JP2000248254A - 接着剤組成物、樹脂材料、ゴム物品および空気入りタイヤ - Google Patents

接着剤組成物、樹脂材料、ゴム物品および空気入りタイヤ

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JP2000248254A
JP2000248254A JP11374172A JP37417299A JP2000248254A JP 2000248254 A JP2000248254 A JP 2000248254A JP 11374172 A JP11374172 A JP 11374172A JP 37417299 A JP37417299 A JP 37417299A JP 2000248254 A JP2000248254 A JP 2000248254A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下での接着力低下、熱劣化時の接着力低
下、高歪下でのコード疲労性低下を抑制する。 【解決手段】 接着剤組成物が、ペンダント基に架橋性
官能基を含有し、アリル位に水素基を有する炭素−炭素
二重結合を主鎖に実質的に含有しない熱可塑性高分子重
合体(A)、水溶性高分子(B)、および極性官能基を有
する芳香族類をメチレン結合した構造を含有する化合物
(C)を含む。あるいは、前記熱可塑性重合体(A)と、
芳香族類をメチレン結合した構造を含む有機ポリイソシ
アネート化合物(α)、複数の活性水素を有する化合物
(β)、およびイソシアネート基の熱解離性ブロック化
剤(I)を反応させて得られる水性ウレタン化合物(I)
とを含む。または、前記水溶性高分子(B)と、前記水性
ウレタン化合物(I)とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は接着剤組成物、これ
により処理された樹脂材料、およびこの樹脂材料で補強
されたゴム物品、およびこのゴム物品を適用した空気入
りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリ
エチレンナフタレート繊維などのポリエステル繊維、芳
香族ポリアミド繊維は、高い初期弾性率、優れた熱時寸
法安定性を有しているため、フィラメント、コード、ケ
ーブル、コード織物、帆布などの形態で、タイヤ、ベル
ト、空気バネ、ゴムホースなどのゴム物品の補強材とし
て極めて有用である。
【0003】しかし、これらの補強材は分子構造が緻密
であり、しかも樹脂表面に官能基が少ないので、ナイロ
ン繊維、レーヨン繊維等の補強材とゴムとを良好に接着
させることのできるレゾルシンとホルムアデヒドとゴム
ラテックスから成る接着剤組成物(以下、RFLとい
う。)ではほとんど接着できない。このため、これらの
合成繊維とゴムとを良好に接着させるため、接着剤組成
物のみならず、接着方法、処理化繊維など、種々提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】接着方法には、一浴処
理接着法と二浴処理接着法がある。一浴処理接着法に
は、例えば、ノボラック反応により得られるフェノール
類・ホルムアルデヒド縮合物などの、メチレンジフェニ
ル類からなる鎖状構造を分子内に含有する化合物(接着
性改良剤)を、RFLと混合して得られる接着剤組成物
(参照:WO97/13818)をコードに被覆する方
法などがある。
【0005】この一浴処理接着法は、接着剤組成物をコ
ード表面に1回被覆させるだけなので、接着剤組成物の
使用量も少なくて済み、原材料費、製造費の点で優れて
いる。また、接着剤組成物が柔軟なので、応力の集中や
それに伴う発熱が小さく、コード疲労性が優れている。
したがって、汎用タイヤへの適用においては、有効であ
る。
【0006】しかし、この接着剤組成物は、ゴムラテッ
クスを含んでいるため、被着体であるゴムから移行して
くる硫黄と反応して、硫黄架橋し、接着剤層が高モジュ
ラス化すると共に、収縮して、繊維と接着剤層との界面
に歪応力が発生し、接着力が低下する(参照:前出WO
97/13818)。ラテックスゴムの硫黄架橋は、高
温になるにつれて、ポリサルファイド結合からモノサル
ファイド結合になるので、架橋部が短くなり、それと共
に、架橋数が多くなり、その結果、接着剤層の収縮が大
きくなり、接着力が著しく低下する。したがって、タイ
ヤ高温走行時に環境温度が、例えば180℃以上となる
非汎用タイヤにおいては、タイヤ高温走行時に接着力が
不十分になる可能性がある。
【0007】一方、二浴処理接着法には、先ず、繊維コ
ードの表面を、エポキシ化合物とブロックドイソシアネ
ート類を含む接着剤組成物で被覆し、次に、さらにその
表面を、RFLを含む接着剤組成物で被覆する方法等が
ある。この二浴処理接着法により処理された繊維コード
は硬くなり、製造上取り扱いが困難になり(参照:特開
平06−173172)、これで補強したゴム物品は、
初期には、高温度下でも接着力は高いが、高温、高歪下
で使用した場合、接着劣化やコード疲労が急激に生じる
ので、製品寿命を著しく低下してしまう不具合がある。
【0008】しかし、短時間であれば高接着力が得られ
るので、上記の接着劣化やコード疲労を改善できれば、
高温走行するタイヤなどに適用できる可能性がある。
【0009】近年、タイヤ性能の高性能化が高まり、タ
イヤの回転による歪や熱のコードへの入力は厳しくなる
一方である。例えば、従来はレーシングタイヤであって
も、走行により、190℃前後(参照:「ドライバーの
ためのタイヤ工学」p182第3行:グランプリ出版;1989
年)まで接着性能を確保すれば十分であった。
【0010】ところで、最近、パンクした状態で走行可
能なランフラットタイヤが注目されており、このタイヤ
では、パンク状態での走行による発熱が大きく、特に歪
応力が集中した箇所では局所的に高温となり、構造上で
歪応力が集中しやすいタイヤ補強コードの温度は、ポリ
エステルやナイロンからなるタイヤ補強コードが熱変形
する温度にまで達することがある。ポリエステルやナイ
ロンなどの樹脂材料の熱変形条件は、温度だけでなく歪
にも依存する。つまり、歪が大きくなると、樹脂材料の
融点より低い温度であっても、クリープ変形することが
ある。
【0011】このような状況のなかで、タイヤコード用
接着剤に求められる耐熱性能は、タイヤコードが熱と歪
により熱変形する条件まで、接着状態を維持することで
ある。この条件はコード材料により異なるが、少なくと
も200℃近い温度まで、接着剤層で剥離しないことが
好ましい。
【0012】更に、タイヤでは、硫黄量を多くすること
で硬質にしたゴムを、補強ゴムとして使用することがあ
る。この補強ゴム付近では、補強ゴムから接着剤層に移
行する硫黄の量が多くなり、高熱下で接着剤層が硫黄架
橋することにより生じる歪劣化も大きくなることがあ
る。
【0013】このような条件下における、接着耐久性お
よび高歪下コード疲労性という点では、前述の一浴処理
法あるいは二浴処理法の接着剤組成物は共に、接着耐久
性が不十分になる。従って、ランフラットタイヤのタイ
ヤカーカス材など、タイヤ走行で高温になる場合には、
ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維またはアクリ
ル繊維などを、タイヤ補強用繊維として実用している例
はみられていない。
【0014】また、タイヤの高性能化のみならず、タイ
ヤなどのゴム物品製作における加硫工程においても、工
程時間短縮のため、加硫を高温度、例えば190℃以上
で行う要求があるため、熱劣化に耐える接着剤組成物が
求められる。以上の観点から、高温、高歪下で耐久性が
良好な接着剤組成物が強く求められている。
【0015】これらの要求を満たす接着剤組成物には、
初期接着力が高いのみならず、以下の3つの性能が優れ
ていることが必要である。すなわち、(i)高温時の接着
性が高く、(ii)高温下で接着力の熱劣化性が少なく、か
つ(iii)高歪下のコードでの耐疲労性が良いことであ
る。
【0016】(i)最初に、高温時の接着性が高い接着剤
組成物は、高温時の凝集破壊抗力が高いことが必要であ
る。この接着剤組成物の高温時の凝集破壊抗力は、接着
剤組成物の分子の凝集状態や分子鎖運動など、温度によ
り可逆的に変化する分子の物理的状態の変化から説明す
ることができる(参照:「機能性接着剤の開発と応用」
(下巻)p174;1997年;シーエムシー)。高温での凝集
破壊抗力を高めるには、例えば、接着剤組成物に高Tg
材料を用いるたり、接着剤分子間を架橋剤で架橋したり
するなどの方法がある。接着剤組成物に高Tg材料を用
いると、高温での分子の熱運動性が小さくなることで接
着剤層の凝集破壊抗力を高くなり、一方、接着剤組成物
を架橋剤などにより適度に分子間架橋すると、高温によ
る分子鎖の流動化が抑制され、高温でも接着剤層が熱変
形(クリープ)し難くなるためである。タイヤ高温走行
や高温下での剥離試験において、接着剤層が破壊されな
いためには、高温下での接着剤層の凝集破壊抗力を、被
着体のゴムまたは繊維より高くする必要がある。
【0017】(ii)次に、高温下での接着力の熱劣化性を
少なくするためには、温度と時間に依存するして発生す
る化学的な構造の変化が小さいことが必要となる(参
照:前出「機能性接着剤の開発と応用」(下巻)p17
4)。この接着力を低下させる化学的構造変化の要因に
は、(ii-1)接着剤組成物内部での架橋反応による構造変
化に伴う歪の発生と、(ii-2)接着剤組成物成分などによ
り促進される熱分解による被着体である樹脂材料の劣化
などが挙げられる。
【0018】まず、(ii-1)接着剤組成物内部での架橋反
応による構造変化に伴う歪について説明する。特に、接
着剤−樹脂界面の相互作用が比較的弱いポリエステルな
どの樹脂材料では、樹脂材料表面に被覆する接着剤組成
物の分子間架橋による収縮・硬化の化学構造変化が過度
に大きくなりすぎないよう制御することが重要であるこ
とは言うまでもない。
【0019】接着剤組成物内部での架橋反応としては、
例えば、エポキシ樹脂の架橋反応(参照:越智光一、小
寺一弘「日本接着協会誌」28,272(1992))や、炭素−炭
素二重結合を含有するゴムラテックスなどと硫黄とによ
る架橋反応(参照:前出WO97/13818)などを
挙げることができる。
【0020】エポキシの架橋反応により発生する内部応
力はエポキシ樹脂の種類、量、硬化剤の種類などにより
異なる。例えば、長鎖脂肪酸のグリシジルエステルや多
価アルコールのグリシジルエーテルなど、いわゆる可撓
性エポキシ樹脂(参照:「エポキシ樹脂の高機能化と市
場展望」p162;1990年;シーメムシー)は硬化反応に伴
う接着での歪が小さいため、従来より、ゴムと繊維の接
着剤組成物に用いられているが、可撓性エポキシ樹脂の
みを用いた接着剤組成物では、十分な化学的耐熱性が得
られているとはいえない。
【0021】ゴムラテックスなど、アリル位に水素基を
有する硫黄反応性の炭素−炭素二重結合を有する重合体
は、被着体であるゴムから移行する硫黄が加硫反応する
ため、硫黄が反応する炭素−炭素二重結合を少なくする
ことが有効である。なお、高温になると、硫黄による架
橋は、ポリサルファイド結合からモノサルファイド結合
化し、架橋点が多くなるとともに、架橋部の長さが極端
に短くなるため、接着力低下も急激に大きくなる。従っ
て、接着剤−樹脂界面の相互作用が比較的弱い樹脂材料
を被覆する接着剤組成物にはあまり好ましいとはいえな
い。また、耐熱性が求められる非汎用タイヤなどでは、
樹脂材料を「直接」被覆する接着剤組成物は硫黄反応性
が少ない性質であることが好ましい。
【0022】タイヤ高温走行や、熱劣化後の剥離試験
で、接着剤層と合成樹脂間が破壊されないようにするに
は、樹脂材料を直接被覆する接着剤層内での架橋反応に
より発生する接着剤層内部の歪を少なくすることが必要
である。
【0023】次に、(ii-2) 被着する樹脂材料の接着剤
組成物成分などにより促進される熱分解による劣化につ
いて説明する。一般に、ポリエステルなどの樹脂材料
は、加熱下で、アルカリ成分により加水分解反応が促進
されることが知られている。過去、タイヤなどのゴム物
品では、被着ゴムに含まれる加硫促進剤成分から由来す
るアミン成分などが多くなると、ポリエステルの熱劣化
が著しくなることが知られていた。この原因としては、
アルカリ成分により高熱下のエステル加水分解反応が促
進され、ポリエステル樹脂材料の分子が化学構造的に脆
く変化し、樹脂材料の強度が低下してしまうためであ
る。このため、過去、被着ゴムに含まれる加硫促進剤成
分が大幅に削減されて改善されてきた経緯がある。
【0024】即ち、ポリエステルなど樹脂材料を被覆す
る接着剤組成物においても、エステル結合の加水分解反
応を促進するアルカリ成分が、できるだけ除去されるこ
とが好ましいことは言うまでもない。このようなエステ
ル結合の加水分解反応を促進し易いアルカリ成分として
は、比較的に低〜中分子量である不揮発性のアミンや、
アルカリ金属など1価の金属の塩基が挙げられる。これ
らのアルカリ成分は高温下になると接着剤組成物で容易
に拡散し、ポリエステルなどの樹脂材料内に移行して作
用する。
【0025】また、接着剤組成物に含まれるアルカリ成
分のうち、樹脂材料のエステル結合の加水分解反応を促
進させる効果が、比較的小さくなるアルカリ成分として
は、例えば、高分子量のアミン、多価である金属の塩基
や揮発性のアミンが挙げられる。この理由は、被着する
樹脂材料の熱分解による劣化においては、接着剤組成物
に含まれるアルカリによる劣化促進効果は、接着剤組成
物から樹脂材料に、熱下で拡散して移行するアルカリ量
が少なくなる方が、小さくなるためである。これらアル
カリ成分のうち、先ず、高分子量のアミンは分子が大き
いため拡散しにくくなり、樹脂材料に移行するアルカリ
量が少なくなる。次に、多価の金属の塩基は、1価の金
属に比べて、一般的にイオン結合が解離しにくいものが
多く、イオンが解離しにくいと、水などの接着剤組成物
溶剤に溶解せず、粒子として分散し易い。このような粒
子になると、接着剤組成物に溶解し拡散しにくくなり、
樹脂材料に移行するアルカリ量が少なくなる。さらに、
揮発性のアミンは、接着剤組成物を樹脂材料に塗布して
熱処理すると、水などの溶剤と共に揮発して、接着剤組
成物からその量が減り、樹脂材料に移行するアルカリ量
が少なくなる。
【0026】以上のとおり、耐熱性が求められる非汎用
タイヤなどでは、特に樹脂材料に直接被覆される接着剤
組成物は、樹脂材料の加水分解劣化を促進する、比較的
に低〜中分子量である不揮発性のアミンや、アルカリ金
属など1価の金属の塩基を少なくすることが好ましいと
いえる。
【0027】(iii)最後に、高歪下のコードでの耐疲労性
が良い接着剤組成物とするためには、回転歪下での耐疲
労性が高いことが必要である。接着剤組成物が硬く脆い
と、タイヤ走行の連続歪で、接着剤層内に亀裂が生じ、
亀裂進行方向のコードフィラメント箇所に歪応力が集中
しやすくなる。特に接着剤組成物が硬く脆くなるほど、
コードが均一に撓まないで、局所的に屈曲してしまうた
め、屈曲箇所に応力集中することで局所的な発熱も大き
くなるため、場合によってはコードが熱変形により切断
する。
【0028】例えば、ポリエチレンテレフタレート材料
のコードに、硬い接着剤組成物を処理したスティフネス
の高いコードは、チューブ疲労試験による疲労時間が1
0〜20分でコードが溶融し切断してしまうが、柔らか
い接着剤組成物で同じコードを処理すると、チューブ疲
労時間が1日以上となっても、チューブの発熱は小さ
く、コードが溶融切断するなどの現象が発生しない。従
って、接着剤組成物の可撓性が高いことは、回転により
もたらされる連続高歪によるコード耐疲労性を改善する
ために重要である。
【0029】以上のように、高温、高歪下で使用される
接着剤組成物には、上記の高温時接着性、熱劣化後接着
力、および高歪下での可撓性を、それぞれ保持すること
が重要であるとの知見が得られた。
【0030】ところが、高温域で強靭で凝集破壊抗力が
ある接着剤組成物には、例えば、耐熱性材料を多く配合
し、接着剤組成物のTgを高くする方法で改善できる
が、一方で、室温域やタイヤ走行温度域での可撓性が小
さくなりがちで、連続歪下で接着剤組成物の耐久性が低
くなる背反性がある。また、接着剤組成物の分子間架橋
を多くする方法でも改善できるが、接着剤組成物の架橋
収縮が大きくなりすぎると、熱劣化後接着力が低下して
しまう背反性がある。
【0031】そこで、エポキシド化合物とブロックドイ
ソシアネート類からなる接着剤組成物マトリックスに、
改質剤として熱可塑性樹脂などをブレンドする方法が検
討されている。これらは改質剤として配合した樹脂が接
着剤組成物内で発生する内部応力を低下させたり、熱変
形を抑制させたりする作用などが考えられている。ま
た、環境に有利な水系溶媒の接着剤組成物を改質させる
方法としては、水溶性のポリマーを改質剤としてブレン
ドさせる方法、ラテックス、エマルジョンなどの水分散
