JP4000822B2 - 内燃機関の吸気管内圧力予測方法及び燃料噴射制御方法 - Google Patents

内燃機関の吸気管内圧力予測方法及び燃料噴射制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気管内の圧力の極小値を、該極小値が生じる前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法、及びこの予測方法を利用して内燃機関の燃料噴射量を制御する燃料噴射制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関を制御する際には、機関の吸気管内の圧力の極小値を求めることが必要になることがある。例えば、内燃機関に燃料を供給する装置として、電子制御式の燃料噴射装置(EFI)が用いられる場合には、内燃機関のシリンダに供給する混合気の空燃比を所定の範囲に保つようにインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)から噴射させる燃料の量を決定する必要があるため、燃料噴射量を決定する際には、吸入行程においてシリンダ内に吸入される空気の量(吸入空気量)を推定する必要がある。
【0003】
4サイクル内燃機関の吸入行程においてシリンダ内に吸入される空気量を推定する方法としては、スピード・デンシティ方式が広く採用されている。スピード・デンシティ方式では、吸気管内のスロットルバルブよりも下流側の圧力を吸気管内圧力(負圧)として検出する吸気圧センサと、機関の回転速度を検出する速度検出手段とを設けて、吸気圧センサにより検出された吸気管内圧力と、別途検出された機関の回転速度と、機関の体積効率とから吸入空気量を推定し、この吸入空気量に基づいて、所定の空燃比を得るために必要な燃料噴射量を演算している。機関が単気筒内燃機関や、各気筒毎に吸気管が設けられている多気筒内燃機関であって、各吸気管内の圧力が機関の行程変化の影響を受けて変動する場合には、上記吸入空気量を推定する際に用いる吸気管内圧力として、該吸気管内圧力の極小値を用いている。
【0004】
なおEFIに用いられるインジェクタに与えられる燃料の圧力は、レギュレータにより一定に保たれているため、インジェクタからの燃料噴射量は、インジェクタの弁を開く時間により決まる。したがって、EFIではインジェクタの弁を開く時間(噴射時間)を変えることにより燃料噴射量を調整するようにしている。
【0005】
機関の吸気管内圧力(負圧)Pは、機関のクランク角θに対して例えば図8(A)に示すような変化を示す。同図に実線で示した曲線aは、機関のアイドリング時における吸気管内圧力を示し、破線の曲線bは機関の加速操作が行われた際の吸気管内圧力を示している。これらの曲線から明らかなように、吸気管内圧力Pは、吸気行程が開始されるとクランク角の変化に伴って低下していき、極小値を迎えた後上昇していく。また吸気管内圧力はスロットルバルブの開度(スロットル開度)の増大に伴って高くなっていくため、加速操作を行うためにスロットルバルブを開くと、図8(A)に破線で示したように、アイドリング時の値よりも高い値を示す。
【0006】
スピード・デンシティ方式のEFI式内燃機関では、各吸気行程で燃料を噴射する際の基本噴射量を与える基本噴射時間を、前回の燃焼サイクルにおける吸気行程で検出された吸気管内圧力(吸気管内圧力に極小値が現れる場合にはその極小値)と回転速度とに基づいて推定した吸入空気量と、各種の制御条件とに対して演算している。
【0007】
スロットル開度(スロットルバルブの開度)がほぼ一定に保たれている場合や、スロットル開度がゆっくりと変化させられる場合には、基本噴射時間を演算するために用いた前回の吸入行程における吸入空気量と今回の吸入行程における吸入空気量との間に大きな差が生じないため、上記のようにして演算した基本噴射時間をそのまま実際の噴射時間としても問題がない。
【0008】
しかしながら、機関を加速する際に、スロットル開度が急激に増加させられた場合には、基本噴射時間を演算した際の吸気管内圧力と、実際に燃料を噴射する際の吸気管内圧力との間に大きな差が生じるため、上記のようにして演算された基本噴射時間をそのまま実際の噴射時間とすると、燃料噴射量が不足して空燃比がリーン側にずれる。
【0009】
例えば、機関がアイドリング状態で回転していて、図8(A)の曲線aのように吸気管内圧力が変化している状態からスロットルバルブを急に開いたとすると、次の燃焼サイクルでは図8(A)の曲線bのように吸気管内圧力が上昇する。このとき曲線aの極小値を用いて演算した基本噴射時間を実噴射時間とすると、燃料の量が大幅に不足することになり、空燃比がリーン側にずれてしまう。機関の加速時に空燃比がリーン側にずれると、排気ガスの成分が悪化したり、運転性能が低下したりするので好ましくない。
【0010】
また機関を減速する際に、スロットルバルブが急激に閉じられた場合には、上記とは逆に燃料の量が過剰になって空燃比がリッチ側にずれる。機関の減速時に空燃比がリッチ側にずれた場合も、排気ガスの成分が悪化したり、運転性能が低下したりする。
【0011】
上記の問題を解決するため、スピード・デンシティ方式を採用した電子制御式燃料噴射制御装置においては、スロットル開度の変化から機関の加速状態及び減速状態を検出する手段を設けて、これらの状態が検出されたときに、燃料の過不足が生じないように燃料噴射時間を補正するようにしている。
【0012】
しかしながら、このように、スロットル開度の変化から機関の加速状態及び減速状態を検出するには、スロットル開度を検出するスロットルセンサを必要とするため、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0013】
そこで、本出願人は先に、特願2001−38072号において、スロットルポジションセンサを用いずに、吸気管内の圧力の変化から機関の加速状態及び(または)減速状態を検出する方法を提案した。
【0014】
この既提案の方法では、内燃機関のクランク軸の複数の回転角度位置を、サンプリング位置として定めておいて、各サンプリング位置で機関の吸気管内圧力をサンプリングし、サンプリングした吸気管内圧力を記憶しておく。そして、各サンプリング位置で吸気管内圧力をサンプリングする毎に新たにサンプリングした吸気管内圧力を1燃焼サイクル前の同じサンプリング位置でサンプリングした前回の吸気管内圧力と比較し、その比較の結果から内燃機関が加速状態にあること及び(または)減速状態にあることを検出する。
【0015】
即ち、新たにサンプリングした吸気管内圧力と1燃焼サイクル前の同じサンプリング位置でサンプリングした前回の吸気管内圧力と比較した結果、新たにサンプリングした吸気管内圧力が前回サンプリングした吸気管内圧力よりも所定レベル以上高いときに内燃機関が加速状態にあることを検出し、新たにサンプリングした吸気管内圧力が前回サンプリングした吸気管内圧力よりも所定レベル以上低いときに内燃機関が減速状態にあることを検出する。
【0016】
例えば図8において、クランク角位置θo ,θ1 ,θ2 ,…をそれぞれサンプリング位置として定めておき、サンプリング位置θ1 で、新たにサンプリングした吸気管内圧力P1 と前回同じサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力P1Bとの差ΔPが判定値を超えているときに、機関が加速状態にあることを検出する。
