JPH1196541A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JPH1196541A
JPH1196541A JP26046697A JP26046697A JPH1196541A JP H1196541 A JPH1196541 A JP H1196541A JP 26046697 A JP26046697 A JP 26046697A JP 26046697 A JP26046697 A JP 26046697A JP H1196541 A JPH1196541 A JP H1196541A
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JP
Japan
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protective film
carbon protective
magnetic
density
film
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Application number
JP26046697A
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English (en)
Inventor
Takao Mori
敬郎 森
Atsumichi Kawashima
敦道 川島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性層2上にカーボン保護膜3を設けること
によって磁気記録媒体の摺動耐久性とともに耐環境性を
改善する。 【解決手段】 カーボン保護膜の密度を1.5g/cm
3以上に規制する。さらにカーボン保護膜のラマン分光
分析における1550cm-1でのピーク強度Igと80
0cm-1でのピーク強度Isの比Ig/Isを4.5以
上の範囲にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、特に保護膜の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、酸化
物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の粉末磁性材料を塩
化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、
ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機バインダー中
に分散せしめた磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布、乾
燥することで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁
気記録媒体が広く使用されている。
【0003】一方、高密度磁気記録への要求の高まりと
ともに、Co−Ni合金、Co−Cr合金、Co−O等
の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真空蒸
着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等)
によってポリエステルフィルムやポリアミド、ポリイミ
ドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着することで磁
性層が形成される、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気記録
媒体が提案され注目を集めている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、抗
磁力や角形比等に優れるとともに、磁性層の厚みを極め
て薄くできるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著し
く小さく、短波長での電磁変換特性に優れる。また、そ
ればかりでなく、磁性層中に非磁性材であるバインダー
を混入する必要がないため、磁性材料の充填密度を高め
ることができること等、数々の利点を有している。この
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は、このような磁気特性
的な優位さ故に高密度磁気記録用の媒体として主流にな
ると考えられる。
【0005】特に、金属磁性材料を斜め方向から蒸着す
ることで磁性層が形成される、斜法蒸着タイプの磁気記
録媒体は、電磁変換特性に優れ、大きな出力が得られる
ことから既に実用化されている。
【0006】このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
