JP3086879B2 - 新規高分子物質apk−78、その生産方法、微生物産生凝集剤及び排水凝集方法 - Google Patents

新規高分子物質apk−78、その生産方法、微生物産生凝集剤及び排水凝集方法

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JP3086879B2 JP11160378A JP16037899A JP3086879B2 JP 3086879 B2 JP3086879 B2 JP 3086879B2 JP 11160378 A JP11160378 A JP 11160378A JP 16037899 A JP16037899 A JP 16037899A JP 3086879 B2 JP3086879 B2 JP 3086879B2
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工業技術院長
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規高分子物質A
PK−78(以下単にAPK−78という)、その生産
方法、微生物産生凝集剤及び排水凝集方法に関し、更に
詳しくは、油水分離能及び凝集活性を有するAPK−7
8であり、それらの特性から、APK−78は、油環境
汚染における油除去処理に用いる油水分離剤、活性汚泥
方法における排水凝集処理に使用する微生物産生凝集剤
として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルカリゲネス・レイタス
Alcaligenes latas)、アルカリゲネス・キュピダス
Alcaligenes cupidus)、ロドコッカス・エリスロポ
リス(Rhodococcus erythropolis)等の微生物が、凝集
活性を有する物質を生産することが知られていた。そし
て、それらの培養液は、活性汚泥方法における排水凝集
処理に用いる微生物産生凝集剤として使用されてきた
が、それらの物質は微生物産生凝集剤としても活性が低
いものであった。又、それらの生産性も決して高いもの
ではなかった。ましてや、油水分離能について試された
ことはなかった。 これらの問題を改善する方法とし
て、複数の微生物が共存して生育する複合微生物により
生産される凝集活性物質APR−3が興味がもたれてい
た(Biochi.Biotech.Biochem.、58巻、1589〜1594頁、1
994年)。しかしながら、排水処理のコスト低減化のた
めに、より高活性を有する物質の出現が要望されてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題に鑑み、人と環境に優しく安全であり、且つより
高活性を有する油水分離能及び凝集活性を有する新規高
分子物質及び簡便且つ効率のよいその大量生産方法を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
達成のために鋭意努力した結果、特定の複合微生物が、
従来知られていない高分子物質を培地中に著量生産する
こと、そして、当該高分子物質はより優れた油水分離能
及び凝集活性を有すること等の知見を得た。本発明は、
この知見に基づいて完成された。
【0005】すなわち、本発明は、1)以下の特性を有
することを特徴とするAPK−78を提供する。 (1)油水分離能を有する。 (2)凝集活性を有する。 (3)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (4)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (5)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (6)元素分析:窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (7)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース8.2、コハク酸2.1±0.
4、ピルビン酸1.2。 (8)分子量:2×106以上。 (9)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数30rpm、溶媒は純水、Na型A
PK−78の0.5重量%濃度溶液):250cp。 (10)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタ
ノール、エタノール及びアセトンに不溶。 (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
〜3,700、1,730、1,600、1,400、
1,160。 (12)図1に記載の1HNMRのスペクトルを有す
る。
【0006】又、本発明は、2)新規微生物菌株アグロ
バクテリウム・テュメファシエンス(Agrobacterium tu
mefaciens)KYM−8(FERM P−16806)
を提供する。
【0007】又、本発明は、3)APK−78生産能を
有するセルロモナス・セルランスKYM−7株(FER
M P−11358)又はアグロバクテリウム・テュメ
ファシエンスKYM−8株(FERM P−1680
6)を固体培地又は液体培地に培養することより、当該
培地中に前記1)記載のAPK−78を生産させ、当該
物質を採取することを特徴とするAPK−78の生産方
法を提供する。
【0008】又、本発明は、4)APK−78生産能を
有するセルロモナス・セルランスKYM−7株(FER
M P−11358)又はアグロバクテリウム・テュメ
ファシエンスKYM−8株(FERM P−1680
6)をサイアミン又はその誘導体を含有する培地に培養
することより、当該培地中に前記3)記載のAPK−7
8の生産方法を提供する。
【0009】又、本発明は、5)APK−78生産能を
有するセルロモナス・セルランスKYM−7株(FER
M P−11358)及びアグロバクテリウム・テュメ
ファシエンスKYM−8株(FERM P−1680
6)を、少なくとも含む複合微生物を複合的培養若しく
は複合培養する前記3)又は4)に記載のAPK−78
の生産方法を提供する。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】又、本発明は、)前記)、)、
、又)に記載のAPK−78を主成分として含
有してなることを特徴とする微生物産生凝集剤を提供す
る。
