JP2000273741A - 深色性に優れる繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents
深色性に優れる繊維構造物およびその製造方法Info
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Abstract
擦堅牢度が改善された繊維構造物およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】鞘糸の断面形状が異形状および/または鞘
糸の繊維表面が粗面化された芯鞘状構造の複合糸からな
る繊維構造物であって、該繊維表面がフッ素系化合物お
よびシリコーン系化合物を主体とする重合体皮膜を有す
ることを特徴とする繊維構造物。
Description
維構造物およびその製造方法に関するものである。
れた物理的特性および化学的特性を有しているため一般
衣料素材として広く使用されている。しかし、ウール、
絹などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成
繊維に比べ鮮明性、濃色の深み、発色性が劣るという欠
点が有り、改善が望まれている。このため、従来から繊
維表面をウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹
脂などの低屈折率樹脂で被覆する方法が一般的に知られ
ている。例えば特開昭56−73175号公報には濃色
に着色された繊維表面をウレタン系樹脂で被覆する方法
が提案されている。また、特開平1−118684号公
報にはポリウレタンエマルションと重合させた屈折率
1.5以下の特定の水性樹脂組成物からなる濃色化剤
と、メチロール基あるいはエポキシ基を有する水溶性熱
硬化性樹脂を必須成分として含有する処理浴で処理し、
繊維表面に皮膜を形成させる方法が提案されている。し
かしながら、上記のようなウレタン系樹脂で繊維表面を
被覆する方法は、深色性は向上するものの染料の泣き出
しによる堅牢度の低下は避けられない問題があった。ま
た、特開平4−214482号公報には染色されたポリ
エステル繊維布帛をポリエポキシド化合物で処理し、次
いでアミノ基を有するシリカ微粒子およびアミノ変性シ
リコンで処理する方法が提案されているが、シリカ微粒
子を繊維表面に付与することにより、摩擦によって白化
し易いという問題があった。また、発色性を向上させる
他の方法として、単繊維表面を、例えばアルカリ減量あ
るいはプラズマエッチングなどの処理により粗面化し、
微細な凹凸を繊維表面に形成する方法が知られている
が、軽く擦る程度の摩擦により単繊維表面の粗面構造が
破壊され、てかりを生じたり、深色性が低下し易いとい
う問題があった。
のような従来技術の問題点を解消し、耐久性のある優れ
た深色特性を有し、しかも摩擦堅牢度が改善された繊維
構造物およびその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため以下の構成を有する。
/または鞘糸の繊維表面が粗面化された芯鞘状構造の複
合糸からなる繊維構造物であって、該繊維表面がフッ素
系化合物およびシリコーン系化合物を主体とする重合体
皮膜を有する繊維構造物である。
下の構成を有する。
/または鞘糸の繊維表面が粗面化された芯鞘状構造の複
合糸からなる繊維構造物に、フッ素系化合物およびシリ
コーン系化合物を主体とする混合物を付与した後、加熱
処理する繊維構造物の製造方法である。
糸の断面形状が異形状および/または鞘糸の繊維表面が
粗面化された芯鞘状構造の複合糸からなるものである。
芯鞘状構造の複合糸は、芯糸と鞘糸が、異なる収縮率と
糸長差を有しており、鞘糸が主として複合糸の外側に位
置し、芯糸よりもその長さが長く、長い分だけ複合糸の
外側に膨れ出て膨らみ部が形成される。芯糸と鞘糸の糸
長差は、例えば仮撚加工や空気交絡加工に供するに際
し、芯糸と鞘糸との供給速度を異ならせて得ることがで
きる。また、低伸度の芯糸と高伸度の鞘糸、例えば部分
配向糸(POY)を引き揃えて仮撚領域に供給すること
によっても得ることができる。このような糸加工による
糸長差に加え、芯糸と鞘糸の収縮率が異なる場合、染色
仕上の後工程で加熱処理することによって収縮差が顕在
化し、最終的な糸長差が調節される。また、製糸段階に
