JP2000273583A - 高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金とそれを用いたバネ材およびブラウン管用部品 - Google Patents

高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金とそれを用いたバネ材およびブラウン管用部品

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JP2000273583A
JP2000273583A JP8495599A JP8495599A JP2000273583A JP 2000273583 A JP2000273583 A JP 2000273583A JP 8495599 A JP8495599 A JP 8495599A JP 8495599 A JP8495599 A JP 8495599A JP 2000273583 A JP2000273583 A JP 2000273583A
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淳二 谷口
Masashi Murakami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例えば、ブラウン管のフレームホルダ用バネ
材などに求められる高熱膨張性を満足させた上で、硬度
や耐ヘタリ性を向上させた安価なFe基合金が求められ
ている。 【解決手段】 Mnを14〜16重量% 、Crを16〜18重量
% 、Niを 1〜 2重量%の範囲で含み、残部が実質的に
Feおよび不可避不純物からなるFe基合金である。こ
のようなFe基合金は、30〜 100℃の範囲の熱膨張係数
が 100×10-7/℃以上であり、かつビッカース硬さでHv
350以上の硬度を有する。さらに、変位量30mmの変形を
20回加えたときの変形量が 2.0mm以下という耐ヘタリ性
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管用のバ
ネ材などとして用いられる高熱膨張性および高硬度を有
するFe基合金と、それを用いたバネ材、ブラウン管用
部品に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスク型のカラーブラウン管で
は、パネルの内面に形成された蛍光面に対して、電子ビ
ームを通過させる多数の細孔を有するシャドウマスクを
所定の間隙で対向配置している。シャドウマスクの外周
には、マスクフレームが固着されており、このマスクフ
レームはブラウン管のパネルにフレームホルダを介して
支持されている。
【0003】ところで、シャドウマスクの細孔を通過す
る電子ビームは、通常電子銃から照射された電子ビーム
の 20%程度であり、残りの 80%程度の電子ビームはシャ
ドウマスクやマスクフレームに衝突して吸収される。こ
の電子ビームの衝突によりシャドウマスクやマスクフレ
ームが熱膨張を起こすと、シャドウマスクの細孔と蛍光
面に形成されたドットとの相対位置が変位して色純度が
劣化してしまう。
【0004】このようなことから、ブラウン管のマスク
フレームはシャドウマスクの熱膨張によるミスランディ
ング(色ずれ)を補正するために、バイメタルのような
熱変形材料とバネ材とを組み合わせたフレームホルダを
介してパネルに支持されている。ブラウン管のフレーム
ホルダを構成するバネ材としては、従来、SUS 301 など
を用いることが一般的であった。
【0005】しかし、近年のブラウン管の高精細化やコ
ストダウンに対する要求の増大、特にコンピュータディ
スプレイ用カラーブラウン管(CDT)に対する要求の
増大などに伴うマスクフレーム材の材質変更によって、
現在バネ材として用いられている SUS 301ではミスラン
ディングの補正機能を十分に発揮することができない場
合が生じている。すなわち、 SUS 301は熱膨張係数が低
いため、マスクフレームの熱膨張係数とのマッチングが
低下し、これによりミスランディングを良好に補正する
ことができない場合がある。
【0006】一方、高熱膨張特性を有する金属材料とし
ては、例えばFe−Ni−Cr合金やFe−Ni−Mn
合金などのFe−Ni系合金が知られている。しかし、
従来の高熱膨張合金はバネ材に求められる耐ヘタリ性や
硬度が不足していることから、例えばブラウン管製造工
程においてマスクフレームの脱着を繰り返し行った際に
ヘタリが発生し、フレームホルダとしての所定の特性や
機能を発揮させることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、マス
クフレーム材の材質変更などに伴って、従来の SUS 301