【0014】又、本発明は、)カチオン性無機塩を一
種以上を含有する前記)に記載の微生物産生凝集剤を
提供する。
【0015】又、本発明は、)前記)又は)に記
載の微生物産生凝集剤を懸濁物含有排水に接触せしめる
ことを特徴とする排水凝集処理方法を提供する。
【0016】又、本発明は、)活性汚泥方法による排
水凝集処理方法において、前記)、又は)に記載の
微生物産生凝集剤を処理系に存在させ、活性汚泥と処理
水との分離領域において、活性汚泥のバルキングを防止
することを特徴とする排水凝集処理方法を提供する。
【0017】又、本発明は、10)活性汚泥の分離領域
のpHを、7〜9に保持する前記)、又は)に記載
の排水凝集処理方法を提供する。
【0018】又、本発明は、11)被処理排水が糸状菌
を発生しやすい排水である前記)、)、又は10
に記載の排水凝集処理方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施形態を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらの
実施形態により何ら限定されるものではない。先ず、本
発明の実施形態の1つであり、且つ特徴を表す本発明の
完成過程を述べる。
【0020】本発明者らは、微生物産生の凝集活性物質
の生産を目的として、活性汚泥及び土壌から、凝集活性
物質を生産する微生物をスクリーニングして来た。その
際、フタル酸資化性及びスライム形成性を有する微生物
を指標として、微生物コロニーを選択した。その結果、
目的のコロニーを多数得た。その中の一つについて詳し
く検討した結果、8菌株から構成されていることが分か
った。その8菌株を各々KYM−1〜KYM−8と命名
し、その性質を調べた。その結果を表1〜表4に示し
た。そして、KYM−3、KYM−4、KYM−5、及
びKYM−7については既に報告した(Biochi.Biotec
h.Biochem.、58巻、1589〜1594頁、1994年)。又、KY
M−3、KYM−4、KYM−5、及びKYM−7から
なる群の少なくとも1菌株を含む複合微生物を培養する
と、APR−3と命名した凝集活性物質が生産されるこ
とを同時に報告した。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】本発明においては、上記KYM−3、KY
M−4、KYM−5、KYM−7の菌株の同定を再検討
し、残りのKYM−1、KYM−2、KYM−6、KY
M−8についても同定を行った。
【0026】最近、GC含量、キノンの分子種、16S
rDNAの塩基配列の相同性から、微生物を発生系統
的に同定・分類する方法が行なわれている(日本微生物
生態学会報(Bulletin of Japanese Society of Microb
ial Ecology)、10巻、119〜136ページ、19
95年、同報、10巻、31〜42ページ、1995
年)。上記の菌株を、表1〜4のデーターを参考にしな
がら、これらの方法で解析し、その結果を表5に記載し
た。
【0027】
【表5】 上記の菌株は表記載の属に属する微生物であると同定し
た。尚、上記の16S rDNA解析法によると、サル
モネラ属と大腸菌属に属する微生物は、同一属の微生物
と見做されている。その故に本発明の微生物は、サルモ
ネラ属又は大腸菌属のどちらの属に属する微生物でもよ
い。
【0028】以上の結果より、本発明の菌株は、 KYM−1は、ブルセラsp.、 KYM−2は、ステノトロホモナスsp.、 KYM−3は、アセネトバクター・カルコアセティカ
ス、 KYM−4は、コマモナス・テストステロニィー KYM−5は、サルモネラsp. KYM−6は、オーレオバクテリウムsp.、 KYM−7は、セルロモナス・セルランス又はセルロモ
ナス・カルタエ、 KYM−8は、アグロバクテリウム・テュメファシエン
ス(Agrobacterium tumefaciens)又はアグロバクテリ
ウム・リゾゲネス に属する微生物である。
【0029】本発明において、総合的に検討した結果、 KYM−1株は、ブルセラsp.に属する菌株、 KYM−2株は、ステノトロフォモナス属、 KYM−3株は、アシネトバクターsp.属に属する菌
株、 KYM−4株は、コマモナス・テストステロニィーと同
種か極めて近い種に属する菌株、 KYM−5株は、サルモネラ又は大腸菌のグループに属
する菌株(本発明においては簡便化のためサルモネラ属
という。)、 KYM−6株は、オーレオバクテリウムsp.に属する
菌株、 KYM−7株は、セルロモナス・セルランスに属する菌
株、 KYM−8株は、アグロバクテリウム・テュメファシエ
スに属する菌株、 であると判断した。
【0030】上記の各菌株は、生命工学研究所に寄託さ
れ、KYM−1はFERM P−11333、KYM−
2はFERM P−11334、KYM−3はFERM
P−11335、KYM−4はFERM P−113
36、KYM−5はFERMP−11337、KYM−
6はFERM P−11357、KYM−7はFERM
P−11358、KYM−8はFERM P−168
06の番号が付されている。尚、KYM−8株の諸性質
を示す微生物は現在知られていないので、新規微生物で
ある。それ故、本発明の一実施形態である。
【0031】更に、上記の菌株の凝集活性物質の生産性
について詳しく再検討した。その結果、既に報告した前
記のAPR−3の糖、有機酸の組成にも誤りがあるこ
と、又、少なくともKYM−8株を、好ましくは、少な
くともKYM−8株とKYM−7株からなる複合微生物
を培養すると、APR−3とは全く異なる凝集活性物質
APK−78を生産することを知見した。本発明はかか
る知見に基づいて完成されたものである。
【0032】本発明の第一の特徴は、次の特質を有する
APK−78である。 (1)油水分離能を有する。 (2)凝集活性を有する。 (3)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
い。 (4)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
い。 (5)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (6)元素分析:窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (7)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
トース1、グルコース8.2、コハク酸2.1±0.
