JP2000245445A - 油水分離剤及び油水分離方法 - Google Patents
油水分離剤及び油水分離方法Info
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Abstract
離剤を提供すること。 【解決手段】 高分子物質APR−3生産能を有する微
生物をサイアミン含有培地に培養して、得られる培養物
を主成分として含有する油水分離剤、及び油水分離方
法。
Description
水分離方法に関し、更に詳しくは、油環境汚染における
油除去処理に用いる油水分離剤及び油水分離方法に関す
る。
らなっており、タンカー事故等で実際の使用例もある
が、細胞毒性、特にDNA(遺伝子)毒性が高く環境生
態系並びに人の安全性に懸念が持たれているものであ
る。
の問題に鑑み、人と環境生態系に優しく安全である油水
分離能を有する油水分離剤及びそれを用いる油水分離方
法を提供することにある。
達成のために鋭意努力した結果、特定の微生物群が、従
来知られていない高分子物質を生産すること、又、それ
らの特定微生物群を混合して複合的培養若しくは複合培
養すると、その高分子物質が培地中に著量生産・蓄積さ
れること、そして、より優れた油水分離能活性を有する
こと等の知見を得た。本発明はこの知見に基づいて完成
された。
1)の特性を有し、且つ油水分離能を有する高分子物質
(以下、APR−3という。)の生産能(以下、APR
−3生産能という。)を有する微生物をサイアミン含有
培地で培養して、得られる培養物を主成分とすることを
特徴とする油水分離剤を提供する。 (1)糖含有量(フェノール・硫酸法):(64±2)
重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=(40±2)%、水素H=
(6±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース(5.6±0.1)、コハク酸
(0.6±0.1)、ピルビン酸(2.5±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
APR−3の0.5重量%濃度溶液):(9,000±
1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm−1):2,70
0〜3,700、1,730、1,600、1,40
0、1,160。
0μg/lのサイアミン濃度を有するサイアミン含有培
地で培養して得られる培養物である前記1)に記載の油
水分離剤を提供する。
する微生物が、APR−3生産能を有する微生物を少な
くとも1種を含む複合微生物からなり、当該複合微生物
を複合的培養若しくは複合培養する前記1)、2)に記
載の油水分離剤を提供する。
する微生物が、細菌である前記1)、2)又は3)に記
載の油水分離剤を提供する。又、本発明は、5)APR
−3生産能を有する微生物が、ブルセラ属、ザントモナ
ス属、アシネトバクター属、コマモナス属、サルモネラ
属、オーレオバクテリウム属、セルロモナス又はアグロ
バクテリウム属に属するものである前記1)、2)、
3)又は4)に記載の油水分離剤を提供する。
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランス、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス及びそれらに極めて近い種に属する細菌の少な
くとも1種を含むものである前記3)に記載のAPR−
3の油水分離剤を提供する。
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランスKYM−7株、アグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス及びそれらに極めて近い種に属す
るKYM−8株の少なくとも1種を含むものである前記
3)に記載の油水分離剤を提供する。
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランスKYM−7株、アグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス及びそれらに極めて近い種に属す
るKYM−8株の少なくとも1種を含み、且つブルセラ
属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマモナス
属、サルモネラ属、オーレオバクテリウム属及びセルロ
モナス属に属する微生物から選ばれる少なくとも1種を
含むものである前記3)に記載の油水分離剤を提供す
る。
生物がブルセラsp.KYM−1株、ステノトロフォモ
ナス又はザントモナスのグループに属する微生物がKY
M−2株、アシネトバクター属に属する微生物がアシネ
トバクターsp.KYM−3株、コマモナス属に属する
コマモナス・テストステロニーと同種か極めて近い種に
属するKYM−4株、サルモネラ属に属する微生物がサ
ルモネラsp.KYM−5株、オーレオバクテリウム属
