JP2000254934A - 加飾成形品の成形方法 - Google Patents

加飾成形品の成形方法

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JP2000254934A
JP2000254934A JP11060299A JP6029999A JP2000254934A JP 2000254934 A JP2000254934 A JP 2000254934A JP 11060299 A JP11060299 A JP 11060299A JP 6029999 A JP6029999 A JP 6029999A JP 2000254934 A JP2000254934 A JP 2000254934A
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JP
Japan
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decorative
molding
weight
molded product
thermosetting resin
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JP11060299A
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English (en)
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Makoto Yamaguchi
真 山口
Hideaki Takezaki
秀昭 竹崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石目調に代表される各種意匠を発現でき、且
つ透明感や深み感のある美麗な外観を有し、しかも反り
が改善された加飾成形品を与える加飾成形品を得る。 【解決手段】 硬化触媒として有機過酸化物を含有する
熱硬化性樹脂100重量部に対して大きさ(平均直径)
0.1〜2.5mmの着色薄片状物質からなる加飾用柄
材3〜30重量部を含有する加飾用バルクモールディン
グコンパウンドからなる表面材と、硬化触媒として有機
過酸化物を含有し加飾用柄材を含有する繊維補強熱硬化
性樹脂成形材料からなる裏側材とを重ね、これを金型内
で熱圧成形する加飾成形品の成形方法であって、上記表
面材を構成する加飾用バルクモールディングコンパウン
ドに含有される有機過酸化物の10時間半減期温度(A
℃)と、上記裏側材を構成する繊維強化熱硬化性樹脂成
形材料に含有される有機過酸化物の10時間半減期温度
(B℃)とが、B℃−A℃≧15℃を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石目調に代表され
る各種意匠を発現でき、且つ透明感や深み感のある外観
を与える加飾成形品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石目調の外観を有する繊維強化の加飾成
形品(浴槽や洗面化粧台など)を得るための成形材料と
して、特開昭59−108036号公報には、400〜
16メッシュサイズの薄片状物質(マイカ片、アルミホ
イル片、ポリエステルフィルム片など)からなる加飾用
柄材を0.5〜20重量%を含有するシートモールディ
ングコンパウンド(SMC)が提案されている。
【0003】この場合、天然の石目調に似た外観の加飾
成形品を得るには、加飾用柄材を比較的多量に含有させ
ねばならないが、この種のシートモールディングコンパ
ウンドは、キャリアーフィルム上にペースト状の原料組
成物をシート状にコーティングして製造するので、原料
組成物の粘度が上昇してSMCの製造に支障が生じる。
【0004】しかも、ペースト状の原料組成物は、1m
m程度のドクターブレード間隙を通過させることにより
コーティングされるため、使用する薄片状物質の大きさ
が制限され、その結果、石目調等の加飾が単調となる。
さらに、SMCには通常20〜30重量%ガラス繊維等
の補強材及びこれらの補強材を隠蔽するに足る多量の熱
硬化性樹脂を含有するものであるので、これら光屈折率
の異なる材料からなる樹脂層は不透明となり、配合され
た加飾用柄材の透視性が失われ、良好な深み感が現出さ
れない。
【0005】また、この種のシートモールディングコン