4、ピルビン酸1.2。 (8)分子量:2×106以上。 (9)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
ー、25℃、回転数30rpm、溶媒は純水、Na型A
PK−78の0.5重量%濃度溶液):250cp。 (10)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタ
ノール、エタノール及びアセトンに不溶。 (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
〜3,700、1,730、1,600、1,400、
1,160。 (12)図1に1HNMRのスペクトルを示す。
【0033】APK−78は、以上の特性を有する高分
子物質であるが、前記のAPR−3の特性と比較すると
次の特性において大きく相違する。よってAPK−78
はAPR−3とは明確に異なる物質である。 a)糖及び有機酸組成(モル比) APR−3:ガラクトース1、グルコース5.6±0.
1、フコース0.7、コハク酸0.6±0.1、ピルビ
ン酸2.5±0.1。 APK−78:ガラクトース1、グルコース8.2、コ
ハク酸(2.1±0.4)、ピルビン酸1.2。
【0034】b)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS
−2ローター、25℃、回転数30rpm、溶媒は純
水、H型APR−3又はNa型APK−78の0.5重
量%濃度溶液) APR−3:100cp。 APK−78:250cp(APR−3の値の2.5
倍)。このような特性を有する高分子物質は現在まで知
られていないので、は新規物質である。
【0035】本発明において、油水分離能とは、油懸濁
水(海水も含む。)を油相と水相とに分離する能力のこ
とをいう。該油水分離能は次のようにして測定される。 A)油水分離能の活性測定法 サラダ油10gとノニオン系界面活性剤Tween80
(和光純薬社製:ソルビタンモノオレアートのエチレン
オキシド縮合物)0.5gをビーカー中で2〜3分間超
音波処理してサラダ油を乳化させる。この中に撹拌しな
がら海水を加えて全量を2リットルとし、これを油懸濁
水の原水とする。この場合、海水の代わりに蒸留水を用
いても構わない。
【0036】2リットルのビーカーに原水1リットルを
移し、pHを10に調整する。この原水0.8リットル
を加圧浮上装置(宮本制作所製MS9000)に供給す
る。更にサンプル液20mlを添加して、室温で内容物
を十分に撹拌した後、加圧水を0.3リットル添加す
る。10〜20分間静置後、水相のCODを重クロム酸
カリウム法で測定する。活性はそのCOD値で示され
る。そして、油水分離能は次式により計算される。 油水分離能=((A−B)/A)×100(%)、但
し、A:処理前のCOD値、B:処理後のCOD値)。
【0037】又、本発明の凝集活性とは、排水中の懸濁
物を凝集させ、上澄液を作る活性をいう。本発明におい
てその活性は、懸濁物質の代表例としてカオリンを用
い、カオリン懸濁液中のカオリン懸濁物を凝集させ、上
澄液を作る活性を次のようにして測定した。
【0038】B)カオリン凝集活性の測定法 カオリン懸濁液(5,000mg/リットル)80ml
を100ml容メスシリンダーに分取し、これに10重
量%CaCl2・2H2O水溶液10ml添加した。これ
にサンプル液0.125mlを加え、pHを8.0に調
整した。そのシリンダーを室温でゆっくり撹拌し、5分
間静置した。そして、上澄液の濁度をOD550nmに
て測定した。カオリン凝集活性は次式によって計算され
る。 カオリン凝集活性=(1/C)−(1/D) C:サンプル液についてのOD550nm値 D:水(ブランク液)についてのOD550nm値
【0039】C)APK−78の定量 APK−78生産性微生物を培養して得た培養液3ml
を純水12mlで希釈し、菌体を遠心分離(28,00
0G及び30min)で除去し、2倍容のエタノールを
添加し、繊維状の沈殿物(APK−78)を析出させ
た。当該沈殿物を遠心分離で採取し、シリカゲル入りの
デシケーターの中で、一晩減圧乾燥した。乾燥物を蒸溜
水10mlに溶解し、次に、これに2%cetylpyridium
chloride(CPC)溶液5mlを撹拌しながら添加し、
数時間静置し、APK−78とCPCの複合体の沈殿物
を形成させた。当該複合体の沈殿物を遠心分離により集
め、0.5モルの食塩水に溶解した。これに2倍容のエ
タノールを添加し、繊維状の沈殿物を得た。当該沈殿物
をエタノール及びアセトンで各々5回洗浄した後、上記
のようにして減圧乾燥した。当該乾燥物は純度検定で9
8%以上のAPK−78であった。それで、当該乾燥物
の重量を秤量することによりAPK−78の定量を行っ
た。
【0040】本発明の第二の特徴は、新規微生物菌株ア
グロバクテリウム・テュメファシエンス(Agrobacteriu
m tumefaciens)KYM−8株(FERM P−168
06)である。前記したように、KYM−8株のような
特質を有する微生物は現在まで未知である。
【0041】本発明の第三の特徴は、APK−78の生
産能を有する微生物を、固体若しくは液体の栄養培地に
培養してAPK−78を培地中に生産させ、それを採取
するAPK−78の生産方法である。APK−78の生
産能を有する微生物であれば、細菌、カビ等のどのよう
な微生物でも使用できる。本発明においては、特にフタ
ル酸を資化できる特性とスライム形成性を目安にスクリ
ーニングして得られたが、スクリーニング方法等に何ら
限定されるものではない。
