JP2000245445A - 油水分離剤及び油水分離方法 - Google Patents

油水分離剤及び油水分離方法

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JP2000245445A JP5757999A JP5757999A JP2000245445A JP 2000245445 A JP2000245445 A JP 2000245445A JP 5757999 A JP5757999 A JP 5757999A JP 5757999 A JP5757999 A JP 5757999A JP 2000245445 A JP2000245445 A JP 2000245445A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より優れた油水分離能を有する安価な油水分
離剤を提供すること。 【解決手段】 高分子物質APR−3生産能を有する微
生物をサイアミン含有培地に培養して、得られる培養物
を主成分として含有する油水分離剤、及び油水分離方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油水分離剤及び油
水分離方法に関し、更に詳しくは、油環境汚染における
油除去処理に用いる油水分離剤及び油水分離方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の油水分離剤は各種の合成高分子か
らなっており、タンカー事故等で実際の使用例もある
が、細胞毒性、特にDNA(遺伝子)毒性が高く環境生
態系並びに人の安全性に懸念が持たれているものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題に鑑み、人と環境生態系に優しく安全である油水
分離能を有する油水分離剤及びそれを用いる油水分離方
法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
達成のために鋭意努力した結果、特定の微生物群が、従
来知られていない高分子物質を生産すること、又、それ
らの特定微生物群を混合して複合的培養若しくは複合培
養すると、その高分子物質が培地中に著量生産・蓄積さ
れること、そして、より優れた油水分離能活性を有する
こと等の知見を得た。本発明はこの知見に基づいて完成
された。
【0005】すなわち、本発明は、以下の(1)〜(1
1)の特性を有し、且つ油水分離能を有する高分子物質
(以下、APR−3という。)の生産能(以下、APR
−3生産能という。)を有する微生物をサイアミン含有
培地で培養して、得られる培養物を主成分とすることを
特徴とする油水分離剤を提供する。 (1)糖含有量(フェノール・硫酸法):(64±2)
重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=(40±2)%、水素H=
(6±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース(5.6±0.1)、コハク酸
(0.6±0.1)、ピルビン酸(2.5±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
APR−3の0.5重量%濃度溶液):(9,000±
1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm−1):2,70
0〜3,700、1,730、1,600、1,40
0、1,160。
【0006】又、本発明は、2)培養物が、2〜200
0μg/lのサイアミン濃度を有するサイアミン含有培
地で培養して得られる培養物である前記1)に記載の油
水分離剤を提供する。
【0007】又、本発明は、3)APR−3生産能を有
する微生物が、APR−3生産能を有する微生物を少な
くとも1種を含む複合微生物からなり、当該複合微生物
を複合的培養若しくは複合培養する前記1)、2)に記
載の油水分離剤を提供する。
【0008】又、本発明は、4)APR−3生産能を有
する微生物が、細菌である前記1)、2)又は3)に記
載の油水分離剤を提供する。又、本発明は、5)APR
−3生産能を有する微生物が、ブルセラ属、ザントモナ
ス属、アシネトバクター属、コマモナス属、サルモネラ
属、オーレオバクテリウム属、セルロモナス又はアグロ
バクテリウム属に属するものである前記1)、2)、
3)又は4)に記載の油水分離剤を提供する。
【0009】又、本発明は、6)APR−3生産能を有
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランス、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス及びそれらに極めて近い種に属する細菌の少な
くとも1種を含むものである前記3)に記載のAPR−
3の油水分離剤を提供する。
【0010】又、本発明は、7)APR−3生産能を有
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランスKYM−7株、アグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス及びそれらに極めて近い種に属す
るKYM−8株の少なくとも1種を含むものである前記
3)に記載の油水分離剤を提供する。
【0011】又、本発明は、8)APR−3生産能を有
する微生物の少なくとも1種を含む複合微生物が、セル
ロモナス・セルランスKYM−7株、アグロバクテリウ
ム・ツメファシエンス及びそれらに極めて近い種に属す
るKYM−8株の少なくとも1種を含み、且つブルセラ
属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマモナス
属、サルモネラ属、オーレオバクテリウム属及びセルロ
モナス属に属する微生物から選ばれる少なくとも1種を
含むものである前記3)に記載の油水分離剤を提供す
る。
【0012】又、本発明は、9)ブルセラ属に属する微
生物がブルセラsp.KYM−1株、ステノトロフォモ
ナス又はザントモナスのグループに属する微生物がKY
M−2株、アシネトバクター属に属する微生物がアシネ
トバクターsp.KYM−3株、コマモナス属に属する
コマモナス・テストステロニーと同種か極めて近い種に
属するKYM−4株、サルモネラ属に属する微生物がサ
ルモネラsp.KYM−5株、オーレオバクテリウム属
に属する微生物がオーレオバクテリウムsp.KYM−
6株である前記5)、又は8)に記載の油水分離剤を提
供する。
【0013】又、本発明は、10)前記1)〜9)の何
れか1項に記載の油水分離剤を油懸濁水と接触させるこ
とを特徴とする油水分離方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】次に実施形態を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。しかし、本発明はこの実施形態によ
り何ら限定されるものではない。本発明でいうAPR−
3とは、次ぎのの特質を有する高分子物質である。
【0015】(1)糖含有量(フェノール・硫酸法):
(64±2)重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=40(±2)%、水素H=6
(±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース5.6(±0.1)、コハク酸
0.6(±0.1)、ピルビン酸2.5(±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
APR−3の05重量%濃度溶液):9,000(±
1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
〜3,700、1,730、1,600、1,400、
1,160。 以上の特性を有する高分子物質は現在まで知られていな
いので、当該物質は新規物質である。
【0016】本発明において、油水分離能とは、油懸濁
水(海水も含む。)を油相と水相とに分離する能力のこ
とをいう。該油水分離能は次のようにして測定される。 A)油水分離能の活性測定法 サラダ油10gとノニオン系界面活性剤Tween80
(和光純薬社製:ソルビタンモノオレアートのエチレン
オキシド縮合物)0.5gをビーカー中で2〜3分間超
音波処理してサラダ油を乳化させる。この中に撹拌しな
がら海水を加えて全量を2リットルとし、これを油懸濁
水の原水とする。
【0017】2リットルのビーカーに原水1リットルを
移し、pHを10に調整する。この原水0.8リットル
を加圧浮上装置(宮本製作所製MS9000)に供給す
る。更にサンプル液20mlを添加して、室温で内容物
を十分に撹拌した後、加圧水を0.3リットル添加す
る。10〜20分間静置後、水相のCODを重クロム酸
カリウム法で測定する。活性はそのCOD値で示され
る。そして、油水分離能は次式により計算される。 油水分離能=((A−B)/A)×100(%)、但
し、A:処理前のCOD値、B:処理後のCOD値。
【0018】本発明の第一の特徴は、APR−3生産能
を有する微生物を、サイアミン含有の固体若しくは液体
の栄養培地に培養して得られる培養物を主成分として使
用する油水分離剤である。 そして、サイアミン含有培
地とは、培養開始から、即ち種培養若しくは前培養か
ら、目的の油水分離能を得るまで、固体若しくは液体の
栄養培地中にサイアミンが含有していることを意味す
る。サイアミン濃度は、2〜2000μg/lの濃度、
好ましくは5〜1000μg/lの濃度、より好ましく
は2〜500μg/l濃度で培地中に含有していればよ
い。2μg/l以下の場合は油水分離活性が極端に低下
する。2000μg/l以上の場合は油水分離剤活性が
それ以上増加しないので、培地にそれ以上含有させるこ
との意味がなくなる。本発明のサイアミンとは、サイア
ミン自体、サイアミン塩酸塩等のサイアミンの各種塩
類、サイアミンの各種誘導体、サイアミン含有物などを
いう。
【0019】APR−3生産能を有する微生物はAPR
−3生産能を有するものであれば、細菌、放線菌、酵
母、カビ等のどのような微生物でも使用できる。本発明
においては、特にフタル酸を資化できる特性とスライム
形成性を目安にスクリーニングして得られたが、スクリ
ーニング方法等に何ら限定されるものではない。APR
−3生産能を有する微生物の特徴は、APR−3生産能
を有する微生物の少なくとも1種を含む複数の微生物の
混合物(以下、複合微生物という。)からなるものであ
る。複合微生物は、その中の各微生物を少なくとも1種
を単離できるものでもよく、単離できないものでもよ
い。複合微生物自体がAPR−3生産能を有するもので
あればよい。又、当該複合微生物の中に本発明の微生物
以外のものが混入していても、APR−3の生産を阻害
しない限り、一向に差し支えない。このような複合微生
物を用いて、有用物質を生産するという発想は本発明者
らが初めて為したものである。
【0020】APR−3生産能を有する微生物の中で
も、好ましいものとして細菌類を挙げることができる。
より具体的には、ブルセラ属、ステノトロフォモナス
属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマモナス
属、サルモネラ属、大腸菌属、オーレオバクテリウム
属、セルロモナス属及びアグロバクテリウム属に属する
微生物である。
【0021】上記の属に属する微生物の中でも、特に好
ましい菌株として、ブルセラ属に属する微生物としてブ
