JP2000247022A - 被記録媒体及びその製造方法、画像形成方法 - Google Patents

被記録媒体及びその製造方法、画像形成方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速にインクを吸収し、画像濃度が高く、色
調が鮮明であり、階調数の多い、濃度による色味変化が
なく、ビーディングの発生を抑え、かつインク吸収能力
に優れており、さらには、表面の耐傷性、透明性を同時
に付加した被記録媒体を提供する。 【解決手段】 基材上に、ベーマイト構造を有するアル
ミナ水和物を含有する多孔質下層、シリカを含有する多
孔質上層を順次形成してなる被記録媒体において、前記
多孔質上層は、主として粒子直径1〜100nmの球状
シリカ粒子及びバインダーを含む凝集体と空隙とで主に
構成され、この空隙は主に前記凝集体の間に存在し、凝
集体内部には存在しないことを特徴とする被記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
た記録に好適な被記録媒体に関し、濃淡インク、さら
に、3種類以上の濃度が異なるインクセットでの印字、
ベタ画像の多い印字、顔料/染料混合系インクでの印
字、顔料インクと染料インクの併用印字等を高速で行っ
たときに、画像濃度が高く、色調が鮮明であり、階調数
の多い、濃度による色味変化がなく、ビーディングの発
生を抑え、かつインク吸収能力に優れたインクジェット
記録に好適な被記録媒体ならびに製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式は、イン
クの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙等
の被記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うも
のである。高速低騒音、多色化が容易、記録パターンの
融通性が大きい、現像、定着が不要等の特徴があり、各
種画像の記録装置として情報機器をはじめ各種の用途に
おいて急速に普及している。さらに、多色インクジェッ
ト方式により形成される画像は、製版方式による多色印
刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない
記録を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合に
は通常の多色印刷や印画によるよりも安価であることか
らフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつあ
る。
【0003】記録の高速化、高精細化、フルカラー化等
の記録特性の向上に伴って記録装置、記録方法の改良が
行われてきたが、被記録媒体に対しても高度な特性が要
求されるようになってきた。
【0004】かかる要求を解決するために、従来から多
種多様の被記録媒体の形態が提案されている。
【0005】例えば、特開昭52−53012号公報に
は低サイズの原紙に表面加工用塗料を浸潤させるインク
ジェット用紙が開示されている。特開昭53−4911
3号公報には尿素−ホルマリン樹脂粉末を内添したシー
トに水溶性高分子を含浸させたインクジェット用紙が開
示されている。特開昭56−5830号公報には支持体
表面にインク吸収性の塗工層を設けたインクジェット記
録用紙が開示され、同55−51583公報には被覆層
中の顔料として非晶質シリカを用いた例が開示され、同
55−144172号公報には水性インクの着色成分を
吸着する顔料塗布層を有する受像シートが、同55−1
46786号公報には水溶性高分子塗工層を用いた例が
開示されている。
【0006】さらに、インクの吸収性及びシート表面光
沢性等を改善するために以下のような記録媒体が提案さ
れている。米国特許明細書第4879166号、同51
04730号、特開平2−276670号、同3−21
5082号、同3−281383号、及び本願発明者ら
の特開平7−089221、同7−172038、同7
−232473、同7−232474、同7−2324
75、同8−132731、同8−174993、同9
−066664、同9−076628、同9−0860
35、同9−099627では、擬ベーマイト等のアル
ミナ水和物を用いたインク受容層を有する記録シートが
提案されている。
【0007】米国特許4879166号、欧州特許29
8424号、特開平1−97678号、同6−4801
6号、同6−55829号では特定の吸着能を持つアル
ミナ水和物とシリカの併用された被記録媒体が提案され
ている。
【0008】また、画質、光沢、表面の耐傷性等の向上
を図るために、以下のような2層構成の記録媒体が提案
されている。
【0009】米国特許5104730号、欧州特許4
07720号、特開平2−276671号、同3−28
1383号、同4−115984号、同4−11598
5号では多孔質アルミナ層の上に多孔質微粉末シリカ層
が積層された構成の被記録媒体が提案されている。
【0010】特開平6−18131号では基材上に第
1のインク受容層を形成し、その上に無機微粒子による
実質的に有機高分子接着剤を含有しない第2のインク受
容層を積層した記録媒体が提案されている。
【0011】米国特許5463178号、欧州特許6
34287号、特開平7−76162号では多孔質アル
ミナ水和物層の上にシリカゲルからなる層を積層した構
成の被記録媒体が提案されている。
【0012】特開平10−166715号に支持体上
に擬ベーマイト状アルミナ水和物層からなるインク受容
層、非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層を順次設けた
被記録媒体が提案されている。
【0013】特開平7−089220、同7−101
142、同7−117335にはそれぞれインク受容層
を2層構成にして、上層をコロイダルシリカを主成分と
した光沢発現層にした形態の被記録媒体が提案されてい
る。
【0014】特開平9−150571、同9−175
000、同9−183267、同9−286165、同
10−71764にはインク受容層を2層構成にして、
表面層の細孔分布や、シリカ粒子の平均粒子直径を特定
範囲内にしたものや、シリカとアルミナゾルの併用、シ
リカとシリカアルミナの併用等の形態の被記録媒体が提
案されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記に示された思想は
インク吸収性、解像度、画像濃度、色彩性、色再現性、
透明性、光沢度等の被記録媒体のそれぞれ特性の改良に
関するものであるが、かかる媒体であっても、最近の記
録装置の進歩によって銀塩写真に匹敵する画質を高速印
字することが達成されてきたことに伴い、問題点が発生
している。例えば米国特許明細書第4879166号や
米国特許4879166号に開示されているアルミナ水
和物やアルミナ水和物とシリカの併用された被記録媒体
は画質や光沢の点で優れているが、表面が傷つき易いた
め、プリンターの搬送方法によっては搬送傷が生じ易
い。また、高温多湿における環境下でインク吸収性は低
下する傾向にあり、そういった環境での多重保管の際に
もシート同士貼り付きが生じる等の問題があった。
【0016】また、インク吸収性や表面特性等を向上さ
せるためにインク受容層を2層構成にした被記録媒体が
提案されているが、これらの被記録媒体も以下の点で十
分とは言えない。
【0017】米国特許5104730号、欧州特許4
07720号、特開平2−276671号、同3−28
1383号、同4−115984号、同4−11598
5号は多孔質アルミナ層の上に多孔質微粉末シリカ層が
積層された構成の被記録媒体である。印字されたインク
の色材成分を多孔質アルミナ層で吸着し、シリカ層はイ
ンクの溶媒成分の吸収を行うという思想である。この構
成では機能分離を行っているためにインク吸収、発色と
もに良好であるが、インクの溶媒吸収に用いるシリカ層
は多孔質の微粉末シリカを用いるためにシリカ層が白濁
するという問題点があった。
【0018】特開平6−18131号では、インク受
容層を2層構成にして、表面層を無機微粒子による実質
的に有機高分子樹脂接着剤を含有しない層とするため、
インクの接触により膨潤あるいは溶解がインクと樹脂の
界面で生じることもなく、樹脂部分が印字により変形す
ることもないが、有機高分子樹脂接着剤がないため、十
分な膜強度が確保できず、プリンターの搬送時やハンド
リングにおいて膜の剥がれや傷等が生じるおそれがあ
る。
【0019】米国特許5463178号、欧州特許6
34287号、特開平7−76162号では、表面層に
シリカゲル層を形成するが、シリカゲル層内ではシリカ
の一次粒子が二次粒子を形成せずに規則的に配列するた
めに、シリカ粒子の充填が密となり、溶媒の連通を促進
する空隙は形成されないために、擬ベーマイト多孔質層
上にシリカゲル層を形成しても、吸収能の向上はそれほ
ど期待できない。
【0020】特開平10−166715号では、表面
層に非球状のシリカ粒子を含んだシリカ層を設けるた
め、ミクロ的には粒子の充填が粗になるためインクの浸
透は向上するが、球状のシリカを用いる場合比べ透明性
の低下や、クラックの発生のおそれがある。
【0021】特開平7−089220、同7−101
142、同7−117335では、インク受容層を2層
構成にし、上層をコロイダルシリカを主成分とした光沢
発現層として形成しているが、この方法では確かにイン
ク受容層の表面光沢は高くなるが、キャスト成型を必要
とするため、吸収能は減少傾向にあり、逆に向上させる
ことは困難である。すなわち、併用する高分子ラテック
スのガラス転移温度の調整やコロイダルシリカ複合体エ
マルジョンの利用、コロイダルシリカの平均粒子径を3
00nm以下とする等の工夫がなされているが、いずれ
もキャスト等を用いるために、キャスト条件等によって
は多孔性の減少を軽微にすることはできるが、インキの
吸収の低下をなくすことは困難である。
【0022】特開平9−150571、同9−175
000、同9−183267、同9−286165、同
10−71764ではインク受容層を2層構成にして、
表面層の細孔分布や、シリカ粒子の平均粒子直径を特定
範囲内にすることにより、インク吸収と透明性を両立さ
せようという思想である。しかしながらシリカ層のシリ
カ粒子の粒子径範囲が広いため、粒子径が大きい場合、
二次粒子を形成している場合には、インク受容層の透明
性が十分でなく、接着剤に用いる樹脂が水溶性樹脂であ
る場合、十分な多孔層を形成することができず、インク
吸収性が十分でない等の問題が生じる。すなわち、透明
性と吸収性を両立させる多孔性を形成するには不十分な
ものであった。
【0023】本発明は、上記の問題点を解決する目的で
なされたものであり、3種類以上の濃度が異なるインク
セットでの印字、ベタ画像の多い印字、顔料/染料混合
系インクでの印字、顔料インクと染料インクの併用印
字、等を高速で行ったときに、画像濃度が高く、色調が
鮮明であり、階調数の多い、濃度による色味変化がな
く、ビーディングの発生を抑え、かつインク吸収能力に
優れており、さらには、表面の耐傷性、透明性を同時に
付加した被記録媒体及び該被記録媒体を用いる画像形成
方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明の被記録媒体は基
材上に、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有
する多孔質下層、シリカを含有する多孔質上層を順次形
成た構成の被記録媒体で、前記多孔質上層は、主として
粒子直径1〜100nmの球状シリカ粒子及びバインダ
ーを含む凝集体と空隙とで主に構成され、該空隙は主に
前記凝集体の間に存在し、凝集体内部に存在しないこと
を特徴とする。
【0025】また、本発明の被記録媒体の製造方法は、
基材上にべーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有
する多孔質下層、シリカを含有する多孔質上層を順次形
成する被記録媒体の製造方法において、前記多孔質上層
は平均粒子直径1〜100nmの球状コロイダルシリカ
と少なくとも1種類の樹脂エマルジョンを含む水分散液
にアルコールを30〜90重量%含有する分散液を塗工
乾燥して形成することを特徴とする。
【0026】本発明は、表面性、インク吸収性の改善が
可能であり、かつインクジェット記録に好適な被記録媒
体ならびに製造方法である。本発明は、本発明者らの実
験により得た知見をさらに詳細に検討を加えて完成した
ものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照してより詳細
に説明する。
【0028】図1〜図3に本発明の記録物の一例を示
