JP2000207736A - カ―ボン保護膜の膜厚測定方法 - Google Patents

カ―ボン保護膜の膜厚測定方法

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JP2000207736A
JP2000207736A JP11005725A JP572599A JP2000207736A JP 2000207736 A JP2000207736 A JP 2000207736A JP 11005725 A JP11005725 A JP 11005725A JP 572599 A JP572599 A JP 572599A JP 2000207736 A JP2000207736 A JP 2000207736A
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Yasuyo Nishida
康代 西田
Kazuo Hoshi
一男 星
Ryoichi Hiratsuka
亮一 平塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非常に薄いカーボン保護膜の膜厚を非破壊で
高精度に、しかもインラインで測定可能とする。 【解決手段】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜及びカー
ボン保護膜を少なくとも積層形成してなる磁気記録媒体
に対してラマン分光法による観測を行い、1000cm
-1〜1800cm-1に出現するピーク面積値を用いて前
記カーボン保護膜の膜厚を求める。構造的に異なるカー
ボンの全ての散乱ピークが認められる1000cm-1
1800cm-1の蛍光によるバックグランドを差し引い
た総ピーク面積値とカーボン膜厚の膜厚とには良好な相
関性が見られ、かかるピーク面積値を求めることによ
り、磁気記録媒体表面のカーボン保護膜の膜厚が高精度
に測定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
金属磁性薄膜とカーボン膜とが形成された、いわゆる金
属薄膜型の磁気記録媒体において、カーボン保護膜の膜
厚を非破壊で測定する新規な膜厚測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の
有機結合剤中に分散せしめた磁性塗料を、塗布、乾燥す
ることにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒
体が広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度記録への要求の高ま
りと共に、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O
等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法
等)によって非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されて注目を集め
ている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みを極めて薄く出来るため、
記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性
層中に非磁性材である結合剤を混入する必要が無いため
磁性材料の充填密度を高めることが出来る等、数々の利
点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることが出来るよ
うにするため、該磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され実用化されている。
【0006】ところで、上述したような金属磁性薄膜型
の磁気記録媒体においては、耐久性や耐錆性に問題があ
るといわれており、これらの課題を解決するために、磁
性層表面を酸化させたり、真空成膜法を用いて、金属磁
性薄膜上に保護膜を設けたり、さらにこの上に潤滑剤を
塗布したりしている。
【0007】保護膜としては、カーボン膜、石英(Si
2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜等が検討されてお
り、なかでもダイヤモンド構造を有する硬質カーボン膜
(DLC膜)は、摺動耐久性に非常に優れ、今後、保護
膜の主流になるものと考えられる。
【0008】なお、このDLC膜は、スパッタリング法
や化学的気相成長(CVD)法によって成膜されるが、
スパッタリング法は膜形成速度が比較的遅い事から、工
業的にはCVD法を用いるのが有利である。
【0009】このDLC膜の膜質を評価する方法として
は、ラマン分光による方法が知られている。DLC膜の
ラマンスペクトルにおいては、波数1000cm-1〜1
800cm-1にDLC膜特有のピーク(DLCピーク)
が見られる。このピークの部分について、蛍光によるバ
ックグランド(蛍光強度)を直線近似で除去して補正
し、ガウス関数を用いてグラファイトピ一ク(G−ピー