ルセラsp.KYM−1株を、ステノトロフォモナス又
はザントモナスのグループに属する微生物としてKYM
−2株を、アシネトバクター属に属する微生物とそてア
シネトバクターsp.KYM−3株を、コマモナス属に
属する微生物としてコマモナス・テストステロニーと同
種かそれに極めて近い種に属するKYM−4株を、サル
モネラ属に属する微生物としてサルモネアsp.KYM
−5株を、オーレオバクテリウム属に属する微生物とし
てオーレオバクテリウムsp.KYM−6株を、セルロ
モナス属に属する微生物としてセルロモナス・セルラン
スKYM−7株を、そしてアグロバクテリウム属に属す
る微生物としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス
若しくはそれに極めて近い種に属するKYM−8株等を
挙げることができる。
【0022】上記の微生物の中でも、KYM−1、KY
M−2、KYM−3、KYM−4、KYM−5、KYM
−6、KYM−7及びKYM−8の菌株番号が付された
ものは、フタル酸資化性及びスライム形成性を指標とし
て、活性汚泥及び土壌からのスクリーニングより、AP
R−3生産能を有する複合微生物として得られたもので
ある。各々、単離してその性質を調べた結果を下記の表
1〜4に示してある。各菌株は、生命工学研究所に寄託
され、KYM−1はFERM P−11333、KYM
−2はFERM P−11334、KYM−3はFER
M P−11335、KYM−4はFERM P−11
336、KYM−5はFERM P−11337、KY
M−6はFERM P−11338、KYM−7はFE
RM P−11339、KYM−8はFERM P−1
6806の番号が付されている。
【0023】表1
【0024】表2
【0025】表3
【0026】表4
【0027】上記のKYM菌株を、表1〜4に記載の形
態学的及び生理学的性質に基づいて、Bergey's Manual
of Systematic Bacteriology(第1巻、第2巻、第3
巻、第4巻)に記載の分類基準に従って、同定すると、
KYM−1は、シュドモナス・ファギー(Pseudomonas
faagi)、KYM−2は、ザントモナス・マルトフィリ
ア(Xanthomonas maltophilia)、KYM−3は、アセ
ネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobactor ca
lcoaceticus)、KYM−4は、ブルクホルデリア・セ
パシア(Burkholderia cepacia)、KYM−5は、ハフ
ニア・アルベイア(Hafnia alveia)、KYM−6は、
コリネバクテリウム・アクアチクム(Corynebacterium
aquaticum)、KYM−7は、セルロモナス・カルタエ
Cellulomonas cartae)、KYM−8は、アグロバク
テリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)に
属する菌株である。尚、ブルクホルデリア・セパシア
は、旧名称シュドモナス・セパシアとされ、ハフニア・
アルベイアは、旧名称サルモネラsp.とされ、そして
セルロモナス・カルタエは、旧名称オエルスコビア属と
されていた(再分類され現名称となっている)。
【0028】しかしながら、最近、16S rDNAの
塩基配列の相同性から、微生物を発生系統的に同定・分
類する方法が行なわれている(日本微生物生態学会報
(Bulletin of Japanese Society of Microbial Ecolog
y)、10巻、119〜136ページ、1995年、同
報、10巻、31〜42ページ、1995年)。上記の
菌株をこの方法で解析しその結果を表5に記載した。表
5より同定・分類すると:
【0029】表5 に属する菌株である。尚、上記の16S rDNA解析
法によると、サルモネラ属と大腸菌属に属する微生物
は、同一属の微生物と見做されている。その故に本発明
で使用する微生物は、サルモネラ属又は大腸菌属のどち
らの属に属する微生物でもよい。
【0030】以上の結果より、本発明で使用する菌株
は、KYM−1は、ブルセラsp.又はシュドモナス・
ファギー、KYM−2は、ステノトロホモナスsp.又
はザントモナス・マルトフィリア、KYM−3は、アセ
ネトバクター・カルコアセティカス、KYM−4は、コ
マモナス・テストステロニー又はブルクホルデリア・セ
パシア、KYM−5は、サルモネラsp.又はハフニア
・アルベイア、KYM−6は、オーレオバクテリウムs
p.又はコリネバクテリウム・アクアチクム、KYM−
7は、セルロモナス・セルランス又はセルロモナス・カ
ルタエ、KYM−8は、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバ
クテリウム・リゾゲネスに属する菌株である。
【0031】本発明において、総合的に検討した結果、
KYM−1株は、ブルセラsp.に属する菌株、KYM
−2株は、ステノトロフォモナス又はザントモナスのグ
ループに属する菌株、KYM−3株は、アシネトバクタ
ーsp.属に属する菌株、KYM−4株は、コマモナス
・テストステロニーと同種かそれに極めて近い種に属す
る菌株、KYM−5株は、サルモネラ又は大腸菌のグル
ープに属する菌株(本発明においては簡便化のためサル
モネラ属という。)、KYM−6株は、オーレオバクテ
リウムsp.に属する菌株、KYM−7株は、セルロモ
ナス・セルランス若しくはそれに極めて近い種に属する
菌株、KYM−8株は、アグロバクテリウム・ツメファ
シエンス若しくはそれに極めて近い種に属する菌株であ
ると判断した。
【0032】KYM−1〜KYM−7菌株は公知菌株で
あるが、KYM−8菌株は新規微生物菌株である。以上
のことから、本発明の油水分離剤に使用する微生物は、