【0017】
このように、内燃機関の複数のクランク角位置を、サンプリング位置として定めておいて、各サンプリング位置で吸気管内圧力をサンプリングする毎に新たにサンプリングした吸気管内圧力を1燃焼サイクル前の同じサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力と比較することにより、内燃機関が加速状態にあること及び(または)減速状態にあることを検出するようにすると、スロットルポジションセンサを用いることなく機関の加速状態及び(または)減速状態を検出することができる。そして、図8(B)に示すように、予め定められた同期噴射位置θi でインジェクタの駆動回路に噴射指令Vj を与えて燃料の同期噴射(毎回決まった位置で行う噴射)を行わせた後、上記の方法により加速状態が検出されたときには、インジェクタの駆動回路に非同期噴射指令Vj ´を与えることにより、燃料の非同期噴射(吸気行程の燃料噴射が可能なタイミングにおいて燃料が不足していることが検出されたときに行う噴射)を行わせて、燃料の不足分を補うことができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記既提案の方法によれば、機関の加速状態を検出することはできるが、吸気行程における極小値を推定することはできないため、吸気行程で実際に必要とする燃料の噴射量を正確に求めることはできなかった。従って、同期噴射を行った後、例えば、図8のサンプリング位置θ1 で機関が加速状態にあることが検出されたとしても、実際に必要な非同期噴射量を正確に求めることができないため、非同期噴射指令Vj ´を発生させて非同期噴射を行わせてもなお燃料噴射量が不足する状態が生じたり、非同期噴射を行わせることにより燃料噴射量が過多になったりするおそれがあった。
【0019】
なお吸気行程において、吸気管内圧力の極小値を実測してから吸気行程において真に必要な噴射量の総量を求め、この必要な噴射量の総量から同期噴射時の噴射量を差し引いた噴射量を非同期噴射量として、非同期噴射を行わせることも考えられる。しかしながら、このように吸気管内圧力が極小値を迎えてから非同期噴射量を演算するようにした場合には、非同期噴射のタイミングが遅れ過ぎることになるため、シリンダ内に吸入されずに吸気管内に残留する燃料が多くなって、燃料の不足分を補う効果を期待できないだけでなく、残留した燃料が次の吸気行程でシリンダ内に吸入されるため、次の吸気行程での混合気の空燃比が計算通りにならなくなるという問題が生じる。
【0020】
本発明の目的は、4サイクル内燃機関の吸気行程において吸気管内圧力が極小値を迎える前に、該吸気管内圧力の極小値を予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法を提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、吸気管内圧力の極小値の予測値を用いて吸気行程においてインジェクタから吸気管内に噴射する燃料の量を補正することにより、機関の加速時に燃料が不足するのを防ぐことができるようにした内燃機関の燃料噴射制御方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関の各吸気行程において該内燃機関の吸気管内圧力に生じる極小値を、該極小値が生じる前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法に係わるものである。
【0023】
本発明においては、内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定める。また内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておく。
【0024】
そして、予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差(吸気管内圧力の変化分)ΔPn と該予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値とする。
【0025】
上記のようにして吸気管内圧力の極小値を予測する場合、各予測サンプリング位置に対して設定する係数kn の理想値knoは、その予測サンプリング位置でサンプリングされた吸気管内圧力Pn と実際の吸気管内圧力の極小値PA との差Pn −PA と、その予測サンプリング位置で求めた吸気管内圧力の変化分ΔPn との比であり、下記の式により与えられる。
【0026】
kno=(Pn −PA )/ΔPn …(1)
係数kn を上記理想値knoに等しく設定することができれば、吸気管内圧力の実際の極小値とその予測値との誤差は零になる。
【0027】
しかしながら、実際には、常に係数kn を理想値に等しくすることはできないため、実測データ(実験データ)に基づいて、予測値と実際の吸気管内圧力の極小値との誤差を最も小さくする値に上記係数kn を設定する。
【0028】
係数kn の最適値は、吸気管内圧力が極小値に向けて低下していく過程での変化率と、予測サンプリング位置の位相とにより変化するが、スロットルバルブがある程度開かれていて、吸気管内圧力が高くなっている(負圧の絶対値が小さくなっている)状態では、吸気管内圧力が極小値に向けて低下していく過程での変化率が小さくなるため、係数kn の最適値は余り変らなくなる。従って、吸気管内圧力がある程度高い場合(スロットルバルブがある程度以上開かれている状態にあるとき)にのみ吸気管内圧力の極小値の予測を行うようにすれば、係数kn の値を一定としても、実用上問題がない精度で吸気管内圧力の極小値を予測することができる。
【0029】
吸気管内圧力がある程度高い場合にのみ吸気管内圧力の極小値の予測を行うようにするには、例えば、機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値(アイドリング時に検出して記憶させておく。)と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc 以下のときに該予測値を無効とし、機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときにその予測値を有効とするようにすればよい。
【0030】
燃料噴射量の補正が必要になるのは、殆どの場合機関の加速時のみであるので、上記のように、アイドリング運転時に吸気行程において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときにのみ吸気管内圧力の予測値を有効とするようにしても特に支障を来さない。
【0031】
また各吸気行程において、上記係数kn の理想値(Pn −PA )/ΔPn を演算して、各吸気行程で演算された理想値に基づいて、次の吸気行程における予測サンプリング位置での係数kn を決定するようにしてもよい。
【0032】
また係数kn の最適値は、予測すべき吸気管内圧力の極小値の大きさと、予測を行うサンプリング位置の位相とにより変るため、例えば、各予測サンプリング位置の位相と、各予測サンプリング位置で検出される吸気管内圧力Pn と、係数kn との関係を与える係数演算用マップを作成しておいて、このマップを用いて各吸気行程で各予測サンプリング位置に対して設定する係数kn を演算するようにしてもよい。
【0033】
