JP2000246402A - 薄肉鋳片の鋳造方法および添加剤 - Google Patents

薄肉鋳片の鋳造方法および添加剤

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JP2000246402A
JP2000246402A JP11051535A JP5153599A JP2000246402A JP 2000246402 A JP2000246402 A JP 2000246402A JP 11051535 A JP11051535 A JP 11051535A JP 5153599 A JP5153599 A JP 5153599A JP 2000246402 A JP2000246402 A JP 2000246402A
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additive
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thin cast
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Hideaki Yamamura
英明 山村
Eiichi Takeuchi
栄一 竹内
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷却ドラムの周囲の一部とサイド堰で形成した
湯溜まり部に溶融金属を注入し、ついで該溶融金属を前
記冷却ドラムの回転周面で冷却、凝固しながら薄肉鋳片
を鋳造する連続鋳造方法において、湯だまり部に注入さ
れた溶融金属の表面に浮遊するスカムが冷却ドラムの回
転とともに引き込まれて発生する、薄肉鋳片の割れやス
カム疵の発生を防止して、表面性状に優れた薄肉鋳片を
製造する。 【解決手段】該溶融金属の液相線温度において湯溜まり
部表面に浮遊するスカムの固相率が5%以上60%以下
となるように、タンディッシュまたは湯溜まり部に、C
aO、MgO、CaF2、Cr23、Li2O、Si
2、Al23の1種または2種以上を90%以上含む
添加剤を添加してスカムの組成を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却ドラムの周面
の一部に湯溜まり部を形成し、そこに注入した溶融金属
を冷却・凝固せしめて、薄肉鋳片を製造する双ドラム式
連続鋳造方式による薄肉鋳片の鋳造方法および添加剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、溶鋼等の溶融金属から最終形状に
近い数mmから数十mmの肉厚鋳片を直接製造する方法
が注目されている。この方法によれば従来法のような圧
延工程を省略あるいは軽減できるために、工程や設備の
簡略化を図ることができる。
【0003】この種の連続鋳造方法としては、互いに逆
回転に回転する一対の冷却ドラムの間に湯溜まり部を形
成する双ドラム方式、冷却ドラムとベルトの間に湯溜ま
り部を形成するドラムベルト方式、一本の冷却ドラムの
周面の一部に湯溜まりを形成する単ドラム方式がある。
これらの方式に於いては、いずれも冷却ドラムの周囲に
接する部分で、溶融金属の冷却・凝固が進行し、凝固シ
ェルを生成する。従って、この凝固シェルを安定して成
長せしめることが良好な表面性状を有する鋳片を製造す
ることにとってにきわめて重要である。
【0004】しかし、かかる鋳造を行うに際し、湯だま
り部に注入された溶融金属(溶湯)の表面に浮遊する酸
化物(スカム)が、冷却ドラムの回転とともに、流れ込
む溶湯に付随して引き込まれ、鋳片の凝固シェルの表面
に付着して鋳造される場合がある。この結果、鋳造され
た薄肉鋳片に割れやスカム疵が発生し、鋳片の品質が損
なわれる。
【0005】特開平6−339754号公報には、湯溜
まり内にスカム堰を配し、スカム堰とサイド堰に囲まれ
たスペースにスカムを溶融状態に保つフラックスを添加
しながら溶湯を注入し、溶融状のスカムを除去しながら
鋳造を行う方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スカム
はスカム堰とドラムとの間にも生成し、これを巻き込む
ことによって欠陥が生じる。また、溶融状のスカムを除
去することは困難である。本発明はスカムの巻き込みに
起因する鋳片表面の割れやスカム疵の発生を防止して、
表面性状に優れた薄肉鋳片を製造するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)冷却ド