性ポリマーをブレンドする方法が挙げられる。
【0032】接着剤組成物マトリックスに、水分散性の
熱可塑性高分子重合体を改質剤として添加する方法とし
ては、例えば、ゴムラテックスを配合する(参照:前出
特公昭60−24226号公報等)方法がみられる。こ
れは、高温域で強靭で凝集破壊抗力があるが、脆い性質
の接着剤組成物マトリックスに、柔軟なラテックス粒子
を分散し、エポキシ樹脂などの架橋に伴う接着剤層内で
の歪や、走行歪に対する吸収性を向上できる効果がある
とみられている。また、例えば特開平11−03418
公報には、エポキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体
ゴムラテックスを配合し、ラテックスに架橋性のある官
能基を導入することで、接着剤マトリックスとの界面等
との接着性を更に改善できる方法が開示されている。し
かし、この接着剤組成物に含まれるゴムラテックス成分
は、200℃近くの高熱下になると、被着ゴムから移行
する硫黄により、ゴムラテックスが加硫反応で熱劣化
し、接着力が低下してしまう不具合がある。
【0033】また、ゴムラテックス以外の、アリル位に
水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖構造に実質的
に含有しない熱可塑性重合体エマルジョンなどの水分散
性ポリマーを添加する例としては、タイヤコード接着用
としては、ペンダント基に架橋性を有する官能基を少な
くとも1つ有し、アリル位に水素基を有する炭素−炭素
二重結合を主鎖構造に実質的に含有しない熱可塑性重合
体として、特公平3−26690公報にはオキサゾリン
基含有ラテックスが開示されている。また、特開平5−
339552公報にはオキサゾリン基含有水溶性重合体
が水性媒体に溶解してなる繊維接着剤組成物が、また特
開平6−123078公報にはポリエポキシド化合物と
ブロックドポリイソシアネート化合物およびゴムラテッ
クスを含む第1処理液で処理し、次いでRFLにオキサ
ゾリン基を有する化合物を添加配合した第2処理液で処
理する方法が開示されている。
【0034】また、ペンダント基に架橋性を有する官能
基を少なくとも1つ有し、アリル位に水素基を有する炭
素−炭素二重結合を主鎖構造に実質的に含有しない熱可
塑性重合体としては、例えば、グラビアラミネートイン
キ用のポリウレタン樹脂等で、ヒドラジノ基(ヒドラジ
ン残基)を有するウレタン系樹脂が知られており、ヒド
ラジノ基とポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂
表面のカルボニル基とが架橋(共有結合の形成)してイ
ンキ塗膜・被着樹脂間の接着力が強化する効果が得られ
ている(参照:宮本賢人「日本接着学会誌」VOL32、NO8
(1996)、p.316)、および特開平10−139839公
報など)。
【0035】しかしながら、これらペンダント基に架橋
性官能基を少なくとも1つ有し、アリル位に水素基を有
する炭素−炭素二重結合を主鎖構造に実質的に含有しな
い熱可塑性重合体を成分とし、耐熱接着力、特に200
℃での苛酷な温度条件での接着耐久性や合成繊維に処理
してコード耐疲労性が十分である接着剤組成物はまだ見
出されていない。
【0036】接着剤組成物マトリックスに水溶性高分子
を改質剤として添加する例としては、例えば、アミノ基
またはカルボキシル基を含む熱可塑性樹脂を改質剤とし
て添加する方法などが挙げられる。特に、文献(接着大
百科;水町弘ら監訳、1993年、朝倉書店,p.195)による
と、カルボキシル基は、ポリマーの鎖内および鎖間架橋
と被着材への親和性に影響を及ぼす化学反応の中心とし
ての役割を果たすことができ、接着力を向上させる酸ま
たは他の電子受容基が、ポリマーと被着材との界面で電
子移動を起こすことに関係していると考えられている。
これら、カルボキシル化ポリマーの接着剤組成物への適
用は、これまでに種々の提案がなされている。
【0037】カルボキシル化ポリマーのうち、無水マレ
イン酸とイソブチレンを含むモノマーを共重合させた水
溶性高分子については、無水マレイン酸とイソブチレン
を含むモノマーを共重合させた水溶性高分子とエポキシ
ド化合物および金属塩もしくは金属酸化物、あるいは、
スチレン・ブタジエン共重合体からなるゴムラテックス
を含む接着剤組成物が、特開昭46-20521 号公報、特開
平10-310755号公報などで開示されている。
【0038】しかしながら、これらカルボキシル基含有
の水溶性高分子を接着剤組成物に適用し、接着性能の耐
熱性あるいは耐久性を検討し、特に、200℃近くの高
熱、高温での硫黄による熱劣化、および高歪下の耐久性
という3つの課題を、十分に両立している接着剤組成物
はまだ見出されていない。
【0039】また、接着剤組成物に添加する接着促進剤
として、(ブロックド)イソシアネート基を有するベン
ゼン誘導体、あるいは極性官能基を有する芳香族類をメ
チレン結合した構造を含む化合物を接着促進剤として接
着剤組成物に添加する例が多く開示されている。例え
ば、(ブロックド)イソシアネート基を有するベンゼン
誘導体としては、トリレンジイソシアネート(の2量
体)、 m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニ
レンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシ
アネート、イソプロペニルジメチルベンジルジイソシア
ネートなどの(ブロックド)イソシアネート類などが挙
げられる。また例えば、極性官能基を有する芳香族類を
メチレン結合した構造を含む化合物としては、ジフェニ
ルメタン−4,4'−ジイソシアネートやそのブロック
化物などの(ブロックド)イソシアネート類;ノボラッ
ク化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物や、クロロフェノール・レゾルシノール・ホルム
アルデヒド縮合物などのフェノール樹脂類;エポキシ基
を有するクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹
脂の変性体;あるいは、芳香族類をメチレン結合した構
造を含有する有機ポリイソシアネート類と2個以上の活
性水素を有する化合物と熱解離性ブロック化剤を含む成
分を反応させ得られる水性ウレタン化合物などが挙げら
れる。
【0040】これら接着促進剤は、ポリエステルなどの
樹脂材料への密着性や接着性を高める作用により、タイ
ヤコードとゴムなどで開示されている、多くの接着剤組
成物において使用されている。
【0041】また、接着促進剤として、芳香族類をメチ
レン結合した構造を含有する有機ポリイソシアネート類
と2個以上の活性水素を有する化合物と熱解離性ブロッ
ク化剤を含む成分を反応させ得られる水性ウレタン化合
物(I)については、例えば、特公昭63−51474
公報に有機高分子材料の接着性改良剤として、熱反応型
水性ウレタン樹脂が開示されている。また、特開平9−
111050公報には熱反応型水性ウレタン樹脂とエポ
キシ化合物、特開平11−35702公報には、スチレ
ン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスまたはエポキシ
変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスから
なる第一処理液で処理後、RFLからなる第二処理液で
処理するゴム/コード複合体が開示されている。
【0042】しかしながら、これら接着剤組成物ではス
チレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックスが用いられ
ており、本発明のようにアリル位に水素基を有する炭素
−炭素二重結合を実質的に含有しない重合体や水溶性高
分子などを含有する接着剤組成物で処理した合成繊維で
なければ耐熱接着力、特に200℃での熱劣化後接着力
が十分であるとはいえない。
【0043】また、金属塩や金属酸化物を充填剤などと
して接着剤組成物に配合する例については、例えば、前
述の特公昭46−20521号公報に無水マレイン酸・イソブ
チレン共重合体と金属塩や金属酸化物を配合する接着剤
組成物が開示され、また例えば、エポキシとブロックド
イソシアネート化合物に金属酸化物の混合物であるベン
トナイト(特公昭60−24226公報)、スメクタイ
ト(特公昭57−29586公報)を添加する方法など
が挙げられる。金属塩や金属酸化物の充填剤添加によ
り、安価な充填剤であればコスト性が良好になる。特
に、無水マレイン酸・イソブチレン共重合体などのカル
ボキシル化ポリマーを接着剤組成物に含む場合は、充填
剤の金属部位と接着剤組成物でイオン結合的相互作用が
得られ(日本接着協会誌;p287,Vol.10, No.6 (197
4))、接着剤組成物に延性や、強靭化の効果が得られる
例が知られている。
【0044】しかしながら、これら金属塩や金属酸化物
を充填剤などとして含む接着剤組成物においても、熱可
塑性高分子重合体(A)、水溶性高分子(B)、および
化合物(C)、または水性ウレタン化合物(I)などを
含む接着剤組成物でないと、200℃近くの高熱、高温
での硫黄による熱劣化、および高歪下の耐久性いう3つ
の課題を、十分に両立できているとは言えない。
【0045】本発明は、接着初期、および200℃の高
温条件下の接着性、および200℃下で30分熱劣化さ
せた後の接着力など、高温度による接着劣化への耐久性
が十分で、タイヤなどの連続歪下における接着耐久性能
が良好な接着剤組成物、およびこのような接着剤組成物
で処理したコードなどの樹脂材料、およびこのような樹
脂材料で補強した耐疲労性や耐熱性に優れたゴム物品、
およびこのようなゴム物品を使用して耐熱時の接着力低
下を抑制し耐久性の優れた空気入りタイヤを提供するこ
とを目的とする。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高温条件下
の接着性、高温下で経時的に発生する接着での歪みによ
る接着力熱劣化、および高歪下での接着剤組成物の疲労
性について種々検討した結果、樹脂材料に直接被覆する
接着剤組成物に、ペンダント基に架橋性官能基を含有
し、アリル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を実
質的に含有しない熱可塑性高分子重合体(A)、水溶性
高分子(B)、および極性官能基を有する芳香族類をメ
チレン結合した構造を含む化合物(C)を含む接着剤組
成物等が有効であることを発見し、本発明を完成するに
至った。
【0047】上記目的を達成するため、本発明は以下の
構成とする。 (1) 本発明にかかる第1の接着剤組成物は、ペンダント
基に架橋性官能基を含有し、アリル位に水素基を有する
炭素−炭素二重結合を主鎖に実質的に含有しない熱可塑
性高分子重合体(A)、水溶性高分子(B)、および極性
官能基を有する芳香族類をメチレン結合した構造を含有
する化合物(C)からなる成分を含む。あるいは、これ
らの成分に、さらに脂肪族エポキシド化合物(D)、金
属塩(E)、金属酸化物(F)、ゴムラテックス(G)、
および2つ以上の(ブロックド)イソシアネート基を有
するベンゼン誘導体(H)よりなる群から選択される少
なくとも1種の成分を含む。
【0048】(2) 本発明にかかる第2の接着剤組成物
は、前記熱可塑性高分子重合体(A)と、芳香族類をメ
チレン結合した構造を含有する有機ポリイソシアネート
類(α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イ
ソシアネート基の熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応
させ得られる水性ウレタン化合物(I)とからなる成分
を含む。あるいは、これらの成分に、さらに、脂肪族エ
ポキシド化合物(D)、金属塩(E)、金属酸化物
(F)、ゴムラテックス(G)、および2つ以上の(ブロ
ックド)イソシアネート基を有するベンゼン誘導体
(H)よりなる群から選択される少なくとも1種の成分
を含む。
【0049】(3) 本発明にかかる第3の接着剤組成物
は、前記水溶性高分子(B)と、前記水性ウレタン化合
物(I)とからなる成分を含む。あるいは、これらの成
分に、さらに脂肪族エポキシド化合物(D)、金属塩
(E)、金属酸化物(F)、ゴムラテックス(G)、およ
び2つ以上の(ブロックド)イソシアネート基を有する
ベンゼン誘導体(H)よりなる群から選択される少なく
とも1種の成分を含む。
【0050】なお本発明において、「ペンダント基」と
は、高分子鎖を修飾する官能基である。また、高分子鎖
へのペンダント基の導入は、本発明のような、ペンダン
トさせる基を含む単量体を重合させる方法の他、ペンダ
ント基を高分子鎖に化学的修飾反応で導入する方法な
ど、既知の方法で行うことができる。また、水性ウレタ
ン化合物などの「水性」とは、水溶性または水分散性で
あることを示し、「水溶性」とは必ずしも完全な水溶性
を意味するのではなく、部分的に水溶性のもの、あるい
は本発明の接着剤組成物の水溶液中で相分離しないこと
をも意味し、「水分散性」とは水中あるいは本発明の接
着剤組成物の水溶液中で分散することを意味し、「アリ
ル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合」は、「アリ
ル位の飽和炭素原子に水素基を有する炭素−炭素二重結
合」のことであり、芳香性六員環など、共鳴安定性があ
る炭素−炭素二重結合は含まないことを示す。また、
「(共)重合体」は、「重合体または共重合体」を意味
し、「(ブロックド)イソシアネート」は、「ブロック
ドイソシアネートまたはイソシアネート」を意味し、イ
ソシアネート基に対するブロック化剤と反応して生じた
ブロックドイソシアネート、イソシアネート基に対する
ブロック化剤と未反応のイソシアネート、あるいはブロ
ックドイソシアネートのブロック化剤が解離して生じた
イソシアネートなどを含む。
【0051】また、本発明の水溶性高分子(B)はカル
ボキシル基を有することが好ましい。なお、接着剤組成
物の使用などにおいて、水溶させることにより、カルボ
キシル基が遊離されてカルボキシル基を有することにな
る場合も含む。このような水溶性高分子としては、水溶
性高分子と塩基性化合物との塩や、無水マレイン酸単位
や無水マレイミド単位など加水分解によりカルボキシル
基を遊離する単位を含有する水溶性高分子などが挙げら
れる。
【0052】(4) 本発明にかかる樹脂材料は、上記接着
剤組成物の層で、表面を被覆されたことを特徴とする。 (5) 本発明にかかるゴム物品は、上記樹脂材料で補強さ
れたことを特徴とする。 (6) 本発明にかかる空気入りタイヤは、上記ゴム物品を
ゴム部材として適用したことを特徴とする。
【0053】
【発明の実施の形態】本発明を詳細に説明する。 [1]熱可塑性高分子重合体(A)について説明する。
熱可塑性高分子重合体(A)は、化合物(C)または水
性ウレタン化合物(I)あるいは脂肪族エポキシド化合
物(D)などの架橋成分により、硬く脆くなりがちな接
着剤組成物マトリックスの可撓性を高める目的で、改質
剤として、接着剤組成物に含ませる熱可塑性樹脂であ
る。
【0054】熱可塑性高分子重合体(A)が、硫黄架橋
反応による接着歪を抑制しつつ、接着剤組成物の可撓性
を高めることで、高歪時のコード強力低下を防止して、
熱劣化後接着力、および高歪下での可撓性を保持でき
る。さらに、熱可塑性高分子重合体(A)が含有する架
橋性のペンダント基による比較的可撓性の高い架橋反応
作用により、破壊靭性や耐熱変形性が保持できる。
【0055】熱可塑性高分子重合体(A)は、ペンダン
ト基に架橋性官能基を含有するが、この理由は、接着剤
層−樹脂表面間の結合が得られるほか、熱可塑性高分子
重合体(A)の分子内架橋などにより高温時の分子流動
が抑制され、高温時接着力を向上できるからである。し
かし、架橋性官能基の量が過度になると化学的耐熱性が
低下する。
【0056】熱可塑性高分子重合体(A)のペンダント
基の架橋性官能基がオキサゾリン基、ビスマレイミド
基、(ブロックド)イソシアネート基、エポキシ基、ア
ジリジン基、カルボジイミド基、ヒドラジノ基、エピチ
オ基であることが好ましい。特に好ましくは、オキサゾ
リン基、ヒドラジノ基、または(ブロックド)イソシア
ネート基である。
【0057】熱可塑性高分子重合体(A)に含まれる架
橋性官能基の好ましい量は、熱可塑性高分子重合体
(A)の主鎖骨格の分子量、ペンダント基に含まれる架
橋性官能基の種類やペンダント基の分子量などに依存す
るが、一般的には、熱可塑性高分子重合体(A)の乾燥
総重量に対し、0.01ミリモル/g〜8.0ミリモル
/gの範囲にあることが好ましい。特に架橋性官能基が
熱可塑性高分子重合体(A)の分子内で架橋する自己架
橋性官能基である場合は、0.01ミリモル/g〜6.
