JP2000268356A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JP2000268356A
JP2000268356A JP11136179A JP13617999A JP2000268356A JP 2000268356 A JP2000268356 A JP 2000268356A JP 11136179 A JP11136179 A JP 11136179A JP 13617999 A JP13617999 A JP 13617999A JP 2000268356 A JP2000268356 A JP 2000268356A
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raman
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Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
Yasuyo Nishida
康代 西田
Shunji Amano
俊二 天野
Hiroshi Hayashi
弘志 林
Kazuo Hoshi
一男 星
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非常に薄いカーボン保護膜を均一に形成可能
とする。 【解決手段】 非磁性支持体上に少なくとも金属磁性薄
膜及びカーボン保護膜を積層形成するに際して、ラマン
分光法による測定を行い、1000cm-1〜1800c
-1に出現する蛍光によるバックグランドを含んだラマ
ンスペクトル強度面積に基づいてカーボン保護膜の膜厚
を制御する。構造的に異なるカーボンの全ての散乱ピー
クが認められる1000cm-1〜1800cm-1のラマ
ンスペクトル強度面積とカーボン膜厚の膜厚とには良好
な相関性が見られる。したがって、この蛍光によるバッ
クグランドを含んだラマンスペクトル強度面積に基づい
てカーボン保護膜の膜厚制御を行うことにより、均一な
膜厚を有するカーボン保護膜が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
金属磁性薄膜とカーボン膜とが形成された、いわゆる金
属薄膜型の磁気記録媒体の製造方法に関するものであ
り、特に、カーボン保護膜の膜厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機結合剤中に分散せしめた磁性塗料を、塗布、乾燥す
ることにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒
体が広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度記録への要求の高ま
りとともに、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−
O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真
空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法
等)によって非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されて注目を集め
ている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄くできるため、
記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性
層中に非磁性材である結合剤を混入する必要が無いため
磁性材料の充填密度を高めることができる等、数々の利
点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするため、該磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され実用化されている。
【0006】ところで、上述したような金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体においては、耐久性や耐錆性に問題があ
るといわれており、これらの課題を解決するために、磁
性層表面を酸化させたり、真空成膜法を用いて、金属磁
性薄膜上に保護膜を設けたり、さらにこの上に潤滑剤を
塗布したりしている。
【0007】また、今後の更なる高密度化の流れから、
スペーシング損失を少なくするため、磁気記録媒体表面
は平滑化される傾向にある。この磁気記録媒体の平滑化
に伴い磁気ヘッド−媒体間の摩擦力は増大し、磁気記録
媒体に生ずるせん断力は大きくなる。このように摺動耐
久性の面で厳しくなる状況の中、耐久性を向上させる目
的で磁性層表面に保護膜を形成する技術の検討がなされ
ている。
【0008】このような保護膜としては、カーボン膜、
石英(SiO2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜等が検討
