流れてダイオードD1 の両端にパルス状の順方向電圧降
下が生じる。この電圧降下によりトランジスタTR1 の
ベースエミッタ間が逆バイアスされるため、該トランジ
スタTR1 が短時間オフ状態になり、トランジスタTR
1 のコレクタに、図3(C)に示したような正極性のリ
ングギア検出パルスPr,Pr,…が得られる。リング
ギアの歯数が100の場合、このリングギア検出パルス
は3.6°[=(360/100)°]間隔で発生す
る。
【0064】また図2の例において、信号発電子16内
の信号コイル5bが正極性のパルスを発生していないと
きには、トランジスタTR2 がオン状態にあり、そのコ
レクタの電位がほぼ零レベルにある。信号発電子16内
の信号コイル5bが負極性のパルスを発生すると、その
大きさがコンデンサC5 の両端の電圧値を超えている
間、信号発電子16−ダイオードD3 −ダイオードD4
−抵抗R6 及びコンデンサC5 −抵抗R7 −信号発電子
16の経路で電流が流れ、ダイオードD3 の両端にパル
ス状の電圧降下が生じる。この電圧降下によりトランジ
スタTR2 のベースエミッタ間が逆バイアスされて該ト
ランジスタTR2 が短時間オフ状態になるため、トラン
ジスタTR2 のコレクタと接地間に図3(B)に示すよ
うな正極性の基準判別パルスPcが得られる。
【0065】抵抗R6 及びコンデンサC5 の並列回路
は、信号発電子16の信号コイル5bに誘起するノイズ
信号によりCPU110に誤信号が入力されるのを防ぐ
ために設けられたバイアス回路で、一度抵抗R6 を通し
て電流が流れると、該抵抗R6の両端の電圧降下により
コンデンサC5 が図示の極性に充電される。以後は、こ
のコンデンサC5 の両端の電圧(しきい値)を超える大
きさのパルスが入力された時にのみ抵抗R6 を通して電
流が流れてトランジスタTR2 のコレクタに基準判別パ
ルスが得られる。
【0066】上記の内燃機関制御装置の動作を、図3に
示した波形図(タイミングチャート)を用いて説明す
る。
【0067】CPU110は、スイッチ3が閉じられて
電源が与えられたときに起動し、燃料ポンプ駆動回路D
に所定のデューティ比で断続する駆動信号ep を与えて
該駆動回路Dから始動時に適した圧力でインジェクタに
燃料を供給するようにPWM制御された駆動電流をポン
プモータPMに流す。これにより燃料ポンプを動作させ
てインジェクタIJ1 〜IJ4 に始動時に適した圧力で
燃料を供給する。
【0068】CPU110は、カム軸センサ5が発生す
るパルスScを波形整形して得た基準判別パルスPcを
検出した後に順次入力されるリングギア検出パルスPr
をカウントし、所定個数のリングギア検出パルスが計数
される毎に、該所定個数のリングギア検出パルスを計数
するのに要した時間を回転速度情報として読込む。
【0069】この回転速度情報から機関の回転速度を演
算し、演算した回転速度に対して燃料噴射時間と、点火
位置と、点火コイルへの通電時間とを演算する。
【0070】CPU110はまた、リングギア検出パル
スPrの計数値が所定の噴射開始リングギアカウント値
Cr2,Cr1,Cr3及びCr4(図3G,D,E及びF参
照)に達したときのクランク軸の回転角度位置をそれぞ
れ第2気筒、第1気筒、第3気筒及び第4気筒用のイン
ジェクタIJ2 ,IJ1 ,IJ3 及びIJ4 からの燃料
噴射開始位置として、それぞれの気筒用のインジェクタ
の燃料噴射開始位置でインジェクタ駆動回路A2 ,A1
,A3 及びA4 に噴射指令信号U2 ,U1 ,U3及びU
4 を与えて、インジェクタIJ2 ,IJ1 ,IJ3 及び
IJ4 からの燃料の噴射を開始する。
【0071】CPUはまたインジェクタ駆動回路A1 な
いしA4 にそれぞれ噴射指令信号を与えた後第1ないし
第4気筒用のインジェクタ噴射タイマをスタートさせ
て、それぞれの噴射タイマが演算された噴射時間Tiの
計測を完了したときに第1ないし第4気筒用のインジェ