す。図1中の101は基材、102は多孔質下層、10
3は多孔質上層を示す。また図2は図1の多孔質下層及
び上層部分を拡大した図であり、202は多孔質下層、
203は多孔質上層、204は球状シリカ粒子、205
はバインダー、206は空隙を示す。図3は同様に図1
の部分拡大図であり、2種類の大小の球状シリカ粒子を
含んでいる場合の図である。302は多孔質下層、30
3は多孔質上層、304は粒子直径の大きな球状シリカ
粒子、305はバインダー、306は空隙、307は粒
子直径の小さな球状シリカ粒子を示す。
【0029】本発明において、多孔質上層103は多孔
質下層102上に形成され、球状シリカ粒子とバインダ
ーからなる凝集体と空隙を内部に持つ層であるために、
この空隙がインクの通過を担い、インクの吸収能が良好
で、かつ、画像形成に好適な被記録媒体が得られる。さ
らに、2層構成であるために、多孔質下層102をイン
ク吸収及び定着層、多孔質上層103をインクの吸収及
び透過、膜の硬さや光沢等の表面性に制御といった機能
分離が可能となり、インクジェット等の記録画像形成に
適した被記録媒体が得られる。
【0030】ここにおける空隙とは、多孔性シリカを用
いた場合のようにシリカ内に内在している空隙や、一次
粒子のシリカ同士を凝集結合させて、二次粒子として形
成した空隙とは異なり、十分な大きさの空隙であり、下
層本来の持つインク吸収能の確保のみならず、さらなる
増加も可能とさせるものである。すなわちここでは、球
状シリカ粒子が局在化されたその間にバインダーを介在
させ、十分に細孔径の大きい空隙を形成するためにイン
ク着弾後、直ちにこの空隙を介して、インク成分は吸収
される。
【0031】本発明において、多孔質上層は球状シリカ
粒子とバインダーによる凝集体と空隙によって形成され
ているが、本発明のような空隙を持った多孔質上層を得
るためには、球状シリカ粒子及びバインダーの選択、さ
らには形成するために用いる塗工分散液に含まれる溶媒
分の種類や含有量等の選択、さらには乾燥条件等の製造
上の工夫が必要であり、従来の方法では得られるもので
はない。
【0032】本発明に用いる球状シリカ粒子は、主とし
て粒子直径1〜100nmの球状シリカ粒子が好まし
い。この範囲よりも粒子直径が小さい場合には多孔質上
層にある細孔が潰れてしまい、被記録媒体全体の細孔容
積や細孔半径が低下するために、インクの浸透性が低下
して記録時にインクの溢れが生じ、滲み(一定の面積に
ベタ印字したときに、染料等の色材により着色される部
分が印字した面積よりも広く(大きく)なる)、ブリー
ディング(異なる色インクの界面で滲み、混色が生じ
る)、ビーディング(ベタ印字部で発生するインク滴同
志の凝集による粒状の濃度むらが現れる現象)等が発生
し易くなる。また、粒子直径がこの範囲より小さい球状
シリカが存在すると球状シリカ粒子同士が凝集し易くな
るために、多孔質上層に部分的、局所的に凝集部分が生
じて、その結果クラックが発生し易くなる。一方、この
範囲よりも粒子直径が大きくなる場合には、多孔質上層
の透明性が低下して、記録後の画像が白もやがかかった
ようにぼけたり、解像度が低下してシャープネスが低下
したりする。さらにこれらの球状シリカ粒子のうち85
%以上が粒子直径1〜100nmの範囲のものであるこ
とにより上記効果が発現可能となる。
【0033】また、本発明においてシリカ粒子が球状で
あることは重要である。すなわち、多孔質上層はシリカ
粒子とバインダーによる凝集体と空隙によって形成され
ており、シリカ粒子とバインダーによる凝集体はこの層
中でシリカ粒子とバインダーが結合して形成されたもの
である。シリカ粒子を球形にすることにより、シリカ粒
子の比表面積を大きくすることができ、シリカ粒子とバ
インダーの接触する確率が高まる。そのため、バインダ
ーとシリカ粒子の結合性はより高まり、強固に結合でき
る。また、空隙を層内にある程度局在せずに形成するた
めにはシリカ粒子は対称性が高い形状であることが必要
であることからも球状であることが好適であり、さらに
は真球状に近いことが望ましい。このとき、シリカ粒子
の真球度が60〜100%のものを用いると好適であ
る。
【0034】球状シリカ粒子の粒子直径は上記の範囲、
すなわち、主として1〜100nmにあることにより、
球形シリカ粒子とバインダーの凝集体、及び空隙からな
る多孔質上層の形成は可能である。より好ましくは5〜
90nmの範囲である。さらに、上記の範囲内におい
て、粒子直径のばらつきの大きい様々な粒子直径の球状
シリカ粒子を用いるよりも、ある程度、粒子直径のばら
つきの少ないまとまった大きさの球状シリカ粒子を用い
ることにより、膜質の均一性の向上等には好適である。
特に、単一のピークの粒子直径のシリカ粒子から多孔質
上層を形成する場合には20〜80nmの範囲内のシリ
カ粒子が含まれることにより、透明性と吸収性の両立性
を達成できる空隙を形成できる。また、30〜70μm
の範囲内のシリカ粒子が含まれている場合には吸収性の
向上と適度な膜強度の確保が維持できるためさらに好適
である。
【0035】また、粒子直径の範囲内で2種類以上の大
小の球状シリカ粒子を含むことにより、膜質の強固な多
孔質上層が形成される。これは、球状シリカ粒子とバイ
ンダーの凝集体の形成の際に、粒子直径の小さい球状シ
リカ粒子はバインダー塊の内部に取り込まれ、粒子直径
の大きい球状シリカ粒子はその外部に位置する構造が形
成できるため、バインダー塊の部分の強度が高くなるた
めである。この際、粒子直径の大小は、十分な差がある
と効果的であり、10〜100nm及び、1〜10nm
未満の範囲の粒子直径の球状シリカ粒子を含むと好適で
ある。この際、10〜100nmの範囲の粒子直径の球
状シリカにおいて、上記単一ピークの範囲の場合に好適
なシリカ粒子と同様のものが含まれると好適である。上
記の2種の大小の粒子径の球状シリカが多孔質上層に存
在する場合、その直径比は70:30〜95:5の範囲
が好ましい。また、空隙の大きさや、空隙の数、空隙の
層内における分布性等を調節するために3種以上の大小
の球状シリカ粒子を含んでもよい。なお、本発明におい
て多孔質上層中の構造や層中に存在する球状シリカ粒子
の粒子直径は、多孔質上層の断面を図4に示したように
ミクロトームで切断して、電子顕微鏡、レーザー顕微鏡
等で観察することができる。
【0036】本発明に用いる基材101としては、従来
より知られる各種の部材が使用できる。具体的には、適
度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、ポリエチレン
フィルム等を用いたレジンコート紙等の紙類や熱可塑性
フィルムが挙げられる。熱可塑性フィルムの場合にはポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチル
メタクリレート、酢酸セルロース、ポリスチレン等が挙
げられ、写真調の画像を得るために白色で隠蔽性の高い
ものが好適でアルミナ水和物やチタンホワイト等の顔料
の充填または微細な発泡による不透明化したシートを用
いることができる。また、OHP(オーバーヘッドプロ
ジェクター)用シート、レントゲンフィルム、電飾フィ
ルム等、光を透過させて用いるシートには透明性の高い
基材を用いる。具体的には光透過率が50%以上であ
り、好ましくは80%以上である。また、基材に各種の
色顔料等を含有させて半透明や色付きのものとして画像
全体の色調を調節することもできる。
【0037】基材の表面には、多孔質下層との接着性を
良好とするために、コロナ処理等の表面処理を行った
り、易接着層を下引き層として設けてもよい。さらに、
カール防止用として基材の裏面あるいは、所定の部位に
樹脂層や顔料層等のカール防止層を設けることもでき
る。
【0038】基材の厚みについても特に限定はないが、
5〜500μmのものが好ましい。基材の厚みは目的に
応じて適宜選択される。
【0039】本発明の多孔質下層102はベーマイト構
造を有するアルミナ水和物とバインダーからなる層とし
て形成される。多孔質下層は本質的にインクジェット記
録によってインクが飛翔、着弾された後、インクの溶媒
を吸収し、染料等の色材を定着する機能を有するもので
ある。本発明において、インク受容層として機能する多
孔質下層は高い吸収能を有し、滲み、溢れ等を低減し、
写真調の画像を得るためには、均一な膜質を形成するこ
とが必要となる。さらに、本発明では多孔質上層103
を形成する際に、ベーマイト構造を有するアルミナ及び
バインダーからなる多孔質下層が持つ多孔質の特殊な微
細構造が最も適している。これは、透明性が高いこと、
更にこの緻密な微細構造を持った下層の上に本発明の上
層を設けると、アルコールおよび水の浸透が瞬時に行わ
れ、乾燥時にアルコールと水の放出がバランスよく行わ
れるために、本発明のような上層の空隙構造が好ましい
ものとなる。更に、多孔質形成後のインク吸収能に関し
ても高いために好ましい。
【0040】多孔質下層の吸収量を十分に確保するため
には多孔質下層としての細孔直径を調整する必要があ
る。このとき、平均細孔半径は2.0〜20.0nmの
範囲のものが好ましい。この範囲内であれば、インク吸
収速度と染料の定着速度の両者を速く行うことができ
る。
【0041】また、平均10nm以下とすることによ
り、光散乱が抑制され、透明性が確保でき、印字した場
合に形成された画像が白っぽくなる現象を極力低減でき
る。なお、細孔径分布の測定は窒素吸着脱離法または水
銀圧入法による。
【0042】さらに、吸収量を調整するために多孔質下
層の全細孔容積は0.1〜1.0cc/gの範囲が望ま
しい。さらに好ましい範囲は0.4〜0.6cc/gで
ある。多孔質下層の細孔容積が上記範囲より大きい場合
には多孔質下層形成時にひび割れ、粉落ちが発生し、上
記範囲より小さい場合にはインクの吸収が悪くなる。ま
た、多孔質下層の面積単位の細孔容積は8cc/m2
上であることが望ましい。上記の範囲以下では特に多色
印字を行った場合に多孔質下層で担うインクの吸収能が
不十分であり、インクが溢れて画像に滲みが発生する。
これらの細孔構造についてさらに詳しくは、その目的に
よって、特公平7−2430号に記載されている擬ベー
マイトからなるインク受容層の半径10nm〜100n
mを有する細孔の全容積が0.1cc/g以下である被
記録媒体、特許2714352号に記載されているよう
に、インク受容層の平均細孔半径が2.0〜20.0n
mで細孔半径分布の半値幅が2.0〜15.0nmであ
る被記録媒体、特許2714350号に記載されている
ように、半径10.0nm以下と、半径10.0〜2
0.0nmの範囲にそれぞれ極大を持つ被記録媒体、特
開平5−323037号に記載されているインク受容層
の平均細孔径が2〜8nmで厚さが5〜60μmの下層
と平均細孔径が4〜15nmで厚さが2〜30μmの上
層の2層構成の擬ベーマイト層からなる被記録媒体、特
開平9−66664号に記載されているインク受容層が
内部に空洞を有し、該空洞がこれより小さい半径の細孔
を通してインク受容層表面に連通している被記録媒体と
して開示されているが、これらの細孔構造の多孔質層を
本発明の多孔質下層102も用いることにより、それぞ
れ、インクの選択幅を広げることができる。透明性の向
上、インク吸収性の向上、滲み、かすれ防止、多色印字
での吸収性の向上等の効果が得られ、さらに、多孔質上
層103の形成により、上記の効果の向上、さらなる効
果の付与が可能となる。
【0043】前記アルミナ水和物はカチオン性であり、
正電荷を持っているためインク中の染料の定着がよく、
高光沢、発色のよい画像が得られ、また、他顔料を用い
たインク受容層に比べ、低ヘイズで透明性も高くなり、
インク受容層に用いる顔料としてはより好ましい。
【0044】本発明に用いられるアルミナ水和物として
は、X線回折法でベーマイト構造を示すアルミナ水和物
(ピークの回折角度2θが14〜15°に現れる)が、
染料の吸着性とインク吸収性及び透明性が良好なので最
も好ましい。アルミナ水和物は、下記の一般式により表
されるものである。
【0045】Al23 -n(OH)2n−mH2 O 式中、nは0,1,2,または3の整数のうちいずれか
を表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。
mとnは、同時に0にならない。mH2 Oは多くの場合
結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すもの
であるため、mは整数でない値をとることができる。ま
た、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に
達することがあり得る。
【0046】本発明の実施に好適なベーマイト構造を有
するアルミナ水和物の結晶はその(020)面が巨大平