0ミリモル/gであることが好ましい。この理由は、
自己架橋によりモジュラスが向上し、その結果、熱可塑
性高分子重合体(A)添加の主な目的である可撓性の向
上効果が低くなる他、内部応力発生による歪みで接着が
低下してしまうのを回避するためである。このため、熱
可塑性高分子重合体(A)に導入される架橋性官能基を
含むペンダント基の量は、接着剤マトリックス等と高分
子重合体(A)との界面での接着を向上し、かつ自己架橋
による可撓性低下を生じない範囲が好ましい。
【0058】また、熱可塑性高分子重合体(A)は、主
鎖に、アリル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を
実質的に含有しないが、この理由は、主鎖に硫黄反応性
があると、硫黄を含むゴム物品の使用等において、硫黄
架橋に伴う接着の熱劣化が大きくなるので、これを回避
するためである。なお、熱可塑性高分子重合体(A)
は、側鎖など主鎖以外の構造がある場合に、炭素−炭素
二重結合をもつことができるが、この二重結合も主鎖と
同様に、硫黄との反応性が低い、例えば、共鳴構造によ
り安定的な、芳香性の炭素−炭素二重結合などであるこ
とが好ましい。
【0059】また、前記熱可塑性高分子重合体(A)
は、好ましくは直鎖状構造を主体とする比較的高分子量
域の高分子重合体で、更に好ましくはゲル浸透クロマト
グラフィーによるポリスチレン換算で重量平均分子量が
10,000以上であり、特に好ましくは20,000
以上である。この理由は、分子量が小さいと接着による
歪を吸収する改善効果が得られなくなるからである。
【0060】なお、熱可塑性高分子重合体(A)は、水
性ウレタン化合物(I)と同じ原材料から高分子を合成
できるが、水性ウレタン化合物(I)の分子量は、後述
のとおり、好ましくは比較的低〜中分子量領域の分子
で、特に好ましくは分子量9,000以下である。熱可
塑性高分子重合体(A)の合成などにおいて、原材料と
してアルカリを用いることができ、アルカリの種類や量
は、重合体により異なり特に制限されない。しかし、特
にアルカリ金属の塩基および不揮発性で比較的低〜中分
子量のアミンの場合には、できるだけ少なくすることが
好ましい。なお、揮発性のアミン、あるいは不揮発性で
比較的低〜中分子量のアミンであっても、高分子反応時
に高分子に取り込まれて高分子のアミンとなるようなア
ミン成分であればよい。この理由は、前記のように、ア
ルカリ成分が樹脂材料中に拡散した場合には、樹脂材料
中のエステル結合の加水分解反応を促進するので、これ
を避けるためである。
【0061】熱可塑性高分子重合体(A)は、水分散性
であると、水を溶剤に使用できるので、環境への汚染が
少なくでき、好ましい。熱可塑性高分子重合体(A)の
ガラス転移温度は−90℃以上180℃以下が好まし
い。この理由は−90℃未満であると高温使用時のクリ
ープ性が大きくなり、180℃以上では硬くなりすぎる
ため、軟質な熱可塑性樹脂特有の応力緩和性が小さくな
り、また、タイヤ使用時などの高歪下でのコード耐疲労
性が低下するからである。同様の観点から、より好まし
くは−50℃以上120℃以下、更に好ましく0℃以上
100℃以下である。
【0062】前記熱可塑性高分子重合体(A)の主鎖に
は、アクリル系重合体、酢酸ビニル系重合体、酢酸ビニ
ル・エチレン系重合体などのエチレン性付加重合体、お
よび直鎖構造を主体とするウレタン系高分子重合体を好
ましく用いることができる。この理由は、このようなウ
レタン系高分子重合体中のウレタン結合は、分子内に存
在する凝集エネルギーが高く、しかもウレタン結合によ
る分子間2次結合による凝集破壊抗力が高いので、耐久
性が良好になるためである。これらの重合体を、1種も
しくは複数種組み合わせて使用できる。
【0063】以下に、熱可塑性高分子重合体(A)の主
鎖骨格が、[1−1]エチレン性付加重合体、[1−
2]ウレタン系高分子重合体の場合に分けて説明する。 [1−1]エチレン性付加重合体 熱可塑性高分子重合体(A)がエチレン性付加重合体か
らなる場合には、その単位は、(a)炭素−炭素二重結
合を1つ有するエチレン性不飽和単量体および(b)炭
素−炭素二重結合を2つ以上含有する単量体からなる。
【0064】(a)炭素−炭素二重結合を1つ有するエ
チレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、イソブチレン等のα-オレフィン
類;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレ
ン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、スチレン、ス
ルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族単量体
類;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、
メタクリル酸、ブテントリカルボン酸などのエチレン性
カルボン酸類及びその塩;無水マレイン酸、無水イタコ
ン酸などの酸無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸メトキシポリエチエレングリコール、(メタ)ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2
−アミノエチル等の不飽和カルボン酸のエステル類;イ
タコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエス
テル、マレイン酸モノブチルエステルなどのエチレン性
ジカルボン酸のモノエステル類;イタコン酸ジエチルエ
ステル、フマル酸ジブチルエステルなどのエチレン性ジ
カルボン酸のジエステル類;アクリルアミド、マレイン
酸アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(2−
ヒドロキシエチル)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(2−ヒド
ロキシエチル)メタクリルアミド、マレイン酸アミド等
のα,β−エチレン性不飽和酸のアミド類;2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマ
ー;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、フマロ
ニトリル、α−クロロアクリルニトリル等の不飽和ニト
リル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル
等のビニルエーテル類;ビニルケトン;ビニルアミド;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビ
ニリデン等の含ハロゲンα,β−不飽和単量体類;酢酸
ビニル、吉草酸ビニル、カプリル酸ビニル、ビニルピリ
ジン等のビニル化合物;2−イソプロペニル−2−オキ
サゾリンなどの付加重合性オキサゾリン類;ビニルピロ
リドン等の複素環式ビニル化合物;ビニルエトキシシラ
ン、α−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等
の不飽和結合含有シラン化合物などが挙げられる。ま
た、(b)炭素−炭素二重結合を2つ以上含有する単量
体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3
−ブタジエン、2、3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、クロロプレンなどのハロゲン置換ブタジエンなどの
共役ジエン系単量体などが挙げられ、また、非共役ジエ
ン系単量体としては、ビニルノーボルネン、ジシクロペ
ンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン系
単量体等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。さらに、ラジカ
ル付加重合により重合体(A)を得ることが好ましい。
【0065】架橋性官能基を導入する方法としては、特
に限定されない。例えば、オキサゾリン、エポキシ基、
マレイミド、ブロックドイソシアネート基、あるいはエ
ピチオ基等を有する各付加重合性単量体を、ラジカル付
加重合等により重合体を重合する際に、上記単量体と共
重合させる方法等を採用できる。
【0066】ペンダント基にオキサゾリンを含有する付
加重合性単量体としては、例えば、下記の一般式
【0067】
【化2】
【0068】〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞ
れ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、フェ
ニルまたは置換フェニルであり、R5 は付加重合性不飽
和結合を持つ非環状有機基である。〕によって表すこと
ができる。
【0069】具体的には、2−ビニル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−
ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロ
ペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−
メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−
エチル−2−オキサゾリンを挙げられる。これらのう
ち、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に
入手し易いため好適である。
【0070】ペンダント基にエポキシ基を含有する付加
重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジ
ル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メ
タ)アクリル酸ジシクロペンテニル、4−ビニルエポキ
シシクロヘキサン、6−ビニルエポキシノルボルナンな
どの脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリルモノマ
ーなど、不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類等が
挙げられる。特に(メタ)アクリル酸グリシジルが好ま
しい。
【0071】ペンダント基にビスマレイミド基を含有す
る付加重合性単量体としては、マレイミド、N−メチル
マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチル
フェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−
シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。特にマレ
イミドが好ましい。
【0072】ペンダント基にブロックドイソシアネート
基を含有する付加重合性単量体としては、下記の一般式
【0073】
【化3】
【0074】〔式中、Rは水素原子またはメチル基、
Xは−OBO−(但し、Bはハロゲン原子またはアルキ
ル基で置換されていてもよい炭素原子数2〜10のアル
キレン基)または−NH−、Yは芳香族ジイソシアネー
ト残基、Zはケトオキシム残基である。〕で表される化
合物を好ましく例示できる。
【0075】ペンダント基にブロックドイソシアネート
基を含有する付加重合性単量体は、2−メタクリロイル
オキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を
有する重合性単量体に、公知のブロック剤を付加反応さ
せることで得られる。イソシアネート基をブロックする
公知のブロック化剤としては、例えば、フェノール、チ
オフェノール、クロロフェノール、クレゾール、レゾル
シノール、p−sec−ブチルフェノール、p−ter
t−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノー
ル、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等
のフェノール類;イソプロピルアルコール、tert−
ブチルアルコール等の第二級または第三級のアルコー
ル;ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第二級ア
ミン類;フタル酸イミド類;ε−カプロラクタム、δ−
バレロラクタム等のラクタム類;ε-カフロラクタム等
のカフロラクタム類;マロン酸ジアルキルエステル、ア
セチルアセトン、アセト酢酸アルキルエステルなどの活
性メチレン化合物;アセトキシム、メチルエチルケトキ
シム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;3−
ヒドロキシピリジンなどの塩基性窒素化合物および酸性
亜硫酸ソーダ等を挙げることができる。
【0076】ペンダント基にエピチオ基を含有する付加
重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸−2,3,
−エピチオプロピル;(メタ)アクリル酸β−メチルグ
リシジル;脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル
モノマーなどの不飽和カルボン酸のグリシジルエステル
類;等が挙げられる。特に(メタ)アクリル酸−2,
3,−エピチオプロピルが好ましい。
【0077】これらの熱可塑性高分子有機重合体(A)
のうち、ペンダント基にオキサゾリン基を含有する熱可
塑性高分子重合体(A)が、長期貯蔵時における架橋性
官能基の保存安定性が良好であるため好適に用いられ
る。
【0078】[1−2]ウレタン系高分子重合体 熱可塑性高分子重合体(A)がウレタン系高分子重合体
からなる場合、その主鎖構造には、主に、ポリイソシア
ネートと2個以上の活性水素を有する化合物とを重付加
反応させ得られるウレタン結合やウレア結合などの、イ
ソシアネート基と活性水素の反応に起因する結合が多数
存在する。なお、同時に、イソシアネート基と活性水素
の反応に起因する結合のみならず、活性水素を有する化
合物の分子内に含まれるエステル結合、エーテル結合、
アミド結合、および、イソシアネート基同士の反応で生
成するウレトジオン、カルボジイミド等をも含むことは
言うまでもない。
【0079】エポキシ基を有するウレタン系高分子重合
体は、例えば、後述の方法で製造する末端にイソシアネ
ート基を有するウレタン系高分子重合体の末端イソシア
ネート基に、グリシドール、グリセリンジグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル
ビスフェノールA等、ジグリシジルエーテルの水酸基と
エポキシ基を有する化合物を重付加反応させることによ
り得ることができる。また、例えば、ブロックドイソシ
アネート基は、末端イソシアネート基を有するウレタン
系高分子重合体を公知のブロック化剤で処理することで
得られる。
【0080】本発明におけるウレタン系高分子重合体の
合成に用いられる、(a)ポリイソシアネートとして
は、従来より一般に用いられる芳香族、脂肪族、脂環族
の有機ポリイソシアネートを挙げることができる。具体
的には、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジ
イソシアネート、2,2,4(2,4,4)−トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジ
イソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、3,3'‐ジメチルジフェニル、4,
4'−ジイソシアネート、ジアニシジンイソシアネー
ト、m−キシレンジイソシアネート、 水添化キシレン
ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチ
ル)シクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソ
シアネート、リジンイソシアネート、ジメチルトリフェ
ニルメタンテトライソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニ
ル)チオフォスフェート、ウレタン変性トルエンジイソ
シアネート、アロファネート変性トルエンジイソシアネ
ート、ビュウレット変性トルエンジイソシアヌレート、
イソシアヌレート変性トルエンジイソシアネート、ウレ
タン変性ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジ
イミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、アシル
尿素変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリ
ックジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシア
ネート化合物が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではなく、またこれらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0081】本発明におけるウレタン系高分子重合体の
合成に用いられる、(b)2個以上の活性水素を有する
化合物としては、分子末端または分子内に2個以上のヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基またはメルカ
プト基等を有する、一般に公知のポリエーテル、ポリエ
ステル、ポリエーテルエステル、ポリチオエーテル、ポ
リアセタール、ポリシロキサン等を挙げることができ
る。
【0082】これらのうち、分子末端に2個以上のヒド
ロキシル基を有するポリエーテルまたはポリエステルが
好ましい。これら、2個以上の活性水素を有する化合物
は、50〜5,000の分子量であることが好ましい。
具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジ
オール、1,3‐ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,
3−プロパンジオール、1,2‐ペンタンジオール、1,
4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2
−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−
プロパンジオール、1,2‐ヘキサンジオール、1,5‐
ヘキサンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、2,5‐
ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオ
ール、1,7‐ヘプタンジオール、2−メチル−2−プ
ロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル
−2,5−ヘキサンジオール、1,2‐オクタンジオー
ル、1,8−オクタンジオール、2,2,4‐トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオール、プロピレンジオール、
グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘ
キサントリオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノ
ールAのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付
加物などの低分子ポリオール類;2,2‐ビス(ヒドロ
キシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシ
メチル)ブタン酸、2,5,6−トリメトキシ−3,4
−ジヒドロキシヘキサン酸、2,3−ジヒドロキシ−
4,5−ジメトキシペンタン酸などのカルボキシ基含有
ポリオール類などの低分子ポリオール類を挙げることが
できる。
【0083】高分子量ポリオールとしては、ポリプロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレン
オキサイド共重合物、THF/エチレンオキサイド共重
合物、THF/プロピレンオキサイド共重合物などのポ
リエーテルポリオール類;ジメチロールプロピオン酸、
ポリエチレンアジペート、ポリ(プロピレンアジペー
ト)、ポリ−ε−カプロラクトン、およびこれらの共重
合物であるポリエステルポリオール類;ポリエーテルエ
ステルポリオール、ポリ炭酸エステル化合物等のポリカ
ーボネートポリオール、炭化水素骨格ポリオールや、こ
れらの重付加体などが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。またこれらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0084】本発明のポリウレタン系重合体に用いられ
る、2個以上の活性水素を有する化合物としては、少な
くとも1種以上が、芳香族類もしくは芳香族類をメチレ
ン結合した構造を含む化合物を含有することが好まし
い。これは、芳香族類をメチレン結合した構造を含むこ
とでポリエステル素材などに対する密着性が得られるか
らである。また、芳香族類をメチレン結合以外の結合で
結ばれた構造を含む化合物も同様な効果により好まし
い。このような構造を含む化合物は、下記の化学式に示
すようなジオール類などが挙げられるが特にこれらに限
られるものではない。
【0085】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0086】ペンダント基にヒドラジノ基を含有するウ
レタン系高分子重合体の具体的な合成方法は、特に限定
されない。本発明のペンダント基にヒドラジノ基を含有
するウレタン系高分子重合体の合成は、先ず、2個以上
の活性水素を有する化合物と、過剰量のポリイソシアネ
ートを重付加反応等で反応させ得られた末端イソシアネ
ートを有するウレタン系高分子重合体を製造し、第三級
アミンなどの中和剤によって中和した後、水を加え転相
させ、多官能カルボン酸ポリヒドラジドにより鎖延長
と、末端イソシアネート封鎖の処理を行った。
【0087】上述の2個以上の活性水素を有する化合物
と、過剰量のポリイソシアネートとの反応は、従来から
公知の一段式または多段式イソシアネート付加反応法に
より、室温または40〜120℃程度の温度条件下で行
うことができる。上記反応では、ジブチル錫ジラウレー
ト、スタナスオクトエート、トリエチルアミン等の公知
の触媒、リン酸、アジピン酸、ベンゾイルクロライド等
の反応制御剤および、イソシアネート基と反応しない有
機溶媒を使用しても良い。上記溶媒としては、例えばア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸エチルなどのエ
ステル類; N−メチルピロリドンなどのアミド系溶
媒;トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0088】上記反応で使用される中和剤としては、ア
ンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ
プロピルアミン、トリエタノールアミン、モノエタノー