では、さらなる高密度化の流れからヘッドとの間のスペ
ーシング損失をより小さくする必要が出てきており、こ
のため磁性層表面は平滑化される方向にある。しかし、
磁性層表面が平滑化されると、ヘッドに対する接触面積
が増大することから、ヘッド−媒体間の摩擦力が増大
し、媒体に生ずる剪断応力が大きくなる。そこで、摺動
耐久性を付与する目的で、磁性層表面に保護膜を形成す
る技術の検討がされている。
【0007】保護膜としては、カーボン膜、石英(Si
2)膜、ジルコニア(ZrO2)膜等が検討されてお
り、なかでもダイヤモンド構造を有する硬質カーボン膜
(DLC膜)は、摺動耐久性に非常に優れ、今後、保護
膜の主流になるものと考えられる。
【0008】なお、このDLC膜は、スパッタリング法
あるいはCVD(化学気相成長)法によって形成される
が、スパッタリング法は膜形成速度が比較的遅いことか
ら、工業的にはCVD法を用いる方が有利である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、金属磁性薄
膜型の磁気記録媒体で形成される保護膜としては、摺動
耐久性に優れるとともに、金属磁性薄膜が酸化物磁性材
料に比べて非常に酸化し易いことから、金属磁性薄膜を
湿気等の腐食因子から保護する遮蔽効果も有しているこ
とが求められる。
【0010】しかしながら、スパッタリング法やCVD
法で成膜されるカーボン保護膜は成膜条件によって膜の
状態が大きく変動し、カーボン保護膜の遮蔽効果はこの
膜の状態の変動によって損なわれ易い。このため、これ
までのカーボン保護膜では摺動耐久性は付与できても耐
環境性を十分に改善することはできないのが実情であ
る。
【0011】そこで本発明はこのような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、保護効果に優れたカーボン
保護膜を設けることによって摺動耐久性とともに耐環境
性にも優れた磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、磁
性層が形成され、この上にカーボン保護膜が形成されて
なり、上記カーボン保護膜の密度が1.5g/cm3
上であることを特徴とするものである。
【0013】また、カーボン保護膜は、ラマン分光分析
における1550cm-1でのピーク強度Igと800c
-1でのピーク強度Isの比Ig/Isが4.5以上で
あるのが望ましい。
【0014】密度が1.5g/cm3以上のカーボン保
護膜は、摺動耐久性に優れるとともに膜質が密であるこ
とから腐食因子を遮蔽する効果にも優れている。したが
って、このようなカーボン保護膜を磁性層の上に設ける
と、摺動耐久性だけでなく磁気記録媒体の耐環境性も大
きく改善される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0016】本発明の磁気記録媒体は、図1に示すよう
に、非磁性支持体1上に磁性層2が形成され、この上に
カーボン保護膜3が形成されて構成される。
【0017】上記非磁性支持体1の材質としては、例え
ば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、
ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン類、
セルローストリアセテート,セルロースダイアセテー
ト,セルロースブチレート等のセルロース誘導体、ポリ
塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポ
リカーボネート,ポリイミド,ポリアミド等の高分子材
料の他、アルミニウム合金,チタン合金等の軽金属、ア
ルミナガラス等のセラミック等が挙げられる。非磁性支
持体にアルミニウム合金板やガラス板等の剛性を有する
基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等
の酸化被膜やNi−P被膜等を形成してその表面を硬く
するようにしてもよい。
【0018】上記磁性層2は、例えば金属磁性材料を薄
膜形成技術によって非磁性支持体上に直接被着すること
で設けられる。
【0019】金属磁性材料としては、Fe,Co,Ni
などの強磁性金属、Fe−Co,Co−Ni,Fe−C
o−Ni,Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,Co
−Pt,Mn−Bi、Mn−Al,Fe−Cr,Co−
Cr,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−C
r,Fe−Co−Ni−Cr等の強磁性合金が挙げられ
る。金属磁性薄膜は、これら金属磁性材料の単層膜であ
ってもよいし、層毎に組成あるいは成膜条件を変えた多
層膜であってもよい。さらには、非磁性支持体と金属磁