面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の
回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベー
マイトの他に、擬ベーマイトと称する過剰な水を(02
0)面の層間に含んだ構造をとることもできる。この擬
ベーマイト構造のX線回折図は完全ベーマイトよりもブ
ロードな回折ピークを示す。完全べーマイトと擬ベーマ
イトは明確に区別できるものではないので、本発明では
特に断わらない限り、両者を含めて擬べーマイト構造を
示すアルミナ水和物という。また、シリカを含有しても
べーマイト構造を保っていれば、(ベーマイトの層間に
シリカが取り込まれた構造になっている可能性がると推
定される)本発明においては、擬べーマイト構造を示す
アルミナ水和物に含める。
【0047】本発明に用いるベーマイト構造を有するア
ルミナ水和物の製造方法としては、特に限定されない
が、アルミナ水和物を製造することが可能な方法、例え
ばバイヤー法、明ばん熱分解法等のいずれかの方法も採
用することができる。好ましくは、長鎖のアルミニウム
アルコキシドに対して酸を添加して加水分解する方法が
挙げられる。例えば炭素数5以上のアルコキシドであ
り、さらに炭素数12〜22のアルコキシドを用いる
と、後述するようなアルコール分の除去、及びベーマイ
ト構造を有するアルミナ水和物の形状制御が容易になる
ために好ましい。上記の方法には、アルミナヒドロゲル
やカチオン性アルミナを製造する方法と比較して、各種
イオン等の不純物が混入しにくいという利点がある。さ
らに、長鎖のアルミニウムアルコキシドは、加水分解後
のアルコールを除去し易いため、アルミニウムイソプロ
キシド等の短鎖のアルコキシドを用いる場合と比較し
て、アルミナ水和物の脱アルコールを完全に行うことが
できる。
【0048】なお、本発明において、ベーマイト構造の
アルミナ水和物の形状は、アルミナ水和物を水、アルコ
ール等に分散させてコロジオン膜上に滴下して測定用試
料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察して求めることが
できる。アルミナ水和物の中で擬ベーマイトには文献
(Rocck J., et al, Applied Catalysis. 74巻、29
〜36頁、1991年)に記載されたように、繊毛状と
それ以外の形状があることが一般的に知られている。
【0049】本発明において繊毛状または平板形状のい
ずれの形状のアルミナ水和物でも用いることができる。
アルミナ水和物の形状(粒子形、粒子径、アスペクト
比)はアルミナ水和物をイオン交換水に分散させてコロ
ジオン膜上に滴下して測定用試料を作り、この試料を透
過型電子顕微鏡で観察を行うことによって測定すること
ができる。さらに、平板状の形状のほうが針状または毛
状束(繊毛形状)よりも水への分散性がよく、これを用
いてインク受容層を形成すると、アルミナ水和物粒子の
配向がランダムになるために、細孔容積が大きく、かつ
細孔径分布が幅広くなるのでより好ましい。ここで毛状
束形状とは針状のアルミナ水和物が側面同士を接して髪
の毛の束のように集まった状態をいう。
【0050】前記アルミナ水和物は、製造過程において
細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBE
T比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が
0.1〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いる
ことが好ましい。アルミナ水和物の細孔容積が上記範囲
外では多孔質下層の細孔容積を前記規定範囲内にするこ
とが困難になる。また、上記アルミナ水和物の粒子径と
しては、平板形状ではアスペクト比3〜10の範囲で、
平均粒子直径1〜50nmのものが好ましい。ここで平
板形状のアスペクト比は、粒子の厚さに対する直径の比
を示し特公平5−16015号に定義されている方法で
求めることができる。ここで、この範囲よりも小さな粒
径のものを用いた場合、クラックが発生し易くなる傾向
があり、この範囲よりも大きな粒径のものを用いた場合
には光の散乱により、ヘイズが高くなり画像が全体に白
っぽくなる場合がある。
【0051】BET比表面積については、40〜500
2 /gであるアルミナ水和物を用いることが好まし
い。アルミナ水和物のBET比表面積が上記範囲外で
は、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にすること
が困難になる。ここで、前記BET比表面積及び、細孔
容積は、試料を24時間、120℃で脱気処理した後、
窒素吸着脱離法により求めることができる。
【0052】また、本発明では、アルミナ水和物にその
他の添加物を加えて用いることができる。添加物として
は、各種金属の酸化物、水酸化物、2価以上の金属の
塩、またはハロゲン化物、カチオン性有機物質等の中か
ら必要に応じて自由に選択して用いることができる。
【0053】金属酸化物としては、シリカ、シリカアル
ミナ、ボリア、シリカボリア、マグネシア、シリカマグ
ネシア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛等の酸化物、
水酸化物、2価以上の金属塩としては、硝酸カルシウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の塩、塩化マグネ
シウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化亜
鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化物、カオリ
ン、タルク等が好ましい。カチオン性有機物質としては
4級アンモニウム塩、ポリアミン、アルキルアミン等が
好ましい。添加物の添加量としては、顔料の20重量%
以下がよい。
【0054】上記顔料と組み合わせて使用するバインダ
ーとしては、水溶性、水分散性、アルコール等の溶剤分
散性の高分子物質が好ましい。例えば、ポリビニルアル
コール(PVA)またはその変性体(カチオン変性、ア
ニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体
(酸化、エーテル化)、ゼラチンまたはその変性体、カ
ゼインまたはその変性体、カルボキシメチルセルロー
ス、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導
体、SBRラテッックス、NBRラテックス、メチルメ
タクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共
重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチ
レン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテック
ス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその
共重合体、アクリル酸エステル共重合体等が好ましい。
これらの高分子物質の中ではPVAが吸水性や透明性の
点で幅広く使われている。また、特開平8−32599
2号や特開平10−94754号に記載されているよう
に樹脂エマルジョンを用いることもできる。これらのバ
インダーは、単独であるいは複数種混合して用いること
ができる。
【0055】多孔質下層のBET比表面積、細孔容積が
前記の範囲を満たす限りにおいては、前記顔料とバイン
ダーの混合比は重量比で1:1〜30:1、好ましくは
5:1〜20:1の間で任意に選択できる。バインダー
の量が上記範囲よりも少ない場合はインク受容層の機械
的強度が不足して、クラックや粉落ちが発生し、上記範
囲よりも多い場合は細孔容積が少なくなってインクの吸
収が悪くなる。
【0056】上記アルミナとバインダーを用いて塗工液
が得られ、これを基材上に塗膜形成することにより、多
孔質下層102を形成することができる。
【0057】塗工液には、さらに、本発明の目的を損な
わない範囲で、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、
流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡
剤、剥離剤、防ばい剤等を添加することができる。
【0058】塗工液の基材上への塗工は、例えば、ブレ
ードコート方式、エアナイフコート方式、ロールコート
方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キ
スコート方式、ダイコート方式、エクストルージョン方
式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプ
レー方式等を用いた方法により行うことができる。
【0059】塗工液の基材上への塗工量は所望する用途
等に応じて、適宜選択すればよいが、塗工層が薄すぎる
とインクを十分に吸収できず、多孔質上層への滲みを生
じてしまうため好ましくない。逆に厚すぎると多孔質下
層の強度が低下したり、塗工及び乾燥時に塗膜欠陥を生
じるため、部分的に十分なインク吸収量が確保できない
部分が生じる。また、透明性が減少して記録物の透明性
や画像の鮮明度が損なわれるおそれがあり、好ましくな
い。そのため、吸収量の確保と全体的な膜としての強度
を保つために多孔質下層の好ましい厚さは5〜50μm
である。
【0060】基材上に設けられた塗工層上に、必要に応
じた加熱による乾燥処理を行うことで多孔質下層が得ら
れる。乾燥処理により、水性媒体(分散媒)が蒸発する
とともに、アルミナ水和物粒子とバインダーの架橋また
は融着による結合により造膜が起きる。乾燥処理の条件
は用いる塗工液の組成に応じて適宜決定できる。乾燥は
一般に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉等が単独で
または組み合わせで行われる。乾燥の度合いとしては完
全に溶媒分を乾燥させることが望ましいが、上層を形成
時の乾燥を考慮して半乾燥状態にして、上層の乾燥時に
乾燥を完了してもよい。
【0061】本発明における多孔質上層103は、着弾
されたインクの溶媒分の吸収、透過、インク色材の一部
の定着、また、被記録媒体の表面性を決定するものであ
る。一般的には無機顔料及びバインダーからなる多孔質
無機顔料層が2層構成の被記録媒体の場合には、インク
の吸収能が高いために好適であるが、近年では写真調の
高画質化の要求が高いために、特殊なインクや、インク
量の多い方法を用いる記録装置の普及により、従来より
特に吸収の良好な吸収量をもった被記録媒体が必要とな
っている。本発明では球状シリカ粒子とバインダーから
形成される特殊構造を得ることにより、インクの高速、
高吸収容量に最適な空隙配置をもった多孔質上層を形成
するに至った。
【0062】図5に本発明の被記録媒体の多孔質上層の
塗工、乾燥、形成過程を示す。すなわち塗工液塗布(図
5−a)、溶媒の多孔質下層への浸透(図5−b)、塗
工液の弱凝集(図5−c)、塗膜中のアルコール分の揮
発(図5−d)、塗膜表面の樹脂エマルジョンの溶融開
始、次に内部の樹脂エマルジョンの溶融開始(図5−
e)、水分の揮発(図5−f)、塗膜中の樹脂エマルジ
ョンの溶融の完了(図5−g)。
【0063】ここで、上記のような塗膜形成に至るには
幾つかの条件が必要となり、その条件と効果は以下のよ
うに説明される。まず、塗膜中に存在する球状シリカ粒
子は上述したように、主として粒子直径が1〜100n
mの範囲である必要がある。これは多孔質上層を形成時
に球状シリカ粒子同士を凝集させず存在させ、空隙を吸
収性及び透明性を阻害しない大きさに調整するためであ
る。さらにバインダーは従来のようなPVAのような水
溶性樹脂、更にはアルコール可溶性樹脂のように、水や
アルコール等の溶媒に完全に溶解している場合とは異な
り、水やアルコールに分散しているエマルジョンタイプ
の熱可塑性樹脂粒子を用いている。このため、樹脂粒子
が徐々に溶融結合することによりバインダーとしての機
能を果たすために、空隙は塗工及び乾燥工程を経てつぶ
れることなく形成されることが可能となる。
【0064】また、多孔質上層形成の際に用いる塗工分
散液の中に溶媒分として水とアルコールが共に含有され
ていて、乾燥時に揮発性の違いからアルコールが先に乾
燥除去され、その後に水が乾燥除去されるために、表面
付近は先に乾燥され、比較的に緻密な膜が形成される。
次に内部に残った水が徐々に乾燥されるために、後まで
層中に水分が介在していた部分は、水が除去された後に
