JP2000265163A - 徐放性親水性部材 - Google Patents

徐放性親水性部材

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JP2000265163A
JP2000265163A JP11074411A JP7441199A JP2000265163A JP 2000265163 A JP2000265163 A JP 2000265163A JP 11074411 A JP11074411 A JP 11074411A JP 7441199 A JP7441199 A JP 7441199A JP 2000265163 A JP2000265163 A JP 2000265163A
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hydrophilic
sustained
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surfactant
water
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JP11074411A
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Hidefumi Fujimoto
英史 藤本
Shinji Toyofuku
信次 豊福
Kaori Morihara
かおり 森原
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤・親水性物質の水で流れ落ちやす
い性質を利用し、徐放性物質で流れ落ちる量をコントロ
ールすることによって、手間をかけずに汚れの付着を防
止し、また、汚れが付着した場合には速やかに除去する
ことによって、清浄でかつ高度な親水性表面を繰り返し
再現し、長期にわたって良好な防曇・防汚性を維持でき
る部材を提供することを目的とする。 【解決手段】 最表面に界面活性剤及び/又は親水性物
質及び水に対し徐放性を有する物質(徐放性物質)が固
定された親水性部材であって、該物質が水や水蒸気に接
触することによって、表面に固定された界面活性剤及び
/又は親水性物質を部材表面に徐放させ、防曇性及び/
又は防汚性を呈することを特徴とする徐放性親水性部材
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚染付加量が大き
く、絶えず多量な水蒸気や水のかかる環境下、主とし
て、浴室・シャワールーム等において好適に使用できる
防曇・防汚性を有する部材に関する。
【0002】
【従来の技術】部材の曇りや汚れを防止する方法とし
て、基材表面に親水性を付与することが従来行われてい
る。親水性を付与する方法として、部材表面に界面活性
剤を塗布する方法、親水性モノマー・ポリマー等の親水
性物質を塗布する方法などが知られている。界面活性剤
を塗布する方法によれば、界面活性剤によって表面に付
着した水滴を水膜化することによって、親水性モノマー
・ポリマー等を塗布する方法によれば鏡表面に付着した
水分を吸水することによって、水滴の付着・形成を防
ぎ、部材表面の曇りや汚れを防止することが可能にな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】界面活性剤・親水性物
質は水分によって流れ落ちやすく、特に浴室のように水
が頻繁にかかる環境においては、効力の持続性に問題が
あり、さらに親水性モノマー・ポリマーなどの親水性物
質は、吸水すると表面が柔らかく傷つきやすくなる。ま
た、いずれも空気中の汚れなどを吸着しやすいという欠
点があった。とりわけ、浴室は、水道水中の金属イオン
に起因する汚れ、石鹸かすや皮脂などの他、洗髪・洗体
時に使用する洗浄剤、特にリンス中の保湿成分でもある
シリコーン、さらさら感を得るためのカチオン等、部材
表面が水をはじきやすくなる汚染物が非常に多い。さら
に、それらは洗髪・洗体時に直接飛散したり、シャワー
によって間接的に飛散したり、付着しやすい状況にあ
る。このように多種多様な汚れが存在し、かつ付着しや
すい、汚染負荷量が大きい環境下において、上記の部材
が防曇性・防汚性を発揮できるのは、初期の鏡が清浄な
状態を保持できている間だけであり、長期間防曇性・防
汚性を保持することはほとんど不可能であった。付着し
た汚れを都度払拭する方法もあるが、手間がかかるう
え、せっかく手間をかけても手の油がつけばそれだけで
も親水性を阻害することになり、確実に親水性を回復さ
せることは難しかった。
【0004】本発明では、以上の事情に鑑み、界面活性
剤や親水性物質の水で流れ落ちやすい性質を利用し、徐
放性物質でそれらが流れ出る量をコントロールすること
によって、手間をかけずに汚れの付着を防止し、また、
