JP2000237546A - 造水方法 - Google Patents

造水方法

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JP2000237546A
JP2000237546A JP23963999A JP23963999A JP2000237546A JP 2000237546 A JP2000237546 A JP 2000237546A JP 23963999 A JP23963999 A JP 23963999A JP 23963999 A JP23963999 A JP 23963999A JP 2000237546 A JP2000237546 A JP 2000237546A
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water
separation
reverse osmosis
seawater
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JP23963999A
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Takuhei Kimura
拓平 木村
Yoshinari Fusaoka
良成 房岡
Tsuguhito Itou
世人 伊藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】海水の淡水化などの膜分離装置において、膜の
確実な殺菌方法の提供し、効率的な造水方法を提供す
る。 【解決手段】膜を用いて水を処理するにあたり、大腸菌
の生存率が1%以下となるように供給水のpHをコント
ロールしながら造水する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は膜分離による造水方
法、特に逆浸透法による脱塩、分離、更には逆浸透法に
よる海水淡水化を行うときに用いることができる造水方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜による分離技術は、海水及びカン水の
淡水化、医療、工業用純水、超純水の製造、工業廃水処
理など幅広い分野に利用されている。これら膜分離にお
いて、微生物による分離装置の汚染は、得られる透過水
の水質悪化や、膜面上での微生物増殖あるいは微生物お
よびその代謝物の膜面への付着などによる膜の透過性、
分離性の低下をもたらす。このような重要な問題を回避
するため、膜分離装置の殺菌法が種々提案されている
が、一般的には殺菌剤を常時、あるいは間欠的に供給液
に添加する方法がとられている。殺菌剤としては、実績
があり、価格、操作面でも有利な塩素系殺菌剤を0.1
〜50ppm程度の濃度になるよう添加するのが最も一
般的である。ただし塩素系殺菌剤は逆浸透膜の化学的劣
化をもたらすため、該殺菌剤を使用した場合は逆浸透膜
に供給する前に、還元剤を用いて遊離塩素を還元する必
要がある。還元剤としては一般的に亜硫酸水素ナトリウ
ムを1〜10倍当量添加する。これは残存殺菌剤を完全
に消去すると同時に、還元剤が溶存酸素とも反応するこ
とを考慮した濃度である。ところが、本方法で運転を続
けても膜性能の低下する場合があることから、このよう
な操作方法が微生物を殺菌するのに必ずしも充分ではな
いことが明らかになってきた。これについては、塩素を
添加することによって、供給液中に存在する有機炭素が
酸化され、微生物に分解されやすい化合物に変換される
という説もある(A. B. Hamida and I. Moch, jr., Des
alination & Water Reuse, 6/3, 40〜45, (1996).)
が、実証はされていない。そこで間欠的に亜硫酸水素ナ
トリウムを、通常500ppmの濃度で添加することに
よって殺菌する方法が開発され、一般的に使用されるに
至ったが、本方法も場合によって有効とは言い難く、微