パウンド(SMC)において、薄片状物質は高価であ
り、このようなシートモールディングコンパウンドを金
型内で加圧成形することにより得られる加飾成形品は、
全体が加飾され外観意匠に関係のない裏側なども加飾さ
れるためコスト高になる。
【0006】一方、特開昭57−41918号公報に
は、通常のシートモールディングコンパウンド(SM
C)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)
と、これ等のSMCやBMCよりも熱圧成形時の流動性
をおさえたシートモールディングコンパウンド(SM
C)やバルクモールディングコンパウンド(BMC)と
を模様が出現するように重ね、これを金型内で熱圧成形
することにより、不自然な流れ模様がなく、深みのある
優雅な模様を有する成形品(浴槽など)を製造する方法
が提案されている。
【0007】上記提案の成形品の製造方法にあっては、
熱圧成形時の流動性をおさえたシートモールディングコ
ンパウンド(SMC)やバルクモールディングコンパウ
ンド(BMC)を使用しても、模様に再現性がなく、外
観に微妙な差異が現れるため、浴室ユニット等の比較的
狭いスペースに用いられる場合にはトータルデザインが
崩れる。また、SMCやBMCの組成によって模様を出
現させるものであるため、外観の深みに欠ける。
【0008】さらに、上記提案の成形品の製造方法にお
いて、通常のSMCとこのSMCよりも熱圧成形時の流
動性をおさえたBMCとを模様が出現するように重ねて
用いる場合、上記SMCとBMCには、いずれも硬化触
媒としてt−ブチルパーオキシベンゾエートなどの同種
の有機過酸化物が含有されており、そのため、得られる
成形品のSMC層とBMC層との収縮量の差により、成
形品のBMC層側への反りが生じることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決するもので、その目的とするところは、石目調に
代表される各種意匠を発現でき、且つ透明感や深み感の
ある美麗な外観を有し、しかも反りが改善された加飾成
形品を与える加飾成形品の成形方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、硬化触媒として有機過酸化物を含有
する熱硬化性樹脂100重量部に対して大きさ0.1〜
2.5mmの着色薄片状物質からなる加飾用柄材3〜3
0重量部を含有する加飾用バルクモールディングコンパ
ウンドからなる表面材と、硬化触媒として有機過酸化物
を含有し加飾用柄材を含有しない繊維補強熱硬化性樹脂
成形材料からなる裏側材とを重ね、これを金型内で熱圧
成形する加飾成形品の成形方法であって、
【0011】上記表面材を構成する加飾用バルクモール
ディングコンパウンドに含有される有機過酸化物の10
時間半減期温度(A℃)と、上記裏側材を構成する繊維
強化熱硬化性樹脂成形材料に含有される有機過酸化物の
10時間半減期温度(B℃)とが、B℃−A℃≧15℃
を満足することを特徴とする加飾成形品の成形方法が提
供される。
【0012】(加飾用バルクモールディングコンパウン
ドからなる表面材)本発明において、加飾用バルクモー
ルディングコンパウンド(BMC)を構成する原材料組
成としては、加飾用柄材の大きさとその含有量の範囲及
び上記条件(B℃−A℃≧15℃)を満足する有機過酸
化物を用いること以外は、BMCの製造に普通に用いら
れている公知の原材料組成がそのまま用いられる。ま
た、BMCの製造方法も普通に用いられている公知の方
法をそのまま適用することができる。
【0013】すなわち、加飾用バルクモールディングコ
ンパウンド(BMC)は、具体的には、例えば、不飽和
ポリエステル及びこれと共重合する架橋用ビニルモノマ
ーからなる液状の不飽和ポリエステル樹脂に、硬化触
媒、化学増粘剤、収縮防止用樹脂、無機充填剤、内部離
型剤、安定剤、顔料などの公知の配合剤を必要に応じて
適量混合し、さらに特定の加飾用柄材及びガラス繊維チ
ョップを混合し、これを所定の温度及び時間で熟成増粘
して製造される。なお、ガラス繊維チョップは、透明性
を向上させるために、含有率10重量%以下とするのが
好ましい。
【0014】ここで用いる不飽和ポリエステルは、α,
β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸を必ず含み、必要
に応じてこれに飽和ジカルボン酸を併用し、これと2価