【0042】上記の微生物の中でも、好適な微生物とし
て細菌類の微生物を挙げることができる。細菌の中で
も、好適なものとして、例えば、ブルセラ属、ステノト
ロフォモナス属、アシネトバクター属、コマモナス属、
サルモネラ属、オーレオバクテリウム属、セルロモナス
属、アグロバクテリウム属に属する細菌を挙げることが
できる。
【0043】上記の細菌の中でも、アグロバクテリウム
属に属する細菌、好ましくはアグロバクテリウム・テュ
メファシエンス若しくはそれに極めて近い種、より好ま
しくはアグロバクテリウム・テュメファシエンス(Agro
bacterium tumefaciens)KYM−8(FERM P−
16806)を挙げることができる。本発明のAPK−
78の生産性をより向上させるには、少なくともアグロ
バクテリウム属に属する細菌からなる複合微生物を使用
することである。
【0044】以下に、少なくともアグロバクテリウム属
に属する細菌からなる複合微生物について詳しく述べ
る。即ち、好ましい実施形態として、アグロバクテリウ
ム属に属する細菌及びセルロモナス属に属する細菌の二
種からなり、それらが共存して生育する複合微生物でA
PK−78の生産性を有するものである。この複合微生
物の中でも好ましい微生物はセルロモナス属に属する何
れかの細菌からなる群から選ばれる少なくとも1種の細
菌と、アグロバクテリウム・テュメファシエンス若しく
はそれに極めて近い種から選ばれる細菌の組み合わせ、
又、アグロバクテリウム属に属する何れかの細菌からな
る群から選ばれる少なくとも1種の細菌と、セルロモナ
ス・セルランス若しくはそれに極めて近い細菌の組み合
わせの複合微生物を挙げることができる。
【0045】上記の複合微生物の中でも特に好ましい微
生物は、セルロモナス属に属する何れかの細菌からなる
群から選ばれるKYM−7を始めとする少なくとも1種
の細菌と、アグロバクテリウム・テュメファシエンスK
YM−8の組み合わせ、又、アグロバクテリウム属に属
する何れかの細菌からなる群から選ばれるKYM−8を
始めとする少なくとも1種の細菌と、セルロモナス・セ
ルランスKYM−7の組み合わせの複合微生物を挙げる
ことができる。特に好適な実施形態は少なくともKYM
−7とKYM−8とからなる複合微生物を挙げることで
きる。
【0046】本発明の更なる実施形態の微生物は、AP
K−78の生産性を阻害しな限り、公知又は未知の如何
なる微生物が上記の複合微生物に共存していてもよい。
例えば、ブルセラ属、ステノトロフォモナス属、アシネ
トバクター属、コマモナス属、サルモネラ属、及びオー
レオバクテリウム属に属する細菌からなる群から選ばれ
る少なくとも一種の細菌を含むものを挙げることができ
る。
【0047】例えば、ブルセラsp.に属する細菌、ス
テノトロフォモナスsp.に属する細菌、アシネトバク
ターsp.属に属する細菌、コマモナス・テストステロ
ニィーと同種か極めて近い種に属する細菌、サルモネラ
属に属する細菌、オーレオバクテリウムsp.に属する
細菌を挙げることができる。
【0048】上記の好適な詳しい具体例として一例を挙
げるならば、次の如くである。 (a)KYM−8、KYM−7 (b)KYM−8、KYM−7、KYM−1 (c)KYM−8、KYM−7、KYM−5 (d)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4 (e)KYM−8、KYM−7、KYM−5、KYM−
4、KYM−1 (f)KYM−8、KYM−7、KYM−6、KYM−
5、KYM−4、KYM−3、KYM−2、KYM−1
【0049】本発明で使用する微生物の中でも、KYM
−1株〜KYM−8株の細菌は、単独の状態又は上記の
いずれの組合せの複合状態で、寒天培地上でスライムを
形成するフロック状態になる。そして、フロック状態の
まま、植え継ぐことも、保存することもできる。又、便
利に種培養菌として用いることもできる。それで、上記
の組合せの微生物をここでは、(a)、(b)、
(c)、(d)、(e)、(f)は各々、R−4菌、R
−5菌、R−6菌、R−7菌、R−8菌、R−9菌と略
称する。
【0050】これらの菌は、寒天培地上でスライムを形
成する。しかし、このスライム形成は本発明を何ら限定
するものではない。尚、これらの組合せの菌株を用いて
培養を行なう場合は、寒天培地上でスライムを形成さ
せ、スライム形成微生物を種菌として用いると便利であ
る。
【0051】本発明の微生物を培養するにあたり、使用
する培地は、本発明の微生物の栄養培地であればどのよ
うなものでもよく、特に制限されない。そして、通常の
公知の方法に従って調製することができる。例えば、そ
の組成は、炭素源として、デンプン、廃糖蜜、デキスト
リン、サッカロース、マルトース、マンニット、グルコ
ース及びフラクトース等、窒素源として、硫安、塩安、
尿素、肉エキス、ペプトン及び酵母エキス等、無機塩類
として、リン酸塩、マグネシウム塩、食塩、鉄塩及びマ
ンガン塩等、ビタミン源類として、酵母エキス、コーン
ステープリカー及び廃糖蜜等が適当量含有していればよ
い。
【0052】上記のビタミン源類として好適なものは、
サイアミン又はその誘導体又はそれらを含有するもの挙
げることができる。このサイアミン又はその誘導体が培
養中に培地に存在していると、APK−78を生産する
複合微生物におけるAPK−78の生産性が向上維持さ
れる。特に種培養において、種培地にサイアミン又はそ
の誘導体が存在していると、APK−78の生産性が向
上する。又、連続培養においても、その培地にサイアミ
ン又はその誘導体が存在していると、APK−78の生