生物が膜に堆積することが次第に明らかになってきてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】亜硫酸水素ナトリウム
の殺菌効果としては、供給液中の酸素を除去できるこ
と、pHを低下させること、などが挙げられる。しかし
膜装置の運転に際して、亜硫酸水素ナトリウムの間欠添
加の殺菌が効果的とは言い難い現状である。本発明者ら
はその原因を究明し、中性〜弱アルカリ性で生息する一
般の好気性細菌にとって嫌気状態は、生育は押さえられ
ても死に至る環境ではなく、むしろpHの低下が最も殺
菌に有効であるという結論に達した。これは微生物学的
に見ても矛盾しない結論といえる。一方海水のように塩
濃度の高い供給液では、500ppmという高濃度の亜
硫酸水素ナトリウムを添加しても、一般の細菌は死滅す
るほどpHが下がらないことが判明した。従って、より
低濃度の塩を含む供給液においても、亜硫酸水素ナトリ
ウムの殺菌効果が、嫌気状態になることが原因ではな
く、pHの低下が効果的であり、高価な亜硫酸水素ナト
リウムを高濃度添加する必要はなく、単に硫酸など安価
な酸を添加してpHを低下させるだけで、充分殺菌でき
ることを見出し、本発明に到達したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記の構
成により達成される。即ち本発明は、「分離膜を用いて
造水するにあたり、大腸菌の生存率が1%以下となるよ
うに供給水のpHをコントロールしながら造水すること
を特徴とする造水方法。」からなるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、膜分離装置とは
造水、濃縮、分離などの目的で、被処理液を加圧下で膜
モジュールに供給し、透過液と濃縮液に分離するための
装置をいう。膜モジュールには逆浸透膜モジュール、限
外ろ過膜モジュール、精密ろ過膜モジュールなどがあ
り、膜分離装置はそこで主に使用する膜モジュールの種
類によって逆浸透膜装置、限外ろ過膜装置、精密ろ過膜
装置に分けられるが、具体的には逆浸透膜装置が挙げら
れる。逆浸透膜装置は、通常は逆浸透膜エレメント、耐
圧容器、加圧ポンプなどで構成される。該逆浸透膜装置
に供給される被分離液は通常、殺菌剤、凝集剤、さらに
還元剤、pH調整剤などの薬液添加と凝集、沈殿、砂濾
過、ポリッシングろ過、活性炭濾過、精密ろ過、限外ろ
過、保安フィルターなどの前処理が行なわれる。例え
ば、海水の脱塩の場合には、海水を取込んだ後、沈殿池
で粒子などを分離し、またここで塩素などの殺菌剤を添
加して殺菌を行なう。さらに塩化鉄、ポリ塩化アルミニ
ウムなどの凝集剤を添加して砂濾過を行なう。濾液は貯
槽に貯められ、硫酸などでpHを調整した後高圧ポンプ
に送られる。この送液中に亜硫酸水素ナトリウムなどの
還元剤を添加して殺菌剤を消去し、保安フィルターを透
過した後、高圧ポンプで昇圧されて逆浸透モジュールに
供給される。ただし、これらの前処理は用いる供給液の
種類、用途に応じて適宜採用される。
【0006】ここで逆浸透膜とは、被分離混合液中の一
部の成分、例えば溶媒を透過させ他の成分を透過させな
い半透性の膜である。ナノフィルトレーション膜または
ルースRO膜なども広い意味では逆浸透膜に含まれる。
その素材には酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、
ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分
子素材がよく使用されている。またその膜構造は膜の少
なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるい
はもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有
する非対称膜、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成