クタからの燃料の噴射を停止させる。
【0072】CPUはまた、第1気筒及び第4気筒用の
燃料噴射開始位置が検出された時に、第2気筒及び第3
気筒用の点火コイルIG23の一次コイルへの通電開始位
置を計測する第2,第3気筒用点火コイル通電タイマを
スタートさせる。第2,第3気筒用点火コイル通電タイ
マが所定の通電開始位置計測時間Tdを計測したときに
第2,第3気筒用点火駆動回路B23に点火信号V23(図
3I)を与えて点火コイルIG23の一次コイルへの通電
を開始させるとともに、第2,第3気筒用点火タイマを
スタートさせて該点火タイマに点火位置計測時間(通電
時間)Tonの計測を行わせる。第2,第3気筒用点火タ
イマが点火位置計測時間Tonの計測を完了したときに第
2,第3気筒用点火駆動回路B23への点火信号V23の供
給を停止して、点火コイルIG23の二次コイルに点火用
の高電圧を誘起させ、第2気筒及び第3気筒の点火プラ
グに同時に点火火花を生じさせる。
【0073】CPU110はまた、第2気筒用の燃料噴
射開始位置及び第3気筒用の燃料噴射開始位置がそれぞ
れ検出された時に、第1気筒及び第4気筒用の点火コイ
ルIG14の一次コイルへの通電開始位置を計測する第
1,第4気筒用点火コイル通電タイマをスタートさせ
る。該通電タイマが所定の通電開始位置計測時間Tdを
計測したときに第1,第4気筒用点火駆動回路B14に点
火信号V14(図3H)を与えて点火コイルIG14の一次
コイルへの通電を開始するとともに、第1,第4気筒用
点火タイマをスタートさせて該点火タイマに点火位置計
測時間(通電時間)Tonの計測を行わせる。第1,第4
気筒用点火タイマが点火位置計測時間Tonの計測を完了
したときに第1,第4気筒用点火駆動回路B14への点火
信号V14の供給を停止して、点火コイルIG14の二次コ
イルに点火用の高電圧を誘起させ、第1気筒及び第4気
筒の点火プラグに同時に点火火花を生じさせる。
【0074】図1に示した電子制御ユニット1により4
気筒内燃機関の点火装置と燃料噴射装置とを制御して上
記のような動作を行わせる場合に、CPU110が実行
するプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャ
ートを図5ないし図14に示した。
【0075】図5はメインルーチンを示したもので、こ
のメインルーチンでは、先ずステップ1において各部の
初期化を行い、ステップ2において割込みを許可した
後、ステップ3に移行してタスク制御を開始する。
【0076】このタスク制御では、10msec毎、20ms
ec毎、40msec毎、及び80msec毎にそれぞれ第1ない
し第4のタスクT1 〜T4 を行わせる。第1のタスクT
1 では、先ずステップ4において大気圧を検出する圧力
センサ8の出力を読み込み、次いでタスク5においてリ
ングギアセンサ4が所定個数のパルスPrを発生するの
に要する時間(クランク軸が所定角度回転するのに要す
る時間)から内燃機関の回転速度[rpm ]を演算してス
テップ3に戻る。
【0077】また第2のタスクT2 では、先ずステップ
6において機関の温度を検出する温度センサ9の出力を
読み込み、次いでステップ7において吸気温度センサ1
0の出力を読み込む。その後ステップ8でアイドルスイ
ッチ6などの各種のスイッチの状態を検出し、ステップ
9でタスクT1 で演算された回転速度に対する基本点火
位置を点火位置演算用マップを用いて演算する。次いで
ステップ10で各種センサから読み込んだ制御条件(大
気圧、機関温度、吸気温度等)に基づいて基本点火位置
に乗じる補正量を演算し、ステップ11において、ステ
ップ9で演算した基本点火位置にステップ10で演算し
た補正量を乗じて実際の点火位置を演算した後ステップ
3に戻る。
【0078】第3のタスクT3 では、先ずステップ12
において、スロットルバルブの開度及び回転速度に対し