ルアミン、N−メチルモルホリン、モルホリン、2,2
−ジメチルモノエタノールアミン、N,N−ジメチルモ
ノエタノールアミンなどのアミン類、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどが挙げられる。上記反応で使用
される多官能カルボン酸ポリヒドラジドとしては、例え
ば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グ
ルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド(AD
H)、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオン酸ジヒ
ドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラ
ジド、イタコン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラ
ジド、テレフタル酸ジヒドラジド、4,4′−オキシビ
スベンゼンスルホニルヒドラジド、トリメシン酸トリヒ
ドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−
5−イソプロピルヒダントイン(VDH)、エノコ酸ジ
ヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−
ジカルボヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、アク
リルアミド−アクリル酸ヒドラジド共重合体などであ
る。これらの中でもアジピン酸ジヒドラジド、イソフタ
ル酸ジヒドラジド、および1,3−ビス(ヒドラジノカ
ルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(VD
H)が好ましく使用される。
【0089】また、必要に応じて、ジアミン、ポリアミ
ン、N−メチルジエタノールアミンの如きN−アルキル
ジアルカノールアミン;ジヒドラジド化合物などの公知
の鎖伸長剤も使用できる。なお、得られたウレタン系高
分子重合体(A)の水分散液中に有機溶媒が含有する場
合、必要に応じて減圧、加熱条件化で留去することがで
きる。
【0090】[2]水溶性高分子(B)について説明す
る。水溶性高分子(B)は、改質剤として接着剤組成物
に添加され、接着剤組成物マトリックスとの相互作用に
より接着剤組成物を補強して、接着剤組成物の延性や破
壊靭性を高める。特に水溶性高分子(B)がカルボキシ
ル基を含有する場合は、マトリックスを構成する脂肪族
エポキシド化合物(D)や水性ウレタン化合物(I)な
どの架橋性官能基との架橋反応作用により、また金属塩
(E)や金属酸化物(F)とのイオン的相互作用によ
り、前記延性や破壊靭性をさらに高めることができる。
【0091】水溶性高分子(B)は、水または電解質を
含む水溶液に水溶性であり、その構造に特に制限はな
く、直鎖であっても、分岐していても、あるいは二次
元、三次元に架橋していてもよいが、性能の点から直鎖
あるいは分岐鎖の構造のみの重合体であると好ましい。
この重合体の特徴としては、接着剤組成物の水溶液等の
中にブレンドする際に、主鎖がなるべくゴムまり状にな
らず、広がることが好ましい。主鎖が広がり、カルボキ
シル基が接着剤マトリックスと相互作用することによ
り、接着剤組成物の耐熱変形性の向上を可能にするから
である。なお、水溶性高分子が部分的に水溶する場合、
例えばコロイダルディスパージョンのような場合に、十
分広がらなくても、接着剤組成物マトリックスと部分的
に相溶すれば、効果を得ることができる。
【0092】前記水溶性高分子(B)は、分子内に水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、第三級アミ
ン、第四級アンモニウム塩基、オキサゾリン基、ヒドラ
ジノ基、アジド基の一群から選ばれる親水性官能基のう
ち少なくとも1つ以上を含有することが好ましい。前記
水溶性高分子(B)の主鎖は、イタコン酸、フマル酸、
マレイン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メタコン
酸、アクリル酸、メタクリル酸、ブテントリカルボン酸
などのエチレン性カルボン酸類及びその塩;無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸などの酸無水物;ポリ−α−ヒド
ロキシアクリル酸などのヒドロキシ基含有アクリル酸;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエ
チエレングリコール、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル等の不
飽和カルボン酸のエステル類;イタコン酸モノエチルエ
ステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノ
ブチルエステルなどのエチレン性ジカルボン酸のモノエ
ステル類;イタコン酸ジエチルエステル、フマル酸ジブ
チルエステルなどの、エチレン性ジカルボン酸のジエス
テル類;α,β−エチレン性不飽和酸のアミド類の1
つ、もしくは複数の水溶性モノマー同士、あるいはその
他のモノマーとの(共)重合体をも好ましく用いること
ができる。その他のモノマーとしては、長鎖アルキレ
ン、スチレン、メチルビニルエーテル、エチレン、アク
リロニトリル、ブタジエン、イソプレン、アクリロキシ
エチルフォスフェート、メタクリロシキエチルスルホン
酸、スチレンスルホン酸などが挙げられるが、これに限
定されるものではない。特にイソブテン−無水マレイン
酸共重合体であると好ましい。さらに、本発明の水溶性
高分子は塩の形態であってもよい。また、水溶性高分子
(B)は、水に溶解させ使用することがができるが、塩
基性物質による中和物である塩として溶解させ使用する
ことができる。
【0093】具体的な水溶性高分子(B)の例として
は、ポリアクリル酸;ポリ(α―ヒドロキシカルボン
酸);アクリルアミドーアクリル酸;(メタ)アクリル
酸−(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル−無水マレ
イン酸;スチレンーマレイン共重合体;エチレンーアク
リル酸共重合体;(メタ)アクリル酸エステルー無水マ
レイン酸共重合体;イソブテンー無水マレイン酸などの
αオレフィン−無水マレイン酸共重合体;メチルビニル
エーテル−無水マレイン酸、アリールエーテル−無水マ
レイン酸などのアルキルビニルエーテル−無水マレイン
酸共重合体;スチレン−アクリル共重合体;αオレフィ
ン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体
またはこれら水溶性高分子の塩基性物質による中和物が
挙げられ、特にイソブテン−無水マレイン酸共重合体ま
たはこれらの塩基性物質による中和物であると好まし
い。
【0094】水溶性高分子(B)を中和する塩基性物質
としては、塩基性物質であれば特に限定されないが、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウムなどのアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水
酸化物;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プ
ロピルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン
類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属
の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカ
リ金属の酢酸塩;リン酸三ナトリウムなどのアルカリ金
属のリン酸塩が挙げられ、これらの中では水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミンが好ましく用いられる。なかで
も、ポリエステルなどの樹脂材料を加水分解させ劣化さ
せる作用のあるアルカリ金属を含む塩基より、樹脂材料
に塗布した後の加熱工程などで飛散する、アンモニア、
トリメチルアミン、トリエチルアミンなど、沸点が15
0℃以下、好ましくは100℃以下で揮発性がある有機
アミンなどの塩基が好ましい。
【0095】また、水溶性高分子(B)が、実質的に炭
素−炭素二重結合を1つ有する単量体由来の単位からな
ることが好ましい。この理由は、硫黄反応性があると、
硫黄架橋に伴う接着の熱劣化が大きくなるためである。
水溶性高分子(B)の主鎖構造に、アリル位に水素基を
有する炭素−炭素二重結合を少くすることにより、ゴム
物品で使用される硫黄による架橋に伴う化学的な構造収
縮変化のうち、不可逆な化学的劣化に起因する接着力の
熱劣化の低下などを小さくすることができる。また、水
溶性高分子(B)は、比較的高分子量域の高分子重合体
であることが好ましく、好ましくは重量平均分子量3,
000以上、より好ましくは10,000以上、更に好
ましくは80,000以上である。
【0096】[3]化合物(C)について説明する。化
合物(C)は、主に接着剤組成物の一方の被着体である
樹脂材料への接着を促進する作用を目的として含ませら
れる。化合物(C)は極性官能基を有する芳香族類をメ
チレン結合した構造を含む。その理由は、基材となるポ
リエステル樹脂などの合成樹脂素材は、扁平線状な高分
子鎖からなり、この高分子鎖は、これに含まれる芳香族
などに由来するπ電子的雰囲気を有している。従って、
接着剤組成物の成分中に、分子側面に芳香族性π電子を
有する分子構造が含まれると、この分子構造部分と前記
樹脂の高分子鎖のπ電子的雰囲気部分との間のπ電子的
な相互作用により、接着剤組成物の樹脂表面への密着性
や、樹脂の高分子鎖間への拡散などの効果も得られやす
いなどのためである。
【0097】また化合物(C)の極性官能基は、接着剤
組成物中に含まれるカルボキシル基、架橋性成分である
エポキシ基、(ブロックド)イソシアネート基などと反
応する基であることが好ましい。具体的には、エポキシ
基、(ブロックド)イソシアネート基などの架橋性官能
基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などを挙げるこ
とができる。
【0098】芳香族類をメチレン結合した分子構造とし
ては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポ
リフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、あるい
はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物などにみ
られる分子構造が挙げられる。芳香族類をメチレン結合
した分子構造部分は、分岐などせず直鎖状であることが
好ましい。この芳香族類をメチレン結合された分子構造
は、メチレンジフェニル、または、比較的に線状な分子
構造のポリメチレンポリフェニルの構造が好ましい。な
お、芳香族類をメチレン結合された分子構造部分の分子
量は、特に規制されないが、好ましくは6,000以
下、より好ましくは2,000以下である。この理由
は、分子量6,000超過になると高分子量となり過
ぎ、投錨効果がほとんど一定にも拘わらず、基材への拡
散性が小さくなるからである。また、化合物(C)とし
ては、好ましくは比較的低〜中分子量領域の分子で、分
子量9,000以下が好ましい。さらに、化合物(C)
は、水性(水溶性あるいは水分散性)であることが好ま
しい。
【0099】化合物(C)としては、芳香族ポリイソシ
アネートと熱解離性ブロック化剤を含む化合物、ジフェ
ニルメタンジイソシアネートまたは芳香族ポリイソシア
ネートを熱解離性ブロック化剤でブロック化した成分を
含む水分散性化合物、ビスフェノール系エポキシド化合
物、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物または
その変性体、ノボラック化反応により得られるレゾルシ
ンとホルムアルデヒドとの縮合物、クロロフェノール・
レゾルシノール・ホルムアルデヒド縮合物、エポキシ基
を有するクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹
脂類あるいはその変性体、水性ウレタン化合物(I)な
どを挙げることができる。
【0100】芳香族ポリイソシアネートと熱解離性ブロ
ック化剤とを含む化合物としては、好ましくは、ジフェ
ニルメタンジイソシアネートと公知のイソシアネートブ
ロック化剤を含むブロックドイソシアネート化合物など
が挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネートまた
は芳香族ポリイソシアネートを熱解離性ブロック化剤で
ブロック化した成分を含む水分散性化合物としては、ジ
フェニルメタンジイソシアネートまたはポリメチレンポ
リフェニルポリイソシアネートを、前述のイソシアネー
ト基をブロックする公知のブロック化剤でブロックした
反応物が挙げられる。具体的には、実施例で用いたエラ
ストロンBN69やDELION PAS-037など市販のブロック
ドポリイソシアネート化合物を用いることができる。
【0101】フェノール類としては、例えば、フェノー
ル;アルキルフェノール類;ハロフェノール;アミノフ
ェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、m
−メトキシフェノールなどの一価フェノール;レゾルシ
ン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、
ハイドロキノン、ビスフェノール、天然のフェノール樹
脂類などの多価フェノール類;等が挙げられる。
【0102】前記アルキルフェノールとしては、o−ク
レゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフ
ェノール、iso−プロピルフェノール、キシレノー
ル、3,5−キシレノール、ブチルフェノール、t−ブ
チルフェノール、ノニルフェノール等が挙げられる。前
記ハロフェノールとしては、o−フルオロフェノール、
m−フルオロフェノール、p−フルオロフェノール、o
−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロ
ロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェ
ノール、p−ブロモフェノール、o−ヨードフェノー
ル、m−ヨードフェノール、p−ヨードフェノール等が
挙げられる。前記アミノフェノールとしては、o−アミ
ノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェ
ノール等が挙げられる。前記ニトロフェノールとして
は、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p
−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノールが挙
げられる。前記アルキルレゾルシンとしては、5−メチ
ルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−プロピルレ
ゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、4,5−ジエチ
ルレゾルシン、2,5−ジエチルレゾルシン、4,5−
ジプロピルレゾルシン、2,5−ジプロピルレゾルシ
ン、4−メチル−5−プロピルレゾルシン、2−メチル
−5−プロピルレゾルシン、2,4,5−トリメチルレ
ゾルシン、2,4,5−トリエチルレゾルシンが挙げら
れる。天然のフェノール樹脂類としては、エストニア産
のオイルシェールの乾留により得られる多価フェノール
混合物(アルキレース)等を挙げることができる。ノボ
ラック化反応により得られるフェノール樹脂(機能性接
着剤の開発と最新技術(上巻)p.82;1997年;株式会社C
MC)が好ましい。これらの1種もしくは2種以上のフェ
ノール類とフォルムアルデヒドとを縮合した反応物を挙
げることができる。また、これらフェノール類とホルム
アルデヒドとの縮合物は、エポキシ化、スルホメチル
化、スルフィルメチル化などにより変性した誘導体も好
ましく用いることができる。特に好ましくは、ノボラッ
ク化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物、ノボラッククロロフェノール・レゾルシノール
・ホルムアルデヒド縮合物、エポキシ基を有するクレゾ
ールノボラック樹脂である。
【0103】フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物
の具体例としては、ノボラック化反応により得られるレ
ゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物、アミノフェノール
とクレゾールとホルムアルデヒドの縮合物、p−クロロ
フェノールとホルムアルデヒドの縮合物、クロロフェノ
ールとレゾルシンとホルムアルデヒドの縮合物などが挙
げられるが、好ましくは、ノボラック化反応により得ら
れるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物、p−クロロ
フェノールとレゾルシンとホルムアルデヒドの縮合物な
どを挙ことができる。より具体的には、ノボラック化反
応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物
はWO97/13818公報の実施例に記載のノボラッ
ク化反応により得られるレゾルシン・ホルムアルデヒド
縮合物や、クロロフェノールとレゾルシンとホルムアル
デヒドの縮合物はナガセ化成工業(株)のデナボンド、
デナボンド−AL、デナボンド−AFなどを用いること
ができる。
【0104】エポキシクレゾールノボラック樹脂として
は、旭チバ(株)のアラルダイトECN1400、ナガセ化成
工業(株)のデナコールEM-150などの市販の製品を用い
ることができる。このエポキシノボラック樹脂はエポキ
シド化合物でもあるため、接着剤組成物の高温での流動
化を抑制する接着剤分子の分子間架橋成分としても作用
する。フェノール類とホルムアルデヒド縮合物のスルホ
メチル化変性した化合物は、フェノール類とホルムアル
デヒドとの縮合反応の、反応の前、反応中、あるいは反
応の後にスルホメチル化剤を加熱反応させた化合物であ
る。スルホメチル化剤としては亜硫酸、重亜硫酸と塩基
性物質の塩が挙げられる。具体的には特願平10−20
3356号公報の実施例に記載のフェノール類とホルム
アルデヒド縮合物のスルホメチル化変性物などを用いる
ことができる。
【0105】[4]水性ウレタン化合物(I)について
説明する。水性ウレタン化合物(I)は、主に接着剤組
成物の樹脂材料への接着促進作用を目的に、接着改良剤
として含ませる。水性ウレタン化合物(I)は、芳香族
類をメチレン結合された様式の分子構造を分子内に2つ
以上有することが好ましい。なお、水性ウレタン化合物
(I)はその可撓性のある分子構造から、前述の接着改
良剤としての作用のみならず、可撓性のある架橋剤とし
て接着剤層の高温時流動化を抑止する作用も有する。
【0106】また、水性ウレタン化合物(I)は、熱解
離性のブロックされたイソシアネート基を分子内に2個
以上有することが好ましい。この理由は、基材となるポ
リエステル樹脂材料の表面近傍や、接着剤組成物、また
は被着ゴムにある活性水素と反応し、架橋により接着を
促進できるためである。また水性ウレタン化合物(I)
は、塩を生成し得る基、もしくは親水性ポリエーテル鎖
などの親水性の基を有することが好ましい。この理由は
衛生上有利である水を溶媒として使用できるためであ
る。同様の理由から、水性ウレタン化合物(I)は、水
性樹脂であると好ましい。
【0107】水性ウレタン化合物(I)は、好ましく
は、有機ポリイソシアネート化合物(α)40〜85重
量%、化合物(β)5〜35重量%、ブロック化剤
(γ)5〜35重量%、および化合物(δ)5〜35重
量%の反応生成物であり、かつ反応生成物の分子量中、
熱解離性ブロックドイソシアネート基が0.5〜11重
量%(NCO=42として換算)であるとより好まし
い。なお、0〜50重量%であれば、他の活性水素を含
む化合物(ε)をさらに含んでも差し支えない。この化
合物(ε)としてはメタノール、エタノールなどのアル
コール類や尿素、チオ尿素などの、分子内に活性水素を
1つ有する化合物等を例示できる。
【0108】この芳香族類をメチレン結合された分子構
造は、メチレンジフェニル、または、比較的に線状な分
子構造であればポリメチレンポリフェニルの構造が好ま
しい。なお、芳香族類をメチレン結合された分子構造部
分の分子量は、特に規制されないが、好ましくは分子量
6,000以下が好ましく、特に好ましくは2,000
以下である。この理由は、分子量6,000超過になる
と、投錨効果がほとんど一定にも拘わらず、基材への拡
散性が小さくなるからである。また、水性ウレタン化合
物(I)の分子量は、特に規制されないが、好ましくは
9,000以下、より好ましくは5,000以下であ
る。
【0109】化合物(δ)は、少なくとも1つの活性水
素とアニオン性および/または非イオン性の親水基を有
する化合物であれば特に限定されない。少なくとも1つ
の活性水素とアニオン性の親水基を有する化合物として
は、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリ
ン、スルファニル酸等のアミノスルホン酸類、グリシ
ン、アラニンなどのアミノカルボン酸類等を例示でき
る。また、少なくとも1つの活性水素と非イオン性の親
水基を有する化合物としては、親水性ポリエーテル鎖を
有する化合物類を例示できる。アニオン系親水性基の導
入方法として、ポリイソシアネートとポリオールを反応
させた後、その末端イソシアネート基の一部にタウリ
ン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルフ
ァニル酸等のアミノスルホン酸のナトリウム塩など、活
性水素を有する有機酸の塩類を反応させる方法;および
ポリイソシアネートとポリオールを反応させる段階で、
あらかじめ、N−メチル−ジエタノールアミン等を添加
するなどにより、三級窒素原子を導入しておき、その三
級窒素原子をジメチル硫酸などで四級化しておく方法;
を例示できる。親水性ポリエーテル鎖などの親水性の基
の導入方法として、ポリイソシアネートとポリオールを
反応させた後、その末端イソシアネート基の一部に35
0〜3000の分子量をもつ単官能性ポリエチレングリ
コールモノアルキルエーテル類(例えば、Brox 3
50、550、750,BPChemicals社製)などの、
少なくとも1つの活性水素と親水性ポリエーテル鎖を有
する化合物を反応させる方法を例示できる。これらの化
合物の親水性ポリエーテル鎖は、少なくとも80%、好
ましくは100%のエチレンオキシドおよび/またはプ
ロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド単位を含
む。
【0110】また、水性ウレタン化合物(I)が、下記
の一般式
【化12】 〔式中、Aは有機ポリイソシアネート化合物(α)の活
性水素が脱離した残基を示し、Yは熱解離性ブロック化
剤(γ)の活性水素が脱離した残基を示し、Zは化合物
(δ)の活性水素が脱離した残基を示し、Xは化合物
(β)の活性水素が脱離した残基であり、nは2〜4の