上記の方法によれば、各吸気行程の初期の段階で、吸気管内圧力が極小値を迎える前に吸気管内圧力の極小値を予測することができる。
【0034】
吸気行程の初期の段階で、吸気管内圧力を予測することができれば、その予測値と機関の回転速度と体積効率とに基づいて推定した吸入空気量と空燃比の目標値とから各吸気行程で必要とする燃料噴射量の総量を演算することができる。従って、例えば、この噴射量の総量と既に噴射させた同期噴射量との差に相当する燃料を非同期噴射させるようにすれば、燃料の過不足を生じさせることなく、燃料噴射量を機関の実際の運転状態に適った量に補正して、空燃比を所定の範囲に保つことができる。
【0035】
スピード・デンシティ方式のEFIにおいては、内燃機関の吸気管内圧力の極小値と該機関の回転速度と機関の体積効率とからシリンダ内への吸入空気量を推定し、この吸入空気量と各種の制御条件とに対してインジェクタから吸気管内に噴射すべき燃料の必要量に相当する噴射時間を基本噴射時間として演算する。そして、各吸気行程が開始されるクランク角位置よりも進んだ位置に設定された同期噴射位置で、インジェクタ駆動回路に基本噴射時間に相当する信号幅を有する噴射指令信号を与えることによりインジェクタを駆動して同期噴射を行わせ、該インジェクタから基本噴射時間の間燃料を噴射させる。また同期噴射を行わせた後に燃料が不足することが検出されたときには、その不足分を補うように非同期噴射を行わせている。
【0036】
本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を用いると、上記のように同期噴射と非同期噴射とを行う燃料噴射制御方法において、非同期噴射を行う際の噴射量を、吸気管内圧力の極小値に基づいて決定することができるため、燃料噴射量の制御を適確に行うことができる。
【0037】
上記の燃料噴射制御方法に本発明を適用する場合には、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定めておき、内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておく。また予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と該予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値として求める。そして、この予測値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算し、この総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間の総計とから燃料が不足しているか否かを検出して、燃料が不足していることが検出されたときにその燃料の不足分を補うように非同期噴射を行わせる。
【0038】
吸気管内圧力の極小値の予測値に基づいて燃料噴射量の補正を適確に行うためには、各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を複数回行って、予測値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件と既に行われた燃料噴射の噴射量とから燃料噴射量が不足していることが検出されたときに直ちに非同期噴射を行って不足分を補うようにするのが好ましい。
【0039】
この場合には、内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ複数のサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておく。
【0040】
また各吸気行程の各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と各予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と各予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値として求める。
【0041】
各吸気行程に設定された複数の予測サンプリング位置のうち、最初の予測サンプリング位置で求められた予測値はそのまま有効として、その予測値を用いて推定した吸入空気量と制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算する。
【0042】
また2番目以降の各予測サンプリング位置で求められた予測値は、その絶対値が直前の予測サンプリング位置で求められた予測値の絶対値よりも小さいときにのみ有効とし、有効とした予測値を用いて推定した吸入空気量と制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算する。
【0043】
そして、各吸気行程で総必要噴射時間が演算される毎に、演算された総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間の総計とから燃料が不足しているか否かを検出して、燃料が不足していることが検出されたときにその燃料の不足分を補うように非同期噴射を行わせる。
【0044】
上記の説明では、燃料の噴射量を補正するために吸気管内圧力の極小値の予測値を用いるとしたが、吸気行程の初期に吸気管内圧力の極小値を予測できれば、その予測値から機関が加速状態にあるか否かを早期に判定できるため、スロットル開度を検出することなく加速状態を検出して点火時期の制御等を行うこともできる。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明の方法により予測した吸気管内圧力の極小値は、内燃機関用の燃料噴射装置において、インジェクタからの燃料の噴射量を決定するための条件の一つとして用いたり、点火時期を制御する際に、機関が加速状態にあるか否かを検出するために用いたりすることができるが、以下、インジェクタからの燃料の噴射量を決定するために吸気管内圧力の予測値を用いる場合を例にとって、本発明の一実施形態を説明する。
【0046】
図1はEFIを備えた内燃機関1と、該内燃機関を制御するシステムとの構成例を示した構成図である。図示の内燃機関1は単気筒の4サイクル機関で、シリンダ1aと、ピストン1bと、ピストン1bにコンロッドを介して連結されたクランク軸1cと、吸気ポート1d及び排気ポート1eを有するシリンダヘッド1fと、吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気バルブ1g及び排気バルブ1hと、クランク軸1cにより駆動されるカム軸1iと、カム軸1iの回転に伴って吸気バルブ1g及び排気バルブ1hを駆動するバルブ駆動機構1jと、吸気ポート1dに接続された吸気管1kとを備えており、吸気管1k内にはスロットルバルブ1mが設けられている。
【0047】
内燃機関1のシリンダヘッドには点火プラグ2が取り付けられ、この点火プラグ2は、点火コイルIGの二次コイルに高圧コードを通して接続されている。
【0048】
また内燃機関の吸気管1kには、インジェクタ(電磁燃料噴射弁)3が取り付けられている。図示のインジェクタ3は、燃料噴射口を先端に有し、燃料供給口を後端部寄りに有するインジェクタボディと、該インジェクタボディ内で燃料噴射口を開く位置(開位置)と閉じる位置(閉位置)との間を変位し得るように設けられたバルブ部材と、該バルブ部材を常時閉位置側に付勢する付勢手段と、バルブ部材を開位置側に駆動するソレノイドとを備えた周知のもので、ソレノイドに駆動電流が与えられている間その燃料噴射口を開いて内燃機関の吸気管内に燃料を噴射する。