のグリコールとの縮合で合成されるもので、一般に、従
来から汎用されている不飽和ポリエステルが用いられ
る。平均分子量は特に限定されないが、従来より広く使
用されている平均分子量800〜4,000の不飽和ポ
リエステルが用いられる。また、平均分子量4,000
〜10,000の不飽和ポリエステルも用いるられる。
なお、上記汎用の不飽和ポリエステルのほか、結晶性不
飽和ポリエステル(部分結晶性不飽和ポリエステルと呼
ばれることもある)も用いることができる。
【0015】不飽和ポリエステルの平均分子量が過少に
なると、得られる加飾用バルクモールディングコンパウ
ンド(BMC)を、裏側層となる加飾用柄材を含有しな
い繊維補強熱硬化性樹脂成形材料と重ねて加圧成形する
場合に、裏側層の成形材料が表面の加飾層に混入して、
美麗な加飾成形品が得られない。また、天然の石目調に
似た加飾成形品を得るために、加飾用柄材を比較的多く
配合すると、強度、特に耐衝撃性が低下する。一方、不
飽和ポリエステルの平均分子量が過大になると、加飾用
バルクモールディングコンパウンドを製造する際に、原
料組成物の粘度が極度に上昇して加飾用柄材などの配合
材と均一に混練できなくなり、得られる加飾成形品の外
観が悪くなる。
【0016】そして、上記不飽和ポリエステルは、これ
と共重合する架橋用ビニルモノマーに溶解されて液状の
不飽和ポリエステル樹脂とされるが、この架橋用ビニル
モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、メチル
メタクリレートなどが好ましく、なかでもスチレンが好
適である。不飽和ポリエステルと架橋用ビニルモノマー
との混合割合は、不飽和ポリエステル20〜80重量%
に対して、架橋用ビニルモノマー80〜20重量%(合
計で100重量%)が好ましい。
【0017】また、加飾用柄材としては、着色マイカ
(白マイカや黒白マイカ)、着色アルミフレーク、着色
されたポリエチレンフィルム、塩化ビニルフイルム、ポ
リカーボネートフィルム、ポリエステルフイルムなどの
着色されたプラスチックフィルムの裁断片であって、大
きさ(平均直径)0.1〜2.5mmの着色薄片状物質
が用いられる。これ等の大きさが0.1mmを下回る
と、加飾用柄材が目立たなくなり意匠性に劣る。逆に、
これ等の大きさが2.5mmを上回ると、組成物中での
分散が悪くなり品質が低下する。また、加飾用柄材の厚
さは、その大きさにもよるが、厚さ6〜24μmのもの
が適当である。
【0018】このような加飾用柄材は、同じ大きさのも
のだけを用いるよりも、0.1〜2.5mmの異なる大
きさのものを混合して用いるほうが、意匠的に良好な加
飾成形品が得られるので好ましい。また、自然の石目調
としては、一般に大理石調や御影石調が考えられ、これ
等の石目調には白っぽいもの、黒っぽいもの、赤っぽい
ものまで各種のものが存在し、このような各種の石目調
を実現させるには2色以上の加飾用柄材を併用するのが
望ましい。
【0019】特に、上記加飾用柄材となる着色薄片状物
質として、着色されたポリエチレンフィルム、塩化ビニ
ルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステル
フイルムなどの着色されたプラスチックフィルムの裁断
片であって、大きさ0.1〜2.5mmのものが好適に
用いられる。このような着色されたプラスチックフィル
ムの裁断片からなる着色薄片状物質は、柔軟でアルミホ
イルやマイカに比べて、ニーダー或いは混練機で混合す
る際に破砕されることがない。
【0020】そして、上記加飾用柄材は、不飽和ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して3〜30重量部、好ま
しくは10〜25重量部含有される。このように、加飾
用柄材が3〜30重量部含有されると、加飾用柄材が十
分に成形品の表面を覆い、加飾用柄材が密に詰まって意
匠的に天然の石目調に似た美麗な加飾成形品が得られ
る。
【0021】この加飾用柄材の含有量が3重量部以下で
は、加飾用柄材が疎になって目立たず意匠的に劣り、ま
た加飾用柄材の含有量が3〜9重量部では、リブを有す
る加飾成形品を得る場合にリブ部に加飾用柄材の集合が
目立つようになり好ましくない。逆に、加飾用柄材を3
0重量部よりも多く含有させても、加飾用柄材が十分に
成形品の表面を覆いつくしているので、それ以上の外観