された非常に薄い活性層を有する複合膜がある。膜形態
には中空糸、平膜がある。中空糸、平膜の膜厚は10μ
m〜1mm、中空糸の外径は50μm〜4mmである。
また平膜では非対称膜、複合膜は織物、編み物、不織布
などの基材で支持されていることが好ましい。しかし、
本発明の方法は、逆浸透膜の素材、膜構造や膜形態によ
らず利用することができ、いずれも効果がある。代表的
な逆浸透膜としては、例えば酢酸セルロース系やポリア
ミド系の非対称膜およびポリアミド系、ポリ尿素系の活
性層を有する複合膜などがあげられる。これらの中で
も、酢酸セルロース系の非対称膜、ポリアミド系の複合
膜に本発明の方法が有効であり、さらに芳香族系のポリ
アミド複合膜では効果が大きい(特開昭62−1216
03号公報、特開平8−138658号公報、米国特許
第4277344号明細書)。
【0007】逆浸透膜モジュールとは、上記逆浸透膜を
実際に使用するために形態化したものであり、平膜はス
パイラル、チューブラー、プレート・アンド・フレーム
のモジュールに組み込んで、また中空糸は束ねた上でモ
ジュールに組み込んで使用することができるが、本発明
はこれらの逆浸透膜モジュールの形態に左右されるもの
ではない。
【0008】また、逆浸透膜モジュールはスパイラル形
状では供給水の流路材、透過水流路材などの部材を組み
込んでおり、これら部材の構成はいずれの物を用いても
良いが特に高濃度用、高圧用に設計されたモジュールで
効果がある(特開平9−141060号公報、特開平9
−141067号公報)。
【0009】逆浸透膜装置の運転圧力は0.1MPa〜
15MPaであり、供給液の種類、運転方法などで適宜
使い分けられる。かん水や超純水など浸透圧の低い溶液
を供給液とする場合には比較的低圧で、海水淡水化や廃
水処理、有用物の回収などの場合には比較的高圧で使用
される。
【0010】逆浸透膜装置の運転温度は0℃から100
℃の範囲であり、0℃よりも低いと供給液が凍結して使
用できず、100℃よりも高い場合には供給液の蒸発が
起こり使用できない。
【0011】また、分離装置の回収率は5から100%
まで分離操作、装置に応じて設定することが出来る。逆
浸透膜装置の回収率は5から98%の間で適宜選択する
ことが出来る。ただし、供給液や濃縮液の性状、濃度、
浸透圧に応じて前処理、運転圧力、を考慮しなければな
らない(特開平8−108048号公報)。例えば海水
淡水化の場合には、通常10〜40%、高効率の装置の
場合には40〜70%の回収率である。かん水淡水化や
超純水製造の場合には70%以上、90〜95%の回収
率で運転することもできる。
【0012】逆浸透装置の構成は主に高圧ポンプと逆浸
透膜モジュールからなるが、高圧ポンプは装置の運転圧
力に応じて最適のポンプを選定することができる。
【0013】また、逆浸透膜モジュールの配列は1段で
使用することもできるが供給水に対して直列、並列に多
段に配列することが出来る。直列に配列する場合は逆浸
透膜モジュールの間に昇圧ポンプを設置することが出来
る。海水淡水化の直列の配列では装置コストの観点から
特に2段の配列が好ましく、直列に配列したモジュール
の間に昇圧ポンプを設置して供給液を1.0〜5.0M
Pa程度、昇圧して後段のモジュールに供給することが
好ましい(特開平8−108048号公報)。供給液に
対して直列に配列した場合には膜モジュールと供給水が
接触する時間が長いので本発明の方法の効果が大きい。
さらに、逆浸透膜モジュールは透過水に対して直列に配
列することもできる。透過水の水質が不十分な場合や透
過水中の溶質成分を回収したい場合には好ましい方法で
ある。透過水に対して直列に配列する場合には、間にポ
ンプを設置し、透過水を再び加圧するか、前段で余分に
圧力をかけておき背圧をかけて膜分離することが出来
る。透過水に対して直列に配置する場合には後ろの膜モ
ジュール部分の殺菌を行うために酸の添加装置を膜モジ
ュールと膜モジュールの間に設ける。
【0014】逆浸透膜の装置においては供給水のうち膜
