JP2003138974A - 内燃機関の吸気管内圧力予測方法及び燃料噴射制御方法 - Google Patents

内燃機関の吸気管内圧力予測方法及び燃料噴射制御方法

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JP2003138974A
JP2003138974A JP2001333193A JP2001333193A JP2003138974A JP 2003138974 A JP2003138974 A JP 2003138974A JP 2001333193 A JP2001333193 A JP 2001333193A JP 2001333193 A JP2001333193 A JP 2001333193A JP 2003138974 A JP2003138974 A JP 2003138974A
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pressure
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intake
combustion engine
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】内燃機関の吸気管内圧力の極小値を予測する方
法を提供する。 【解決手段】内燃機関1の多数のクランク角位置をサン
プリング位置として定め、複数のサンプリング位置のう
ち、各吸気行程が開始される時のクランク角位置よりも
遅れ、各吸気行程で吸気管内圧力が極小値を示すクラン
ク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプリング位
置を予測サンプリング位置として定めておく。予測サン
プリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn とそ
の直前のサンプリング位置で求めた吸気管内圧力との差
ΔPn に所定の係数kn を乗じた値を吸気管内圧力の予
測変化量kn ×ΔPn として求め、予測サンプリング位
置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から予測変化量
を減じた値を吸気管内圧力の予測値とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸気管
内の圧力の極小値を、該極小値が生じる前に予測する内
燃機関の吸気管内圧力予測方法、及びこの予測方法を利
用して内燃機関の燃料噴射量を制御する燃料噴射制御方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関を制御する際には、機関の吸気
管内の圧力の極小値を求めることが必要になることがあ
る。例えば、内燃機関に燃料を供給する装置として、電
子制御式の燃料噴射装置(EFI)が用いられる場合に
は、内燃機関のシリンダに供給する混合気の空燃比を所
定の範囲に保つようにインジェクタ(電磁式燃料噴射
弁)から噴射させる燃料の量を決定する必要があるた
め、燃料噴射量を決定する際には、吸入行程においてシ
リンダ内に吸入される空気の量(吸入空気量)を推定す
る必要がある。
【0003】4サイクル内燃機関の吸入行程においてシ
リンダ内に吸入される空気量を推定する方法としては、
スピード・デンシティ方式が広く採用されている。スピ
ード・デンシティ方式では、吸気管内のスロットルバル
ブよりも下流側の圧力を吸気管内圧力(負圧)として検
出する吸気圧センサと、機関の回転速度を検出する速度
検出手段とを設けて、吸気圧センサにより検出された吸
気管内圧力と、別途検出された機関の回転速度と、機関
の体積効率とから吸入空気量を推定し、この吸入空気量
に基づいて、所定の空燃比を得るために必要な燃料噴射
量を演算している。機関が単気筒内燃機関や、各気筒毎
に吸気管が設けられている多気筒内燃機関であって、各
吸気管内の圧力が機関の行程変化の影響を受けて変動す
る場合には、上記吸入空気量を推定する際に用いる吸気
管内圧力として、該吸気管内圧力の極小値を用いてい
る。
【0004】なおEFIに用いられるインジェクタに与
えられる燃料の圧力は、レギュレータにより一定に保た
れているため、インジェクタからの燃料噴射量は、イン
ジェクタの弁を開く時間により決まる。したがって、E
FIではインジェクタの弁を開く時間(噴射時間)を変
えることにより燃料噴射量を調整するようにしている。
【0005】機関の吸気管内圧力(負圧)Pは、機関の
クランク角θに対して例えば図8(A)に示すような変
化を示す。同図に実線で示した曲線aは、機関のアイド
リング時における吸気管内圧力を示し、破線の曲線bは
機関の加速操作が行われた際の吸気管内圧力を示してい
る。これらの曲線から明らかなように、吸気管内圧力P
は、吸気行程が開始されるとクランク角の変化に伴って
低下していき、極小値を迎えた後上昇していく。また吸
気管内圧力はスロットルバルブの開度(スロットル開
度)の増大に伴って高くなっていくため、加速操作を行
うためにスロットルバルブを開くと、図8(A)に破線
で示したように、アイドリング時の値よりも高い値を示
す。
【0006】スピード・デンシティ方式のEFI式内燃
機関では、各吸気行程で燃料を噴射する際の基本噴射量
を与える基本噴射時間を、前回の燃焼サイクルにおける
吸気行程で検出された吸気管内圧力(吸気管内圧力に極
小値が現れる場合にはその極小値)と回転速度とに基づ
いて推定した吸入空気量と、各種の制御条件とに対して
演算している。
【0007】スロットル開度(スロットルバルブの開
度)がほぼ一定に保たれている場合や、スロットル開度
がゆっくりと変化させられる場合には、基本噴射時間を
演算するために用いた前回の吸入行程における吸入空気
量と今回の吸入行程における吸入空気量との間に大きな
差が生じないため、上記のようにして演算した基本噴射
時間をそのまま実際の噴射時間としても問題がない。
【0008】しかしながら、機関を加速する際に、スロ
ットル開度が急激に増加させられた場合には、基本噴射
時間を演算した際の吸気管内圧力と、実際に燃料を噴射
する際の吸気管内圧力との間に大きな差が生じるため、
上記のようにして演算された基本噴射時間をそのまま実
際の噴射時間とすると、燃料噴射量が不足して空燃比が
リーン側にずれる。
【0009】例えば、機関がアイドリング状態で回転し
ていて、図8(A)の曲線aのように吸気管内圧力が変
化している状態からスロットルバルブを急に開いたとす
ると、次の燃焼サイクルでは図8(A)の曲線bのよう
に吸気管内圧力が上昇する。このとき曲線aの極小値を
用いて演算した基本噴射時間を実噴射時間とすると、燃
料の量が大幅に不足することになり、空燃比がリーン側
にずれてしまう。機関の加速時に空燃比がリーン側にず
れると、排気ガスの成分が悪化したり、運転性能が低下
したりするので好ましくない。
【0010】また機関を減速する際に、スロットルバル
ブが急激に閉じられた場合には、上記とは逆に燃料の量
が過剰になって空燃比がリッチ側にずれる。機関の減速
時に空燃比がリッチ側にずれた場合も、排気ガスの成分
が悪化したり、運転性能が低下したりする。
【0011】上記の問題を解決するため、スピード・デ
ンシティ方式を採用した電子制御式燃料噴射制御装置に
おいては、スロットル開度の変化から機関の加速状態及
び減速状態を検出する手段を設けて、これらの状態が検
出されたときに、燃料の過不足が生じないように燃料噴
射時間を補正するようにしている。
【0012】しかしながら、このように、スロットル開
度の変化から機関の加速状態及び減速状態を検出するに
は、スロットル開度を検出するスロットルセンサを必要
とするため、コストが高くなるのを避けられなかった。
【0013】そこで、本出願人は先に、特願2001−
38072号において、スロットルポジションセンサを
用いずに、吸気管内の圧力の変化から機関の加速状態及
び(または)減速状態を検出する方法を提案した。
【0014】この既提案の方法では、内燃機関のクラン
ク軸の複数の回転角度位置を、サンプリング位置として
定めておいて、各サンプリング位置で機関の吸気管内圧
力をサンプリングし、サンプリングした吸気管内圧力を
記憶しておく。そして、各サンプリング位置で吸気管内
圧力をサンプリングする毎に新たにサンプリングした吸
気管内圧力を1燃焼サイクル前の同じサンプリング位置
でサンプリングした前回の吸気管内圧力と比較し、その
比較の結果から内燃機関が加速状態にあること及び(ま
たは)減速状態にあることを検出する。