されており一部実用化され生産されている。特に、カー
ボン膜の中でもより硬度な膜であるダイヤモンド構造を
有する硬質カーボン膜(DLC膜)は、摺動耐久性に非
常に優れ、今後、保護膜の主流になるものと考えられ
る。
【0009】このDLC膜は、スパッタリング法や化学
的気相成長(CVD)法によって成膜されるが、スパッ
タリング法は膜形成速度が比較的遅いことから、工業的
にはCVD法を用いるのが有利である。
【0010】スパッタリング法では、先ず、電場や磁場
を利用してArガス等の不活性ガスの電離(プラズマ
化)を行う。さらに、電離されたArイオンを加速し、
その運動エネルギーによりターゲットの原子をはじき出
す。そして、そのはじき出された原子を基板上に堆積
し、目的とする膜を形成する。この物理的プロセスによ
るDLC膜の形成速度は遅く、工業的見地からは生産性
に劣る膜形成手段である。これに対して、CVD法は、
電場や磁場を用いて発生させたプラズマのエネルギーを
利用して原料となる気体の分解、合成等の化学反応を起
こさせ、膜を形成する化学的プロセスである。
【0011】このDLC膜の膜質を評価する方法として
は、ラマン分光による方法が知られている。図5はDL
C膜のラマンスペクトルの一例を示したものであり、波
数1000cm-1〜1800cm-1にDLC膜特有のピ
ーク(DLCピーク)が見られる。図6は、DLCピー
クの部分を拡大して示したものであるが、このピークの
部分について、図7に示すように蛍光によるバックグラ
ンド(蛍光強度)を直線近似で除去して補正し、ガウス
関数を用いてグラファイトピ一ク(G−ピーク)とディ
スオーダーピーク(D−ピーク)の2つのピークに波形
分離し、高波数側のピークであるG−ピークのラマンシ
フトやG−ピークの強度Igと低波数側のピークである
D−ピークの強度Idとのピークの強度比Id/Igに
より、組成的に膜質を評価する方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、カーボン保
護膜の評価としては、上記膜質の他に膜厚も重要な管理
項目の一つである。
【0013】工業的見地からは、より安価に製品を提供
することが求められ、磁気記録媒体(磁気テープ)の生
産においては、より長尺化、より広幅化されるようにな
ってきている。
【0014】この長尺化、広幅化の流れの中で、不良率
を下げるためには、均一に生産することが非常に重要に
なる。膜厚が薄い場合、走行耐久性の特性劣化が起こ
り、また、膜厚が厚くなる場合、走行耐久性は良くなる
ものの電磁変換特性の劣化を招く。Co薄膜やCo−N
i薄膜などの金属磁性薄膜上に直接カーボン膜を形成す
ることによって実用水準の耐久性を得るには、このカー
ボン膜の膜厚をある程度厚くする必要がある。しかしな
がら、今後、更なる高密度化に伴う短波長化が進むと、
スペーシング損失による出力低下が無視できなくなる。
即ち、カーボン膜は、耐久性を維持できる範囲において
極力薄く成膜されることが望ましく、膜厚が適正に制御
される必要がある。
【0015】従来より、カーボン膜の膜厚を測定するた
めには、ミクロトームーTEM法と呼ばれる断面観察法
によって得られた30万倍程度の拡大写真から算出する
ことが行われてきた。ここで、TEM(透過型電子顕微
鏡)とは、真空において電子銃から出た電子線を試料に
照射し、その透過像を磁場レンズによって拡大すること
により、物質の拡大像を得るものであり、ミクロトーム
とは、電子線が透過しうる程度の厚さの切片を作製する
試料作製法である。
【0016】また、一般的に膜厚を求める手法として、
エリプソメトリー偏光解析法による方法が知られてい
る。エリプソメトリー(e11ipsometry)は
物体(光学的下地)の表面で光が反射する際の偏光状態
の変化を測定して物質自身の光学定数(複素数屈折率)
を、又は物体表面の薄膜の膜厚及び光学定数を知る方法
であり、半導体技術においては、Si上のSiO2膜や
SiN4膜の膜厚を0.1nm程度の精度で求めるエリ
プソメーターが使用されている。
【0017】しかしながら、ミクロトーム−TEM法に
よる膜厚測定においては、その試料作製及びTEM像撮
影には作業者の熟練を必要とするばかりでなく、膜厚値
を得るまでの工程が多いため、1試料を測定するのに多
大な時間と手間を要している。また、その測定手段はい
わゆる破壊分析であり、さらにTEM撮影には真空状態
が要求されることから、いわゆるインラインでの製造管
理に用いることはできないという不都合がある。
【0018】さらに、ミクロトーム−TEM法は、5n
m以上の厚さを有する膜に対しては膜厚を測定すること
ができるが、これより薄い膜については分解能が及ばな
い。
【0019】一方、エリプソメーターによる膜厚測定
は、常圧、常温での測定が可能なことや、作業者に高度
な技術を必要としないことなどから、上述したように、
半導体技術では多用されているが、測定には光学的下地
の光学定数を必要とすることから、磁気記録媒体に適用
する場合においては、カーボン保護膜の下層の積層構造
を光学的下地とし、エリプソメトリー偏光解析法に従い