を透過しなかった部分は濃縮水として膜モジュールから
取り出される。この濃縮水は用途に応じて処理した後に
廃棄したり、さらに他の方法で濃縮することも可能であ
る。また、濃縮水はその一部又は全てを供給水に循環す
ることもできる。膜を透過した部分においても用途に応
じて廃棄したり、そのまま利用したり、あるいは供給水
にその一部又は全てを循環することができる。
【0015】一般に逆浸透装置の濃縮水は圧力エネルギ
ーを有しており、運転コストの低減化のためにはこのエ
ネルギーを回収することが好ましい。エネルギー回収の
方法としては任意の部分の高圧ポンプに取り付けたエネ
ルギー回収装置で回収することもできるが、高圧ポンプ
の前後や、モジュールの間に取り付けた専用のタービン
タイプのエネルギー回収ポンプで回収することが好まし
い。また、膜分離装置の処理能力は一日当たり水量で
0.5m3〜100万m3の装置である。
【0016】また本発明が使用される分離装置では、装
置配管は出来るだけ滞留部の少ない構造とすることが好
ましい。
【0017】本発明において、pHを4以下にすること
は膜に対して高い殺菌効果を提供する上で極めて重要で
あり、特に海水を供給水として使用する膜濾過において
この効果は顕著である。微生物の死滅するpHは個々の
微生物に特有であり、例えば大腸菌の場合生育の下限は
pH4.6であるが、死滅はpH3.4以下でおこる。
一方海水中にも多種多様の微生物が存在し、それぞれ死
滅するpHが異なる。しかし、本発明において、多種の
生菌を含む海水をpH4以下に一定時間保持すれば、5
0〜100%を死滅させることが可能である。またpH
3.9以下の酸性度、さらにpH3.7以下の酸性度
も、海水由来の菌を死滅させるという観点で好ましい範
囲である。pHを所望の状態にするためには、通常は酸
を用いる。酸としては、有機酸、無機酸いずれを用いて
も差し支えないが、経済的な面を考えると、硫酸を用い
ることが好ましい。また硫酸の添加量は供給液の塩濃度
に比例する。例えば加圧滅菌(120℃、15分)した
生理食塩水(食塩濃度0.9%)では硫酸50ppmの
添加でpH3.2まで低下するが、加圧滅菌(120
℃、15分)した3カ所の海水および市販の人工海水
(塩濃度約3.5%)では、硫酸を100ppm添加し
た場合でもpH5.0〜5.8であった。これは主に海
水のMアルカリ度によって大きく変動すると考えられ
る。さらにpH4以下にするためには、120ppm以
上の添加が好ましい。最大添加量は経済性や配管等設備
への影響を考えると、400ppm、更に好ましくは3
00ppmである。なお上記の海水、人工海水への硫酸
添加濃度を更に150ppm、200ppmとすると、
それぞれpH3.2〜3.6、pH2.8〜2.9と、
添加濃度が高くなるに従ってpH変動は減少する。
【0018】膜の殺菌は、被処理水が前処理を終えて膜
モジュールに供給される工程において、間欠的に実施さ
れる。その添加時間、添加頻度は、使用場所、使用条件
などで大きく異なる。例えば、0.5〜2.5時間の添
加を1日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごと、と言った間隔
で行うことができる。これらは膜の透過水量の減少、濃
縮液の生菌数や含有有機炭素の増加、膜圧の上昇などに
よって変動する。また非連続使用の場合は、休止時に膜
を浸漬することで実施することも可能である。
【0019】さらに、上記の殺菌方法は、塩素などの他
の殺菌方法と併用することも可能である。
【0020】上記の膜の殺菌方法は、単に膜分離装置の
みならず、膜分離装置を一部に含む水の分離システムに
も適用できる。例えば以下に示す構成のシステムであ
る。 A.取水装置。これは原水を取り込む装置であって、通
常取水ポンプ、薬品注入設備などで構成される。 B.取水装置に連通した前処理装置。これは分離膜装置
に供給する水を前処理して所望の程度まで精製するもの
である。例えば以下の順に構成することができる。 B−1 凝集濾過装置。 B−2 ポリッシング濾過装置。ただし前記B−1、B