性薄膜の間に下地層を設けたり、多層膜の場合には各層
間に中間層を設けることで、付着力の向上、抗磁力の制
御等を行うようにしても良い。
【0020】金属磁性薄膜を形成するための薄膜形成技
術としては、真空下で強磁性材料を加熱蒸発させ非磁性
支持体上に沈着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の
蒸発を放電中で行うイオンプレーティング法、アルゴン
を主成分とする雰囲気中でグロー放電を起こし生じたア
ルゴンイオンでターゲット表面の原子をただき出すスパ
ッタ法等、いわゆるPVD(物理的気相成長)技術が用
いられる。
【0021】このような磁性層2上には、摺動耐久性を
付与するとともに外部の湿気等から磁性層2を保護する
ために、カーボン保護膜3が設けられる。そして、本発
明では、特にこのカーボン保護膜3の密度が1.5g/
cm3以上に規制される。
【0022】密度が1.5g/cm3以上のカーボン保
護膜3は、膜質が密であることから腐食因子を遮蔽する
効果に優れており、摺動耐久性だけでなく磁気記録媒体
の耐環境性も大きく改善することができる。
【0023】また、カーボン保護膜は、密度が1.5g
/cm3以上であるとともにラマン分光分析における1
550cm-1でのピーク強度Igと800cm-1でのピ
ーク強度Isの比Ig/Isが、4.5以上であるのが
望ましい。
【0024】ここでカーボン保護膜で観測される、Ar
+レーザー(波長514.5nm)でのラマン・スペク
トルの典型例を図2に示す。
【0025】カーボン保護膜のラマン・スペクトルで
は、1550cm-1と1400cm-1にピークが観測さ
れ、このうち1550cm-1でのピークはsp2軌道に
由来し、1400cm-1でのピークはsp3軌道に由来
する。このうちsp2軌道に由来する1550cm-1
のピーク強度Igはカーボン保護膜の膜密度と相関関係
があり、このピーク強度Igが大きい値のもの程膜の密
度が大きい傾向がある。
【0026】そこで、本発明では1550cm-1でのピ
ーク強度Igを、800cm-1でのピーク強度Isとの
比をとることで標準化した値Ig/Isを4.5以上に
規制する。Ig/Isが4.5以上のカーボン保護膜は
膜密度が大きく、磁気記録媒体の摺動耐久性、耐環境性
を改善することができる。
【0027】そして、さらにカーボン保護膜は、sp3
軌道に由来する1400cm-1でのピーク面積強度Dと
sp2軌道の由来する1550cm-1でのピーク面積強
度Gとの比D/Gが1〜2であることが望ましい。この
D/Gはカーボン保護膜の硬度を反映するものであり、
通常この値が小さいもの程硬質な膜であることを意味す
る。
【0028】一方、例えばテープ状の磁気記録媒体の場
合、カーボン保護膜があまり硬質であると可撓性が得ら
れず、磁気ヘッドに対する当たりが悪くなり、電磁変換
特性が損なわれる。このようなヘッドに対する当たり不
良を防止するために、硬度を反映するD/Gは1以上で
あるのが好ましい。また、カーボン保護膜の強度の点で
はこのD/G強度は2以下であるのが望ましい。
【0029】このようなカーボン保護膜3はスパッタリ
ング法やCVD(化学気相成長)法等によって成膜さ
れ、カーボン保護膜3の密度は成膜に際する成膜条件を
制御することによって上記範囲とすることができる。
【0030】例えばプラズマによって反応ガスに分解、
合成等の化学反応を生じさせ、生じた反応物を被成膜面
に被着堆積させるプラズマCVD法では、プラズマ電極
に印加する直流電圧や反応ガスの種類によって膜密度が
制御される。
【0031】この場合、1.5g/cm3以上の膜密度
を得るためには、プラズマ電極に印加する印加電圧を
1.2kV以上とするのが望ましい。印加電圧をこのよ
うに高めに設定することによって反応ガスの分解が促進
され、膜密度が高くなる。
【0032】また、カーボン保護膜を成膜するための反
応ガスとしては炭化水素系ガスが用いられるが、高い膜
密度のためにはこの炭化水素ガスとして二重結合や三重
結合といった不飽和結合を有さないもの、例えばエタ
ン、メタン等を用いるのが好ましい。さらに、炭化水素
系ガスに、B26のような水素を含むガスやArガス等
を混合することによっても膜密度を高めることができ
る。この場合、化学反応を生じさせるための反応管を複
数用い、各反応管で炭化水素系ガスと他のガスの混合比
を変えるようにしても良い。
【0033】このようなカーボン保護膜3の膜厚は5〜
20nmであるのが望ましい。密度が上記範囲とされた
カーボン保護膜3は比較的薄い膜厚範囲でも優れた保護
効果が得られるが、膜厚が5nmよりも薄くなるとその
効果が十分に得られなくなり、耐環境性が不足する。ま
た、カーボン保護膜3の膜厚が20nmを超えると、磁
気ヘッドと磁性層の間のスペーシングが広くなり、電磁
変換特性が損なわれる。