整数であり、p+mは2〜4の整数(m≧0.25)で
ある〕で表されると好ましい。芳香族類をメチレン結合
した構造を有する有機ポリイソシアネート(α)として
は、メチレンジフェニルポリイソシアネート、およびポ
リメチレンポリフェニルポリイソシアネート等を例示で
きる。好ましくは分子量6,000以下、より好ましく
は分子量40,000以下のポリメチレンポリフェニル
ポリイソシアネートである。
【0111】また、化合物(β)は、好ましくは2〜4
個の活性水素を有し、平均分子量が5,000以下の化
合物であるが、このような複数の活性水素を有する化合
物としては、下記(i)〜(vii)からなる群から選ばれ
る化合物が挙げられる。 (i) 2〜4個の水酸基を有する多価アルコール類、 (ii) 2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基を
有する多価アミン類、 (iii)2〜4個の第一級及び/又は第二級アミノ基と
水酸基を有するアミノアルコール類、 (iv) 2〜4個の水酸基を有するポリエステルポリオ
ール類、 (v)2〜4個の水酸基を有するポリブタジエンポリオ
ール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体 (vi)2〜4個の水酸基を有するポリクロロプレンポリ
オール類及びそれらと他のビニルモノマーとの共重合体 (vii)2〜4個の水酸基を有するポリエーテルポリオ
ール類であって、多価アミン、多価フェノール及びアミ
ノアルコール類のC2〜C4のアルキレンオキサイド重付
加物、C3以上の多価アルコール類のC2〜C4のアルキ
レンオキサイド重付加物、 C2〜C4のアルキレンオキ
サイド共重合物、またはC3〜C4のアルキレンオキサイ
ド重合物。
【0112】2〜4個の水酸基を有し平均分子量が5,
000以下のポリオール化合物としては、平均分子量が
5,000以下であれば、熱可塑性高分子重合体(A)
を構成可能な前述したポリオール類等も利用できる。こ
れらのうちビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物など、芳香族類をメチレン結合した構造を含むポリオ
ール化合物であれば、水性ウレタン化合物(I)の前記
有機イソシアネート(α)残基のみならず、化合物
(β)残基にも芳香族類をメチレン結合した構造を導入
することができる。また、熱処理によりイソシアネート
基を遊離する熱解離性ブロック化剤(γ)は、公知のイ
ソシアネートブロック化剤が挙げられる。
【0113】水性ウレタン化合物(I)の合成方法は、
具体的には、特公昭63−51474公報に記載の方法
など、公知の方法で製造できる。これらの方法に基づき
合成した熱反応型水性ウレタン樹脂のほか、第一工業製
薬(株)製エラストロンBN27、エラストロンBN7
7などの商品を用いることができる。エラストロンBN
27は前記一般式[化12]であらわされる化合物に相
当し、BN77は、この式中、m=0の場合の化合物に
相当し、式中、Xの部分に親水性の部分を有するので、
BN77の化合物も水溶性を示す。
【0114】なお、水性ウレタン化合物(I)は、比較
的柔軟な分子鎖に、ウレタン結合で、芳香族類をメチレ
ン結合された分子構造部分が幾つか配置されているた
め、芳香族類をメチレン結合された分子構造部分が基材
に密着すれば、それ以外の箇所が、接着剤組成物に投錨
やIPN:interpenetrating polymer network(相互侵
入高分子網目)を形成するため、効率的に接着促進効果
が得られる。 勿論、分子内に1つの芳香族類をメ
チレン結合された分子構造を有する化合物接着促進剤を
水性ウレタン化合物(I)と同時に接着剤組成物に添加
することもできる。
【0115】[5]脂肪族エポキシド化合物(D)につい
て説明する。脂肪族エポキシド化合物は接着剤組成物の
架橋剤として含ませる。前記脂肪族エポキシド化合物
(D)は、1分子中に好ましくは2個以上、より好まし
くは4個以上のエポキシ基を含む化合物である。この理
由は、エポキシ基が多官能であるほど、接着剤組成物の
高温領域での応力によるクリープやフローを抑制効果が
高く、高温での接着力が高くなるからである。
【0116】また、前記2個以上のエポキシ基を含む化
合物が、多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反
応生成物であることが好ましい。脂肪族エポキシド化合
物としては、脂肪酸のグリシジルエステル類、脂肪族多
価アルコールのグリシジルエーテル類、環状脂肪族エポ
キシド化合物類などが挙げられる。このエポキシド化合
物は、特に前述の可撓性エポキシ樹脂である、長鎖脂肪
酸のグリシジルエステルや多価アルコールのグリシジル
エーテルなどが好ましく用いられる。
【0117】エポキシ化合物(D)の具体例としては、
ジエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエ
チレン・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコ
ール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール
・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジ
グリシジルエーテル、グリセロール・ポリグリシジルエ
ーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエー
テル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ペ
ンタエリチオール・ポリグリシジルエーテル、ジグリセ
ロール・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリ
グリシジルエーテル、などの多価アルコール類とエピク
ロルヒドリンの反応生成物が挙げられる。
【0118】多価アルコール類とエピクロルヒドリンの
反応生成物のうち、特に好ましくは、ポリグリセロール
・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシ
ジルエーテルである。この理由はエポキシ基が多官能で
高温時の接着剤層の応力によるフロー、クリープによる
高温接着力低下が少なく、また長鎖状で柔軟な主骨格構
造で可撓性があるため、架橋による接着剤層の硬化・収
縮の発生が小さく、内部歪応力による接着力低下が小さ
くなるためである。これらソルビトール・ポリグリシジ
ルエーテル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテ
ル、ノボラック型エポキシ樹脂は市販の薬品を用いるこ
とができる。
【0119】かかるポリエポキシド化合物は、水に溶
解、または乳化により水に分散させて使用できる。乳化
液とするには、例えば、かかるポリエポキシド化合物を
そのまま水に溶解するか、あるいは必要に応じて少量の
溶媒に溶解したものを、公知の乳化剤、例えばアルキル
ベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネ
ートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイ
ド付加物等を用いて水に乳化できる。
【0120】[6]金属塩(E)および金属酸化物
(F)について説明する。金属塩(E)、金属酸化物
(F)は接着剤組成物の安価な充填剤として含ませ、接
着剤組成物に延性や、強靭性を付与することができる。
金属塩、金属酸化物は多価金属塩や多価金属酸化物が好
ましい。なおここでいう「金属」とは、ホウ素や、珪素
などの類金属をも含包する。多価金属塩、多価金属酸化
物は、水酸化ナトリウムなど1価のアルカリなどと比較
して、ポリエステルなどの基材となる樹脂材料をアルカ
リ加水分解させるなどの劣化作用が小さく好ましいほ
か、接着剤組成物中のカルボキシル基を含むポリマー間
をイオン結合的な相互作用で架橋する効果も期待でき
る。多価金属塩としては、例えば、カルシウム、マグネ
シウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、鉄、ニッケル
などの2価以上の、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、
塩化物、水酸化物、珪酸塩などの塩が挙げられる。多価
金属酸化物としては、例えば、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ホウ素、
珪素、ビスマス、マンガン、鉄、ニッケルの酸化物、ま
たは、これら酸化物がその構成要素となっている、ベン
トナイト、シリカ、ゼオライト、クレー、タルク、サテ
ン白、スメクタイトなどが挙げられる。
【0121】これら多価金属塩、多価金属酸化物は、一
般的に、水溶媒などを用いても溶解し難く、接着剤組成
物に相溶するよりは分散しやすいため、充填物として作
用し易い。従って、これら金属塩、金属酸化物は微細粒
子として添加することが好ましく、平均粒子径は好まし
くは20μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
この理由としては、タイヤコードなどでは接着剤組成物
の被覆層の厚さが数μm〜50μm程度が一般的である
ため、この厚みよりは粒子径が小さいことが好ましいた
めである。また、金属塩、金属酸化物は既知の界面活性
剤あるいは水溶性高分子などで水に分散して用いること
ができる。本発明においては、水溶性高分子(B)をそ
の保護コロイドとして利用して比較的安定な水分散体を
得ているが、特に水に分散できればこの方法に限定され
ない。
【0122】[7]ゴムラテックス(G)について説明
する。ゴムラテックスは公知のゴムラテックスを用いる
ことができる。ビニルピリジン−共役ジエン化合物系共
重合体ラテックスおよびその変性ラテックス、スチレン
−ブタジエン共重合体ラテックスおよびその変性ラテッ
クス、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体ラテッ
クスおよびその変性ラテックスなどの合成ラテックス;
天然ゴムラテックス等を例示でき、これらを1種または
2種以上併用してもよい。なお、これらの合成ラテック
スは、接着剤組成物マトリックスと架橋する、カルボキ
シル基やエポキシ基など架橋性官能基を有する単量体を
含有していてもよい。また、カルボキシル変性、エポキ
シ変性などの変性を行った変性ラテックスを用いること
ができる。特に、接着剤組成物のマトリックスに対する
架橋性官能基を有する場合には、マトリックスの凝集破
壊抗力が向上するため、初期接着力や、歪下などでの接
着耐久性が向上するので好ましい。なお、ビニルピリジ
ン−共役ジエン化合物系共重合体ラテックスとしては、
WO97/13818公報などで開示の、接着性能を損
なわず低ブタジエン量化した、マルチステージフィード
重合方法で得られる共重合体を用いることができる。こ
のnVpラテックスは、JSR(株)製品などを用いる
ことができる。
【0123】[8]2つ以上の(ブロックド)イソシア
ネート基を有するベンゼン誘導体(H)について説明す
る。このベンゼン誘導体(H)としては、トリレンジイ
ソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−
フェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジ
イソシアネート、イソプロペニルジメチルベンジルジイ
ソシアネートなどのベンゼン類のイソシアネート誘導体
もしくはその2量体などが挙げられる。
【0124】[9]接着剤組成物の組成比について説明
する。 [9−1]熱可塑性高分子重合体(A)、水溶性高分子
(B)および化合物(C)を含む接着剤組成物の場合 乾燥重量で、接着剤組成物中、熱可塑性高分子重合体
(A)が2〜75%、水溶性高分子(B)が5〜75
%、化合物(C)が15〜77%であると好ましい。
【0125】この理由は、熱可塑性高分子重合体(A)
が2重量%未満では少なすぎて、重合体(A)を添加す
る目的である接着での歪吸収による接着力劣化抑制の効
果が十分得られず、一方75重量%超過になると熱可塑
性高分子重合体(A)の接着剤組成物に含まれる量が多
すぎ、熱による可塑化で、高温時の接着力が低下するた
め好ましくないためである。
【0126】また、水溶性高分子(B)が5重量%未満
では少なすぎて、水溶性高分子(B)を添加する目的で
ある接着剤組成物の熱変形性への耐久性や、強靭性など
を高める効果が十分に得ることができず、一方75重量
%超過になると水溶性高分子(B)の接着剤組成物に含
まれる量が多く、化合物(C)の成分が少なくなりす
ぎ、化合物(C)の量が少なくなると初期接着力が低下
するためである。
【0127】また、化合物(C)が15重量%未満では
接着性改良剤である化合物(C)の含有量が少なすぎ接
着力が初期より低下し、一方77重量%超過では接着剤
組成物の他の成分が少なくなりすぎ高温接着力、あるい
は耐熱接着力が低下してしまうためである。同様の観点
から、熱可塑性重合体(A)がより好ましくは6〜65
%、さらに好ましくは10〜55%であり、水溶性高分
子(B)がより好ましくは15〜60%、さらに好まし
くは18〜45%であり、化合物(C)が より好ましく
は15〜55%、さらに好ましくは18〜55%であ
る。
【0128】[9−2]熱可塑性高分子重合体(A)お
よび水性ウレタン化合物(I)を含む接着剤組成物の場
合 熱可塑性高分子重合体(A)については配合量、その理
由とも上記と同様である。水性ウレタン化合物(I)
は、乾燥重量で、接着剤組成物中、15〜87重量%で
あると好ましい。この理由は、15重量%未満では、接
着改良剤である水性ウレタン化合物(I)が少な過ぎ、
接着力が初期より低下し、一方87重量%を超えると、
接着剤組成物中の他の成分量が少なくなり過ぎ、高温接
着力、あるいは耐熱接着力が低下するためである。同様
の観点から、水性ウレタン化合物(I)は、より好まし
くは15〜60%、さらに好ましくは18〜45%であ
る。
【0129】[9−3]水溶性高分子(B)および水性
ウレタン化合物(I)を含む接着剤組成物の場合 熱可塑性高分子重合体(B)については配合量は上記と
同様であり、その理由は、前記水溶性高分子(B)の含
有量が接着剤組成物の乾燥重量の5重量%未満では少な
すぎて、水溶性高分子(B)を添加する目的である接着
剤組成物の熱変形性への耐久性や、強靭性などを高める
効果を十分に得ることができず、一方75重量%超過に
なると水溶性高分子(B)の接着剤組成物に含まれる量
が多くなりすぎ、接着剤組成物で水溶性高分子(B)の
架橋少なくなり、接着力が低下するためである。水性ウ
レタン化合物(I)は、15〜77%であると好まし
い。この理由は、15重量%未満では、接着改良剤であ
る水性ウレタン化合物(I)が少な過ぎ、接着力が初期
より低下し、一方77重量%を超えると、接着剤組成物
中の他の成分量が少なくなり過ぎ、高温接着力、あるい
は耐熱接着力が低下するためである。同様の観点から、
水溶性高分子(B)がより好ましくは15〜60%、さ
らに好ましくは18〜45%、水性ウレタン化合物
(I)がより好ましくは15〜55%、さらに好ましく
は18〜55%である。
【0130】上記[9−1]、[9−2]、および[9
−3]の接着剤組成物とも、これら成分に加えて、さら
に脂肪族エポキシド化合物(D)、金属塩(E)、金属
酸化物(F)、ゴムラテックス(G)、2つ以上の(ブ
ロックド)イソシアネート基を有するベンゼン誘導体
(H)のうち少なくとも1種の成分を含むことができる
が、この場合の配合量を以下に説明する。乾燥重量で、
接着剤組成物中、脂肪族エポキシド化合物(D)が70
%以下であると好ましい。この理由は、70重量%超過
では接着剤組成物が硬くなりすぎチューブ疲労など歪下
での疲労性が低下してしまうためである。同様の観点か
ら、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは10
〜30%である。なお、化合物(C)がエポキシクレゾ
ールノボラック樹脂などのエポキシ基を含有する架橋性
化合物の場合は、接着剤組成物に含まれる「脂肪族エポ
キシド化合物(D)と化合物(C)の含有量」の合計が
接着剤組成物の乾燥重量の9〜70%以下であることが
好ましい。この理由は、9重量%未満では化合物(C)
が少なくなり、架橋による接着剤組成物の分子流動を抑
制する効果が低下して高温時の接着力が低下する場合が
あり、一方70重量%超過では接着剤組成物が硬くなり
すぎチューブ疲労など歪下での疲労性が低下してしまう
ためである。
【0131】また金属塩(E)は50%以下であると好
ましい。この理由は、50重量%超過では接着剤組成物
の靭性が低くなり、接着力が低下してしまうためであ
る。同様の観点から、より好ましくは3〜40%、さら
に好ましくは5〜25%である。
【0132】また金属酸化物(F)は50%以下である
と好ましい。この理由は、50重量%超過では、やは
り、靭性が低くなり、接着力が低下してしまうためであ
る。同様の観点から、より好ましくは3〜40%、さら
に好ましくは5〜25%である。
【0133】またゴムラテックス(G)は18%以下で
あると好ましい。この理由は、18%超過では接着組成
物が硫黄と反応することで、内部応力による歪により接
着力が低下するためである。同様の観点から、より好ま
しくは15%以下である。
【0134】べンゼン誘導体(H)は50%以下である
と好ましい。この理由は、50%超過では接着剤組成物
の靭性が低くなり、接着力が低下してしまうためであ
る。同様の観点から、より好ましくは20%以下であ
る。
【0135】なお、上記(A)〜(H)の各成分は、そ
れぞれの成分において、1種に限らず2種以上を使用して
もよいが、この場合は、それらの合計量がその組成の範
囲内となるようにすることが好ましい。
【0136】本発明の接着剤組成物は、上記(A)〜
(H)を主な成分とするものであるが、架橋性官能基を
有さない水性ウレタン樹脂やセルロース系共重合体など
のその他の水性樹脂成分を含んでもよい。これら水性成
分は、一般的に、接着剤乾燥重量の30%以下であるこ
とが好ましいが、これに限定されない。また、各成分
は、接着剤組成物の製造、塗布などの工程で、水、有機
溶剤などの各種溶剤に溶解または分散して使用すること
ができる。
【0137】また、アルカリ金属は、乾燥重量で、接着
剤組成物中、2%以下であることが好ましい。この理由
は、接着剤組成物が塩基性であると、アルカリ金属はポ
リエステルなど被着体の樹脂材料の分子を加水分解によ
り劣化させるからである。また、接着剤組成物が塩基性
でない場合であっても、アルカリ金属が2%以下である
と以下の点で好ましい。すなわち、ゴム物品製造時の加
硫工程などで発生するゴム中の加硫促進剤成分から発生
するアミン成分が接着剤組成物を浸透して樹脂材料に作
用する。このとき接着剤組成物中の水溶性高分子などの
カルボキシル基と相互作用するアルカリ金属が少ないほ
ど、接着剤組成物を浸透するアミン成分の遮蔽などの効
果が得られるなどで、ポリエステルコードなどでは接着
剤組成物に含有するアルカリ金属が少ないほどコード強
力の低下が少なくなる効果が得られるためである。従っ
て、特にポリエステルなどの樹脂材料では、接着剤組成
物に含有するアルカリ金属を削減することが、高温下で
耐久性が良好な接着剤組成物とするのに好ましい特徴の
1つとなる。
【0138】[10]接着剤組成物の貯蔵弾性率G’
(60℃および200℃)について説明する。上記接着
剤組成物においては、各温度での接着剤組成物の粘弾性
を制御することが重要となる。特に非汎用タイヤでは、
高歪走行時の温度である200℃近くの物性は、高温度
で軟化せず、通常走行時の温度である60℃付近では歪
みに対して柔軟で可撓性が高く、しかも硬さを維持する
ことが望ましい。本発明の接着剤組成物は、プレート式
動的粘弾性測定装置を用いて、60℃、周波数10Hz
で動的粘弾性を測定したときの貯蔵弾性率G’が10の
9乗以下であると好ましい。この理由は、10の9乗超
過であると一般に材料はガラス状態に近くなり、タイヤ
での高歪下の走行や、チューブ疲労試験などでの耐久性
が低くなるためである。同様の観点から、より好ましく
は10の8乗以下である。このような効果は、熱可塑性
高分子重合体(A)や水溶性高分子(B)の作用により
得られる。また、200℃、周波数10Hzでの貯蔵弾
性率G’は10の6乗以上であることが好ましい。高温
では、接着剤組成物マトリックスの分子間架橋や、熱可
塑性高分子重合体(A)や水溶性高分子(B)が含有す
る官能基が架橋することにより、200℃付近のモジュ
ラスを改善し、いわゆる広いプラトー領域(貯蔵弾性率
が10の6乗〜8乗程度)をもつことがその特徴の1つ
である。なお、貯蔵弾性率G'が10の6乗未満である
と、一般に材料はいわゆる粘着剤に近い、低いモジュラ
ス領域にとなり、タイヤでの高温走行などでは、接着剤
組成物が熱により変形破壊しやすくなるので好ましくな
い。
【0139】このように、60℃では、可撓性を保持す
るため貯蔵弾性率G'を抑制し、同時に、200℃での
高温では、軟化を抑制し、貯蔵弾性率G'を高く保ち、
これらを両立させることが、高温、高歪下で耐久性が良
好な接着剤組成物とするのに好ましい特徴の1つであ
る。
【0140】[11]接着剤組成物の積算反応熱量につ
いて説明する。この積算反応熱量は、アリル位に水素基
を有する炭素―炭素二重結合と硫黄との反応に基づく反
応熱に相関しているので、この量から、前記二重結合の
量を評価することができる。実施例記載の方法に従い、
前記接着剤組成物の乾燥重量100重量部と10重量部
の硫黄を160℃で90分間反応させたときの、接着剤
組成物乾燥1gあたりの積算反応熱が85J(ジュー
ル)以下であると好ましい。85J以上になると、熱劣
化後接着力とそのゴム付着量の低下が著しく、特に、ゴ
ム付着率が表14の基準でCレベル以下となるため好ま
しくない。また、ひいては総合耐熱接着力およびゴム付
きレベルが低下するためである。この理由は、熱的刺激
で加硫反応が促進されると硬化し、熱可塑性高分子重合
体(A)特有の軟質な応力緩和性が小さくなり、また、
架橋で分子鎖を拘束するのに伴う応力が発生するため、
加硫による化学的接着劣化が著しくなるからである。同
様の観点から、より好ましくは、65J以下である。な
お、接着剤組成物の硫黄反応性は、本発明の実施例で規
定する方法により、加硫温度での反応熱量を測定して求
めることができる。
【0141】上記積算反応熱量を所定範囲に規定する効
果は、例えば、合成繊維などの合成樹脂材料の被着体
と、硫黄等の加硫剤を含むゴム組成物の被着体の接着な
ど、いずれかの被着体に含まれる加硫剤が接着剤組成物
へ移行し、接着剤組成物が加硫剤により架橋され得る接
着方法において得られることは言うまでもない。
【0142】前記加硫剤としては、硫黄;テトラメチル
チラリウムジスルフィド、ジペンタメチレンチラリウム
テトラサルファイドなどのチラリウムポリサルファイド
化合物;4,4−ジチオモルフォリン、p−キノンジオ
キシム、p,p'−ジベンゾキノンジオキシム、環式硫
黄イミドなど有機加硫剤;等が挙げられる。
【0143】[12]樹脂材料について説明する。上記
のような接着剤組成物を樹脂材料、たとえばポリエステ
ル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、またはアクリル樹脂の
表面に被覆させ、適度な熱処理を施すことにより、接着
剤組成物が樹脂材料表面に接着処理された樹脂材料を作
成することができる。