−2の替わりに限外濾過装置や精密濾過装置を用いても
良い。 B−3 凝集剤、殺菌剤、pH調整剤などの薬品注入設
備。 C.前処理装置に連通し必要に応じて設置される中間
槽。これは水量調節、水質の緩衝作用の機能を提供する
ものである。 D.Cを設置する場合には中間槽に連通し、またはCを
設置しない場合には前処理装置から連通したフィルタ
ー。これは膜分離装置に供給される水の固形不純物を除
去する。 E.膜分離装置。高圧ポンプおよび分離膜モジュールか
らなる。膜分離装置は複数設置して、これらを並列に設
置しても、直列に設置してもよい。直列に設定する場合
には、後段の分離膜装置に供給する水圧を上げるための
ポンプを膜分離装置間に設けることができる。 F.膜分離装置の膜透過側出口部分に連通した後処理装
置。以下の装置が例示される。 F−1 脱気装置。これは脱炭酸の機能を有するもので
ある。 F−2 カルシウム塔。 F−3 塩素注入。 G.膜分離装置の原水側出口部分に連通した後処理装
置。以下の装置が例示される。 G−1 pHを4とした供給液を処理する装置。例えば
中和装置。 G−2 放流設備。 H.その他、廃水の処理装置を適宜設けても良い。
【0021】このような装置においては任意のところに
ポンプを設けることができる。またpHを4と以下とす
るために薬剤または薬剤の溶液を添加するのは、Aの取
水装置、Bの前処理装置において、もしくは前処理装置
の前、または、Dのフィルターの前、もしくはフィルタ
ーの後であることが好ましい。
【0022】また、上記の効果をより高めるために、酸
添加装置は自動制御できるものが好ましく、適宜注入量
をコントロールできるポンプを備え付けていることが好
ましい。また、コントロールのために装置内の適当な箇
所に供給液、濃縮液のpHを測定する装置を備え付けて
いることが好ましい。また、間欠的添加をコントロール
するために時間を測定できる装置を有していることが好
ましい。さらに好ましくは自動運転できる自動制御装置
を具備してなることが好ましい。
【0023】上記の装置はその構成部材、例えば配管、
バルブなどはpH4以下の条件で変化しにくいものを使
用する。
【0024】pHを4以下とすることによって高い殺菌
効果が得られると同時に、配管内のスケールを除去でき
るという効果も得ることができる。さらには、塩素等の
酸化物による膜劣化を防止するために亜硫酸水素ナトリ
ウムを添加する場合があるが、その添加量が膜面上に付
着する微生物(イオウ細菌などが考えられる)、金属塩
等の影響で、増加するような場合に、本発明の酸性水に
よって膜分離装置を処理によってその添加量を著しく低
減できる効果も得ることができる。
【0025】上記の方法は、膜を用いる分離に好適に使
用できるが、特に水溶液の分離に効果が大きい。さら
に、分離の用途としては精密ろ過膜を用いた液体と固形
分の分離・濃縮、限外ろ過膜を用いた濁質分の分離・濃
縮、逆浸透膜を用いた溶解成分の分離・濃縮に効果があ
る。特に、海水の淡水化や、かん水の淡水化、工業用水
の製造、超純水、純水の製造、医薬用水の製造、食品の
濃縮、水道原水の除濁、水道における高度処理で効果が
大きい。従来の酸化性殺菌剤で分解しやすい有機物、等
を分離・濃縮する場合にも、殺菌による分解なしで濃
縮、回収することができ、上記の方法の効果が大きい。
また、飲料水製造の場合には塩素殺菌によるトリハロメ
タン発生を防止できる効果がある。特に上記の殺菌方法
は海水に起因する菌に対して有効である。
【0026】一般に、膜分離装置より前に供給水を処理
する工程、例えば前記A〜Dの装置における殺菌は、い
ずれかのところで、従来の技術の欄で説明したとおり塩
素系殺菌剤の連続、又は間欠注入が実施されている。こ
の方法により供給水は耐性菌が出現しない限りほぼ完全
に殺菌できるが、塩素系殺菌剤が通常は逆浸透膜の化学
的劣化をもたらすため、膜分離装置の手前で亜硫酸水素
ナトリウムを代表とする還元剤を添加する。しかし、還