ラムの周囲の一部とサイド堰で形成した湯溜まり部に溶
融金属を注入し、ついで該溶融金属を前記冷却ドラムの
回転周面で冷却、凝固しながら薄肉鋳片を鋳造する連続
鋳造方法において、該溶融金属の液相線温度において湯
溜まり部表面に浮遊するスカムの固相率が5%以上60
%以下となるようにスカムの組成を調整することを特徴
とする薄肉鋳片の鋳造方法。
【0008】(2)湯溜まり部の溶融金属にスカムの組
成を調整するための添加剤を添加することを特徴とする
(1)に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
【0009】(3) タンディッシュ内の溶融金属にス
カムの組成を調整するための添加剤を添加することを特
徴とする(1)に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
【0010】(4)添加剤を棒状あるいは板状にして溶
融金属中に浸漬して添加することを特徴とする(2)お
よび(3)に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
【0011】(5)スカムの組成を調整するのための添
加剤が、CaO、MgO、CaF2、Cr23、Li
2O、SiO2、Al23の1種または2種以上を90%
以上含むことを特徴とする(2)、(3)いずれか1項
に記載の薄肉鋳片の鋳造の添加剤。
【0012】(6)冷却ドラムの周囲の一部とサイド堰
で形成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、ついで該溶
融金属を前記冷却ドラムの回転周面で冷却、凝固しなが
ら薄肉鋳片を鋳造する連続鋳造の添加剤において、湯溜
まり部に添加する添加剤の組成が、CaO、MgO、C
aF2、Cr23、Li2O、SiO2、Al23の1種
または2種以上を90%以上含むことを特徴とする薄肉
鋳片の鋳造の添加剤。
【0013】(7)タンディッシュを介して、冷却ドラ
ムの周囲の一部とサイド堰で形成した湯溜まり部に溶融
金属を注入し、ついで該溶融金属を前記冷却ドラムの回
転周面で冷却、凝固しながら薄肉鋳片を鋳造する連続鋳
造の添加剤において、タンディッシュ内の溶融金属に添
加する添加剤の組成が、CaO、MgO、CaF2、C
23、Li2O、SiO2、Al23の1種または2種
以上を90%以上含むことを特徴とする薄肉鋳片の鋳造
の添加剤。
【0014】(8)添加剤が小塊状、棒状あるいは板状
に固形化されていることを特徴とする(6)、(7)い
ずれか1項に記載の薄肉鋳片の鋳造の添加剤。
【0015】(9)添加剤が鉄製の被服で包んだワイヤ
ーであることを特徴とする(6)、(7)のいずれか1
項に記載の薄肉鋳片の鋳造の添加剤である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、種々の組成の粉体状の
フラックスを湯溜まり部内の湯面に添加して鋳造を行っ
た結果、浮遊するスカムの組成を、溶融金属の液相線温
度においてスカムの固相率が5%以上60%以下となる
ように調整すると、スカムが凝固シェル表面に巻き込ま
れても、鋳片表面に割れやスカム疵を発生しないという
新たな知見に基づいてなされたものである。
【0017】図を基に、一実施の形態について説明す
る。表1に示す成分を有するCr−Ni系ステンレス鋼
の溶鋼を、図2に示すタンディッシュ1を介して、互い
に逆回転する一対の冷却ドラム2a,2bとサイド堰3
とで形成される湯溜まり部に該溶鋼を注入して、冷却、
凝固させて薄肉鋳片を鋳造する双ドラム連続鋳造機で薄
肉鋳片を製造した。
【0018】
【表1】
【0019】その時に上記装置の湯溜まり部にはCaO
−SiO2−Al23−MnO−Cr23−FeOから
なるスカムが浮遊する。このスカムにCaO,Si
2,CaF2を添加し、スカムの組成を変化させた。こ
のスカムを採取して、示差熱分析によりスカムの液相線
温度と固相線温度を求め、これを基に温度とその温度に
おいてスカム中に晶出している固相の占める割合である
固相率との関係を求め、鋳片に発生した割れおよびスカ
ム疵の発生率との関係を整理した結果を図1に示す。
【0020】溶鋼の液相線温度においてスカムの固相率
が5%未満になると割れが発生する。一方、溶鋼の液相
線温度においてスカムの固相率が60%超になるとスカ
ム疵が発生する。したがって、溶鋼の液相線温度におい
てスカムの固相率を5%以上60%以下に制御すること
で割れ、スカム疵ともに発生を防止することが可能とな
る。