積層構造の見かけ上の光学的定数を決定する必要があ
る。しかし、カーボン保護膜の下層の見かけの光学定数
は、磁性材の種類、膜厚、酸化状態、酸化膜の厚み等に
よって変化するため、常に測定するカーボン保護膜の下
層の積層構造の光学的定数を決定する必要がある。磁気
記録媒体、特にテープ状の磁気記録媒体においては、同
一個所の見かけの光学定数を測定することは現実的には
不可能である。
【0020】したがって、カーボン保護膜の膜厚制御
は、連続巻き取り式スパッタリング装置、あるいは連続
巻き取り式CVD装置における支持体の送り速度と成膜
されるカーボン保護膜の厚さとの関係から経験的になさ
れている。
【0021】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、非常に薄いカーボン保護膜を均
一に形成することが可能な磁気記録媒体の製造方法を提
供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、非磁性支持体上に少なくとも金属磁性
薄膜及びカーボン保護膜を積層形成する磁気記録媒体の
製造方法において、ラマン分光法による測定を行い、1
000cm-1〜1800cm-1に出現する蛍光によるバ
ックグランドを含んだラマンスペクトル強度面積に基づ
いてカーボン保護膜の膜厚を制御することを特徴とする
ものである。
【0023】構造的に異なるカーボンの全ての散乱ピー
クが認められる1000cm-1〜1800cm-1の蛍光
によるバックグランド強度面積を含んだラマンピーク面
積とカーボン膜の膜厚との間には、良好な相関性が見ら
れる。
【0024】したがって、ラマン分光法による測定を行
い、1000cm-1〜1800cm-1に出現する蛍光に
よるバックグランドを含んだラマンスペクトル強度面積
に基づいてカーボン保護膜の膜厚制御を行うことによ
り、均一な膜厚を有するカーボン保護膜が形成される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した磁気記録
媒体の製造方法について、詳細に説明する。
【0026】本発明において、製造対象となる磁気記録
媒体は、例えば図1に示すように、非磁性支持体1上に
磁性層2が形成され、この上にカーボン保護膜3が形成
されて構成されてなるものである。非磁性支持体上に磁
気記録層が設けられ、かつ、さらにその上にカーボン保
護膜が設けられる磁気記録媒体(テープ、ディスク)全
てが対象となるが、特にケースに内蔵されるディスクと
異なり、外に露出する機会の多いテープ媒体は、耐環境
特性が厳しく要求されるので、効果が大きい。
【0027】本発明は、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体について、カーボン保護膜の膜厚制御を適正に
行うために適用されるものであるが、磁気記録媒体にお
ける非磁性支持体や金属磁性薄膜といった構成材料に限
定はない。
【0028】例示するならば、非磁性支持体1の材質と
しては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、
ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等の高分子
材料の他、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、
アルミナガラス等のセラミック等が挙げられる。非磁性
支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を
使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸化
皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を硬くするよ
うにしても良い。
【0029】金属磁性材料としては、Fe,Co,Ni
等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co
−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系
合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合
金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合
金等からなる面内磁化記録金属磁性膜やCo−Cr系合
金薄膜が例示される。
【0030】金属磁性薄膜は、これら金属磁性材料の単
層膜であっても良いし、層毎に組成あるいは成膜条件を
変えた多層膜であっても良い。さらには非磁性支持体と
金属磁性薄膜の間に下地層を設けたり、多層膜の場合に
は各層間に中間層を設けることで、付着力の向上、抗磁
性の制御等を行うようにしても良い。
【0031】金属磁性薄膜を形成するための薄膜形成技
術としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性