【0034】以上が本発明の基本的な構成であるが、こ
の磁気記録媒体には、この他、磁気記録媒体で一般に設
けられている付加的な構成をもたせるようにしてもよ
い。
【0035】たとえは、非磁性支持体1の磁性層2が形
成されている側とは反対側の面に非磁性顔料と結合剤を
主体とするバックコート層を形成したり、カーボン保護
膜3の上にさらに潤滑剤等よりなるトップコート層を形
成することで走行性の改善を図るようにしてもよい。ま
た、非磁性支持体1表面に下塗層を設け、その表面性を
磁性層2やカーボン保護膜3表面に反映させることによ
って媒体自体の表面性を制御しても構わない。これらバ
ックコート層、トップコート層、下塗層の材料は、磁気
記録媒体において通常用いられているものがいずれも使
用可能である。
【0036】磁気記録媒体の形状は、特に限定されずテ
ープ状であってもディスク状であっても構わない。特に
テープ状とされた場合には、カートリッジ内に収容され
るディスク状の媒体よりも外に露出する機会が多いこと
から湿気等の影響を受けやすい。したがって、本発明の
効果が顕著に発揮される。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0038】プラズマCVD装置の構成 カーボン保護膜を成膜するために使用したプラズマCV
D装置を図3に示す。
【0039】このプラズマCVD装置は、頭部に設けら
れた真空排気系20によって内部が高真空状態となされ
た真空室21内に、図中の反時計回り方向に定速回転す
る送りロール22と、図中の反時計回り方向に定速回転
する巻取りロール23とが設けられ、これら送りロール
22から巻取りロール23に、金属磁性薄膜が形成され
た非磁性支持体24が順次走行するようになされてい
る。
【0040】これら送りロール22から巻取りロール2
3側に上記非磁性支持体24が走行する中途部には、上
記各ロール22,23の径よりも大径となされた支持ロ
ール25が設けられている。この支持ロール25は、非
磁性支持体24の走行を案内するとともに後述のプラズ
マ電極26,27に対する対向電極としての機能も兼ね
る。この支持ロール25は、上記非磁性支持体24を図
中下方に引き出すように設けられ、図中の時計回り方向
に定速回転する構成とされる。尚、上記送りロール2
2,巻取りロール23及び支持ロール25は、それぞれ
非磁性支持体24の幅と略同じ長さからなる円筒状をな
すものである。
【0041】したがって、上記非磁性支持体24は、送
りロール22から順次送り出され、さらに上記支持ロー
ル25の周面を通過し、巻取りロール23に巻き取られ
ていくようになされている。なお、上記送りロール22
と上記支持ロール25との間及び該支持ロール25と上
記巻取りロール23との間にはそれぞれ回転支持体28
が配設され、上記送りロール22から支持ロール25及
び該支持ロール25から巻取りロール23に亘って走行
する非磁性支持体24に所定のテンションをかけ、該非
磁性支持体24が円滑に走行するようになされている。
【0042】また、上記真空室21内には、上記支持ロ
ール25の側方(図中右側)に第1の反応管が設けら
れ、また上記支持ロール9の下方に第2の反応管が設け
られている。これら第1の反応管29と第2の反応管3
0はパイレックスガラス,プラスチック等よりなる中空
管として構成されている。
【0043】このうち第1の反応管29は、一方の端部
29aが真空室21の側壁部を貫通しており、この端部
29aから反応ガスが当該反応管29内に導入されるよ
うになっている。また、この第1の反応管29内の中途
部には金メッシュ等よりなる第1のプラズマ電極26が
取り付けられている。
【0044】また、第2の反応管30は、一方の端部3
0aが真空室21の底部を貫通しており、この端部30
aから反応ガスが当該反応管30内に導入されるように
なっている。また、この第2の反応管30内の中途部に
は金メッシュ等よりなる第2のプラズマ電極27が取り
付けられている。
【0045】これら第1の反応管29と第2の反応管3
0では、第1のプラズマ電極26と第2のプラズマ電極
27にそれぞれ外部の直流電源31,32より+500
V〜+2000Vの電位が印加されるようになってお
り、これらプラズマ電極26,27と支持ロール25と
の間にグロー放電が生じる。第1の反応管29、第2の
反応管30内に導入された反応ガスは、この生じたグロ
ー放電によって分解される。
【0046】そして、連続走行している非磁性支持体2
4上に形成された金属薄膜表面には、まず第1の反応管
29上を通過する際に第1の反応管29内で生じた反応
ガスの分解物が被着堆積し、次いで第2の反応管30上
を通過する際に第2の反応管30内で生じた反応ガスの
分解物が被着堆積することによって保護膜が形成され
る。
【0047】以下の実施例及び比較例では、このような