的変化はなく、しかも加飾用柄材は高価であるので経済
的に好ましくない。
【0022】硬化剤触媒としては、t−ブチルパーオキ
シイソブチレート(78℃)、t−ブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート(74℃)、t−ブチルパー
オキシピバレート(56℃)、t−ブチルパーオキシネ
オデカノネート(47℃)、t−ブチルパーオキシネオ
ヘプタノエート(50℃)、t−ヘキシルパーオキシピ
バレート(53℃)、1,1,3,3−テトラメチルブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(64
℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト(70℃)、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロ
テレフタレート(83℃)、1,1−ジ−t−ブチルパ
ーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(9
0℃)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキ
サン(93℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート
(105℃)、t−ブチルパーオキシイソロピルカーボ
ネート(97℃)、t−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルヘキサノエート(100℃)などの有機過
酸化物が用いられる。ここで、括弧内は、10時間半減
期温度を表す。
【0023】化学増粘剤としては、水酸化マグネシウム
や酸化マグネシウムや有機ポリイソシアネートなどが用
いられる。収縮防止用樹脂としては、ポリスチレンやポ
リエチレンなどの熱可塑性樹脂が用いられる。内部離型
剤としては、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウ
ムなどが用いられる。安定剤としては、ハイドロキノン
やパラベンゾキノンなどが用いられる。
【0024】また、無機充填剤としては、水酸化アルミ
ニウムやクレーやガラス粉などが用いられる。このよう
な水酸化アルミニウムやクレーやガラス粉は、不飽和ポ
リエステル樹脂や補強用のガラス繊維の屈折率に近いの
で、得られる加飾成形品の表面から深い位置にある加飾
用柄材が透けて見え、深みのある外観が得られる。ま
た、顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、
フタロシアニンブルー、弁柄などが用いられる。
【0025】(加飾用柄材を含有しない繊維補強熱硬化
性樹脂成形材料からなる裏側材)本発明において、加飾
用柄材を含有しない繊維補強熱硬化性成形材料として
は、シートモールディングコンパウンド(SMC)又は
バルクモールディングコンパウンド(BMC)が好適に
使用され、このようなSMC又はBMCは、前記条件
(B℃−A℃≧15℃)を満足する有機過酸化物を用い
ること以外は、SMCやBMCの製造に普通に用いられ
ている公知の原材料組成がそのまま用いられる。また、
SMCやBMCの製造方法も普通に用いられている公知
の方法をそのまま適用することができる。
【0026】すなわち、加飾用柄材を含有しない繊維補
強不飽和ポリエステル樹脂成形材料(SMCやBMC)
は、具体的には、例えば、不飽和ポリエステル及びこれ
と共重合する架橋用ビニルモノマーからなる不飽和ポリ
エステル樹脂に、硬化触媒、化学増粘剤、収縮防止用樹
脂、無機充填剤、内部離型剤、安定剤、顔料などの公知
の配合剤を必要に応じて適量混合して樹脂組成物を調製
し、この樹脂組成物をガラス繊維等の補強繊維チョップ
と混合するか或いはガラス繊維等の補強繊維チョップ層
に含浸させ、これを所定の温度及び時間で熟成増粘して
製造される。原材料及び配合剤については、加飾用バル
クモールディングコンパウンドからなる表面材の説明に
おいて述べたものと同様なものが用いられるので、ここ
ではその説明を省く。ここで、硬化触媒としては、前記
した例示の有機過酸化物の中からB℃−A℃≧15℃を
満足するような有機過酸化物が選定される。
【0027】なお、加飾用柄材を含有しない繊維補強熱
硬化性樹脂成形材料は、成形性の点から、シート状の成