【0015】即ち、新たにサンプリングした吸気管内圧
力と1燃焼サイクル前の同じサンプリング位置でサンプ
リングした前回の吸気管内圧力と比較した結果、新たに
サンプリングした吸気管内圧力が前回サンプリングした
吸気管内圧力よりも所定レベル以上高いときに内燃機関
が加速状態にあることを検出し、新たにサンプリングし
た吸気管内圧力が前回サンプリングした吸気管内圧力よ
りも所定レベル以上低いときに内燃機関が減速状態にあ
ることを検出する。
【0016】例えば図8において、クランク角位置θo
,θ1 ,θ2 ,…をそれぞれサンプリング位置として
定めておき、サンプリング位置θ1 で、新たにサンプリ
ングした吸気管内圧力P1 と前回同じサンプリング位置
でサンプリングした吸気管内圧力P1Bとの差ΔPが判定
値を超えているときに、機関が加速状態にあることを検
出する。
【0017】このように、内燃機関の複数のクランク角
位置を、サンプリング位置として定めておいて、各サン
プリング位置で吸気管内圧力をサンプリングする毎に新
たにサンプリングした吸気管内圧力を1燃焼サイクル前
の同じサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧
力と比較することにより、内燃機関が加速状態にあるこ
と及び(または)減速状態にあることを検出するように
すると、スロットルポジションセンサを用いることなく
機関の加速状態及び(または)減速状態を検出すること
ができる。そして、図8(B)に示すように、予め定め
られた同期噴射位置θi でインジェクタの駆動回路に噴
射指令Vj を与えて燃料の同期噴射(毎回決まった位置
で行う噴射)を行わせた後、上記の方法により加速状態
が検出されたときには、インジェクタの駆動回路に非同
期噴射指令Vj ´を与えることにより、燃料の非同期噴
射(吸気行程の燃料噴射が可能なタイミングにおいて燃
料が不足していることが検出されたときに行う噴射)を
行わせて、燃料の不足分を補うことができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記既提案の方法によ
れば、機関の加速状態を検出することはできるが、吸気
行程における極小値を推定することはできないため、吸
気行程で実際に必要とする燃料の噴射量を正確に求める
ことはできなかった。従って、同期噴射を行った後、例
えば、図8のサンプリング位置θ1 で機関が加速状態に
あることが検出されたとしても、実際に必要な非同期噴
射量を正確に求めることができないため、非同期噴射指
令Vj ´を発生させて非同期噴射を行わせてもなお燃料
噴射量が不足する状態が生じたり、非同期噴射を行わせ
ることにより燃料噴射量が過多になったりするおそれが
あった。
【0019】なお吸気行程において、吸気管内圧力の極
小値を実測してから吸気行程において真に必要な噴射量
の総量を求め、この必要な噴射量の総量から同期噴射時
の噴射量を差し引いた噴射量を非同期噴射量として、非
同期噴射を行わせることも考えられる。しかしながら、
このように吸気管内圧力が極小値を迎えてから非同期噴
射量を演算するようにした場合には、非同期噴射のタイ
ミングが遅れ過ぎることになるため、シリンダ内に吸入
されずに吸気管内に残留する燃料が多くなって、燃料の
不足分を補う効果を期待できないだけでなく、残留した
燃料が次の吸気行程でシリンダ内に吸入されるため、次
の吸気行程での混合気の空燃比が計算通りにならなくな
るという問題が生じる。
【0020】本発明の目的は、4サイクル内燃機関の吸
気行程において吸気管内圧力が極小値を迎える前に、該
吸気管内圧力の極小値を予測する内燃機関の吸気管内圧
力予測方法を提供することにある。
【0021】本発明の他の目的は、吸気管内圧力の極小
値の予測値を用いて吸気行程においてインジェクタから
吸気管内に噴射する燃料の量を補正することにより、機
関の加速時に燃料が不足するのを防ぐことができるよう
にした内燃機関の燃料噴射制御方法を提供することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、内燃機関の各
吸気行程において該内燃機関の吸気管内圧力に生じる極
小値を、該極小値が生じる前に予測する内燃機関の吸気
管内圧力予測方法に係わるものである。
【0023】本発明においては、内燃機関の吸気管内圧
力を検出する圧力センサを設けるとともに、相互間に微
小間隔を隔てた内燃機関の複数のクランク角位置を該内
燃機関の吸気管内圧力をサンプリングするサンプリング
位置として定める。また内燃機関の各吸気行程が開始さ
れる時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で吸気
管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進んだ少
なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程で吸気管
内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング位置とし
て定めておく。
【0024】そして、予測サンプリング位置でサンプリ
ングした吸気管内圧力Pn と該予測サンプリング位置の
直前のサンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧
力Pn-1 との差(吸気管内圧力の変化分)ΔPn と該予
測サンプリング位置に対して設定した係数kn との積k
n ×ΔPn を、予測サンプリング位置でサンプリングし
た吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を
各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値とする。
【0025】上記のようにして吸気管内圧力の極小値を
予測する場合、各予測サンプリング位置に対して設定す
る係数kn の理想値knoは、その予測サンプリング位置
でサンプリングされた吸気管内圧力Pn と実際の吸気管
内圧力の極小値PA との差Pn −PA と、その予測サン
プリング位置で求めた吸気管内圧力の変化分ΔPn との
比であり、下記の式により与えられる。
【0026】 kno=(Pn −PA )/ΔPn …(1) 係数kn を上記理想値knoに等しく設定することができ
れば、吸気管内圧力の実際の極小値とその予測値との誤
差は零になる。
【0027】しかしながら、実際には、常に係数kn を
理想値に等しくすることはできないため、実測データ
(実験データ)に基づいて、予測値と実際の吸気管内圧
力の極小値との誤差を最も小さくする値に上記係数kn
を設定する。
【0028】係数kn の最適値は、吸気管内圧力が極小
値に向けて低下していく過程での変化率と、予測サンプ
リング位置の位相とにより変化するが、スロットルバル
ブがある程度開かれていて、吸気管内圧力が高くなって
いる(負圧の絶対値が小さくなっている)状態では、吸
気管内圧力が極小値に向けて低下していく過程での変化
率が小さくなるため、係数kn の最適値は余り変らなく
なる。従って、吸気管内圧力がある程度高い場合(スロ
ットルバルブがある程度以上開かれている状態にあると
き)にのみ吸気管内圧力の極小値の予測を行うようにす
れば、係数knの値を一定としても、実用上問題がない
精度で吸気管内圧力の極小値を予測することができる。
【0029】吸気管内圧力がある程度高い場合にのみ吸
気管内圧力の極小値の予測を行うようにするには、例え
ば、機関のアイドリング時において検出された吸気管内
圧力の実際の極小値(アイドリング時に検出して記憶さ
せておく。)と各吸気行程で求められた予測値との差が
設定値ΔPc 以下のときに該予測値を無効とし、機関の
アイドリング時において検出された吸気管内圧力の実際
の極小値と各吸気行程で求められた予測値との差が設定
値ΔPc を超えているときにその予測値を有効とするよ
うにすればよい。
【0030】燃料噴射量の補正が必要になるのは、殆ど
の場合機関の加速時のみであるので、上記のように、ア
イドリング運転時に吸気行程において検出された吸気管
内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求められた予測値
との差が設定値ΔPc を超えているときにのみ吸気管内
圧力の予測値を有効とするようにしても特に支障を来さ
ない。
【0031】また各吸気行程において、上記係数kn の
理想値(Pn −PA )/ΔPn を演算して、各吸気行程
で演算された理想値に基づいて、次の吸気行程における