支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の
蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴン
を主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし生じたア
ルゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッ
タ法等、いわゆるPVD(物理的気相成長)技術が用い
られる。
【0032】このような磁性層2上には、摺動耐久性を
付与するとともに外部の湿気などから磁性層2を保護す
るために、カーボン保護膜3が設けられる。
【0033】ここで、カーボン保護膜3としては、スパ
ッタリング法によって成膜されたカーボン膜であって
も、炭化水素系ガスを用いたCVD法によって成膜され
たカーボン膜であっても良い。なお、スパッタリング法
としては、マグネトロンスパッタ法や対向ターゲット法
が挙げられ、CVD法としてはプラズマCVD法、EC
RプラズマCVD法、アークジェットプラズマCVD法
が挙げられる。
【0034】次に、ラマン分光法による膜厚測定法の原
理を簡単に説明する。
【0035】一般に、分子や結晶は、それぞれ固有の振
動をしている。固有振動数ν1を持つ分子に振動数ν0
の光を照射すると、入射光と同じ振動数ν0の光と、入
射光と異なる振動数ν0+ν1、ν0−ν1の光が散乱
される。前者をレーリ散乱光、後者をラマン散乱光と呼
ぶ。
【0036】図2にラマン効果を説明する原理図を示
す。図2中のν0、ν1は電子基底状態における2つの
振動エネルギー準位、νsは高エネルギーの励起準位で
ある。ラマン散乱光にはストークス光h(ν0−ν1)
とアンチストークス光h(ν0+ν1)とがあり、通常
測定するラマン散乱光はストークス光h(ν0−ν1)
で、入射光の振動数ν0を基準にシフトした値ν1(ラ
マンシフト)で表現される。
【0037】通常、ラマン散乱測定装置は励起光源、試
料部、分散系、検出器の4つの部分からなる。励起光に
はイオンガス(Ar,He−Ne,Kr)レーザが用い
られる。試料部は試料照射、散乱光の集光の光学系から
なっている。ラマン散乱光は集光レンズ又は集光ミラー
で分光器スリット上に集められる。この散乱光は単一分
光器を直列に接続したダブルモノクロメーターで分散さ
れ、検出器で検知される。検出器には光電子倍増管が使
用されるが、近年、光マルチチャンネル検出器が用いら
れるようになっている。光マルチチャンネル検出器はス
ペクトルを同時測定できるので、測定時間が数秒で済む
という利点を有する。
【0038】このようにして得られるラマンスペクトル
は物質に固有であるので、これにより物質の同定ができ
る。また、ある特定の波長におけるラマン散乱強度は、
物質量に比例する。
【0039】カーボン素材を構造的に分類すると、ダイ
ヤモンド、グラファイト及びその中間状態にあると考え
られるアモルファスカーボンに分けることができる。ラ
マン分光はこれらのカーボンに対して特異的に高感度で
あり、存在量の変化に敏感に変化する。
【0040】本発明者は、上述した構造的に異なるカー
ボンの全ての散乱ピークが認められる1000cm−1
〜1800cm−1の蛍光によるバックグランドを含ん
だ総ピーク面積とカーボン膜の膜厚の関係に着目した。
【0041】ここで、1000cm−1〜1800cm
−1の蛍光によるバックグランドを含んだ総ピーク面積
は、例えば図3に示したDLC膜のラマンスペクトルを
例にとれば、図3における斜線部分に相当する。
【0042】検証の結果、ラマン分光法によって得られ
たカーボンの膜厚と実際のカーボン保護膜の膜厚とには
良好な相関性が見られ、ラマン分光法を用いてカーボン
膜の膜厚評価は十分可能であることが判明した。かかる
評価法によれば、カーボン保護膜の膜厚と膜質の評価を
同時に行うことができ、評価作業の迅速化を図ることが
できる。また、非接触で測定できることは勿論のこと、
特別の前処理を必要としないこと、測定に要する時間が
数秒であること、エリプソメトリーのように下地の状態
に影響を受けない等から、CVD成膜過程における測定
も可能であるので、カーボン保護膜の成膜制御に用いる
ことができる。
【0043】本発明では、ラマン分光法による測定を行
い、1000cm-1〜1800cm-1に出現する蛍光に
よるバックグランドを含んだラマンスペクトル強度面積
に基づいてカーボン保護膜の膜厚を制御する。
【0044】例えば、1000cm-1〜1800cm-1
に出現する蛍光によるバックグランドを含んだラマンス
ペクトル強度面積を所定の値Acounts/分±550coun
ts/分に保つことにより、カーボン保護膜の膜厚を所定
の膜厚tnm±0.2nmに保つ。
【0045】具体的には、1000cm-1〜1800c
-1に出現する蛍光によるバックグランドを含んだラマ
ンスペクトル強度面積を11300±550counts/分
に保つことにより、カーボン保護膜の膜厚を9±0.2
nmに保つ。
【0046】上記蛍光によるバックグランドを含んだラ
マンスペクトル強度面積のフィードバックによりコント