【0049】
4は機関に供給する燃料を蓄える燃料タンク、5は燃料タンク4内の燃料をインジェクタ3に供給する電動燃料ポンプ、6はインジェクタ3の燃料供給口につながる管路に接続された圧力調整器である。圧力調整器6は、インジェクタ3に与えられる燃圧が設定値を超えたときに燃料ポンプ5から供給される燃料の一部を燃料タンク4に戻すことにより、燃圧をほぼ設定値に保つように調整する。
【0050】
このように、インジェクタ3に与えられる燃圧はほぼ一定に保たれているため、インジェクタ3から噴射する燃料の量(燃料噴射量)は、インジェクタ3の噴射口が開いている時間により決まる。インジェクタ3の噴射口が開いている時間は、インジェクタに駆動電流を与える時間によりほぼ決まる。したがって、燃料噴射量を制御する際には、各種の制御条件に応じて機関が要求する燃料噴射量を演算するとともに、その噴射量を得るために必要な噴射時間を求め、所定の噴射タイミングが検出されたときに演算された噴射時間の間インジェクタに駆動電流を与えて、燃料の噴射を行わせる。
【0051】
7は機関のクランク軸1cにより駆動される磁石発電機で、図示の磁石発電機は、クランク軸1cに取り付けられた磁石回転子7aと、機関のケース等に固定された固定子7bとからなっている。図示の磁石回転子7aは、クランク軸1cに取り付けられたカップ状のフライホイール7cと、このフライホイールの内周に取り付けられた複数の永久磁石7dとを備えた周知のフライホイール磁石回転子からなっている。また固定子7bは、多数の歯部が放射状に形成された多極星形鉄心と、該鉄心の多数の歯部にそれぞれ巻回された多数の発電コイルとからなっていて、固定子7bを構成する多極星形鉄心の各歯部の先端の磁極部が磁石回転子7aの磁極部に所定のギャップを介して対向させられている。
【0052】
また8はインジェクタからの燃料噴射量と機関の点火時期とを制御するECU、9は磁石発電機7の固定子に設けられたバッテリ充電用発電コイルの出力電圧Vbによりレギュレータ10を通して充電されるバッテリで、バッテリ9の出力電圧は、電動燃料ポンプ5の電源端子とECU(電子制御ユニット)8の電源端子とに与えられている。ECU8内には、バッテリの電圧をマイクロコンピュータを駆動するのに適した定電圧に調整する電源回路が設けられていて、該電源回路からマイクロコンピュータの電源端子に電源電圧が印加されている。
【0053】
ECU8には、インジェクタ3から噴射させる燃料の量を制御するための制御条件と、機関の点火時期を制御するための制御条件とを検出する各種のセンサの出力が入力されている。
【0054】
図示の例では、スロットルバルブ1mよりも下流側で吸気管1k内の圧力を検出する圧力センサ12と、機関の吸気温度を検出する吸気温度センサ13と、機関の冷却水の温度を検出する水温センサ14とが設けられていて、これらのセンサの出力がECU8のA/D入力ポートに入力されている。
【0055】
また機関の回転情報(回転角度位置情報及び回転速度情報)を得るため、パルサ15が設けられ、このパルサ15の出力がECU8に入力されている。パルサ15は、フライホイール7cの外周に形成された突起または凹部からなるリラクタ7eのエッジを検出してパルスを発生するもので、例えば、リラクタ7eに対向する磁極部を先端に有する鉄心と、該鉄心に磁気結合された永久磁石と、該鉄心に巻回された信号コイルとにより構成されている。
【0056】
パルサ15は、リラクタ7eの回転方向の前端縁を検出したとき、及び該リラクタ7eの回転方向の後端縁を検出したときにそれぞれ極性が異なる対のパルスを発生する。これら対のパルスの内の一方が基準パルスとして用いられ、該基準パルスにより機関のクランク軸の基準回転角度位置(クランク角の計測を行う際の基準となる位置)が検出される。
【0057】
図示の例では、図5(C)に示すように、パルサ15がリラクタ7eの前端縁を検出したとき及び後端縁を検出したときにそれぞれ負極性のパルスVs1及び正極性のパルスVs2を発生するように設けられている。本実施形態では、これらのパルスの内、負極性パルスVs1を基準パルスとして用い、正極性のパルスVs2を機関の始動時及び低速度の点火時期を定めるために用いている。負極性パルスVs1は、機関の上死点位置(ピストンが上死点に達するときのクランク角位置)よりも一定の角度進んだ位置で発生し、正極性パルスVs2は、負極性パルスVs1の発生位置より遅れ、機関の上死点よりも僅かに進んだ位置で発生する。
【0058】
ECU8は、基準パルスVs1が発生したことを認識したときに、機関のクランク軸の回転角度位置が基準回転角度位置に一致したことを検出する。図示の内燃機関は4サイクル機関であるため、1燃焼サイクル当たり基準パルスVs1が2回発生する。
【0059】
また図示の例では、磁石発電機7の固定子の鉄心の一つの歯部に巻回された発電コイルが回転角センサ16として用いられ、この回転角センサを構成する発電コイルの出力電圧Vg (図5B参照)がECU8に入力されている。
【0060】
ECU8内には、インジェクタ駆動回路と、点火コイルIGの一次電流を制御する一次電流制御回路とが設けられていて、インジェクタ駆動回路の出力端子及び一次電流制御回路の出力端子にそれぞれインジェクタ3及び点火コイルIGの一次コイルが接続されている。
【0061】
ECU8は、マイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、回転速度演算手段、吸入空気量推定手段、噴射量演算手段、噴射量補正手段、噴射指令発生手段、点火時期演算手段、点火信号発生手段等の各種の機能実現手段を実現する外、パルサ15、回転角センサ16及び圧力センサ12とともに、機関の吸気管内圧力の極小値を予測する吸気管内圧力極小値予測手段を実現する。
【0062】
図2は、図1に示したシステムのハードウェアの構成と、ECU8内のマイクロコンピュータと該マイクロコンピュータが実行するプログラムとにより構成される機能実現手段の構成とをブロック図で示したものである。図2において、インジェクタ駆動回路801及び一次電流制御回路802はECU8内にハードウェア回路として設けられ、本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を実施する吸気管内圧力予測手段803、回転速度演算手段804、吸入空気量推定手段805、基本噴射時間演算手段806、補正噴射時間演算手段807、噴射指令発生手段808、点火時期演算手段809、及び点火信号発生手段810は、ECU8内のマイクロコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより構成される。
【0063】
以下、図2の各部の構成を説明する。
【0064】
先ず本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を実施する吸気管内圧力予測手段803について説明する。
【0065】
吸気管内圧力予測手段803は、図3に示すように、吸気管内圧力サンプリング手段8Aと、記憶手段8Bと、吸気管内圧力変化分(ΔPn )演算手段8Cと、吸気管内圧力予測変化量演算手段8Dと、予測値演算手段8Eとにより構成される。