元剤により塩素を除去した後の供給水は微生物が容易に
繁殖できる状態となる。しかも殺菌剤添加前の原海水の
ように種々雑多な微生物ではなく、かなり選別された微
生物群がそこに存在し、その中には耐酸性菌も多く含ま
れることになる。また亜硫酸水素ナトリウムを代表とす
る還元剤添加が不充分な場合は、塩素系殺菌剤が完全に
は消去できずに膜の劣化をもたらす場合があるが、一方
過剰添加することによってある種の細菌が繁殖すること
もある。従って本発明の膜分離装置の供給液に、硫酸な
どの酸を添加して殺菌方法を実施する際には、塩素系殺
菌剤を添加しないことが好ましいが、この場合は逆に前
の処理工程で生物が繁殖することになる。
【0027】この問題に対しては、間欠的に、前工程に
おいて塩素系殺菌剤、および膜分離装置への供給前に還
元剤を注入することによって、非注入時に前処理工程の
配管や濾過槽等に付着、堆積した生物を殺菌することで
解決される。この方法によれば、同時に膜の劣化を防止
するためにも有効である。塩素系殺菌剤の時間的な注入
間隔は原海水の水質、すなわち生物の存在状態に合わせ
て、1日〜6ヶ月に1回、30分〜2時間程度実施すれ
ばよい。この塩素系殺菌剤の添加時期に合わせて、かつ
塩素系添加剤を含有する水の移動にともなった時間に、
前処理装置と膜分離装置との間に還元剤を供給して、塩
素系殺菌剤を非活性化するのがよい。さらに、その時期
に合わせて膜分離装置の供給液に、硫酸などの酸を添加
して、膜分離装置の殺菌を実施するのがよい。この様
な、前処理工程に対する間欠的塩素殺菌剤注入方法は、
連続的な殺菌剤の注入に対して、薬品代など処理費の著
しい低減効果をもたらすが、これは上記の酸による膜分
離装置の殺菌方法が存在してはじめて達成されるもの
で、従来の高濃度の亜硫酸水素ナトリウム添加による膜
の殺菌方法では、殺菌効果が不十分なため到底実施でき
るものではなかったのである。
【0028】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定され
るものではない。 実施例1 加圧滅菌(120℃、15分)後硫酸を添加してpHを
調整した生理食塩水(食塩濃度0.9%)に、大腸菌
Escherichia coli K12 IFO 3301)の懸濁液をそれぞ
れ一定量ずつ加え、20℃で一定時間保持した後に残存
する生菌数を添加時の生菌数で割って生存率を求めた。
この結果、硫酸10ppmの添加(pH4.7)では
2.5時間保持しても生存率は90%以上であったが、
50ppmの添加(pH3.2)では、0.5時間の保
持で生存率が90%、1時間で20%、2.5時間で1
%以下となった。硫酸を100ppm添加すれば、0.
5時間の保持で1%以下の生存率となった。 実施例2 加圧滅菌(120℃、15分)後硫酸を添加してpHを
調整した市販の3.5%人工海水に、実施例1で使用し
た大腸菌、海水の脱塩に使用した逆浸透膜の堆積物懸濁
液、およびその懸濁液から分離した中で最も数の多かっ
た未同定細菌をそれぞれ一定量ずつ加え、20℃で一定
時間保持した後の生存率を求めて表2の結果を得た。な
お比較のため、硫酸に代えて亜硫酸水素ナトリウムを5
00ppm添加した結果も列記した。表1から、pH
4.0以下に0.5時間以上保持することによって極め
て高い殺菌効果が提供されることが理解できる。
【0029】
【表1】 実施例3 海水を供給水として用い、ポリアミドからなる逆浸透膜
を用いた膜分離装置2機を同時並行で運転し、淡水への
逆浸透濾過を行った。このうち1機は、前処理後の海水
に硫酸を加えてpHを3.5〜4.0に調整した供給水
を、1日に30分通水した。1ヶ月間連続運転を行った
結果、硫酸を加えなかったほうの装置は膜圧の上昇が見
られたが、硫酸を加えたほうは変化がなかった。また通
常運転時に濾過濃縮水の生菌数を測定したところ、硫酸
処理を行った後の装置では、硫酸処理をしていない装置
と比較して、1/100以下に減少していた。 実施例4 寒天塗抹法で測定した生菌数が1mlあたり200個で