形材料(SMC)を用いるのが好ましく、これ等のシー
ト状の成形材料(SMC)の厚さは、通常、1〜10m
mであるが、好ましくは1〜5mmである。1mm未満
では十分な強度の成形品が得られず、10mmを越える
と成形金型からの伝熱が十分でなく硬化不良となる。
【0028】しかして、本発明においては、上記表面材
を構成する加飾用バルクモールディングコンパウンド
(BMC)に含有される有機過酸化物の10時間半減期
温度(A℃)と、上記裏側材を構成する繊維補強熱硬化
性樹脂成形材料に含有される有機過酸化物の10時間半
減期温度(B℃)とが、B℃−A℃≧15℃を満足する
ように、上記加飾用バルクモールディングコンパウンド
(BMC)及び繊維補強熱硬化性樹脂成形材料に含有さ
れる。B℃−A℃<15℃の場合は、表面材と裏側材と
の硬化速度差が小さくなるため、得られる成形品の反り
が大きくなる。
【0029】なお、これ等の有機過酸化物の含有量は、
表面材、裏側材のいずれにおいても、不飽和ポリエステ
ル樹脂のような熱硬化性樹脂(収縮防止用樹脂が配合さ
れている場合はこの樹脂も含める)100重量部に対し
て、一般に0.5〜3.0重量部、好ましくは0.8〜
2.0重量部とされる。
【0030】(加飾成形品の熱圧成形)上記加飾用バル
クモールディングコンパウンド(BMC)及び加飾用柄
材を含有しない繊維補強熱硬化性樹脂成形材料(SMC
やBMC)を用いて、石目調を有する加飾成形品を得る
には、例えば、凹状の可動上型と凸状の固定下型とから
なる金型を有する熱圧成形機を用い、金型を低温成形で
は約50〜120℃又は高温成形では約120〜160
℃に加熱した後、固定下型の上に所定量のBMCを載置
し金型を閉める。
【0031】その後、低圧成形では約1〜20kg/c
2 の圧力で又は高圧成形では約20〜150kg/c
2 の圧力で約30秒〜20分間加圧して、熱硬化させ
成形し、金型を開いて成形品を脱型する。こうして、石
目調(大理石調や御影石調)を有する美麗な加飾成形品
(例えば、浴槽、防水パン、洗面化粧台、キッチンカウ
ンターなど)が得られる。加飾成形品の透明性は、厚さ
4mmで全光線透過率3%以上が好適である。
【0032】この場合、加飾用バルクモールディングコ
ンパウンドが加飾成形品の表面材となるようにして、金
型内で加圧成形する。なお、加飾用バルクモールディン
グコンパウンドのサイズは、成形品の加飾を行うに必要
なサイズであればよく、成形品の全表面を加飾するよう
にしてもよく、成形品の一部表面を加飾するようにして
もよい。
【0033】また、加飾用バルクモールディングコンパ
ウンド(BMC)と加飾用柄材を含有しない繊維強化熱
硬化性樹脂成形材料(SMCやBMC)との間にシート
状隔離材料を挟み、これを上記と同様な方法で金型内で
熱圧成形してもよい。ここで、シート状隔離材料として
は、紙、布、不織布、プラスチックフィルム、ガラスク
ロス、ガラスマットが使用される。特に、目付け量20
0〜800g/m2 の不織布やガラスマットを用いるの
が好ましい。目付け量が小さい場合は熱圧成形時に破れ
や伸びが生じ、目付け量が大きい場合はコスト高にな
る。
【0034】上記のようなシート状隔離材料を使用する
ことにより、加飾された表側層と裏側層とが離隔され、
加飾された表側層加飾層に裏側層となる加飾用柄材を含
有しない繊維強化熱硬化性樹脂成形材料が混入すること
がより確実に防止され、また表面材が均一な厚みにな
り、より優れた外観の成形品が得られる。
【0035】(作用)表面材を構成する加飾用バルクモ
ールディングコンパウンド(BMC)は、シートモール
ディングコンパウンド(SMC)の製造のように、ドク
ターブレードでキャリアーフィルム上にコーティングす
ることはないので、大きさ1mm以上の加飾用柄材が使
用でき、そのため意匠性に優れた加飾成形品を得ること
ができる。さらに、SMCのように補強繊維(ガラス繊
維)を多量に含まないので、透明性がよく深みのある成
形品を得ることができる。
【0036】また、上記加飾用バルクモールディングコ
ンパウンド(BMC)は、シートモールディングコンパ
ウンド(SMC)のように、キャリアーフィルム上にシ
ート状にコーティングして製造しないので、原料組成物
の粘度が上昇してもBMCの製造には支障がない。それ
ゆえ、加飾用柄材を比較的多量に含有させることがで
き、加飾用柄材が密に含有されて天然の石目調(大理石