APR−3生産能を有する微生物であればよく、上記の
ような具体的な菌名をもって制限されるものではない。
【0033】本発明において、好ましい実施形態とし
て、APR−3生産能を有する微生物を培養するにあた
り、APR−3生産能を有する微生物を、少なくとも1
種を含む複合微生物を複合的培養若しくは複合培養する
ことである。それ故、複合微生物とは、少なくとも上記
の属に属する微生物の中の1種を含む。その中でも特に
好ましい実施形態は、少なくともアグロバクテリウム属
に属する微生物及び/又はセルロモナス属に属する微生
物を含むものである。
【0034】本発明における複合微生物は、ブルセラs
p.KYM−1株、ステノトロフォモナス又はザントモ
ナスのグループに属するKYM−2株、アシネトバクタ
ーsp.KYM−3、コマモナス・テストステロニーと
同種か極めて近いKYM−4、サルモネラ属に属するい
ずれかの微生物、オーレオバクテリウム属に属するいず
れかの微生物及びセルロモナス属に属するいずれかの微
生物からなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物
と、アグロバクテリウム・ツメファシエンス若しくはそ
れに極めて近いKYM−8との組合せを含む。
【0035】若しくは、ブルセラsp.KYM−1株、
ステノトロフォモナス又はザントモナスのグループに属
するKYM−2株、アシネトバクターsp.KYM−
3、コマモナス・テストステロニーと同種か極めて近い
KYM−4、サルモネラ属に属するいずれかの微生物及
びオーレオバクテリウム属に属するいずれかの微生物か
らなる群から選ばれる少なくとも1種の微生物と、セル
ロモナス属に属するKYM−7株との組合せを含む。
【0036】更に特に好ましい実施形態は、上記の組合
せの中でも、サルモネラ属に属するいずれかの微生物が
KYM−5株、オーレオバクテリウム属に属するいずれ
かの微生物がKYM−6株、セルロモナス属に属するい
ずれかの微生物がKYM−7株である。
【0037】上記の組合せの詳しい具体例として一例を
挙げるならば次の如くである。 (a)KYM−8、KYM−7 (b)KYM−8、KYM−7、KYM−1 (c)KYM−8、KYM−7、KYM−5 (d)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4 (e)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4、KYM−1 (f)KYM−8、KYM−7、KYM−6、KYM−
5、KYM−4、KYM−3、KYM−2、KYM−1 (g)KYM−7、KYM−4 (h)KYM−7、KYM−4、KYM−1 (i)KYM−7、KYM−5、KYM−4、 (j)KYM−7、KYM−5、KYM−4、KYM−
【0038】本発明で使用する微生物の中でも、KYM
−1株〜KYM−8株の微生物は、単独の状態又は上記
のいずれの組合せの複合状態で、寒天培地上でスライム
を形成するフロック状態になる。そして、フロック状態
のまま、植えつぐことも、保存することもできる。又、
便利に種培養菌として用いることもできる。それで、上
記の組合せの微生物の中でも、(f)、(a)、
(b)、(c)、(d)、(e)、(g)、(h)、
(i)及び(j)は各々、R−3菌、R−4菌、R−5
菌、R−6菌、R−7菌、R−8菌、R−9菌、R−1
0菌、R−11菌及びR−12菌と略称される。
【0039】これらの菌は、寒天培地上でスライムを形
成する。しかし、このスライム形成は本発明を何ら限定
するものではない。尚、これらの組合せの菌株を用いて
培養を行なう場合は、寒天培地上でスライムを形成さ
せ、スライム形成微生物を種菌として用いると便利であ
る。
【0040】本発明では、上記の本発明の微生物の植え
つぎ、連続植えつぎ、又は保存にあたり、使用する培地
として、寒天培地などの固体培地、又液体培地のどちら
も採用出来る。そして十分な生育量を得ることが出来
る。しかしながら、本培養におけるAPR−3の生産活
性を良好に得るには、上記の培地にもサイアミンを含有
させるのが好適である。そのサイアミンの濃度は、2〜
2000μg/l、好ましくは5〜1000μg/l、
より好ましくは5〜500μg/lである。2μg/l
以下の場合は、APR−3生産活性が極端に低下する。
2000μg/l以上の場合はAPR−3生産活性がそ
れ以上増加しない。それでそれ以上の含有は意味がない
ものとなる。更に良好なAPR−3生産活性を得るに
は、サイアミン含有培地で培養した菌体を、グリセロー
ル、グルコース、マルトース、トレハロース等の糖類、
又DMSO(ジメチルスルホオキシド)等、好ましくは
10重量%マルトースを含む液体培地中ないし溶液中又
は緩衝液中に保存することが好適である。そしてそれら
の糖類の濃度は5〜15重量%である。保存温度は−1
00℃〜−20℃、好ましくは−80℃〜−60℃であ
る。
【0041】本発明において微生物を培養するにあた
り、使用する培地は、本発明の微生物の液体又は固体の
栄養培地で、且つサイアミンを含有するものであればど
のようなものでもよく、特に制限されない。そして、通
常の公知の方法に従って調製することができる。例え
ば、その組成は、炭素源として、デンプン、廃糖蜜、デ
キストリン、サッカロース、マルトース、マンニット、
グルコース及びフラクトース等、窒素源として、硫安、
塩安、尿素、肉エキス、ペプトン及び酵母エキス等、無
機塩類として、リン酸塩、マグネシウム塩、食塩、鉄塩
及びマンガン塩等、ビタミン類としてサイアミン、その
他のビタミン類、酵母エキス、コーンステープリカー及
び廃糖蜜等が適当量含有していればよい。
【0042】上記の炭素原の中でもデンプン、マンニッ
トは好ましいものとして挙げることができ、培地中に占
める量として0.01〜30重量%、好ましくは、0.