汚れが付着した場合には速やかに除去することによっ
て、清浄でかつ高度な親水性表面を繰り返し再現し、長
期にわたって良好な防曇・防汚性を維持できる部材を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決すべく、最表面に界面活性剤及び/又は親水性物質及
び水に対し徐放性を有する物質(徐放性物質)が固定さ
れた親水性部材であって、該物質が水や水蒸気に接触す
ることによって、表面に固定された界面活性剤及び/又
は親水性物質を部材表面に徐放させ、防曇性及び/又は
防汚性を呈することを特徴とする徐放性親水性部材を提
供する。部材の最表面に界面活性剤及び/又は親水性物
質及び徐放性物質を固定させることにより、界面活性剤
や親水性物質がすぐに流れ落ちてしまわないよう徐々に
放出させながら、親水性を維持しつつ、汚れを容易に引
き剥がし、部材の防曇・防汚性を長期間にわたって持続
させることを可能にする。
【0006】本発明の好ましい態様においては、微細な
凹凸構造を有する部材の最表面に界面活性剤及び/又は
親水性物質及び徐放性物質が固定されたものとする。こ
こで微細な凹凸構造とは、微細な孔を有する多孔質構
造、スケルトン構造溝状など様々な形態を含む。微細な
凹凸構造は、そのものが親水性を有しているが、界面活
性剤や親水性物質は細孔部に浸透してさらに親水性を高
めることができる。凹凸の孔部に界面活性剤や親水性物
質が入り込み、密着性が向上する。また、凹凸によって
流れ落ちにくくもなる。さらには平滑な面よりも多量の
界面活性剤や親水性物質を保持できるため、その分長期
間親水性が維持できる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、前記凹
凸構造は機械的エッチングにより形成する。機械的エッ
チングによれば、部材の材質がどのようなものであって
も適用が可能なため、より簡便に密着性を向上させるこ
とができる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、前記凹
凸構造はケミカルエッチングにより形成する。ケミカル
エッチングにより形成した凹凸の孔部の形状はインクつ
ぼ状をしており、表面よりも奥が広くなっている。その
ため、界面活性剤や親水性物質を多く保持できる上に流
れ落ちにくくなるため、親水維持性は向上し、良好な防
曇・防汚性が長期間得られる。
【0009】本発明の好ましい態様においては、部材表
面に接合される、金属酸化物の1種以上を含有する凹凸
層を形成する。これによれば、より微細な凹凸構造がえ
られるため、密着性、防曇・防汚性が向上する。
【0010】本発明の好ましい態様においては、凹凸構
造を有する部材表面に、さらに金属酸化物からなる凹凸
層を形成する。これによれば、さらに複雑な凹凸表面と
なるため、密着性、流れ落ちにくさも向上し、親水性を
維持することが可能になるため、部材の防曇・防汚性は
さらに向上する。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記金
属酸化物は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニ
ア、酸化スズ、酸化亜鉛からなる群より選ばれたものを
主成分とする。これらの金属酸化物を使用することによ
り、耐薬品性、耐温水性などの耐久性に優れた微細な凹
凸表面が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の利用可能な部材は、絶え
ず多量の水蒸気や水がかかる環境下、主として浴室にて
使用されるものに利用できる。例えば、浴室の鏡、壁
材、壁目地、床材、床目地、天井、水栓金具、シャワ−
ホ−ス、シャワ−ヘッド、シャワ−吐水部、シャワ−フ
ック、浴槽、浴槽ハンドグリップ、浴槽エプロン、浴槽
排水栓、窓、窓枠、窓の桟、窓の床板、照明器具、すの
こ、グレ−チング、排水目皿、排水ピット、排水籠、排
水トラップ、トラップ封水筒、扉、扉枠、扉の桟、マッ
ト、石鹸置き、手桶、洗面器、風呂椅子、トランスファ
−ボ−ド、収納棚、手すり、風呂蓋、タオル掛け、シャ
ワ−チェア、洗面器置き台、換気扇、手すり、カウンタ
ー、洗面ボウル、タッチパネル、シ−ラントに好適に利
用できる。
【0013】本発明において、部材の材質は、セラミッ
ク、陶磁器材料、金属、ガラス、プラスチック、化粧合
板、ケイ酸カルシウム、モルタルあるいはそれらの複合
物等基本的に何でもよい。部材の形状もどのようなもの
でもよく、例えば、鏡、タイル、壁材、床材等の板状物
や、球状物、円柱状物、円筒状物、棒状物、角柱状物、
中空の角柱状物などの単純形状のものでも、衛生陶器、
洗面台、浴槽等およびその付属品などの複雑形状のもの
でもよい。
【0014】本発明による徐放性親水性部材は、浴室内