【0066】
吸気管内圧力サンプリング手段8Aは、回転角センサ16が出力する回転角検出信号から検出される複数の回転角度位置をそれぞれサンプリング位置として、各サンプリング位置で圧力センサが検出している吸気管内圧力Pをサンプリングする。
【0067】
前述のように、図1に示した回転角センサ16は、磁石発電機7内に設けられた一つの発電コイルからなっていて、図5(B)に示すように、クランク角θに対してほぼ正弦波状のクランク角検出信号Vgを出力する。図示の例では、クランク角検出信号Vgがクランク軸の1回転当たり6サイクル発生する。このような正弦波状のクランク角検出信号Vgを用いる場合には、その波形の零クロス点やピーク点を検出することにより、多数のクランク角位置の情報を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、クランク角検出信号Vgが負の半サイクルから正の半サイクルに立ち上がる際に生じる零クロス点(立ち上がり側の零クロス点)をサンプリング位置として用いるものとし、1燃焼サイクルの間(クランク軸が2回転する間)にクランク角検出信号Vgに現れる12個の零クロス点にそれぞれ対応する12個のクランク角位置をそれぞれ吸気管内圧力のサンプリング位置としている。
【0069】
記憶手段8Bは、パルサ15が発生する基準パルスVs1(図5C参照)により検出される基準回転角度位置を基準にしてサンプリング位置を特定して、各サンプリング位置でサンプリングされた吸気管内圧力とそのサンプリング位置とをRAMに記憶する。図5に示した例では、別途設けられた行程判別手段により判別された吸気行程が開始される際の上死点位置よりも一定角度進んだクランク角位置でパルサ15が基準パルスVs1を発生した直後に現れる回転角検出信号Vgの零クロス点(サンプリング位置)に0の番号を付し、以下順次現れる零クロス点に1,2,…,11の番号を付して、1燃焼サイクルの間に現れる各サンプリング位置を特定している。そして、1燃焼サイクルの区間に順次現れる12個のサンプリング位置0,1,2,…,11でそれぞれ吸気管内圧力Pをサンプリングし、サンプリングした吸気管内圧力をサンプリング位置を示す番号とともにRAMに記憶する。
【0070】
なお上記行程判別手段は、1燃焼サイクル当り1回転するカム軸の回転角度位置が所定の位置(例えば吸気行程が開始される際の上死点位置)に一致したときに信号を発生するカム軸センサの出力から行程を判別したり、行程の変化に伴う吸気管内圧力の変化から行程を判別したりするように構成することができる。
【0071】
図5(A)において、実線で示した曲線aは、機関のアイドリング時の吸気管内圧力の変化を示し、右端に破線で示した曲線bは、機関の加速時の吸気管内圧力の変化を示している。即ち、機関がアイドリング運転されている状態で、図示のクランク角位置θa で機関を加速にするためにスロットルバルブを開いたとすると、吸気管内圧力が図示の曲線bのように変化する。本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を説明するために、図5(A)の加速操作が行われたクランク角位置θa 以降の吸気管内圧力の変化を、図6に拡大して示した。
【0072】
本発明においては、吸気行程において吸気管内圧力が極小値に達する前に該吸気管内圧力の極小値を予測するため、内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置(上死点位置)よりも遅れ、各吸気行程で吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておく。本実施形態では、図6に示したように、1番目のサンプリング位置と2番目のサンプリング位置とをそれぞれ第1の予測サンプリング位置θs1及び第2の予測サンプリング位置θs2としている。
【0073】
吸気管内圧力変化分演算手段8Cは、各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差を吸気管内圧力変化分ΔPn として演算する。
【0074】
図示の例では、第1の予測サンプリング位置θs1で、0番目のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力P0 から、第1の予測サンプリング位置θs1でサンプリングした吸気管内圧力P1 を差し引いて吸気管内圧力変化分ΔP1 を演算する。また第2の予測サンプリング位置θs2では、1番目のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力P1 から、第2の予測サンプリング位置θs2でサンプリングした吸気管内圧力P2 を差し引いて吸気管内圧力変化分ΔP2 を演算する。
【0075】
また本発明においては、各予測サンプリング位置に対して、係数kn (n=0,1,2,…)を設定する。図示の例では、予測サンプリング位置θs1及びθs2に対してそれぞれ係数k1 及びk2 が設定されている。
【0076】
吸気管内圧力予測変化量演算手段8Dは、吸気管内圧力変化分ΔP2 と、該予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を吸気管内圧力予測変化量として演算する。図示の例では、予測サンプリング位置θs1で、吸気管内圧力変化分ΔP1 に係数k1 を乗じて吸気管内圧力予測変化量k1 ×ΔP1 を演算する。また予測サンプリング位置θs2では、吸気管内圧力変化分ΔP2 に係数k2 を乗じて吸気管内圧力予測変化量k1 ×ΔP1 を演算する。
【0077】
予測値演算手段8Eは、予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から吸気管内圧力予測変化量kn ×ΔPn を減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値PAnとして演算する。図示の例では、予測サンプリング位置θs1で、吸気管内圧力P1 から吸気管内圧力予測変化量k1 ×ΔP1 を減じて吸気管内圧力の極小値の予測値PA1=P1 −k1 ×ΔP1 を演算し、予測サンプリング位置θs2で、吸気管内圧力P2 から吸気管内圧力予測変化量k2 ×ΔP2 を減じて吸気管内圧力の極小値の予測値PA2=P2 −k2 ×ΔP2 を演算する。
【0078】
前述のように、上記係数kn は、実測値(実験結果)に基づいて理想値kno=(Pn −PA )/ΔPn との差ができるだけ小さくなるように決める。ここでPA は、吸気管内圧力の実際の極小値である。例えば、係数k1 は、その理想値k1o=(P1 −PA )/ΔP1 との差ができるだけ小さくなるように決める。また係数k2 はその理想値k2o=(P2 −PA )/ΔP2 との差ができるだけ小さくなるように決める。
【0079】