1〜20重量%で使用する。pHは5〜9位の範囲に調
整すればよい。固体培地又は液体培地の種類は問われな
い。尚、農産物廃棄物、食品産業廃棄物、発酵廃液及び
残渣類、都市ゴミ類等も炭素源、有機窒素源及びビタミ
ン類等として使用することができる。培養は、振盪、通
気撹拌等の操作で、20〜40℃で2〜15日間行なえ
ばよい。そして回分或いは連続等の培養方法が採用でき
る。前培養なしの方法或いは前培養ありの方法等どちら
も採用できる。
【0043】上記のようにして本発明の培養物が得られ
る。そして、本発明において、得られた培養物とは培養
液自体の他に培養液の各種処理物をも含むものとする。
例えば、培養液の濃縮物並びにその乾燥物、培養液から
菌体を除いた上澄液並びにその濃縮物並びにその乾燥
物、培養液から得られる菌体自体及びその懸濁物若しく
はその乾燥物等である。そして、本発明において得られ
た培養物をそのまま油水分離剤とすることが出来る。
又、適当な付加剤又は添加剤等を添加して、油水分離剤
とすることもできる。そして、本発明の油水分離剤を油
懸濁水に接触させると、効率よく油と水を分離すること
が出来る。
【0044】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中「%」とあるのは特に断りの無い限り
重量基準である。 実施例1:本発明で使用する混合菌であるR−3菌の培
養 本発明で使用する菌の種培養及び本培養に用いる培地の
組成(%): デンプン=1% K2HPO4=0.5% KH2PO4=0.2% MgSO4・7H2O=0.02% (NH2SO4=0.05% ポリペプトン(商標名)(大五栄養化学KK製)=0.
2% サイアミン塩酸塩=200μg/l 水道水=残り pH=7.0(3N KOHで調整) 殺菌条件:121℃(達温)及び15〜20分間
【0045】R−3菌を肉汁寒天平板培地に30℃で5
日間培養した。当該菌の1白金耳を液体培地80ml
(500ml容振盪フラスコ)に添加し、30℃で2日
間培養し種培養を調製した。尚、ロータリーシェイカー
を用いて当該フラスコを振盪した。当該培養液(60m
l)を5リットル容ジャーファメンター(培地3リット
ル)に添加し、30℃で3リットル/minの通気量
で、7日間撹拌(200〜400rpm)しながら培養
した。生育度(OD310nmにおける濁度にて測
定)、油水分離能及びカオリン凝集活性ともに3日間で
最高値に達した。培養液の粘度は最後まで増加した。生
育度16.5(310nmにおける濁度測定)、カオリ
ン凝集活性277、粘度1,200(cP)なる培養液
を得た。尚、粘度はビスメトロン回転粘度計を用い、S
S−2ローター使用し、25℃及び回転数3〜60rp
mの条件で測定した。
【0046】実施例2:APR−3の分離精製 実施例1のようにしてR−3菌を培養して得た培養液3
リットルを純水12リットルで希釈し、菌体を遠心分離
(28,000G及び30min)で除去し、その後、
膜濃縮機を使用して2リットルまで濃縮した。当該濃縮
液に2倍容のエタノールを添加し、繊維状の沈殿物(A
PR−3)を析出させた。当該沈殿物を遠心分離で採取
し、シリカゲル入りのデシケーターの中で、一晩減圧乾
燥した。9.2gの粗APR−3を得た(対デンプン収
率=30.5%)。
【0047】500mgの当該粗APR−3を蒸溜水1
00mlに溶解した。次、これに2%cetylpyridium ch
loride(CPC)溶液50mlを撹拌しながら添加し、
数時間静置し、APR−3とCPCの複合体の沈殿物を
形成させた。当該複合体の沈殿物を遠心分離により集
め、0.5モルの食塩水に溶解した。これに2倍容のエ
タノールを添加し、繊維状の沈殿物を得た。当該沈殿物
をエタノール及びアセトンで各々5回洗浄した後、上記
のようにして減圧乾燥した。純度検定で98%以上のA
PR−3(380mg)のを得た(対デンプン収率=2
1.0%)。このことから、R−3菌の培養液には約2
mg/mlのAPR−3が生産されていることが分か
る。
【0048】上記の純度検定は次のようにして行なっ
た。上記の如くして精製されたAPR−3を、0.5N
のNaOH水溶液で加水分解し、脱アセチル化した。得
られた脱アセチル化APR−3について、酢酸セルロー
ス膜を支持体として電気泳動を行った。その結果、当該
APR−3は陽極側に移動し、単一のスポットを与えた
(図1参照)。よって当該APR−3は純粋なものと判
断した。
【0049】実施例3:APR−3の特質 上記の精製APR−3について分析した。 1.全糖 フェノール・硫酸法により測定した。その結果64(±
2)%であった。 2.アミノ糖 エルソン・モーガン法により定性分析を行った。アミノ
糖は検出されなかった。 3.ウロン酸 カルバゾル・硫酸法により検出を試みたが、検出されな
かった。
【0050】4.蛋白質 ニンヒドリン法により検出を試みたが、検出されなかっ
た。 5.元素分析 炭素C=40(±2)%、水素H=6(±1)%、窒素
N=痕跡、リンP=痕跡、硫黄=痕跡。
【0051】6.構成糖 上記の精製APR−3を2Mのトリフルオロ酢酸で4時
間加水分解した。 定性分析:当該加水分解物について、次の条件で薄層ク
ロマトグラフィーを行った。その結果、グルコース及び
ガラクトースのみが検出された。条件:プレート=シリ
カゲル60(0.5M NaHPO)、展開相=イ