ク)とディスオーダーピーク(D−ピーク)の二つのピ
ークに波形分離し、高波数側のピークであるG−ピーク
のラマンシフトやG−ピークの強度Igと低波数側のピ
ークであるD−ピークの強度Idとのピークの強度比I
d/Igにより、組成的に膜質を評価する方法である。
【0010】ところで、カーボン保護膜の評価として
は、上記膜質の他に膜厚も重要な管理項目の一つであ
る。Co薄膜やCo−Ni薄膜等の金属磁性薄膜上に直
接カーボン膜を形成することによって実用水準の耐久性
を得るには、このカーボン膜の膜厚をある程度厚くする
必要がある。しかしながら、今後、さらなる高密度化に
伴う短波長化が進むと、スペーシング損失による出力低
下が無視できなくなることから、上記カーボン膜の膜厚
をむやみに厚くすることは出来ない。すなわち、カーボ
ン膜は耐久性を維持できる範囲で可能な限り薄く成膜さ
れることが望ましく、その膜厚が適正に制御される必要
がある。
【0011】従来より、カーボン膜の膜厚を測定するた
めには、ミクロトームーTEM法と呼ばれる断面観察法
によって得られた30万倍程度の拡大写真から算出する
ことが行われてきた。ここで、TEM(透過型電子顕微
鏡)とは、真空において電子銃から出た電子線を試料に
照射し、その透過像を磁場レンズによって拡大すること
により、物質の拡大像を得るものであり、ミクロトーム
とは、電子線が透過しうる程度の厚さの切片を作製する
試料作成法である。
【0012】また、一般的に膜厚を求める手法として、
エリプソメトリー偏光解析法による方法が知られてい
る。エリプソメトリー(e11ipsometry)は
物体(光学的下地)の表面で光が反射する際の偏光状態
の変化を観測して物質自身の光学定数(複素数屈折率)
を、又は物体表面の薄膜の膜厚及び光学定数を知る方法
であり、半導体技術においては、Si上のSiO2膜や
SiN4膜の膜厚を0.1mm程度の精度で求めるエリ
プソメーターが使用されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ミクロ
トーム−TEM法による膜厚測定においては、その試料
作成及びTEM像撮影には作業者の熟練を必要とするば
かりでなく、膜厚値を得るまでの工程が多いため、1試
料を測定するのに多大な時間と手間を要している。ま
た、その測定手段はいわゆる破壊分析であり、さらにT
EM撮影には真空状態が要求される事から、いわゆるイ
ンラインでの製造管理に用いる事は出来ないという不都
合がある。
【0014】さらに、ミクロトーム−TEM法は、5m
m以上の厚さを有する膜に対しては膜厚を測定する事が
できるが、これより薄い膜については分解能が及ばな
い。
【0015】一方、エリプソメーターによる膜厚測定
は、常圧、常温での測定が可能なことや、作業者に高度
な技術を必要としないことなどから、上述したように、
半導体技術では多用されているが、測定には光学的下地
の光学定数を必要とすることから、磁気記録媒体に適用
する場合においては、カーボン保護膜の下層の積層構造
を光学的下地とし、エリプソメトリー偏光解析法に従い
積層構造の見かけ上の光学的定数を決定する必要があ
る。しかし、カーボン保護膜の下層の見かけの光学定数
は、磁性材の種類、膜厚、酸化状態、酸化膜の厚み等に
よって変化するため、常に測定するカーボン保護膜の下
層の積層構造の光学的定数を決定する必要がある。磁気
記録媒体、特にテープ状の磁気記録媒体においては、同
一個所の見かけの光学定数を測定することは現実的には
不可能である。
【0016】したがって、カーボン保護膜の膜厚制御
は、連続巻き取り式スパッタリング装置、あるいは連続
巻き取り式CVD装置における支持体の送り速度と成膜
されるカーボン保護膜の厚さとの関係から経験的になさ
れている。
【0017】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、非常に薄いカーボン保護膜の膜
厚を非破壊で的確に把握することが可能なカーボン保護
膜の膜厚測定方法を提供することを目的とする。
【0018】さらに、本発明は、インラインでもオフラ
インでも磁気記録媒体表面のカーボン保護膜の膜厚を測
定することが可能なカーボン保護膜の膜厚測定方法を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、非磁性支持体上に金属磁性薄膜及びカ
ーボン保護膜を少なくとも積層形成してなる磁気記録媒
体に対してラマン分光法による観測を行い、1000c
-1〜1800cm-1に出現するピーク面積値を用いて
前記カーボン保護膜の膜厚を求めることを特徴とするも
のである。
【0020】構造的に異なるカーボンの全ての散乱ピー
クが認められる1000cm-1〜1800cm-1の蛍光
によるバックグランドを差し引いた総ピーク面積値とカ
ーボン膜厚の膜厚とには良好な相関性が見られる。
【0021】したがって、ラマン分光法による観測を行
い、1000cm-1〜1800cm-1に出現するピーク
面積値を求めることにより、磁気記録媒体表面のカーボ