ロールする成膜条件としては、ラインスピードや反応管
内の圧力等を挙げることができる。
【0047】上記ラマン分光法による観察は、カーボン
保護膜の成膜とインラインで行う。
【0048】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0049】図4は、本実施例においてカーボン保護膜
形成に用いたプラズマCVD連続膜形成装置を示すもの
である。
【0050】この図4において、磁気記録媒体11は、
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に酸素ガスを導
入しながらCoを蒸着して部分酸化強磁性金属薄膜を形
成したものである。
【0051】上記プラズマCVD連続膜形成装置は、ガ
イドロール12や巻き出しロール13、巻き取りロール
14、反応管15を備える。反応管15の内部には電極
16が組み込まれている。原料となる炭化水素系を主成
分としたガスは、放電ガス導入口18から導入される。
【0052】この反応管15と対向して円筒状の回転可
能な対向電極19が設置されている。磁気記録媒体11
は、この対向電極19に巻き付けられ、反応管15内部
にて磁気記録媒体11の表面にカーボン保護膜が所定の
厚みで形成される。
【0053】上記プラズマCVD連続膜形成装置は、真
空排気系20や真空槽21を有するが、さらに、対向電
極19の磁気記録媒体出口側位置にラマン測定用のラマ
ン測定子22が取り付けられている。
【0054】このラマン測定子22は、光ファイバによ
り大気中に設置されたレーザ発振器23とラマン分光器
24とに繋がっている。これらのラマン分光システム
は、コンピュータにより演算され、ラマンスペクトルが
一定になるように、ライン速度等の成膜条件の管理を行
う。
【0055】上記プラズマCVD連続膜形成装置を用
い、非磁性支持体上に金属磁性薄膜とカーボン膜とが形
成されてなる磁気テープを作製した。
【0056】具体的には、厚さ6μmのポリエチレンテ
レフタレート(PET)フイルム上に、Coを蒸着源に
用いた真空蒸着を行うことにより、膜厚200nmの金
属磁性薄膜を成膜した。金属磁性薄膜の成膜条件は下記
の通りである。
【0057】金属磁性薄膜の成膜条件 成膜装置:連続巻き取り式蒸着装置 蒸着源:Co100% 蒸着粒子の入射角:45°〜90° 導入ガス:酸素ガス 蒸着時真空度:2×10-2Pa その後、この蒸着膜表面に、上記プラズマCVD連続膜
形成装置を用いてカーボン保護膜(膜厚9nm)を成膜
することで磁気記録媒体を作製した。バックコートには
カーボンを主体とする材料を厚さ0.5μmに塗布し
た。また、カーボン保護膜の表面には潤滑剤としてフッ
素系材料を塗布した。CVD条件を以下に示す。
【0058】CVD条件 反応ガス:エチレン/Ar混合ガス(比率=4:1) 反応ガスの圧力:30Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV ラインスピード:3m/分
【0059】実施例 ラマン分光法により測定された1000cm-1〜180
0cm-1に出現する蛍光によるバックグランドを含んだ
ラマンスペクトル強度面積を170000±3800co
unts/分に保つように、ラインスピード、反応管内圧力
を管理しながらサンプルを作製した。
【0060】測定条件 装置:Renishaw社 日本電子JRS−SYS1000
(D) 光源:Ar+レーザ(波長514.5nm) 光源出力:2.5mW 試料上での出力:0.33mW レーザビーム径:21μm 試料条件:室温、大気中 測定波長:1000cm-1〜1800cm-1
【0061】比較例 基準条件を一定にしてサンプルを作製した。
【0062】これらサンプルについて、実用特性の評価
として、シャトル走行試験、スチル耐久試験、摩擦試
験、膜厚測定を行った。評価方法は下記の通りである。
なお、シャトル走行試験、スチル耐久試験には、ソニー
社製、DVCカムコーダ(商品名DCR VX700)
を使用した。
【0063】シャトル走行試験:40℃、30%RH環
境下で10分間の信号を1回記録した後、99回これを
再生し、結果は初期出力に対する100パス目の出力を
dB表示した。このレベルダウン量は、−3dB以内で
あれば、内蔵される信号増幅回路により画質に影響を与
えない。
【0064】スチル試験:−5℃の環境下でスチル状態
のまま保持し、結果を初期出力に対して−3dBになる
までの時間で表した。
【0065】摩擦試験:40℃、80%RHの環境下で
摺動摩擦試験機を用いて行い、結果は摩擦係数で表し
た。
【0066】膜厚測定:ミクロトーム法によりテープ断
面を出し、透過電子顕微鏡を用いて直接観察し、算出し
た。
【0067】実施例の測定結果を表1に、比較例の測定
結果を表2にそれぞれ示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】膜厚管理を行った実施例では、カーボン保
護膜の膜厚のバラツキは9±0.2nmに抑えられてい
るが、カーボン保護膜作製条件を基準条件(一定)にし