予測サンプリング位置での係数kn を決定するようにし
てもよい。
【0032】また係数kn の最適値は、予測すべき吸気
管内圧力の極小値の大きさと、予測を行うサンプリング
位置の位相とにより変るため、例えば、各予測サンプリ
ング位置の位相と、各予測サンプリング位置で検出され
る吸気管内圧力Pn と、係数kn との関係を与える係数
演算用マップを作成しておいて、このマップを用いて各
吸気行程で各予測サンプリング位置に対して設定する係
数kn を演算するようにしてもよい。
【0033】上記の方法によれば、各吸気行程の初期の
段階で、吸気管内圧力が極小値を迎える前に吸気管内圧
力の極小値を予測することができる。
【0034】吸気行程の初期の段階で、吸気管内圧力を
予測することができれば、その予測値と機関の回転速度
と体積効率とに基づいて推定した吸入空気量と空燃比の
目標値とから各吸気行程で必要とする燃料噴射量の総量
を演算することができる。従って、例えば、この噴射量
の総量と既に噴射させた同期噴射量との差に相当する燃
料を非同期噴射させるようにすれば、燃料の過不足を生
じさせることなく、燃料噴射量を機関の実際の運転状態
に適った量に補正して、空燃比を所定の範囲に保つこと
ができる。
【0035】スピード・デンシティ方式のEFIにおい
ては、内燃機関の吸気管内圧力の極小値と該機関の回転
速度と機関の体積効率とからシリンダ内への吸入空気量
を推定し、この吸入空気量と各種の制御条件とに対して
インジェクタから吸気管内に噴射すべき燃料の必要量に
相当する噴射時間を基本噴射時間として演算する。そし
て、各吸気行程が開始されるクランク角位置よりも進ん
だ位置に設定された同期噴射位置で、インジェクタ駆動
回路に基本噴射時間に相当する信号幅を有する噴射指令
信号を与えることによりインジェクタを駆動して同期噴
射を行わせ、該インジェクタから基本噴射時間の間燃料
を噴射させる。また同期噴射を行わせた後に燃料が不足
することが検出されたときには、その不足分を補うよう
に非同期噴射を行わせている。
【0036】本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を用
いると、上記のように同期噴射と非同期噴射とを行う燃
料噴射制御方法において、非同期噴射を行う際の噴射量
を、吸気管内圧力の極小値に基づいて決定することがで
きるため、燃料噴射量の制御を適確に行うことができ
る。
【0037】上記の燃料噴射制御方法に本発明を適用す
る場合には、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の
複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサ
ンプリングするサンプリング位置として定めておき、内
燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角位置よ
りも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小値を示
すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つのサンプ
リング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測
を行う予測サンプリング位置として定めておく。また予
測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力P
n と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置
でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1との差ΔPn と
該予測サンプリング位置に対して設定した係数kn との
積kn ×ΔPn を、予測サンプリング位置でサンプリン
グした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔP
n を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値とし
て求める。そして、この予測値を用いて推定した吸入空
気量と各種の制御条件とに対して各吸気行程で噴射する
必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射
時間として演算し、この総必要噴射時間と既に行われた
噴射の際の噴射時間の総計とから燃料が不足しているか
否かを検出して、燃料が不足していることが検出された
ときにその燃料の不足分を補うように非同期噴射を行わ
せる。
【0038】吸気管内圧力の極小値の予測値に基づいて
燃料噴射量の補正を適確に行うためには、各吸気行程で
吸気管内圧力の極小値の予測を複数回行って、予測値を
用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件と既に行わ
れた燃料噴射の噴射量とから燃料噴射量が不足している
ことが検出されたときに直ちに非同期噴射を行って不足
分を補うようにするのが好ましい。
【0039】この場合には、内燃機関の各吸気行程が開
始される時のクランク角位置よりも遅れ、各吸気行程で
吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは進ん
だ複数のサンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力
の極小値の予測を行う予測サンプリング位置として定め
ておく。
【0040】また各吸気行程の各予測サンプリング位置
でサンプリングした吸気管内圧力Pn と各予測サンプリ
ング位置の直前のサンプリング位置でサンプリングした
吸気管内圧力Pn-1 との差ΔPn と各予測サンプリング
位置に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を、
各予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧
力Pn から減じた値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程で
の吸気管内圧力の極小値の予測値として求める。
【0041】各吸気行程に設定された複数の予測サンプ
リング位置のうち、最初の予測サンプリング位置で求め
られた予測値はそのまま有効として、その予測値を用い
て推定した吸入空気量と制御条件とに対して各吸気行程
で噴射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を
総必要噴射時間として演算する。
【0042】また2番目以降の各予測サンプリング位置
で求められた予測値は、その絶対値が直前の予測サンプ
リング位置で求められた予測値の絶対値よりも小さいと
きにのみ有効とし、有効とした予測値を用いて推定した
吸入空気量と制御条件とに対して各吸気行程で噴射する
必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射
時間として演算する。
【0043】そして、各吸気行程で総必要噴射時間が演
算される毎に、演算された総必要噴射時間と既に行われ
た噴射の際の噴射時間の総計とから燃料が不足している
か否かを検出して、燃料が不足していることが検出され
たときにその燃料の不足分を補うように非同期噴射を行
わせる。
【0044】上記の説明では、燃料の噴射量を補正する
ために吸気管内圧力の極小値の予測値を用いるとした
が、吸気行程の初期に吸気管内圧力の極小値を予測でき
れば、その予測値から機関が加速状態にあるか否かを早
期に判定できるため、スロットル開度を検出することな
く加速状態を検出して点火時期の制御等を行うこともで
きる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の方法により予測した吸気
管内圧力の極小値は、内燃機関用の燃料噴射装置におい
て、インジェクタからの燃料の噴射量を決定するための
条件の一つとして用いたり、点火時期を制御する際に、
機関が加速状態にあるか否かを検出するために用いたり
することができるが、以下、インジェクタからの燃料の
噴射量を決定するために吸気管内圧力の予測値を用いる
場合を例にとって、本発明の一実施形態を説明する。
【0046】図1はEFIを備えた内燃機関1と、該内
燃機関を制御するシステムとの構成例を示した構成図で
ある。図示の内燃機関1は単気筒の4サイクル機関で、
シリンダ1aと、ピストン1bと、ピストン1bにコン