ン保護膜の膜厚が把握される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用したカーボン
保護膜の膜厚測定方法について、詳細に説明する。
【0023】本発明において、測定対象となる磁気記録
媒体は、例えば図1に示すように、非磁性支持体1上に
磁性層2が形成され、この上にカーボン保護膜3が形成
されて構成される。
【0024】本発明は、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体について、カーボン保護膜の膜厚制御を適正に
行う為に適用されるものであるが、磁気記録媒体におけ
る非磁性支持体や金属磁性薄膜といった構成材料に限定
はない。
【0025】例示するならば、非磁性支持体1の材質と
しては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート、セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、
ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等の高分子
材料の他、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金属、
アルミナガラス等のセラミック等が挙げられる。非磁性
支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を
使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸化
皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を硬くするよ
うにしてもよい。
【0026】金属磁性材料としては、Fe,Co,Ni
等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co
−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系
合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合
金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合
金等からなる面内磁化記録金属磁性膜やCo−Cr系合
金薄膜が例示される。
【0027】金属磁性薄膜は、これら金属磁性材料の単
層膜であってもよいし、層毎に組成あるいは成膜条件を
変えた多層膜であってもよい。さらには非磁性支持体と
金属磁性薄膜の間に下地層を設けたり、多層膜の場合に
は各層間に中間層を設ける事で、付着力の向上、抗磁性
の制御等を行うようにしても良い。
【0028】金属磁性薄膜を形成するための薄膜形成技
術としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性
支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の
蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴン
を主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし生じたア
ルゴンイオンでターゲット表面の原子を叩き出すスパッ
タ法等、いわゆるPVD(物理的気相成長)技術が用い
られる。
【0029】このような磁性層2上には、摺動耐久性を
付与すると共に外部の湿気などから磁性層2を保護する
ために、カーボン保護膜3が設けられる。
【0030】ここで、カーボン保護膜3としては、スパ
ッタリング法によって成膜されたカーボン膜であって
も、炭化水素系ガスを用いたCVD法によって成膜され
たカーボン膜であっても良い。なお、スパッタリング法
としては、マグネトロンスパッタ法や対向ターゲット法
が挙げられ、CVD法としてはプラズマCVD法、EC
RプラズマCVD法、アークジェットプラズマCVD法
が挙げられる。
【0031】次に、ラマン分光法による膜厚測定法の原
理を簡単に説明する。
【0032】一般に、分子や結晶は、それぞれ固有の振
動をしている。固有振動数ν1を持つ分子に振動数ν0
の光を照射すると、入射光と同じ振動数ν0の光と、入
射光と異なる振動数ν0+ν1、ν0−ν1の光が散乱
される。前者をレーリ散乱光、後者をラマン散乱光と呼
ぶ。
【0033】図2にラマン効果を説明する原理図を示
す。図2中のν0、ν1は電子基底状態における2つの
振動エネルギー準位、νsは高エネルギーの励起準位で
ある。ラマン散乱光にはストークス光h(ν0−ν1)
とアンチストークス光h(ν0+ν1)とがあり、通常
測定するラマン散乱光はストークス光h(ν0−ν1)
で、入射光の振動数ν0を基準にシフトした値ν1(ラ
マンシフト)で表現される。
【0034】通常、ラマン散乱測定装置は励起光源、試
料部、分散系、検出器の4つの部分からなる。励起光に
はイオンガス(Ar,He−Ne,Kr)レーザーが用
いられる。試料部は試料照射、散乱光の集光の光学系か
らなっている。ラマン散乱光は集光レンズまたは集光ミ