空隙として形成される。しかも、バインダーよりも親水
性の高い球状シリカ粒子の周辺に水は介在し易いため
に、すなわち、シリカ粒子同士で取り囲まれた部分に水
は介在し易く、その部分の水がまとまって除去されるこ
とにより、空隙は主としてシリカとバインダーからなる
凝集体の間に存在し、凝集体内部には存在しない状態で
形成される。また、塗工液中にアルコールを含有するこ
とによって塗工膜欠陥の防止も可能となる。すなわち、
多孔質下層の上に塗工液を塗布する際に水のみによる分
散液では、水の細孔への浸透が遅いために、塗膜を乾燥
中に、多孔質下層の細孔からの気泡が上層の塗膜中に浮
き上がり塗膜欠陥が生じてしまうが、本発明ではアルコ
ールが含有された分散液を用いるために、多孔質下層の
細孔に溶媒分の浸透が速く行われ、気泡の発生は抑えら
れ塗膜欠陥を防止できる。そのため、画像形成時にもハ
ジキというベタ印字した部分で色材が定着しない部分が
生じる画像欠陥等も低減できる。
【0065】上記のような、シリカとバインダーによる
凝集体と空隙が存在する多孔質上層を形成するために、
本発明に用いられる球状シリカ粒子としては、前述した
ように分散媒に均一分散されたコロイド状のコロイダル
シリカ粒子が好適である。通常、このコロイダルシリカ
は無水珪酸(シリカ)の超微粒子を水またはアルコール
に安定に分散させた分散液である。本発明においてはコ
ロイダルシルカは水及びアルコールの混合溶媒にも分散
可能であることが必要である。
【0066】コロイダルシリカのイオン性については、
アニオン性またはカチオン性コロイダルシリカが使用可
能であるが、本発明においては、着弾したインク成分は
通常アニオン性なので、本発明でアニオン性コロイダル
シリカを用いた場合には、多孔質上層中に形成された空
隙を介して、インク成分は通過、吸収される。すなわ
ち、インク中の色素成分、溶媒ともに多孔質下層まで通
過していき、多孔質下層にて定着される。カチオン性コ
ロイダルシリカを用いた場合には、多孔質上層もインク
の色素成分の定着に関与し、インク吸収が多少遅れて溢
れ気味となった場合にもインクの色素成分は定着されて
いる。アニオン性コロイダルシリカを用いる場合には酸
性コロイダルシリカがアルコールに対する分散性が良好
であり、好ましく使用され、透明性の高い多孔質上層が
形成される。
【0067】コロイダルシリカの粒子直径に関しては、
平均粒子直径1〜100nmのものが好ましい。特に粒
子直径分布のピークが1〜100nmのものを用い、1
〜100nm範囲から外れるものが含まれる場合には公
知の方法を用いて分粒してこの範囲のものを選択して用
いる。球状シリカ粒子のうち85%以上が粒子直径1〜
100nmの範囲に含まれることが望ましい。このと
き、この範囲より小さいものを用いた場合には、多孔質
下層を塗工形成した際にシリカ粒子の比表面積が大きい
ためシリカ粒子同士が接着結合して、シリカ粒子同士の
凝集体を形成してしまい、さらにはシリカ粒子のほとん
どがバインダー塊の中に取り込まれた形で形成されるた
めに、空孔や細孔の少ない平坦な膜になってしまい、本
発明のような空隙は得られ難い。また、この範囲より大
きいものを用いた場合には、空隙が大きすぎるのみなら
ず、バインダーと球状シリカ粒子の接着が不十分にな
る。そのため、透明性の低下、十分に強固な膜が形成で
きない等の問題が生じる。好ましくは5〜90nmの範
囲のものを用いる。さらに、特に、単一のピークの粒子
直径球状コロイダルシリカ粒子を用いる場合には20〜
80nmの範囲内の球状コリダルシリカ粒子を用いるこ
とにより、透明性と吸収性の両立を達成できる空隙を形
成できる。また、30〜70nmの範囲内の球状コロイ
ダルシリカ粒子を用いる場合には吸収性を向上させつ
つ、適度な膜強度の確保が維持できるためさらに好適で
ある。
【0068】また、粒子直径の異なる2種類以上の大小
の球状コロイダルシリカ粒子を用いることにより、膜質
の強固な多孔質上層が形成できる。この際、粒子直径の
大小は、十分差があると効果的であり、粒子直径分布の
ピークが10〜100nm及び、1〜10nm未満の範
囲の球状コロイダルシリカ粒子を含むと好適である。こ
の際、10〜100nmの範囲の粒子直径の球状コロイ
ダルシリカには、上記単一ピークの範囲の場合に好適な
コロイダルシリカ粒子と同様のものを選択すると好適で
ある。また、さらに上記の大小の粒子径の球状コロイダ
ルシリカ粒子の大小の差がその直径比で70:30〜9
5:5の範囲のものを用いることが好ましい。また、大
小の粒子径の球状コロイダルシリカ粒子の混合比は重量
比で55:45〜95:5の範囲が好適である。
【0069】コロイダルシリカの粒子直径の測定、及
び、シリカ粒子の粒子径が揃っているか否か、すなわ
ち、ピークが存在するかを調べるためには、準弾性レー
ザー光散乱法(動的光散乱法)等の一般の方法が用いら
れる。
【0070】本発明では水やアルコール等に可溶してい
るものとは異なり、樹脂エマルジョンが水に分散してい
るものを用いるが、さらに水及びアルコールに分散可能
な樹脂エマルジョンを用いる。これにより、上述した球
状コロイダルシリカと水及びアルコールの分散媒中で分
散して塗工液を得ることができる。
【0071】具体的には、酢ビエマルジョン、エチレン
−酢ビエマルジョン、エチレン−酢ビ共重合系エマルジ
ョン、酢ビ−アクリル共重合系エマルジョン、アクリル
−スチレンエマルジョン、アクリルエマルジョン、塩化
ビニリデン系エマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポ
リエステルエマルジョン等の合成樹脂エマルジョン、S
BRラテックス、MBRラテックス等の合成ゴムラテッ
クスを挙げることができる。
【0072】本発明に用いる樹脂エマルジョンのガラス
転移温度は10℃〜150℃のものが好ましい。この範
囲よりも低いものを用いた場合、多孔質上層を形成後に
タックやべたつきが起こり、また、樹脂エマルジョンの
乾燥時の溶融粘度が低すぎるために、上述したように空
隙は十分に維持されずつぶれてしまう。さらに、塗膜に
白もやが発生して透明性が低下する傾向がある。この範
囲よりも大きいものを用いた場合には、樹脂エマルジョ
ンが乾燥時に十分溶融しきれず、乾燥時に球状シリカ粒
子に接着剤としてバインダーの機能しにくいために強固
な塗膜が形成されにくい。また、十分に溶融されていな
い樹脂粒子が塗膜中に存在するとヘイズが増えて透明性
が低下する。30℃〜140℃のものがより好ましい。
【0073】本発明では樹脂エマルジョンは乾燥により
溶融してバインダーとして機能することが必要で、その
選択には前述した球状コロイダルシリカと混合分散した
際に塗液中で急激なゲル化による沈殿が生じない組合せ
のものを用いる。
【0074】樹脂エマルジョンの粒子直径については、
0.03〜0.5μmの範囲のものを用いる。この範囲
よりも小さいものを用いた場合には、樹脂粒子が溶媒に
溶解している樹脂の挙動に近くなり、乾燥時に徐々に樹
脂粒子が溶融することができず、上述したような空隙を
形成できない。この範囲よりも大きいものを用いた場合
には、乾燥時に樹脂粒子が溶融して形成される球状シリ
カ粒子とバインダーの凝集体の部分が大きくなり、それ
に伴ってできる空隙の大きさにばらつきが生じてしま
い、インクの吸収時に均一性が保てなくなる問題が生じ
る。さらに、好ましくは、0.05〜0.2μmの範囲
のものを用いる。
【0075】球状コロイダルシリカと樹脂エマルジョン
の配合比は、その固形分比で30:1〜1:1の範囲で
それぞれ、球状コロイダルシリカの粒子径、イオン性、
種類等及び、樹脂エマルジョンの種類等によって適宜選
択可能である。この範囲内にすることにより、シリカ粒
子とバインダーによる適度な凝集体と空隙が形成され
る。樹脂エマルジョンの量が上記範囲より少ない場合に
は多孔質上層の機械的強度が不足する。上記範囲よりも
多い場合には、多孔質上層の空隙が少なくなりインクの
浸透性が低下し易くなる。多孔質上層のインク浸透性と
機械的強度の向上の両立を考慮すると、上記範囲は2
0:1〜3:1の範囲であることが望ましい。
【0076】上記球状コロイダルシリカと樹脂エマルジ
ョンの分散媒としては水及びアルコールを用いるが、分
散媒の全体量中にアルコールを30〜90%の範囲で含
むことが望ましい。この範囲内でアルコールを含む分散
媒を用いた球状コロイダルシリカと樹脂エマルジョンの
塗工液を多孔質下層上に塗布、乾燥することにより、上
述したようにアルコールの乾燥、除去が水の乾燥、除去
に先立ち行われるために、本発明の空隙が形成される。
アルコールが少なすぎ、水が多すぎる場合には必要以上
に大きい空隙が形成されたり、塗膜に白もやが発生す
る。さらに乾燥に時間を要する等の問題が生じる。逆に
アルコールが多すぎ、水が少なすぎる場合には十分な大
きさや数の空隙が形成されないために、十分な吸収能が
得られない等の問題が生じる。アルコールの割合が上記
範囲から大きくはずれると、シリカ粒子とバインダによ
る凝集体と、空隙とのバランスが崩れて、本発明のよう
な空隙構造は得にくくなる。50〜80%の範囲である
アルコールが含まれることがより好ましい。本発明で用
いられるアルコールは水よりも揮発性が高いこと、水と
溶解混合が可能であることが必要となる。さらには樹脂
エマルジョンを溶解せずに分散し、かつ球状コロイダル
シリカを沈殿させずに分散できるものを用いる。具体的
にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール等、比較的低級アルコールが好適であるが。多孔
質下層への浸透性が速く、水よりも揮発性も高く、さら
に上述した条件を満たす溶媒であればこれらに限定され
ない。また、これらのアルコールは1種類もしくは2種
類以上を自由に選択して用いることができる。
【0077】本発明では上記コロイダルシリカと樹脂エ
マルジョン、分散媒に加えてカップリング剤、顔料分散
剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、消泡
剤、抑泡剤、耐水化剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色
染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤
等を添加することが可能である。
【0078】上記添加剤の中でもカップリング剤は多孔
質上層の機械的強度をさらに向上させるのに有効であ
る。これは、無機物である球状シリカ粒子と有機物であ
るバインダーの接着性を向上できるためである。カップ
リング剤の添加にはあらかじめコロイダルシリカに添加
する方法や樹脂エマルジョンに混合する方法、コロイダ
ルシリカと樹脂エマルジョンの分散液に添加する方法が
あるが、本発明ではいずれも効果がある。本発明に用い
ることができるカップリング剤としては一般のシラン
系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム
系カップリング剤を用いることができる。中でもシラン
カップリング剤がコロイダルシリカと反応性が高く、バ
インダーとの結合を強固にすることができる。
【0079】コロイダルシリカと樹脂エマルジョンを含
む分散液の分散処理方法としては、一般に用いられてい
る方法の中から選択して用いることができる。具体的な
方法、装置としてはホモミキサーやホモディスパージョ
ン等の攪拌系の分散機やボールミルやサンドミル等の磨
砕型の分散機が好適に用いられる。
【0080】本発明においては、多孔質下層102上に
多孔質上層103を形成する場合の塗工液の塗工は、例
えば、ブレードコート方式、エアナイフコート方式、フ
ラッシュコート方式、グラビアコート方式、ロールコー
ト方式、ダイコート方式、キスコート方式、エクストル
ージョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート
方式、スプレー方式等を用いた方法により行うことがで
きる。
【0081】多孔質下層上102に多孔質上層103を
形成する際の塗工量は所望する用途等に応じて適宜選択
すればよいが塗工膜が薄すぎると表面を強固な膜として
耐傷性を向上させる効果や、インク吸収を向上させる効
果が得られにくいため好ましくない。逆に厚すぎると、
塗工及び乾燥時に塗膜欠陥を生じるため、また、ヘイズ
が高くなり、透明性が減少して記録物の透明性や画像の
鮮明度が損なわれるおそれがあり好ましくない。具体的
には0.05〜20g/m2 の範囲、より好ましくは
0.5〜20g/m2 の範囲で塗工するとよい。なお、
乾燥した際の多孔質上層の好ましい厚さは0.1μm〜
10μmである。
【0082】多孔質上層103を塗布形成するために、
固形分及び粘度の調整が必要である。この調整はアルコ
ールの添加量や種類、コロイダルシリカや樹脂エマルジ