ソプロピルアルコール:アセトン:0.1M乳酸(2:
2:1 重量比)。
【0052】定量分析:上記加水分解物について、TM
S誘導体を調製して、次の条件でガスクロマトグフィー
による分析を行った。その結果、APR−3は、ガラク
トース1モルに対してグルコース5.6(±0.1)モ
ルの割合で構成されていることが判明した。条件:装置
=島津(Shimadzu)GC−15A、検出器=FID、カ
ラム=Hicap-CBPI(OV-1 chemical bonding)キャピラ
リーカラム。
【0053】7.構成有機酸 APR−3を、2Nの硫酸溶液で100℃で2時間加水
分解した。この加水分解物について、薄層クロマトグラ
フィーによる定性及び同定分析を次の条件で行なった。
その結果コハク酸とピルビン酸が検出された。
【0054】定性分析:プレート=セルロースF254
S又はシリカゲルF254、展開相=ブタノール:ギ
酸:水(4:1.5:1 重量比)又はアミルアルコー
ル:0.25Mアンモニア(2:1 重量比)。
【0055】定量分析:APR−3を2Mトリフルオロ
酢酸溶液で100℃で4時間加水分解し、その加水分解
物をメチル化した。それをガスクロマトグラフィーで定
量した。その結果、コハク酸とピルビン酸が、構成糖で
あるガラクトース1モルに対して各々0.6(±0.
1)モル及び2.5(±0.1)モル含まれていること
が分かった。
【0056】8.分子量 脱アセチル化したAPR−3について、トヨパールHW
75Fゲルカラムを使用するゲルクロマトグラフィーで
APR−3の分子量を求めた(図2参照)。ブルーデキ
ストランよりも先にAPR−3のピークが出現するの
で、分子量は2×106以上であると判断された。
【0057】9.比旋光度 比旋光度は−17〜−15°であった。 10.IRスペクトル 図3に当該スペクトルを示した。2,700〜3,70
0cm-1に水酸基の吸収、1700cm-1及び1,16
0cm-1にカルボキシルエステル結合の吸収、そして
1,600cm-1及び1,400cm-1にイオン化カル
ボキシル基の吸収を示した。
【0058】11.溶媒に対する溶解性 水に可溶、アルカリに易溶、メタノール及びアセトンに
不溶であった。 12.粘度特性 ビスメトロン回転粘度計で、SS−2 ローターを使用
し、25℃及び回転数3〜60rpmの条件で測定し
た。対照物質としてザンサンガムを用いた。APR−3
はNa型(塩)、Ca型(塩)及びH型(フリー型)に
して測定した。ザンサンガム及びAPR−3の濃度は
0.5重量%溶液とした。その結果を図4に示した。い
ずれの型のAPR−3もザンサンガムと同様に、シュー
ドプラスチック流動特性を示した。又、ザンサンガムよ
りも高粘度であった。以上の特性を有する高分子物質
は、現在まで発見されていないので、新規物質と認定し
た。
【0059】実施例4 実施例1で得たAPR−3の粉末について、APR−3
溶液(50mg/1ml蒸留水)を調製し、その内の2
0mlを使用して、上記の油水分離能測定法により測定
し、下記表6の通りの結果を得た。
【0060】表6 表6から分かるように、本発明のAPR−3は油水分離
能を有することは明らかである。又、下記の比較例実験
の表7から分かるように、公知のロードコッカス・エリ
スロポレスKR−256−2(FERM P−392
3)のものより高活性を有する。
【0061】比較例1 ロードコッカス・エリスロポレスKR−256−2(F
ERM P−3923)を、実施例1と同様な条件で培
養して得た培養液の上澄液について、膜濃縮により25
倍の濃縮を行い、APR−3溶液(50mg/1ml蒸
留水)の調製条件と同様なものにした。実施例4と同様
の条件で油水分離能を測定し、下記表7の結果を得た。
【0062】表7
【0063】実施例5 R−3菌をR−4菌に代えること、及び培地にサイアミ
ンを添加すること(以下、サイアミン含有系という。)
並びに添加しないこと(以下、サイアミン非含有系とい
う。)以外は、実施例1と同様に培養し、その培養の経
時変化を調べた。その結果を図5及び6に示した。尚、
図5はサイアミン含有系のものであり、図6はサイアミ
ン非含有系のものである。図5及び6から分かるよう
に、サイアミン非含有系では培養3日目でカオリン凝集
活性は最高値に達し、その後減少傾向を示した。又、粘
度(cP)は培養4日目で最高値に達し、その後減少傾
向を示した。しかし、サイアミン含有系では、培養3日
頃からカオリン凝集活性及び粘度(cP)の増加率が減
少するものの、カオリン凝集活性及び粘度(cP)の値
が減少することはなかった。尚、活性は培養液の上澄液
について測定した。APR−3生産能を有しないが、微
生物産生凝集剤を生産することが知られているロードコ
ッカス・エリスロポレスKR−256−2(FERM
P−3923)を対照菌株として採用し、R−4菌のサ
イアミン含有系と同様の条件で培養した。その結果を図
7に示した(比較例1参照)。図5、6及び7から分か
るように、R−4菌は、カオリン凝集活性及び粘度(c
P)が格段に高い培養液を生産すること、又、サイアミ
ン含有系は、非含有系のものより培養液のカオリン凝集
活性及び粘度(cP)が高く、且つ培養の安定性が優れ
ているが分かる。尚、生育度は310nmにおける濁度
測定によった。
【0064】実施例6 実施例5において、回分培養を連続的回分培養(回分培