て燃料の基本噴射時間を演算し、ステップ13におい
て、基本噴射時間に乗じる噴射時間補正量をタスク6で
読み込まれた各種センサの出力に対して演算する。次い
でステップ14において、基本噴射時間に噴射時間補正
量を乗じる演算を行って実際の噴射時間を演算し、その
後ステップ3に戻る。
【0079】第4のタスクT4 では、先ずステップ15
において、機関の始動時に燃料の供給量を増加させるた
めに基本噴射時間に加算する時間である始動増量時間を
演算する。次いでステップ16においてISCバルブの
駆動コイルに供給する電流のオンデューティ比を演算し
てそのデューティ比でオンオフする駆動電流をISCバ
ルブ駆動回路Cに供給する。またステップ17で燃料ポ
ンプのポンプモータPMに供給する駆動電流のオンデュ
ーティ比を演算して該デューティ比でオンオフする駆動
電流をポンプモータPMに供給する。次いでステップ1
8において、ステップ11で演算された点火位置とステ
ップ5で演算された回転速度とから点火コイルIG14及
びIG23の一次コイルへの通電時間を演算した後、ステ
ップ3に戻る。
【0080】またカム軸センサ5が基準判別パルスSc
を発生したことが検出される毎に、図5に示すメインル
ーチンに割り込みがかけられて、図6に示すカム軸セン
サ割込みルーチンが実行される。この割込みルーチンで
は、先ずステップ1において基準判定終了フラグをセッ
トし、次いでステップ2に移行して、各気筒の燃料噴射
開始位置を計測する各気筒用の噴射開始カウンタによる
リングギア検出パルスのカウント値GYANUMをクリ
アする。次いでステップ3に進んで各気筒用の噴射開始
リングギアカウント値(Cr1〜Cr4)を各気筒用の噴射
開始カウンタにセットし、その後ステップ4に進んで、
各気筒用の噴射開始カウンタがリングギアカウント値の
計数を完了したときに図10ないし図13のいずれかに
示された各気筒用のインジェクタ噴射開始カウンタ割込
みルーチンを実行することを許可してメインルーチンに
戻る。
【0081】各リングギア検出パルスPrが発生する毎
に図7の割込みルーチンが実行される。図7の割込みル
ーチンでは、先ずステップ1において基準判定終了フラ
グがセットされているか否かを判定し、基準判定終了フ
ラグがセットされている場合には、ステップ2に移行し
て今回のリングギア検出パルスの発生タイミングが回転
速度検出タイミングであるか否かを判定する。回転速度
検出タイミングは、基準判別パルスが発生した後、設定
個数のリングギア検出パルスが発生した時のタイミング
である。その結果回転速度検出タイミングであると判定
された時には、ステップ3で基準判別パルスの発生時刻
から回転速度検出タイミングが検出された時の時刻まで
の時間を回転速度情報として読み込んだ後、ステップ4
に進んで各気筒用の噴射開始カウンタのカウント値GY
ANUMを1だけインクリメントしてメインルーチンに
戻る。
【0082】ステップ1において基準判定終了フラグが
セットされていないと判定されたときには、ステップ4
に進んで各気筒用の噴射開始カウンタのカウント値GY
ANUMを1だけインクリメントしてメインルーチンに
戻る。
【0083】第1気筒用、第3気筒用、第4気筒用及び
第2気筒用の噴射開始カウンタがそれぞれリングギアカ
ウント値Cr1,Cr4,Cr3及びCr2を計数したときに、
図8ないし図11の割込みルーチンが実行される。
【0084】即ち、第1気筒用の噴射開始カウンタがリ
ングギアカウント値Cr1の計数を完了すると、図8に示
す割込みルーチンが実行され、そのステップ1において
第1気筒用インジェクタIJ1 の駆動回路A1 に噴射指
令信号U1 を与えてインジェクタIJ1 からの燃料の噴
射を開始させる。次いでステップ2において第1気筒用
インジェクタ噴射タイマに噴射時間Ti をセットして該
タイマをスタートさせる。またステップ3において、第
2,第3気筒用点火コイルIG23への通電開始位置を計