ロッドを介して連結されたクランク軸1cと、吸気ポー
ト1d及び排気ポート1eを有するシリンダヘッド1f
と、吸気ポート及び排気ポートをそれぞれ開閉する吸気
バルブ1g及び排気バルブ1hと、クランク軸1cによ
り駆動されるカム軸1iと、カム軸1iの回転に伴って
吸気バルブ1g及び排気バルブ1hを駆動するバルブ駆
動機構1jと、吸気ポート1dに接続された吸気管1k
とを備えており、吸気管1k内にはスロットルバルブ1
mが設けられている。
【0047】内燃機関1のシリンダヘッドには点火プラ
グ2が取り付けられ、この点火プラグ2は、点火コイル
IGの二次コイルに高圧コードを通して接続されてい
る。
【0048】また内燃機関の吸気管1kには、インジェ
クタ(電磁燃料噴射弁)3が取り付けられている。図示
のインジェクタ3は、燃料噴射口を先端に有し、燃料供
給口を後端部寄りに有するインジェクタボディと、該イ
ンジェクタボディ内で燃料噴射口を開く位置(開位置)
と閉じる位置(閉位置)との間を変位し得るように設け
られたバルブ部材と、該バルブ部材を常時閉位置側に付
勢する付勢手段と、バルブ部材を開位置側に駆動するソ
レノイドとを備えた周知のもので、ソレノイドに駆動電
流が与えられている間その燃料噴射口を開いて内燃機関
の吸気管内に燃料を噴射する。
【0049】4は機関に供給する燃料を蓄える燃料タン
ク、5は燃料タンク4内の燃料をインジェクタ3に供給
する電動燃料ポンプ、6はインジェクタ3の燃料供給口
につながる管路に接続された圧力調整器である。圧力調
整器6は、インジェクタ3に与えられる燃圧が設定値を
超えたときに燃料ポンプ5から供給される燃料の一部を
燃料タンク4に戻すことにより、燃圧をほぼ設定値に保
つように調整する。
【0050】このように、インジェクタ3に与えられる
燃圧はほぼ一定に保たれているため、インジェクタ3か
ら噴射する燃料の量(燃料噴射量)は、インジェクタ3
の噴射口が開いている時間により決まる。インジェクタ
3の噴射口が開いている時間は、インジェクタに駆動電
流を与える時間によりほぼ決まる。したがって、燃料噴
射量を制御する際には、各種の制御条件に応じて機関が
要求する燃料噴射量を演算するとともに、その噴射量を
得るために必要な噴射時間を求め、所定の噴射タイミン
グが検出されたときに演算された噴射時間の間インジェ
クタに駆動電流を与えて、燃料の噴射を行わせる。
【0051】7は機関のクランク軸1cにより駆動され
る磁石発電機で、図示の磁石発電機は、クランク軸1c
に取り付けられた磁石回転子7aと、機関のケース等に
固定された固定子7bとからなっている。図示の磁石回
転子7aは、クランク軸1cに取り付けられたカップ状
のフライホイール7cと、このフライホイールの内周に
取り付けられた複数の永久磁石7dとを備えた周知のフ
ライホイール磁石回転子からなっている。また固定子7
bは、多数の歯部が放射状に形成された多極星形鉄心
と、該鉄心の多数の歯部にそれぞれ巻回された多数の発
電コイルとからなっていて、固定子7bを構成する多極
星形鉄心の各歯部の先端の磁極部が磁石回転子7aの磁
極部に所定のギャップを介して対向させられている。
【0052】また8はインジェクタからの燃料噴射量と
機関の点火時期とを制御するECU、9は磁石発電機7
の固定子に設けられたバッテリ充電用発電コイルの出力
電圧Vbによりレギュレータ10を通して充電されるバ
ッテリで、バッテリ9の出力電圧は、電動燃料ポンプ5
の電源端子とECU(電子制御ユニット)8の電源端子
とに与えられている。ECU8内には、バッテリの電圧
をマイクロコンピュータを駆動するのに適した定電圧に
調整する電源回路が設けられていて、該電源回路からマ
イクロコンピュータの電源端子に電源電圧が印加されて
いる。
【0053】ECU8には、インジェクタ3から噴射さ
せる燃料の量を制御するための制御条件と、機関の点火
時期を制御するための制御条件とを検出する各種のセン
サの出力が入力されている。
【0054】図示の例では、スロットルバルブ1mより
も下流側で吸気管1k内の圧力を検出する圧力センサ1
2と、機関の吸気温度を検出する吸気温度センサ13
と、機関の冷却水の温度を検出する水温センサ14とが
設けられていて、これらのセンサの出力がECU8のA
/D入力ポートに入力されている。
【0055】また機関の回転情報(回転角度位置情報及
び回転速度情報)を得るため、パルサ15が設けられ、
このパルサ15の出力がECU8に入力されている。パ
ルサ15は、フライホイール7cの外周に形成された突
起または凹部からなるリラクタ7eのエッジを検出して
パルスを発生するもので、例えば、リラクタ7eに対向
する磁極部を先端に有する鉄心と、該鉄心に磁気結合さ
れた永久磁石と、該鉄心に巻回された信号コイルとによ
り構成されている。
【0056】パルサ15は、リラクタ7eの回転方向の
前端縁を検出したとき、及び該リラクタ7eの回転方向
の後端縁を検出したときにそれぞれ極性が異なる対のパ
ルスを発生する。これら対のパルスの内の一方が基準パ
ルスとして用いられ、該基準パルスにより機関のクラン
ク軸の基準回転角度位置(クランク角の計測を行う際の
基準となる位置)が検出される。
【0057】図示の例では、図5(C)に示すように、
パルサ15がリラクタ7eの前端縁を検出したとき及び
後端縁を検出したときにそれぞれ負極性のパルスVs1及
び正極性のパルスVs2を発生するように設けられてい
る。本実施形態では、これらのパルスの内、負極性パル
スVs1を基準パルスとして用い、正極性のパルスVs2を
機関の始動時及び低速度の点火時期を定めるために用い
ている。負極性パルスVs1は、機関の上死点位置(ピス
トンが上死点に達するときのクランク角位置)よりも一
定の角度進んだ位置で発生し、正極性パルスVs2は、負
極性パルスVs1の発生位置より遅れ、機関の上死点より
も僅かに進んだ位置で発生する。
【0058】ECU8は、基準パルスVs1が発生したこ
とを認識したときに、機関のクランク軸の回転角度位置
が基準回転角度位置に一致したことを検出する。図示の
内燃機関は4サイクル機関であるため、1燃焼サイクル
当たり基準パルスVs1が2回発生する。
【0059】また図示の例では、磁石発電機7の固定子
の鉄心の一つの歯部に巻回された発電コイルが回転角セ
ンサ16として用いられ、この回転角センサを構成する
発電コイルの出力電圧Vg (図5B参照)がECU8に
入力されている。
【0060】ECU8内には、インジェクタ駆動回路
と、点火コイルIGの一次電流を制御する一次電流制御
回路とが設けられていて、インジェクタ駆動回路の出力
端子及び一次電流制御回路の出力端子にそれぞれインジ
ェクタ3及び点火コイルIGの一次コイルが接続されて
いる。
【0061】ECU8は、マイクロコンピュータに所定
のプログラムを実行させることにより、回転速度演算手
段、吸入空気量推定手段、噴射量演算手段、噴射量補正
手段、噴射指令発生手段、点火時期演算手段、点火信号
発生手段等の各種の機能実現手段を実現する外、パルサ
15、回転角センサ16及び圧力センサ12とともに、
機関の吸気管内圧力の極小値を予測する吸気管内圧力極
小値予測手段を実現する。
【0062】図2は、図1に示したシステムのハードウ
ェアの構成と、ECU8内のマイクロコンピュータと該
マイクロコンピュータが実行するプログラムとにより構
成される機能実現手段の構成とをブロック図で示したも
のである。図2において、インジェクタ駆動回路801
及び一次電流制御回路802はECU8内にハードウェ
ア回路として設けられ、本発明に係わる吸気管内圧力予
測方法を実施する吸気管内圧力予測手段803、回転速
度演算手段804、吸入空気量推定手段805、基本噴
射時間演算手段806、補正噴射時間演算手段807、
噴射指令発生手段808、点火時期演算手段809、及
び点火信号発生手段810は、ECU8内のマイクロコ
ンピュータに所定のプログラムを実行させることにより
構成される。
【0063】以下、図2の各部の構成を説明する。
【0064】先ず本発明に係わる吸気管内圧力予測方法
を実施する吸気管内圧力予測手段803について説明す
る。
【0065】吸気管内圧力予測手段803は、図3に示
すように、吸気管内圧力サンプリング手段8Aと、記憶
手段8Bと、吸気管内圧力変化分(ΔPn )演算手段8
Cと、吸気管内圧力予測変化量演算手段8Dと、予測値
演算手段8Eとにより構成される。
【0066】吸気管内圧力サンプリング手段8Aは、回
転角センサ16が出力する回転角検出信号から検出され
る複数の回転角度位置をそれぞれサンプリング位置とし
て、各サンプリング位置で圧力センサが検出している吸