に属する微生物がオーレオバクテリウムsp.KYM−
6株である前記5)、又は8)に記載の油水分離剤を提
供する。
れか1項に記載の油水分離剤を油懸濁水と接触させるこ
とを特徴とする油水分離方法を提供する。
に詳しく説明する。しかし、本発明はこの実施形態によ
り何ら限定されるものではない。本発明でいうAPR−
3とは、次ぎのの特質を有する高分子物質である。
(64±2)重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=40(±2)%、水素H=6
(±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース5.6(±0.1)、コハク酸
0.6(±0.1)、ピルビン酸2.5(±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
APR−3の05重量%濃度溶液):9,000(±
1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
〜3,700、1,730、1,600、1,400、
1,160。 以上の特性を有する高分子物質は現在まで知られていな
いので、当該物質は新規物質である。
水(海水も含む。)を油相と水相とに分離する能力のこ
とをいう。該油水分離能は次のようにして測定される。 A)油水分離能の活性測定法 サラダ油10gとノニオン系界面活性剤Tween80
(和光純薬社製:ソルビタンモノオレアートのエチレン
オキシド縮合物)0.5gをビーカー中で2〜3分間超
音波処理してサラダ油を乳化させる。この中に撹拌しな
がら海水を加えて全量を2リットルとし、これを油懸濁
水の原水とする。
移し、pHを10に調整する。この原水0.8リットル
を加圧浮上装置(宮本製作所製MS9000)に供給す
る。更にサンプル液20mlを添加して、室温で内容物
を十分に撹拌した後、加圧水を0.3リットル添加す
る。10〜20分間静置後、水相のCODを重クロム酸
カリウム法で測定する。活性はそのCOD値で示され
る。そして、油水分離能は次式により計算される。 油水分離能=((A−B)/A)×100(%)、但
し、A:処理前のCOD値、B:処理後のCOD値。
を有する微生物を、サイアミン含有の固体若しくは液体
の栄養培地に培養して得られる培養物を主成分として使
用する油水分離剤である。 そして、サイアミン含有培
地とは、培養開始から、即ち種培養若しくは前培養か
ら、目的の油水分離能を得るまで、固体若しくは液体の
栄養培地中にサイアミンが含有していることを意味す
る。サイアミン濃度は、2〜2000μg/lの濃度、
好ましくは5〜1000μg/lの濃度、より好ましく
は2〜500μg/l濃度で培地中に含有していればよ
い。2μg/l以下の場合は油水分離活性が極端に低下
する。2000μg/l以上の場合は油水分離剤活性が
それ以上増加しないので、培地にそれ以上含有させるこ
との意味がなくなる。本発明のサイアミンとは、サイア
ミン自体、サイアミン塩酸塩等のサイアミンの各種塩
類、サイアミンの各種誘導体、サイアミン含有物などを
いう。
−3生産能を有するものであれば、細菌、放線菌、酵
母、カビ等のどのような微生物でも使用できる。本発明
においては、特にフタル酸を資化できる特性とスライム
形成性を目安にスクリーニングして得られたが、スクリ
ーニング方法等に何ら限定されるものではない。APR
−3生産能を有する微生物の特徴は、APR−3生産能
を有する微生物の少なくとも1種を含む複数の微生物の
混合物(以下、複合微生物という。)からなるものであ
る。複合微生物は、その中の各微生物を少なくとも1種
を単離できるものでもよく、単離できないものでもよ
い。複合微生物自体がAPR−3生産能を有するもので
あればよい。又、当該複合微生物の中に本発明の微生物
以外のものが混入していても、APR−3の生産を阻害
しない限り、一向に差し支えない。このような複合微生
物を用いて、有用物質を生産するという発想は本発明者
らが初めて為したものである。
も、好ましいものとして細菌類を挙げることができる。
より具体的には、ブルセラ属、ステノトロフォモナス
属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマモナス
属、サルモネラ属、大腸菌属、オーレオバクテリウム
属、セルロモナス属及びアグロバクテリウム属に属する
微生物である。
ましい菌株として、ブルセラ属に属する微生物としてブ
ルセラsp.KYM−1株を、ステノトロフォモナス又
はザントモナスのグループに属する微生物としてKYM
−2株を、アシネトバクター属に属する微生物とそてア
シネトバクターsp.KYM−3株を、コマモナス属に
属する微生物としてコマモナス・テストステロニーと同
種かそれに極めて近い種に属するKYM−4株を、サル
モネラ属に属する微生物としてサルモネアsp.KYM
−5株を、オーレオバクテリウム属に属する微生物とし
てオーレオバクテリウムsp.KYM−6株を、セルロ
モナス属に属する微生物としてセルロモナス・セルラン