ョンの種類や組み合わせ等の選択によって行う。固形分
としては上述したような適切な膜厚を均一に得るため、
3〜30重量%の範囲が適切である。粘度は用いる塗工
機の塗工適性等に応じて調整する必要があるが、具体的
には1〜100cpsの範囲が、薄膜で均一な膜が得や
すいために好適である。
【0083】多孔質下層102の上に上記のようにして
塗工後、必要に応じた加熱による乾燥処理を行うこと
で、多孔質上層103が形成される。乾燥時に、溶媒が
蒸発する際に、塗膜中の溶媒分が減少することにより、
塗膜中に弱凝集が生じ、球状シリカ粒子と樹脂エマルジ
ョンにより凝集体が形成される。また、その隙間に存在
している水成分の部分が次第に蒸発することにより、そ
の部分に空隙が形成される。さらに、凝集体の中で樹脂
エマルジョンが熱融着してシリカはバインダーと強固な
結合を形成し、造膜が完了して、その後冷却することに
より、多孔質上層が形成する。
【0084】乾燥処理の温度は樹脂エマルジョンの熱溶
融及び塗膜化のために樹脂エマルジョンのガラス転移温
度以上で行うことを必須とする。さらに、乾燥時間の短
縮化、溶媒中の水を蒸発するために、100℃以上で行
うことが好ましい。当然のことながら、用いる基材が変
形、変色しない温度及び時間の範囲内で乾燥を行う。
【0085】以上のように、形成された多孔質上層10
3の細孔構造は上記のような特殊な空隙により得られる
ものであるが、多孔質上層の細孔半径分布における最大
ピークは10〜200nmの範囲であることが望まし
い。上記範囲であることにより、多孔質上層の吸収能、
透明性、耐傷性等の複数の性能を両立することができ
る。更に、前記多孔質上層の細孔半径分布における最大
ピークが10〜20nm未満の範囲であることにより、
透明性が高く、耐傷性が高く、吸収能に関しても、多孔
質上層を設けない場合に比べて向上することができる。
また、前記多孔質上層の細孔半径分布における最大ピー
クが20〜200nmの範囲であることにより、多孔質
上層は高い吸収能を確保し、特に吸収速度が速く、後述
するような1スキャンで高密度に大量にインクを付与す
る印字方法においても、インクを一時的に保持する緩衝
層としての機能を果たすことができる。透明性の観点か
らは200nm以下であることが望ましい。これらの細
孔は上述したような0.1〜10μmの薄膜中に形成さ
れることにより、これらの性能が確保できる。
【0086】本発明の被記録媒体において、多孔質下層
102と多孔質上層103を併せた層全体の細孔半径が
2.0〜20nmの範囲に最大ピークを有することが好
ましい。すなわち、二層構成の中で上層は透明性を確保
できる膜質の範囲で前述した細孔半径を有し、吸収能の
向上、耐傷性等を得るのに必要最小限の細孔数を有して
いればよく、下層の前述したような小さい大きさの範囲
にある細孔が大半を占める。これにより、インクの吸収
と保持、透過といった微妙な機能分離が可能になり、し
かも透明性が高く吸収能を更に向上することができる。
また、多孔質下層102と多孔質上層103を併せた層
全体の細孔容積が0.4〜1.5ml/gの範囲にある
ことにより高いインクの吸収容量を確保できる。さら
に、多孔質下層102の細孔容積PV1と多孔質下層1
02と多孔質上層103を併せた層全体の細孔容積PV
2の比PV2/PV1が1.0〜1.5の範囲にあるこ
とにより、透明性を確保しながらインク量の多い印字に
対応できる被記録媒体としては望ましい。
【0087】また、本発明の被記録媒体は吸収能が高い
ため、上述した滲み、ブリーディング、ビーティング等
の画像欠陥を低減でき、さらに、着弾したインク液滴を
適度に滲ませる働きも持ち合わせるために、スジムラと
いうベタ印字とした部分がヘッド幅でスジ状のむらにな
って認識される欠陥も低減することができる。
【0088】本発明の画像形成方法に使用されるインク
は、主として色材(染料または顔料)、水溶性有機溶剤
及び水を含むものである。染料としては、例えば、直接
染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素等
に代表される水溶性染料が好ましく、上記の被記録媒体
との組み合わせにより定着性、発色性、鮮明性、安定
性、耐光性その他の要求される性能を満たす画像を与え
るものであれば、いずれの染料でもよい。顔料としては
例えばカーボンブラック等の無機顔料、有機顔料、金属
微粒子、金属酸化物、金属化合物を用いることができ
る。顔料色材としては自己分散型でも界面活性剤等の分
散剤を併用するもので用いることができる。
【0089】水溶性染料は、一般に水または水と有機溶
剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであり、これ
らの溶媒成分としては、好ましくは水と水溶性の各種有
機溶剤等との混合物が使用されるが、インク中の水分含
有量が、20〜90重量%の範囲内となるように調整す
るのが好ましい。
【0090】上記水溶性の有機溶媒としては、例えばメ
チルアルコール等の炭素数が1〜4のアルキルアルコー
ル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトン等
のケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、ポリエチレングリコール等のポリア
ルキレングリコール類、エチレングリコール等のアルキ
レン基が2〜6個の炭素数を含むアルキレングリコール
類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げら
れる。
【0091】これらの多くの水溶性有機溶媒の中でも、
ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテル類が好ましい。多価アルコール類は、イン
ク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づく
ノズルの目詰まり現象を防止するための潤滑剤としての
効果が大きいため、特に好ましい。
【0092】インクには可溶化剤を加えることもでき
る。代表的な可溶化剤は、含窒素複素環式ケトン類であ
り、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する
溶解性を飛躍的に向上させることにある。例えばN−メ
チル−2−ピロリドン、1,3,−ジメチル−2−イミ
ダゾリジノンが好ましく用いられる。さらに特性の改善
のために、粘度調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、
pH調整剤、比抵抗調整剤等の添加剤を加えて用いるこ
ともできる。
【0093】前記被記録媒体に上記インクを付与して記
録を行う方法は、インクジェット記録方法であり、該記
録方法はインクをノズルより効果的に離脱させて、被記
録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法
でもよい。特に特開昭54−59936号公報に記載さ
れている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが
急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によ
って、インクをノズルから吐出させるインクジェット方
式は有効に使用することができる。本発明の被記録媒体
の印字には、 染料を色材として用いるインク、 顔料を色材として用いるインク、 顔料色材と染料色材を混合したインク、または、顔料
色材を含むインクと染料色材を含むインクの併用 等が可能である。
【0094】本発明における被記録媒体に染料を色材と
して用いたインクを使用して画像形成した場合には、特
に、被記録媒体の吸収能の高さから、多色のインクによ
るベタ印字の組み合わせ等の画像におけるブリーディン
グ(境界滲み)が従来に比べ大きく軽減される。さら
に、印字部の白もや現象も大幅に少なく、印字部と未印
字部の光沢の差も少なく、自然な写真調の画像が得られ
る。また、顔料を色材として用いた場合には、顔料色材
を捕らえるのに適度な細孔構造を有しているために、印
字部の耐擦過性は高く、耐水性も良好である。さらに、
顔料色材と染料色材の混合されたインクの場合、従来の
被記録媒体の場合には顔料成分による印字部と染料成分
の印字部の光沢に差が出てしまうという問題があった
が、本発明の被記録媒体に用いた場合には、その特有な
細孔構造により、顔料成分が表面に浮き上がることなく
定着しているため、着弾されたインクが均一に分布し、
光沢の色材による差が少ない。
【0095】印字方法としては従来の方法に加えて、 1)同一画素内に顔料と染料等の色材の種類が異なるイ
ンクを印字する方法 2)3種類以上の色材濃度の異なる濃淡インクを同一画
素内に印字する方法 3)マルチパスのパス数を少なくし、1スキャンで高密
度に大量のインクを付与する高速印字方法 等を用いることができる。
【0096】本発明の被記録媒体に顔料と染料等の色材
の種類が異なるインクの印字を同一画素内に行った場合
にも、例えば、黒インクを顔料インクとし、他のインク
を染料インクとして黒色部の印字濃度を高め、シャープ
な画像を得たい場合にも、種類の異なるインク同士の界
面でのブリーティングが少なく、黒インクにより画像形
成された部分のみに艶が出てしまうこともなく、色材の
違いによる光沢の差も少ない写真調の画像が得られる。
また、3種類以上の色材濃度の異なる濃淡インクを同一
画素内に印字する場合にも、例えば、ドット密度を高く
して、染料濃度の異なるインクを重ね打ちすることによ
り、ハイライト部からシャドウ部にかけて滑らかなグラ
デーションを表現したい場合にも、本発明の被記録媒体
を用いると、インク吸収能が高く、高濃度の部分のイン
クが溢れることもなく印字可能なため、印字部、未印字
部の光沢の差も少ないことから精巧な画像の形成にも適
用可能である。さらに、マルチパスのパス数を少なく
し、1スキャンで高密度に大量のインクを付与する印字
方法に対応できる。すなわち、プリント速度の高速化に
対応できる被記録媒体が求められているが、本発明の被
記録媒体を用いると従来のものに比べパス数が少なく大
量のインクを着弾する場合でも、インクの溢れや滲みに
よる画質低下を大幅に低減できる。これは、本発明の二
層構成の被記録媒体において、1パスごとにインク量が
多い場合にも、最初のパスで着弾されたインクは、多孔
質下層において大半が吸収され、若干の溢れたインク分
は多孔質上層が緩衝層の役目を果たすため、一時、イン
クを層中で保持することができ、次のパスによるインク
の着弾時にはそのインク分は多孔質下層に吸収されて、
高いインク吸収能を維持できるのである。
【0097】
【実施例】本発明を以下の実施例を用いてさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0098】実施例1 前述の図1に示す被記録媒体を次のようにして調製し
た。基材101に透明性で厚み100μmのPETフィ
ルム(東レ(株)製100Q80D)を使用し、この基
材上に多孔質下層102を形成するために下記の方法で
塗工液を作製した。
【0099】まず、米国特許第4242271号に記載
された方法でアルミニウムドデキシドを製造した。次
に、米国特許第4202870号に記載された方法で、
前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナス
ラリーを製造した。このアルミナスラリーをアルミナ水
和物固形分が7.9%になるまで水を加えた。アルミナ
スラリーのpHは9.4であった。次に、3.9%の硝
酸水溶液を加えてpH調整した後、熟成工程を経て、コ
ロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを入り口温度
83℃でスプレー乾燥してベーマイト構造を有するアル
ミナ水和物粉末を得た。アルミナ水和物の結晶構造はベ
ーマイトで、粒子形状は平板形状であり、アスペクト比
5、平均粒子直径は21nm、BET比表面積が200
2 /g、細孔容積が0.65ml/gであった。な
お、粒子形状はアルミナ水和物をイオン交換水に分散さ
せてコロジオン膜上に滴下して測定試料を作り、この試
料を透過型電子顕微鏡(日立社製、H−500)で観察
した。X線回折測定は、RAD−2R(理学電気(株)
製)を用いて、ベ−マイト構造であることを確認した。
BET比表面積、細孔容積の測定には、アルミナ水和物
を十分加熱、脱気し、窒素吸着脱離法により測定した。
測定装置はオートソープ1(カンタクローム社製)を用
いた。
【0100】アルミナ水和物はイオン交換水に分散して
15%の溶液とした。次にポリビニルアルコール(日本
合成化学工業(株)社製、ゴーセノールGH17)をイ