養の培養終了時の培養液を種培養液として利用する形式
の培養方法)に変えること以外は実施例5と同様に培養
した。なお、本実施例では、連続的回分培養方法を採用
しているので、種培養は第一回目の培養においては実施
例1と同様に行い、接種も実施例1と同様に行ったが、
第二回目からは前回培養終了時の培養液を種培養として
利用した。そして接種量は10容量%とした。そして、
5回、そして各回10日間培養し、得た各回の培養液に
ついて油水分離能を測定した。その結果を表7に示し
た。
【0065】表8 *COD(mg/l):原水=10.000;無添加=
4.020
【0066】実施例7 R−3菌をR−4菌に代えること、及びサイアミンの濃
度を表9に記載のように変えること以外は、実施例1と
同様に培養を行って、表9のような結果を得た。サイア
ミン含有培地のサイアミン濃度が 2〜2000μg/
lの範囲の場合に、粘度の高い培養液が得られることが
表9から分かる。そして2000μg/l以上になると
粘度はそれ以上は増加しない。本発明においては油水分
離能の増加と粘度の増加は相関する。よってサイアミン
含有培地のサイアミン濃度が 2〜2000μg/lの
範囲の場合に油水分離能の高い培養液が得られることが
分かる。
【0067】表9
【0068】実施例7 R−3菌の代わりに、KYM−1、KYM−4、KYM
−5、KYM−7、KYM−8及びそれらを図7に示し
たような組み合わせた混合菌及び混合菌であるR−3〜
R−12を用いて、実施例1と同条件で培養した。そし
て、図8のような結果を得た。本実施例においては、油
水分離能が粘度と相関する故、油水分離能を粘度測定で
行った。粘度測定条件は実施例1と同様である。これか
ら、本発明の複合微生物は、APR−3の生産により効
果的であることが分かる。そして、KYM−7又は/及
びKYM−8を含む複合微生物が特に効果的であること
が分かる。
【0069】
【発明の効果】本発明の微生物菌を、サイアミン含有培
地で培養することにより得られる培養液は、サイアミン
非含有培地で培養したものより油水分離能が高い。よっ
てその培養液を主成分としてなる油水分離剤は、安価で
高活性の油水分離剤として使用できる。それ故に、環境
汚染の油水分離処理において、それらの処理を効率よく
達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 APR−3の電気泳動パターン。
【図2】 APR−3のゲルクマトグラフィーパター
ン。
【図3】 APR−3のIRスペクトル。
【図4】 APR−3の粘度特性。
【図5】 R−4菌における、サイアミン含有系の培養
の経時変化。
【図6】 R−4菌における、サイアミン非含有系の培
養の経時変化。
【図7】 ロードコッカス・エリスロポレスKR−25
6−2(FERM P−3923)菌株における、サイ
アミン含有系の培養の経時変化。
【図8】 本発明のKYM−8菌、APR−3生産能を
有するKYM各菌及びそれらの混合菌であるR−3〜R
−12菌の活性比較。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (74)上記1名の代理人 100077698 弁理士 吉田 勝広 (72)発明者 倉根 隆一郎 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 金川 貴博 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 鎌形 洋一 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 花田 智 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 蔵田 信也 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 山田 一隆 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 横幕 豊一 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小山 修 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 古庄 健太 東京都千代田区東神田1−9−8 環境エ ンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4B065 AA01X AA04X AA11X AA46X BB20 CA02 CA55 4D015 BA08 BA10 CA06 CA20 DB34 EA16 4D051 AA01 AB07 EA06 EA12 EC04 EC16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(1)〜(11)の特性を有し、
    且つ油水分離能を有する高分子物質(以下、APR−3
    という。)の生産能(以下、APR−3生産能とい
    う。)を有する微生物をサイアミン含有培地に培養し
    て、得られる培養物を主成分とすることを特徴とする油
    水分離剤。 (1)糖含有量(フェノール・硫酸法):(64±2)