気管内圧力Pをサンプリングする。
【0067】前述のように、図1に示した回転角センサ
16は、磁石発電機7内に設けられた一つの発電コイル
からなっていて、図5(B)に示すように、クランク角
θに対してほぼ正弦波状のクランク角検出信号Vgを出
力する。図示の例では、クランク角検出信号Vgがクラ
ンク軸の1回転当たり6サイクル発生する。このような
正弦波状のクランク角検出信号Vgを用いる場合には、
その波形の零クロス点やピーク点を検出することによ
り、多数のクランク角位置の情報を得ることができる。
【0068】本実施形態では、クランク角検出信号Vg
が負の半サイクルから正の半サイクルに立ち上がる際に
生じる零クロス点(立ち上がり側の零クロス点)をサン
プリング位置として用いるものとし、1燃焼サイクルの
間(クランク軸が2回転する間)にクランク角検出信号
Vgに現れる12個の零クロス点にそれぞれ対応する1
2個のクランク角位置をそれぞれ吸気管内圧力のサンプ
リング位置としている。
【0069】記憶手段8Bは、パルサ15が発生する基
準パルスVs1(図5C参照)により検出される基準回転
角度位置を基準にしてサンプリング位置を特定して、各
サンプリング位置でサンプリングされた吸気管内圧力と
そのサンプリング位置とをRAMに記憶する。図5に示
した例では、別途設けられた行程判別手段により判別さ
れた吸気行程が開始される際の上死点位置よりも一定角
度進んだクランク角位置でパルサ15が基準パルスVs1
を発生した直後に現れる回転角検出信号Vgの零クロス
点(サンプリング位置)に0の番号を付し、以下順次現
れる零クロス点に1,2,…,11の番号を付して、1
燃焼サイクルの間に現れる各サンプリング位置を特定し
ている。そして、1燃焼サイクルの区間に順次現れる1
2個のサンプリング位置0,1,2,…,11でそれぞ
れ吸気管内圧力Pをサンプリングし、サンプリングした
吸気管内圧力をサンプリング位置を示す番号とともにR
AMに記憶する。
【0070】なお上記行程判別手段は、1燃焼サイクル
当り1回転するカム軸の回転角度位置が所定の位置(例
えば吸気行程が開始される際の上死点位置)に一致した
ときに信号を発生するカム軸センサの出力から行程を判
別したり、行程の変化に伴う吸気管内圧力の変化から行
程を判別したりするように構成することができる。
【0071】図5(A)において、実線で示した曲線a
は、機関のアイドリング時の吸気管内圧力の変化を示
し、右端に破線で示した曲線bは、機関の加速時の吸気
管内圧力の変化を示している。即ち、機関がアイドリン
グ運転されている状態で、図示のクランク角位置θa で
機関を加速にするためにスロットルバルブを開いたとす
ると、吸気管内圧力が図示の曲線bのように変化する。
本発明に係わる吸気管内圧力予測方法を説明するため
に、図5(A)の加速操作が行われたクランク角位置θ
a 以降の吸気管内圧力の変化を、図6に拡大して示し
た。
【0072】本発明においては、吸気行程において吸気
管内圧力が極小値に達する前に該吸気管内圧力の極小値
を予測するため、内燃機関の各吸気行程が開始される時
のクランク角位置(上死点位置)よりも遅れ、各吸気行
程で吸気管内圧力が極小値を示すクランク角位置よりは
進んだ少なくとも一つのサンプリング位置を各吸気行程
で吸気管内圧力の極小値の予測を行う予測サンプリング
位置として定めておく。本実施形態では、図6に示した
ように、1番目のサンプリング位置と2番目のサンプリ
ング位置とをそれぞれ第1の予測サンプリング位置θs1
及び第2の予測サンプリング位置θs2としている。
【0073】吸気管内圧力変化分演算手段8Cは、各予
測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力P
n と該予測サンプリング位置の直前のサンプリング位置
でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1 との差を吸気管
内圧力変化分ΔPn として演算する。
【0074】図示の例では、第1の予測サンプリング位
置θs1で、0番目のサンプリング位置でサンプリングし
た吸気管内圧力P0 から、第1の予測サンプリング位置
θs1でサンプリングした吸気管内圧力P1 を差し引いて
吸気管内圧力変化分ΔP1 を演算する。また第2の予測
サンプリング位置θs2では、1番目のサンプリング位置
でサンプリングした吸気管内圧力P1 から、第2の予測
サンプリング位置θs2でサンプリングした吸気管内圧力
P2 を差し引いて吸気管内圧力変化分ΔP2 を演算す
る。
【0075】また本発明においては、各予測サンプリン
グ位置に対して、係数kn (n=0,1,2,…)を設
定する。図示の例では、予測サンプリング位置θs1及び
θs2に対してそれぞれ係数k1 及びk2 が設定されてい
る。
【0076】吸気管内圧力予測変化量演算手段8Dは、
吸気管内圧力変化分ΔP2 と、該予測サンプリング位置
に対して設定した係数kn との積kn ×ΔPn を吸気管
内圧力予測変化量として演算する。図示の例では、予測
サンプリング位置θs1で、吸気管内圧力変化分ΔP1 に
係数k1 を乗じて吸気管内圧力予測変化量k1 ×ΔP1
を演算する。また予測サンプリング位置θs2では、吸気
管内圧力変化分ΔP2に係数k2 を乗じて吸気管内圧力
予測変化量k1 ×ΔP1 を演算する。
【0077】予測値演算手段8Eは、予測サンプリング
位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から吸気管内
圧力予測変化量kn ×ΔPn を減じた値Pn −kn ×Δ
Pnを各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の予測値PA
nとして演算する。図示の例では、予測サンプリング位
置θs1で、吸気管内圧力P1 から吸気管内圧力予測変化
量k1 ×ΔP1 を減じて吸気管内圧力の極小値の予測値
PA1=P1 −k1 ×ΔP1 を演算し、予測サンプリング
位置θs2で、吸気管内圧力P2 から吸気管内圧力予測変
化量k2 ×ΔP2 を減じて吸気管内圧力の極小値の予測
値PA2=P2 −k2 ×ΔP2 を演算する。
【0078】前述のように、上記係数kn は、実測値
(実験結果)に基づいて理想値kno=(Pn −PA )/
ΔPn との差ができるだけ小さくなるように決める。こ
こでPA は、吸気管内圧力の実際の極小値である。例え
ば、係数k1 は、その理想値k1o=(P1 −PA )/Δ
P1 との差ができるだけ小さくなるように決める。また
係数k2 はその理想値k2o=(P2 −PA )/ΔP2 と
の差ができるだけ小さくなるように決める。
【0079】吸気管内圧力予測手段803を実現するた
めにサンプリング位置が検出される毎にECU内のマイ
クロコンピュータに実行させる割込みルーチンのアルゴ
リズムを示すフローチャートの一例を図4に示した。こ
のアルゴリズムに従う場合には、各サンプリング位置が
検出されたときに、先ずステップ1において吸気管内圧
力を読込み、次いでステップ2においてnが1または2
であるか否か(今回のサンプリング位置が予測サンプリ
ング位置であるか否か)を判定する。その結果、n=1
またはn=2であると判定された場合(今回のサンプリ
ング位置が予測サンプリング位置θs1またはθs2である
と判定された場合)には、ステップ3に進んでPn-1 −
Pn を演算し、その演算結果を吸気管内圧力変化分ΔP
n として記憶させる。次いでステップ4においてΔPn
と係数kn との積(吸気管内圧力予測変化量)kn ×Δ
Pn を演算するとともに、読込んだ吸気管内圧力Pn か
らこの予測変化量を減じることにより吸気管内圧力の極
小値の予測値PAn=Pn −kn ×ΔPn を演算する。次
いでステップ5で、予測値PAnが前の予測サンプリング
位置で既に求められている吸気管内圧力の極小値の予測
値PArよりも大きいか否かを判定し、PAr<PAn<0で
あるときには、ステップ6に進んで、今回の予測サンプ
リング位置で求められた予測値PAnを今回の吸気行程で
現れる吸気管内圧力の極小値の予測値PArとして、メイ
ンルーチンに復帰する。ステップ5でPAn≦PArである
と判定されたときには、何もしないでメインルーチンに
復帰する。またステップ2においてn=1またはn=2
でないと判定されたとき(今回のサンプリング位置が予
測サンプリング位置でないと判定されたとき)には、ス
テップ7に進んで吸気管内圧力の極小値の予測値PArを
零とした後、メインルーチンに戻る。
【0080】上記のように、各吸気行程の初期に複数の