の水蒸気あるいはシャワーなどの際にかかる水によっ
て、部材表面にあらかじめ固定された界面活性剤及び/
又は親水性物質は徐放性物質によって徐々に放出され
る。固定された界面活性剤や親水性物質で部材表面の親
水性を高める、それらを放出することで撥水の原因とな
る汚れなどを引き剥がし、清浄化を保つことを可能にす
る。
【0015】本発明において、界面活性剤及び/又は親
水性物質及び徐放性物質を部材表面に塗布する方法は、
公知の方法から適宜選択すればよく、エアーガン、エア
レスガン、エアゾールスプレー等を用いたスプレーコー
ティング法、スピンコーティング法、ディップコーティ
ング法、フローコーティング法、ロールコーティング
法、刷毛塗り法、スポンジ塗り等があげられるが、これ
らに限定されるものではない。また、前記塗布液を部材
表面に塗布する前の処理として、各種シャンプーやプラ
イマー類、洗浄剤、コンパウンド類、帯電防止剤等を用
いることもできる。
【0016】本発明において、界面活性剤及び/又は親
水性物質及び徐放性物質を部材表面に固定する方法とし
ては、部材の特性に合わせて周知の方法より適宜選定さ
れれば良いが、部材表面に塗布した後、熱、紫外線等の
電磁波、電子線等の放射線などによって強固に固定させ
ることも可能である。
【0017】本発明において、界面活性剤としては、ス
ルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル
アンモニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエ−テルナトリウム塩、脂肪酸カリセッケ
ン、脂肪酸ナトリウムセッケン、ジオクチルスルホコハ
ク酸ナトリウム、アルキルサルフェ−ト、アルキルエ−
テルサルフェ−ト、アルキルサルフェ−トソ−ダ塩、ア
ルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、ポリオキシエチ
レンアルキルエ−テルサルフェ−ト、ポリオキシエチレ
ンアルキルエ−テルサルフェ−トソ−ダ塩、アルキルサ
ルフェ−トTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエ−
テルサルフェ−トTEA塩、2−エチルヘキシルアルキ
ル硫酸エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸
ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク
酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコ
ハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオ
イルザルコシン、アミドエ−テルサルフェ−ト、ラウロ
イルザルコシネ−ト、スルホFAエステルナトリウム塩
等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリ
ルエ−テル、ポリオキシエチレントリデシルエ−テル、
ポリオキシエチレンアセチルエ−テル、ポリオキシエチ
レンステアリルエ−テル、ポリオキシエチレンオレイル
エ−テル、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリ
オキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレン
アルキルフェノ−ルエ−テル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエ−テル、ポリオキシエチレンラウラ−ト、ポリオ
キシエチレンステアレ−ト、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオレエ−ト、
ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソル
ビタンアルキルエステル、ポリエ−テル変性シリコ−
ン、ポリエステル変性シリコ−ン、ソルビタンラウラ−
ト、ソルビタンステアレ−ト、ソルビタンパルミテ−
ト、ソルビタンセスキオレエ−ト、ソルビタンオレエ−
ト、ポリオキシエチレンソルビタンラウラ−ト、ポリオ
キシエチレンソルビタンステアレ−ト、ポリオキシエチ
レンソルビタンパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソル
ビタンオレエ−ト、グリセロ−ルステアレ−ト、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、アルキルアルキロ−ルアミ
ド、ラウリン酸ジエタノ−ルアミド、オレイン酸ジエタ
ノ−ルアミド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアル
キルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、
ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリ
オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマ−、ポ
リオキシエチレンステアレ−ト等のノニオン性界面活性
剤;ジメチルアルキルベタイン、アルキルグリシン、ア
ミドベタイン、イミダゾリン等の両性界面活性剤;オク
タデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ア
ルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テト
ラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ
オレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロ
キシ−2−アルキルイミダゾリン4級塩、アルキルイソ
キノリニウムブロマイド、高分子アミン、オクタデシル
トリメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルイミダゾリン4級塩、ジアルキルジメチ
ルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸
塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルプロピレンジ
アミン酢酸塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライ
ド等のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0018】本発明において、親水性物質としては、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びこれらの塩類を
含むポリアクリル酸塩類、ポリエチレンオキサイド、ポ
リプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイドな
どのポリアルキレンオキサイドなどが利用できる。その
他にも、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポ
リビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、ポリビニルア
ルコール系、エチレンビニルアルコール共重合体、イソ
ブチレン無水マレイン酸共重合体系、ポリアクリル酸ア
ミド系、ポリオキシエチレン系、多糖類系高分子が挙げ
られる。多糖類としては、ビスコース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースなどのセルロース系、可溶性デン
プン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプ
ンなどのデンプン系、その他アガロース、ヒアルロン酸
などが挙げられる。上記の他にも、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートのモノマーや、デキストラン、アルギ
ン酸、アルギン酸ナトリウム、カラジーナンなどの水溶
性高分子、セピオライト、カオリン、シリカゲル、水ガ
ラスなど水溶性無機物も使用可能である。
【0019】本発明において、徐放性物質とは、水がか
かると徐々に溶解する物質、または、そのものは水に溶
けないが、界面活性剤や親水性物質を徐放できる物質の
ことである。徐々に溶解する物質としては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、ポ
リフェニレンオキサイドなどのポリエーテル、これらポ
リエーテルの変性物の他、疎水性のポリプロピレングリ
コールに親水基としてエチレンオキサイドを付加させブ
ロックポリマーとしたプルロニック系高分子活性剤が挙
げられる。そのものは水に溶けないが、界面活性剤や親
水性物質を徐放できる物質としては、メチルセルロー
ス、エチルセルロースなどが使用可能である。徐放性物
質を使用することにより、界面活性剤や親水性物質がす
ぐに流れ出してしまうのを制御し、適量を徐々に溶け出
させるようにコントロールするのである。
【0020】部材表面に凹凸構造を形成する方法として
は、限定されるものではなく、部材表面に接合される微
細な凹凸を有する層を形成する方法、部材表面をエッチ
ングする方法、成形型上に微細な凹凸を形成して凹凸を
転写する方法などがある。中では、凹凸を有する層を形