プラズマCVD装置によってカーボン保護膜を成膜し、
磁気記録媒体を作成した。
【0048】実施例1 厚さ10μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上
に、蒸着法によって、酸素ガスを導入しながらCo−O
蒸着膜を磁性層として成膜した、蒸着条件は以下の通り
である。
【0049】蒸着源:Co100 蒸気流の入射角:45〜90゜ 導入ガス:酸素ガス 蒸着時真空度:2×10-2Pa 磁性層の厚さ:200nm そして、このCo蒸着膜表面に、上記プラズマCVD装
置を用いてカーボン保護膜を成膜することで磁気記録媒
体を作成した。CVD条件を以下に示す。
【0050】第1の反応管 反応ガス:エチレンとB26の混合ガス(エチレン:B
26(流量比)=100:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.5kV 第2の反応管 反応ガス:エチレン 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:2.0kV カーボン保護膜の厚さ:10nm実施例2 カーボン保護膜を成膜するに際して、第2の反応管での
直流電圧を1.5kVに変えたこと以外は実施例1と同
様にして磁気記録媒体を作成した。
【0051】実施例3 カーボン保護膜を成膜するに際して、第2の反応管での
直流電圧を1.2kVに変えたこと以外は実施例1と同
様にして磁気記録媒体を作成した。
【0052】実施例4 カーボン保護膜を成膜するに際して、第1の反応管及び
第2の反応管でのCVD条件を以下のように変えたこと
以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。
【0053】第1の反応管 反応ガス:エタンとB26の混合ガス(エタン:B26
(流量比)=100:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV 第2の反応管 反応ガス:エタンとアルゴンの混合ガス(エタン:アル
ゴン(流量比)=3:1) 反応ガスの圧力:30Pa プラズマ電極の直流電圧:1.5kV実施例5 カーボン保護膜を成膜するに際して、第1の反応管及び
第2の反応管でのCVD条件を以下のように変えたこと
以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。
【0054】第1の反応管 反応ガス:エチレンとB26の混合ガス(エチレン:B
26(流量比)=100:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV 第2の反応管 反応ガス:エチレンとアルゴンの混合ガス(エチレン:
アルゴン(流量比)=5:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.5kV実施例6 カーボン保護膜を成膜するに際して、第1の反応管及び
第2の反応管でのCVD条件を以下のように変えたこと
以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。
【0055】第1の反応管 反応ガス:メタンとB26の混合ガス(メタン:B26
(流量比)=100:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.3kV 第2の反応管 反応ガス:メタン 反応ガスの圧力:40Pa プラズマ電極の直流電圧:1.3kV比較例1 カーボン保護膜を成膜するに際して、第2の反応管での
直流電圧を0.8kVに変えたこと以外は実施例1と同
様にして磁気記録媒体を作成した。
【0056】比較例2 カーボン保護膜を成膜するに際して、第1の反応管及び
第2の反応管でのCVD条件を以下のように変えたこと
以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。
【0057】第1の反応管 反応ガス:アセチレンとB26の混合ガス(エタン:B
26(流量比)=100:1) 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV 第2の反応管 反応ガス:アセチレン 反応ガスの圧力:20Pa プラズマ電極の直流電圧:1.2kV比較例3 カーボン保護膜を成膜するに際して、第1の反応管を用
いず、第2の反応管のみで成膜を行ったこと以外は実施
例1と同様にして磁気記録媒体を作成した。なお、第2
の反応管でのCVD条件は実施例1の場合と同様であ
る。
【0058】以上のようにして作成された磁気記録媒体
のカーボン保護膜の密度及びラマン分光分析で観測され
た1550cm-1でのピーク強度Igと800cm-1
のピーク強度Isの比Ig/Isを表1に示す。
【0059】なお、密度は、シリコン基板上に、実施例