調や御影石調)に似た美麗な加飾成形品が得られる。
【0037】また、加飾用バルクモールディングコンパ
ウンドからなる表面材と、加飾用柄材を含有しない繊維
補強熱硬化性樹脂成形材料からなる裏側材とを重ねて、
熱圧成形するので、成形品の表側層だけが加飾され裏側
層は加飾されないので、加飾に必要な加飾用バルクモー
ルディングコンパウンドの使用量を少なくすることがで
き、それだけ高価な加飾用柄材の使用量も少なくなり、
加飾成形品を安価に得ることができる。
【0038】しかも、表面材を構成する加飾用バルクモ
ールディングコンパウンド(BMC)に含有される有機
過酸化物の10時間半減期温度(A℃)と、裏側材を構
成する繊維補強熱硬化性樹脂成形材料に含有される有機
過酸化物の10時間半減期温度(B℃)とが、B℃−A
℃≧15℃を満足するようにすると、表面材と裏側材と
の硬化速度差が大きくなって、得られる成形品の反りが
改善される。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例及び比較例
を示す。 (実施例1) <加飾用BMC(表面材)の作製>平均分子量2500
の汎用の不飽和ポリエステル樹脂70重量部(スチレン
モノマー35重量%含有)及びスチレンモノマーに溶解
したポリスチレン(スチレンモノマー濃度35重量%)
30重量部に、硬化触媒(t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:74℃)
1重量部、無機充填剤(平均粒径12μmの水酸化アル
ミニウム)230重量部、化学増粘剤(酸化マグネシウ
ム)1重量部、ステアリン酸亜鉛5重量部、ガラス繊維
チョップ(繊維長さ1/4インチ)10重量部及び微量
の顔料(ベージュ色)を配合した。
【0040】さらに、上記配合物に、下記の着色薄片状
物質からなる加飾用柄材20重量部(いずれも厚さ12
μmの着色ポリエステルフィルム裁断片)を配合し、こ
の配合物を慣用のBMC製造装置(ニーダー)で混合
し、40℃で2日間熟成して、加飾用バルクモールディ
ングコンパウンド(BMC)を作製した。
【0041】加飾用柄材(20重量部) 白色:大きさ0.2mm(4重量部)、1.5mm(4
重量部)、2.0mm(2重量部) 黒色:大きさ0.2mm(3重量部)、1.0mm(3
重量部) 灰色:大きさ0.5mm(2重量部)、1.5mm(2
重量部)
【0042】<加飾用柄材を含有しないSMC(裏側
材)の作製>)平均分子量2500の汎用の不飽和ポリ
エステル55重量部とスチレンモノマー35重量部とポ
リスチレン樹脂(収縮防止用樹脂)10重量部とからな
る不飽和ポリエステル樹脂100重量部に、硬化触媒
(t−ブチルパーオキシベンゾエート)(10時間半減
期温度:105℃)1重量部、無機充填剤(平均粒径1
0μmの炭酸カルシウム)120重量部、化学増粘剤
(酸化マグネシウム)1重量部、ステアリン酸亜鉛5重
量部及び微量の顔料(ベージュ色)を配合して、樹脂組
成物のペーストを調製した。
【0043】慣用のSMC製造装置を用い、一方のキャ
リヤーフィルム(ポリエチレンフィルム)の片面に、上
記樹脂組成物のペーストを塗布し、他方のキャリヤーフ
ィルムの片面にも上記樹脂組成物のペーストを塗布し、
この両方のキャリヤーフィルムの塗布面同士をガラス繊
維チョップ層(繊維長さ1インチ)を介して挟着し、こ
のガラス繊維チョップ層に上記両方のペーストを含浸さ
せ、これを40℃で2日間熟成増粘させて、加飾用柄材
を含有しないシートモールディングコンパウンド(SM
C)を作製した。なお、ガラス繊維チョップ層は全体の
25重量%となるように調節した。
【0044】<加飾成形品の成形>凹状の可動上型と凸
状の固定下型とからなる浴室ユニットの洗い場パン成形
用長方形金型(長辺1600mm×短辺1100mm)
を有する慣用の熱圧成形機を用い、可動上型を130
℃、固定下型を145℃に加熱した後、この固定下型の
上に上記加飾用BMC(表面材)(チャージ率90%)
を載置し、その上に加飾用柄材を含有しないSMC(裏
側材)(チャージ率70%)を載置し、可動上型を降下
させて最終型締め速度0.8mm/秒で型閉めを行い、
その後、65kg/cm2 の圧力で10分間加圧して、
表面材及び裏側材を熱硬化させて一体的に熱圧成形し、
金型を開いて成形品を脱型する。こうして、表面が加飾
された加飾成形品(洗い場パン)(長辺側1600mm
×短辺1100mm×厚さ4mm)を得た。