おいて、芯糸となる高収縮糸と鞘糸となる低収縮糸を同
一口金から紡糸して得た複合糸の場合には、染色仕上加
工での加熱処理による収縮差が糸長差となる。
その鞘糸の断面形状が異形状および/または鞘糸の繊維
表面が粗面化されているものである。鞘糸の断面形状と
しては、3角断面や8角断面などの多葉状であることが
好ましい。また、鞘糸の繊維表面は、粗面化されていて
もよく、その場合は繊維表面の粗面化の程度は、光の波
長オーダーの微細な凹凸であることが発色性を向上させ
る観点から好ましい。粗面化する方法としては、例え
ば、平均粒径100ミクロン以下のシリカゾルなどの無
機微粒子を含有するポリエステル繊維をアルカリ処理す
ることにより粗面化することができる。
との糸長差が25〜30%であることが、膨らみ感や単
繊維間空隙を利用した光のトラップによる発色性向上の
観点から好ましい。
められるものをいう。
き、0.1g/dの荷重をかけ、1mに印を付ける。そ
の後、2本の糸を分離して、各々の長さを測定し、芯糸
の長さ(L0)と鞘糸の長さ(L1)を測定し、次式によ
り求める。
る糸条でもよいが、ポリエステル系、ポリアミド系など
の熱可塑性合成繊維が好ましく、延伸糸でもよいが、糸
長差を付与する観点から仮撚加工に供する部分配向糸を
用いることが、より好ましい。芯糸を構成する糸条とし
ては、同様に合成繊維であればいかなる糸条でもよい
が、収縮性を付与する観点からポリエステル系などの熱
可塑性合成繊維が好ましく、さらに大きな収縮性を付与
するために、共重合ポリエステル、例えばイソフタル
酸、アジピン酸、ビスフェノールA、ポリエチレングリ
コールなどが共重合成分としてポリエチレンテレフタレ
ートに共重合されたものが、より好ましい。
糸からなる複合糸を使用した織物、編物および不織布な
どをいい、綿、ウールなどの天然繊維との混紡、交撚、
交織、交編などを施したものも含まれるが、これらに限
られるものではない。
物の繊維表面がフッ素系化合物およびシリコーン系化合
物を主体とする重合体の皮膜を有するものである。フッ
素系化合物としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合物、ポリペンタデカフルオロ
オクチルアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリフルオロエチルアクリレート、ポリトリフルオロエ
チルアクリレート、ポリトリフルオロクロロエチレン、
ポリトリフルオロイソプロピルメタクリレート、ポリト
リフルオロエチルメタクリレートなどを用いることがで
きるが、これに限るものではない。シリコーン系化合物
としては、ポリジメチルシラン、ジメチルポリシロキサ
ン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性
シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変
性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンなどを用いる
ことができるが、これに限るものではない。本発明で
は、これらのフッ素系化合物、シリコーン系化合物を併
用して用いるものであり、それぞれのポリマー、モノマ
ー、反応中間体などを単独で用いてもよく、また2種以
上を組み合わせて用いることもできる。
合体被膜の洗濯やドライクリーニングに対する耐久性を
向上させる観点から、繊維表面がメチロール基を有する
化合物からなる重合体またはアクリル酸エステル重合体
を介して、前記したフッ素系化合物およびシリコーン系
化合物を主体とする重合体の皮膜を有するものが好まし
い。メチロール基を有する化合物としては、メチロール
尿素系、メチロールメラミン系、メチロールエチレン尿
素系、メチロールトリアゾン系、メチロールウロン系、
メチロールグリオキザール系、メチロールプロピレン尿
素系などを用いることができるが、これに限るものでは
ない。アクリル酸エステル重合体としては、ポリブチル
アクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルア
クリレートなどを用いることができるが、これに限るも
のではない。
膜の屈折率が1.5以下であることが、深色性向上の観
点から好ましい。
膜中にイオン性界面活性剤が存在することが好ましい。
イオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸型、
アルキル硫酸エステル型、アルキルリン酸エステル型な
どのアニオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩型、
アミン塩型、塩酸グアニジンなどのカチオン系界面活性
剤などを用いることができるが、これに限るものではな
い。これらのイオン性界面活性剤が前記した重合体被膜
中に存在することにより、一時的な帯電防止性を付与で
きると共に、該重合体の均一な被膜化が可能となり、深
色性をより向上さすことができる。
8.5〜12であることが好ましい。
断面形状が異形状および/または鞘糸の繊維表面が粗面
化された芯鞘状構造の複合糸からなる繊維構造物に、フ
ッ素系化合物とシリコーン系化合物からなる混合溶液、
あるいはエマルジョンをパディング、スプレー、印捺な
どの方法で付与した後、乾熱、スチーミング、過熱蒸気
による加熱処理を行い、繊維表面に重合体被膜を形成さ
せることができる。また、メチロール基を有する化合物
またはアクリル酸エステル化合物からなる溶液を付与す
る場合には、前記混合溶液、あるいはエマルジョンを付
与するに先立って、同様な方法で処理してもよいし、前
記混合溶液、あるいはエマルジョンと同浴で処理しても
よい。また、イオン性界面活性剤は、前記混合溶液ある
いはエマルジョンと同浴で処理することが、均一被膜化
による深色性向上の観点から好ましい。
とする観点から、重合体皮膜が、繊維構造物に対して
0.1〜10重量%付与されていることが好ましく。よ
り好ましくは0.5〜5重量%である。
応じて浸透剤、仕上げ加工剤、例えば、難燃剤、抗菌・
防臭剤、撥水・防汚剤などを添加してもよい。
的に説明する。
は、次の方法で得たものである。 <糸長差>繊維構造物を構成する複合糸を1本引き抜
き、0.1g/dの荷重をかけ、1mに印を付ける。そ
の後、2本の糸を分離して、各々の長さを測定し、芯糸
の長さ(L0)と鞘糸の長さ(L1)を測定し、次式によ
り求める。
100 <深色性>深色性は、SMカラーコンピューター(スガ
試験機製)を用い、明度L値を求めた。L値は濃色ほど
値が小さく、淡色ほど値が大きくなる。 <摩擦堅牢度>JIS L 0849に規定の方法に準
じて、乾燥時と湿潤時を試験し、汚染用グレースケール
を用いて級判定した。 <洗濯耐久性>自動反転うず巻き式電気洗濯機(東芝製
VH−1150と同性能のもの)の洗濯槽に40±2℃
の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K 337
1弱アルカリ性・第1種)液25Lを入れ、さらに試料
布と追加布(すて布)を合わせた重さが約500gとな
るように調整した後、洗濯5分→脱水30秒→すすぎ2
分→脱水30秒→すすぎ2分→脱水30秒の操作を洗濯
機の強条件で10回繰り返し、最後に自然乾燥したもの
の深色性を測定した。
を1.0重量%含むポリエチレンテレフタレートを用
い、三角断面用口金から紡糸速度3,000m/分で溶
融紡糸し、85デニール48フィラメントの部分配向糸
(三角断面POY)を得た。芯糸として、ビスフェノー
ルAを5モル%共重合した変性ポリエチレンテレフタレ
ートを用い、溶融紡糸した後、延伸して75デニール2
4フィラメントの延伸糸を得た。この鞘糸と芯糸を用い
て、ヒーター温度170℃、仮撚係数24,000で仮
撚加工を行い、複合糸を得た。得られた複合糸は、主と
して変性ポリエステル繊維が内側に配置されていた。次
いでこの複合糸をダブルツイスターにより1,800回
/mのS撚をかけ、加撚糸とした。次いでこの加撚糸を
タテ糸、ヨコ糸に用いて織密度タテ115本/インチ、
ヨコ58本/インチの朱子織物に製織した。次いで常法
に従いリラックス精練(98℃、20分)、中間セット
(180℃、30秒)後、3%苛性ソーダ水溶液中に浸
漬し、20%のアルカリ減量加工を行い、市販のブラッ
ク染料で染色した後、常法に従い還元洗浄(80℃、2
0分)を行い、水洗し、乾燥した。この黒色染色物の糸
長差は30%であった。次いで下記に示す配合で調液し
た処理液に浸漬し、マングルで絞り率100重量%の処
理液を付着させた後、120℃で3分間乾燥し、次いで
160℃で30秒間熱処理を行った。
繊維構造物が得られた。
配合で調液した処理液を用いた以外は、実施例1と全く