成する方法、エッチングする方法が好ましい。親水性の
良好な微細な凹凸が得やすく、界面活性剤や親水性物質
との密着性が向上する。
【0021】部材表面に接合される凹凸を有する層を形
成する方法としては、限定されるものではなく、公知の
方法より選択すれば良いが、ゾル塗布法、CVD法、ス
パッタリング、真空蒸着法などによって、金属酸化物の
1種以上を含有する層を形成することが好ましい。これ
によれば、高度な親水性を呈する所望の凹凸を容易に形
成することができる。ここで、金属酸化物としては、シ
リカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、ボ
ロニア、マグネシア、カルシア、フェライト、ハフニ
ア、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化
第二鉄、酸化第一銅、酸化第二銅、三酸化二ビスマス、
酸化スズ、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化バリウ
ム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム等の単一酸化
物や、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、水ガラ
ス、アルミノケイ酸塩、リン酸カルシウム、チタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、
チタン酸カルシウム、アルミノシリケート等の複合酸化
物が好適に利用できる。中でも、シリカ、アルミナ、ジ
ルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛のいずれかを
使用することが好ましい。小さく細かい凹凸を形成する
にはシリカ、アルミナがよく、大きな凹凸を形成するに
はジルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛が好まし
い。ゾル塗布法においては、粒子径、後述するゾルの性
状に関して様々なものが入手可能なシリカが好ましい。
シリカは最も安価であり、実用性が非常に高い。
【0022】部材表面そのものを凹凸にする方法として
は、サンドブラスト、エッチングなどが挙げられるが、
ここではケミカルエッチングが好ましい。機械的エッチ
ングとは、機械的に表面を研磨あるいは侵食させる方法
であるが、金属酸化物粒子、研磨紙、研磨剤、ナイロン
不織布、たわしなど鏡表面に目視で確認できないくらい
の微細に表面加工できるものなら何を使用しても構わな
い。ケミカルエッチングとは、基材を例えば酸、アルカ
リ、過酸化物の溶液に浸漬あるいはその溶液を加温した
際に発生する蒸気に接触させ、その化学反応によって表
面処理を行う方法である。使用する溶液としては、塩
酸、硫酸、硫化アンモニウム、フッ酸、フッ化ホウ素、
ケイフッ化水素酸等の水溶液が挙げられる。
【0023】本発明において、前記界面活性剤及び/又
は親水性物質を含む洗剤を用いることも可能である。洗
剤であれば入手が容易な上に、洗浄効果も期待できる。
【0024】本発明において、酸を含むようにすること
も可能である。酸を含ませることで清浄維持性が向上す
る。酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、
リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、アミノ酸、ピルビン酸、オ
キサロ酢酸、イソクエン酸、コハク酸、マレイン酸、マ
ロン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、ピクリン酸、ニト
ロベンゼン、フェノ−ル、アジピン酸、フタル酸、フマ
ル酸、ギ酸、グリオキシル酸、オキソグルタル酸、ホス
ホグリセリン酸、アクリル酸、塩素酸、クロル酢酸、プ
ロピオン酸、吉草酸、酪酸、ニコチン酸、葉酸、アルキ
ル硫酸、乳酸、リポ酸、カルボン酸、オロト酸、グルタ
ミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、パントテン酸、グ
ロン酸、グルクロン酸、酒石酸、スルファミン酸が利用
可能である。
【0025】本発明において、アルカリを含むようにす
ることも可能である。アルカリを含ませることにより、
脂質・たん白質などを含む、主に人に起因する汚れに対
する分解力が向上し、清浄性を維持しやすい。アルカリ
としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭
酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウ
ム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、ア
ルカリ金属炭酸塩の他にもアンモニア、アミン等の有機
アルカリ、石鹸が利用可能である。但し、石鹸は、短期
的な洗浄回復はよいが、金属石鹸をつくるためにその部
分は撥水性を呈するため長期的な使用には適さない場合
がある。
【0026】本発明において、EDTA、DTPAなど
の有機キレート化合物を含ませることもできる。有機キ
レート化合物を含ませることにより、水あか汚れなどに
対し、部材の清浄性が維持でき、防曇・防汚性を長期間
維持可能となる。
【0027】
【実施例1】市販の浴室洗剤(花王バスマジックリン)
に徐放性物質(変性ポリエーテル、三洋化成の商品名:
ニューポールT−240U)を総量の20%添加し、コ
ーティング液を作成した。この液をケミカルエッチング
で親水処理を施した鏡面に塗布・自然乾燥させて試料1
を得た。試料1を浴室内壁面の鏡の標準的な位置に取付
け、防曇・防汚評価を実施した。入浴は1日4人とし
た。評価の指標は水との接触角を用い、結果は接触角が
40°を維持した日数で示した。比較のため、ケミカル
エッチングで親水処理した鏡(比較試料1)と、これに
上記浴室洗剤を塗布し、自然乾燥させた鏡(比較試料
2)も同様に評価を行った。結果を下表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1からわかるように、比較試料1と比較
試料2では接触角が40°を維持した日数に大差ない。
一方、試料1では1ヶ月以上接触角40°を維持した。
つまり、単純に界面活性剤を塗布しただけでは、水がか
かると簡単に流れ落ちてしまい、ケミカルエッチングに
よる親水性鏡と維持性に変わりがないことがわかった。
しかし、徐放性物質を添加すれば、界面活性剤が一度に
流れてしまわず、流れ出る量をコントロールできるた
め、親水性を長期間維持できることがわかった。このよ
うに界面活性剤や親水性物質を徐放させる(溶けて流れ
出る量をコントロールする)物質を添加することによ
り、長期間にわたってその効力を持続させることがで
き、良好な防汚性・防曇性がえられることが確認でき
た。
【0030】
【実施例2】表面をセリア粒子で研磨した鏡に徐放性物
質(ブルロニック系変性ポリエーテル、三洋化成工業の
品名;ニューポールT−230)を添加した親水性物質
(ポリアクリル酸)を塗布し、試料2を得た。CVD法
により酸化スズの凹凸層を形成した鏡に同様の徐放性物
質を添加した親水性物質を塗布し、試料3を得た。CV
Dで形成した酸化スズの凹凸上にさらにシリカゾルで凹
凸を形成した鏡に同様の徐放性物質を添加した親水性物
質を塗布し、試料4を得た。比較のため、上記と同様の
鏡に親水性物質(ポリアクリル酸)を塗布した試料も準
備した。セリア粒子で研磨した鏡に親水性物質を塗布し
たものが比較試料3、CVD法で酸化スズの凹凸層を形
成した鏡に親水性物質を塗布したものが比較試料4、C
VDで形成した酸化スズの凹凸上にさらにシリカゾルで
凹凸を形成した鏡に親水性物質を塗布したものが比較試
料5である。いずれもサイズは200mm×300mm
とした。これらの試料の初期流滴性を評価した後、浴室
内に設置して3週間暴露行った。入浴は1日4人とし
た。暴露後、各試料を浴室内より取り出し、再度流滴性
の評価を行った。流滴性の評価は、試料を垂直な面に設
置して水をかけて1分後の状態を撮影し、撮影したもの
を見てその水濡れ面積の割合を調べて6段階で評価し
た。その結果を下表に示す。 5 : 90%以上 4 : 70%以上 90%未満 3 : 50%以上 70%未満 2 : 30%以上 50%未満 1 : 10%以上 30%未満 0 : 10%未満
【0031】
【表2】
【0032】表2からわかるように、初期はいずれの試
料も90%以上の水濡れ面積で、良好な親水性を呈して
いた。3週間暴露後、比較試料はすべて水濡れ面積は1
0%未満であった。一方、試料2〜4は、すべて50%
以上の水濡れ面積を示し、中でも、試料4は90%以上
と初期の良好な親水性を維持した。以上のことから比較
試料3〜5は、親水性物質が流れ落ち、部材表面に直接
汚れが付着し、親水性を失ったものと考えられる。一
方、試料2〜4は、親水性物質が表面に残存しており、
親水性を維持していると考えられる。ここでも、徐放性
物質を加えることにより、親水性を長く維持できること
が確認できた。また、本実験の範囲内では、同じように
徐放性物質を加えた場合は研磨などの単純な凹凸より
は、金属酸化物粒子を積層させるなどの複雑な凹凸構造
を有しているものほど、界面活性剤や親水性物質を保持
しやすく、親水性を持続する期間が延長されることが確
認できた。
【0033】
【発明の効果】界面活性剤・親水性物質の水で流れ落ち
やすい性質を利用し、流れ落ちる量をコントロールする
ことによって、手間をかけずに汚れの付着を防止し、ま