【0021】通常、湯溜まり部4を密閉室5で覆ってい
るが、閉鎖空間6の雰囲気中の酸素によって溶鋼が酸化
されてスカムが生成する。このスカムの組成や量は酸素
濃度によって異なるので、湯溜まり部内の溶融金属にス
カムの組成を調整するための添加剤を添加し、酸素濃度
に応じて添加剤の種類や量を制御することによって効果
的にスカムの組成の制御が可能である。
【0022】一方、湯溜まり部4の閉鎖空間6に不活性
ガスを吹き込んでシールを施して雰囲気中の酸素濃度を
低減し、空気からの酸化が防止できている場合には、タ
ンディッシュ1内に浮遊している酸化物が湯溜まり部で
浮上してそのままスカムとなる。タンディッシュ内の溶
鋼中に浮遊しており湯溜まり部で浮上してスカムとなる
酸化物粒子に対し、タンディッシュ内溶融金属中に上か
らあるいはインジェクションやワイヤーを用いて添加剤
を添加することによって、添加剤を反応させてスカムの
組成を制御する方法が望ましい。
【0023】湯溜まり部に添加剤を添加する場合には粉
末で添加しても良い。しかし、湯溜まりの湯面上に浮遊
するスカムの量は少量なので、この少量のスカムの組成
を制御するには少量の添加剤を添加することが必要であ
るが、粉末では飛散したりして効率的に添加できないこ
とがある。そこで、添加剤を棒状あるいは板状に固め、
これを溶融金属中に浸漬することによって浸漬した部分
を溶解させながら添加することで、少量でも制御性がよ
く添加することが可能である。この場合、添加量は浸漬
速度を変えることによって制御することが容易にでき
る。また、ここで、添加剤の棒状あるいは板状の意味
は、溶融金属中に浸漬することができるある長さをもっ
た塊状のものでよいことは言うまでもない。
【0024】スカム組成を制御するのための添加剤とし
ては、溶鋼中の成分と反応せずにスカムと混合する事に
よってスカムの融点を変化させることができる物質が好
ましく、そのための物質としてはCaO、MgO、Ca
2、Cr23、Li2O、SiO2、Al23を使用す
る。これらは1種のみで使用してもよいし、2種以上を
混合させて使用してもよい。添加する添加剤の種類は湯
溜まり部に発生したスカムの組成によって選ぶ、すなわ
ち鋼の液相線温度でスカムの固相率が60%超と高い場
合には融点を下げるもの、たとえばCaF2やLi2O、
SiO2を使用し、スカムの固相率が5%未満の場合に
は融点を上げるもの、たとえばCr23やMgO、Al
23を使用する。
【0025】
【実施例】表1に示す成分のCr−Ni系ステンレス鋼
を図2に示す双ドラム連続鋳造機により鋳造し、厚み
4.0mm、幅1300mmの薄肉鋳片を製造した。鋳
造の際に、湯溜まり部あるいはタンディッシュにCa
O、MgO、CaF2、Cr2 3、Li2O、SiO2
Al23の1種または2種以上からなる添加剤を添加し
た。湯だまり部の湯面上に浮遊するスカムを採取して、
示差熱分析を基に温度とその温度におけるスカムの固相
率との関係を求めるとともに、鋳片に発生した割れおよ
びスカム疵の発生率を調査した。
【0026】湯溜まり部への添加剤の添加は、粉末では
不活性雰囲気に保った添加剤容器および粉体切り出し装
置を設け、切り出した粉体を密閉室上部に設けたダクト
から湯面上に添加した。棒状の添加剤は添加剤の原料を
少量の樹脂系バインダーとともに50mm径の棒状に成
形した後、加熱して焼結させたものを用いた。ただし、
CaF2やLi2O、SiO2の低融点化物質を含む添加
剤の場合にはバインダーは使用しなかった。また、板状
の添加剤は、添加剤の原料を少量の樹脂系バインダーと
ともに50mmx20mmの板状に成形した後、加熱し
て焼結させたものを用いた。ただし、CaF2やLi
2O、SiO2の低融点化物質を含む添加剤の場合にはバ
インダーは使用しなかった。これらの棒状おようび板状
の添加剤は密閉室上部に設けた昇降可能な支持具に取り
付け、所定の添加量になるように速度を調節しながら溶
鋼中に浸漬させていった。
【0027】タンディッシュへの添加は、添加剤を鉄製
の被覆で包んでワイヤーとしたものを、所定の添加量と
なるように溶鋼中に浸漬させて添加した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】 表2の続き
【0030】
【表4】 表3の続き
【0031】
【発明の効果】本発明によるとスカムが溶湯とともに巻
き込まれても鋳片の割れやスカム疵の発生を防止して、
表面性状の優れた薄肉鋳片を鋳造することができる。ま
た、本発明によると、従来おこなっていたスカム量低減
を目的とした溶鋼清浄化のための精錬や酸化防止のため