スKYM−7株を、そしてアグロバクテリウム属に属す
る微生物としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス
若しくはそれに極めて近い種に属するKYM−8株等を
挙げることができる。
M−2、KYM−3、KYM−4、KYM−5、KYM
−6、KYM−7及びKYM−8の菌株番号が付された
ものは、フタル酸資化性及びスライム形成性を指標とし
て、活性汚泥及び土壌からのスクリーニングより、AP
R−3生産能を有する複合微生物として得られたもので
ある。各々、単離してその性質を調べた結果を下記の表
1〜4に示してある。各菌株は、生命工学研究所に寄託
され、KYM−1はFERM P−11333、KYM
−2はFERM P−11334、KYM−3はFER
M P−11335、KYM−4はFERM P−11
336、KYM−5はFERM P−11337、KY
M−6はFERM P−11338、KYM−7はFE
RM P−11339、KYM−8はFERM P−1
6806の番号が付されている。
態学的及び生理学的性質に基づいて、Bergey's Manual
of Systematic Bacteriology(第1巻、第2巻、第3
巻、第4巻)に記載の分類基準に従って、同定すると、
KYM−1は、シュドモナス・ファギー(Pseudomonas
faagi)、KYM−2は、ザントモナス・マルトフィリ
ア(Xanthomonas maltophilia)、KYM−3は、アセ
ネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobactor ca
lcoaceticus)、KYM−4は、ブルクホルデリア・セ
パシア(Burkholderia cepacia)、KYM−5は、ハフ
ニア・アルベイア(Hafnia alveia)、KYM−6は、
コリネバクテリウム・アクアチクム(Corynebacterium
aquaticum)、KYM−7は、セルロモナス・カルタエ
(Cellulomonas cartae)、KYM−8は、アグロバク
テリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)に
属する菌株である。尚、ブルクホルデリア・セパシア
は、旧名称シュドモナス・セパシアとされ、ハフニア・
アルベイアは、旧名称サルモネラsp.とされ、そして
セルロモナス・カルタエは、旧名称オエルスコビア属と
されていた(再分類され現名称となっている)。
塩基配列の相同性から、微生物を発生系統的に同定・分
類する方法が行なわれている(日本微生物生態学会報
(Bulletin of Japanese Society of Microbial Ecolog
y)、10巻、119〜136ページ、1995年、同
報、10巻、31〜42ページ、1995年)。上記の
菌株をこの方法で解析しその結果を表5に記載した。表
5より同定・分類すると:
法によると、サルモネラ属と大腸菌属に属する微生物
は、同一属の微生物と見做されている。その故に本発明
で使用する微生物は、サルモネラ属又は大腸菌属のどち
らの属に属する微生物でもよい。
は、KYM−1は、ブルセラsp.又はシュドモナス・
ファギー、KYM−2は、ステノトロホモナスsp.又
はザントモナス・マルトフィリア、KYM−3は、アセ
ネトバクター・カルコアセティカス、KYM−4は、コ
マモナス・テストステロニー又はブルクホルデリア・セ
パシア、KYM−5は、サルモネラsp.又はハフニア
・アルベイア、KYM−6は、オーレオバクテリウムs
p.又はコリネバクテリウム・アクアチクム、KYM−
7は、セルロモナス・セルランス又はセルロモナス・カ
ルタエ、KYM−8は、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバ
クテリウム・リゾゲネスに属する菌株である。
KYM−1株は、ブルセラsp.に属する菌株、KYM
−2株は、ステノトロフォモナス又はザントモナスのグ
ループに属する菌株、KYM−3株は、アシネトバクタ
ーsp.属に属する菌株、KYM−4株は、コマモナス
・テストステロニーと同種かそれに極めて近い種に属す
る菌株、KYM−5株は、サルモネラ又は大腸菌のグル
ープに属する菌株(本発明においては簡便化のためサル
モネラ属という。)、KYM−6株は、オーレオバクテ
リウムsp.に属する菌株、KYM−7株は、セルロモ
ナス・セルランス若しくはそれに極めて近い種に属する
菌株、KYM−8株は、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス若しくはそれに極めて近い種に属する菌株であ
ると判断した。
あるが、KYM−8菌株は新規微生物菌株である。以上
のことから、本発明の油水分離剤に使用する微生物は、
APR−3生産能を有する微生物であればよく、上記の
ような具体的な菌名をもって制限されるものではない。
て、APR−3生産能を有する微生物を培養するにあた
り、APR−3生産能を有する微生物を、少なくとも1
種を含む複合微生物を複合的培養若しくは複合培養する