ラーで分光器スリット上に集められる。この散乱光は単
一分光器を直列に接続したダブルモノクロメーターで分
散され、検出器で検知される。検出器には光電子倍増管
が使用されるが、近年、光マルチチャンネル検出器が用
いられるようになっている。光マルチチャンネル検出器
はスペクトルを同時測定できるので、測定時間が数秒で
済むという利点を有する。
【0035】このようにして得られるラマンスペクトル
は物質に固有であるので、これにより物質の同定ができ
る。また、ある特定の波長におけるラマン散乱強度は、
物質量に比例する。
【0036】カーボン素材を構造的に分類すると、ダイ
ヤモンド、グラファイト及びその中間状態にあると考え
られるアモルファスカーボンに分ける事が出来る。ラマ
ン分光はこれらのカーボンに対して特異的に高感度であ
り、存在量の変化に敏感に変化する。
【0037】本発明者は、上述した構造的に異なるカー
ボンの全ての散乱ピークが認められる1000cm−1
〜1800cm−1の蛍光によるバックグランドを差し
引いた総ピーク面積値とカーボン膜厚の関係に着目し
た。
【0038】図3は、カーボン保護膜のラマンスペクト
ルの一例を示すもので、図中の斜線領域がピーク面積値
に相当する。
【0039】検証の結果、ラマン分光法によって得られ
たカーボンの膜厚と実際のカーボン保護膜の膜厚とには
良好な相関性が見られ、ラマン分光法を用いてカーボン
膜の膜厚評価は充分可能であることが判明した。かかる
評価法によれば、カーボン保護膜の膜厚と膜質の評価を
同時に行うことができ、評価作業の迅速化を図ることが
できる。また、非接触で測定できることは勿論のこと、
特別の前処理を必要としないこと、測定に要する時間が
数秒であること、エリプソメトリーのように下地の状態
に影響を受けない等から、CVD成膜過程における測定
も可能であるので、カーボン保護膜の成膜制御に用いる
ことが出来る。
【0040】図4は、インラインで上記ラマンスペクト
ルを測定し、カーボン保護膜の成膜制御に用いるように
したRFプラズマCVD装置の一例を示す。
【0041】このRFプラズマCVD装置11では、真
空排気装置12により排気された真空槽13内に配設さ
れた反応管14にメタン、エチレン等の原料ガス15が
供給され、その原料ガス15がRF電源(図示せず。)
よりコイル16にRF電力が供給されて発生するRF電
界によりプラズマ化して反応し、メインロール17に密
着して走行される被処理体(ここでは非磁性支持体上に
金属磁性薄膜を形成した蒸着テープ)18上にDLC膜
等のカーボン保護膜が形成される。
【0042】ここで、巻き出しロール19から繰り出さ
れる被処理体18は、ガイドロール20a〜20eを経
由して、キャン状のメインロール17により回転駆動さ
れ、巻き取りロール21に巻き取られる。
【0043】メインロール17の近傍には、成膜直後
の、例えばガイドロール20dに密着した被処理体18
に対し、ガイドロール10dの中心軸とは直交する方向
からレーザ光及びラマン散乱光が導光されるように、一
定の距離でラマンスペクトル測定用の測定子22が取り
付けられている。
【0044】測定子22は、光ファイバ23を介して、
RFプラズマCVD装置11の外部に設置されるレーザ
光発振装置24及び分光測定器25に接続されている。
さらに、分光測定器25には、演算部26が接続されて
いる。
【0045】上記のようなラマン分光測定器の構成によ
り、被処理体18上のカーボン保護膜のラマンスペクト
ルをインラインで成膜直後に測定することができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0047】先ず、非磁性支持体上に金属磁性薄膜とカ
ーボン膜とが形成されてなる磁気テープを作製した。
【0048】具体的には、厚さ10μmのポリエチレン
テレフタレート(PET)フイルム上に、Coを蒸着源
に用いた真空蒸着を行うことにより、膜厚200nmの
金属磁性薄膜を成膜した。金属磁性薄膜の成膜条件は下
記の通りである。
【0049】金属磁性薄膜の成膜条件 成膜装置:連続巻き取り式蒸着装置 蒸着源:Co100% 蒸着粒子の入射角:45°〜90° 導入ガス:酸素ガス 蒸着時真空度:2×10-2Pa 磁性層の厚さ:200nm そして、この蒸着膜表面に、プラズマCVD装置を用い
てカーボン保護膜を成膜することで磁気記録媒体を作製
した。
【0050】CVD条件を以下に示す。
【0051】CVD条件 反応ガス:エチレン 反応ガスの圧力:30Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV テープ送り速度を0.5〜15m/分の範囲で変化させ
ることによって、カーボン保護膜の膜厚を種々に異なら
せた。
【0052】また、反応ガスをエチレンからアセチレン
に変えた以外は同様の条件でカーボン保護膜を成膜した
磁気テープも作製した。
【0053】そして、バックコートにはカーボンを主体
とする塗料を厚さ0.5μmに塗布した。カーボン保護
膜の表面には潤滑剤としてフッ素系材料を塗布した。こ
れらのテープを裁断することによりカーボン膜の膜厚お