オン交換水に溶解して10%の溶液を得た。上記アルミ
ナ水和物とポリビニルアルコール溶液を固形分換算で重
量混合比で7:1になるようにして混ぜ合わせて攪拌し
て塗工液を得た。
【0101】この塗工液を不図示のコート機及び熱風乾
燥炉を用いてダイコート後、乾燥し(乾燥温度140
℃)、厚さ40μmの多孔質下層102を形成した。
【0102】このとき、多孔質下層102のBET比表
面積197m2 、細孔半径の最大ピーク7.5nm、細
孔容積は0.64ml/gであった。測定は、多孔質下
層を形成したシートを十分加熱、脱気し、窒素吸着脱離
法により測定した。測定装置はオートソープ1(カンタ
クローム社製)を用いた。
【0103】次に、多孔質上層103を形成するために
下記の方法で塗工液を作製した。ここで用いた球状コロ
イダルシリカは粒子直径分布のピークが52nmの単一
であるものを用いた。
【0104】まず、SiO2 として3.60重量%のア
ルカリ珪酸塩水溶液を水素型イオン交換樹脂で処理し、
アルカリ金属イオンを除去した活性珪酸の水性コロイド
溶液を得た。次に、この活性珪酸の水性コロイド溶液に
硝酸を加えてpH1.54とし、成熟した後、水素型強
酸性陽イオン交換樹脂で処理し、続いて水酸型強塩基性
陰イオン交換樹脂で処理し、再び水素型強酸性陽イオン
交換樹脂で処理することによりSiO2 として3.52
重量%の高純度活性珪酸の水性コロイド溶液を得た。粒
子直径分布は動的光散乱法により測定し、Coultet N4F
(コールタール社製)の装置を用いた。この水性コロイ
ド液はイオン交換水を加えて20%の分散液とした。こ
の分散液100部に、続いてアクリル樹脂エマルジョン
(平均粒子径0.06μm、Tg48℃)を10部加
え、溶媒としてメタノールを200部加えて固形分を
8.0%として攪拌、分散して塗工液を調製した。
【0105】この塗工液を不図示のコート機及び熱風乾
燥炉を用いてダイコート後、140℃で乾燥し、厚さ3
μmの多孔質上層103を形成して被記録媒体100を
得た。このとき、断面を透過型電子顕微鏡(日立社製、
H−500)を用いて10万倍で観察したところ、図2
に示したような球状シリカ粒子とバインダー、空隙の構
造が観察された。
【0106】また、被記録媒体の多孔質上層103の細
孔半径分布を調べたところ、12.0nmの位置に最大
ピークが存在した。また、多孔質下層102と多孔質上
層103を併せた層全体の細孔半径は7.5nmの位置
に最大ピークが存在し、全細孔容積は0.698ml/
gであった。測定は被記録媒体の試験片を25℃で24
時間真空乾燥した後、水銀圧入法により測定した。この
とき、オートポアIII(MICROMETICS 社)の装置を用い
た。
【0107】この被記録媒体100を用いて以下の評価
を行った。評価結果を表1に示した。
【0108】(評価) (1)透明性 被記録媒体の全光線透過率(%)をJIS K−710
5に従ってヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH
−100DO)を用いて測定した。
【0109】(2)表面性 目視により、被記録媒体の表面上のクラックの有無を確
認した。目視によりクラックが認められないものを○、
クラックが観察されるものを×とした。
【0110】(3)膜強度 被記録媒体の表面上の鉛筆硬度をJIS K5400に
準じて測定した。硬度3H以上を◎、硬度H以上を○、
硬度B以上を△、硬度2B以下を×とした。
【0111】(4)タック、耐指紋性 被記録媒体の表面を素手により指触試験(両親指を被記
録媒体の表面に接触するように10秒間保持)を行い、
付着及び指紋跡の有無を確認した。指紋跡が確認されな
いを○、若干指紋跡がつくを△、指が表面に付着して指
紋跡がつくを×とした。
【0112】(5)ブロッキング性 机の上に被記録媒体を10枚重ねた上に同型サイズの重
さ1kgのガラス板を載せて30℃/80%RHの環境
下で1ケ月保存した。保存後、試料同士がくっつかずに
分離できるものを○、分離不可のものを×とした。
【0113】(6)印字特性 1mmの24本の割合の間隔(600dpi)でノズル
を備えたドロップオンデマンドのインクジェットヘッド
を各インク分備え、ノズル列と垂直方向に走査して画像
形成するインクジェットプリンターを用いて、下記組成
のインクで、1ドットの印字につき10plのインクを
吐出させてインクジェット記録を行った。1mm2 当た
り24×24ドット(600dpi×600dpi)で
の単色インクの印字でのインク量を100%として、単
色インクを2色用いた2色印字ではインク量が単色印字
の2倍になるので200%、以下同様に3色、4色印字
をそれぞれ300%、400%とした。
【0114】用いたインク染料を以下に示す。
【0115】 Y : C.I.ダイレクトイエロー86 M : C.I.アシッドレッド35 C : C.I.ダイレクトブルー199 Bk: C.I.フードブラック2 上記染料を用いて以下のような染料濃度の異なるインク
を調製した。
【0116】1)インク組成1:染料高濃度インク 染料 3部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 82部 2)インク組成2:染料中濃度インク 染料 1部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84部 3)インク組成3:染料低濃度インク 染料 0.6部 ジエチレングリコール 5部 ポリエチレングリコール 10部 水 84.4部 上記のインクセットを用いて以下の印字特性に関する評
価を行った。
【0117】滲み、ブリーディング、ビーディング、
ハジキ、スジムラの有無 インク組成1のインクを用い、前記記録装置を用いて、
各色の印字インク量100%(単色)から400%(4
色)まで変えたベタ印字を行い、滲み、ブリーディン
グ、ビーディング、ハジキ、スジムラの有無を目視にて
観察した。
【0118】印字インク量400%で発生せず◎、30
0%で発生せず○、100%で発生せず△、100%で
発生する×とした。
【0119】画像濃度 インク組成1のインクを用い、前記記録装置を用いて、
各色のインク量100%(単色)でベタ印字した画像の
透過画像濃度を、X−Rite社製310TRを用いて
測定した。
【0120】階調数、濃度による色味変化の確認 インク組成1〜3の濃淡インクセットを用い、前記記録
装置を用いて、各インクセットの打ち込み量を操作し
て、被記録媒体に印字した。すなわち約60ステップの
濃度変化で印字し、各印字部を目視観察して、画像濃度
の違いが判別できた場合には階調がとれたと判断した。
この方法で階調がとれた際の階調数を数えた。
【0121】また、このとき、色味の有無についても目
視にて観察した。各印字部の色味差が確認できないを
○、3ケ所未満の色味の違いがあるを△、3ケ所以上の
色味の違いがあるを×とした。
【0122】
【表1】
【0123】実施例2 実施例1において、球状コロイダルシリカの粒子直径分
布のピークを0.08,1.0,10,30,50,7
0,100,150nmと変化させた以外は同様にし
て、多孔質上層103を形成して被記録媒体100を得
た。この被記録媒体について、実施例1と同様に透過型
電子顕微鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が観
察された。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)の
評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0124】
【表2】
【0125】実施例3 実施例1において、球状コロイダルシリカを粒子直径分
布のピークが50nmのコロイダルシリカと粒子直径分
布のピークが8nmの2種の粒子径のコロイダルシリカ
を用いた以外は同様にして、多孔質上層103を形成し
て被記録媒体100を得た。このとき、大小のコロイダ
ルシリカの混合比は重量比で10:1とした。この被記
録媒体について、実施例と同様に透過型電子顕微鏡にて
観察したところ、本発明の空隙構造が観察された。さら
に、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。
評価結果を表1に示した。
【0126】実施例4 実施例1において、球状コロイダルシリカを粒子直径分
布のピークが90nmのコロイダルシリカと粒子直径分
布のピークが40nmの2種の粒子径のコロイダルシリ
カを用いた以外は同様にして、多孔質上層103を形成
して被記録媒体100を得た。このとき、大小のコロイ
ダルシリカの混合比は重量比で10:1とした。この被
記録媒体について、実施例と同様に透過型電子顕微鏡に
て観察したところ、本発明の空隙構造が観察された。さ
らに、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行っ
た。評価結果を表1に示した。
【0127】実施例5 実施例1において、球状コロイダルシリカをの粒子直径
分布のピークが70nmのコロイダルシリカと粒子直径
分布のピークが40nm、粒子直径分布のピークが20
nmの3種の粒子径のコロイダルシリカを用いた以外は
同様にして、多孔質上層103を形成して被記録媒体1
00を得た。このとき、大中小のコロイダルシリカの混
合比は重量比で10:3:1とした。この被記録媒体に
ついて、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察し
たところ、本発明の空隙構造が観察された。さらに、実
施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結
果を表1に示した。
【0128】実施例6 実施例1において、有機基を表面に導入した複合コロイ
ダルシリカを用いた以外は同様にして、多孔質上層10
3を形成して被記録媒体100を得た。このとき、複合
コロイダルシリカの粒子直径分布のピークが59nmで
あり、この被記録媒体について、実施例1と同様に透過
型電子顕微鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が
観察された。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)
の評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0129】
【表3】
【0130】実施例7 実施例1において、アルミニウム複合コロイダルシリカ
を用いた以外は同様にして、多孔質上層103を形成し
て被記録媒体100を得た。このとき、複合コロイダル
シリカの粒子直径分布のピークが51nmであり、この
被記録媒体について、実施例1と同様に透過型電子顕微
鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が観察され
た。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を
行った。評価結果を表3に示した。
【0131】実施例8 実施例1において、ポリエステル樹脂エマルジョンを用
いた以外は同様にして、多孔質上層103を形成して被
記録媒体100を得た。このとき、ポリエステル樹脂エ
マルジョンの平均粒子直径は0.08μmであり、Tg
は58℃であった。この被記録媒体について、実施例1
と同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ、本発明
の空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同様の
(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表3に示し
た。
【0132】実施例9 実施例1において、スチレン−アクリル共重合体樹脂エ
マルジョンを用いた以外は同様にして、多孔質上層10
3を形成して被記録媒体100を得た。このとき、スチ
レン−アクリル共重合体樹脂エマルジョンの平均粒子直
径は0.06μmであり、Tgは98℃であった。この
被記録媒体について、実施例1と同様に透過型電子顕微
鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が観察され
た。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を
行った。評価結果を表3に示した。
【0133】実施例10 実施例1において、酢ビ−アクリル共重合体樹脂エマル
ジョンを用いた以外は同様にして、多孔質上層103を
形成して被記録媒体100を得た。このとき、酢ビ−ア
クリル共重合体樹脂エマルジョンの平均粒子直径は0.