ことである。それ故、複合微生物とは、少なくとも上記
の属に属する微生物の中の1種を含む。その中でも特に
好ましい実施形態は、少なくともアグロバクテリウム属
に属する微生物及び/又はセルロモナス属に属する微生
物を含むものである。
p.KYM−1株、ステノトロフォモナス又はザントモ
ナスのグループに属するKYM−2株、アシネトバクタ
ーsp.KYM−3、コマモナス・テストステロニーと
同種か極めて近いKYM−4、サルモネラ属に属するい
ずれかの微生物、オーレオバクテリウム属に属するいず
れかの微生物及びセルロモナス属に属するいずれかの微
生物からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物
と、アグロバクテリウム・ツメファシエンス若しくはそ
れに極めて近いKYM−8との組合せを含む。
ステノトロフォモナス又はザントモナスのグループに属
するKYM−2株、アシネトバクターsp.KYM−
3、コマモナス・テストステロニーと同種か極めて近い
KYM−4、サルモネラ属に属するいずれかの微生物及
びオーレオバクテリウム属に属するいずれかの微生物か
らなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物と、セル
ロモナス属に属するKYM−7株との組合せを含む。
せの中でも、サルモネラ属に属するいずれかの微生物が
KYM−5株、オーレオバクテリウム属に属するいずれ
かの微生物がKYM−6株、セルロモナス属に属するい
ずれかの微生物がKYM−7株である。
挙げるならば次の如くである。 (a)KYM−8、KYM−7 (b)KYM−8、KYM−7、KYM−1 (c)KYM−8、KYM−7、KYM−5 (d)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4 (e)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4、KYM−1 (f)KYM−8、KYM−7、KYM−6、KYM−
5、KYM−4、KYM−3、KYM−2、KYM−1 (g)KYM−7、KYM−4 (h)KYM−7、KYM−4、KYM−1 (i)KYM−7、KYM−5、KYM−4、 (j)KYM−7、KYM−5、KYM−4、KYM−
1
−1株〜KYM−8株の微生物は、単独の状態又は上記
のいずれの組合せの複合状態で、寒天培地上でスライム
を形成するフロック状態になる。そして、フロック状態
のまま、植えつぐことも、保存することもできる。又、
便利に種培養菌として用いることもできる。それで、上
記の組合せの微生物の中でも、(f)、(a)、
(b)、(c)、(d)、(e)、(g)、(h)、
(i)及び(j)は各々、R−3菌、R−4菌、R−5
菌、R−6菌、R−7菌、R−8菌、R−9菌、R−1
0菌、R−11菌及びR−12菌と略称される。
成する。しかし、このスライム形成は本発明を何ら限定
するものではない。尚、これらの組合せの菌株を用いて
培養を行なう場合は、寒天培地上でスライムを形成さ
せ、スライム形成微生物を種菌として用いると便利であ
る。
つぎ、連続植えつぎ、又は保存にあたり、使用する培地
として、寒天培地などの固体培地、又液体培地のどちら
も採用出来る。そして十分な生育量を得ることが出来
る。しかしながら、本培養におけるAPR−3の生産活
性を良好に得るには、上記の培地にもサイアミンを含有
させるのが好適である。そのサイアミンの濃度は、2〜
2000μg/l、好ましくは5〜1000μg/l、
より好ましくは5〜500μg/lである。2μg/l
以下の場合は、APR−3生産活性が極端に低下する。
2000μg/l以上の場合はAPR−3生産活性がそ
れ以上増加しない。それでそれ以上の含有は意味がない
ものとなる。更に良好なAPR−3生産活性を得るに
は、サイアミン含有培地で培養した菌体を、グリセロー
ル、グルコース、マルトース、トレハロース等の糖類、
又DMSO(ジメチルスルホオキシド)等、好ましくは
10重量%マルトースを含む液体培地中ないし溶液中又
は緩衝液中に保存することが好適である。そしてそれら
の糖類の濃度は5〜15重量%である。保存温度は−1
00℃〜−20℃、好ましくは−80℃〜−60℃であ
る。
り、使用する培地は、本発明の微生物の液体又は固体の
栄養培地で、且つサイアミンを含有するものであればど
のようなものでもよく、特に制限されない。そして、通
常の公知の方法に従って調製することができる。例え
ば、その組成は、炭素源として、デンプン、廃糖蜜、デ
キストリン、サッカロース、マルトース、マンニット、
グルコース及びフラクトース等、窒素源として、硫安、
塩安、尿素、肉エキス、ペプトン及び酵母エキス等、無
機塩類として、リン酸塩、マグネシウム塩、食塩、鉄塩
及びマンガン塩等、ビタミン類としてサイアミン、その
他のビタミン類、酵母エキス、コーンステープリカー及
び廃糖蜜等が適当量含有していればよい。
トは好ましいものとして挙げることができ、培地中に占
める量として0.01〜30重量%、好ましくは、0.