測するために第2,第3気筒用点火コイル通電タイマに
セットするタイマ時間を演算すると同時に演算したタイ
マ時間を第2,第3気筒用点火コイル通電タイマにセッ
トして、そのタイマ時間の計測を開始させ、メインルー
チンに戻る。
【0085】また第3気筒用の噴射開始カウンタがリン
グギアカウント値Cr3の計数を完了したときに図9に示
す割込みルーチンが実行されて第3気筒用インジェクタ
からの燃料の噴射を開始するとともに、第3気筒用イン
ジェクタ噴射タイマをスタートさせ、同時に第1,第4
気筒用点火コイル通電タイマ時間を演算してそのタイマ
時間の計測を開始させる。
【0086】同様に、第4気筒用の噴射開始カウンタが
リングギアカウント値Cr4の計数を完了したとき、及び
第2気筒用の噴射開始カウンタがリングギアカウント値
Cr2の計数を完了したときにそれぞれ図10に示す割込
みルーチン及び図11に示す割込みルーチンが実行され
て第4気筒用インジェクタ及び第2気筒用インジェクタ
からの燃料の噴射を開始するとともに、第4気筒用イン
ジェクタ噴射タイマ及び第2気筒用インジェクタ噴射タ
イマをスタートさせ、同時に第2,第3気筒用点火コイ
ル通電タイマ時間及び第1,第4気筒用点火コイル通電
タイマ時間をそれぞれ演算してそれぞれのタイマ時間の
計測を開始させる。
【0087】また第1気筒用インジェクタ噴射タイマ、
第3気筒用インジェクタ噴射タイマ、第4気筒用インジ
ェクタ噴射タイマ及び第2気筒用インジェクタ噴射タイ
マがそれぞれ噴射時間Ti を計測したときに図12
(A)ないし(D)の噴射タイマ割込みルーチンが実行
されて、第1気筒用インジェクタ、第3気筒用インジェ
クタ、第4気筒用インジェクタ及び第2気筒用インジェ
クタからの燃料の噴射が停止させられる。
【0088】更に、第1,第4気筒用点火コイル通電タ
イマが計測動作を完了したときに、図13(A)の第
1,第4気筒用点火コイル通電タイマ割込みルーチンが
実行されて、そのステップ1で第1,第4気筒用点火コ
イルの一次コイルへの通電が開始され、次いでステップ
2で第1,第4気筒用点火タイマに点火位置計測時間T
onがセットされて該点火位置計測時間の計測が開始され
る。
【0089】また第2,第3気筒用点火コイル通電タイ
マが計測動作を完了したときに、図13(B)の第2,
第3気筒用点火コイル通電タイマ割込みルーチンが実行
されて、そのステップ1で第2,第3気筒用点火コイル
の一次コイルへの通電が開始され、次いでステップ2で
第2,第3気筒用点火タイマに点火位置計測時間Tonが
セットされて該点火位置計測時間の計測が開始される。
【0090】次いで第1,第4気筒用点火タイマが点火
位置計測時間の計測を完了すると、図14(A)の第
1,第4気筒用点火タイマ割込みルーチンが実行され
て、第1,第4気筒用点火コイルへの一次電流の通電が
停止され、これにより第1気筒及び第4気筒で同時に点
火動作が行われる。
【0091】また第2,第3気筒用点火タイマが点火位
置計測時間の計測を完了すると、図14(B)の第2,
第3気筒用点火タイマ割込みルーチンが実行されて、第
2,第3気筒用点火コイルへの一次電流の通電が停止さ
れ、これにより第2気筒及び第3気筒で同時に点火動作
が行われる。
【0092】以上の構成は、従来の内燃機関用制御装置
と基本的に同一である。本発明は、上記のような制御装
置において、カム軸センサが基準判別パルスを発生する
位置を、クランク軸の瞬時回転速度の単位回転角度当り
の変化率がほぼ零になる位置で、かつ内燃機関の行程変
化に伴う回転変動により生じる基準判別パルスのリング
ギア検出パルスに対する位相の変化量が最小と見做せる
位置に設定したことを特徴とする。
【0093】従来のこの種の制御装置においては、1つ
の気筒の圧縮行程における上死点位置(ピストンが上死
点に達したときのクランク軸の回転角度位置)よりも充
分に(例えば65°)進角した位置を基準位置として、