のシールを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼の液相線温度におけるスカムの固相率と鋳片
の割れ発生率及びスカム疵の発生率の関係を示す図であ
る。
【図2】双ドラム式の連続鋳造装置の概略を示す側面断
面図である。
【符号の説明】
1…タンディッシュ 2a,2b…冷却ドラム 3…サイド堰 4…湯溜まり部 5…密閉室 6…閉鎖空間 7…溶融金属 8…ピンチロール 10…注湯ノズル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却ドラムの周囲の一部とサイド堰で形
    成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、ついで該溶融金
    属を前記冷却ドラムの回転周面で冷却、凝固しながら薄
    肉鋳片を鋳造する連続鋳造方法において、該溶融金属の
    液相線温度において湯溜まり部表面に浮遊するスカムの
    固相率が5%以上60%以下となるようにスカムの組成
    を調整することを特徴とする薄肉鋳片の鋳造方法。
  2. 【請求項2】 湯溜まり部の溶融金属にスカムの組成を
    調整するための添加剤を添加することを特徴とする請求
    項1に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
  3. 【請求項3】 タンディッシュ内の溶融金属にスカムの
    組成を調整するための添加剤を添加することを特徴とす
    る請求項1に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
  4. 【請求項4】 添加剤を棒状あるいは板状にして溶融金
    属中に浸漬して添加することを特徴とする請求項2およ
    び3に記載の薄肉鋳片の鋳造方法。
  5. 【請求項5】 スカムの組成を調整するのための添加剤
    が、CaO、MgO、CaF2、Cr23、Li2O、S
    iO2、Al23の1種または2種以上を90%以上含
    むことを特徴とする請求項2、3のいずれか1項に記載
    の薄肉鋳片の鋳造の添加剤。
  6. 【請求項6】 冷却ドラムの周囲の一部とサイド堰で形
    成した湯溜まり部に溶融金属を注入し、ついで該溶融金
    属を前記冷却ドラムの回転周面で冷却、凝固しながら薄
    肉鋳片を鋳造する連続鋳造の添加剤において、湯溜まり
    部に添加する添加剤の組成が、CaO、MgO、CaF
    2、Cr23、Li2O、SiO2、Al23の1種また
    は2種以上を90%以上含むことを特徴とする薄肉鋳片
    の鋳造の添加剤。
  7. 【請求項7】 タンディッシュを介して、冷却ドラムの
    周囲の一部とサイド堰で形成した湯溜まり部に溶融金属
    を注入し、ついで該溶融金属を前記冷却ドラムの回転周
    面で冷却、凝固しながら薄肉鋳片を鋳造する連続鋳造の
    添加剤において、タンディッシュ内の溶融金属に添加す
    る添加剤の組成が、CaO、MgO、CaF2、Cr2
    3、Li2O、SiO2、Al23の1種または2種以上
    を90%以上含むことを特徴とする薄肉鋳片の鋳造の添
    加剤。
  8. 【請求項8】 添加剤が小塊状、棒状あるいは板状に固
    形化されていることを特徴とする請求項6、7いずれか
    1項に記載の薄肉鋳片の鋳造の添加剤。
  9. 【請求項9】添加剤が鉄製の被服で包んだワイヤーであ
    ることを特徴とする請求項6、7のいずれか1項に記載
    の薄肉鋳片の鋳造の添加剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1391258A1 (de) 2002-08-14 2004-02-25 Thyssenkrupp Nirosta GmbH Verfahren zum Vergiessen einer Stahlschmelze
JP2015062948A (ja) * 2013-09-26 2015-04-09 新日鐵住金株式会社 スカム堰、薄肉鋳片の製造方法及び薄肉鋳片の製造装置
JP2021016861A (ja) * 2019-07-17 2021-02-15 日本製鉄株式会社 薄肉鋳片の製造方法、及び、双ロール式連続鋳造装置

Cited By (4)

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