吸気管内圧力予測手段803を実現するためにサンプリング位置が検出される毎にECU内のマイクロコンピュータに実行させる割込みルーチンのアルゴリズムを示すフローチャートの一例を図4に示した。このアルゴリズムに従う場合には、各サンプリング位置が検出されたときに、先ずステップ1において吸気管内圧力を読込み、次いでステップ2においてnが1または2であるか否か(今回のサンプリング位置が予測サンプリング位置であるか否か)を判定する。その結果、n=1またはn=2であると判定された場合(今回のサンプリング位置が予測サンプリング位置θs1またはθs2であると判定された場合)には、ステップ3に進んでPn-1 −Pn を演算し、その演算結果を吸気管内圧力変化分ΔPn として記憶させる。次いでステップ4においてΔPn と係数kn との積(吸気管内圧力予測変化量)kn ×ΔPn を演算するとともに、読込んだ吸気管内圧力Pn からこの予測変化量を減じることにより吸気管内圧力の極小値の予測値PAn=Pn −kn ×ΔPn を演算する。次いでステップ5で、予測値PAnが前の予測サンプリング位置で既に求められている吸気管内圧力の極小値の予測値PArよりも大きいか否かを判定し、PAr<PAn<0であるときには、ステップ6に進んで、今回の予測サンプリング位置で求められた予測値PAnを今回の吸気行程で現れる吸気管内圧力の極小値の予測値PArとして、メインルーチンに復帰する。ステップ5でPAn≦PArであると判定されたときには、何もしないでメインルーチンに復帰する。またステップ2においてn=1またはn=2でないと判定されたとき(今回のサンプリング位置が予測サンプリング位置でないと判定されたとき)には、ステップ7に進んで吸気管内圧力の極小値の予測値PArを零とした後、メインルーチンに戻る。
【0080】
上記のように、各吸気行程の初期に複数の予測サンプリング位置θs1,θs2を設定する場合には、最初の予測サンプリング位置θs1で求められた予測値はそのまま有効とし、2番目以降の各予測サンプリング位置(図示の例ではθs2)で求められた予測値は、その絶対値が直前の予測サンプリング位置(図示の例ではθs1)で求められた予測値の絶対値よりも小さいときにのみ有効とする。
【0081】
本実施形態では、図4の割込みルーチンのステップ1により、図3の記憶手段8Bが実現され、ステップ3により吸気管内圧力変化分演算手段8Cが実現される。またステップ4ないし6により図3の吸気管内圧力予測変化量演算手段8Dと予測値演算手段8Eとが実現される。
【0082】
次に、図1及び図2に示した制御システムにおいて、ECU8により実現される機能実現手段のうち、吸気管内圧力予測手段以外の機能実現手段を説明する。図2に示した回転速度演算手段804は、各瞬時における内燃機関の回転速度を検出するために設けられたもので、この回転速度演算手段は、例えばECUが実行するプログラムのメインルーチンにおいて、パルサ15が出力するパルスの発生間隔から機関の回転速度を演算する。
【0083】
吸入空気量推定手段805は、シリンダ内に吸入される空気量(吸入空気量)を推定するために設けられたもので、例えば、各同期噴射位置が検出される毎に実行される割込みルーチンにおいて、前回の吸気行程で圧力センサ12が検出した吸気管内圧力の極小値と、内燃機関の体積効率とから機関のシリンダ内に吸入される空気量を推定する。
【0084】
基本噴射時間演算手段806は、吸入空気量推定手段805により推定された吸入空気量、吸気温度センサ13により検出された吸気温度、水温センサ14により検出された機関の冷却水温度、回転速度演算手段804により演算された機関の回転速度等の制御条件に対して、同期噴射を行う際の燃料噴射時間を基本噴射時間To として演算する。基本噴射時間を演算する際には、図示の条件の他、大気圧等の更に他の条件を制御条件とすることもある。
【0085】
補正噴射時間演算手段807は、予測サンプリング位置で吸気管内圧力の極小値の有効な予測値が演算される毎に実行される割込みルーチンにより実現される手段で、演算された予測値とその時の機関の回転速度と機関の体積効率とから吸入空気量を推定し、この吸入空気量と、吸気温度、冷却水温等の各種の制御条件とから、今回の吸気行程で所定の空燃比を得るために必要な総噴射量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算する。そして、この総必要噴射時間から既に行われた噴射における噴射時間の総計を差し引くことにより、燃料の不足分を補うために必要な噴射時間を補正噴射時間として演算する。
【0086】
噴射指令発生手段808は、同期噴射位置でパルサ15が基準パルスVs1を発生したときに実行される割込みルーチンで、基本噴射時間演算手段806により演算された基本噴射時間To に相当する信号幅の噴射指令信号をインジェクタ駆動回路801に与える。
【0087】
インジェクタ駆動回路801は、噴射指令信号が与えられている間インジェクタ3に駆動電流を与えて、該インジェクタから燃料を噴射させる。
【0088】
噴射指令発生手段808はまた、補正噴射時間演算手段807が予測サンプリング位置で補正噴射時間を演算したときに、直ちにその補正噴射時間に相当する信号幅を有する噴射指令信号をインジェクタ駆動回路801に与える。このときインジェクタ駆動回路801は噴射指令信号が与えられている間インジェクタに駆動電流を流して、非同期噴射を行わせる。
【0089】
上記のようにして同期噴射及び非同期噴射を行わせた例を図7に示した。図7に示した例では、前回の吸気行程で実際に検出された吸気管内圧力の極小値と、機関の回転速度と機関の体積効率とから、所定の空燃比の混合気を得るために必要な燃料噴射量に相当する噴射時間を基本噴射時間To として演算し、同期噴射位置(パルサが基準パルスVs1を発生する位置)θi が検出されたときに基本噴射時間To の間同期噴射を行わせている。その後、予測サンプリング位置θs1で吸気管内圧力の極小値の予測値PA1が求められたときに、この予測値と機関の回転速度と機関の体積効率とから吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量と各種の制御条件とに対して吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間T1 として演算し、この総必要噴射時間T1 から既に行った同期噴射の際の基本噴射時間To を差し引いた噴射時間T1 ´(=T1 −To )を補正噴射時間として、この補正噴射時間T1 ´の間非同期噴射を行わせている。
【0090】
次いで、予測サンプリング位置θs2で吸気管内圧力の極小値の予測値PA2が求められたときに、この予測値と機関の回転速度と機関の体積効率とから吸入空気量を推定して、推定した吸入空気量と各種の制御条件とに対して吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間T2 として演算し、この総必要噴射時間T2 から既に行った噴射の際の噴射時間の総計To +T1 ´を差し引くことにより求めた補正噴射時間T2 ´の間非同期噴射を行わせている。
【0091】
上記の例では、各吸気行程に2つの予測サンプリング位置θs1及びθs2を設定しているが、予測サンプリング位置を一つだけ設定するようにしてもよい。予測サンプリング位置を一つだけ設定する場合、予測値を正確に求めるためには、該予測サンプリング位置を、上記の例のθs2の位置のように、非同期噴射が可能な範囲で吸気管内圧力が極小値を示す位置に近い位置に設定するのが好ましい。
【0092】
インジェクタが吸気バルブから離れている内燃機関においては、インジェクタから噴射された燃料がシリンダ内に到達するまでに時間がかかるため、非同期噴射は早めに行うのが望ましい。そのためには、上記の例のように、予測サンプリング位置を2つ設定して、先の予測サンプリング位置でより多くの補正噴射量を非同期噴射させるようにするのが好ましい。
【0093】