からなるバネ材を用いたフレームホルダでは熱膨張係数
が低いために、ミスランディングの補正機能を十分に発
揮することができない場合が生じている。一方、従来の
高熱膨張合金はバネ材に求められる耐ヘタリ性や硬度が
不足していることから、ブラウン管製造工程などにおい
てヘタリが発生し、フレームホルダとしての所定の特性
や機能を得ることができない。
【0008】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、例えばブラウン管のフレームホルダ用
バネ材などに用いた場合に、良好な特性が得られる高熱
膨張性を有すると共に、バネ材に求められる耐ヘタリ性
や硬度などの特性に優れるFe基合金、およびそのよう
なFe基合金を用いることによって、耐ヘタリ性や硬度
などの特性改善を図ったバネ材やブラウン管用部品を提
供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の高熱膨張性およ
び高硬度を有するFe基合金は、請求項1に記載したよ
うに、Mnを14〜16重量% 、Crを16〜18重量% 、Ni
を 1〜 2重量% の範囲で含み、残部が実質的にFeおよ
び不可避不純物からなるFe基合金であって、30〜 100
℃の範囲の熱膨張係数が 100×10-7/℃以上で、かつビ
ッカース硬さがHv 350以上であることを特徴としてい
る。
【0010】本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金は、さらに請求項2に記載したように、変位
量30mmの変形を20回加えたときの変形量が 2.0mm以下で
あることを特徴としている。
【0011】本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金は、請求項3に記載したように、さらにNを
0.5重量% 以下の範囲で含むことが好ましい。また、請
求項4に記載したように、Si、Al、Mo、W、C
u、Ti、Zr、Hf、V、NbおよびTaから選ばれ
る少なくとも 1種を 0.1〜10重量% の範囲で含むことが
できる。さらに、請求項5に記載したように、Cの含有
量は0.01重量% 以下とすることが好ましい。
【0012】また、本発明のバネ材は、請求項6に記載
したように、上記した本発明の高熱膨張性および高硬度
を有するFe基合金からなることを特徴としている。本
発明のブラウン管用部品は、請求項7に記載したよう
に、上記した本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金からなることを特徴としている。本発明のブ
ラウン管用部品の具体例としては、請求項8に記載した
ように、ブラウン管のパネルとマスクフレームとの間に
介在されるバネ材が挙げられる。さらに、本発明のブラ
ウン管は請求項9に記載したように、上記した本発明の
ブラウン管用部品を具備することを特徴としている。
【0013】本発明のFe基合金は、Feに適当量のM
n、Cr、Niを配合したものである。このような合金
組成によれば、高熱膨張性とバネ性(具体的には耐ヘタ
リ性や硬度など)を兼ね備えたFe基合金が得られ、30
〜 100℃の範囲の熱膨張係数が 100×10-7/℃以上で、
かつビッカース硬さがHv 350以上という特性、さらには
変位量30mmの変形を20回加えたときの変形量が 2.0mm以
下という特性を満足させることができる。このような特
性を満足させることによって、本発明のFe基合金を例
えばブラウン管のフレームホルダ用バネ材に用いた場合
に、ミスランディングの補正機能を良好に得た上で、ブ
ラウン管製造工程でのヘタリによる特性や機能の低下を
抑制することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0015】本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金は、14〜16重量% の範囲のMn、16〜18重量
% の範囲のCrおよび 1〜 2重量% の範囲のNiを含有
する。これら各成分のうち、Mnは熱膨張係数を増大さ
せる成分であり、さらにバネ性の向上にも寄与する。M
nの含有量が14重量% 未満では、Fe基合金の熱膨張係
数を十分に増大させることができないと共に、良好なバ
ネ性を得ることができない。すなわち、耐ヘタリ性や硬
度が不足する。一方、Mnの含有量が16重量%を超える
と熱膨張係数が低下し、所望の熱膨張係数を得ることが
できない。Mnは熱間加工性の向上にも寄与する。
【0016】NiはMnと同様に熱膨張係数の増大に寄
与する成分であるが、Mnと比べてバネ性の向上効果に
劣り、またMnより高価であるため、本発明のFe基合
金ではNiは 1〜 2重量% の範囲で含有させるものとす