【0144】本発明の接着剤組成物を被覆させる樹脂材
料は、特にポリエステル樹脂材料が好ましい。ポリエス
テルは、主鎖中にエステル結合を有する高分子であり、
詳しくは、主鎖中の繰り返し単位の結合様式の80%以
上がエステル結合様式のものである。かかるポリエステ
ルは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、
ペンタエリスリトール等のグリコール類と、テレフタル
酸、イソフタル酸、およびそれらのジメチル体等のジカ
ルボン酸類のエステル化反応、あるいはエステル交換反
応によって縮合して得られるものである。最も代表的な
ポリエステルはポリエチレンテレフタレートおよびポリ
エチレンナフタレートである。
【0145】上記のようなポリエステル樹脂材料の他、
6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン等
の脂肪族ポリアミド樹脂材料、パラフェニレンテレフタ
ルアミド等の芳香族ポリアミド樹脂材料が挙げられる。
これらの樹脂材料の形態はコード、ケーブル、フィル
ム、フィラメント、フィラメントチップ、コード織物、
帆布、短繊維、不織布等が挙げられ、特にタイヤ物品や
コンベアベルトなどゴム物品補強には、前記樹脂材料が
複数のフィラメントを撚り合わせてなるコードが好適に
用いられる。かかるコードは、合成繊維が上撚りと下撚
りを有し、下記式(1)、(2)で規定される下撚りの
撚係数N1が0〜0.70であり、上撚りの撚係数N2
が0.12〜0.90であることが好ましい。 N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 (1) N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 (2) (式中、D1は下撚り糸束の表示デシテックス数、D2はト
ータル表示デシテックス数、n1は下撚り数(回/10c
m)、n2は上撚り数(回/10cm)、ρは有機繊維の比
重を表す。) この理由は、下撚りの撚係数N1が0.70超過である
と、コードの弾性率が低くなるためである。特に好まし
くは、0.15〜0.60である。また、上撚りの撚係
数N2が、0.12未満ではコードが「ばらけて」作業
性を悪化させる傾向があるためである。また、コードの
弾性率を保つためには、0.90以下であることが好ま
しい。よりこの好ましくは0.18〜0.75である。
また、前記コードを被覆する接着剤組成物が、乾燥重量
で、コード重量に対し0.5〜6.0重量%であると好
ましい。
【0146】また、本発明の接着剤組成物を処理したコ
ードのスティフネスは硬すぎるとチューブ耐疲労性が低
くなるので好ましくない。本発明の接着剤組成物は、樹
脂材料として、撚構造1670dtex/2、上撚数4
0回/10cm、下撚数40回/10cmの例えばポリ
エチレンテレフタレートタイヤコードに、コード重量に
対し接着剤組成物の乾燥重量が約2.0〜2.5重量%
付着させたコードで、ガーレー式によるコードスティフ
ネスが、好ましくは150mN以下、より好ましくは1
00mN以下である。コードスティフネスが150mN超
過であると、コードが硬すぎチューブ疲労による寿命が
短くなる。また、かかるコードは接着剤組成物を処理
後、コード柔軟化装置などにより、コードの柔軟化を行
ってもよい。
【0147】被覆させる方法は、特に限定されず、接着
剤組成物に樹脂材料を浸漬する方法、接着剤組成物をハ
ケで塗布する方法、接着剤組成物をスプレーする方法
等、必要に応じて適当な方法を選択することができる。
この被覆処理に際しては、接着剤組成物を種々の溶剤に
溶解して粘度を下げてから行うと、塗布作業が容易にな
るため好ましい。またかかる溶剤が水であると環境的に
好ましい。
【0148】接着剤組成物を表面に被覆された樹脂材料
は、例えば、100℃〜210℃の温度で乾燥させた
後、引き続いて行う熱処理は、樹脂材料のポリマーのガ
ラス転移温度以上、好ましくは、該ポリマーの〔融解温
度−70℃〕以上、〔融解温度−10℃〕以下の温度で
施すのが好ましい。この理由としては、ポリマーのガラ
ス転移温度未満では、ポリマーの分子運動性が悪く、接
着剤組成物のうちの接着を促進する成分とポリマーとが
十分な相互作用を行えないため、接着剤組成物と樹脂材
料の結合力が得られないためである。かかる樹脂材料
は、予め電子線、マイクロ波、コロナ放電、プラズマ処
理等の前処理加工されたものでもよい。
【0149】このようにして得られた接着剤組成物被覆
樹脂材料は、直接、未加硫ゴムに埋設して、加硫により
接着させても良好な接着を得ることができるが、さら
に、接着剤組成物被覆樹脂材料を、一旦、公知の方法で
作成されるRFLを含む処理液で被覆した後、未加硫ゴ
ムに埋設し加硫する等の方法により、該樹脂材料とゴム
とを接着させてもよい。
【0150】RFLを含む処理液としては、例えば、レ
ゾルシン・ホルマリン初期縮合物/ゴムラテックス(例
えば、スチレンブタジエンラテックス、ビニルピリジン
・スチレン・ブタジエンターポリマーラテックスなどの
30〜60%エマルジョン)=1:2〜1:20(重量
比)であり、これらの成分に加えて、必要に応じ、ノボ
ラック化反応により得られるレゾルシン・ホルマリン縮
合物、やメチレンジフェニルジポリソシアネートを含む
ブロックドイソシアネート水分散体など、芳香族類をメ
チレン結合した構造の接着性改良剤などを含有させるこ
とができる。またRFLの熟成液の製造方法としては、
水、レゾルシンおよび/またはレゾルシン・ホルムアル
デヒド縮合物、ホルムアルデヒド、およびアルカリを加
えた後、ある程度までレゾルシンとホルムアルデヒドを
縮合させた液に、ゴムラテックスを混合して、さらに熟
成する2段の熟成方法や、初期から、水、レゾルシンま
たは/およびレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物、ホ
ルムアルデヒド、アルカリ、ゴムラテックスを混合した
後、熟成させる1段の熟成方法があるが、いずれの方法
を用いても構わない。なお、1段の熟成方法では、一般
にゴムラテックス液は、その分散安定性を保持するた
め、多くアルカリを含んでいるため、レゾルシンとホル
ムアルデヒドを反応させるためのアルカリ触媒を添加し
なくても、レゾルシン(または、レゾルシン・ホルムア
ルデヒド縮合物)とホルムアルデヒドとゴムラテックス
液を混合すれば、RFL熟成液が得られる場合がある。
本発明においてはゴムラテックスに含まれるアルカリで
RFL熟成液を得る方法を後述する実施例における配合
例T−2で示す。このような熟成方法により、RFL液
に含まれるアルカリ量を減らすことは、ポリエステル材
料など熱下でアルカリにより劣化しやすい材料が被着体
の場合には好ましい。RFLを含む処理液でコードを処
理する方法としては、コードを被覆するRFL処理液組
成物が乾燥重量で、コード重量に対し0.5〜6.0重
量%、好ましくは2〜6重量%となるようにする。被覆
処理されたコードは乾燥(例えば温度100〜150
℃)した後、さらに、例えば200〜250℃の温度で
熱処理する。
【0151】[13]ゴム物品および空気入りタイヤに
ついて説明する。本発明の接着剤組成物で被覆した樹脂
材料で補強されるゴム物品としては、タイヤ、コンベア
ベルト、ベルト、ホース、空気バネなどが挙げられる。
空気入りタイヤの場合、カーカスプライ、ベルト補強層
等のゴム部材に好適に適用できる。
【0152】
【実施例】本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲
をこれらの実施例に限定するものでない。なお、実施例
中の固形分濃度は、JIS K6833「その他の接着剤」
の測定方法における接着剤の不揮発分の測定方法に準拠
して行った。実施例において使用した成分は以下のとお
りである。 [重合体A] 実施例品:A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、
A−8、A−9 比較例品:A−6、A−7 A−1 エポクロスK1010E;(株)日本触媒製、
固形分濃度40%(2−オキソザリン基を含有するアク
リル・スチレン系共重合体エマルジョン) ポリマーTg:−50℃、 オキサゾリン基量: 0.9
(mmol/g,solid)の品 A−2 エポクロスK1030E;(株)日本触媒製、
固形分濃度40% (2−オキソザリン基を含有する
アクリル・スチレン系共重合体エマルジョン) ポリマーTg:50℃、 オキサゾリン基量: 0.9
(mmol/g,solid)の品 A−3 エポクロスK2030E ;(株)日本触媒
製、 固形分濃度40%(2−オキソザリン基を含有す
るアクリル・スチレン系共重合体エマルジョン) ポリマーTg:50℃、 オキサゾリン基量: 1.8
(mmol/g,solid)の品 A−4 合成例1の重合体(調製法を下記に示す)(2
−オキソザリン基を含有するスチレン系共重合体エマル
ジョン) ポリマーTg:104℃ A−5 合成例2の重合体(調製法を下記に示す)(2
−オキソザリン基を含有する、アクリル・スチレン・ブ
タジエン系共重合体エマルジョンで、ブタジエンを含む
が、単量体組成比で10%以下の品) A−6 合成例3の重合体(調製法を下記に示す)(2
−オキソザリン基を含有するアクリル・スチレン・ブタ
ジエン系共重合体エマルジョンで、ブタジエンを含み、
ブタジエンが単量体組成比で10%超過の品) A−7 合成例4の重合体(調製法を下記に示す)(オ
キソザリン基を含有しないアクリル・スチレン系共重合
体エマルジョン) A−8 合成例5の重合体(調製法を下記に示す)(ブ
ロックドイソシアネート基を含有するアクリル系共重合
体エマルジョン) A−9 合成例6の重合体(調製法を下記に示す)(ヒ
ドラジノ基を含有するウレタン系共重合体エマルジョ
ン)
【0153】[水溶性高分子B] 実施例品:B−1、B−2、B−3、B−4、B−5、
B−6 B−1 イソバン10;(株)クラレ 、固形分100%
(イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物) 分子量: 160,000〜170,000 B−2 イソバン04;(株)クラレ 、固形分100%
(イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物) 分子量: 55,000〜65,000 B−3 イソバン110;(株)クラレ、固形分100
%(イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物の、無
水マレイン酸単位をアンモニアと反応させて、マレイン
酸のモノアミド単位とした後、加熱により閉環させてマ
レイミド単位とした誘導体) 分子量: 190,000〜200,000 B−4 ジュリマーAC−10L ;日本純薬(株) ポリアクリル酸 B−5 スクリプセット520;モンサント(株)製
(スチレン−無水マレイン酸共重合体、分子量: 35
0,000) B−6 合成例7の重合体(調製法を下記に示す) 固形
分100%(アリルエーテル−無水マレイン酸共重合
体、分子量:27,000)
【0154】[化合物(C)] 実施例品:C−1、C−2、C−3、C−4、C−5、
C−6 C−1 DELION PAS-037; 竹本油脂(株)製(ジフ
ェニルメタンビス(4,4'−カルバモイル−ε−カプ
ロラクタム):ジフェニルメタンジイソシアネートの分
子構造とブロック化剤を含む) 固形分濃度 27.5% C−2 Grilbond IL-6;EMS-CHEMIE AG製(Caprolac
tam Blocked dipheylmethane-diisocyanate:ジフェニ
ルメタンジイソシアネートとブロック化剤を含む) 固形分濃度 50% C−3 Penacolite R−50;Indspec Chem. Co. 製
(ノボラック化反応によるレゾルシンとホルムアルデヒ
ド縮合物) 固形分濃度 50% C−4 デナボンドーAF;ナガセ化成工業(株)(ノボ
ラック化反応によるクロルフェノールとホルムアルデヒ
ドとレゾルシノール縮合物) 固形分濃度 30% C−5 合成例8の重合体(調製法を下記に示す)(ノ
ボラック化反応によるレゾルシン・ホルムアルデヒド縮
合物のスルホメチル化物) C−6 ARLDITE ECN1400;旭チバ
(株)製 固形分濃度40%(エポキシクレゾールノボラック樹脂
の40%水分散液、pH7.5、 エポキシ価0.44
(当量/100g,solid) )
【0155】[水性ウレタン化合物(I)] 実施例品:I−1、I−2、I−3、I−4 I−1 合成例9の重合体(調製法を下記に示す)(ポ
リメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを含む熱
反応型水性ウレタン樹脂) I−2 エラストロンBN27; 第一工業製薬(株)製
、 固形分濃度30%(メチレンジフェニルの分子構造
を含む熱反応型水性ウレタン樹脂) I−3 合成例10の重合体(調製法を下記に示す)
(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートを含
む熱反応型水性ウレタン樹脂) I−4 エラストロンBN77;第一工業製薬(株)
製、固形分濃度31%(メチレンジフェニルの分子構造
を含む熱反応型水性ウレタン樹脂)
【0156】[脂肪族エポキシド化合物(D)] 実施例品:D−1、D−2 D−1 デナコールEX614B; ナガセ化成工業
(株)製(ソルビトールポリグリシジルエーテル) D−2 SR−4GL; 阪本薬品工業(株)製(ポリグ
リセリンポリグリシジルエーテル)
【0157】[金属塩(E)] 実施例品:E−1、E−2 E−1 ホワイトンP−30; 白石カルシウム(株)
製 (炭酸カルシウム)平均粒子径 0.15μm E−2 水酸化アルミニウム; 和光純薬工業(株)
製、市販試薬
【0158】[金属酸化物(F)] 実施例品:F−1 F−1 FINEX−75; 堺化学工業(株)製 (酸化亜鉛)平均粒子径 0.01μm
【0159】[ラテックス(G)] 実施例品:G−1、G−2 G−1 JSR2108;JSR(株)、 固形分濃度
40%(スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(S
BRラテックス)) G−2 合成例11の重合体(調製法を下記に示す)
(ビニルピリジン・ブタジエン・スチレン共重合ラテッ
クス (通称:nVpラテックス))
【0160】[2つ以上の(ブロックド)イソシアネー
ト基を含有するベンゼン誘導体(H)] 実施例品:H−1 H−1 Thanecure T9; TSEインダストリー, Inc.
製(1,3-bis(3-isocyanato-4-methylphenyl)-1,2-diaz
etidin-2,4-dione;トリレンシ゛イソシアネートの2量体) 固形分 100%
【0161】(1)熱可塑性高分子重合体(A)の調製
法 a)合成例1(A−4) 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロー
トを備えたフラスコに、脱イオン水782.4部及びハ
イテノールN−08(第一工業製薬株式会社製のポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム
塩)15%水溶液128部を仕込み、適量の28%アン
モニア水でpH9.0に調整し、ゆるやかに窒素ガスを
流しながら70℃に加熱した。そこへ過硫酸カリウムの
5%水溶液64部を注入し、続いて予め調整しておい
た、スチレン576部及び2−イソプロペニル−2−オ
キサゾリン64部からなる単量体混合物を3時間にわた
って滴下した。反応中は窒素ガスを吹き込み続け、フラ
スコ内の温度を70±1℃に保った。滴下終了後も2時
間同じ温度に保った後、内温を80℃に昇温させて1時
間攪拌を続けて反応を完結させた。その後冷却し、不揮
発分39.5%、pH8.0の2−オキサゾリン基含有
重合体水性分散液を得た。上記で生成した水性分散液に
2−オキサゾリン基が存在していることは、2−オキサ
ゾリン基中の炭素−窒素二重結合の強い吸収(波数16
55〜1657cm -1)があることはフーリエ変換赤外分
光光度計(FT−IR)で確認した。
【0162】b)合成例2(A−5) 予め調整しておいた単量体混合物が1,3−ブタジエン
18.8部、スチレン557.2部及び2−イソプロペ
ニル−2−オキサゾリン64部からなること以外は、上
記合成例1と同様にして、不揮発分39.3%、pH
8.0の2−オキサゾリン基含有重合体水性分散液を得
た。2−オキサゾリン基の存在は、上記と同様にして確
認した。
【0163】c)合成例3(A−6) 予め調整しておいた単量体混合物が1,3−ブタジエン
105部、スチレン471部及び2−イソプロペニル−
2−オキサゾリン64部からなること以外は上記合成例
1と同様にして、不揮発分40.1%、pH8.0の2
−オキサゾリン基含有重合体水性分散液を得た。2−オ
キサゾリン基の存在は、上記と同様にして確認した。
【0164】d)合成例4(A−7) 予め調整しておいた単量体混合物がアクリル酸ブチル2
00部、スチレン432部からなること以外、上記合成
例1と同様にして、不揮発分39.5%、pH8.0の
重合体水性分散液を得た。
【0165】e)合成例5(A−8) i)重合に供するブロックドイソシアネート基含有ウレタ
ンアクリレート単量体の合成 攪拌機、コンデンサー、温度計を備えた4ッ口フラスコ
に分子量500の3−メチルペンタンアジペート150
0部、トリメチロールプロパン134部、及びテトラメ
チルキシリレンジイソシアネート1464部を加える。
その後100℃に加温し、5時間反応させて多官能の末
端イソシアネートプレポリマー(NCO含有率4.1
%)を得た。次いでこの生成物の温度を60℃とし、β
−ヒドロキシエチルメタアクリレート174部を加えて
2時間反応した。その後更にメチルエチルケトオキシム
130部を加えて2時間反応を続け、ウレタンアクリレ
ートを得た。 ii)乳化重合に供する単量体混合物の調製 ビーカーにイオン交換水125部を加え、攪拌しながら
ノイゲンEA190D(第一工業製薬(株)製ノニオン
型界面活性剤)10部、プライサーフA−215E(第
一工業製薬(株)製アニオン型界面活性剤)15部を加
え均一に溶解させる。次いで上記工程iで得たウレタン
アクリレート130部、エチルアクリレート250部、
ブチルアクリレート100部、N−メチロールアクリル
アミド10部、アクリル酸10部を加え、これら単量体
を水に完全に乳化し、単量体混合物を得た。 iii) ブロックト゛イソシアネート基を含有するアクリル
系共重合体エマルジョンの乳化重合 攪拌機、滴下ロート2基、コンデンサー、温度計を備え
た円筒型のフラスコを完全に窒素で置換する。次いでこ
れにイオン交換水 250部を加え、攪拌しながらプラ
イサーフ A−215Eの1部を添加し、70℃に加温
し、これに上記工程iiで得た単量体混合物を20部加え
た。15分経過後、5%過硫酸ナトリウム水溶液25部
を加え15分間重合を開始させた。続けて残りの単量体
混合物の630部と5%過硫酸ナトリウム水溶液25部
を3時間かけて、さらにこれに滴下し重合した。滴下終
了30分後からさらに5%過硫酸ナトリウム水溶液50
部を1時間かけて滴下した。その後冷却し200メッシ
ュ金網で濾過してエマルジョンを得た。このエマルジョ
ンは、固形分濃度が50%であった。
【0166】f)合成例6(A−9)(参照:特開平1
0−139839公報の合成例1) 還流冷却器、温度計及びスターラーを取りつけた四つ口
フラスコに、ポリカプロラクトン(ダイセル化学製;分
子量2,000)80重量部、イソホロンジイソシアネ
ート99.9重量部、ジメチロールプロピオン酸30重
量部、ポリエステルポリオール(ユニチカ(株)製、エ
リーテル3320、分子量2,000)100重量部、
プロピレングリコールジグリシジルエーテル−アクリル
酸付加物(共栄社化学製)28.1重量部、N−メチル
ピロリドン30重量部酢酸エチル150重量部を仕込
み、窒素雰囲気下で攪拌しながら、90℃まで昇温し、
この温度で1時間ウレタン化反応を行った。その後40
℃まで冷却し、NCO末端のプレポリマーを得た。次い
で、このプレポリマーにトリエチルアミン20重量部を
加えて、中和した後、イオン交換水600重量部を添加
した。次いで反応系に12.0重量部のアジピン酸ジヒ
ドラジドを添加し、50℃にて1時間攪拌を続けた後、
酢酸エチルを減圧留去し、その後固形分30%になるよ
うに水希釈を行い、ヒドラジン末端のウレタン系共重合
体エマルジョンを得た。GPC(ゲル浸透クロマトグラ
フィー)により測定したポリスチレン換算の重量平均分
子量(Mw)は35,000であった。
【0167】(2) 水溶性高分子(B)の調製法 a) 合成例7(B−6) 温度計、撹拌機、適下ロート、窒素導入管、還流冷却器
を備えたガラス製反応容器に、メトキシ−6−エチレン
グリコールアリルエーテル(日本油脂(株)製)336
部、無水マレイン酸98.0部、ベンゾイルパーオキサ
イド6.0部、トルエン566.0部を仕込み、撹拌下
に於て容器内を窒素置換した後、80℃まで加熱し、4
時間温度を保持して反応を進行させた。次いで10mm
Hgの減圧下、110℃でトルエンを留去した後、常
温、常圧とし、重量平均分子量27,000(ポリエチ
レングリコール換算)のアリルエーテル−無水マレイン
酸共重合体を得た。
【0168】(3) 化合物(C)の調製法 a) 合成例8(C−5) 温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応
容器に、レゾルシンを100重量部、水16.3重量
部、パラトルエンスルホン酸を0.16重量部仕込み、
室温で溶解後、110℃で攪拌しながら37%ホルマリ
ン溶液97.7重量部を0.5時間かけて滴下した後、
更に5.0時間攪拌を続けた後、亜硫酸ナトリウム6.
3重量部を加え、攪拌しながら90℃で2時間反応さ
せ、スルホメチル化されたフェノール系縮合物を得た。
【0169】(4)水性ウレタン化合物(I)の調整 a)合成例9(I−1)(参照:特開昭58−4977
0公報の実施例(6)) 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロー
トを備えたフラスコに、ポリメチレンポリフェニルポリ
イソシアネート(NCO含有量31.5%)100部と
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物
(水酸基価=35.4)24.4部を85℃で30分間
反応させ、遊離イソシアネート20.7%のウレタンプ
レポリマーを得た。次にジオキサン62.2部、p−s
ec−ブチル−フェノール72部、トリエチルアミン
0.25部を50℃にて添加した後、系内温度75℃で
120分間反応させ、ポリメチレンポリフェニルポリイ
ソシアネートとビスフェノールAのエチレンオキサイド
2モル付加物の合計に対して遊離イソシアネート4.2
%の部分ブロックドプレポリマーを得た。次に、濃度3
0%のタウリンソーダ水溶液55部を系内温度40℃で
加え、40〜45℃で30分間反応させた。その後固形
分30%になるように水希釈とジオキサンの除去を行
い、熱反応型水性ウレタン樹脂を得た。
【0170】b) 合成例10(I−3)(参照:特開
平9−111050公報の実施例) 攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロー
トを備えたフラスコに、ポリメチレンポリフェニルポリ
イソシアネート(NCO含有量31.5%)100部と
平均分子量500のポリプロピレングリコール46部を
85℃で30分間反応させ、遊離イソシアネート15.