産性が向上維持される。又、APK−78生産性を有す
る微生物を培地に植え継ぎ保存するには、サイアミン又
はその誘導体を含有する培地に生育させることが好適で
ある。上記のサイアミン又はその誘導体の濃度はサイア
ミンとして2〜2000μg/l、好ましくは5〜10
00μg/l、より好ましくは5〜500μg/lであ
る。
【0053】上記の炭素原の中でもデンプン、マンニッ
トは好ましいものとして挙げることができ、培地中に占
める量として0.01〜30重量%、好ましくは0.1
〜20重量%で使用する。pHは5〜9位の範囲に調整
すればよい。固体培地又は液体培地の種類は問われな
い。尚、農産物廃棄物、食品産業廃棄物、発酵廃液及び
残渣類、都市ゴミ類等も炭素源、有機窒素源及びビタミ
ン類等として使用することができる。培養は、振盪、通
気撹拌等の操作で、20〜40℃で2〜15日間行なえ
ばよい。そして回分或いは連続等の培養方法が採用でき
る。前培養なしの方法或いは前培養ありの方法等、どち
らも採用できる。
【0054】上記の如くして培地中に生産されたAPK
−78は、アセトン、エタノール等の有機溶媒を用いる
沈殿法、ゲル濾過法、ゲルクロマトグラフィー法、イオ
ンクロマトグラフィー法、膜濃縮法、膜濾過法、cetylp
yridium chloride(CPC)等の塩基性物質とAPK−
78との複合体形成による沈殿物法等を適当に組み合わ
せることにより、培養液中から採取することができる。
【0055】採取されたものは適当な溶媒又は溶液に溶
かすか、乾燥するかして、又、適当な付加剤又は添加剤
等を添加して、環境汚染の油除去処理等において使用す
る油水分離剤及び排水処理において使用する微生物産生
凝集剤として使用することができる。又、本発明の微生
物の培養物をそのまま油水分離剤及び微生物産生凝集剤
とすることもできる。本発明において、培養物とは培養
物の他に培養処理物をも含むものとする。例えば、培養
液自体、それの乾燥物、濃縮物、培養液から菌体を除い
た上澄液、菌体自体及びそれらの乾燥物及び濃縮物等で
ある。カルシウム、鉄、アルミニウム等のカチオン性無
機塩を1種以上含有してなる微生物産生凝集剤は、凝集
活性が向上するので好ましい添加剤の一つである。本発
明の微生物産生凝集剤は、活性汚泥方法における活性汚
泥と処理水との分離領域において、活性汚泥のバルキン
グを効率よく防止することが出来る。又、分離領域のp
Hを、7〜9に保持することが好適である。又、被処理
排水が糸状菌を発生しやすい排水であるは、特に効果を
発揮することが出来る。
【0056】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明する。尚、文中「%」とあるのは特に断り
の無い限り重量基準である。 実施例1:本発明で使用する混合菌であるR−4菌の培
養 本発明で使用する菌の種培養及び本培養に用いる培地の
組成(%): デンプン=1% K2HPO4=0.5% KH2PO4=0.2% MgSO4・7H2O=0.02% (NH42SO4=0.05% ビーフエキス(Difco社)=0.05% サイアミン塩酸塩=0.01% 蒸溜水=残り% pH 7.0(3N KOHで調整) 殺菌条件:121℃(達温)及び15〜20分間
【0057】R−4菌を肉汁寒天平板培地に30℃で5
日間培養した。当該菌の1白金耳を液体培地80ml
(500ml容振盪フラスコ)に添加し、30℃で2日
間培養し種培養を調製した。尚、ロータリーシェイカー
を用いて当該フラスコを振盪した。当該培養液(60m
l)を5リットル容ジャーファメンター(培地3リット
ル)に添加し、30℃で3Nリットル/minの通気量
で、7日間撹拌(200〜400r.p.m.)しなが
ら培養した。生育度(OD310nmにおける濁度にて
測定)、油水分離能及びカオリン凝集活性ともに3日間
で最高値に達した後、若干減少傾向を示した。培養液の
粘度は最後まで増加した。生育度14.5(660nm
における濁度測定)、カオリン凝集活性235、粘度
1,300(cp)なる培養液を得た。尚、粘度はビス
メトロン回転粘度計を用い、SS−2ローター使用し、
25℃及び回転数30rpmの条件で測定した。
【0058】実施例2:APK−78の分離精製 実施例1のようにしてR−4菌を培養して得た培養液3
リットルを純水12リットルで希釈し、菌体を遠心分離
(28,000G及び30min)で除去し、その後、
膜濃縮機を使用して2リットルまで濃縮した。当該濃縮
液に2倍容のエタノールを添加し、繊維状の沈殿物(A
PK−78)を析出させた。当該沈殿物を遠心分離で採
取し、シリカゲル入りのデシケーターの中で、一晩減圧
乾燥した。5.5gの粗APK−78を得た(対デンプ
ン収率=31.33%)。
【0059】500mgの当該粗APK−78を蒸溜水
100mlに溶解した。次に、これに2%cetylpyridiu
m chloride(CPC)溶液50mlを撹拌しながら添加
し、数時間静置し、APK−78とCPCの複合体の沈
殿物を形成させた。当該複合体の沈殿物を遠心分離によ
り集め、0.5モルの食塩水に溶解した。これに2倍容
のエタノールを添加し、繊維状の沈殿物を得た。当該沈
殿物をエタノール及びアセトンで各々5回洗浄した後、
上記のようにして減圧乾燥した。純度検定で98%以上
のAPK−78(360mg)のを得た(対デンプン収
率、22.6%)。このことから、R−4菌の培養液に
は約2.3mg/mlのAPK−78が生産されている
ことが分かる。
【0060】上記の純度検定は次のようにして行なっ
た。上記の如くして精製されたAPK−78を、0.5
NのNaOH水溶液で加水分解し、脱アセチル化した。