1〜実施例6及び比較例1〜比較例3で行ったのと同じ
条件でカーボン保護膜を成膜し、それぞれ(カーボン保
護膜の重量)/(カーボン保護膜の体積)を算出するこ
とで求めた。ここでカーボン保護膜の重量はカーボン保
護膜が成膜されたシリコン基板の重量からシリコン基板
単体の重量を差し引くことで求め、カーボン保護膜の体
積はカーボン保護膜が成膜された領域の面積とカーボン
保護膜の膜厚から算出した。
【0060】ラマン分光分析での測定条件は以下の通り
である。
【0061】 装置 :Ga−505型 光源 :Ar+レーザー(波長514.5nm) 光源出力 :1.0mW 分光器 :Dilor−XY スリット幅:200μm 検出器 :CCDマルチチャンネル 試料条件 :室温、大気中 レーザービーム径:数十μm また、作成された磁気記録媒体について、耐環境性試験
を行った。
【0062】耐環境性試験は、温度30℃相対湿度70
%に維持された恒温槽内を0.5ppmのSO2ガス雰
囲気とし、この恒温槽内で磁気記録媒体を10日間保存
したときの飽和磁化量の劣化を調べることで行った。飽
和磁化劣化量ΔMsの変化は次式によって求めた。
【0063】 ΔMs=[(Ms1−Ms0)/Ms0]×100 ΔMs:飽和磁化劣化量 Ms0:保存前飽和磁化量 Ms1:保存後飽和磁化量 この耐環境性試験の測定結果をカーボン保護膜の密度及
びIg/Isの値と併せて表1に示す。また、カーボン
保護膜の密度とIg/Isの関係を図4に、カーボン保
護膜の密度と飽和磁化劣化量ΔMsの関係を図5に示
す。
【0064】
【表1】
【0065】まず、図4を見ると、カーボン保護膜の密
度とIg/Isとは相関関係があり、密度が大きいもの
程Ig/Isが大きな値になっている。このことからI
g/Isはカーボン保護膜の密度の指標となることがわ
かる。
【0066】次に、表1及び図5を見ると、カーボン保
護膜の密度が高く、Ig/Isが大きい値のもの程、飽
和磁化が劣化し難いことがわかる。ここで、画音質に影
響を来さない飽和磁化の劣化分は10%以下であり、劣
化分が10%以下になるのはカーボン保護膜の密度が
1.5g/cm3以上であり、またIg/Isが4.5
以上の場合である。
【0067】以上のことから磁性層上に形成するカーボ
ン保護膜の膜密度を1.5g/cm3以上に規制し、さ
らにはIg/Isを4.5以上に規制することによって
磁気記録媒体の耐環境性が改善されることがわかった。
【0068】なお、以上の実施例及び比較例の磁気記録
媒体においてはカーボン保護膜のD/Gはいずれも1〜
2の範囲にあった。また、カーボン保護膜のD/Gが1
未満またはD/Gが2を超える磁気記録媒体について特
性の検討を行ったが、D/Gが1未満の場合には磁気ヘ
ッドに対する当たりが悪く、十分な電磁変換特性が得ら
れなかった。また、D/Gが2を超える場合には保護膜
の耐久性が低く、走行耐久性が不十分であった。
【0069】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体では磁性層上に密度が1.5g/cm
3以上のカーボン保護膜が設けられるので、優れた摺動
耐久性が得られるとともに耐環境性にも優れている。し
たがって、摺動耐久性や耐環境性が厳しく要求され、い
わゆるデータストリーマーやビデオライブラリ等の用途
でも十分に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す概
略断面図である。
【図2】カーボン保護膜で観測されるラマン・スペクト
ルの典型例を示す特性図である。
【図3】カーボン保護膜を成膜するためのプラズマCV
D装置を示す模式図である。
【図4】カーボン保護膜の密度とIg/Isの関係を示
す特性図である。
【図5】カーボン保護膜の密度と飽和磁化劣化量ΔMs
の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 カーボン保護膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、磁性層が形成され、
    この上にカーボン保護膜が形成されてなり、 上記カーボン保護膜の密度が、1.5g/cm3以上で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記カーボン保護膜のラマン分光分析に
    おける1550cm-1でのピーク強度Igと800cm
    -1でのピーク強度Isの比Ig/Isが、4.5以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
JP26046697A 1997-09-25 1997-09-25 磁気記録媒体 Pending JPH1196541A (ja)

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