る。言い換えると、主としてMnによりFe基合金の熱
膨張係数の増大を図ることによって、Fe基合金のバネ
性の向上を図った上で、Fe基合金の製造コストを低減
することができる。ただし、Niの含有量が 1重量% 未
満であると良好な熱膨張係数を得ることができない。N
iは 2重量% を超えて含有させる必要はなく、本発明で
はNi含有量は2重量% 以下とする。
【0017】CrはFe基合金の高熱膨張性を示すオー
ステナイト組織を安定化させる成分である。すなわち、
Fe−Mn−Ni系のみでは室温で加工によりマルテン
サイト組織が生成しやすく、熱膨張係数が低下するおそ
れがあるが、適量のCrを添加することによりオーステ
ナイト組織の安定性を高めることができる。これによっ
て、安定して高熱膨張性を得ることが可能となる。Cr
の含有量が16重量% 未満であるとオーステナイト組織の
安定性が低下し、一方Crの含有量が18重量%を超える
と耐ヘタリ性が低下する。
【0018】本発明のFe基合金は上記したような基本
成分によって、30〜 100℃の範囲の熱膨張係数が 100×
10-7/℃以上という高熱膨張性と、合金素材としてビッ
カース硬さでHv 350以上というような優れたバネ性とを
満足させたものである。本発明のFe基合金の30〜 100
℃の範囲の熱膨張係数は 140×10-7/℃以上であること
がさらに好ましい。このような高熱膨張性を有するFe
基合金、すなわちFe−Mn−Cr−Ni系合金によれ
ば、それを例えばブラウン管のフレームホルダ用バネ材
に用いた際に、マスクフレーム材の材質を変更した場合
においてもミスランディングの補正機能を十分に得るこ
とができる。
【0019】さらに、ビッカース硬さでHv 350以上とい
う高硬度のFe基合金は、例えばブラウン管のフレーム
ホルダ用のバネ材として用いた場合に、ブラウン管製造
工程や運搬などにおける耐衝撃性を十分に満足させるこ
とができる。なお、Fe基合金の硬度は圧延率などによ
っても変化し、圧延率を上げることで硬度を上げること
ができる。しかし、圧延率を上げすぎると熱膨張係数が
低下する傾向があるため、圧延率は適度に制御し、硬度
は合金成分で調整することが好ましい。
【0020】本発明のFe基合金は、さらに変位量30mm
の変形を20回加える繰り返し変形試験後の変形量が 2.0
mm以下という耐ヘタリ性を満足させることができる。こ
こで言う繰り返し変形試験とは、図1(a)に示すよう
に、まず長さ80mm×幅10mm×厚さ 0.6mmの試験片1の一
端を、回転軸2を有する治具3に固定する。試験片1は
10mmの長さ分だけ治具3に固定されており、そこから55
mmの位置に押え具4が配置されている。そして、図1
(b)に示すように、押え具4で試験片1の他端部側の
移動を規制した状態で、回転軸2を軸として試験片1を
回転させる。この際の押え具4の位置における変位量
(押え具4を使用せずに回転させた場合の仮想位置に対
する変位量)が30mmとなる変形動作を、20回繰り返し行
った後に試験片1の変形量を測定する。
【0021】上記したような優れた耐ヘタリ性を有する
Fe基系合金によれば、それを例えばブラウン管のフレ
ームホルダ用バネ材として用いた際に、ブラウン管製造
工程でマスクフレームの脱着を繰り返し行った場合のフ
レームホルダ(バネ材)のヘタリを有効に抑制すること
ができる。従って、フレームホルダとしての所定の特性
や機能を良好に得ることが可能となる。
【0022】本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金は、上記した基本成分(Fe−Mn−Cr−
Ni)に加えて、Nを 0.5重量% 以下の範囲で含有させ
ることが好ましい。Nはオーステナイト組織の安定化に
寄与すると共に、結晶粒を微細化させる作用を有する。
Fe基合金の結晶粒を微細化することによって、硬度や
耐ヘタリ性などのバネ性をより一層高めることができ
る。結晶粒の微細化は耐熱性の向上にも寄与する。上記
したようなNの添加効果を有効に得る上で、Nの含有量
は0.01重量% 以上とすることが好ましい。ただし、Nを
あまり多量に含有させると脆化しやすくなるため、Nの
含有量は 0.5重量% 以下とすることが好ましい。
【0023】さらに、本発明のFe基合金は、Si、A
l、Mo、W、Cu、Ti、Zr、Hf、V、Nbおよ
びTaから選ばれる少なくとも 1種の金属元素(以下、
M元素と記す)を 0.1〜10重量% の範囲で含有させるこ
とも有効である。これらM元素はFe−Mn−Cr−N
i系合金のバネ性の向上、具体的には耐ヘタリ性や硬度
の向上に寄与する。SiやAlなどを含むFe−Mn−
Cr−Ni系合金に時効処理などを施した場合、例えば
Ni−AlやNi−Siなどの金属間化合物が析出する