得られた脱アセチル化APK−78について、酢酸セル
ロース膜を支持体として電気泳動を行った。その結果、
当該APK−78は陽極側に移動し、単一のスポットを
与えた。よって当該APK−78は純粋なものと判断し
た。
【0061】実施例3:APK−78の特質 上記の精製APK−78について分析した。 1.アミノ糖 エルソン・モーガン法により定性分析を行った。アミノ
糖は検出されなかった。 2.ウロン酸 カルバゾル・硫酸法により検出を試みたが、検出されな
かった。 3.蛋白質 ニンヒドリン法により検出を試みたが、検出されなかっ
た。 4.元素分析 窒素N、痕跡、リンP、痕跡、硫黄、痕跡。
【0062】5.構成糖 上記の精製APK−78を2Mのトリフルオロ酢酸で1
00℃で9時間加水分解した。加水分解後、減圧乾固し
た。それを純水に溶解し、分析した。定性分析:当該加
水分解物について、次の条件で薄層クロマトグラフィー
を行った。その結果、グルコース及びガラクトースのみ
が検出された。条件:プレート=シリカゲル60(0.
5M NaHPO4)、展開相=イソプロピルアルコー
ル:アセトン:0.1M乳酸(2:2:1 重量比)。
【0063】定量分析: 上記加水分解物について、次の条件でHPLCによる分
析を行った。その結果、APK−78は、ガラクトース
1モルに対してグルコース8.2モルの割合で構成され
ていることが判明した。 条件:装置=島津(Shimadzu)LC−9A、検出器=島
津分光光度計RF−534、カラム=TSK−gel
Sugar AXG 15cm×4.6mmI.D.
(東ソ)。
【0064】6.構成有機酸 APK−78を、糖と同様に加水分解した。加水分解物
について、薄層クロマトグラフィーによる定性及び同定
分析を次の条件で行なった。その結果コハク酸とピルビ
ン酸が検出された。
【0065】定性分析: プレート=セルロースF254S又はシリカゲルF25
4、展開相=ブタノール:ギ酸:水(4:1.5:1
重量比)又はアミルアルコール:0.25Mアンモニア
(2:1 重量比)。
【0066】定量分析: 加水分解物について次の条件でHPLC分析を行った。
装置=島津LC−7A、検出器=島津紫外分光光度計S
PD−6A、カラム=Excelpak CHA-E11 30cm×
7.8mmI.D.(HP)、カラム温度=40℃、移
動相=0.01M硫酸、移動速度=0.5ml/mi
n、検出波長=210nm.その結果、コハク酸とピル
ビン酸が、構成糖であるガラクトース1モルに対して各
々2.1±0.4モル及び1.2モル含まれていること
が分かった。
【0067】7.分子量 脱アセチル化したAPK−78について、トヨパールH
W75Fゲルカラムを使用するゲルクロマトグラフィー
でAPK−78の分子量を求めた(図2参照)。ブルー
デキストランよりも先にAPK−78のピークが出現す
るので、分子量は2×106以上であると判断された。
【0068】8.IRスペクトル 2,700〜3,700cm-1に水酸基の吸収、170
0cm-1及び1,160cm-1にカルボキシルエステル
結合の吸収、そして1,600cm-1及び1,400c
-1にイオン化カルボキシル基の吸収を示した。
【0069】9.溶媒に対する溶解性 水に可溶、アルカリに易溶、メタノール及びアセトンに
不溶であった。 10.粘度特性 ビスメトロン回転粘度計で、SS−2 ローターを使用
し、25℃及び回転数2〜60rpmの条件で測定し
た。対照物質として下記の比較例1で調製したAPR−
3を用いた。両物質はNa型(塩)にして測定した。濃
度は0.5%溶液とした。その結果を図3に示した。ど
ちらもシュードプラスチック流動特性を示した。APK
−78はAPR−3よりも約2.5倍高粘度であった。
【0070】11.1HNMR及び13CNMR分析 条件: c)1HNMR 装置=Varian社UNITY INOVA-600型、観測周波数=59
9.8MHz、溶媒=D2O、濃度=4.75mg/
0.65ml、基準=アセトン(δCH3=2.22p
pm)、温度=30℃、50℃、観測幅=6kHz、デ
ータ点=64K、パルス幅=45°、パルス繰返し時間
=7sec、積算回数=32。
【0071】d)13CNMR 装置=JEOL GSX400型、観測周波数=100.5MH
z、溶媒=D2O、濃度=108.6mg/2.5m
l、基準=ジオキサン(δ=67ppm)、ジオキサン
/D2O溶液を測定し、基準にした。温度=70℃(1
08.6mg/2.5ml溶液)、観測幅=20kH
z、データ点=32K、パルス幅=45°、パルス繰返
し時間=2sec、積算回数=54600。 e)DEPT(下記以外13CNMRと同条件) DEPT角=135℃、パルス繰返し時間=2.5se
c、積算回数=8000。
【0072】上記のスペクトルは図1、4〜12に示し
た。これらのスペクトルを解析して、次の結果を得た。 (a)グルコース及びガラクトースの1位はβ型であ
る。 (b)グルコースの結合様式はβ1−3、β1−3、β
1−4、β1−6の全てが存在する。 (c)ピルビン酸は図13のように構造で結合してい
る。 (d)芳香族化合物は含まれていない。 以上の特性を有する高分子物質は、現在まで発見されて
いないので、新規物質と認定した。
【0073】比較例1 KYM−3、KYM−4、KYM−5、及びKYM−7
からなる複合微生物R−3菌(Biochi.Biot
ech.Biochem.、58巻、1589〜159
4頁、1994年)を実施例1と同様に培養して、培養
液3リットルから純度98%以上のAPR−3を5.1
3g得た。APK−78の収率と比較すると30%少な
かった。