予測サンプリング位置θs1,θs2を設定する場合には、
最初の予測サンプリング位置θs1で求められた予測値は
そのまま有効とし、2番目以降の各予測サンプリング位
置(図示の例ではθs2)で求められた予測値は、その絶
対値が直前の予測サンプリング位置(図示の例ではθs
1)で求められた予測値の絶対値よりも小さいときにの
み有効とする。
【0081】本実施形態では、図4の割込みルーチンの
ステップ1により、図3の記憶手段8Bが実現され、ス
テップ3により吸気管内圧力変化分演算手段8Cが実現
される。またステップ4ないし6により図3の吸気管内
圧力予測変化量演算手段8Dと予測値演算手段8Eとが
実現される。
【0082】次に、図1及び図2に示した制御システム
において、ECU8により実現される機能実現手段のう
ち、吸気管内圧力予測手段以外の機能実現手段を説明す
る。図2に示した回転速度演算手段804は、各瞬時に
おける内燃機関の回転速度を検出するために設けられた
もので、この回転速度演算手段は、例えばECUが実行
するプログラムのメインルーチンにおいて、パルサ15
が出力するパルスの発生間隔から機関の回転速度を演算
する。
【0083】吸入空気量推定手段805は、シリンダ内
に吸入される空気量(吸入空気量)を推定するために設
けられたもので、例えば、各同期噴射位置が検出される
毎に実行される割込みルーチンにおいて、前回の吸気行
程で圧力センサ12が検出した吸気管内圧力の極小値
と、内燃機関の体積効率とから機関のシリンダ内に吸入
される空気量を推定する。
【0084】基本噴射時間演算手段806は、吸入空気
量推定手段805により推定された吸入空気量、吸気温
度センサ13により検出された吸気温度、水温センサ1
4により検出された機関の冷却水温度、回転速度演算手
段804により演算された機関の回転速度等の制御条件
に対して、同期噴射を行う際の燃料噴射時間を基本噴射
時間To として演算する。基本噴射時間を演算する際に
は、図示の条件の他、大気圧等の更に他の条件を制御条
件とすることもある。
【0085】補正噴射時間演算手段807は、予測サン
プリング位置で吸気管内圧力の極小値の有効な予測値が
演算される毎に実行される割込みルーチンにより実現さ
れる手段で、演算された予測値とその時の機関の回転速
度と機関の体積効率とから吸入空気量を推定し、この吸
入空気量と、吸気温度、冷却水温等の各種の制御条件と
から、今回の吸気行程で所定の空燃比を得るために必要
な総噴射量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として
演算する。そして、この総必要噴射時間から既に行われ
た噴射における噴射時間の総計を差し引くことにより、
燃料の不足分を補うために必要な噴射時間を補正噴射時
間として演算する。
【0086】噴射指令発生手段808は、同期噴射位置
でパルサ15が基準パルスVs1を発生したときに実行さ
れる割込みルーチンで、基本噴射時間演算手段806に
より演算された基本噴射時間To に相当する信号幅の噴
射指令信号をインジェクタ駆動回路801に与える。
【0087】インジェクタ駆動回路801は、噴射指令
信号が与えられている間インジェクタ3に駆動電流を与
えて、該インジェクタから燃料を噴射させる。
【0088】噴射指令発生手段808はまた、補正噴射
時間演算手段807が予測サンプリング位置で補正噴射
時間を演算したときに、直ちにその補正噴射時間に相当
する信号幅を有する噴射指令信号をインジェクタ駆動回
路801に与える。このときインジェクタ駆動回路80
1は噴射指令信号が与えられている間インジェクタに駆
動電流を流して、非同期噴射を行わせる。
【0089】上記のようにして同期噴射及び非同期噴射
を行わせた例を図7に示した。図7に示した例では、前
回の吸気行程で実際に検出された吸気管内圧力の極小値
と、機関の回転速度と機関の体積効率とから、所定の空
燃比の混合気を得るために必要な燃料噴射量に相当する
噴射時間を基本噴射時間To として演算し、同期噴射位
置(パルサが基準パルスVs1を発生する位置)θi が検
出されたときに基本噴射時間To の間同期噴射を行わせ
ている。その後、予測サンプリング位置θs1で吸気管内
圧力の極小値の予測値PA1が求められたときに、この予
測値と機関の回転速度と機関の体積効率とから吸入空気
量を推定して、推定した吸入空気量と各種の制御条件と
に対して吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量に相
当する噴射時間を総必要噴射時間T1 として演算し、こ
の総必要噴射時間T1 から既に行った同期噴射の際の基
本噴射時間To を差し引いた噴射時間T1 ´(=T1 −
To )を補正噴射時間として、この補正噴射時間T1 ´
の間非同期噴射を行わせている。
【0090】次いで、予測サンプリング位置θs2で吸気
管内圧力の極小値の予測値PA2が求められたときに、こ
の予測値と機関の回転速度と機関の体積効率とから吸入
空気量を推定して、推定した吸入空気量と各種の制御条
件とに対して吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量
に相当する噴射時間を総必要噴射時間T2 として演算
し、この総必要噴射時間T2 から既に行った噴射の際の
噴射時間の総計To +T1 ´を差し引くことにより求め
た補正噴射時間T2 ´の間非同期噴射を行わせている。
【0091】上記の例では、各吸気行程に2つの予測サ
ンプリング位置θs1及びθs2を設定しているが、予測サ
ンプリング位置を一つだけ設定するようにしてもよい。
予測サンプリング位置を一つだけ設定する場合、予測値
を正確に求めるためには、該予測サンプリング位置を、
上記の例のθs2の位置のように、非同期噴射が可能な範
囲で吸気管内圧力が極小値を示す位置に近い位置に設定
するのが好ましい。
【0092】インジェクタが吸気バルブから離れている
内燃機関においては、インジェクタから噴射された燃料
がシリンダ内に到達するまでに時間がかかるため、非同
期噴射は早めに行うのが望ましい。そのためには、上記
の例のように、予測サンプリング位置を2つ設定して、
先の予測サンプリング位置でより多くの補正噴射量を非
同期噴射させるようにするのが好ましい。
【0093】上記の例のように、噴射量の補正のための
非同期噴射を2回に分けて行うと、2回目の非同期噴射
では、噴射時間が短くなる。非同期噴射の噴射時間が短
くなると、誤差が大きくなるため、噴射量の補正を正確
に行うためには、非同期噴射を2回に分けて行うより
は、1回の非同期噴射でまとめて補正噴射量の噴射を行
わせるようにするのが好ましい。
【0094】特にインジェクタと吸気バルブとの間の距
離が短く、インジェクタから噴射した燃料がすぐにシリ
ンダ内に吸入される機関の場合には、吸気管内圧力が極
小値を示す位置にできるだけ近い位置で非同期噴射を1
回だけ行わせて、必要な補正噴射量の燃料をまとめて非
同期噴射させるようにするのが好ましい。
【0095】図2に示した更に他の機能実現手段を説明
すると、点火時期演算手段809は、回転速度演算手段
804により演算された回転速度に対して内燃機関の点
火時期を演算する。
【0096】点火信号発生手段810は、例えばパルサ
15が基準パルスVs1を発生した時に点火時期演算手段
により演算された点火時期の検出を開始して、演算され
た機関の点火時期が検出された時に一次電流制御回路8
02に点火信号を与える。
【0097】一次電流制御回路802は、点火信号が与
えられた時に点火コイルIGの一次電流に急激な変化を
生じさせて、該点火コイルの二次コイルに点火用の高電
圧を誘起させる。この点火用高電圧は点火プラグ2に印
加されるため、点火プラグ2で火花放電が生じて機関が
点火される。
【0098】上記の例では、サンプリング位置を検出す
る回転角センサとして機関のクランク軸により駆動され
る磁石発電機内の発電コイルを用いたが、回転角センサ
としては、内燃機関のクランク軸が所定角度回転する毎
にパルス信号を発生する信号発生装置を用いることもで
きる。この場合、吸気管内圧力サンプリング手段8A
は、信号発生装置が発生するパルス信号の立上りに相応
するクランク軸の回転角度位置及び該パルス信号の立下
がりに相応するクランク軸の回転角度位置の少なくとも
一方をサンプリング位置とするように構成する。
【0099】機関の所定の角度毎にパルスを発生する信
号発生装置としては、例えば、機関始動用電動機により
駆動されるピニオンギアを噛み合わせるために、フライ
ホイールの外周に取り付けられたリングギアの歯を検出