上記の例のように、噴射量の補正のための非同期噴射を2回に分けて行うと、2回目の非同期噴射では、噴射時間が短くなる。非同期噴射の噴射時間が短くなると、誤差が大きくなるため、噴射量の補正を正確に行うためには、非同期噴射を2回に分けて行うよりは、1回の非同期噴射でまとめて補正噴射量の噴射を行わせるようにするのが好ましい。
【0094】
特にインジェクタと吸気バルブとの間の距離が短く、インジェクタから噴射した燃料がすぐにシリンダ内に吸入される機関の場合には、吸気管内圧力が極小値を示す位置にできるだけ近い位置で非同期噴射を1回だけ行わせて、必要な補正噴射量の燃料をまとめて非同期噴射させるようにするのが好ましい。
【0095】
図2に示した更に他の機能実現手段を説明すると、点火時期演算手段809は、回転速度演算手段804により演算された回転速度に対して内燃機関の点火時期を演算する。
【0096】
点火信号発生手段810は、例えばパルサ15が基準パルスVs1を発生した時に点火時期演算手段により演算された点火時期の検出を開始して、演算された機関の点火時期が検出された時に一次電流制御回路802に点火信号を与える。
【0097】
一次電流制御回路802は、点火信号が与えられた時に点火コイルIGの一次電流に急激な変化を生じさせて、該点火コイルの二次コイルに点火用の高電圧を誘起させる。この点火用高電圧は点火プラグ2に印加されるため、点火プラグ2で火花放電が生じて機関が点火される。
【0098】
上記の例では、サンプリング位置を検出する回転角センサとして機関のクランク軸により駆動される磁石発電機内の発電コイルを用いたが、回転角センサとしては、内燃機関のクランク軸が所定角度回転する毎にパルス信号を発生する信号発生装置を用いることもできる。この場合、吸気管内圧力サンプリング手段8Aは、信号発生装置が発生するパルス信号の立上りに相応するクランク軸の回転角度位置及び該パルス信号の立下がりに相応するクランク軸の回転角度位置の少なくとも一方をサンプリング位置とするように構成する。
【0099】
機関の所定の角度毎にパルスを発生する信号発生装置としては、例えば、機関始動用電動機により駆動されるピニオンギアを噛み合わせるために、フライホイールの外周に取り付けられたリングギアの歯を検出してパルス信号を発生するようにしたもの(ギアセンサ)を用いることができる。また回転する部材の回転角度位置を検出するために一般に用いられているロータリエンコーダを上記回転角センサとして用いることができる。
【0100】
回転角センサとしてエンコーダを用いる場合、該エンコーダから回転角検出パルスと基準パルスの双方を発生させるようにすることができる。エンコーダから回転角検出パルスと基準パルスの双方を発生させる場合には、例えば、内燃機関が微小角度回転する毎にエンコーダから発生させる一連のパルスの発生間隔を一部で不等間隔として、等角度間隔で発生するパルスをECUに回転角検出パルスとして認識させ、不等間隔で発生したパルスを基準パルスとして認識させるようにすればよい。
【0101】
また内燃機関が微小角度回転する毎にエンコーダから発生させる一連のパルスのパルス幅を他のパルスと異なるようにしておいて、パルス幅が等しい一連のパルスを回転角検出パルスとして認識させ、パルス幅が他のパルスと異なるパルスを基準パルスとして認識させるようにしてもよい。
【0102】
更に、上記のようにクランク軸に取り付けた発電機やエンコーダの出力からサンプリング位置を検出する代りに、カム軸に取り付けた信号発生器の出力からサンプリング位置を検出するようにすることもできる。
【0103】
上記の例では、吸気管内圧力のサンプリング間隔を等間隔としているが、吸気管内圧力のサンプリング間隔は不等間隔であってもよい。
【0104】
上記の説明では、単気筒内燃機関を例にとったが、各気筒毎に吸気管が設けられている多気筒内燃機関においても、同様に、本発明の方法により吸気管内圧力の極小値を予測することができる。
【0105】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、吸気管内圧力が極小値を示す前に、その極小値を予測することができる利点がある。
【0106】
また本発明の燃料噴射制御方法によれば、各吸気行程において求めた吸気管内圧力の極小値の予測値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件とから各吸気行程で必要とする噴射量の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として求めて、この総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間とから非同期噴射を行わせる際の噴射量を求めるようにしたので、各吸気行程において燃料の過不足を生じさせることなく、燃料噴射量を機関の実際の運転状態に適った量に補正して、空燃比を所定の範囲に保つことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ECUを用いて内燃機関を制御する制御システムの一例を示した構成図である。
【図2】図1の制御システムに設けられる機能実現手段の一例を示したブロック図である。
【図3】本発明に係わる吸気管内圧力予測手段の構成例を示したブロック図である。
【図4】本発明に係わる吸気管内圧力予測手段を実現するためにECUのマイクロコンピュータに実行させる割込みルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。
【図5】本発明を適用する内燃機関の吸気管内圧力の変化と、本発明で用いる回転角検出信号とパルサが発生するパルサ信号とを示した波形図である。
【図6】本発明に係わる予測方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明に係わる燃料噴射制御方法により行う同期噴射と非同期噴射とを説明するための説明図である。
【図8】既提案の加減速検出方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、1k…吸気管、2…点火プラグ、3…インジェクタ、7…磁石発電機、8…ECU,12…圧力センサ、13…吸気温度センサ、14…水温センサ、16…回転角センサ。

Claims (8)

  1. 内燃機関の各吸気行程において該内燃機関の吸気管内圧力に生じる極小値を、該極小値が生じる前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法であって、
    前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定めておき、
    前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定め、
    前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と前記予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値とすることを特徴とする内燃機関の吸気管内圧力予測方法。
  2. 内燃機関の各吸気行程において該内燃機関の吸気管内圧力に生じる極小値を、該極小値が生じる前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法であって、