その基準位置でカム軸センサが基準判別パルスを発生す
るようにしていた。
【0094】図16(A)は、従来の内燃機関用制御装
置を用いた場合の機関のアイドリング時のクランク軸の
瞬時回転速度N[rpm]の変動と、瞬時回転速度Nの
単位回転角度当りの変化率dN/dθとを示し、図16
(B)及び(C)はそれぞれリングギア検出パルスPr
及び基準判別パルスPcを示している。ここで単位角度
dθは充分に微小な回転角度(クランク軸の回転角度)
であるが、図示の例ではdθ=7.8°としている。
【0095】4サイクル内燃機関においては、クランク
軸が180°回転する毎にいずれかの気筒でピストンが
圧縮行程の上死点(圧縮上死点という。)に達する。機
関のクランク軸の回転速度は、各気筒の圧縮上死点付近
で最も低くなり、その後爆発行程で加速されて、各気筒
の圧縮上死点と次の気筒の圧縮上死点との区間の中間付
近で最も高くなる。クランク軸の瞬時回転速度Nの単位
回転角度dθ当りの変化率dN/dθは、回転速度が最
高になっている回転角度位置付近と、回転速度が最低に
なっている回転角度位置付近とでほぼ“0”となるが、
その中間領域では、瞬時回転速度Nの変化に伴って変化
し、各気筒の圧縮上死点よりも進角した位置で変化率d
N/dθの絶対値が最大になる。図16の横軸はクラン
ク軸の回転角度θを示しており、横軸の目盛りは第1気
筒の上死点位置を零として目盛ってある。
【0096】なお図16に示した例では、回転速度Nが
最大になる位置付近の方が、回転速度が最小になる位置
付近よりも回転速度の変化が緩やかになっているが、こ
れは、圧縮上死点前の領域(圧縮行程)では、混合気を
圧縮する際の負荷により機関の回転速度が急激に低下
し、圧縮上死点を過ぎた領域(爆発行程)では混合気の
膨脹により回転速度が急激に上昇するためである。
【0097】上記のように、4サイクル内燃機関におい
ては、各気筒の圧縮上死点よりも進角した位置で瞬時回
転速度の単位回転角度当りの変化率が大きくなるため、
従来の制御装置のように、特定の気筒の圧縮上死点より
進角した位置に基準位置を設定して、該基準位置でカム
軸センサが基準判別パルスを発生するように構成する
と、基準位置付近での回転速度の変化率が大きいため、
機関の減速時や加速時に、カム軸センサが出力する基準
判別パルスのリングギア検出パルスに対する位相のずれ
が顕著な変化を示す。この場合、基準判別パルスのリン
グギア検出パルスに対する位相ずれが限度を超えると、
基準判別パルスが検出された後に行われるリングギア検
出パルスの計数を適確に行うことができなくなる。
【0098】例えば、本来であれば、図17(B)に示
すように、基準位置θo で基準判別パルスPcが発生し
た後に、同図(A)に示すように一定の角度毎に発生す
るリングギア検出パルスPrを順次計数してクランク軸
の回転角度θの情報を得る場合に、図17(C)に示す
ように、機関の加速時に基準判別パルスPcの位相がリ
ングギア検出パルスの位相に対して遅れ過ぎると、リン
グギア検出パルスの計数値が正しい値よりも少くなって
しまい、クランク軸の回転速度や回転角度を正確に検出
することができなくなる。また図17(D)に示すよう
に、機関の減速時に基準判別パルスPCの位相がリング
ギア検出パルスの位相に対して進み過ぎると、リングギ
ア検出パルスの計数値が正しい値よりも大きくなるた
め、同様に、クランク軸の回転速度及び回転角度の検出
を正確に行うことができなくなって、制御対象を正確に
演算された回転角度位置で動作させるように制御するこ
とができなくなる。
【0099】機関の回転速度及び回転角度の検出精度を
向上させるため、従来は、リングギアの取り付け精度
や、カム軸とクランク軸との間を連結する減速機構の部
品の加工精度及び組立て精度を高めるようにしていた
が、これらの対策を講じると機関のコストが高くなるの
を避けられず、またこれらの対策を講じても検出精度の