ため、より一層硬度を向上させることができる。このよ
うな時効処理後の硬度は、ビッカース硬さでHv 380以上
であることが好ましい。
【0024】上記したM元素はそれぞれ単独で添加して
もよいし、また 2種以上の混合体として添加してもよ
い。いずれの形態においても、M元素の含有量は10重量
% 以下とすることが好ましい。M元素の含有量が10重量
% を超えると熱間加工性が劣化する。また、M元素の添
加効果を有効に得る上で、M元素の含有量は 0.1重量%
以上とすることが好ましい。M元素の含有量は個々の元
素に応じて設定することが好ましい。例えば、M元素と
してAlとSiを用いる場合には、Alは 0.1〜7重量%
の範囲、Siは 0.1〜 8重量% の範囲とすることが好
ましい。この場合、AlとSiの合計量は 1〜10重量%
の範囲とすることが好ましい。
【0025】本発明においては、上述した種々の金属元
素をM元素として用いることができるが、特にSi、A
l、Mo、W、Cu、TiおよびNbから選ばれる少な
くとも 1種の金属元素を用いることが好ましく、さらに
SiおよびAlから選ばれる少なくとも 1種を用いるこ
とが望ましい。これらは耐ヘタリ性や硬度の向上効果に
優れ、特にSiは耐ヘタリ性の向上などに対して大きな
効果を発揮する。ただし、より大きな熱膨張係数が求め
られるような場合には、Siに代えて、Mo、W、C
u、Ti、Nbなどを用いることが有利となることもあ
る。
【0026】さらに、上述した種々のM元素のうち、S
iおよびAlは脱酸効果を有し、一方Mo、W、Nb、
Ti、Zr、V、TaなどはFe基合金の耐熱性の向上
などに寄与する。このようなことから、Fe基合金の用
途や要求特性によっては、SiおよびAlから選ばれる
少なくとも 1種を 1〜10重量% と、Mo、W、Cu、T
i、Zr、Hf、V、NbおよびTaから選ばれる少な
くとも 1種を 0.1〜10重量% とを含有させてもよい。
【0027】本発明の高熱膨張性および高硬度を有する
Fe基合金は、さらにCの含有量を0.01重量% 以下とす
ることが好ましい。Cはオーステナイト組織の安定化や
硬度の向上に寄与するものの、高熱膨張性を得る上でC
の含有量は0.01重量% 以下とすることが好ましい。
【0028】本発明の高熱膨張性、高硬度および耐ヘタ
リ性を有するFe基合金はバネ材、特にブラウン管用部
品としてのバネ材に好適である。ブラウン管用バネ材の
具体例としては、ブラウン管のパネルとシャドウマスク
を保持するマスクフレームとの間に介在されるフレーム
ホルダのバネ材が挙げられる。本発明のブラウン管は、
このようなブラウン管用部品を具備するものである。
【0029】上述したようなブラウン管用バネ材(フレ
ームホルダ)に、30〜 100℃の範囲の熱膨張係数が 100
×10-7/℃以上で、かつビッカース硬さがHv 350以上と
いう特性、さらには変位量30mmの変形を20回加えたとき
の変形量が 2.0mm以下という耐ヘタリ性を有する、本発
明のFe基合金を適用することによって、例えばSCM
415(1wt%Cr−0.2wt%Mo−Fe)などのクロムモリブ
デン鋼のような材料で作製したマスクフレームを使用す
る場合においても、ミスランディングの補正機能を良好
に得ることができる。その上で、ブラウン管製造工程で
のヘタリや変形による特性や機能の低下を抑制すること
が可能となる。
【0030】このように、本発明によれば製造性や信頼
性に優れ、かつ高機能のブラウン管を提供することがで
きる。本発明のFe基合金は、特にコンピュータディス
プレイ用カラーブラウン管(CDT)のバネ材として好
適である。
【0031】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
【0032】実施例1〜5 表1に合金組成を示す各試料を溶解し、これらを鋳造し
た後、熱間鍛造、熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を施す
ことによって、板厚 0.6mmの圧延材(実施例1〜5)を
それぞれ作製した。なお、 0.6mmの圧延材への加工率は
70%とした。
【0033】これら圧延材からそれぞれ熱膨張係数測定
用サンプル、ビッカース硬さ測定用サンプル、および耐
ヘタリ性測定用サンプルを作製し、それぞれの特性を測
定、評価した。これらの特性は、各サンプルに 450℃×
1hの熱処理を施した後にそれぞれ測定した。その結果を
表2に示す。ビッカース硬さはJIS Z 2244(試験条件:
1000g-15s)に基づいて測定した。
【0034】なお、表1および表2中には本発明との比
較例を併せて記載した。比較例1は従来のバネ材(SUS
301)であり、比較例2、3は従来のFe−Ni−Cr系
合金である。