た、汚れが付着した場合には速やかに除去することによ
って、清浄でかつ高度な親水性表面を繰り返し再現し、
長期にわたって良好な防曇性・防汚性を維持できる部材
を提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/00 C09K 3/00 R Fターム(参考) 4G069 AA03 BA01A BA01B BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA14A BA14B BC22A BC22B BC35A BC35B BD02A BD02B DA05 EB03 ED02 FA03 FB73 4H020 AA01 AB02 4J038 AA011 CG142 DF022 GA13 HA211 HA216 HA441 HA446 KA09 NA05 NA06 PB05 PC03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最表面に界面活性剤及び/又は親水性物
    質及び水に対し徐放性を有する徐放性物質が固定された
    親水性部材であって、該物質が水や水蒸気に接触するこ
    とによって、表面に固定された界面活性剤及び/又は親
    水性物質を部材表面に徐放させ、防曇性及び/又は防汚
    性を呈することを特徴とする徐放性親水性部材。
  2. 【請求項2】 前記親水性部材は、微細な凹凸構造を有
    する部材の最表面に界面活性剤及び/又は親水性物質及
    び徐放性物質が固定されたものであることを特徴とする
    請求項1に記載の徐放性親水性部材。
  3. 【請求項3】 前記凹凸構造は、機械的エッチングによ
    り形成したものであることを特徴とする請求項2に記載
    の徐放性親水性部材。
  4. 【請求項4】 前記凹凸構造は、ケミカルエッチングに
    より形成したものであることを特徴とする請求項2に記
    載の徐放性親水性部材。
  5. 【請求項5】 前記凹凸構造は、部材表面に接合され
    る、金属酸化物の1種以上を含有する凹凸層であること
    を特徴とする請求項2に記載の徐放性親水性部材。
  6. 【請求項6】 前記凹凸構造は、凹凸構造を有する部材
    表面に、さらに金属酸化物からなる凹凸層を形成したも
    のであることを特徴とする請求項2に記載の徐放性親水
    性部材。
  7. 【請求項7】 前記金属酸化物は、シリカ、アルミナ、
    ジルコニア、チタニア、酸化スズ、酸化亜鉛からなる群
    より選ばれたものが主成分であることを特徴とする請求
    項5または6に記載の徐放性親水性部材。
  8. 【請求項8】 前記部材は、浴室鏡であることを特徴と
    する請求項1〜7記載の徐放性親水性部材。
  9. 【請求項9】 前記部材は浴室の壁材、壁目地、床材、
    床目地、天井、水栓金具、シャワ−ホ−ス、シャワ−ヘ
    ッド、シャワ−吐水部、シャワ−フック、浴槽、浴槽ハ
    ンドグリップ、浴槽エプロン、浴槽排水栓、窓、窓枠、
    窓の桟、窓の床板、照明器具、すのこ、グレ−チング、
    排水目皿、排水ピット、排水籠、排水トラップ、トラッ
    プ封水筒、扉、扉枠、扉の桟、マット、石鹸置き、手
    桶、洗面器、風呂椅子、トランスファ−ボ−ド、収納
    棚、手すり、風呂蓋、タオル掛け、シャワ−チェア、洗
    面器置き台、換気扇、手すり、カウンター、洗面ボウ
    ル、タッチパネル、シ−ラントのいずれかであることを
    特徴とする請求項1〜7に記載の徐放性親水性部材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003018694A1 (de) * 2001-08-22 2003-03-06 Henkel Kommanditgesellschaft Auf Aktien Oberflächenfilm mit depotfunktion, dessen herstellung und verwendung
WO2008023526A1 (fr) 2006-08-23 2008-02-28 Central Glass Company, Limited Préproduction dépourvue de condensation, articles dépourvus de condensation et fluide de revêtement pour les articles
CN113881252A (zh) * 2021-08-24 2022-01-04 东南大学 一种耐久性良好的超亲水防雾涂料及其制备方法

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