【0045】この加飾成形品(洗い場パン)について、
外観を目視により評価した。その結果、表面にはむら状
(まだら模様)の外観不良部はなく、また気孔、微小亀
裂、ひけ、起伏などの表面欠陥もなく、深み感のある美
麗な石目調外観の加飾成形品であった。また、この加飾
成形品(洗い場パン)について、その長辺側の側壁の内
側への反り(中央部の最大反り)を測定したところ、そ
の内反りは1.5mmで非常に小さく、浴室への施工に
おいてへの寸法上の問題はなかった。
【0046】(比較例1)実施例1の加飾用BMC(表
面材)の作製において、硬化触媒(t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:
74℃)1重量部に替えて、硬化触媒(t−ブチルパー
オキシベンゾエート)(10時間半減期温度:105
℃)1重量部を使用した。それ以外は実施例1と同様に
行って、表面が加飾された加飾成形品(洗い場パン)を
得た。
【0047】この加飾成形品について、外観を目視によ
り評価した。その結果、表面にはむら状(まだら模様)
の外観不良部はなく、また気孔、微小亀裂、ひけ、起伏
などの表面欠陥もなく、深み感のある美麗な石目調外観
の加飾成形品であった。しかし、内反り(長辺側の側壁
の内側への反り)4.0mmで非常に大きく、浴室への
施工においてやや寸法上の問題があり、治具を用いて内
反りの修正が必要であった。
【0048】
【発明の効果】上述の通り、本発明の加飾成形品の成形
方法によれば、石目調に代表される各種意匠を発現で
き、且つ透明感や深み感のある美麗な外観を有し、しか
も反りが改善された加飾成形品(例えば、浴槽、防水パ
ン、洗面化粧台、キッチンカウンターなど)を生産性よ
く低コストで得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:06 B29L 9:00 Fターム(参考) 4F100 AA18 AA19 AG00 AK01A AK01B AK12 AK41 AK44 BA02 CA02A CA13A DE02A DG01B DH00B GB90 HB11 JB13A JB13B JL00 JL04 JN01 4F204 AA36 AB03 AB12 AB19 AB25 AB27 AD16 AF09 AG03 AH49 AM35 AR02 AR06 AR11 FA01 FB01 FB13 FB22 FF05 FG02 FN11 FN15 FN17 FQ15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化触媒として有機過酸化物を含有する
    熱硬化性樹脂100重量部に対して大きさ0.1〜2.
    5mmの着色薄片状物質からなる加飾用柄材3〜30重
    量部を含有する加飾用バルクモールディングコンパウン
    ドからなる表面材と、硬化触媒として有機過酸化物を含
    有し加飾用柄材を含有しない繊維補強熱硬化性樹脂成形
    材料からなる裏側材とを重ね、これを金型内で熱圧成形
    する加飾成形品の成形方法であって、上記表面材を構成
    する加飾用バルクモールディングコンパウンドに含有さ
    れる有機過酸化物の10時間半減期温度(A℃)と、上
    記裏側材を構成する繊維強化熱硬化性樹脂成形材料に含
    有される有機過酸化物の10時間半減期温度(B℃)
    が、B℃−A℃≧15℃を満足することを特徴とする加
    飾成形品の成形方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007143832A (ja) * 2005-11-28 2007-06-14 Hitachi Housetec Co Ltd 浴室成形品及び浴室部材
JP2008266530A (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Matsushita Denko Bath & Life Kk シートモールディングコンパウンド及びその成形方法
JP2016078451A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 東レ株式会社 繊維強化複合材料の製造方法、樹脂基材およびプリフォーム

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