4%のウレタンプレポリマーを得た。次にジオキサン7
0部、ε−カプロラクタム43部、トリエチルアミン
0.2部を添加した後、系内温度75℃で120分間反
応させ、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
とポリプロピレングリコールの合計に対して遊離イソシ
アネート4.8%の部分ブロックドプレポリマーを得
た。次に、濃度30%のタウリンソーダ水溶液80部を
系内温度40℃で加え、40〜45℃で30分間反応さ
せた。その後固形分30%になるように水希釈とジオキ
サンの除去を行い、熱反応型水性ウレタン樹脂を得た。
【0171】(5)ゴムラテックス(G)の調整 a) 合成例11(G−2)(参照: WO97/13
818公報の実施例1、マルチステージフイード重合に
より製造されるnVpラテックス) 窒素置換した5リットル容量で攪拌機付きのオートクレ
ーブを用い、これに脱イオン水130重量部、ロジン酸
カリウム4.0重量部を仕込み溶解する。これに、2−
ビニルピリジン7.5重量部、スチレン36重量部、
1,3−ブタジエン16.5重量部からなる単量体混合
物(a)と連鎖移動剤としてのt−ドデシルメルカプタ
ン0.2重量部を仕込み、乳化する。その後、50℃に
昇温後、過硫酸カリウム0.5重量部を加え、重合を開
始する。単量体混合物(a)の反応率が80〜90%に
達した後、これに、2−ビニルピリジン6重量部、スチ
レン6重量部、1,3−ブタジエン28重量部からなる
単量体混合物(b)とt−ドデシルメルカプタン0.2
重量部を添加し、さらに、重合を続ける。反応率が95
%に達した後、ハイドロキノン0.1重量部を加え、重
合を停止する。次に、減圧下、未反応単量体を除去した
後、濃度を調節し、固形分濃度40%の共重合体ゴムラ
テックスを得た。
【0172】(6) 接着剤液(S)の調製 (6−1)固形分濃度10%の各水溶液の調製 (i)水溶液B−1〜B−6 攪拌機を備えたフラスコ中で、表1記載の配合量で、水
あるいは水と25%アンモニアを混合した液に、水溶性
高分子(B)を攪拌下に加え、90℃近傍で溶解し、室
温まで冷却する。なお、水溶性高分子(B)の添加は、
水和熱で90℃以上になるので、突沸しないよう、徐々
に添加した。表1の重量部で溶解させた各水溶液は、水
溶性高分子添加時の水分蒸発などで固形分10%よりや
や高い濃度になるため、固形分濃度を測定し、水で希釈
することにより固形分濃度10%に調節した。 (ii)水溶液A−1〜A−9、C−1、C−2、C−4
〜C−6、G−1、G−2、I−1〜I−4 すでに水溶液または水分散液である、A−1〜A−9、
C−1、C−2、C−4〜C−6、G−1、G−2、I
−1〜I−4については、固形分濃度が10%になるよ
うに水で希釈した。 (iii)水溶液C−3 C−3は、すでに水溶液であるが、水で希釈すると、固
形分が析出するので、水74重量部に、25%アンモニ
ア水6重量部を混合した液に、C−3を20重量部混合
し、十分攪拌することにより、乾燥時の固形分濃度が1
0%になるように水で希釈した。 (iv)水溶液D−1、D−2 水溶性の脂肪族エポキシド化合物である、D−1および
D−2は、水90重量部に、脂肪族エポキシド化合物1
0重量部を添加し、十分攪拌することにより、固形分濃
度が10%になるよう溶解した。
【0173】(6−2)接着剤液S−1〜S−114の
調製 (i)接着剤液S−1〜S−45、S−48、S−50〜S
−75、S−79、S−80、S−82〜S−101、
S−105、S−106、S−108、S−109、S
−112〜S−114 表2〜10に示す種類と重量%の、固形分濃度を10%に
調節した各成分の水溶液を、C−水溶液、I−水溶液、
A−水溶液、G−水溶液、B−水溶液、D−水溶液を、
含まれるものについてこの順に配合した後、十分に攪拌
を行い混合した。 (ii)接着剤液S−46、S−47、S−49、S−76〜
S−78、S−81、S−102〜S−104、S−1
07、S−110、S−111 先ず、濃度100%の固体成分である金属塩(E)、金
属酸化物(F)あるいはベンゼン誘導体(H)を、表2
〜10に示す種類と重量%のB−水溶液と混合し、よく
攪拌することで水分散させる。これにより、水溶性高分
子(B)を保護コロイドとして、分散安定性がより安定
化された水分散液を予め調整しておく。次に、水各9重
量%、および、表2〜10に示す種類と重量%の、C−水
溶液、I−水溶液、A−水溶液を、含まれるものについ
てこの順に配合した後、前記水分散液を配合し、更に表
2〜10に示す種類と重量%のD−水溶液を配合した
後、十分に攪拌を行い混合した。
【0174】(7)接着剤液(S)で表面を被覆した樹
脂材料の作成 接着剤液(S)で表面処理する樹脂材料として、表11
記載のデニール、撚構造(撚数、撚係数)の3種類のタ
イヤコード、すなわち、ポリエステル樹脂材料として、
ポリエチレンテレフタレートタイヤコード、およびポリ
エチレンナフタレートタイヤコード(商標:ペンテック
ス、アライドシグナル社)、また、芳香族樹脂材料とし
て、アラミドタイヤコード(商標:ケブラー、デュポン
社)を用いた。これらの樹脂材料を、接着剤液(S)に
浸漬し、次に、接着剤液(S)の水溶剤を乾燥する処理
を行った後、加熱による接着処理を行なった。このとき
の、乾燥処理条件(ドライ温度、ドライ時間)と加熱接
着処理条件(ホット温度、ホット時間)は、表11に示
す通りである。また、コードを被覆する接着剤組成物の
乾燥重量は、バキューム吸引するなどで量を調節した。
このときの、コード重量に対する接着剤組成物の乾燥重
量(Solid pick up:SPUと略す)は、接着剤組成物のコ
ード処理前後の重量差より求め、付着率(S)として表
2〜10にその結果を記した。
【0175】(8)二浴式の場合に使用されるRFL接着
剤組成物 これは、上記(7)で樹脂の表面に被覆された本発明の
接着剤組成物(S)の層の表面に被覆するゴムラテック
スを含む接着剤組成物である。 (8−1)接着剤液(T)の調製 先ず、表12に示す種類と重量部の、水、レゾルシン、
ホルマリン、10%の水酸化ナトリウム水溶液を、この
順に、よく攪拌しながら、配合した混合物を調製した。
この混合物を表12に示す温度と時間で熟成するものは
熟成し、レゾルシン−ホルムアルデヒド混合物液を得
た。次に、このレゾルシン−ホルムアルデヒド混合物液
に、表12に示す重量部の、ビニルピリジン−スチレン
−ブタジエン共重合体ラテックス(JSR0655、J
SR(株)製、固形分濃度41%、pH実測値=10.
7)と、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(J
SR2108、JSR(株)製、固形分濃度40%、p
H実測値=10.6)を添加した後、表12に示す温度
と時間で熟成しRFL熟成液を得た。なお、接着剤液T
−2は実施例76で、接着剤液T−3は実施例77で使
用し、他の比較例、実施例は接着剤液T−1を使用し
た。
【0176】(8−2)接着剤液(T)でさらに表面を
被覆した樹脂材料の作成 上記(7)で樹脂材料の表面に本発明の接着剤組成物を
被覆したタイヤコードを、接着剤液(T)に浸漬し、次
に、接着剤液(T)の水溶剤を乾燥する処理をおこなっ
た後、加熱による接着処理を行なった。このときの、接
着剤組成物(T)溶液の乾燥処理条件(ドライ温度、ド
ライ時間)と加熱接着処理条件(ホット温度、ホット時
間)は、表11に示す通りである。また、コードを被覆
する接着剤組成物の乾燥重量は、特に制限されないが、
本発明では実施例や比較例での比較のため、コード重量
に対し約1.5~2.5重量%になるように、バキュー
ム吸引するなどで付着量を調節した。
【0177】(9)初期接着性(接着力およびゴム付着
率) (8)で得た接着剤組成物処理コードを、表13に示す
配合の未加硫状態のゴム組成物に埋め込んで試験片を作
成し、これを160℃×20分、20Kg/cm 2の加圧
下で加硫した。加硫物を室温まで冷却後、コードを堀り
起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離
する時の抗力を25±1℃の室内雰囲気温度で測定し、
これを初期接着力とし、結果を表2〜10に示した。ま
た、剥離後のゴム付着状態を観察し、表14に従いラン
ク付けを行いゴム付着率(ゴム付)とし、結果を表2〜
10に示した。
【0178】(10)高温時接着性(接着力およびゴム
付) 200±1℃雰囲気温度に保持したオーブン内で、コー
ドを加硫物から剥離した他は、上記と同様にして剥離抗
力を測定し、この抗力を高温時接着力とし、また、同様
にゴム付着率(ゴム付)を求めた。これらの結果を表2
〜10に示した。
【0179】(11)熱劣化後接着性(接着力およびゴ
ム付) 加硫温度を時間を200℃×30分とした他は、(9)
の場合と同様にして剥離抗力を測定し、この抗力を熱劣
化後接着力とし、また、同様にゴム付着率(ゴム付)を
求めた。これらの結果を表2〜10に示した。なお、本
試験方法での200℃熱劣化は、大気圧下より高い加硫
圧をかけており、大気圧下での熱劣化より大幅に促進さ
れた条件となっている。
【0180】(12)総合耐熱接着性(物理的耐熱性、
化学的耐熱性の総合性能)(接着力およびゴム付) (8)で得た接着剤組成物処理コードを表13に示す配
合の未加硫ゴム組成物に埋め込み、160℃×20分、
20kg/cm2の加圧下で加硫した。加硫物を室温まで
冷却後、コードを堀り起こし接着試験片を作成後、20
0±1℃のオーブン内に30分置いた後、そのまま20
0±1℃の雰囲気温度下、30cm/分の速度でコード
を加硫物から剥離する時の抗力を測定し、これを総合耐
熱接着力とした。また、剥離後のゴム付着状態を観察
し、表14に従い、ランク付けを行いゴム付着率(ゴム
付)とした。これらの結果を表2〜10に示した。
【0181】(13) チューブ疲労性試験 JIS L1017−1983 3.2.2.1A法に
準拠して、チューブ疲労時間を測定し、表2〜10に示
した。サンプルの加硫条件は160℃×20分、20k
g/cm2である。
【0182】(14)接着剤組成物の積算反応熱量 接着剤組成物の積算反応熱量は次のように測定した。先
ず、水混合液の状態の各接着剤液(S)をテフロンシャ
ーレ上で風乾し、更に40℃、1トル以下の減圧下で1
日放置し、乾燥フィルムを作成する。この乾燥フィルム
をオーブンで、140℃で80秒、200℃で60秒、
140℃で80秒、続いて240℃で60秒の熱処理を
行った。次にこの熱処理を行ったフィルムを以下の方法
で粉末にした。まず乳鉢(あるいは金属性ボウル)の容
器に熱処理したフィルムを入れ、液体窒素を八分目まで
注ぐ。サンプルや容器が冷えて液体窒素の気化が比較的
落ち着いてから、液体窒素中のフィルムを乳棒で粉砕す
る。このフィルムの粉末は液体窒素とともに80メッシ
ュの金網でろ過し、その後、液体窒素を蒸発させて、8
0メッシュ以下に分別された接着剤粉末を得る。なお、
粉砕では乳鉢などの替わりに小型粉砕機(ワーリング社
製ブレンダーなど、金属容器製の小型粉砕機に蓋を付け
て使用)を用いることができる。また、液体窒素を用い
る理由は粉砕するフィルムが硬いほど粉砕しやすいため
である。得られた接着剤粉末約10mgを耐圧ステンレ
ス製パンに採取し、精秤する。さらに、耐圧ステンレス
製パンに、80メッシュ以下の粒度の不溶性硫黄を接着
剤粉末重量の10重量%(±0.5%)加えて秤量す
る。次に、耐圧ステンレス製パン内の硫黄と接着剤粉末
を先鋭なピンセットを用いて均一に混合した後、充分練
る。練り後、重量の変化が練り前の±1%以内であるこ
とを確認し、パンを密閉する。
【0183】続いて、温度設定を制御して測定できる示
差走査熱量測定計で、加硫温度における反応熱量を次の
ように測定した。先ず、試料が入った耐圧ステンレス製
パンを示差走査熱量測定計にセットし、加硫が開始しな
い90℃で5分間保持した条件から、1分間で160
(±1)℃に昇温し保持する。昇温開始後3分経ったと
きから90分間に測定される熱量を積算する(RUN
1)。その後、180℃で10分間処理した後、再び9
0℃に5分間保持した条件から、1分間で160(±
1)℃に昇温し、昇温開始後3分経ったときから90分
間に測定される熱量を積算する(RUN2)。
【0184】160℃で接着剤組成物100乾燥重量部
と硫黄10重量部とを90分間反応させたときの積算反
応熱量は、RUN1(反応熱量+容器と試料の熱容量)
の値より、RUN2(容器と試料の熱容量)の値を引い
て、前記単位重量に換算することにより得た。このよう
にして測定した接着剤組成物(S)の積算反応熱量(J
/g)を以下に示す。 実施例27 34J/g 実施例34 68J/g 比較例38 113J/g 実施例40 66J/g 実施例41 72J/g なお、示差走査熱量測定に用いる容器であるパンは、加
硫中に硫化水素ガスが発生するため、測定中に重量が変
化することがないよう耐圧パンを用い、材質は硫化水素
と反応性が小さいステンレス(SUS15)製品が好ま
しい。また、硫黄と接着剤粉末との混合と練りが充分で
ない状態は、160℃昇温後2分の時点でパンを液体窒
素に入れ、急冷し、試料を切断すると切断面に硫黄粒子
が観測される(走査型電子顕微鏡−X線物質分析)こと
から判断できる。
【0185】(15)接着剤組成物の貯蔵弾性率G’ 接着剤組成物の貯蔵弾性率G’は次のように測定した。
先ず、水混合液の状態の各接着剤液(S)をシャーレ上
で120〜30トルの減圧下で乾燥後、1トル以下の減
圧下で1日乾燥させて厚さ1.00±0.05mmの乾
燥フィルムを作成する。この乾燥フィルムを動的粘弾性
測定装置(パーフィジカ社、UDS200)の直径8mm
のパラレルプレート式測定部にセットする。乾燥フィル
ムのサンプルが、プレートの下をずれたり、熱収縮でプ
レート下を離れたりしないよう、プレートで軽く押さえ
るために一定力(2Nで自動補正)をかけながら、先
ず、粘弾性測定装置を昇温速度60℃/分で加熱し、2
40℃になったら240℃で1分間熱処理をした後、ガ
スチラーなどの冷却装置を用いて冷却速度20℃/分で
0℃まで冷却した。このようにして、乾燥および熱処理
した試料について上記の動的粘弾性測定装置で、周波数
10Hz、歪0.05%、昇温速度10℃/分で貯蔵弾性
率G'(dyn/cm)を60℃および200℃のそれぞれにつ
いて測定した。結果は以下のとおりである。
【0186】 比較例12 8.83×108 (60℃) 2.73×105 (200℃) 比較例28 1.39×109 (60℃) 9.20×108 (200℃) 比較例31 1.78×109 (60℃) 1.04×109 (200℃) 実施例2 8.20×108 (60℃) 3.82×107 (200℃) 実施例7 8.71×108 (60℃) 6.94×107 (200℃) 比較例33 2.26×109 (60℃) 8.95×108 (200℃) 比較例36 2.70×109 (60℃) 1.11×109 (200℃) 実施例21 8.43×108 (60℃) 2.63×107 (200℃) 実施例43 1.48×109 (60℃) 8.75×108 (200℃) 実施例58 7.73×108 (60℃) 2.47×107 (200℃) 実施例69 5.63×108 (60℃) 2.47×107 (200℃)
【0187】(16)コードスティフネス (7)および(8)で得た接着剤組成物処理コードの曲
げ剛性である、ガーレー・スティフネス値は特開平5−
229304に記載のコードステフネス試験法に準じて
測定した。すなわち、処理コードを枠に固定し、温度1
30℃で30分間熱セットし、コードを真直状態に保た
せる。これを規定の試料長さに切断し、ガーレー・ステ
ィフネス・テスター(東洋精機社製)でスティフネスを
測定する。図1にガーレー式試験機の斜視図、図2にそ
の要部を示す。1は可動アーム(A)、2は振子
(B)、3は水準器、4はレベルスクリュー、5はチャ
ック、6は試験片、7は軸受(支点)、8は目盛板、9
はウェイト、10は駆動スイッチボタンである。試料の
取付け及び測定法は、次の通りである。 (ア)可動アームに付属するチャックを、可動アームの
目印位置「1インチ」にあわせて固定する。このチャッ
クにテストピース(試料コード)を垂直(90±1°)
になるように取付ける。 (イ)可動アームの下部(軸部より下部)にウェイトを
取付ける。ウェイトの取付孔が、軸受より1インチ(図
1のw1)、2インチ(図1のw2)、及び4インチ
(図1のw3)の位置にあるので、テストピース(試
料)の柔軟性に応じた荷重の重さ及び孔の位置でウェイ
トを取り付ける。なお、具体的な「ウエイト荷重及び孔
の位置の選び方」は、ウェイト荷重」と「孔の位置」を
種々変更しながら、次の(ウ)の操作によりテストピー
スで実際に「目盛板測定値」を測定し、この読取置が
2.0〜4.0の範囲内となるように、ウエイトの荷重
および孔の位置を選択する。 (ウ)テストピースの柔軟性に見合う「ウエイト荷重と
取り付け位置」の設定が出来たら、駆動スイッチボタン
を押し、振子を左右に動かす。このとき、テストピース
のスティフネスに応じた振幅で、振子に押された可動ア
ーム下端の指針が振れるが、このときの「振れの最大
値」を図1の目盛板で、数値を0.1単位まで読取り
「目盛板測定値」とする。 (エ)1つのテストピースにつき、左右1回、テストピ
ース10本、計20回の値を求め、1試料の平均値を求
める。
【0188】計算法は次の通りである。測定値の平均値
からスティフネスを次式で計算する。 スティフネス(mN)=RG×{(W1 ×1)+(W2 ×2)+(W3×
4)}/5 × L2/W ×0.1089 但し、RG:「目盛板測定値」の平均値 W1:1インチの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位
g) W2:2インチの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位
g) W3:4インチの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位
g) L :サンプル長−1/2インチ(インチ) W :サンプルの幅(mm) (7)で得られたコードの曲げ剛性値(スティフネス:
mN)をスティフネス(S処理)、(8)で得られたコ
ードの曲げ剛性値(スティフネス:mN)をスティフネ
ス(S+T処理)として、表2〜10に示した。
【0189】(17)タイヤ耐久性能(タイヤ故障時の
ゴム付着率(ゴム付)) (8)で得た処理加工コードを使用し、カーカスプライ
として用いて、225/50ZR15のサイズの乗用車
用ラジアルタイヤを作成した。作成したタイヤについ
て、JATMA YEAR BOOK−1999規格の
適用リム(標準リム)を用い、リム組みし、25℃(2
℃の室内で、内圧1.9kPaに調節した後、24時間
放置後、空気圧の再調整を行い、JATMA規格の10
0%の荷重(空気圧:1.9kPa、速度:210km
/時)をタイヤに付加し、直径約3mのドラム上で速度
60km/時で2万km連続走行させた。これは市街地
走行時の疲労を接着剤組成物に与えるためである。この
2万km連続走行させたタイヤについて、さらに、タイ
ヤに高温、高歪が負荷される、高速ドラム耐久試験を、
米国FMVSSNO.109のテスト方法に準じ、スッ
テプスピード方式(30分毎にスピードを増加する)に
て、故障するまで行った。なお、故障は、タイヤショル
ダーからサイド部のカーカスプライ近傍でのセパレーシ
ョンであった。次に、このセパレーション箇所のタイヤ
コードへのゴム付着状態を観察し、表14に従い、ラン
ク付けを行い、結果を表2〜10に示した。
【0190】上記結果の考察を以下に示す。比較例1〜
9および比較例33より、接着剤組成物の成分が1種の
みであると、各種接着力やチューブ疲労時間とも性能が
低いことがわかる。比較例10〜13、比較例16〜1
8、比較例26〜29より、接着改良剤である化合物
(C)、あるいは、水性ウレタン化合物(I)を含有し
ないと、初期接着力が低く、ひいては各種接着力やチュ
ーブ疲労時間とも性能が低いことがわかる。比較例1
4、15より、接着剤組成物の架橋成分が少ないと、高
温で熱変形しやすくなり、特に、高温接着力が低く、ひ
いては総合接着力が低いことがわかる。比較例19〜2
3より、架橋剤を含まない接着剤組成物は、高温下の流
動化により、高温接着力が低く、ひいては総合接着力が
低いことがわかる。比較例24より、化合物(C)成分
を有し、かつ化合物(C)成分が架橋性を有する接着剤
組成物ではあるが、熱可塑性高分子重合体(A)、ある
いは水性ウレタン化合物()を含まない接着剤組成物
は、総合接着力が低いことがわかる。比較例25〜29
より、熱可塑性高分子重合体(A)、あるいは水性ウレ
タン化合物(I)を含まない接着剤組成物は、総合接着
力が低いことがわかる。比較例30〜32および比較例
34〜37より、熱可塑性高分子重合体(A)あるいは
水溶性高分子(B)を一方でも含まない接着剤組成物
は、加熱下の反応に伴う歪を吸収する熱可塑性成分が少
ないため、熱劣化後接着力が低く、ひいては総合接着力
が低いことがわかる。実施例1〜4、実施例14〜17
は、接着剤組成物の組成が好ましい範囲内の例である。
【0191】実施例19〜36より、重合体(A)とウ
レタン化合物(I)からなる接着剤組成物に、さらに脂
肪族エポキシド化合物(D)を含むと、高温接着力ひい
ては総合接着力が向上することがわかる。比較例38
は、重合体(A)が硫黄付加反応性の炭素−炭素二重結
合を単量体組成比で10%超過含む例である、ラテック
スの反応熱が85J以上であり、耐熱接着力が低く、ひ
いては総合接着力が低い例であることが分かる。比較例
39は、重合体(A)がペンダント基に架橋性官能基を
含まない例である。これより、初期接着力が低く、ひい
ては総合接着力が低い例であることが分かる。実施例4
4〜62は、水溶性高分子(B)とウレタン化合物
(I)からなる接着剤組成物に、さらに脂肪族エポキシ
ド化合物(D)を含むと、高温接着力ひいては総合接着
力が向上することがわかる例である。実施例47は、本
発明の接着剤組成物の付着量が4.2%である例であ
る。比較例40は、ゴムラテックス(G)が18%以上
含む例であり、これより、耐熱接着力が低く、ひいては
総合接着力が低い例であることが分かる。
【0192】実施例76は、T-1より配合の苛性ソーダ