1〜20重量%で使用する。pHは5〜9位の範囲に調
整すればよい。固体培地又は液体培地の種類は問われな
い。尚、農産物廃棄物、食品産業廃棄物、発酵廃液及び
残渣類、都市ゴミ類等も炭素源、有機窒素源及びビタミ
ン類等として使用することができる。培養は、振盪、通
気撹拌等の操作で、20〜40℃で2〜15日間行なえ
ばよい。そして回分或いは連続等の培養方法が採用でき
る。前培養なしの方法或いは前培養ありの方法等どちら
も採用できる。
る。そして、本発明において、得られた培養物とは培養
液自体の他に培養液の各種処理物をも含むものとする。
例えば、培養液の濃縮物並びにその乾燥物、培養液から
菌体を除いた上澄液並びにその濃縮物並びにその乾燥
物、培養液から得られる菌体自体及びその懸濁物若しく
はその乾燥物等である。そして、本発明において得られ
た培養物をそのまま油水分離剤とすることが出来る。
又、適当な付加剤又は添加剤等を添加して、油水分離剤
とすることもできる。そして、本発明の油水分離剤を油
懸濁水に接触させると、効率よく油と水を分離すること
が出来る。
明する。尚、文中「%」とあるのは特に断りの無い限り
重量基準である。 実施例1:本発明で使用する混合菌であるR−3菌の培
養 本発明で使用する菌の種培養及び本培養に用いる培地の
組成(%): デンプン=1% K2HPO4=0.5% KH2PO4=0.2% MgSO4・7H2O=0.02% (NH4)2SO4=0.05% ポリペプトン(商標名)(大五栄養化学KK製)=0.
2% サイアミン塩酸塩=200μg/l 水道水=残り pH=7.0(3N KOHで調整) 殺菌条件:121℃(達温)及び15〜20分間
日間培養した。当該菌の1白金耳を液体培地80ml
(500ml容振盪フラスコ)に添加し、30℃で2日
間培養し種培養を調製した。尚、ロータリーシェイカー
を用いて当該フラスコを振盪した。当該培養液(60m
l)を5リットル容ジャーファメンター(培地3リット
ル)に添加し、30℃で3リットル/minの通気量
で、7日間撹拌(200〜400rpm)しながら培養
した。生育度(OD310nmにおける濁度にて測
定)、油水分離能及びカオリン凝集活性ともに3日間で
最高値に達した。培養液の粘度は最後まで増加した。生
育度16.5(310nmにおける濁度測定)、カオリ
ン凝集活性277、粘度1,200(cP)なる培養液
を得た。尚、粘度はビスメトロン回転粘度計を用い、S
S−2ローター使用し、25℃及び回転数3〜60rp
mの条件で測定した。
リットルを純水12リットルで希釈し、菌体を遠心分離
(28,000G及び30min)で除去し、その後、
膜濃縮機を使用して2リットルまで濃縮した。当該濃縮
液に2倍容のエタノールを添加し、繊維状の沈殿物(A
PR−3)を析出させた。当該沈殿物を遠心分離で採取