    重量% (2)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
    い。 (3)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
    い。 (4)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (5)元素分析:炭素C=(40±2)%、水素H=
    (6±1)%、窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (6)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
    トース1、グルコース(5.6±0.1)、コハク酸
    (0.6±0.1)、ピルビン酸(2.5±0.1)。 (7)分子量:2×106以上。 (8)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
    ー、25℃、回転数3〜60rpm、溶媒は純水、H型
    APR−3の0.5重量%濃度溶液):(9,000±
    1,000)cP。 (9)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタノ
    ール、エタノール及びアセトンに不溶。 (10)比旋光度(20℃):−17〜−15° (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
    〜3,700、1,730、1,600、1,400、
    1,160。
  2. 【請求項2】 培養物が、2〜2000μg/lのサイ
    アミン濃度を有するサイアミン含有培地で培養して得ら
    れる培養物である請求項1に記載の油水分離剤。
  3. 【請求項3】 APR−3生産能を有する微生物が、A
    PR−3生産能を有する微生物を少なくとも1種を含む
    複合微生物からなり、当該複合微生物を複合的培養若し
    くは複合培養する請求項1又は2に記載の油水分離剤。
  4. 【請求項4】 APR−3生産能を有する微生物が、細
    菌である請求項1、2又は3に記載の油水分離剤。
  5. 【請求項5】 APR−3生産能を有する微生物が、ブ
    ルセラ属、ザントモナス属、アシネトバクター属、コマ
    モナス属、サルモネラ属、オーレオバクテリウム属、セ
    ルロモナス又はアグロバクテリウム属に属するものであ
    る請求項1、2、3又は4に記載の油水分離剤。
  6. 【請求項6】 APR−3生産能を有する微生物の少な
    くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
    ンス、アグロバクテリウム・ツメファシエンス及びそれ
    らに極めて近い種に属する細菌の少なくとも1種を含む
    ものである請求項3に記載の油水分離剤。
  7. 【請求項7】 APR−3生産能を有する微生物の少な
    くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
    ンスKYM−7株(FERM P−11339)、アグ
    ロバクテリウム・ツメファシエンス及びそれらに極めて
    近い種に属するKYM−8株(FERM P−1680
    6)の少なくとも1種を含むものである請求項3に記載
    の油水分離剤。
  8. 【請求項8】 APR−3生産能を有する微生物の少な
    くとも1種を含む複合微生物が、セルロモナス・セルラ
    ンスKYM−7株、アグロバクテリウム・ツメファシエ
    ンス及びそれらに極めて近い種に属するKYM−8株の
    少なくとも1種を含み、且つブルセラ属、ザントモナス
    属、アシネトバクター属、コマモナス属、サルモネラ
    属、オーレオバクテリウム属及びセルロモナス属に属す
    る微生物から選ばれる少なくとも1種を含むものである
    請求項3に記載の油水分離剤。
  9. 【請求項9】 ブルセラ属に属する微生物がブルセラs
    p.KYM−1株(FERM P−11333)、ステ
    ノトロフォモナス又はザントモナスのグループに属する
    微生物がKYM−2株(FERM P−11334)、
    アシネトバクター属に属する微生物がアシネトバクター
    sp.KYM−3株(FERM P−11335)、コ
    マモナス属に属するコマモナス・テストステロニーと同
    種か極めて近い種に属するKYM−4株(FERM P
    −11336)、サルモネラ属に属する微生物がサルモ
    ネラsp.KYM−5株(FERM P−1133
    7)、オーレオバクテリウム属に属する微生物がオーレ
    オバクテリウムsp.KYM−6株(FERM P−1
    1338)である請求項5、又は8に記載の油水分離
    剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れか1項に記載の油
    水分離剤を油懸濁水と接触させることを特徴とする油水
    分離方法。
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