【0035】
【表1】
【表2】 表2から明らかなように、本発明のFe基合金(Fe−
Mn−Cr−Ni系合金)は高熱膨張性を有する上に、
良好な耐ヘタリ性および高硬度を有していることが分か
る。一方、比較例1としてのSUS 301 は熱膨張係数が低
く、また比較例2、3としての従来のFe−Ni−Cr
系合金は耐ヘタリ性や硬度が不足していることが分か
る。
【0036】次に、実施例1〜5による各Fe基合金
(Fe−Mn−Cr−Ni系合金)を用いてフレームホ
ルダ用バネを作製し、これらのバネを有するフレームホ
ルダでSCM415 製のマスクフレームをそれぞれブラウ
ン管のパネルに固定した。このような各パネルを用い
て、コンピュータディスプレイ用チューブ(CDT)を
作製したところ、良好なミスランディングの補正機能が
得られ、さらにブラウン管製造工程でのヘタリや変形に
よる特性や機能の低下を抑制することができた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば高
熱膨張性および高硬度を有すると共に、耐ヘタリ性に優
れるFe基合金を提供することができる。このようなF
e基合金を例えばブラウン管のフレームホルダ用バネ材
に用いることによって、良好なミスランディングの補正
機能を得た上で、バネ材のヘタリや変形による特性およ
び機能の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のFe基合金の耐ヘタリ性を規定する
繰り返し変形試験の様子を示す図である。
【符号の説明】
1……試験片 2……回転軸 3……治具 4……押え具

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mnを14〜16重量% 、Crを16〜18重量
    % 、Niを 1〜 2重量% の範囲で含み、残部が実質的に
    Feおよび不可避不純物からなるFe基合金であって、
    30〜 100℃の範囲の熱膨張係数が 100×10-7/℃以上
    で、かつビッカース硬さがHv 350以上であることを特徴
    とする高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のFe基合金において、 変位量30mmの変形を20回加えたときの変形量が 2.0mm以
    下であることを特徴とする高熱膨張性および高硬度を有
    するFe基合金。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のFe基合
    金において、 さらに、Nを 0.5重量% 以下の範囲で含むことを特徴と
    する高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    記載のFe基合金において、 さらに、Si、Al、Mo、W、Cu、Ti、Zr、H
    f、V、NbおよびTaから選ばれる少なくとも 1種を
    0.1〜10重量% の範囲で含むことを特徴とする高熱膨張
    性および高硬度を有するFe基合金。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    記載のFe基合金において、 Cの含有量が0.01重量% 以下であることを特徴とする高
    熱膨張性および高硬度を有するFe基合金。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金から
    なることを特徴とするバネ材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の高熱膨張性および高硬度を有するFe基合金から
    なることを特徴とするブラウン管用部品。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のブラウン管用部品におい
    て、 ブラウン管のパネルとマスクフレームとの間に介在され
    るバネ材であることを特徴とするブラウン管用部品。
  9. 【請求項9】 請求項7または請求項8記載のブラウン
    管用部品を具備することを特徴とするブラウン管。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102454688A (zh) * 2010-10-20 2012-05-16 新日兴股份有限公司 枢纽器以及具备该枢纽器的电子装置
JP2012111972A (ja) * 2010-11-19 2012-06-14 Shin Zu Shing Co Ltd ヒンジ素子及びそれを使った電子装置

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