し、シリカゲル入りのデシケーターの中で、一晩減圧乾
燥した。9.2gの粗APR−3を得た(対デンプン収
率=30.5%)。
00mlに溶解した。次、これに2%cetylpyridium ch
loride(CPC)溶液50mlを撹拌しながら添加し、
数時間静置し、APR−3とCPCの複合体の沈殿物を
形成させた。当該複合体の沈殿物を遠心分離により集
め、0.5モルの食塩水に溶解した。これに2倍容のエ
タノールを添加し、繊維状の沈殿物を得た。当該沈殿物
をエタノール及びアセトンで各々5回洗浄した後、上記
のようにして減圧乾燥した。純度検定で98%以上のA
PR−3(380mg)のを得た(対デンプン収率=2
1.0%)。このことから、R−3菌の培養液には約2
mg/mlのAPR−3が生産されていることが分か
る。
た。上記の如くして精製されたAPR−3を、0.5N
のNaOH水溶液で加水分解し、脱アセチル化した。得
られた脱アセチル化APR−3について、酢酸セルロー
ス膜を支持体として電気泳動を行った。その結果、当該
APR−3は陽極側に移動し、単一のスポットを与えた
(図1参照)。よって当該APR−3は純粋なものと判
断した。
2)%であった。 2.アミノ糖 エルソン・モーガン法により定性分析を行った。アミノ
糖は検出されなかった。 3.ウロン酸 カルバゾル・硫酸法により検出を試みたが、検出されな
かった。
た。 5.元素分析 炭素C=40(±2)%、水素H=6(±1)%、窒素
N=痕跡、リンP=痕跡、硫黄=痕跡。
間加水分解した。 定性分析:当該加水分解物について、次の条件で薄層ク
ロマトグラフィーを行った。その結果、グルコース及び
ガラクトースのみが検出された。条件:プレート=シリ
カゲル60(0.5M NaH2PO4)、展開相=イ
ソプロピルアルコール:アセトン:0.1M乳酸(2:
2:1 重量比)。
S誘導体を調製して、次の条件でガスクロマトグフィー
による分析を行った。その結果、APR−3は、ガラク
トース1モルに対してグルコース5.6(±0.1)モ
ルの割合で構成されていることが判明した。条件:装置
=島津(Shimadzu)GC−15A、検出器=FID、カ
ラム=Hicap-CBPI(OV-1 chemical bonding)キャピラ
リーカラム。
分解した。この加水分解物について、薄層クロマトグラ
フィーによる定性及び同定分析を次の条件で行なった。
その結果コハク酸とピルビン酸が検出された。
S又はシリカゲルF254、展開相=ブタノール:ギ
酸:水(4:1.5:1 重量比)又はアミルアルコー
ル:0.25Mアンモニア(2:1 重量比)。
酢酸溶液で100℃で4時間加水分解し、その加水分解
物をメチル化した。それをガスクロマトグラフィーで定
量した。その結果、コハク酸とピルビン酸が、構成糖で
あるガラクトース1モルに対して各々0.6(±0.