ある海水を供給水として用い、ポリアミドからなる逆浸
透膜を用いた膜分離装置を運転して逆浸透分離を行っ
た。前処理工程において供給海水に塩素の残存濃度が1
ppmとなるよう塩素系殺菌剤を連続添加し、逆浸透膜
モジュールの手前で亜硫酸水素ナトリウムを添加した。
亜硫酸水素ナトリウムの添加濃度は、逆浸透膜モジュー
ルから排出されるブライン中の残存濃度が1ppm以上
になるように調節した。亜硫酸水素ナトリウムの消費量
は当初5ppmであったのが、10日間連続運転を行っ
た結果、35ppmまで上昇した。この間膜差圧は約
0.01MPa上昇した。硫酸を加えてpHを3〜4に
調整した供給水を、1日30分通水したところ、亜硫酸
水素ナトリウムの消費量は8ppmまで減少した。その
時の膜差圧は0.01MPa上昇した状態を維持してい
た。 実施例5 寒天塗抹法で測定した生菌数が1mlあたり20万個で
ある海水を供給水として用い、ポリアミドからなる逆浸
透膜を用いた膜分離装置を運転して逆浸透分離を行っ
た。前処理工程では塩素系殺菌剤を1ppm、脱塩素剤
として亜硫酸水素ナトリウムを6ppm、それぞれ連続
注入し、膜分離工程では亜硫酸水素ナトリウム500p
pmを1週間に1時間添加した。約1ヶ月経過後膜差圧
は約0.02MPa上昇した。同じ装置を用いて、前処
理工程では、塩素系殺菌剤1ppmを1日1時間、亜硫
酸水素ナトリウム6ppmを1日3時間それぞれ間欠的
に添加し、膜分離工程では硫酸を加えてpH4に調整し
た供給水を1日1時間通水した。約1ヶ月経過しても膜
差圧はほとんど変化しなかった。 実施例6 前処理工程までは実施例5の後半と同じ条件で、膜分離
工程での殺菌を行わないで50日間運転した結果、膜差
圧が0.03MPa上昇した。この時点から膜分離工程
で硫酸を加えてpH3に調整した供給水を1日1時間通
水した結果、8日後には膜差圧が0.015MPa低下
した。さらに膜分離工程での殺菌を中止して20日間運
転した結果、膜差圧が0.02MPa上昇した。この時
点から膜分離工程で硫酸を加えてpH4に調整した供給
水を1日1時間通水した結果、12日後には膜差圧が
0.012MPa低下した。
【0030】
【発明の効果】膜分離装置を用いて水を精製する際に、
膜面あるいは膜付近に存在する微生物を殺菌する方法と
して、従来用いられてきた高濃度亜硫酸水素ナトリウム
の間欠添加に比べ、本発明の方法によれば確実な殺菌が
可能となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA03 KA03 KC21 KD11 KE15Q KE15R KE30R MC18 MC52 MC54 MC55 PB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分離膜を用いて造水するにあたり、大腸
    菌の生存率が1%以下となるように供給水のpHをコン
    トロールしながら造水することを特徴とする造水方法。
  2. 【請求項2】 供給水に硫酸を添加して供給水のpHを
    コントロールする、請求項1に記載の造水方法。
  3. 【請求項3】 pHを4以下にコントロールする、請求
    項1または2に記載の造水方法。
  4. 【請求項4】 海水を処理する、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の造水方法。
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JP36793798 1998-12-24
JP10-290478 1998-12-24
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009028724A (ja) * 2001-04-05 2009-02-12 Toray Ind Inc 水処理方法および水処理装置

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