同じ処理を行った。
繊維構造物が得られた。
配合で調液した処理液を用いた以外は、実施例1と全く
同じ処理を行った。
繊維構造物が得られた。
配合で調液した処理液を用いた以外は、実施例1と全く
同じ処理を行った。
繊維構造物が得られた。
を省略する以外は、実施例1と全く同じ処理を行った。
ともに良好な繊維構造物が得られた。
シリカゾルを1.0重量%含む丸断面のPOYを用いた
以外は、実施例1と全く同じ処理を行った。
ともに良好な繊維構造物が得られた。
外は、実施例1と全く同じ処理を行った。
得られた。
テ糸、ヨコ糸に使用し、た朱子織物の黒染色物を用いた
以外は、実施例1と全く同じ処理を行った。
得られた。
色性を有し、しかも摩擦堅牢度が改善された繊維構造物
を得ることができる。
Claims (10)
- 【請求項1】鞘糸の断面形状が異形状および/または鞘
糸の繊維表面が粗面化された芯鞘状構造の複合糸からな
る繊維構造物であって、該繊維表面がフッ素系化合物お
よびシリコーン系化合物を主体とする重合体皮膜を有す
ることを特徴とする繊維構造物。 - 【請求項2】請求項1において、該繊維表面がメチロー
ル基を有する化合物からなる重合体またはアクリル酸エ
ステル重合体を介して、フッ素系化合物およびシリコン
系化合物を主体とする重合体皮膜を有することを特徴と
する繊維構造物。 - 【請求項3】該芯糸と該鞘糸との糸長差が25〜30%
であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維構
造物。 - 【請求項4】該鞘糸の断面形状が多葉状であることを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。 - 【請求項5】該重合体被膜の屈折率が1.5以下である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維
構造物。 - 【請求項6】該重合体皮膜中にイオン性界面活性剤が存
在することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
の繊維構造物。 - 【請求項7】繊維構造物のL値(明度)が8.5〜12
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
の繊維構造物。 - 【請求項8】鞘糸の断面形状が異形状および/または鞘
糸の繊維表面が粗面化された芯鞘状構造の複合糸からな
る繊維構造物に、フッ素系化合物およびシリコーン系化
合物を主体とする混合物を付与した後、加熱処理するこ
とを特徴とする繊維構造物の製造方法。 - 【請求項9】請求項8において、該混合物が、メチロー
ル基を有する化合物またはアクリル酸エステル化合物を
さらに含むことを特徴とする繊維構造物の製造方法。 - 【請求項10】請求項8または9において、該混合物が
イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする繊維
構造物の製造方法。
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JP2006144161A (ja) * | 2004-11-18 | 2006-06-08 | Toray Ind Inc | ポリエステル系繊維構造物およびその製造方法 |
JP2013181260A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-12 | Toray Ind Inc | 織編物およびその製造方法 |
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CN114875554A (zh) * | 2022-07-11 | 2022-08-09 | 比音勒芬服饰股份有限公司 | 一种具有防污抗皱面料的服装 |
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1999
- 1999-03-26 JP JP08417699A patent/JP4182585B2/ja not_active Expired - Fee Related
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