向上を図る上で限界があった。
【0100】これに対し、本発明においては、カム軸セ
ンサが基準判別パルスを発生する位置を、クランク軸の
瞬時回転速度の単位回転角度当りの変化率がほぼ零にな
る位置で、かつ内燃機関の行程変化に伴う回転変動によ
り生じる基準判別パルスのリングギア検出パルスに対す
る位相の変化量が最小と見做せる位置(例えば圧縮行程
の上死点付近の位置)に設定するため、機関の等速運転
時にはもちろん、機関の減速時及び加速時においても、
リングギア検出パルスに対する基準判別パルスの位相の
ずれをほぼ一定に保つことができる。そのため、機関の
回転速度の検出や、クランク角の計測を正確に行わせ
て、制御対象を常に正確に制御することができる。また
カム軸とクランク軸との間を連結する部品の加工精度や
組立て精度に特別の配慮をする必要がなくなるため、機
関の部品の加工精度や取り付け誤差等に関して裕度が高
くなり、機関の製造を容易にすることができる。
【0101】図15は、本発明に係わる内燃機関用制御
装置において、図16と同様にクランク軸の瞬時回転速
度N及びその単位回転角度当りの変化率dN/dθが変
化する場合に、基準位置として選定するのに適した回転
角度位置を、変化率を示す曲線中に丸印を付して示した
もので、同図(A)は瞬時回転速度N及びその単位回転
角度当りの変化率dN/dθを示し、図15(A)に示
した各丸印の中心位置が基準位置として選定するのに適
したクランク軸の回転角度位置である。基準位置として
選択するのに適した位置は、各気筒の圧縮上死点よりも
僅かに遅れた位置か、または爆発行程の下死点よりも僅
かに遅れた位置であり、4気筒4サイクル内燃機関の場
合、基準位置として適した位置は、クランク軸が2回転
する間に(各気筒の1燃焼サイクル間に)90°間隔で
8か所ある。第1気筒の圧縮上死点位置を0°とした場
合、図15に示した例において、基準位置として適した
位置は、具体的には、15°,105°,195°,2
85°,375°,465°,555°,及び645°
の8か所の位置である。
【0102】図15の(B)はリングギアセンサから電
子制御ユニットのCPUに与えられるリングギア検出パ
ルスPrを示し、(C)ないし(J)はそれぞれ破線丸
印により示された基準位置として適した位置で発生させ
た基準判別パルスPcを示す。図15(C)ないし
(J)のいずれか1つの位置で基準判別パルスPcが発
生するようにカム軸センサを構成する。
【0103】なおカム軸センサから基準判別信号を発生
させる位置として最適な位置は、機関の気筒数や、特性
により変ってくるが、いずれの機関においても、瞬時回
転速度の変化率dN/dθが零になる位置が存在するの
で、その位置付近に基準位置を設定することにより、基
準判別信号のリングギア検出パルスに対する位相のずれ
が変動するのを防いで、常に制御対象を正確に制御する
ことができる。
【0104】なお図1に示したハードウェアの構成は、
一例を示したものに過ぎず、本発明は、カム軸センサが
発生する基準判別パルスとリングギアセンサが発生する
リングギア検出パルスとをCPUを備えた電子制御ユニ
ットに入力することにより機関の回転速度情報と回転角
度情報とを得て、点火装置や燃料噴射装置などの制御対
象を制御する場合に広く適用することができる。
【0105】上記の例では、点火装置と燃料噴射装置と
を制御対象としたが、点火装置のみを制御対象とする場
合にも本発明を適用することができる。
【0106】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、カム軸
センサが基準判別パルスを発生する位置を、クランク軸
の瞬時回転速度の単位回転角度当りの変化率がほぼ零に
なる位置で、かつ内燃機関の行程変化に伴う回転変動に
より生じる基準判別パルスのリングギア検出パルスに対
する位相の変化量が最小と見做せる位置に設定したの
