JP2000263109A - 条材の圧延設備 - Google Patents

条材の圧延設備

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、条材の圧延設備であって、仕上げ
ミルの下流にサイジングミルを有する場合の両ミル間の
張力制御に関する。 【解決手段】 仕上げミルのミルモータの定格容量(W
f )と、サイジングミル最上流側のミルモータの定格容
量(Ws )とを、Wf /Ws ≧5の関係とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、条材の圧延設備、
とくに高速圧延を行う条材の圧延設備に係り、仕上げミ
ルの下流にサイジングミルを有する場合の両ミル間で条
材に付与する張力制御を簡便、容易に高精度で行うこと
を可能とする。なお、条材とは丸鋼、角鋼、6角鋼や8
角鋼などの多角鋼や鉄筋などを意味する。
【0002】
【従来の技術】通常、条材たとえば線材は、粗圧延→中
間圧延→複数のスタンドからなる仕上げミルによる仕上
げ圧延→複数のスタンドからなるサイジングミルによる
サイジング圧延を経て製造される。この線材の圧延にお
いては、圧延中に断線や座屈を発生させないように、ミ
ル間で線材に付与する張力を制御することが必要で、と
くに高速圧延を行う場合には、高精度な張力制御が重要
となる。張力制御としては、ルーパを利用した方式、ミ
ルスタンドのモータ電流を制御する方式等が知られてい
る。
【0003】特に、モータ電流を制御する方式として
は、特開昭57-72716号公報、特開昭61-226108 号公報等
が知られている。上記のモータ電流を制御する方式は、
制御を行うスタンドのモータ電流を、次スタンドに材料
が噛み込む前にあらかじめ記憶しておき、次スタンドに
材料が噛み込んだ後、その記憶しておいた無張力状態で
のモータ電流値となるようにモータ回転数を調整するも
のであり、電流メモリ方式とも呼ばれる。
【0004】その他にも、張力を制御する方式として
は、圧延抵抗により変化する電流値から求まる圧延トル
クとミルの圧延荷重検出器で検出される圧延反力(圧延
実績値)から、ロール軸に関して求まるトルクアーム値
を媒体として張力を導き出すトルクアームメモリ方式が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ルーパ
を利用した方式では、100 m/sec を超える線材等の材
料の高速搬送に追従して制御することができない。電流
メモリ方式でも、例えば、ミル間を10mとした場合、10
0 m/sec の高速走行では、0.1sec以下の間にミルモー
タの無張力電流ロックオンを行うことが必要であり、実
質上制御することは不可能である。
【0006】また、トルクアームメモリ方式では、圧延
荷重検出器を設置することが必要となり、線材の圧延に
通常用いられる遊星型傾斜ロール圧延機(円錐型ロール
が自転し、かつ、公転している圧延機)に設置すること
は困難であり、また設置した場合、設備コストが大きい
ものとなり、技術的にも極めて高度の測定・制御技術が
要求されることになる。
【0007】本発明は、上記課題を解決し、きわめて簡
便な設備改造で、容易に高精度の張力制御が可能となる
圧延設備を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、仕上げミルの
下流にサイジングミルを有する条材の圧延設備に適用さ
れるものである。本発明は、この両ミルモータの定格容
量バランスに着目してなされたものであり、設備上のト
ラブルを生じさせない範囲で、あえてこの定格容量バラ
ンスをくずし、仕上げミルのミルモータに較べて、定格
容量の小さいミルモータをサイジングミル最上流側のミ
ルモータとすることで、比較的小さい張力変化を相対的
に大きな電流変動として扱えるようにして高精度な張力
制御が容易にできるようになされたのである。
【0009】このようにしたことで、張力制御として
は、サイジングミルのミルモータの電流を目標電流範囲
内に制御する従来からの方法をそのまま用いることで十
分精度の高い制御を実現できるようになったのである。
すなわち、本発明は、仕上げミルの下流にサイジングミ
ルを有する条材の圧延設備において、仕上げミルのミル
モータの定格容量(Wf )と、サイジングミル最上流側
のミルモータの定格容量(Ws )とが、Wf /Ws ≧5
の関係を満足することを特徴とする条材の圧延設備によ
って上記課題を解決したのである。
【0010】なお、仕上げミルのミルモータとは、複数
のスタンドを纏めて駆動させる1つのミルモータを意味
し、サイジングミルの最上流側のミルモータとは、サイ
ジングミルの最上流の1スタンドあるいは最上流のスタ
ンドを含み、引続く1スタンド以上の複数のスタンドを
纏めて駆動させる1つのミルモータを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の圧延設備を線材圧延用と