1)モル及び2.5(±0.1)モル含まれていること
が分かった。
75Fゲルカラムを使用するゲルクロマトグラフィーで
APR−3の分子量を求めた(図2参照)。ブルーデキ
ストランよりも先にAPR−3のピークが出現するの
で、分子量は2×106以上であると判断された。
0cm-1に水酸基の吸収、1700cm-1及び1,16
0cm-1にカルボキシルエステル結合の吸収、そして
1,600cm-1及び1,400cm-1にイオン化カル
ボキシル基の吸収を示した。
不溶であった。 12.粘度特性 ビスメトロン回転粘度計で、SS−2 ローターを使用
し、25℃及び回転数3〜60rpmの条件で測定し
た。対照物質としてザンサンガムを用いた。APR−3
はNa型(塩)、Ca型(塩)及びH型(フリー型)に
して測定した。ザンサンガム及びAPR−3の濃度は
0.5重量%溶液とした。その結果を図4に示した。い
ずれの型のAPR−3もザンサンガムと同様に、シュー
ドプラスチック流動特性を示した。又、ザンサンガムよ
りも高粘度であった。以上の特性を有する高分子物質
は、現在まで発見されていないので、新規物質と認定し
た。
溶液(50mg/1ml蒸留水)を調製し、その内の2
0mlを使用して、上記の油水分離能測定法により測定
し、下記表6の通りの結果を得た。
能を有することは明らかである。又、下記の比較例実験
の表7から分かるように、公知のロードコッカス・エリ
スロポレスKR−256−2(FERM P−392
3)のものより高活性を有する。
ERM P−3923)を、実施例1と同様な条件で培
養して得た培養液の上澄液について、膜濃縮により25
倍の濃縮を行い、APR−3溶液(50mg/1ml蒸
留水)の調製条件と同様なものにした。実施例4と同様
の条件で油水分離能を測定し、下記表7の結果を得た。
ンを添加すること(以下、サイアミン含有系という。)
並びに添加しないこと(以下、サイアミン非含有系とい
う。)以外は、実施例1と同様に培養し、その培養の経
時変化を調べた。その結果を図5及び6に示した。尚、
図5はサイアミン含有系のものであり、図6はサイアミ
ン非含有系のものである。図5及び6から分かるよう
に、サイアミン非含有系では培養3日目でカオリン凝集
活性は最高値に達し、その後減少傾向を示した。又、粘
度(cP)は培養4日目で最高値に達し、その後減少傾
向を示した。しかし、サイアミン含有系では、培養3日
頃からカオリン凝集活性及び粘度(cP)の増加率が減
少するものの、カオリン凝集活性及び粘度(cP)の値
が減少することはなかった。尚、活性は培養液の上澄液
について測定した。APR−3生産能を有しないが、微
生物産生凝集剤を生産することが知られているロードコ
ッカス・エリスロポレスKR−256−2(FERM
P−3923)を対照菌株として採用し、R−4菌のサ
イアミン含有系と同様の条件で培養した。その結果を図
7に示した(比較例1参照)。図5、6及び7から分か
るように、R−4菌は、カオリン凝集活性及び粘度(c
P)が格段に高い培養液を生産すること、又、サイアミ
ン含有系は、非含有系のものより培養液のカオリン凝集
活性及び粘度(cP)が高く、且つ培養の安定性が優れ
ているが分かる。尚、生育度は310nmにおける濁度
測定によった。
養の培養終了時の培養液を種培養液として利用する形式
の培養方法)に変えること以外は実施例5と同様に培養
した。なお、本実施例では、連続的回分培養方法を採用
しているので、種培養は第一回目の培養においては実施
例1と同様に行い、接種も実施例1と同様に行ったが、
第二回目からは前回培養終了時の培養液を種培養として
利用した。そして接種量は10容量%とした。そして、
5回、そして各回10日間培養し、得た各回の培養液に
ついて油水分離能を測定した。その結果を表7に示し
た。
4.020
度を表9に記載のように変えること以外は、実施例1と
同様に培養を行って、表9のような結果を得た。サイア
ミン含有培地のサイアミン濃度が 2〜2000μg/
lの範囲の場合に、粘度の高い培養液が得られることが
表9から分かる。そして2000μg/l以上になると
粘度はそれ以上は増加しない。本発明においては油水分
離能の増加と粘度の増加は相関する。よってサイアミン
含有培地のサイアミン濃度が 2〜2000μg/lの
範囲の場合に油水分離能の高い培養液が得られることが
分かる。
−5、KYM−7、KYM−8及びそれらを図7に示し
たような組み合わせた混合菌及び混合菌であるR−3〜
R−12を用いて、実施例1と同条件で培養した。そし
て、図8のような結果を得た。本実施例においては、油
水分離能が粘度と相関する故、油水分離能を粘度測定で
行った。粘度測定条件は実施例1と同様である。これか
ら、本発明の複合微生物は、APR−3の生産により効
果的であることが分かる。そして、KYM−7又は/及
びKYM−8を含む複合微生物が特に効果的であること
が分かる。
地で培養することにより得られる培養液は、サイアミン
非含有培地で培養したものより油水分離能が高い。よっ
てその培養液を主成分としてなる油水分離剤は、安価で
高活性の油水分離剤として使用できる。それ故に、環境
汚染の油水分離処理において、それらの処理を効率よく
達成することができる。
ン。
の経時変化。
養の経時変化。
6−2(FERM P−3923)菌株における、サイ
アミン含有系の培養の経時変化。