で、機関の等速運転時にはもちろん、機関の減速時及び
加速時においても、リングギア検出パルスに対する基準
判別パルスの位相のずれをほぼ一定に保つことができ
る。そのため、機関の回転速度の検出や、クランク角の
計測を正確に行わせて、制御対象を常に正確に制御する
ことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる内燃機関用制御装置のハードウ
ェアの構成例を示した構成図である。
【図2】図1の要部の構成を更に詳細に示した構成図で
ある。
【図3】図1に示した内燃機関用制御装置の動作を説明
するたのタイミングチャートである。
【図4】カム軸センサの出力パルスとリングギアセンサ
の出力パルスの波形を拡大して示した波形図である。
【図5】図1の制御装置においてCPUが実行するプロ
グラムのメインルーチンのアルゴリズムの一例を示した
フローチャートである。
【図6】図1の制御装置においてCPUが実行するプロ
グラムのカム軸センサ割込みルーチンのアルゴリズムを
示したフローチャートである。
【図7】図1の制御装置においてCPUが実行するプロ
グラムのリングギアセンサ割込みルーチンのアルゴリズ
ムを示したフローチャートである。
【図8】図1の制御装置においてCPUが実行するプロ
グラムの第1気筒インジェクタ噴射開始カウンタ割込み
ルーチンのアルゴリズムを示したフローチャートであ
る。
【図9】図1の制御装置においてCPUが実行するプロ
グラムの第3気筒インジェクタ噴射開始カウンタ割込み
ルーチンのアルゴリズムを示したフローチャートであ
る。
【図10】図1の制御装置においてCPUが実行するプ
ログラムの第4気筒インジェクタ噴射開始カウンタ割込
みルーチンのアルゴリズムを示したフローチャートであ
る。
【図11】図1の制御装置においてCPUが実行するプ
ログラムの第2気筒インジェクタ噴射開始カウンタ割込
みルーチンのアルゴリズムを示したフローチャートであ
る。
【図12】(A)ないし(D)はそれぞれ図1の制御装
置においてCPUが実行するプログラムの第1気筒イン
ジェクタ噴射タイマ割込みルーチン、第3気筒インジェ
クタ噴射タイマ割込みルーチン、第4気筒インジェクタ
噴射タイマ割込みルーチン及び第2気筒インジェクタ噴
射タイマ割込みルーチンのアルゴリズムを示したフロー
チャートである。
【図13】(A)及び(B)はそれぞれ図1の制御装置
においてCPUが実行するプログラムの第1気筒,第4
気筒用点火コイル通電タイマ割込みルーチン及び第2気
筒,第3気筒用点火コイル通電タイマ割込みルーチンの
アルゴリズムを示したフローチャートである。
【図14】(A)及び(B)はそれぞれ図1の制御装置
においてCPUが実行するプログラムの第1気筒,第4
気筒用点火タイマ割込みルーチン及び第2気筒,第3気
筒用点火タイマ割込みルーチンのアルゴリズムを示した
フローチャートである。
【図15】本発明に係わる内燃機関用制御装置において
カム軸センサから基準判別パルスを発生させる基準位置
として適した位置を、クランク軸の瞬時回転速度を示す
曲線と、瞬時回転速度の変化率を示す曲線と、各位置で
発生させた基準判別パルスの波形と、リングギアセンサ
からCPUに与えられるパルスの波形とともに示した線
図である。
【図16】従来の内燃機関用制御装置に関して、機関の
行程変化に伴う瞬時回転速度の変化と、瞬時回転速度の
変化率の変化と、リングギアセンサからCPUに与えら
れるリングギア検出パルスの波形と、カム軸センサから
CPUに与えられる基準判別パルスの波形とを示した波
形図である。
【図17】従来の内燃機関用制御装置において、基準判
別パルスのリングギア検出パルスに対する位相が変化し
た際の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
1…電子制御ユニット、2…バッテリ、4…リングギア
センサ、5…カム軸センサ、6…アイドルセンサ、7…