た比較例では、膜厚のバラツキが大きく初期の50mは
走行耐久性も不良レベルであった。
【0071】この結果からも明らかなように、ラマン分
光法を用いてカーボン保護膜形成の状態を管理すること
は、膜厚の均一な蒸着テープを提供するだけでなく、特
性の均一な蒸着テープの提供も可能とする。
【0072】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、非常に薄いカーボン保護膜を均一に形成す
ることが可能である。したがって、摺動耐久性に優れ、
かつ電磁変換出力が一定である磁気記録媒体が得られ、
ひいては、信頼性が特に必要とされるデータストリーマ
やビデオライブラリ等の特別な用途にも耐えうる磁気記
録テープの大量提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造対象となる磁気記録媒体の一例を模式的に
示す概略断面図である。
【図2】ラマン効果の原理を説明する模式図である。
【図3】ラマンスペクトルの一例において、1000c
m−1〜1800cm−1の蛍光によるバックグランド
を含んだ総ピーク面積を示した図である。
【図4】ラマン分光測定器を組み込んだプラズマCVD
膜連続形成装置の一例を示す模式図である。
【図5】ラマンスペクトルの一例を示す特性図である。
【図6】DLCピークの部分を拡大して示した図であ
る。
【図7】ラマン分光法により波形分離されたラマンピー
クを示した図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 金属磁性薄膜、3 カーボン保
護膜、22 ラマン測定子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 俊二 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 林 弘志 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 星 一男 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D112 AA07 BC05 FA10 FB30 JJ06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも金属磁性薄
    膜及びカーボン保護膜を積層形成する磁気記録媒体の製
    造方法において、 波長514.5nmのアルゴンイオンレーザ励起による
    ラマン分光法による測定を行い、1000cm-1〜18
    00cm-1に出現する蛍光によるバックグランドを含ん
    だラマンスペクトル強度面積に基づいてカーボン保護膜
    の膜厚を制御することを特徴とする磁気記録媒体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 波長514.5nmのアルゴンイオンレ
    ーザ励起によるラマン分光法によりSi(111)単結
    晶試料を測定した蛍光によるバックグランドを含んだラ
    マンスペクトル強度面積が90000counts/分である
    場合において、上記1000cm-1〜1800cm-1
    出現する蛍光によるバックグランドを含んだラマンスペ
    クトル強度面積を所定の値Acounts/分±3800coun
    ts/分に保つことにより、カーボン保護膜の膜厚を所定
    の膜厚tnm±0.2nmに保つことを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 波長514.5nmのアルゴンイオンレ
    ーザ励起によるラマン分光法によりSi(111)単結
    晶試料を測定した蛍光によるバックグランドを含んだラ
    マンスペクトル強度面積が90000counts/分である
    場合において、上記1000cm-1〜1800cm-1
    出現する蛍光によるバックグランドを含んだラマンスペ
    クトル強度面積を170000±3800counts/分に
    保つことにより、カーボン保護膜の膜厚を9±0.2n
    mに保つことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記カーボン保護膜を成膜する際のライ
    ンスピードを制御することにより膜厚を制御することを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記カーボン保護膜を成膜する際の反応
    管内の圧力を制御することにより膜厚を制御することを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記カーボン保護膜の成膜と上記カーボ
    ン保護膜の膜厚測定をインラインで連続的に行うことを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
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