量が少ないT-2を使用すると、耐熱接着力が高くなる例
である。実施例77は、接着剤液(T)が、RFL液とノ
ボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物(C−
3)を含む例である。接着剤液(T)に、RFL液と化合
物(C)が含まれていても構わない例である。実施例3
4は、共役ジエン単量体由来の付加反応性炭素−炭素二
重結合が主鎖単量体中組成比で10%以下である重合体
からなればよい例である。
【0193】実施例5〜17、19〜42、44〜6
7、69〜77は、脂肪族エポキシド化合物(D)が多
価アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応生成物で
ある例である。実施例37、63、71は、金属塩
(E)が、重質炭酸カルシウムである例である。比較例
47、49、50より、接着剤組成物に、接着改良剤で
ある化合物(C)、あるいは、水性ウレタン化合物
(I)を含有しないと、初期接着力が低く、ひいては各
種接着力が低いことがわかる。比較例48より、接着剤
組成物の架橋成分が少ないと、高温で熱変形しやすくな
り、高温接着力が低く、ひいては総合接着力が低いこと
がわかる。比較例51より、化合物(C)成分を有し、
かつ化合物(C)成分が架橋性を有する接着性組成物で
あるが、熱可塑性高分子重合体(A)あるいは水性ウレ
タン化合物()を含まない接着剤組成物は、総合接着
力が低いことがわかる。比較例52、53より熱可塑性
高分子重合体(A)あるいは水性ウレタン化合物()
を含まない接着剤組成物は、総合接着力が低いことがわ
かる。比較例54より、熱可塑性高分子重合体(A)あ
るいは水溶性高分子(B)を一方でも含まない接着剤組
成物は、加熱下の反応に伴う歪を吸収する熱可塑性成分
が少ないため、熱劣化後接着力が低く、ひいては総合接
着力が低いことがわかる。
【0194】比較例61、63、64より、接着改良剤
である化合物(C)、あるいは、水性ウレタン化合物
(I)を含有しないと、初期接着力が低く、ひいては各
種接着力が低いことがわかる。比較例62より、接着剤
組成物の架橋成分が少ないと、高温で熱変形しやすくな
り、高温接着力が低く、ひいては総合接着力が低いこと
がわかる。比較例65〜67より、熱可塑性高分子重合
体(A)、ウレタン化合物(I)を含まない接着剤組成
物は、総合接着力が低いことがわかる。比較例68よ
り、熱可塑性重合体(A)あるいは水溶性高分子(B)
を一方でも含まない接着剤組成物は、加熱下の反応に伴
う歪を吸収する熱可塑性成分が少ないため、熱劣化後接
着力が低く、ひいては総合接着力が低いことがわかる。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
【表3】
【0198】
【表4】
【0199】
【表5】
【0200】
【表6】
【0201】
【表7】
【0202】
【表8】
【0203】
【表9】
【0204】
【表10】
【0205】
【表11】
【0206】
【表12】
【0207】
【表13】
【0208】
【表14】
【0209】
【発明の効果】以上説明したとおりに、本発明の接着剤
組成物を用いると、初期接着力に優れ、200℃近くの
高温下での接着力低下の抑制、熱劣化時の接着力低下の
抑制、高歪下でのコード耐疲労性低下の抑制の効果をも
得ることができる。したがって、本発明の接着剤組成物
で処理した樹脂材料、これで補強したゴム部品および、
このゴム部品をゴム部材として適用した汎用タイヤ、高
速走行用タイヤ、ランフラットタイヤ等の各空気入りタ
イヤは、高温下、高歪下でも、高性能で耐久性が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガーレー式試験機の斜視図である。
【図2】 図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
5 チャック、6 試験片、7 軸受、8 目盛板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 7/00 C09J 7/00 121/02 121/02 161/06 161/06 163/00 163/00 175/04 175/04

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペンダント基に架橋性官能基を含有し、
    アリル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖に
    実質的に含有しない熱可塑性高分子重合体(A)、水溶
    性高分子(B)、および極性官能基を有する芳香族類を
    メチレン結合した構造を含有する化合物(C)を含む接
    着剤組成物。
  2. 【請求項2】 ペンダント基に架橋性官能基を含有し、
    アリル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖に
    実質的に含有しない熱可塑性高分子重合体(A)、水溶
    性高分子(B)および極性官能基を有する芳香族類をメ
    チレン結合した構造を含有する化合物(C)からなる成
    分に、さらに脂肪族エポキシド化合物(D)、金属塩
    (E)、金属酸化物(F)、ゴムラテックス(G)、およ
    び2つ以上の(ブロックド)イソシアネート基を有する
    ベンゼン誘導体(H)よりなる群から選択される少なく
    とも1種の成分を含む接着剤組成物。
  3. 【請求項3】ペンダント基に架橋性官能基を含有し、ア
    リル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖に実
    質的に含有しない熱可塑性高分子重合体(A)と、芳香
    族類をメチレン結合した構造を含有する有機ポリイソシ
    アネート類(α)と、複数の活性水素を有する化合物
    (β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック
    化剤(γ)とを反応させ得られる水性ウレタン化合物
    (I)とを含む接着剤組成物。
  4. 【請求項4】ペンダント基に架橋性官能基を含有し、ア
    リル位に水素基を有する炭素−炭素二重結合を主鎖に実
    質的に含有しない熱可塑性高分子重合体(A)と、芳香
    族類をメチレン結合した構造を含有する有機ポリイソシ
    アネート類(α)と、複数の活性水素を有する化合物
    (β)と、イソシアネート基に対する熱解離性ブロック
    化剤(γ)とを反応させ得られる水性ウレタン化合物
    (I)とからなる成分に、さらに、脂肪族エポキシド化
    合物(D)、金属塩(E)、金属酸化物(F)、ゴムラテ
    ックス(G)、および2つ以上の(ブロックド)イソシ
    アネート基を有するベンゼン誘導体(H)よりなる群か
    ら選択される少なくとも1種の成分を含む接着剤組成
    物。
  5. 【請求項5】水溶性高分子(B)と、芳香族類をメチレ
    ン結合した構造を含有する有機ポリイソシアネート類
    (α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソ
    シアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを
    反応させ得られる水性ウレタン化合物(I)とを含む接
    着剤組成物。
  6. 【請求項6】水溶性高分子(B)と、芳香族類をメチレ
    ン結合した構造を含有する有機ポリイソシアネート類
    (α)と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソ
    シアネート基に対する熱解離性ブロック化剤(γ)とを
    反応させ得られる水性ウレタン化合物(I)とからなる
    成分に、さらに脂肪族エポキシド化合物(D)、金属塩
    (E)、金属酸化物(F)、ゴムラテックス(G)、およ
    び2つ以上の(ブロックド)イソシアネート基を有する
    ベンゼン誘導体(H)よりなる群から選択される少なく
    とも1種の成分を含む接着剤組成物。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性高分子重合体(A)が水分
    散性重合体であることを特徴とする請求項1〜4のうち
    いずれか1項に記載の接着剤組成物。
  8. 【請求項8】 熱可塑性高分子重合体(A)が重量平均
    分子量1,0000以上であることを特徴とする請求項
    1〜4、および7のうちいずれか1項に記載の接着剤組
    成物。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性高分子重合体(A)のペン
    ダント基の架橋性官能基が、オキサゾリン基、ビスマレ
    イミド基、(ブロックド)イソシアネート基、エポキシ
    基、アジリジン基、カルボジイミド基、ヒドラジノ基、
    およびエピチオ基よりなる群から選択される少なくとも
    1種である請求項1〜4、7、および8のうちいずれか
    1項に記載の接着剤組成物。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性高分子重合体(A)がペ
    ンダント基に2−オキサゾリン基を含有するエチレン性
    付加重合体であることを特徴とする請求項1〜4、およ
    び7〜9のうちいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  11. 【請求項11】 前記熱可塑性高分子重合体(A)の主
    鎖が、実質的に炭素−炭素二重結合を1つ有する単量体
    由来の単位からなるエチレン性付加重合体からなり、共
    役ジエン単量体由来の付加反応性炭素−炭素二重結合が
    主鎖単量体中組成比で10%以下であることを特徴とす
    る請求項1〜4、および7〜10のうちいずれか1項に
    記載の接着剤組成物。
  12. 【請求項12】 前記熱可塑性高分子重合体(A)がペ
    ンダント基にヒドラジノ基を含有するウレタン系高分子
    重合体であることを特徴とする請求項1〜4、および7
    〜9のうちいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  13. 【請求項13】 前記水溶性高分子(B)が カルボキシ
    ル基を含有する水溶性高分子であることを特徴とする請
    求項1、2、5、および6のうちいずれか1項に記載の
    接着剤組成物。
  14. 【請求項14】 前記水溶性高分子(B)が、アリル位
    に水素基を有する炭素−炭素二重結合を実質的に含有せ
    ず、重量平均分子量3,000以上であることを特徴と
    する請求項1、2、5、6、および13のうちいずれか
    1項に記載の接着剤組成物。
  15. 【請求項15】 前記水溶性高分子(B)が、カルボキ
    シル基を含有するモノマーを含むエチレン性単位を含有
    する(共)重合体であることを特徴とする請求項1、
    2、5、6、13、および14のうちいずれか1項に記
    載の接着剤組成物。
  16. 【請求項16】 前記水溶性高分子(B)が、無水マレ
    イン酸単位とイソブチレン単位とを含んでなる共重合
    体、あるいはその誘導体であることを特徴とする請求項
    1、2、5、6、および13〜15のうちいずれか1項
    に記載の接着剤組成物。
  17. 【請求項17】前記化合物(C)の極性官能基が、(ブ
    ロックド)イソシアネート基、エポキシ基、水酸基、ア
    ミノ基、およびカルボキシル基よりなる群から選択され
    る少なくとも1種の官能基であることを特徴とする請求
    項1または2記載の接着剤組成物。
  18. 【請求項18】 前記化合物(C)が、ジフェニルメタ
    ンジイソシアネートまたはポリエチレンポリフェニルポ
    リイソシアネートとイソシアネート基の熱解離性ブロッ
    ク化剤との反応生成物であることを特徴とする請求項1
    7記載の接着剤組成物。
  19. 【請求項19】 前記化合物(C)が、フェノール類と
    ホルムアルデヒドとの縮合物またはその変性体であるこ
    とを特徴とする請求項17記載の接着剤組成物。
  20. 【請求項20】 前記フェノール類とホルムアルデヒド
    との縮合物が、ノボラック化反応により得られるレゾル
    シンとホルムアルデヒドとの縮合物、クロロフェノール
    とレゾルシンとホルムアルデヒドとの縮合物、またはエ
    ポキシクレゾールノボラック樹脂であることを特徴とす
    る請求項19記載の接着剤組成物。
  21. 【請求項21】 化合物(C)が、芳香族類をメチレン
    結合した構造を含有する有機ポリイソシアネート類(α)
    と、複数の活性水素を有する化合物(β)と、イソシア
    ネート基の熱解離性ブロック化剤(γ)とを反応させ得
    られる水性ウレタン化合物(I)であることを特徴とす
    る請求項17記載の接着剤組成物。
  22. 【請求項22】 前記水性ウレタン化合物(I)が、少
    なくとも熱解離性ブロックドイソシアネート基と親水性
    基とを有する水性ウレタン化合物であって、この水性ウ
    レタン化合物が、(i)芳香族類をメチレン結合した構
    造を含む有機ポリイソシアネート化合物(α)と複数の
    活性水素を有する化合物(β)とを反応させて、遊離イ
    ソシアネート基を有するウレタンプレポリマー得て、
    (ii)このウレタンプレポリマーを、イソシアネート基
    の熱解離性ブロック化剤(γ)、および、少なくとも1
    つの活性水素とアニオン性および/または非イオン性の
    親水性基のうち少なくとも1つの親水性基とを有する化
    合物(δ)で処理することにより得られる反応生成物で
    あることを特徴とする請求項21記載の接着剤組成物。
  23. 【請求項23】 前記水性ウレタン化合物(I)が、有
    機ポリイソシアネート化合物(α)が3〜5個のイソシ
    アネート基を有し、分子量2000以下であり、40〜
    85重量%であり、化合物(β)が2〜4個の活性水素
    を有し、分子量5000以下であり、5〜35重量%で
    あり、熱解離性ブロック化剤(γ)が5〜35重量%で
    あり、化合物(δ)が5〜35重量%である場合の反応
    生成物であり、かつ反応生成物の分子量中、熱解離性ブ
    ロックドイソシアネート基が0.5〜11重量%(NC
    O=42として換算)であることを特徴とする請求項2
    2記載の接着剤組成物。
  24. 【請求項24】前記水性ウレタン化合物(I)が、下記
    の一般式 【化1】 〔式中、Aは有機ポリイソシアネート化合物(α)残基
    を示し、Yは熱解離性ブロック化剤(γ)残基を示し、
    Zは化合物(δ)残基を示し、Xは化合物(β)残基で
    あり、nは2〜4の整数であり、p+mは2〜4の整数
    (m≧0.25)である〕で表されることを特徴とする
    請求項22または23記載の接着剤組成物。
  25. 【請求項25】 前記脂肪族エポキシド化合物(D)
    は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含む化合物であ
    ることを特徴とする請求項2、4、および6のうちいず
    れか1項に記載の接着剤組成物。
  26. 【請求項26】 前記脂肪族エポキシド化合物(D)
    が、多価アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応生
    成物であることを特徴とする請求項2、4、6および2
    5のうちいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  27. 【請求項27】金属塩(E)が、多価金属の塩であるこ
    とを特徴とする請求項2、4および6のうちいずれか1
    項の記載の接着剤組成物。
  28. 【請求項28】金属酸化物(F)が、多価金属の酸化物
    であることを特徴とする請求項2、4および6のうちい
    ずれか1項の記載の接着剤組成物。
  29. 【請求項29】 乾燥重量で、接着剤組成物中、熱可塑
    性高分子重合体(A)を2〜75%、水溶性高分子
    (B)を5〜75%、化合物(C)を15〜77%含む
    ことを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  30. 【請求項30】 乾燥重量で、接着剤組成物中、熱可塑
    性高分子重合体(A)を2〜75%、水溶性高分子
    (B)を5〜75%、化合物(C)を15〜77%、含
    まれる場合は、それぞれ、脂肪族エポキシド化合物
    (D)が70%以下、金属塩(E)が50%以下、金属酸
    化物(F)が50%以下、ゴムラテックス(G)が18%
    以下、ベンゼン誘導体(H)が50%以下含むことを特
    徴とする請求項2記載の接着剤組成物。
  31. 【請求項31】 乾燥重量で、接着剤組成物中、熱可塑
    性高分子重合体(A)を2〜75%、水性ウレタン化合
    物(I)を15〜87%含むことを特徴とする請求項3
    記載の接着剤組成物。
  32. 【請求項32】 乾燥重量で、接着剤組成物中、熱可塑
    性高分子重合体(A)を2〜75%、水性ウレタン化合
    物(I)を15〜87%、含まれる場合は、それぞれ、
    脂肪族エポキシド化合物(D)を70%以下、金属塩
    (E)を50%以下、金属酸化物(F)を50%以下、ゴ
    ムラテックス(G)を18%以下、ベンゼン誘導体
    (H)を50%以下含むことを特徴とする請求項4記載
    の接着剤組成物。
  33. 【請求項33】 乾燥重量で、接着剤組成物中、水溶性
    共重合体(B)を5〜75%、水性ウレタン化合物
    (I)を15〜77%含むことを特徴とする請求項5記
    載の接着剤組成物。
  34. 【請求項34】 乾燥重量で、接着剤組成物中、水溶性
    共重合体(B)を5〜75%、水性ウレタン化合物
    (I)を15〜77%、含まれる場合は、それぞれ、脂
    肪族エポキシド化合物(D)を70%以下、金属塩(E)
    を50%以下、金属酸化物(F)を50%以下、ゴムラ
    テックス(G)を18%以下、ベンゼン誘導体(H)を
    50%以下含むことを特徴とする請求項6記載の接着剤
    組成物。
  35. 【請求項35】 乾燥重量で、接着剤組成物中、アルカ
    リ金属が含まれるとしても2%以下しか含まれないこと
    を特徴とする請求項1〜34のうちいずれか1項に記載
    の接着剤組成物。
  36. 【請求項36】接着剤組成物を動的粘弾性測定したとき
    の貯蔵弾性率G'が、60℃および周波数10Hzにて
    10の9乗以下であり、かつ、200℃および周波数1
    0Hzにて10の6乗以上であることを特徴とする請求
    項1〜35のうちいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  37. 【請求項37】接着剤組成物を240℃で30分間熱処
    理した後、室温に冷却し、この接着剤組成物の乾燥重量
    100重量部と硫黄10重量部とを160℃で90分間
    反応させたときの接着剤組成物乾燥重量1gあたりの積
    算反応熱量が85J(ジュール)以下であることを特徴
    とする請求項1〜36のうちいずれか1項に記載の接着
    剤組成物。
  38. 【請求項38】請求項1〜37のうちいずれかの1項に
    記載の接着剤組成物の層で、表面を被覆されたことを特
    徴とする樹脂材料。
  39. 【請求項39】前記樹脂材料の樹脂がポリエステル樹
    脂、芳香族ポリアミド樹脂、またはアクリル樹脂である
    ことを特徴とする請求項38記載の樹脂材料。
  40. 【請求項40】前記ポリエステル樹脂材料が、ポリエチ
    レンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート
    であることを特徴とする請求項39記載の樹脂材料。
  41. 【請求項41】 樹脂材料が複数のフィラメントを撚り
    合わせてなるコードであり、該コードは、合成繊維が上
    撚りと下撚りを有してなり、下記式[1]、[2]で規
    定される下撚りの撚係数N1が0〜0.70であり、上
    撚りの撚係数N2が0.12〜0.90であることを特
    徴とする請求項38〜40のうちいずれか1項に記載の
    樹脂材料。 N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10−3 [1] N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10−3 [2] (式中、D1は下撚り糸束の表示デシテックス数、D2はト
    ータル表示デシテックス数、n1は下撚り数(回/10c
    m)、n2は上撚り数(回/10cm)、ρは有機繊維の比
    重を表す。)
  42. 【請求項42】コードが、上撚りと下撚りを有し、下撚
    りの撚係数が1300〜2500であり、上撚りの撚係
    数が900〜1800であることを特徴とする請求項4
    1記載の樹脂材料。
  43. 【請求項43】コードを被覆する接着剤組成物層が乾燥
    重量で、コード重量の0.5〜6.0重量%であること
    を特徴とする請求項41または42のうちいずれか1項
    の記載の樹脂材料。
  44. 【請求項44】請求項38〜43のうちいずれか1項に
    記載の樹脂材料で補強されたことを特徴とするゴム物
    品。
  45. 【請求項45】請求項44記載のゴム物品をゴム部材と
    して適用したことを特徴とする空気入りタイヤ。
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