    前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定めておき、
    前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ複数のサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておき、
    各吸気行程の各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と各予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と各予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各予測サンプリング位置で求めた吸気管内圧力の予測値とし、
    前記複数の予測サンプリング位置のうち、2番目以降の各予測サンプリング位置で求められた予測値は、その絶対値が直前の予測サンプリング位置で求められた予測値の絶対値よりも小さいときにのみ有効とすることを特徴とする内燃機関の吸気管内圧力予測方法。
  3. 前記内燃機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc 以下のときに該予測値を無効とし、機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときにその予測値を有効とする請求項1または2に記載の内燃機関の吸気管内圧力予測方法。
  4. 各吸気行程で各予測サンプリング位置に対して設定する係数kn は、各予測サンプリング位置の位相と、各予測サンプリング位置で検出された吸気管内圧力と、前記係数kn との関係を与える係数演算用マップを用いて演算することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の内燃機関の吸気管内圧力予測方法。
  5. 内燃機関の吸気管内圧力の極小値と該機関の回転速度とから推定した吸入空気量と各種の制御条件とに対してインジェクタから吸気管内に噴射すべき燃料の必要量に相当する噴射時間を基本噴射時間として演算し、各吸気行程が開始されるクランク角位置よりも進んだ位置に設定された同期噴射位置で前記インジェクタを駆動することにより該インジェクタから前記基本噴射時間の間燃料を噴射させる同期噴射を行わせ、前記同期噴射を行わせた後に燃料が不足することが検出されたときにその不足分を補うように非同期噴射を行わせる内燃機関の燃料噴射制御方法であって、
    相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定めておき、
    前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておき、
    前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と該予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値として求め、
    前記予測値を用いて推定した吸入空気量と前記制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算し、
    前記総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間とから燃料が不足しているか否かを検出して、燃料が不足していることが検出されたときにその燃料の不足分を補うように前記非同期噴射を行わせること、
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  6. 内燃機関の各吸気行程でインジェクタから吸気管内に噴射する必要がある燃料の量に相当する基本噴射時間を、前回の吸気行程で検出された吸気管内圧力の極小値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件とに対して演算し、各吸気行程が開始されるクランク角位置よりも進んだ位置に設定された同期噴射位置で前記インジェクタを駆動することにより該インジェクタから前記基本噴射時間の間燃料を噴射させる同期噴射を行わせ、前記同期噴射を行わせた後に燃料が不足することが検出されたときにその不足分を補うように非同期噴射を行わせる内燃機関の燃料噴射制御方法であって、
    前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング位置として定めておき、
    前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ複数のサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定めておき、
    各吸気行程の各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn と各予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と各予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値として求め、
    各吸気行程に設定された前記複数の予測サンプリング位置のうち、最初の予測サンプリング位置で求められた予測値はそのまま有効として、その予測値を用いて推定した吸入空気量と前記制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算し、
    2番目以降の各予測サンプリング位置で求められた予測値は、その絶対値が直前の予測サンプリング位置で求められた予測値の絶対値よりも小さいときにのみ有効として、有効とした予測値を用いて推定した吸入空気量と前記制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算し、
    各吸気行程で前記総必要噴射時間が演算される毎に、演算された総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間の総計とから燃料が不足しているか否かを検出して、燃料が不足していることが検出されたときにその燃料の不足分を補うように前記非同期噴射を行わせること、
    を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  7. 前記内燃機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc 以下のときに該予測値を無効とし、機関のアイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときにその予測値を有効とする請求項5または6に記載の内燃機関の燃料噴射制御方法。
  8. 各吸気行程で各予測サンプリング位置に対して設定する係数kn は、各予測サンプリング位置の位相と、各予測サンプリング位置で検出された吸気管内圧力と、前記係数kn との関係を与える係数演算用マップを用いて演算することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射制御方法。
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