してパルス信号を発生するようにしたもの(ギアセン
サ)を用いることができる。また回転する部材の回転角
度位置を検出するために一般に用いられているロータリ
エンコーダを上記回転角センサとして用いることができ
る。
【0100】回転角センサとしてエンコーダを用いる場
合、該エンコーダから回転角検出パルスと基準パルスの
双方を発生させるようにすることができる。エンコーダ
から回転角検出パルスと基準パルスの双方を発生させる
場合には、例えば、内燃機関が微小角度回転する毎にエ
ンコーダから発生させる一連のパルスの発生間隔を一部
で不等間隔として、等角度間隔で発生するパルスをEC
Uに回転角検出パルスとして認識させ、不等間隔で発生
したパルスを基準パルスとして認識させるようにすれば
よい。
【0101】また内燃機関が微小角度回転する毎にエン
コーダから発生させる一連のパルスのパルス幅を他のパ
ルスと異なるようにしておいて、パルス幅が等しい一連
のパルスを回転角検出パルスとして認識させ、パルス幅
が他のパルスと異なるパルスを基準パルスとして認識さ
せるようにしてもよい。
【0102】更に、上記のようにクランク軸に取り付け
た発電機やエンコーダの出力からサンプリング位置を検
出する代りに、カム軸に取り付けた信号発生器の出力か
らサンプリング位置を検出するようにすることもでき
る。
【0103】上記の例では、吸気管内圧力のサンプリン
グ間隔を等間隔としているが、吸気管内圧力のサンプリ
ング間隔は不等間隔であってもよい。
【0104】上記の説明では、単気筒内燃機関を例にと
ったが、各気筒毎に吸気管が設けられている多気筒内燃
機関においても、同様に、本発明の方法により吸気管内
圧力の極小値を予測することができる。
【0105】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、吸気管
内圧力が極小値を示す前に、その極小値を予測すること
ができる利点がある。
【0106】また本発明の燃料噴射制御方法によれば、
各吸気行程において求めた吸気管内圧力の極小値の予測
値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条件とから
各吸気行程で必要とする噴射量の総量に相当する噴射時
間を総必要噴射時間として求めて、この総必要噴射時間
と既に行われた噴射の際の噴射時間とから非同期噴射を
行わせる際の噴射量を求めるようにしたので、各吸気行
程において燃料の過不足を生じさせることなく、燃料噴
射量を機関の実際の運転状態に適った量に補正して、空
燃比を所定の範囲に保つことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ECUを用いて内燃機関を制御する制御システ
ムの一例を示した構成図である。
【図2】図1の制御システムに設けられる機能実現手段
の一例を示したブロック図である。
【図3】本発明に係わる吸気管内圧力予測手段の構成例
を示したブロック図である。
【図4】本発明に係わる吸気管内圧力予測手段を実現す
るためにECUのマイクロコンピュータに実行させる割
込みルーチンのアルゴリズムの一例を示したフローチャ
ートである。
【図5】本発明を適用する内燃機関の吸気管内圧力の変
化と、本発明で用いる回転角検出信号とパルサが発生す
るパルサ信号とを示した波形図である。
【図6】本発明に係わる予測方法を説明するための説明
図である。
【図7】本発明に係わる燃料噴射制御方法により行う同
期噴射と非同期噴射とを説明するための説明図である。
【図8】既提案の加減速検出方法を説明するための説明
図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、1k…吸気管、2…点火プラグ、3…イ
ンジェクタ、7…磁石発電機、8…ECU,12…圧力
センサ、13…吸気温度センサ、14…水温センサ、1
6…回転角センサ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の各吸気行程において該内燃機
    関の吸気管内圧力に生じる極小値を、該極小値が生じる
    前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法であっ
    て、 前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設
    けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関
    の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力を
    サンプリングするサンプリング位置として定めておき、 前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角
    位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小
    値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つの
    サンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値
    の予測を行う予測サンプリング位置として定め、 前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内
    圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリン
    グ位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1との差Δ
    Pn と前記予測サンプリング位置に対して設定した係数
    kn との積kn×ΔPn を前記予測サンプリング位置で
    サンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −
    kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の
    予測値とすることを特徴とする内燃機関の吸気管内圧力
    予測方法。
  2. 【請求項2】 内燃機関の各吸気行程において該内燃機
    関の吸気管内圧力に生じる極小値を、該極小値が生じる
    前に予測する内燃機関の吸気管内圧力予測方法であっ
    て、 前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設
    けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関
    の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力を
    サンプリングするサンプリング位置として定めておき、 前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角
    位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小
    値を示すクランク角位置よりは進んだ複数のサンプリン
    グ位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行
    う予測サンプリング位置として定めておき、 各吸気行程の各予測サンプリング位置でサンプリングし
    た吸気管内圧力Pn と各予測サンプリング位置の直前の
    サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-
    1 との差ΔPn と各予測サンプリング位置に対して設定
    した係数kn との積kn ×ΔPn を、各予測サンプリン
    グ位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた
    値Pn −kn ×ΔPn を各予測サンプリング位置で求め
    た吸気管内圧力の予測値とし、 前記複数の予測サンプリング位置のうち、2番目以降の
    各予測サンプリング位置で求められた予測値は、その絶
    対値が直前の予測サンプリング位置で求められた予測値
    の絶対値よりも小さいときにのみ有効とすることを特徴
    とする内燃機関の吸気管内圧力予測方法。
  3. 【請求項3】 前記内燃機関のアイドリング時において
    検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で