【0074】実施例4 上記のAPR−3を用いて、実施例3と同様にして糖及
び有機酸の組成(モル比)を調べた結果、次の如くであ
った。 ガラクトース=1.0、グルコース=5.6±0.1、
フコース=0.7、コハク酸=0.6±0.1、ピルビ
ン酸=2.5±0.1。APK−78とは大幅に異なる
モル比であり、APK−78には存在しなかったフコー
スが存在していた。
【0075】実施例5 実施例1で得たAPK−78及び比較例1で得たAPR
−3の粉末について、海水を用いて各々の溶液(50m
g/1ml海水)を調製し、その内の20mlを使用し
て、各々について上記の油水分離能測定法により油水分
離能を測定し、下記表6の通りの結果を得た。
【0076】
【表6】 表6から分かるように、本発明のAPK−78は油水分
離能を有することは明らかである。又、APR−3のも
のより高活性を有する。尚、本実施例は海水を用いた例
であるが、通常の水道水を用いても同様な結果が得られ
た。
【0077】実施例6 上記の本発明で使用する混合菌R−5菌を用いて、実施
例1と同様に培養し、その培養の経時変化を調べた。そ
の結果を図14に示した。図14から分かるように培養
3日間でカオリン凝集活性は最高値に達した。尚、活性
は培養液の上澄液について測定した。APK−78生産
能を有しないが、微生物産生凝集剤を生産することが知
られているロードコッカス・エリスロポレスKR−25
6−2(FERM P−3923)を対照菌株として採
用し、R−5菌と同様の条件で培養した結果を図15に
示した(比較例1参照)。図14及び図15から分かる
ように、R−5菌は格段に活性が高い培養液を生産する
ことが分かる。尚、生育度は660nmにおける濁度測
定によった。又、図15においてはロードコッカス・エ
リスロポレスKR−256−2がAPK−78を生産し
ないので、APK−78の生産量に替えて粘度測定値を
もって凝集活性物質の生産量を表示した。
【0078】比較例2 ロードコッカス・エリスロポレスKR−256−2(F
ERM P−3923)を、実施例1と同様な条件で培
養して得た培養液の上澄液について、膜濃縮により25
倍の濃縮を行い、APK−78溶液(50mg/1ml
海水)の調製条件と同様なものにした。実施例4と同様
の条件で油水分離能を測定し、下記表7の結果を得た。
【0079】
【表7】
【0080】実施例7 KYM−1〜KYM−8を図17に示したような組み合
わせてなる複合微生物R−4〜R−9及びKYM−1〜
KYM−8の単独菌を用いて、実施例1と同条件で培養
した。そして、図16に示すような結果を得た。
【0081】実施例8 R−4菌を、サイアミン添加又は無添加のニュ−トエン
トアガー(nutrient agar)(Difco)の斜面培地に5代
植え継いで、APK−78の生産性を比較した。APK
−78の生産性は、実施例1と同様の条件で培養して、
培養液中のAPK−78を定量することにより行った。
その結果、添加した培地に植え継いだものは、APK−
78を1600mg/l生産していたが、無添加培地に
植え継いだものは、200mg/lしか生産されていな
かった。
【0082】
【発明の効果】本発明のAPK−78は、高分子物質
で、活性の高い油水分離能及びカオリン凝集活性を有す
る新規物質である。そして、高活性の油水分離剤及び微
生物産生凝集剤として使用できる。それ故に、環境汚染
の油水分離処理において、又、排水処理において、それ
らの処理を効率よく達成することができる。本発明のA
PK−78生産能を有する微生物、特にAPK−78生
産能を有する微生物を、少なくとも1種を含む複合微生
物を培養することにより、簡便且つ効率よくAPK−7
8を大量生産することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 APK−78の1HNMRスペクトル
【図2】 APK−78のゲルクマトグラフィーパター
ン。
【図3】 APK−78及びAPR−3の粘度特性。
【図4】 APK−78の1HNMRスペクトル。但
し、5〜32ppmの範囲の拡大図。
【図5】 APK−78の13CNMRスペクトル。
【図6】 APK−78の13CNMRスペクトル。但
し、55〜90ppmの範囲の拡大図。
【図7】 APK−78の13CNMRスペクトル。但
し、10〜45ppmの範囲の拡大図。
【図8】 APK−78の13CNMRスペクトル。但
し、172〜186ppm及び96〜110ppmの範
囲の拡大図。
【図9】 APK−78のDEPTスペクトル。
【図10】 APK−78のDEPTスペクトル。但
し、55〜90ppmの範囲の拡大図。
【図11】 APK−78のDEPTスペクトル。但
し、10〜45ppmの範囲の拡大図。
【図12】 APK−78のDEPTスペクトル。但
し、96〜110ppmの範囲の拡大図。
【図13】 ピルビン酸の結合様式
【図14】 R−4菌の培養の経時変化。
【図15】 ロードコッカス・エリスロポレスKR−2
56−2(FERM P−3923)菌株の培養の経時
変化。
【図16】 本発明で用いるKYM−8〜KYM−7の
各単独菌、及びAPK−78生産能を有する複合微生物