した場合の例を図1に示す。図1に示す線材圧延ライン
(粗圧延、中間圧延は図示せず)において、線材1は、
仕上げミル2で仕上げ圧延された後、例えば水冷帯3を
経て、サイジングミル4でサイジング圧延され、水冷帯
3で必要な水冷がなされた後、図示しない巻き取り機で
巻き取りが行われる。
【0012】圧延中の断線や座屈を防止するために、ミ
ル間で線材に適切な張力を付与するが、この張力は温度
変動等によって変動する。この張力変動が、仕上げミル
とサイジングミル間で生じると、線材の断線や座屈の発
生に最も大きく影響することを見出した。さらに、両ミ
ル間での線材に付与する張力がプラス(張力)で大きく
なると、断線が生じやすくなるが、この場合、仕上げミ
ルのミルモータの電流はほとんど変化せず、サイジング
ミルの最上流側のミルモータの電流が大きくなり、した
がって、断線防止のためには、サイジングミルの最上流
側のミルモータの電流を減少すべく制御する必要がある
という知見も得た。
【0013】逆に、張力がマイナス(圧縮)で大きくな
ると、座屈が生じやすくなるが、前記とは逆に、サイジ
ングミルの最上流側のミルモータの電流を増加すべく制
御する必要がある。本発明は、この仕上げミルのミルモ
ータMf とサイジングミル4の最上流のミルモータMs
の定格容量Wf とWs の比、Wf /Ws を5以上とする
ことが好適であることを見出したことによってなされた
のである。
【0014】以下、Wf /Ws ≧5とすることが好適で
あることにつき説明する。さて、直径が5mm程度までの
細径の条材まで考慮すると、座屈と断線の両者の発生を
抑えるためには、張力は、+0.5 ±0.1kgf/mm2 程度に
制御する必要がある。図2は、直径5.5mm の線材圧延時
の仕上げミルのミルモータの定格容量(Wf)とサイジ
ングミルの最上流側のミルモータの定格容量(Ws )と
の比(Wf /Ws )を変えた時の張力とサイジングミル
の最上流側のミルモータの電流比RS(=(張力付与時
の電流値−無張力時の電流値)/定格電流値)との関係
を示す。
【0015】Wf /Ws が大きいほど、同一張力でのR
Sが大きくなる。すなわち、張力制御のためのRSの制
御範囲が大きくなり、張力制御がしやすくなる。この点
から、Wf /Ws を5以上にすることが必要である。な
お、この傾向は、サイジングミルの最上流側のミルモー
タが、サイジングミルの最上流の1スタンドを駆動させ
る場合、あるいは最上流のスタンドを含み、引続く1ス
タンド以上の複数のスタンドを纏めて駆動させる場合の
いずれの場合も同様である。
【0016】
【実施例】図1に示した線材圧延ラインにおいて、本発
明の効果を確認した。図示していない粗圧延機、中間圧
延機の下流に、2ロール10スタンドからなる仕上げミ
ル、水冷帯、3スタンドの4ロールからなるサイジング
ミルおよび水冷帯を配置し、張力を0.5 ±0.1kgf/mm2
に制御すべく、サイジングミルの最上流側のミルモータ
が最上流の1スタンドの4ロールのみ駆動とし、Wf /
Ws =11.5(Wf =6000kW、Ws =520kW )として、直
径7mmの線材を圧延した。
【0017】その結果、サイジングミルの最上流側のミ
ルモータの電流比、RSの制御範囲を0.5 ±0.1 と広く
でき、容易に断線や座屈の発生を抑止できた。
【0018】
【発明の効果】条材の圧延設備において、本発明を適用
することで、きわめて簡便な設備改造のみで、高精度の
張力制御を簡便に実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する1例としての線材圧延ライン
の部分平面図である。
【図2】仕上げミルのミルモータの定格容量(Wf )と
サイジングミルの最上流側のミルモータの定格容量(W
s )との比(Wf /Ws )および張力とサイジングミル
の最上流側のミルモータの電流比RS(=(張力付与時
の電流値−無張力時の電流値)/定格電流値)との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 線材 2 仕上げミル(ブロックミル) 3 水冷帯 4 サイジングミル Mf 仕上げミルのミルモータ Ms サイジングミル最上流側のミルモータ Wf 、Ws モータの定格容量

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げミルの下流にサイジングミルを有
    する条材の圧延設備において、仕上げミルのミルモータ
    の定格容量(Wf )と、サイジングミル最上流側のミル
    モータの定格容量(Ws )とが、次式、 Wf /Ws ≧5、 の関係を満足することを特徴とする条材の圧延設備。
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