よび膜質が異なる10種類の磁気テープ(サンプルテー
プ1〜10)を作製した。
【0054】ここで、サンプルテープ1〜10における
カーボン膜の膜厚を調べるため、ラマン測定を行った。
【0055】測定条件 装置:Renishaw社 日本電子JRS−SYS1000
(D) 光源:Ar+レーザー(波長514.5nm) 光源出力:2.5mW 試料上での出力:0.33mW レーザービーム径:21μm 試料条件:室温、大気中 測定波長:1000cm-1〜1800cm-1 バックグランドの差し引き:直線 また、作製された磁気記録媒体について耐久性の試験も
行った。耐久性は市販のデジタルVTR装置を用い、ポ
ーズ状態で再生出力が3dB低下するまでの時間として
評価した。
【0056】また、カーボン膜厚を算出するための検量
線は、ミクロトーム−TEMによって膜厚の測定がおこ
なわれたサンプルをもとに作成した。但し、膜厚が4n
m以下の場合には、ミクロトーム−TEMによる膜厚測
定ができないので、ミクロトーム−TEMによる膜厚測
定が可能な膜厚のカーボンの送り速度に基づいて、厳密
に条件設定を行った上で、成膜時の送り速度を調整する
ことによって膜厚制御を行った。
【0057】図5に既知のカーボン膜厚とラマンピーク
の面積値との相関関係を表す特性図を示す。
【0058】また。表1に、測定されたカーボン保護膜
の膜厚、出力及び耐久性の測定結果を示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1より、ラマン分光法によって得られた
カーボン膜厚と出力および耐久性は密接な関係を持つこ
とがわかる。また、カーボン膜の膜厚が2nm〜30n
mの範囲でバランスのとれた特性が確保されていること
がわかる。これより、磁気記録媒体の保護膜として形成
されるカーボン保護膜は、その膜厚が2nm以上となる
ように制御される必要があることがわかる。
【0061】このような薄い膜厚はミクロトーム−TE
Mでは測定できない範囲である。
【0062】以上の実験結果により、磁気記録媒体の保
護膜として形成されるカーボン膜の膜厚評価法として、
本発明を適用することが非常に有効であることがわか
る。
【0063】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、カーボン保護膜の膜厚を、従来測定不可能
であった膜厚であっても正確に測定することが可能であ
る。
【0064】また、カーボン保護膜の膜厚と膜質の評価
を同時に行う事が出来、評価作業の迅速化を図ることが
できる。
【0065】さらに、非接触で測定できることは勿論の
こと、特別の前処理を必要としないこと、測定に要する
時間が数秒であること、エリプソメトリーのように下地
の状態に影響を受けないこと等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定対象となる磁気記録媒体の一例を模式的に
示す概略断面図である。
【図2】ラマン効果の原理を説明する模式図である。
【図3】ラマンスペクトルの一例を示す特性図である。
【図4】ラマン分光測定器を組み込んだRFプラズマC
VD装置の一例を示す模式図である。
【図5】カーボン保護膜の膜厚とラマンピークの面積値
との相関関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 金属磁性薄膜、3 カーボン保
護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 亮一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 2F065 AA30 BB13 BB15 BB17 CC02 CC31 DD06 FF00 GG05 GG22 HH04 LL67 PP16 PP22 5D112 AA07 BC05 FA02 JJ01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜及びカー
    ボン保護膜を少なくとも積層形成してなる磁気記録媒体
    に対してラマン分光法による観測を行い、1000cm
    -1〜1800cm-1に出現するピーク面積値を用いて前
    記カーボン保護膜の膜厚を求めることを特徴とするカー
    ボン保護膜の膜厚測定方法。
  2. 【請求項2】 上記磁気記録媒体の被測定面にレーザ光
    を照射し、カーボン保護膜から放出される1000cm
    -1〜1800cm-1のラマン散乱光を測定することを特
    徴とする請求項1記載のカーボン保護膜の膜厚測定方
    法。
  3. 【請求項3】 上記カーボン保護膜の成膜と上記カーボ
    ン保護膜の膜厚測定をインラインで連続的に行うことを
    特徴とする請求項1記載のカーボン保護膜の膜厚測定方
    法。
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Cited By (6)

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