06μmであり、Tgは38℃であった。この被記録媒
体について、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観
察したところ、本発明の空隙構造が観察された。さら
に、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。
評価結果を表3に示した。
【0134】実施例11 実施例1において、アクリル樹脂エマルジョンと酢ビ−
アクリル共重合体樹脂エマルジョンの2種の樹脂エマル
ジョンを用いた以外は同様にして、多孔質上層103を
形成して被記録媒体100を得た。このとき、アクリル
樹脂エマルジョンと酢ビ−アクリル共重合体樹脂エマル
ジョンの混合比は固形分換算7:1であった。実施例1
と同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ本発明の
空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同様の
(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表3に示し
た。
【0135】実施例12 実施例1において、アクリル樹脂エマルジョンのガラス
転移温度を0,10,30,50,70,100,14
0,150,200℃と変化させた以外は同様にして、
多孔質上層103を形成して被記録媒体100を得た。
この被記録媒体について、実施例1と同様に透過型電子
顕微鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が観察さ
れた。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価
を行った。評価結果を表4に示した。
【0136】
【表4】
【0137】実施例13 実施例1において、球状コロイダルシリカ粒子とアクリ
ル樹脂エマルジョンのP/B比0.5:1,1:1,
3:1,7:1,20:1,30:1,40:1と変化
させた以外は同様にして、多孔質上層103を形成して
被記録媒体100を得た。この被記録媒体について、実
施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ、
本発明の空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同
様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表5に
示した
【0138】
【表5】
【0139】実施例14 実施例1において、塗工液中に含有する溶媒中のメタノ
ールを10,30,50,70,90,98%と変化さ
せた以外は同様にして、多孔質上層103を形成して被
記録媒体100を得た。この被記録媒体について、実施
例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ、本
発明の空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同様
の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表6に示
した。
【0140】
【表6】
【0141】実施例15 実施例1において、塗工液中にシランカップリング剤を
加えた以外は同様にして、多孔質上層103を形成して
被記録媒体100を得た。このとき、シランカップリン
グ剤にはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ンを用い、球状コロイダルシリカの固形分に対して10
0:1の割合で添加した。この被記録媒体について、実
施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ、
本発明の空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同
様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表3に
示した。
【0142】実施例16 実施例1において、塗工液に実施例14と同様のシラン
カップリング剤を同量加えた以外は同様にして、多孔質
上層103を形成して被記録媒体100を得た。このと
き、大小のコロイダルシルカの混合比は重量比で10:
1とした。この被記録媒体について、実施例1と同様に
透過型電子顕微鏡にて観察したところ、本発明の空隙構
造が観察された。さらに、実施例1と同様の(1)〜
(6)の評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0143】実施例17 実施例1において、多孔質下層102を内部空洞のある
アルミナ層とし、空洞がこれより小さい半径の細孔を通
して多孔質下層表面から多孔質上層に連通している層と
した以外は実施例1と同様に、多孔質上層103を形成
して被記録媒体100を得た。
【0144】多孔質下層102は以下のように形成し
た。実施例1で用いたアルミナ水和物のコロイダルゾル
にコロイダルゾルの全量の5/100の量のエチレング
リコールを添加して、実施例1と同様の方法で攪拌し
た。次に、前記スプレードライヤーを用いて145℃で
乾燥してキセロゲルを得た。このキセロゲルにイオン交
換水を添加して、実施例1と同様に攪拌して固形分濃度
が15重量%のアルミナ水和物分散液を得た。この分散
液を塗工液として実施例1と同様にして塗工、乾燥して
40μm厚の多孔質下層102を形成した。このとき、
多孔質下層102のBET比表面積227m2 、細孔半
径の最大ピーク7.7nm、細孔容積は0.670ml
/gであった。測定は、多孔質下層を形成したシートを
十分加熱、脱気し、窒素吸着脱離法により測定した。測
定装置はオートソープ1(カンタクローム社製)を用い
た。また、多孔質下層の断面を透過型電子顕微鏡(日立
製、H−500)を用い観察したところ、50〜150
nmの半径をもつ空隙を有していた。さらに、実施例1
と同様にして多孔質上層103を形成して被記録媒体1
00を得た。次に、実施例1と同様にして被記録媒体の
多孔質上層103の細孔半径分布を調べたところ、1
3.5nmの位置に最大ピークが存在した。多孔質下層
102と多孔質上層103を併せた層全体の細孔半径は
7.7nmの位置に最大ピークが存在し、全細孔容積は
0.704ml/gであった。さらに、この被記録媒体
について、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察
したところ、本発明の空隙構造が観察された。さらに、
実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。評価
結果を表7に示した。
【0145】
【表7】
【0146】実施例18 実施例1において、多孔質下層102を細孔半径の大き
い部分の細孔容積を少なくした擬ベーマイトからなるア
ルミナ層とした以外は実施例1と同様に、多孔質上層1
03を形成して被記録媒体100を得た。
【0147】まず擬ベーマイトゾルカタロイドAS−3
(触媒化成社製)を5重量部、ポリビニルアルコールP
VA117(クラレ社製)1重量部及び水からなる固形
分10重量%の塗工液を調製し、実施例1と同様の方法
で塗工した。このとき、多孔質下層102のBET比表
面積185m2 、細孔半径と細孔容積の関係は10〜1
00nmの範囲には0.02ml/gと少なく、4〜1
0nmの範囲に0.23ml/g、1〜4nmの範囲に
0.50ml/gと小さな細孔を多く有していた。多孔
質上層103を形成後、実施例1と同様にして被記録媒
体の多孔質上層103の細孔半径分布を調べたところ、
10.6nmの位置に最大ピークが存在した。多孔質下
層102と多孔質上層103を併せた層全体の細孔半径
は7.4nmの位置に最大ピークが存在し、全細孔容積
は0.643ml/gであった。さらに、この被記録媒
体について、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観
察したところ、本発明の空隙構造が観察された。さら
に、実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。
評価結果を表7に示した。
【0148】実施例19 実施例1において、多孔質下層102をバインダーにエ
マルジョンを用いたアルミナ層にした以外は実施例1と
同様に、多孔質上層103を形成した被記録媒体100
を得た。
【0149】まず、アルミニウムイソプロポキシドを加
水分解して得られた沈澱を解膠して、平均二次凝集径が
170nmであるアルミナ水和物粒子を19重量%含む
アルミナゾルを得た。次に、このアルミナゾル500部
に、固形分濃度30重量%のカチオン型アクリル系樹脂
粒子の水系分散液(平均粒子径0.01μm)95部を
加えて攪拌、混合して塗工液とした。この塗工液を実施
例1と同様にして塗工、乾燥して40μm厚の多孔質下
層102を形成した。このとき、多孔質下層102のB
ET比表面積193m2 、細孔半径の最大ピーク7.5
nm、細孔容積は0.682ml/gであった。多孔質
上層103を形成後、実施例1と同様にして被記録媒体
の多孔質上層103の細孔半径分布を調べたところ、1
1.8nmの位置に最大ピークが存在した。多孔質下層
102と多孔質上層103を併せた層全体の細孔半径は
7.6nmの位置に最大ピークが存在し、全細孔容積は
0.673ml/gであった。さらに、この被記録媒体
について、実施例1と同様に透過型電子顕微鏡にて観察
したところ、本発明の空隙構造が観察された。さらに、
実施例1と同様の(1)〜(6)の評価を行った。評価
結果を表7に示した。
【0150】実施例20 実施例1において、多孔質下層102にシリカ含有アル
ミナを用いたアルミナ層とした以外は実施例1と同様
に、多孔質上層103を形成して被記録媒体100を得
た。
【0151】まず、米国特許4242271号に記載さ
れた方法でアルコキシドを製造した。得られたアルコキ
シド100重量部とイオン交換水、オルト珪酸8.45
重量部を混合した。この混合溶液を反応容器に入れて攪
拌しながら前記アルコキシドを110℃、30分間加水
分解した。ここで、イオン交換水はアルコキシドと同じ
重量を用いた。この懸濁物を入り口温度280℃でスプ
レー乾燥してシリカ含有アルミナ水和物粉末を得た。こ
のアルミナ水和物の結晶構造をX線回折にて調べたとこ
ろ、ベーマイト構造を有していた。
【0152】次に、上記のアルミナ水和物を実施例1と
同様にしてイオン交換水に分散して、固形分濃度15重
量%の分散液を得た。この分散液にポリビニルアルコー
ル(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセノールNH−
18)をイオン交換水にて溶解した固形分10重量%の
溶液を固形分換算で10:1の比で混合、攪拌して塗工
液を得た。
【0153】この塗工液を実施例1と同様にして塗工、
乾燥して40μm厚の多孔質下層102を形成した。こ
のとき、多孔質下層102のBET比表面積195m
2 、細孔半径の最大ピーク7.4nm、細孔容積は0.
687ml/gであった。多孔質上層103を形成後、
実施例1と同様にして被記録媒体の多孔質上層103の
細孔半径分布を調べたところ、11.0nmの位置に最
大ピークが存在した。多孔質下層102と多孔質上層1
03を併せた層全体の細孔半径は7.4nmの位置に最
大ピークが存在し、全細孔容積は0.679ml/gで
あった。さらに、この被記録媒体について、実施例1と
同様に透過型電子顕微鏡にて観察したところ、本発明の
空隙構造が観察された。さらに、実施例1と同様の
(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表7に示し
た。
【0154】実施例21 実施例1において、細孔半径の異なる2層構成の擬ベー
マイト層からなる層とした以外は実施例1と同様に多孔
質上層103を形成して被記録媒体100を得た。
【0155】まず、容量が2000ccのガラス製の反
応器にイオン交換水720gとイソプロパノール676
gを仕込み、液温を75℃で加熱、攪拌しながらアルミ
ニウムプロポキシド306gを添加し、液温を75〜7
8℃に保持しながら5時間加水分解を行った。この後、
95℃に昇温し、酢酸9gを添加して48時間、75〜
78℃に保持して解膠した。さらに、この液を900g
になるまで濃縮し、アルミナ水和物のゾルを得た。ま
た、このゾルの乾燥物はX線回折により擬ベーマイトで
あることが確認された。このアルミナ水和物のゾルにポ
リビニルアルコール(日本合成工業(株)社製、ゴーセ
ノールNH−18)1重量部を加え、さらにイオン交換
水を加えて固形分10重量%の塗工液を調製した。この
塗工液を実施例1と同様に基材101上に塗布乾燥して
多孔質下層102の下の層を形成した。
【0156】次に、容量が2000ccのガラス製の反
応器にイオン交換水540gとイソプロパノール676
gを仕込み、液温を75℃で加熱、攪拌しながらアルミ
ニウムプロポキシド306gを添加し、液温を75〜7
8℃に保持しながら5時間加水分解を行った。この後、
95℃に昇温し、酢酸9gを添加して48時間、75〜
78℃に保持して解膠した。さらに、この液を900g
になるまで濃縮し、アルミナ水和物を得た。このゾルの
乾燥物はX線回折により擬ベーマイトであることが確認
された。このアルミナ水和物のゾルにポリビニルアルコ
ール(日本合成工業(株)社製、ゴーセノールNH−1
8)1重量部を加え、さらにイオン交換水を加えて固形
分10重量%の塗工液を調製した。この塗工液を同様に
して、前述のアルミナ水和物二層のうちの下層の上に塗
布乾燥して多孔質下層102の形成を完了した。このと
き、多孔質下層102中の下層は細孔半径が5nmで膜
厚さが20μmの擬ベーマイト層で、上層は細孔半径が
6nmで膜厚さが10μmの擬ベーマイト層であった。
測定は実施例1と同様にして行った。
【0157】多孔質上層103を形成後、実施例1と同
様にして被記録媒体の多孔質上層103の細孔半径分布
を調べたところ、11.6nmの位置に最大ピークが存
在した。多孔質下層102と多孔質上層103を併せた
層全体の細孔半径は5nmの位置に最大ピークが存在
し、全細孔容積は0.653ml/gであった。さら
に、この被記録媒体について、実施例1と同様に透過型
電子顕微鏡にて観察したところ、本発明の空隙構造が観
察された。さらに、実施例1と同様の(1)〜(6)の
評価を行った。評価結果を表7に示した。
【0158】実施例22 本実施例ではインクの色材に顔料を用いたインクセット
を用いて実施例1と同様の被記録媒体に画像記録を行っ
た。
【0159】ここで用いた顔料インク顔料を以下に示
す。
【0160】 Y : C.I.ピグメントイエロー83 M : C.I.ピグメントレッド48:3 C : C.I.ピグメントブルー15:3 Bk: C.I.カーボンブラック 上記顔料を用い以下の分散剤を用いて公知の分散方法
で、顔料分散液を作製した。
【0161】 顔料 15部 オキシエチレン基を45モル導入したポリエチレングリコールモノアクリレー トとアクリル酸ナトリウムとの共重合体 [単量体のモル比(前者/後者)=2/8] 3部 モノエタノールアミン 1部 ジエチレングリコール 5部 イオン交換水 76部 上記顔料分散液を用いて以下のような顔料濃度の異なる
インクを調製した。
【0162】<1>インク組成4:顔料高濃度インク 顔料分散液 33部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 63部 <2>インク組成5:顔料中濃度インク 顔料分散液 11部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 85部 <3>)インク組成6:顔料低濃度インク 顔料分散液 6.6部 ジエチレングリコール 4部 イオン交換水 89.4部 上記のインクセットを用いて実施例1と同様の(6)の
評価を行った。さらに、以下の評価を追加した。
【0163】(7)色材の定着性 前記記録装置を用いて、各色の高濃度インクを用いて、
印字インク量100%(単色)でベタ印字した部分を乾
燥後に指で擦って色材の剥離を調べた。色材の剥離がな
ければ○、色材の剥離が生じたら×とした。