であるR−4〜R−9菌のAPK−78生産性比較。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 1/38 C12N 1/38 //(C12N 1/20 C12R 1:01) 微生物の受託番号 FERM P−11358 微生物の受託番号 FERM P−16806 (72)発明者 倉根 隆一郎 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技 術院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 花田 智 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技 術院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 蔵田 信也 東京都千代田区東神田1−9−8 環境 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 山田 一隆 東京都千代田区東神田1−9−8 環境 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 横幕 豊一 東京都千代田区東神田1−9−8 環境 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小山 修 東京都千代田区東神田1−9−8 環境 エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 古庄 健太 東京都千代田区東神田1−9−8 環境 エンジニアリング株式会社内 審査官 新見 浩一 (56)参考文献 日本農芸化学会誌,Vol.73,臨時 増刊号,1999年度大会講演要旨集,P. 276(Mar.1999) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 1/00 B01D 21/01 C02F 1/54 C07G 17/00 C12N 1/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の特性を有することを特徴とする新
    規高分子物質APK−78。 (1)油水分離能を有する。 (2)凝集活性を有する。 (3)アミノ糖(エルソン・モーガン法):検出されな
    い。 (4)ウロン酸(カルバゾール・硫酸法):検出されな
    い。 (5)蛋白質(ニンヒドリン法):検出されない。 (6)元素分析:窒素N、リンP及び硫黄Sは痕跡。 (7)構成する糖及び有機酸の組成(モル比):ガラク
    トース1、グルコース8.2、コハク酸2.1±0.
    4、ピルビン酸1.2。 (8)分子量:2×106以上。 (9)粘度(ビスメトロン回転粘度計、SS−2ロータ
    ー、25℃、回転数30rpm、溶媒は純水、Na型A
    PK−78の0.5重量%濃度溶液):250cp。 (10)溶媒溶解性:水に可溶、アルカリに易溶、メタ
    ノール、エタノール及びアセトンに不溶。 (11)IRスペクトル吸収帯(cm-1):2,700
    〜3,700、1,730、1,600、1,400、
    1,160。 (12)図1に記載の1HNMRのスペクトルを有す
    る。
  2. 【請求項2】 新規微生物菌株アグロバクテリウム・テ
    ュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)K
    M−8(FERM P−16806)。
  3. 【請求項3】 APK−78生産能を有するセルロモナ
    ス・セルランスKYM−7株(FERM P−1135
    8)又はアグロバクテリウム・テュメファシエンスKY
    M−8株(FERM P−16806)を固体培地又は
    液体培地に培養することより、当該培地中に請求項1に
    記載のAPK−78を生産させ、当該物質を採取するこ
    とを特徴とするAPK−78の生産方法。
  4. 【請求項4】 APK−78生産能を有するセルロモナ
    ス・セルランスKYM−7株(FERM P−1135
    8)又はアグロバクテリウム・テュメファシエンスKY
    M−8株(FERM P−16806)をサイアミン又
    はその誘導体を含有する培地に培養する請求項3に記載
    のAPK−78の生産方法。
  5. 【請求項5】 APK−78生産能を有するセルロモナ
    ・セルランスKYM−7株(FERM P−1135
    8)及びアグロバクテリウム・テュメファシエンスKY
    M−8株(FERM P−16806)を、少なくとも
    含む複合微生物を培養する請求項3又は4に記載のAP
    K−78の生産方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、3、4、又に記載のAP
    K−78を主成分として含有してなることを特徴とする
    微生物産生凝集剤。
  7. 【請求項7】 カチオン性無機塩を一種以上を含有する
    請求項に記載の微生物産生凝集剤。
  8. 【請求項8】 請求項又はに記載の微生物産生凝集
    剤を懸濁物含有排水に接触せしめることを特徴とする排
    水凝集処理方法。
  9. 【請求項9】 活性汚泥方法による排水凝集処理方法に
    おいて、請求項又はに記載の微生物産生凝集剤を処
    理系に存在させ、活性汚泥と処理水との分離領域におい
    て、活性汚泥のバルキングを防止することを特徴とする
    排水凝集処理方法。
  10. 【請求項10】 活性汚泥の分離領域のpHを、7〜9
    に保持する請求項又はに記載の排水凝集処理方法。
  11. 【請求項11】 被処理排水が糸状菌を発生しやすい排
    水である請求項、又は10に記載の排水凝集処理
    方法。
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