    求められた予測値との差が設定値ΔPc 以下のときに該
    予測値を無効とし、機関のアイドリング時において検出
    された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求め
    られた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときに
    その予測値を有効とする請求項1または2に記載の内燃
    機関の吸気管内圧力予測方法。
  4. 【請求項4】 各吸気行程で各予測サンプリング位置に
    対して設定する係数kn は、各予測サンプリング位置の
    位相と、各予測サンプリング位置で検出された吸気管内
    圧力と、前記係数kn との関係を与える係数演算用マッ
    プを用いて演算することを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか一つに記載の内燃機関の吸気管内圧力予測方
    法。
  5. 【請求項5】 内燃機関の吸気管内圧力の極小値と該機
    関の回転速度とから推定した吸入空気量と各種の制御条
    件とに対してインジェクタから吸気管内に噴射すべき燃
    料の必要量に相当する噴射時間を基本噴射時間として演
    算し、各吸気行程が開始されるクランク角位置よりも進
    んだ位置に設定された同期噴射位置で前記インジェクタ
    を駆動することにより該インジェクタから前記基本噴射
    時間の間燃料を噴射させる同期噴射を行わせ、前記同期
    噴射を行わせた後に燃料が不足することが検出されたと
    きにその不足分を補うように非同期噴射を行わせる内燃
    機関の燃料噴射制御方法であって、 相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関の複数のクラン
    ク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力をサンプリングす
    るサンプリング位置として定めておき、 前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角
    位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小
    値を示すクランク角位置よりは進んだ少なくとも一つの
    サンプリング位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値
    の予測を行う予測サンプリング位置として定めておき、 前記予測サンプリング位置でサンプリングした吸気管内
    圧力Pn と該予測サンプリング位置の直前のサンプリン
    グ位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-1との差Δ
    Pn と該予測サンプリング位置に対して設定した係数k
    n との積kn ×ΔPn を、前記予測サンプリング位置で
    サンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた値Pn −
    kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の極小値の
    予測値として求め、 前記予測値を用いて推定した吸入空気量と前記制御条件
    とに対して各吸気行程で噴射する必要がある燃料の総量
    に相当する噴射時間を総必要噴射時間として演算し、 前記総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射時間
    とから燃料が不足しているか否かを検出して、燃料が不
    足していることが検出されたときにその燃料の不足分を
    補うように前記非同期噴射を行わせること、 を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  6. 【請求項6】 内燃機関の各吸気行程でインジェクタか
    ら吸気管内に噴射する必要がある燃料の量に相当する基
    本噴射時間を、前回の吸気行程で検出された吸気管内圧
    力の極小値を用いて推定した吸入空気量と各種の制御条
    件とに対して演算し、各吸気行程が開始されるクランク
    角位置よりも進んだ位置に設定された同期噴射位置で前
    記インジェクタを駆動することにより該インジェクタか
    ら前記基本噴射時間の間燃料を噴射させる同期噴射を行
    わせ、前記同期噴射を行わせた後に燃料が不足すること
    が検出されたときにその不足分を補うように非同期噴射
    を行わせる内燃機関の燃料噴射制御方法であって、 前記内燃機関の吸気管内圧力を検出する圧力センサを設
    けるとともに、相互間に微小間隔を隔てた前記内燃機関
    の複数のクランク角位置を該内燃機関の吸気管内圧力を
    サンプリングするサンプリング位置として定めておき、 前記内燃機関の各吸気行程が開始される時のクランク角
    位置よりも遅れ、各吸気行程で前記吸気管内圧力が極小
    値を示すクランク角位置よりは進んだ複数のサンプリン
    グ位置を各吸気行程で吸気管内圧力の極小値の予測を行
    う予測サンプリング位置として定めておき、 各吸気行程の各予測サンプリング位置でサンプリングし
    た吸気管内圧力Pn と各予測サンプリング位置の直前の
    サンプリング位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn-
    1 との差ΔPn と各予測サンプリング位置に対して設定
    した係数kn との積kn ×ΔPn を、各予測サンプリン
    グ位置でサンプリングした吸気管内圧力Pn から減じた
    値Pn −kn ×ΔPn を各吸気行程での吸気管内圧力の
    極小値の予測値として求め、 各吸気行程に設定された前記複数の予測サンプリング位
    置のうち、最初の予測サンプリング位置で求められた予
    測値はそのまま有効として、その予測値を用いて推定し
    た吸入空気量と前記制御条件とに対して各吸気行程で噴
    射する必要がある燃料の総量に相当する噴射時間を総必
    要噴射時間として演算し、 2番目以降の各予測サンプリング位置で求められた予測
    値は、その絶対値が直前の予測サンプリング位置で求め
    られた予測値の絶対値よりも小さいときにのみ有効とし
    て、有効とした予測値を用いて推定した吸入空気量と前
    記制御条件とに対して各吸気行程で噴射する必要がある
    燃料の総量に相当する噴射時間を総必要噴射時間として
    演算し、 各吸気行程で前記総必要噴射時間が演算される毎に、演
    算された総必要噴射時間と既に行われた噴射の際の噴射
    時間の総計とから燃料が不足しているか否かを検出し
    て、燃料が不足していることが検出されたときにその燃
    料の不足分を補うように前記非同期噴射を行わせるこ
    と、 を特徴とする内燃機関の燃料噴射制御方法。
  7. 【請求項7】 前記内燃機関のアイドリング時において
    検出された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で
    求められた予測値との差が設定値ΔPc 以下のときに該
    予測値を無効とし、機関のアイドリング時において検出
    された吸気管内圧力の実際の極小値と各吸気行程で求め
    られた予測値との差が設定値ΔPc を超えているときに
    その予測値を有効とする請求項5または6に記載の内燃
    機関の燃料噴射制御方法。
  8. 【請求項8】 各吸気行程で各予測サンプリング位置に
    対して設定する係数kn は、各予測サンプリング位置の
    位相と、各予測サンプリング位置で検出された吸気管内
    圧力と、前記係数kn との関係を与える係数演算用マッ
    プを用いて演算することを特徴とする請求項5ないし7
    のいずれか一つに記載の内燃機関の燃料噴射制御方法。
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WO2022014388A1 (ja) * 2020-07-16 2022-01-20 いすゞ自動車株式会社 内燃機関の制御装置

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