【0164】(8)異なる色材による印字部の光沢感の
違い 前記記録装置を用いて、各色の高濃度インクを用いて、
印字インク量100%(単色)でベタ印字した部分の光
沢感の違いの有無を目視にて観察した。顔料成分と染料
成分との印字部に差が確認されないを○、顔料成分と染
料成分との印字部に差が確認されるを×とした。
【0165】上記(6)〜(8)の評価結果は表8に示
した。
【0166】
【表8】
【0167】実施例23 本発明では、顔料インクと染料インクの併用により、実
施例1と同様の被記録媒体に画像形成を行った。
【0168】ここで、Y,M,Cは前記染料インク、B
kは前記顔料インクのインクセットを用い、上述した記
録装置を用い画像形成を行った。実施例22と同様
(6)〜(8)の評価を行った。評価(7),(8)に
おいては上記インクのうち高濃度インクの組み合わせの
インクセットを用いた。上記(6)〜(8)の評価結果
は表8に示した。
【0169】実施例24 本実施例ではインクの色材に顔料と染料を混合したイン
クを用いたインクセットを用いて実施例1と同様の被記
録媒体に画像記録を行った。
【0170】[1]インク組成7:染料/顔料混合高濃
度インク 染料 1.5部 顔料分散液 16.5部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 72.5部 [2]インク組成8:染料/顔料混合中濃度インク 染料 0.5部 顔料分散液 5.5部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 84.5部 [3]インク組成9:染料/顔料混合低濃度インク 染料 0.3部 顔料分散液 3.3部 ジエチレングリコール 4.5部 ポリエチレングリコール 5部 水 86.9部 前述した記録装置を用い画像形成を行い、実施例22と
同様(6)〜(8)の評価を行った。評価(7),
(8)においてはBk,Y,M,Cは上記顔料/染料イ
ンクの高濃度インクのセットを用いた。上記(6)〜
(8)の評価結果は表8に示した。
【0171】比較例1 実施例1において、多孔質上層を形成しない以外は全て
同様にして被記録媒体を得た。さらに、実施例1と同様
にして画像形成を行い、同様の(1)〜(6)の評価を
行った。評価結果を表1に示した。
【0172】比較例2 実施例1において、多孔質上層のシリカに多孔性微粉シ
リカを用いること以外は全て同様にして被記録媒体を得
た。このとき、多孔性微粉シリカには平均粒子直径が3
0μm、細孔容積が1.5ml/gのものを用いて塗工
液を作製し、同様に塗布乾燥して多孔性微粉シリカを含
む多孔質上層を形成した。このとき、断面を透過型電子
顕微鏡(日立社製、H−500)で観察したところ、図
2に示したような球状シリカ粒子とバインダー、空隙の
構造は観察されず、多孔性微粉シリカが不規則に配置さ
れてその間をバインダーが埋められている構造であっ
た。さらに、実施例1と同様にして画像形成を行い、同
様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表1に
示した。
【0173】比較例3 実施例1において、多孔質上層を樹脂バインダーを含ま
ない層とすること以外は全て同様にして被記録媒体を得
た。このとき、断面を透過型電子顕微鏡(日立社製、H
−500)で観察したところ、図2に示したような球状
シリカ粒子とバインダー、空隙の構造は観察されず、球
状シリカの一次粒子が規則的に積層されている構造であ
った。さらに、実施例1と同様にして画像形成を行い、
同様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表1
に示した。
【0174】比較例4 実施例1において、多孔質下層102を形成した後、以
下の上層を形成した。ゾル粒子が直径35〜55nmの
範囲にある球状一次粒子からなるシリカゾルと、シラノ
ール基を有するポリビニルアルコール共重合体(クラレ
社製、R−ポリマーR−1130)とからなる固形分5
重量%のシリカゾル(ポリビニルアルコール共重合体/
SiO2 =0.1(重量比)、塗工液にアルコールは含
有されない)のシリカゾル塗工液を、多孔質層102の
上に塗布乾燥し、さらに140℃で熱処理して、厚さが
1μmの上層を形成した。このとき、断面を透過型電子
顕微鏡(日立社製、H−500)で観察したところ、図
2に示したような球状シリカ粒子とバインダー、空隙の
構造は観察されず、多孔質上層をシリカの球状一次粒子
が規則的に配置した構造の層となっていた。さらに、実
施例1と同様にして画像形成を行い、同様の(1)〜
(6)の評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0175】比較例5 実施例1において、多孔質上層を非球状のシリカ粒子を
用いること以外は全て同様にして被記録媒体を得た。こ
のとき、非球状のシリカ粒子は鎖状で40〜100nm
の範囲のものを用いた。このとき、断面を透過型電子顕
微鏡(日立社製、H−500)で観察したところ、図2
に示したような球状シリカ粒子とバインダー、空隙の構
造は観察されず、鎖状シリカの固まり同士の間に存在し
ており、空隙も小さく、部分的にクラックが生じてい
た。さらに、実施例1と同様にして画像形成を行い、同
様の(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表1に
示した。
【0176】比較例6 実施例1において、多孔質下層102を形成したのち、
以下の上層を形成した。凝集体平均径3μmの合成非晶
質シリカ(一次粒子径:11nm)を用いサンドグライ
ンダーにより分散した後、超音波をかけ、凝集体平均粒
子が300nmになるまでサンドグラインダーと超音波
の分散操作を繰り返し、15%の水分散液を作製した。
この分散液100重量部に、ポリビニルアルコール(ク
ラレ社製、PVA−124)40重量部を混合した固形
分8重量%の塗工液を調製した。この塗工液を多孔質層
102の上に塗布乾燥し、さらに140℃で熱処理し
て、3μm厚で形成した。このとき、断面を透過型電子
顕微鏡(日立社製、H−500)で観察したところ、図
2に示したような球状シリカ粒子とバインダー、空隙の
構造は観察されず、シリカの凝集体は大きく、その凝集
体同士をバインダーがくるんでしまっていて、図2のよ
うな構造の空隙は見られず、部分的に白かった。さら
に、実施例1と同様にして画像形成を行い、同様の
(1)〜(6)の評価を行った。評価結果を表1に示し
た。
【0177】比較例7 実施例1において、多孔質下層102のベーマイト構造
のアルミナ水和物に代えて、シリカ(ミズカシルP78
−A、水沢化学社製)を用いたこと以外は同様にして、
被記録媒体100を作製した。このとき、上記シリカの
BET比表面積は350m2 /g、平均粒径は3.0μ
mであった。多孔質上層103を形成後、実施例1と同
様にして画像形成を行い、同様の(1)〜(6)の評価
を行い。結果を表1に示した。
【0178】
【発明の効果】上述したように、本発明により基材上に
ベーマイト構造を有するアルミナ水和物とバインダーか
らなる多孔質下層と粒子直径1〜100nmの球状シリ
カ粒子とバインダーからなる凝集体と空隙からなり、こ
の空隙は主に前記球状シリカ粒子とバインダーからなる
凝集体の間に存在し、凝集体内部には存在しない多孔質
上層を形成することにより、大量なインクを打ち込む印
字方法、顔料、染料等多種のインクを打ち込む印字方
法、高速印字方法においても、画像濃度が高く、色調が
鮮明であり、階調数の多い、濃度による色味変化がな
く、ビーディングの発生を抑え、かつインク吸収能力に
優れており、さらには、表面の耐傷性、透明性を同時に
付加した被記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被記録媒体の一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の被記録媒体の多孔質上層(シリカ粒子
1種の粒子径)を拡大した断面図である。
【図3】本発明の被記録媒体の多孔質上層(シリカ粒子
2種の粒子径)を拡大した断面図である。
【図4】本発明の被記録媒体の一例の断面を透過型電子
顕微鏡で観察、撮影した図の模写図である。
【図5】本発明の被記録媒体の多孔質上層の塗工、乾
燥、形成過程を示した断面図である。
【符号の説明】
100 被記録媒体 101 基材 102,202,302 多孔質下層 103,203,303 多孔質上層 204 球状シリカ粒子 205,305 バインダー 206,306 空隙 304 大きな粒径のシリカ粒子 307 小さな粒径のシリカ粒子 501 多孔質下層の細孔 502 樹脂エマルジョン 503 コロイダルシリカ粒子 504 アルコール分 505 水分 506 空隙 507 球状シリカ粒子とバインダーの凝集体

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、ベーマイト構造を有するアル
    ミナ水和物を含有する多孔質下層、シリカを含有する多
    孔質上層を順次形成してなる被記録媒体において、前記
    多孔質上層は、主として粒子直径1〜100nmの球状
    シリカ粒子及びバインダーを含む凝集体と空隙とで主に
    構成され、該空隙は主に前記凝集体の間に存在し、凝集
    体内部には存在しないことを特徴とする被記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記球状シリカ粒子は少なくとも2種の
    粒子直径の異なるものを含むことを特徴とする請求項1
    に記載の被記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記球状シリカ粒子が10〜100nm
    及び、1〜10nm未満の範囲の粒子直径のものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記1〜10nm未満の範囲の粒子直径
    の球状シリカ粒子は前記凝集体内部に主として存在し、
    10〜100nmの範囲の粒子直径の球状シリカ粒子は
    前記凝集体外部に存在することを特徴とする請求項1ま
    たは3に記載の被記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記多孔質上層の細孔半径分布の最大ピ
    ークが10〜20nm未満であることを特徴とする請求
    項1に記載の被記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記多孔質上層の細孔半径分布の最大ピ
    ークが20〜100nmであることを特徴とする請求項
    1に記載の被記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記多孔質下層と多孔質上層とを併せた
    層全体の細孔半径が2.0〜20nmの範囲に最大ピー
    クを有することを特徴とする請求項1に記載の被記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 前記多孔質下層と多孔質上層とを併せた
    層全体の細孔容積が0.4〜1.5ml/gの範囲にあ
    ることを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
  9. 【請求項9】 基材上にべーマイト構造を有するアルミ
    ナ水和物を含有する多孔質下層、シリカを含有する多孔
    質上層を順次形成する被記録媒体の製造方法において、
    前記多孔質上層は平均粒子直径1〜100nmの球状コ
    ロイダルシリカと1種類以上の樹脂エマルジョンを含む
    水分散液にアルコールを30〜90重量%含有する分散
    液を塗工乾燥して形成することを特徴とする被記録媒体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記球状コロイダルシリカがその粒子
    直径分布において少なくとも2ケ所のピークを有するこ
    とを特徴とする請求項9に記載の被記録媒体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記球状コロイダルシリカの粒子直径
    分布が少なくとも10〜100nm及び、1〜10nm
    未満の範囲の2ケ所にピークがあることを特徴とする請
    求項9に記載の被記録媒体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記球状コロイダルシリカが水及びア
    ルコールに分散することを特徴とする請求項9に記載の
    被記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記球状コロイダルシリカが酸性コロ
    イダルシリカであることを特徴とする請求項9に記載の
    被記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記樹脂エマルジョンが水及びアルコ
    ールに分散することを特徴とする請求項9に記載の被記
    録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記樹脂エマルジョンのガラス転移温
    度が10℃以上150℃以下の範囲であることを特徴と
    する請求項9に記載の被記録媒体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記樹脂エマルジョンの分散粒子の平
    均直径が0.03〜0.5μmであることを特徴とする
    請求項9に記載の被記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記多孔質上層を形成する際、前記分
    散液を塗工後、樹脂エマルジョンのガラス転移温度以上
    で乾燥することを特徴とする請求項9に記載の被記録媒
    体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記多孔質下層の塗工液にカップリン
    グ剤を含むことを特徴とする請求項9に記載の被記録媒
    体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記カップリング剤がシラン系、チタ
    ネート系、アルミニウム系またはジルコニア系カップリ
    ング剤から選択されることを特徴とする請求項18に記
    載の被記録媒体。
  20. 【請求項20】 被記録媒体にインクを付与して画像を
    形成する画像形成方法において、該被記録媒体が、請求
    項1乃至8のいずれかに記載の被記録媒体であることを
    特徴とする画像形成方法。
  21. 【請求項21】 前記インクを付与する方式に、インク
    ジェット方式を用いる請求項20記載の画像形成方法。
  22. 【請求項22】 前記インクジェット方式が、インクに
    熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出させる方式
    である請求項20記載の画像形成方法。
  23. 【請求項23】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色材の濃度の異なる3種類以上のインクを用いて印字を
    行う方式である請求項22記載の画像形成方法。
  24. 【請求項24】 前記インク液滴を吐出させる方法が、
    色材として1種類以上の顔料を含むインクを用いて印字
    を行う方式である請求項22記載の画像形成方法。
  25. 【請求項25】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色材として顔料を含むインクと染料を含むインクを併用
    して印字を行う方式である請求項22記載の画像形成方
    法。
  26. 【請求項26】 前記インク液滴を吐出させる方式が、
    色調の異なる複数のインクを併用して印字を行う方式で
    ある請求項22記載の画像形成方法。
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