有するKYM各菌及びそれらの混合菌であるR−3〜R
−12菌の活性比較。
Claims (10)
- 【請求項1】 以下の(1)〜(11)の特性を有し、
且つ油水分離能を有する高分子物質(以下、APR−3
という。)の生産能(以下、APR−3生産能とい
う。)を有する微生物をサイアミン含有培地に培養し
て、得られる培養物を主成分とすることを特徴とする油
水分離剤。 (1)糖含有量(フェノール・硫酸法):(64±2)
重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=(40±2)%、水素H=
(6±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース(5.6±0.1)、コハク酸
(0.6±0.1)、ピルビン酸(2.5±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
APR−3の0.5重量%濃度溶液):(9,000±
1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
〜3,700、1,730、1,600、1,400、
1,160。 - 【請求項2】 培養物が、2〜2000μg/lのサイ
アミン濃度を有するサイアミン含有培地で培養して得ら
れる培養物である請求項1に記載の油水分離剤。 - 【請求項3】 APR−3生産能を有する微生物が、A
PR−3生産能を有する微生物を少なくとも1種を含む
複合微生物からなり、当該複合微生物を複合的培養若し
くは複合培養する請求項1又は2に記載の油水分離剤。 - 【請求項4】 APR−3生産能を有する微生物が、細
菌である請求項1、2又は3に記載の油水分離剤。 - 【請求項5】 APR−3生産能を有する微生物が、ブ
ルセラ属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマ
モナス属、サルモネラ属、オーレオバクテリウム属、セ
ルロモナス又はアグロバクテリウム属に属するものであ
る請求項1、2、3又は4に記載の油水分離剤。 - 【請求項6】 APR−3生産能を有する微生物の少な
くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
ンス、アグロバクテリウム・ツメファシエンス及びそれ
らに極めて近い種に属する細菌の少なくとも1種を含む
ものである請求項3に記載の油水分離剤。 - 【請求項7】 APR−3生産能を有する微生物の少な
くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
ンスKYM−7株(FERM P−11339)、アグ
ロバクテリウム・ツメファシエンス及びそれらに極めて
近い種に属するKYM−8株(FERM P−1680
6)の少なくとも1種を含むものである請求項3に記載
の油水分離剤。 - 【請求項8】 APR−3生産能を有する微生物の少な
くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
ンスKYM−7株、アグロバクテリウム・ツメファシエ
ンス及びそれらに極めて近い種に属するKYM−8株の
少なくとも1種を含み、且つブルセラ属、ザントモナス
属、アシネトバクター属、コマモナス属、サルモネラ
属、オーレオバクテリウム属及びセルロモナス属に属す
る微生物から選ばれる少なくとも1種を含むものである
請求項3に記載の油水分離剤。 - 【請求項9】 ブルセラ属に属する微生物がブルセラs
p.KYM−1株(FERM P−11333)、ステ
ノトロフォモナス又はザントモナスのグループに属する
微生物がKYM−2株(FERM P−11334)、
アシネトバクター属に属する微生物がアシネトバクター
sp.KYM−3株(FERM P−11335)、コ
マモナス属に属するコマモナス・テストステロニーと同
種か極めて近い種に属するKYM−4株(FERM P
−11336)、サルモネラ属に属する微生物がサルモ
ネラsp.KYM−5株(FERM P−1133
7)、オーレオバクテリウム属に属する微生物がオーレ
オバクテリウムsp.KYM−6株(FERM P−1
1338)である請求項5、又は8に記載の油水分離
剤。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れか1項に記載の油
水分離剤を油懸濁水と接触させることを特徴とする油水
分離方法。
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CN102765767A (zh) * | 2012-07-12 | 2012-11-07 | 天津市瑞德赛恩新材料开发有限公司 | 一种延迟焦化冷焦水破乳剂组合物及其制备方法及应用 |
CN112028207A (zh) * | 2020-08-25 | 2020-12-04 | 广西桂林新大桂工环境科技中心(有限合伙) | 污水处理用凝聚剂以及制备方法 |
-
1999
- 1999-03-04 JP JP05757999A patent/JP4304244B2/ja not_active Expired - Lifetime
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