ニュートラルセンサ、8…圧力センサ、9…機関温度セ
ンサ、10…吸気温度センサ、11…スロットル開度セ
ンサ、110…CPU、A1 〜A3 …インジェクタ駆動
回路、B14,B23…点火駆動回路、IJ1 〜IJ4 …イ
ンジェクタ、IG14…第1,第4気筒用点火コイル、I
G23…第2,第3気筒用点火コイル、PL1 〜PL4 …
点火プラグ、H…波形整形回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 貢 静岡県沼津市大岡3744番地 国産電機株式 会社内 Fターム(参考) 3G022 BA01 BA06 DA00 EA07 FA03 FA08 FB03 FB11 GA01 GA02 GA05 3G084 BA11 BA16 CA04 CA06 DA04 EA05 EA07 EB02 EC02 EC03 FA00 FA33 FA34 FA38 FA39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4サイクル内燃機関のクランク軸に取り
    付けられたリングギアの歯を検出してリングギア検出パ
    ルスを発生するリングギアセンサと、前記内燃機関のカ
    ム軸により駆動されて前記クランク軸の所定の回転角度
    位置に設定された基準位置で基準判別パルスを前記クラ
    ンク軸が2回転する間に1回発生するカム軸センサと、
    前記カム軸センサが発生する基準判別パルスから前記ク
    ランク軸の基準位置の情報を得るとともに、前記基準位
    置からの前記クランク軸の回転角度情報を前記リングギ
    ア検出パルスから得て、前記内燃機関のクランク軸の所
    定の回転角度位置で動作を行う制御対象を制御する電子
    制御ユニットとを備えた4サイクル内燃機関用制御装置
    において、 前記カム軸センサが前記基準判別パルスを発生する位置
    は、前記クランク軸の瞬時回転速度の単位回転角度当り
    の変化率がほぼ零になる位置で、かつ前記内燃機関の行
    程変化に伴う回転変動により生じる前記基準判別パルス
    の前記リングギア検出パルスに対する位相の変化量が最
    小と見做せる位置に設定されていることを特徴とする4
    サイクル内燃機関用制御装置。
  2. 【請求項2】 前記カム軸センサが前記基準判別パルス
    を発生する位置は、前記内燃機関のいずれかの気筒の圧
    縮行程の上死点付近または爆発行程の下死点付近に設定
    されていることを特徴とする請求項1に記載の4サイク
    ル内燃機関用制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御対象は、前記内燃機関を点火す
    る点火装置である請求項1または2に記載の4サイクル
    内燃機関用制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制御対象は、前記内燃機関を点火す
    る点火装置と、前記内燃機関に燃料を供給する燃料噴射
    装置とである請求項1または2に記載の4サイクル内燃
    機関用制御装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101413439B1 (ko) * 2012-09-07 2014-06-30 (주)컨트롤웍스 내연기관의 연료 분사시기 및 분사시간을 계측하는 방법 및 장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101413439B1 (ko) * 2012-09-07 2014-06-30 (주)컨트롤웍스 내연기관의 연료 분사시기 및 분사시간을 계측하는 방법 및 장치

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